「まさかぁ、ど、どうしてそう思ったんだ?たまたま同じ名前だけじゃなかったのか?」と話の途中で我慢できずにエマは聞いてしまった。
「森や、村の様子がどことなく似ていただけど、地方の村なんてどこも同じ様な風景なのかなってずっと思っていたんだけど、生まれて来た赤ちゃん見たら、この子自分だって……
それにセリーさんに作ってもらったこの仮面村の女王と呼ばれていた人の仮面とそっくりだったんだよね」
と言って以前に装備の更新した時に作ってもらった仮面を出した。
「確かに受け取った時不思議そうな顔していたよね」とセリーはミリアに聞いた。
「うん」
「話の腰を折ってすまない続きを頼む」と俺が促すと
「うん」
「そのあと、怖くなってガリアとミーレアの家にあんまり行かない様にしたんだ
そうしたらガリアが……」
「2ヶ月も来ないなんてどうした?ミーレアも心配している」と言って
ガリアが森にやって来た。
「うーんなんとなくな」とバツが悪そうに答えガリアの前でも仮面をつける様にした。
「赤ん坊は苦手か?」
「いや、そう言うわけではないが……」
「なら、たまには顔を見せに来てくれ」
「そうだな。たまにはな、心配かけたな」
となるべく顔を合わせない様にしたミリアを察した様にガリアは村に戻った。
そうは言ってもすぐに行けなかった。村にはなるべく近づかない様にして、周りの魔物を狩って村に魔物が近寄らない様にすることが日課になっていた。
魔物狩りをしている……そんな噂はすぐに村で広まった。
二人には見つからない様にたまに村を訪れガリアとミーレアの様子を見に行っていた。
あの2人はもちろん知らないがミリアの実の父と母だ
あんまり心配そうにしているのを見て、肉を持って行った。二人の栄養状態は決していいものではなかったためだ。乳の出が悪くなってはいけないと思い
何度となく玄関の前に置いて行くだけだった。
ある時待ち構えていたミーレアに捕まり、無理やり家に入れられた。
最初こそ遠慮がちだったが、ミーレアはそんな自分を温かく迎えてくれた。
3年くらいは平和で楽しい時間を過ごせていた。
生き別れになっていた実の両親との生活にオウカという名前もすっかり板についていた。
そんなある日必死な形相で村の子供が私のところに走って来た
「おねえちゃんお願い。今、村が海賊に襲われているの……村の大人が……」と言って動揺しながらも懇願している。
「わかった。すぐに向かうよここで待っててすぐに戻るからね」と言うと
木の上にある自宅に引き寄せ、クッキーをあげた。
そして彼女に落ち着く様に言うと、指笛を吹くとキューちゃんを呼んだ
目の前に降りたドラゴンを見て子供も驚く。
「えっ?ドラゴン?!」
ミリアはすぐさまそのドラゴンにまたがると村の方へ向かった。
確かに村の近くに海賊船らしき船が見える
「急にこの辺の魔物がいなくなったと思ったらこんな所に村があるなんて、こりゃめっけもんだな」と海賊が話している。
「女子供は捕まえろ!!男は皆殺しだ!!」と大きな声で叫んでいる
村の男たちは20人ほどしかいない……海賊どもにだいぶ村人もやられている。
(お父さんは?!)
広場でミーレアは自分の子供を抱きしめ村の子供達を守っている。
その前にはガリアが海賊と戦っている。
5対1では全く勝負になっていない。槍で何度もガリアは刺され口から血を吐いているているが、それでも後に引かない。
「お前らの好きにはさせんぞ!!」と怒鳴ると突き刺された槍を持って投げ飛ばす。
だが、その後から近くに寄って来た3人にさらに槍を突かれガリアは倒れた。
「ガリア!!!」とミリアが声を出してドラゴンから飛び降りると
ミーレアが「オウカちゃん逃げて!!」と大きな声で言う。
ミリアはその槍を一刀両断すると海賊たちを弾き飛ばした。
「ガリア!遅くなった」
「いや、間に合ったさ。みんなを連れて逃げてくれ。俺は大丈夫だから」
「大丈夫なわけないだろ!」
槍を刺され血が吹き出している。ミリアはポーションを出して傷口を塞ぐが
「俺にポーションなんてもったいない。もう血が足りないから塞いでもしょうがない」
「しょうがなくない!!」
「可愛いお嬢ちゃんがきたな。ちょっとは腕が立つ様だが……お前ら囲め!!」
「お前達は黙ってろ」と海賊たちに凄む。
「無視してるんじゃねえぞ!!」と
ミリアは下を向き「ご主人様人間に武器を使う事をお許しください」と言って影収納から刀を出した。
クルッと向き直り
「お前ら狩られる覚悟はできているだろうな」
と刀を持ったミリアは異常な殺気を放っていた。
海賊の一人が前に出て槍で付くとミリアはそこから全く動いていない様に見えたが槍をついた海賊の首が地面に落ちた。
「えっ?」と言っている間に隣にいた海賊の腕も武器と共に地面に落ちた。
「は?」と痛みが来る前に両足が切断されて地面に胴体が落ちると何かをする前に海賊の視点天地が逆転される。
気がつくと自分の頭が地面に落ちて自分の足だけが立っているのが見えた。
「マジックウェブ」
ミリアが唱えると一気に何人もの海賊を蜘蛛の巣で一網打尽に捉えた。
次の瞬間その蜘蛛の巣の中で胴体が真っ二つになり一気に血の海に変わる。
「なんだあいつ!!」
次々に海賊は真っ二つにされて手も足も出ない。
逃げる暇も与えない。
海賊の頭領がミーレアを抱き寄せ腕の中には赤ん坊のミリアを抱いていた
「武器を捨てろ!」とミリアに言うと
海賊にはミリアは黒い影となって目が赤く光っている様に見えた。
虚ろな赤く光る目は狩る者と狩られる者をはっきりさせていた。
俊速で動く彼女を止めるには充分な理由があった。
「武器を捨てろ」と頭領が汗が吹き出しながらも繰り返し言う。
ミリアは刀を地面に突き刺しどんどんと歩いて間を詰めてくる。
「止まらないとこいつの首を掻っ切るぞ!!」と言うが
ミリアは「どうやって?」と聞き返す。「は?」と聞き返すと
海賊の頭領の腕は既に地面に落ちている。
「えっ?」
ミリアは硬直のエストックを持っていた。そして切られたのがわからない程海賊の頭領は麻痺していた。
「なんだと?!」
と言った次の瞬間
頭領の首を刎ねた。
「と、頭領……あいつなんなんだ!バケモンか?」と言うと周りにいた海賊は一斉に船に走り出す。
ミリアは倒れかかったミーレアを抱き寄せる。
「大丈夫か?」
「ええ、私は大丈夫、オウカちゃんありがとう。」と彼女大事そうに我が子を抱きしめそして腰が抜けたかの様にその場に倒れ込む。
周りにいた人にミーレアを託すとミリアは奴らを追った。
結果はわかっていた。なぜならキューちゃんが海賊船をブレスで燃やし沈めていたからだ。
海賊船の前で海賊たちはドラゴンの姿を見て茫然自失になっていた。
残っていた数人を前にミリアは
「悪いが降伏しようともお前たちを一人も許すことはできない」
と言って改めて『ムラサメ』をミリアは抜いた。
海賊たちはそのおびただしい影がミリアにまとわりつき、目は赤く光っている様に見えた。
「いや、待ってくれ。降伏する。頼む助けてくれ」
と懇願して来ても「お前たちはそう言われて村人を殺すのに躊躇したのか?」と言うと体が真っ二つになっていた。人は胴体を切ると30秒程生きている。
あえてミリアは首を切らずに胴体を二つに切った。
阿鼻叫喚の地獄絵図だった
逃げ惑う海賊たちを「マジックウェブ」でミリアは一人も逃すことはなかった。
慌てて戻って来たミリアはガリアの元に戻ってくる。
ガリアは「やっぱりオウカは強いんだな。すまないが妻と子供を守ってほしい」
「それはガリアがすることだろ?」とミリアは答えるが
「ああ、本当はそうしたいんだが、ミリアの大きくなった姿を見たかったがどうやらかなえられなかった。すまんオウカ頼むよ」
「ダメ、ダメ、ガリア死んじゃダメ」
「まるでオウカが自分の娘みたいだ……」と笑いながら穏やかに言うと
ガリアは泣きじゃくるミリアの頭を撫でると息絶えてしまった……
「ガリア!!」
村の男たちはすでに皆殺しにされた……
残ったのは女子供達だけだった……
村人達と海賊もそのままにしておくわけにはいかず全て埋葬した。
ミリアは落ち込んでいたけどみんなの手伝いをした。
泣きながらガリアを埋めると子供の様に泣きじゃくった。
ミーレアは3歳のミリアと19歳のミリアを両手に抱きしめた。
「オウカちゃんありがとう」
「……ミーレアごめんね。ガリアを助けてあげられなくて……」
「ううん。オウカちゃんは他のみんなを助けてくれたのよ。天国で自慢げにガリアも喜んでいるわ」
「……うううごめんね……」
とミリアは泣きながら頭を下げる。
葬式も終わりミーレアが聞いてくる「オウカちゃんはこれからどうする?私達とついてくる?私達はこの村を離れるわ。村に男達が居ないと魔物から身を守ったりできないから移動することになるんだけど……一緒に来る?」
「ううん」と頭を振る「私は約束だからここにいる」
「約束?」
「うん。私は迷子……私のご主人様は必ずここに迎えに来る」
「あら、オウカちゃんには旦那様が居たのね」
「うん。だから約束を守らないといけない」
「……そう。……約束……わかったわちょっと待ってて」
しばらくするとミーレアは戻って来た。
「私達みんなオウカちゃんについて行って良いかしら?」
「私に?」
「うん。実はねこの村は道もなければ船でしか辿り着けないのよ。まぁだから税金を納めなくても良いのかもしれないけど……だからこの村を出ていくと言っても魔物の巣を通り抜けるか、船で違う島に行くかのふた通りなんだけど、どっちも女子供だけじゃちょっと自信ないんだよね」
確かに商人がたまに船で来るだけでほとんどこの村に人が訪ねてくる者はいなかった。
「わかった。私が獲物を取って来てみんなを食べさせるけど、私お金はあんまりよくわからない」
「それは大丈夫。それは私達がなんとかするけど、多分商人が来たらその人に他に連れて行ってもらうと言う人もいると思う」
「うーんそれはやめた方がいいかな。あの商人でしょ?途中で奴隷にされると思う」その商人とはかなり胡散臭く少しでも騙してやろうと高額な要求をしてくる。
他に商人が立ち寄らない事を奴は知っているからだ。だからみんな奴の言い値で買ってしまったり買い叩かれてしまったりしている。
「……」
仕方なく今の所はみんな村を出ずにミリアと共にこの村に残る事にした。
ただ家が焼かれずに残っていたのが幸いだった。
女達は罠を作ったり果物を取りに森に入ったり、野菜を育てたり、魚を釣ることはできていたが『狩り』は男達がしていたのでこの村の女達はした事がなかった。
やっとみんなが海賊の攻撃から時間が過ぎ安堵していた所だった。
ある日小さい船に乗った男二人が現れた。
慌てて村の女がミリアを呼びに行く。
村の広場で遊んでいた子供達に声をかける。
女達はすぐに子供達を抱き抱え警戒した。
「あなた達はなぜここに?」
「私はこの辺で暴れていた海賊を追いかけているのだが奴らがある日突然全員消えた……その為の調査をしている。そしてこの入江にはその海賊の船が沈んでいる事に気がついてこの村によった訳だが……」
と気さくな感じのいい男であった。その男はホワイトタイガー種の『ネル』と名乗った。そしてもう一人の男はその従者の様だった。
「ネル様、ここの住人は余所者を敵対しているようです」
「別に悪い事をしているわけではないもうちょっと待て」
とネルが言うと優しく3歳くらいの女の子供に語りかける「この村のリーダーは誰だい?お話をしに来ただけなんだが……」
と優しく聞くとその子は「ここには、ここにはオウちゃんがいる!!お前なんかに負けない。強いぞ!!」と言葉足らずの子供が大声で言ってしまう
「おおおっそうか。じゃあぜひその王様に合わせてほしいな」と言うと
村の女が呼んできたミリアが現れる。
ミリアは仮面をかぶって戦闘服を着ている。
「誰が来たんだ?」と子供達に聞くとネルを指差す。
一目見てネルは「王というか女王ではないか」と声を出してしまった。
「貴方は?何をしにここへ?」
「私は旅の剣士珍しい村があったのでつい上陸してしまいました。」
「ほう。で、なにかめずらしいものはあったか?」
「ええ。女だけの村そしてそこに女王まで居る。しばらくこの地にいてもいいか?」
「いや、そんな用事ならなるべく早く帰ってくれ」
そう言うと周りの女達はそんなこと言わなくていいじゃないとオウカに言う
女ばかりで男を見るの半年ぶりだからだ。
奴は体格も良くすらっとしていてキザぽい男だった。
「女王、君が手にしているのはもしかして剣ではないか?それも相当な業物」
「だからなんだ?」
「一度試合をしないか?」
「試合と言うのは殺し合いではなくてか?」
「ああ君を殺してしまうわけにはいかない」
「お前がな」とミリア
「私が勝ったら君をもらう!!それでどうかな?」
「負けたら?」
「君の出す条件を呑もう」
「んーだったら、この村の住人になってこの村の為に働いてもらう二人ともだ。そして私以外と番になってもらう!それでどうだ?」
「えっ?どう言うこと?番?」
周りの女達はどよめきあう。
「わかった不思議な申し出だが負けるわけがない!」
ネルは剣を取り構えた。
ミリアはリラックスした感じで子供達に離れる様に言う。
従者が「では始め」と不意に試合の開始を告げた。
なんの用意もしていないミリアしかも後ろ向きだったが、
「縮地」と小声で言うと一瞬にしてネルの懐に入り込み刀の柄でネルの溝落ちに当てるとネルは声にも出ない様な声を出す「グフォっ……」
次の瞬間持っていた剣をムラサメで切ると真っ二つになってしまった。
そのままネルは後ろに吹き飛ばされる周りの人にはネルが急に後ろに吹き飛んだ様にしか見えなかった。何が起こったのかわからない状況だ。
「ネル様、ネル様」と従者が呼びかける
「大丈夫だよ。柄が当たっただけだから。怪我はない。ちょっと気絶しているだけ」
周りの子供達はオウカが勝って大満足だった。
パチパチパチパチと拍手している子供いる。
「今のオウカちゃんが勝ったんだよね」
「ああそうだな」
従者に「どこかで横になっていればすぐに目を覚ます」とミリアが言うと森に戻って行った。
しばらくすると家のベッドでネルがガバッと起きた。
「ここは?女王はどうした」と従者に聞く
「ネル様と試合をしたらあっという間にネル様が吹き飛ばされて……」
と言われてやっと思い出す。
ネルはその時の様子を思い起こす
瞬間的に私の懐に入って来た時に彼女は柄の抜き差しをカチャカチャと少なくとも2回は行っていたがその柄で俺は彼女の一撃をもらって……
つまり少なくともあの一瞬で2回は攻撃できると言うことか?
「素晴らしい」と一人で感心してしまう。
「こんな剣客は初めて見た。従者ミルトよ申し訳ない私は一生使えるべき王が見つかった。ここに居をかまえここで更なる高みを目指したいと思っている」
「えっ?んんえー?ここにですか?」
「ああ、お前はどうする?」
「ネル様がここにいるのでしたら私もここに」
「そうかすまない。明日正式に女王に会いに行こう」
ネルは本当にここの住人になり、あっという間にここで一番可愛い女の子と結婚して番になった。
ミルトは未亡人のちょっと年上の女と番になった。
そして私は彼が事あるごとに「女王、女王」と呼ぶのでみんなもなぜか私の事をジョオウと呼ぶ様になった……
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