コンコン
「失礼します」
とアリシアが入ってくる
「何を見に行くのですか?」
外から聞こえたのだろう
ガイウスは急に小声で
「いえ、なんでもありません…」
俺に気がついたようだ
「あなたは、エマの主人になった者ではありませんか?今日は私に用があるとか」
「はい。実は女性物の高級下着を作りまして、今度下着のショーをする事になったのですが、皇后であらせられるアリシア様に招待状をどうやって送ったら良いのか分からず、献上しに参りました。」
「ほう。では、早速見せてもらえますか?」
ルティナはテーブルに幾つかの下着を出す
「え?!これは下着なのですか?」
セバスに他の部屋を貸してもらえるか聞いて、ルティナはフィッティングのため部屋を移動する。
「ミチオ殿すごいな。あのアリシアが早速つけてみたいと思うとは、さすがだな心の友よ」
ロクサーヌは不思議そうな顔で俺を見る
「それとお土産ですが、プリン屋もやろうと思っていましてプリンを持ってきました」
「プリンとは?」
「こちらになります」
6つほどプリンを出した。
「ほう。甘味か」
「セバスもいっしょに食べませんか?」
スプーンを持ってきてもらう
「ミチオは食べないのか?」
「いただきます」
「ここの従業員の方にも是非」
ガイウスも
「これはうまいな。サッパリしているし、甘さがしつこくない。いくらでも食べれそうだ。これを売るのか?」
「はい。7日後にオープンします」
「どこでやるのだ?」
「帝都で出すつもりです」
「なるほど…これは流行りそうだ。どうだセバス?ここでも出してみては?」
「はい、とても美味しゅうございます」
みんな初めて食べるプリンに興味が湧き黙々と食べている
「それにしてもミチオ殿は多才だな」
エステルが俺に聞いてくる。
「いえ、供のものが優秀なため助かっております」
アリシアが戻ってきた
「失礼します」
俺が聞く前にガイウスがアリシアに聞いている
「どうであったか?」
「お見せ出来ないのが残念ですわ。控えめに言ってヤバいです!ルティナさんが今持っているサイズが合う物は全ていただきましたわ」
ヤバいって翻訳おかしいな
俺の顔を見て、
「是非ショーに行かせてもらいますわ。それと、ルティナさんをもう少し借りても良いかしら?」
「え?どうかしましたか?」
「娘やお気に入りのメイドにも着せたいので、連れて行って良いですか?」
「私はついていけないのですが大丈夫ですか?」
「そうですね…待っているだけですし、男子禁制の所もたくさんあるし…」
「ルティナは冒険者なのでフィールドウォークを使えますよ」
「よかった」
アリシアは両手を叩いて喜んだ
「ガイ!」
「はい!」
「ちゃんとミチオ様にお金を払ってください。献上品を催促はできないから、私自身で買いに行きたいの。わかった?」
「はい、かしこまりました」
ガイウスは奥様からガイと呼ばれているのか。S気質強い奥様の方がお好みなのね
「ミチオ様とても楽しかったです。今日はありがとうございました」
「それと、こちらを。今度プリン屋もする事になりましたので、お嬢様と一緒にお召し上がりくださいませ。詳しい事はルティナに聞いていただければ」
「嬉しい。ありがとうございます」
とルティナを連れて退出する
ルティナ頑張れよ
「ミチオ殿はすごいな。アリシアがずっと笑っていたぞ」
ガイウスどんだけなんだよ
「それでは失礼します」
「食事を取っていかないのか?」
「今日は餃子パーティなのですみません」
「なんだ?そのギョーザパーティとは?」
ガイウスはロクサーヌに説明を求めるも
「私も初めて知りました。そうなのですか?ギョーザとはなんでしょうか?」
「ちょっと待ってくれ兄者」
「もしかして兄者が作るのか?」
「はいそうです」
「奴隷のために?」
「あんまりそういう認識ではありませんが、たまには私が作ります」
それにはエステルもかなり驚いている
「たまげたな…」
「では今度、そのギョーザパーティとやらに朕も呼んでくれ」
「かしこまりました」
エステルが声をかける
「ところでベイルの迷宮は進行しているか?」
「ベイルの迷宮も40階までは来ました。ここからは少し時間がかかりますが、これからだと思います」
「もうそこまで進んでいるとは…流石だな」
ガイウスは
「ベイルか……」
「はい。あそこは全然進んでいなかったので、ミチオ殿に依頼させてもらいました」
「マロル男爵から何か言われたら朕に報告するようにな。色々噂もあるし、拝眉して裁可を仰ぐこともないしな」
※顔を出して何かの許可を取ることもないという意味
「噂とは……?」
エステルとガイウスが顔を合わせる
ガイウスが頷くと
エステルが答える
「毎年何人かの奴隷を購入しているのだが、初年度奴隷として登録して、翌年には死亡報告書を出して税金を納めてないんだ。死亡原因は病気としか書いてないのだが、全部女子と言うことだからこちらとしても怪しく思っているが、証拠もなしに捕まえられないからな。ましてや貴族なのでそう簡単には……それに領地では盗賊が跋扈しているからな。こちらも帝国軍人を何名か派遣しているが、手は足りていない様子だ」
ガイウスが続けて言う
「マロル領レオール男爵の代わりにミチオがそこの領主になってもらえればと密かに思っていたのだが、マロルには内偵を進めて証拠が揃い次第と思ってはいた」
「私が男爵に?」
なんとなくは思っていたがそういうことだったのか……
ではもしかしたらリナは間一髪というところだったのかもしれない。
「男爵という肩書に興味ないかもしれないが、領民の為頼む」
と言ってガイウスは頭を下げた
すげーな…ガイウスは領民のために頭下げられるのか
「そこまで言われたら負けました。まずは迷宮の攻略ですね」
「ああ、そうしてくれ。尻尾を出してきたらエステルでも、ここのセバスでも構わない。連絡してくれ」
「かしこまりました。それではまた」
「ああ、またな兄者。あっ、お金払わないと怒られる!エステル、お金持ってるか?」
「えっ?どうして私がアリシア様の下着の支払いを?」
「今度で大丈夫です。急に来たので」
「いいや、それはアリシアに絶対怒られるから…エステル、お金出して。マキシム、お前でもいいぞ」
なんとか金貨5枚出てきた
「そんなには」
「いや、もらってくれ。何枚買ったか知らないからな。あんなに笑顔のアリシアを見たのも久しぶりだったので、よっぽど嬉しかったのだと思う。だからなっなっ」
とガイウスの必死さが伝わる。
「かしこまりました。いただきます」
俺は先にロクサーヌと下着屋に戻った
ニコルはウロウロしていたみたいで落ち着かない様子だ
「ただいま」
「あー、ミチオ様どうだった?ルティナは?」
「うまくいったと思うぞ?気に入って娘にもと言っていたから。それに代金も貰えた。直接見に行きたいからと言って」俺はみんなに金貨5枚を出した。
「ここの売上に入れてくれ」
「金貨5枚も」
「えっすごい!!」と言う声があちらこちらから聞こえてくる
「ベスタが作ってくれたプリンも喜んでいたぞ」
「ありがとうございます」
俺に小声でロクサーヌが聞いてくる
「なぜ皇帝陛下はご主人様の事を兄者と呼ぶのですか?」
「どう見てもご主人様が兄には見えませんが」
「からかっているだけだよ」
「そういう事ですか」
「それにしても、皇帝陛下に頭を下げてもらうとは…やはりご主人様は何かスゴイですね」
「いやあれは、頭を下げられたら断れないだろ。大人の戦略だよ」
「確かに皇帝陛下になるくらいですから、知略も戦略も優れているのですね。でも、リナは間一髪でしたね。もしマロルの下に行った事を想像すると怖いですね」
「ああ、それは俺も思った。でも本当によかった。」
「はい。それとギョーザとはなんでしょうか?」
「あっ、そうだな。それの仕込みでそろそろ帰らないとな。ロクサーヌも手伝ってくれるか?」
「もちろんです」
「私たちはそろそろ帰るが、みんなはどうする?」
「とりあえず帰りましょう」
という事で、みんな一緒に帰る
帰ると、ちょっと前にエマ達が帰ってきた様だ。
エマに広間で鉢合わせする。
「どうだった?」
「はい。申し分なかったと思いますが、1名は恐怖状態になったので、その者は多分、迷宮は無理かと…」
「そうか…もう大丈夫なのか?」
「はい、すぐに治りましたから」
「じゃあ風呂にでもみんなで入ってきたら?」
「ではそうさせてもらいます」
エマは振り返って
みんなに言う
「じゃあ装備を脱いだら風呂に行こう」
「よっしゃ」
と言ってみんな退出した。
俺は料理長のリタの下へ行く
「お待ちしておりました。材料は指示通り用意しておきました」
既に野菜は微塵切りにされ、小麦粉は混ぜて寝かせてある状態で肉もひき肉になっていた
「完璧じゃん」
俺は調味料を混ぜて10個ほど餃子を作ってみせた
「これはまた見事です。まるで小麦粉が折り紙のように」
俺は説明しながら餃子を焼いた
「音が変わったら蓋を開けて表面をカリッと焼くと、出来上がり」
手伝ってくれる者に一つずつあげた
「これは美味しい。挽肉とは思えないですね」
「うんうん」
「これを300個ほど作ってほしい」
「300ですか?」
「30人いるからな。それくらい食べると思うよ?」
「米があれば最高なんだけどな」
「米というのはどんなものですか?」とリタが聞いてくるので、詳しく説明した。
「エディング様の所で見たことあります」
とリタが答えると俺はリタの両肩を持って
「見たことあるのか?」
「はい。ミートグラタンといっしょに食べたりしてます」
「申し訳ないアーダ。お父さんの所に行って買ってきてくれないか?」
「はい!どれくらい必要ですか?」
「10キロくらいあれば」
「10キロ?」
俺は興奮のあまり、キロなどと言ってしまった。
この袋一杯くらいにと近くにあった大きめの袋を出して渡した
「急いでな」
「はい」と言ってアーダはフィールドウォークで出かけていった。
「じゃ、みんなはこれをつくってくれるか?焼くのは最後に焼こう」
「打粉はあるか?それを敷いておいてくれ」
「かしこまりました」
「俺はその間にポーションを見てくる」
「はい」
俺は裏庭のポーション作りの小屋を訪れた。
エミリーが一人で作業していた
「ご主人様おかえりなさいませ」
「一人で大変ではないか?」
「一人では鍋を台車に載せられないのでベスタさんがいると助かります。後の作業は一人でも全然問題ないです」
「そうか、何か考えよう」
「ではご主人様、仕上げをお願いします」
「ああ、ベスタを呼んできてくれるか?」
「かしこまりました」
と言うとベスタを呼びに行った
俺は仕上げの味と色と匂いをスキルで変化させる
ベスタを連れてきた時にはもう出来上がっている
「ご主人様入ります」とエミリーが入ってきた
ベスタとテアも連れてきた。
「これを氷室に持っていってくれるか?」
「はいかしこまりました」
俺は戻ってくると、アーダがちょうど帰ってきた
「お待たせしました」
リタに米の炊き方を教える
リタは料理を覚えるのは早く、すぐに実践できた
30分もすると全部出来上がって、食事の準備もできた
「いただきます」
俺の隣にはロクサーヌがいる
「これがギョーザですね。美味しそうです」
ロクサーヌは醤油と酢を混ぜたものをつけると一口で食べた。
「美味しいです。何個でも食べられそうです」
「でも作るのは大変ですね。特に皮で包むのが難しかったです」
ルティナもなんとか食事までには戻ってこられたらしく、ニコルとその話で盛り上がっている
あちこちで「美味しい」の声が聞こえる
「お米もギョーザとの相性がいいですね」
ニコルは「これならギョーザ屋もできそうですね」と笑いながら言う
フィーネも「これ美味しい」
今日はすれ違いで全く会えなかったが、今日何をしていたんだろう?隣にはセリーがいて、美味しそうに食べている
セリーはいろんなことに興味があるからな、
リナの事は明後日まで黙っておこう。
ミリアは「ベスタちゃん、これ美味しいね」
「はい美味しいです」
エマは既にエールと一緒に食べている。
「これ、エールともすごく合うな」
俺も餃子とライスの組み合わせは、最高だ……
思いがけず米に出会えて、腹一杯食べてしまった
ご満悦だな
この後は……
2024.09.03改編