コポポポ……
セリーが紅茶をマグカップに注ぐ……
セリーは大きなあくびをしながら自分の机に座る。
黒狼と雪風はセリーのすぐそばで丸くなってセリーの様子を伺う
工房ではいま、みんなの装備品を作るのに最終局面に突入していた。
隣の席に座っているマノンがセリーに聞いた「ご主人様は今どうしているのでしょうか?」
「ルティナに言われて今日は船の旅って言ってたね……」とセリーが答えると
「えっ??!!こっちはいま総力戦なのに?!」
「まぁ確かにこの量の仕事は1ヶ月以上かかるね。」
アドラが「そうですよ。三日ってやばくないですか?」
「ああっそうだね」
目の前にひまりが荷物を運ぶのに目に留まった。
「あっひまり!!ルークに必ず今日午前中に納品しろ!!って念を押しておいてね!!」
「はい!わかりました」ひまりはセリーの言うことを従順に返事をする
「ひまりはいい子だね……」
「セリーさんこの量を三日はやばいです。しかも明日にはセリーさんも迷宮に入るですよね。今日は絶対寝たほうがいいですよ」
「じゃあアドラはロクサーヌさんに納品に1ヶ月くれって言える……、?」
「いや!それは無理っす」
「でしょ?」
「最悪、とりあえずガワ(鎧)だけ作って……と言うのは」とマノンが聞くと
「それで誰か死んだら責任取れるか?」
「そうですよね……冒険者は命かかってるんですよね。自分もそうだったのに……がんばります」
セリーも自分の仕事をこなしながらアドラに指示を出す
「革の鎧のプレート保護膜できた?」
「あっあと少しです」
「なる早で」
「はい。午前中には終わらせます」
「今日までに完成させるんだよぉわかってる?」
「はい頑張ります」
ブラックな職場さながらである。
「エミリーはプレートメールの彫金終わってる?」急遽エミリーもここに呼ばれている
「あっもう終わります」
「彫金は見た目だけどさ。王国のトップクラスの冒険者だからさそれなりにしないとね」
「そっそうですよね。きっちり仕事します」
「あっ昨日言ってたやつ持ってきた?」
「はい。エナジードリンクXですよね」
「すごいんでしょそれ?!」
「はい。もう三日ぐらい寝なくても全然平気です。薬師の二ノンと作りました」
「じゃあみんなで飲もうか……」
とセリーが言うと輪になって
封を切ってみんな揃って一気に飲む
「すごい味……」「これって飲んで平気な奴ですか?」
「死にはしないだろ?」
「危ない薬ではないですよね?」
「大丈夫ですよー」とエミリーがみんなに笑顔で言う。
「本当に?!」
エミリーは他にもMP が大回復するハイエーテルも大量に持ってきた。
「あありんご味に飽きてきたな……」とアドラ
「つべこべ言わず手を動かす!」とセリーが叱咤激励を飛ばす。
マノンは「それよりもロクサーヌさんハイコボルトのモンスターカード今日本当に30枚持って来れますかね?」
「いや、あの人はやると言ったらやる女だよ」とセリーが答えると
みんなは返事もせずにうんうんと頷く。
マノンが「船旅いいなぁー」と言っている頃
俺たちはその頃いよいよ海賊船と戦いも大詰めになっていた。海賊船は横にこられたら鉤縄で俺の船を引っ掛けると縄梯子をかけてその上に板を通した。そして相手の海賊の頭領がその板の上で一騎打ちを申し出た。
「ここは私の出番だな」と嬉しそうにエマが前に出る。
「エマ?!あんたの様な宰相がやることじゃないだろ?ここは私がやる」とライラが言う。
「お前ロクサーヌみたいなこと言うな。大事な場面だからこそ私がやるんだよ」と一騎打ちを誰が受けるのかで揉めているのを見て「早く決めろ俺は二人でもいいぜ」
「お前は少し黙ってろ!!」と二人に言われてしまう。
「お前はミチオの護衛として連れてきたんだ。きっちり守れ。一騎打ちは私がやる!!」と言ってエマはガンとして引かなかった
互いの船のヘリに立つ波の具合でかけられた板は軋み船が波で上下する。
まともに立てないほどだったがエマには超バランスと言うスキルがある。
彼女にとってはなんて事ないのかもしれない。
大きく船が動くと足場も当然動くジャンプしたら走行中の船は波で速度が一定じゃない為海に落ちてしまう。
「決闘で女か!!俺の名前はバーソロだ!お前を地獄に送る名前だ!貴様も名を名乗れ!!」
「私の名前はエマ!お前をそこに並んでいる男達と同じ様にしてやろう」と船の横にぶら下げられている下半身丸出しの海賊達を指してそう言った。
バーソロは細身の剣のレイピアを持ってフェイシングの構えを取っている。この狭い足場には向いている戦い方ではある。
エマは居合の構えをとる
渡り板は荒波でシーソーの様に相手が上下している最悪の足場だがエマは平気な顔をしていた。彼女のスキルに超バランスがあるそれで彼女はあの板の上に立っているのであろう。こういった戦いに長けている海賊も片膝をついたりしているがエマは平然としている。
俺は遠距離攻撃の紫電一閃で終わりではないだろうか?と思ったが
エマはそんな事はしなかった。
波が少しおさまると
「ほら行くぞ!!」と前にバーソロは出ていく。刺突剣特有の素早い突きをしてくるがエマはそれをスウェーをしてかわす。
エマは動じないで冷静に対応する
「逃げてばかりでは勝てないぞ!」
とあしらう様にバーソロは挑発する。
バーソロは「チェスト!!」とさらに大きく一歩前に出ると突いてくるが、エマは動じないでギリギリで避ける。
その瞬間藤乃を素早く引き抜くと下段から一気に空を切る。
「えっ?」とバーソロが思っていると自分の右腕が刺突剣ごと海に落ちてしまった。
そこから血が噴き出てくるがバーソロはその板に座り込んで命乞いをする
バーソロの靴にはスパイクが付いておりそのスパイクで板を突き刺して足場を安定させていた
「いてぇーーーお前強いな俺が悪かった。申し訳ない」
「降伏しろ」
「あーわかった。わかったからちょっと待ってくれ」
と言っていると相手側の船から吹き矢がエマに向かって飛んでくる
死角からの吹き矢だったが
それをエマは刀の柄で受ける
その瞬間投げナイフをバーソロは投げてきたが
そのナイフは2本の指で受け止めた。
「どこまでも腐った戦い方だな。ランドルと同じ穴のムジナだな」
そのナイフをもう片方の腕に投げつけるとバーソロの反対の腕に突き刺さる。
そして吹き矢を飛ばして来た奴はすでにバルハがクナイを投げて倒している。
「ランドルはてめえがやったのか?!」
「ああ、私ではないが我々でランドルを倒したな」
バーソロは自分の船に転がり込むと手下に「くそっ……あいつを殺せ!!」
と言うと
「はぁ……お前全然ダメだな……一騎打ちで終了ではないのか?」
「紫電一閃」と板の真ん中で海賊どもに放つと次々に斬られ倒れていく。一気にエマは相手の船に乗り込むと刀をバーソロの目の前に突きつける
「降伏するかここでみんな死ぬか選べ!!」と言うと
みんな「降伏します」と言って武器を捨てて手を上げる。
「はぁ?!!」とまるで戦う気のない船員に呆れる……
「あー巻きつける腕がなくなってしまったな」とバーソロを見て言う。
このまま死んだらもったいないから。手がなくなってしまったまま回復をさせて止血させる。
「約束通り下半身丸出しにして船の緩衝材にしてやるからな」
胴体に縄を巻き船の周りに吊るした。
その際海賊どもに吊るす側になるか吊るされる側になるかをエマが迫った。
吊るす側を選んだ海賊達には、今後犯罪奴隷になってもらう事
自分達のアジトに案内してもらう事を要求したが
彼らにそれを「NO」と言える気骨も無かった。あまり食事も与えられずいたのだろう。みんな痩せ細っている。
何人かに個別にアジトを聞いたがみんな指差す方向は同じだった。
特に自分達が裏切っていると言う気持ちはなかった
「俺たちは、はなから海賊ではなかった……」
彼らは元々漁師だったが領主の命令で海賊行為を行っていたと言う話だった。
だからいつか自分達は裁かれることになると言う事は承知していた。
謝ったところでそれが許されるはずもない。いつかこうなる日が来るというのはわかっていた。
「捕まっているエルフ達が居る。いろんな所から捕まえた。せめて彼らを解放してくれ」
と自分達が奴隷として捕まえたのに勝手な申し出だ。
そしてそんな奴らが指差す方に向かっていくしかなかった。その中にはセルマー領の者いるかもしれない……
ハイランドの海賊の港が見えて来た。思ったよりも遥かに普通の港町であった。
そして俺たちの船を見つけると町民はかなり驚いている様子で慌てて、ひと気がなくなってしまう。
このまま上陸して良いものか……流石に海賊の港に海賊を船に大量に吊るしている船が寄港しようとしていたらそりゃみんな隠れるか……
しばらく様子を見ていると騎士たちが港に集まってくるがその騎士たちは白旗をあげて振っている。
そして小舟に3人の騎士が乗ってこちらに向かってくる。
騎士たちはその船の周りに吊るされている海賊を見て白旗を振りながら近づいてくると大きな声で
「我々はウィスターブル領主の使いでこちらに来た。我々に戦闘の意思はない」
と言って来たので思った対応とはだいぶ違った。
先ほどの海賊の話とはずいぶん違う……
「我が領主に会っていただきたい」と老練な騎士が願って出た
「裏切り者!!」とくくられている海賊はこの騎士たちを罵った。
エマに相談したが「罠の可能性はあるな。充分に気をつけていく必要があるが向こうはこちらが何者かわからないはずだ。いずれにしても上陸しないと船上では思った以上にできないことが多いな」
レイラは「護衛するって言う話だったけどこれじゃ無理じゃない?」
ライラは「私は嫌いじゃないぜ。火中の栗を拾うみたいな事ミチオの好きにしたらいいぜ」
ルティナとミリアは「別に問題ないよ。会って見たらいいよ」
バルハは「私も同行させてもらいます」
我々も船を出して向かう事にした。
レセを残して港から離れた。レセ一人でもこの捉えた海賊達が蜂起しても負ける事は無いだろう。
上陸したら武装解除を求められたが丁重に断った。
「まだ何の話かわからないうちに武器を置くわけにはいかない」
と言うと「貴様!!」とみんなが詰め寄ってくる。
老練な騎士は「こちらは白旗を振っているのだ!みんな引け!」
エマが「貴殿の名前は?」
「私はボーレスだ」
「私はエマだ」
ボーレスは握手の為手を出すがエマは
「私たちはそれほど仲良くなっていないよな」と握手をことわった
エマは俺が王だとわからない様に振る舞っている。
俺よりもルティナやエマの方がよっぽど偉く見えている。
徒歩で領主宅に招き入れられた
バルハはその間にこの町に潜伏していた草(密偵)から鳥の鳴き声を模して入江の方に海賊のアジトがあることを聞かされルティナに報告するルティナはレセにメッセージでその場所を送った。
謁見の間には偉そうに階段が20段ぐらいありそうな所から肥えた領主が俺たちを見下している。
「この度は誠に感謝している。我々も奴ら海賊には手をこまねいていた所だった。奴等は相当な数がいたと思うがどうやって退治したのだ?」
「我々の船で……」
「なるほどそうか。よっぽど強い戦艦なのだな」
「捕まえた海賊は貴殿から海賊行為をする様にと言われたそうだが……」
「私はその様な事言った事は無い。ただ……ここはなかなか産物が生まれにくく何かいい方法が無いと結果税金で子供を取られたり妻を取られたり……そんな事はどこにでもあるだろ?
だから一部の船には私掠船を認めていた」
「それを海賊行為だと言うだが?」
「我が国の私掠船をもしや……沈めたのか?」
「ああ海賊と変わらなかったし、やるのならやられる覚悟もあるのだろう?」
「……ああ困った事になったな……なら賠償金を払ってもらう必要があるな……」
とにやけた口調で領主が言う。
「海賊船と私掠船何が違うんだ?」と俺が聞くと、「私掠船は我が国の正式な船で停戦命令を聞かない船には略奪許可を出している。」
「それはつまり海賊船だな」
「海賊船というのはどこの国にも属さず略奪の限りを尽くす輩だ」
「さっき白旗をあげた意味は?」
「何かの手違いで私掠船が停船を求めたのは間違い無いと思うしそれについて謝罪したいが、その船を沈められた事には賠償金を金貨10万枚払ってもらう必要があるな」と隣にいたボーレスに言う
ボーレスは困った顔をしているだけだった。
「そんな払う金はない」
「そうか……それは困ったな。じゃあ君たちを奴隷にしてあの船を貰うとしようか。君たちを人質にあの船を呼び出そう」
「つまり、ここで私たちを捕まえると言うことか?」とエマが聞く
「そう聞こえなかったか?」
階段の後ろ側から突如10名程の兵隊が現れ
その手にはなんとクロスボウを持っている。
みんなが構えると
「後学の為に教えてやろう。これはクロスボウと言ってこの殺傷性の高い「矢」が一斉に君達に放たれると蜂の巣になってしまうよ」
パスッ
兵士の一人が床に1発命中させて床に矢が刺さる。
「最初からこう言うつもりだったのか?
我々にも海賊?私掠船の船員を沢山捕虜にしているぞ。交換しないか?」
とエマが交換条件を言う。
「もういらんよ。ただの平民だしな。平民は貴族の私達を豊かにするためだけに存在するんだ!!
そこにいる女どもを私のものにして船もいただいて新しい私掠船を作るよ」と最後まで言うと高らかに笑っていた。
エマもつられて笑う。
「なんでそんなにお前は馬鹿なんだ?」と領主にエマは聞く
「クッ!!なんで笑っていられる!!
まだこのクロスボウの力を分かってないな。貴様らの国には弓もないんだろ?兵器はだいぶ遅れているらしからな」
「そんなもの如きで私達に勝てると思ったんだろ?やると言う事はやられる覚悟もあるんだよな」
「面白い。騎士団!!」
扉から一斉に騎士たちが謁見の間に入ってくると俺たちを取り囲む。
クロスボウはこちらに狙いをつけている。
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