食事も終わり、セリーに連れられて冷蔵庫の試作品を見に行く
以前から館の地下にセリーが掘っていた工房で作成したらしい。
地下への階段を結構降りると、広いし、明るい
「この光は?」
とセリーに聞くと
「魔動力と言うものでできているらしいです。フィーネさんが言ってましたが、私には全く理解できません」
外と同じとはいかないが、地下でこの明るさなら作業自体はこなせる明るさだった
まるで蛍光灯のような大きさで、棒状のものがずっと繋がっている
広さもいつのまに作ったのか天井はそれほど高くないが、体育館ぐらいの広さがある。
「凄い広いけど、セリーが一人で掘ったのか?」
「まぁ、ほとんど私が……元々は氷室を作るためだったので、もっと小さくていいかなと思ったのですが、採掘マスターのスキルをいくつか知りたくて掘っていたら、いつのまにか広くなってしまって……フィーネさんを連れてきたら、照明を作ってくれました。ここの家の氷室と冷蔵庫はもう作りました、すでに氷室は動いていますが、それも見ますか?」
「凄いな…ところでフィーネとニコルは?見かけないが?」
「実家にポーションの件で行かれているのだと思います」
「彼女がいなくても稼働させて大丈夫なのか?」
「はい。作るのはとても大変で、全く意味がわからなかったのですが、操作も簡単なので」
「あんまり寝てないんじゃないか?」
「そんなことないです」と両手を振って全力で否定する
「でも、楽しくなって時間を忘れちゃいますが、迷宮に入ることも考えると寝不足というわけにはいきませんので」
セリーは真面目だからな。
「まずはここの氷室に」
と言って、少し厚い扉を開くと、6畳くらいの部屋がありそこに棚が倉庫のようにある
「かなり寒いな」
「はい、ここの氷室は主にここの食料庫とされています」
「これも魔動力で動いているのか?」
「はい。魔結晶が動力源だと言うのは聞いてます。フィーネさんが持っていた紫の魔結晶で1年以上動くそうです。凄いですよね」
「確かに凄いな」
まるで冷蔵室だった
氷室から出てセリーの説明を受ける
ここの氷室と冷蔵庫を昨日のうちに作ったそうだ
「これが冷蔵庫か?」
「はい」
背丈は150センチぐらいの金属の箱で、両開きの扉がついている。下には台車と、側面にはそれを引っ張る為のリング状の棒が付いている
「今はこれ、スイッチがつかないそうです」
「なんで?」
「人が沢山いる所なら勝手に動くらしいですよ?」
「私にもよくわからないのですが、みんなから少しずつ漏れている魔力を吸収して集めると動くらしいです」
「これも魔結晶で動かせるのか?」
「裏にそれを入れる所はありますが…私が入れたことないのでどうなるかわかりません」
「そうか、でも素晴らしいな。これセリーが作ったのか?」
「いえ、私は指示されたものを作っただけです」
「フィーネはよそでこれを作ったことがあるのかな?」
「初めて作ったそうです」
俺は扉をあけたりして、中を見たら金属の網が棚状に入っていた。
俺の知っている冷蔵庫とはだいぶ違うものの、プリンを作るためにまさか冷蔵庫ができるとは……
「でも、セリーがいなかったらできなかったわけだ。やっぱり凄いよ」
「えへへ、そうですか?ありがとうございます」
「じゃあこれで、ベスタのプリン屋もできるわけだな」
「はい」
「あと、これとは別にキッチンに置ける冷蔵庫があるといいな」
「そうですね」
セリーにこんな感じに作ってほしいと説明した。もちろん俺がいた世界の冷蔵庫を説明した、もちろん冷凍庫付で
まだどうなるかわからないので、リナのことはセリーにはまだ何も言っていない
俺とロクサーヌでベイルに来た
そう、アランの所に
ゴンゴン
「ミチオです」
「お待ちしておりました」と従者が扉を開けてくれる
応接室に通されアランを待つ
5分ほど待ったところでアランが入ってきた
「お待たせしました」
アランが入ってきたその背後にはリナもいる
マロルは来なかったわけだ
「お察しの通り、マロル様はお見えにならなかったので、自動的にミチオ様に優先権が渡りました。いかが致しますか?リナ、ご挨拶を」
「以前にもお見えになられた方ですね。目は見えなくても優しい空気と素敵な空気でわかります。リナです」
頭を下げてご挨拶をした。
「ではリナ、下がっていなさい」
「かしこまりました」
リナが退出する
「条件は変わりません」
先日作成しました契約書を出して説明を受ける
「実は俺たちの事情で、今日、金を支払い、受け取るのだが…リナの引き取りは2日ほど待ってもらえないだろうか?」
「それは?」
「実は今日、色々あってな…それが落ち着いてから来てもらった方が良いかと思うんだ」
「そうですか……奴隷というのは、どんなところに連れて行かれるのか、どのような方なのかと心配が尽きないのですが…一番の心配は買ったのに引き取りに来ないことなのです。ミチオ様に限ってそれはないとは思いますが、契約解除されるのではないか、何か不都合があるのではないかと、色々考えてしまうので……」
「本当に申し訳ない、リナに直接必ず迎えにくると言うのを伝えてはダメか?」
「そうしていただけると助かります」
リナを呼ぶようにアランの後ろに控えていた世話役の女性に伝える
リナが来る前にアランに残金の金貨8枚を渡す
しばらくするとリナが扉をノックして入ってくる
「お待たせしました、リナです」
「リナ、お前はミチオ様に奴隷として売却されることになった。今後はミチオ様のためにこれからは頑張りなさい」
「えっ?!はい、かしこまりました。アラン様、今までありがとうございました」
リナは深々とお辞儀をする
「では手続きをしましょう」
アランが呪文を唱えると
リナのインテリジェンスカードと俺のインテリジェンスカードが左手から出てくる
「では始めます」アランは呪文を唱える
ちらっとリナを見ると、リナもこちらを見てニコッと笑う。まるで、俺が見ているのがわかるのかと思うほどだ
リナのインテリジェンスカードを見ると、所有者の欄に俺の名前が確かに書いてある。
「これで契約が完了しました。当家の奴隷をお買い上げいただきありがとうございます。お客様は本日をもちまして、リナの所有者となりました。所有者には奴隷に住まいと食事を与え、また、税金を支払う義務がございます」
「これらの義務を放棄したり、奴隷を著しく不当に扱った場合、契約が無効とされることもございます。遺言の作成と変更も我々の仕事となりますので、その際にも当館をぜひご利用ください」
とこのくだりは3回目になる
「俺の名前はカガミチオ。そしてその隣にいるのはロクサーヌだ」
ロクサーヌが「一番奴隷のロクサーヌです。これからよろしくお願いしますね」
「よろしくお願いします。奥様かと思いました」
「いえ、そんな事は…ございません」ロクサーヌは顔を少し赤くしている。セリーと同じことを言うんだな。
さすが姉妹だ
リナの肩を俺は両手で持ち、正面に見据えた
「リナ、早速だが一つだけお願いがある。今日を以ってリナを購入させてもらったが、今家がバタバタしているので、2日後に迎えに来る。今しばらく、ここでアラン殿の世話になってくれるか?」
「えっ?はい、今まで半年近くここにいましたから、2日ぐらいでしたら大丈夫です」
「申し訳ない。必ず迎えに来るから」
「お待ちしております」
「ご利用ありがとうございました」
俺はアランの館を後にした。
その足でクーラタルのルークの所に行く
オークション会場に着くとルークを呼び、応接室で待つ
しばらくすると
「お待たせしました」
ルークが入ってきた。
「最近はクーラタルの迷宮には入っておられないのですか?」
「ああ、そういう個人情報を探らないでくれ」
「申し訳ありません」
ルークと仲良くなろうとは思ってはいない、あくまでビジネス上のお付き合いでいたい。俺は前にルークも解放会のメンバーかと思って試したが違ったようなので、お互いにビジネスでのお付き合いで問題ない。どこでどんな情報が漏れるかわからないからな
ルークは特に情報が集まりやすい。お互い危険なことにならないように、あまり余計な事は知らない方がお互いのためだ
「今回はこんなものが手に入りました」
珊瑚のカード1枚 コボルトのカード2枚 コウモリのカード1枚 ハーブのカード1枚 エルフの外套 オーガの小手
「全部で10万5000ナールですが、7万3500ナールでお願いします」
「全部頂こう。カードとまた武器、防具以外で何かあったら購入したい」
「かしこまりました。指輪などはどうですか?」
「指輪か…カードでつけられる効果のものはいらないので、それ以外の魔法の指輪だったら欲しい。特に、ESPの指輪とかは10万ナール払ってもぜひ欲しい」
「かしこまりました」
俺は代金を払うとルークの所を後にした
俺は帝都に来て、ルティナが下着を作っている店に寄った
そこにはルティナとニコル、アーダとフリダとカミーユもいる
「ご主人様、ちょうどご相談したいことがあるのですが……」とルティナが言ってくる
ニコルがその後を言う
「実は下着を作る職人をもっと雇えないか?と言う話をしていたんだけど、場所も資金もないようなので、思い切って店ごと買ってくれないかという話を今言われたところだ。確かに、今作っている下着が売れているわけではないから、赤字がどんどん増えてしまっているし、当然従業員の給料も払わないといけないからな。そこでさらに増員となると、なかなか難しいのは確かだが、貴族に一度売れてしまえば一気に回収できると思うが……ミチオ様どうだ?」
「いくらあれば、店ごと買い取れるんだ?」
ニコルが答える指を3本出して
「300万ナール」
「ぶっ!それは確かに大金だな…」
「店長はそれでもいいのか?」
店長はずっと横で聞いていたらしく
「はい。これ以上は私たちだけでは……ですが、物がいいので必ず売れると思いますし、今後どうなるのか見てみたいです」
ニコルは俺を見て小声で
「私の見立てでは、ショーの初日で元を取れると思うが?」
俺はしばらく考える。ニコルはそう言っているが300万となるとかなり大金だ…白金貨3枚と言うことだろ?ただ、売れなかったら、エディングの販売網で売ってもらうと言う手もあるからな……
それに、ニコルの商才を見てみたいという気持ちになる。今後、商売をどれくらい見てもらえるかの判断もできるだろう
「わかった。ニコルの商才を信じるよ」
俺は金貨の入った麻袋を取り出して
300枚の金貨をニコルに預けた
「さすが、気風がいいね〜!現金ですぐ出てくるなんて、本気で惚れちゃうな~!」
「ご主人様はニコルにはあげません!」とルティナ
「店名もルティナの名前にしたら?」
「それいいね」とニコルが言う
「それと、この近くでベスタのプリンも販売したいのだが、どこかいい店は知っているか?貴族が来た時にみんなに振る舞えれば沢山売れると思うんだよね」
ニコルが
「ミチオ様頭いい!!」
下着店の店長が
「でしたら、向かいの店が今空いています。そこはどうでしょうか?」
「見に行ってみよう。店長、店の持ち主を知っているか?」
「はい、連れてきます」
とトントン拍子で話が進む。
俺はロクサーヌを置いてベスタを連れてくる
「ベスタ、プリン屋ができるようだ。プリン屋をお願いできるか?」
「もしかして、戦闘パーティから外れるのですか?」
「いや、戦闘パーティから外れてもらうわけにはいかない」
「そういう事でしたら頑張ります」
ベスタは戦闘パーティから外れるのは嫌なのか……
「では、いつもプリン作りを手伝ってくれるクラリスを使ってもいいですか?」
「でも、今日の決断次第ではやめてしまうかもしれないぞ?」
「私に言ってきました、私はずっとここにいたいですって」
「まぁでも、彼女だけに負担は強いられないからな。他にも何人か協力してくれそうな人を探そう」
「はい」
結果、小さい店だが充分だ。何せプリンしか売る物が今のところないからな
金貨60枚のところを42枚でいいと言われ、こんな大きな物でも3割引が効いた。売主は商人だったのか……後は下着店の店長の知り合いの大工に頼んで店を作ってもらうことにした。オープンは7日後にできるそうだ。ショーには間に合いそうだ。
ルティナも今後はカバンや洋服を作りたいらしいが、今のところ下着だけで精一杯だ。
ロクサーヌに下着の商品を検品してもらう事にして、俺はアーダとカシアのもとへ向かう事にする
ロクサーヌには
「先日、カシア様からエルフの外套を貸してもらえると言う事だったので、アーダとちょっと行ってくる」
「えっ」とロクサーヌが言うと、
俺は小声で
「ハルツ公爵がロクサーヌを狙ってる気がするから、あんまりロクサーヌを会わせたくないんだ。いやらしい目でロクサーヌを見られたくない」
と言うと、あっさりロクサーヌは顔を赤らめ頷いた。
2024.09.03改編