「いずれにしてもこのマロルの他種族国家にバロル教は敵対的な様子で現在、その一部の人が城下に怪しげなクスリを売っている疑いがあると言うことですね」
と実質この街を収めているレティシアは総括する。
エマは「まぁクスリを売っている売人をとっ捕まえれば色々わかるな」
「そうだな」と答えると
ノエルは「クスリは北東部の移民地区で買ったと客が言ってました」と提言。
レティシアは「移民地区か……」
「区画を分けているのか?」
「無理やりと言うわけではありませんが、崖から見て東側は元々マロルに住んでいたものが定住しており、
西側は私がいたモンベルトの住民が多く住んでおります。
同じ土地に住んでいたもの同士、同じ種族同士、同じ習慣を持ったもの同士がいくらか集まって、行く末はそこから村を作って欲しいと思ってこの様に区画整理はハッキリとではありませんがしています。
北東部は移民が多く地方の圧政や商機を求めてきたものが多くほとんどが帝国からの移民です。
北西部はステーラから連れてきた者が多く住んでいます。
住居はなるべくこちらから提供しているので、仕事さえ与えれば貧困は起こらないとは思うのですが、多少の格差はすでに生まれていますね」
「格差?」
「はいどうしてもたくさんの人が多く集まれば希望の職業に就けなかったりそもそも働く気がない者もいます。
移民の一部にパンとスープの配給はあるので飢えはしないのですが、こちらが用意した住居の入居を拒み働かず人頭税を払わずに配給だけは貰うと言う者もおります。こう言った者は奴隷落ちしない輩で最初の入国税を払ってテント暮らしの者も少なくありません。食糧はもらえるのでそれを当てにしていますね」
「それでも人頭税は必要なのでは?」と俺が聞くと
「いいえ、初年度はお金を支払わないと言う仕組みを利用しています。
今年の年末にはそう言った輩は帝国に入国税を払って初年度の人頭税を回避して来年の暮れにはまたクワガに移住するのだと思います。人頭税と比べると入国税の方が安いので……」
「はぁ?インテリジェンスカードに記されているんじゃないか?」
「いいえ去年の所属国が書かれているだけで、何処に何年居たとかの情報は示されていません」
「ただ乗りか……」
エマが「言い得て妙だな」
「ベイルなどは元々帝国領だったので、歩いて移住も難しくはないですので帝都とベイルを行き来すれば人頭税は払わなくていいことになります」
帝国の実情を知るエマが答える
「どこの国も働き手が欲しいから移民や奴隷に頼っている部分がある。子供を1から国が育てるのは大変だからな」
「つまり、奴隷に落ちるくらいならホームレスになるということか……」
「そう言うことだな特に帝国とクワガの国境を越えるリスクが両国間にはないからな」
「なぜベイルに止まらずにマロル迄来たんだ?」
「ベイルの貧困街はミチオが綺麗にしてベイルの門の外は魔物が結構いてテントをはるには危険だからじゃないか?」
「レティシアどうしたらこの問題が解決できると思うか?」
「この問題は皇帝とお話になって、初年度人頭税無料はクワガ、帝国間では無効にすれば解決できると思いますが、今それをやるとその厄介な人物達はみんなクワガにいることになります。そして年末にはそう言ったものを全て捕まえて、奴隷落ちと言う事を事前に話した方がいいと思います。推定では1万人近くいると思います」
「1万人?つまり1億ナール取り損ねるということか?」
「概算ではそうなります」
「わかったその方針にしよう。皇帝にもその文書で先に送って置こう。レティシアたのめるか?」
「はい」
「では話を戻してその怪しいクスリの売人を見つけに行こう」
ノエルが「どうやって見つけますか?」と聞いてきた。
確かに闇雲に探してもな……
「オトリ捜査?」
「うーんオトリと言っても面が割れていなくて男の人がいいからな」
「俺か?」
ルティナが「それは絶対ダメです。そんなことしたらロクサーヌさんになんて言われるか……恐ろしい絶対ダメです」と2回言われた。
レティシアが「居ますよ。ウチに」
みんなが声を合わせて「誰?」
「フーです」
「フーって誰?」
「そうですよね覚えていませんよね。フーシンユーは謁見の時です。あの時ランドルが初めて来た時にランドルの前にいた文官志望の男です」
と俺はそれほど遠くない過去を振り返ると、「アナイシャより更に東からきた奴か」
「はい。彼意外に優秀でかなり役に立っていますし移民で条件には合っています。ミチオ様は男は興味ないだろうといつもこう言った場には呼んでおりませんが、呼びますか?彼が適任だと思います」
ルティナが「大丈夫ですか?いざとなれば私が魔法で男性に変身しますが?」
「いやそれはダメだ」と俺が止めるとなぜかルティナは嬉しそうにしている。
オレはルティナの男性姿を見たくないからだ。ヒゲの親父が出てきたら、抱くたびにそれがチラチラと浮かび上がったらと思うとそれはダメだ。
ルティナに魔法でフーを呼んでもらう。
フーはすぐさまノエルの館にやってきた。
「この様なところに呼び出されるとは思ってもいませんでした。どうしましたか?」と綺麗な服装身なりも小綺麗している。
レティシアが事情を説明すると
「はい。やらせてください」と二つ返事だった。
「ずっとこの件は懸案事項でしたが目立った活動もできないし、私一人の力ではどうにもいかず、軍を動かすなんて事も到底できません。宗教が絡んでいるとなれば尚更です。私にできる事でしたらなんでもします」
ノエルに適当な服を貰ってくれと頼むと別室に移動している間に作戦を俺たちは立てていた。
フーが戻ってくると、それはもう別人レベルで変わっていた。
髪はボサボサで服装は安く汚い服装で顔や手は薄汚れていた。
ノエルが「急に庭に出たかと思ったら土で顔を洗い手を泥で汚していました」
と確かに彼の爪は、黒くなっており手も汚れていた。
「これくらい汚れていた方が……」
彼に「大丈夫か?やれそうか?」と聞くと
コクッと頷くだけだった。
おおよその位置を聞くと「もういってもいいのか?」と聞いたので
「俺たちは君から見えない様に後を付けるから危なくなったら逃げてくれ」と言うと
やはりコクッと頷くだけだった。
彼の影にミリアが入り込み俺たちは屋根伝いを透明化してフーを追いかけた。
俺とエマ、ルティナは位置に着くとフーを見張った。
フーは時折壁に頭を軽く打ちつけたり、座り込んで涎を垂らしてみたりとそれらしい行動をわかりやすくとっていた。
しばらくすると二人組のローブを被った男達の一人が声をかけてきた。
「大丈夫ですか?」
「んー??」とフーは返す。
「何かお困りですか?」と聞いてきたので、
「あー気持ちよくなりたい……」と虚な眼で答える。
「お金は持っていますか?」と聞かれ
わざと汚しくちゃくちゃの紙幣をフーは持ち出し「こ、これで少しでももらえませんか?」と聞きかえす。
「これなら少しだけなら交換できますがしますか?」と小声で聞かれ
うんうんと首を縦に振る。
その男が濾紙に包まれた袋を出すと
「これで気持ちよくなれますか?」とフーが聞く
「ああこれで天国に行った様な気持ちになれますよ」と袋をわたされた。
フーは渡された濾紙を血相を変えて開けようとすると
その男に止められ「これは家で楽しみなさい」と言って立ち上がった
その瞬間ミリアは影から出てくると、硬直のエストックでその男の背中を切った。
隣にいた男は急な出来事に驚いたが、すぐさま吹き矢でフーを狙ったがミリアがその矢を剣で叩き落とした。
その男は逃げながら吹き矢で仲間の男を攻撃した。
それもミリアが止めようとするも、一瞬の出来事で発射した後に吹き棒を切った。
その吹き棒を捨てると踵を返して逃げようとしたのでエマが先回りをして剣を構えると彼は戦わずして毒を飲み命を絶った
「なんだよ。戦わないのかよ……まったく」
とエマが姿を現すと当然エマを知っている者がおり
エマは「騎士団を呼んでくれないか?」と騎士団のものを呼びに行かせた。
「ルティナそっちはどうだ?」ともう一人の麻痺させた男も吹き矢の毒ですでに死んでいた。
「仲間も殺すの?」と言いながらルティナは首を横に振った。
今までクスリの中毒者を演じていたフーも
「残念です。まさか仲間まで殺すとは……」と普通に喋ってきた
エマも「あーこれじゃアジトもわからないな……」
ミリアも「ゴメン。間に合わなかった」
「ミリアのせいじゃないよ」
ルティナが「まだ方法がある」
エマが「どうするんだ?相手はもう死んでいるぞ?」
「死んでいるからこそできる尋問もあります」とルティナが答える
「……スピークウィズデッド」
麻痺した男が泡を拭きながら青白い顔で立ち上がった
「うわっなんだそれ。大丈夫なのか?」
「ええ」
「貴方の名前は」
「……125番」
「うん?なまえよ?」
「……125番」
「貴方はどこに住んでいるの?」
「……教会です」
「バロル教の教会かしら?」
「……はい」
「場所はわかる?」
「……いいえ」
「引っ越して来たばかりなの?」
「……はい」
エマが口を挟む「死んだ男がしゃべりましたじゃ証拠にならないし、場所もわからない」
この男はルティナの質問にだけ答える。
「貴方のリーダーは?」
「……」先程服毒自殺した男を見る
「彼の名前は?」
「……76番」その男は頭を抱えながら消えて死体だけが残った。
「だ、大丈夫なのか?」とエマは驚きながら聞くが俺もビビる
「ええ、ただ本当に死んだだけです。死にたてならいくつか質問できますがはっきり答えられないのが問題です。何個か質問すると勝手に成仏してしまうのかあのようになってしまいます。」
「あっちの男に聞いてみましょう」とルティナ
「またやるの?」
「ええもちろん。せっかくここまで来たんですから」
「……スピークウィズデッド」
吹き矢の男にかけると同じように真っ青な顔で口から泡を拭きながら立ち上がった。
「貴方の名前は?」
「……76番」
「マロルに来てどれくらい?」
「……3ヶ月」
「貴方はどこに住んでいるの?」
「……街外れの教会」と目線をそちらに向けた
「何人ぐらいで住んでいるの?」
「……40人くらい」
「バロル教はこの薬を売って何をしようとしているの?」
「……わからないがこれで人を助けている」
「この薬は誰が持ってくるの?」
「……わからない」
「貴方のリーダーは?」
「……私のリーダーはホラル様」
「ではホラルの目的は?」
「……救済」
「どうしてこのクスリで救済になるの?」
「……わからない」と言い出すと頭を抱えて消えてしまうと死体だけが残った。
「町外れの教会、ホラルと新しい情報が出て来たね」とルティナは嬉しそうに言う。
騎士団が到着するとエマが居て驚く
「エマ様!!どうしたのでしょうか?」
「ああ、すまないが細かいことはこのフーに聞いてくれるか?我々は急いでいるので」
「ご一緒しなくて大丈夫ですか?」
「ああここの処理を頼むなるべく死体が見られないように馬車が来るまで布を被して人目に晒さないように」
「かしこまりました」
「場所がわかったら連絡する」とエマは言い残し俺たちはその町外れの教会に移動する
すでに夜になっており
教会は敷地内の門を閉ざしていた。
エマとミリアは簡単に門を飛び越えると俺とルティナは「パスウォール」(壁抜け)の魔法で門を抜けた。
ドンドンドン!!
教会のどびらを叩くと、一人の男がのぞき穴を開ける。
「今日はもう遅いので明日でもよろしいですか?」
と悠長な事を言っている。
「いやダメだ。今すぐ開けてくれ。
私はクワガ王国宰相エマだ訳があって訪問している。拒むなら其方も罪になる」
「えっ?あっはい、ただいま開けますのでお待ちください」と慌ただしくその大きな扉を開けた。
中は蝋燭がいくつか並べられておりそこにはどれも火が灯されていた。
「まず其方の名前を伺おう」
「わ、私はハロッズというものです、私たちの教義は亜人の受け入れをしていませんのでお入れすることはできません。皆さん人族では無いように見えますが……」
と恐れながらもそう答えた。
エマは「フンッ」と言うと。
「クワガ王国では亜人と共生するのが国是としているそれに従えないなら今日この場この時を持って退去せよ」
「そのような事を急に言われましても……我々に何か落ち度がありましたか?」
「ああ、ホラルというものを探している。ここに居ると聞いた。76番、125番と言う不思議な名前のやつから聞いた。意味がわかるならすぐにホラルを出せ。呼ばないならこちらから勝手に捜索させてもらう」
2階の小さな覗き窓からホラルが
「なぜ赤のアヌビスがここに……どう言う事だ?我々への試練か?」
ホラルは隣に居た牧師に「どうしてここがわかったのかわからないが……仕方がない……」
と言うと「マーダーオーダー」と牧師に呪いをかけると牧師の身体が膨らみ始め筋肉がマッチョになった。
「覗き窓のあの女を血祭りに上げろ」と命令すると理性を失った牧師は巨大メイスを持って階段を降りていく。
ホラルもこうしては居られないと、必要な物を持って裏口の階段から降りて逃げて行く。その際「ちくしょう。これからだと言うのに……」と言って裏手の階段付近に油を撒き火をつける。
その間ハロッズはしかたないと言う顔で祭壇に続く道を誘導していく。
ローソクの火だけだけでやはり薄暗い。
みんなに(ダークビジョン)を詠唱せずにかけた。
ハロッズは指先に歩きながら針を出すと振り向きざまにその針でエマを狙った。
(これは避けれまい)と確信を持って振り返ったが
影から出てきたミリアがその腕を切り落としていた。
「ホァっ?!」と同時にミリアはその腕を受け取りハロッズのお尻にその針を刺した
「えええええっ?!」腕から血を出していたが反対の手で解毒薬を服から探す。
取り出した手をやはりミリアが切り落とし、同 落ちた手に握りしめていた解毒薬を手にした。
エマが「なんだここは?客にいきなり毒針を刺すのか?」
両手がなくなったハロッズは「コイツらを全員ヤレ!」
と言うと影から
シュシュシュと音がすると思ったら吹き矢が飛んでくる
ルティナは咄嗟に俺の頭を押さえて礼拝用の木の椅子に隠れた。
ルティナはシールドを張って事なきを得た。と言っても毒には耐性があるから針が刺さって痛いはあるが毒ダメージは効かない。それは今ここに居るメンバー全員だエマも針を剣で叩き落とし、このハロッズの首根っこを掴むとそれを盾にした。そして次々と針がそのハロッズの身体に次々と命中させる。
「こう言う方がわかりやすくて良いね。さっきは不完全燃焼だったからな」
俺とルティナで「マジックミサイル」を連発すると
「あっ!ミチオ!!わたしのぶんものこしておけよな」
と言うと祭壇横の階段から降りてきた先程の牧師が現れた。
筋肉隆々でとても牧師には見えないが話も通じない
「ずいぶんやり手の牧師が出てきましたね」とエマは嬉しそうに対峙する。
力任せにメイスを振り回して行く。
エマがそれを避けると教会の椅子が弾け飛ぶ
「もうよだれなんて垂らして……そんなに魅力的かしら?でも私はミチオがいるからごめんなさいね」とエマがいうと牧師の脇腹にダメージを入れた。
脇から出てくる血を見て不思議そうな顔をして見ている。
ダメージは入っているようだが、痛覚が麻痺して痛みを感じてないようだ
牧師は大きくメイスを振って次々に椅子を薙ぎ倒して行く。
エマは強烈なメイス攻撃をいなすので精一杯だった。
「クッ!ミリア頼む」とエマがいうとミリアは近づいていく
おおきく振りかぶって巨大メイスを振るとミリアはバックアタックを使って後ろに回り込み攻撃するも鋼の筋肉で攻撃を受けない。
「ニヤッ」と笑うが
ミリアは牧師のアキレス腱を攻撃すると足を上げられなくなり引きずるように歩くだけとなったが牧師はなんで足が上がらない?くらいにしか思っていない。
「ミリアナイス!」
時間を稼いでくれたミリアは牧師から離れエマは
「虚心坦懐」と言うと空気が歪み牧師を攻撃すると牧師の左半分がなくなった
だが右半分だけでも体を動いており体を引きずって向かってくるエマが牧師の首を刎ねると「いい加減にしろ!!」と言って牧師の動きを止めた。
俺とルティナで吹き矢を放ってきた奴はほとんど倒した。教会の火の周りは早く既に教会の中まで燃えている。
「コイツらはなんで逃げない?」
吹き矢がダメならと剣を持って襲ってくるが、一般人がちょっと強くなった程度の者がエマとミリアに敵うわけがない。
「私達も一旦外に出よう」
とエマが言って扉がある方に避難する。木造の教会はすぐに火が回り中には信者が居たが奴らは出てくるようなことはなかった。
「なんなんだよあいつらは……」と不気味さと愚かさに驚いた。
教会の柱が燃えて崩れ始めている。
エマは「この辺は木造が多い。ホラルを追いかけるのは一旦やめて火を消さないと沢山の人の家がなくなる」
と言うと逃げたのだろうが追いかけることはできなかった。
既に騎士団も到着していたが火の周りは早く騎士団がバケツリレーで水を撒くが
火の勢いは強く勢いは弱くなることはなかった。
ルティナは「ウェザーコントロール」(気象変化)
を唱えるとすぐさま雨が降り注ぐ、すぐには火は消えないがバケツで水を汲んでくるよりかは早い。ザーッという雨の音と共に古びた教会は墨となって崩れ朽ちていった。
1時間ほどで火は消えたが、びしょ濡れになった俺たちは教会を見て
「これでは死者との会話(スピークウィズデッド)はできないようだな」と消し炭になった信者を見てエマは落胆した。
先週はごめんなさい。夏休みで台湾に行ってました。
いつも読んでいただきありがとうございます
毎週土曜日の22時頃に更新してます。
誤字報告していただけると大変助かります
https://twitter.com/kujira_ts
「X」にて、こんな人をモデルとしていますと言うのと、相関図を出しています。カギがついているので、捨てメールなどでアドレスを作ってアカウント作ってもらい申請してください。
また、急なご連絡もxでしているので是非登録してください。
ーーお願いーー
高評価と読み終えたらしおりもお願いします。励みになります