クロエは荷台の柵に足をかけて、そのまま外にジャンプした。
荷台にいた2人は、最初暗くてなにが起きたのかわからなかった
「へっ?」
「あのアマ…止まれ!捕まえてくる!」
その瞬間にエマが馬の尻に向かって小石を投げた
「バシッ」と石が当たると馬は前足を上げて、スピードをあげる
「バカ!スピードを上げるんじゃなくて、止まるんだよ!」
「いや、止まれない!!」
「こんな真夜中に、魔物が出る森で武器もなかったら生きては帰れないから大丈夫だって。面倒が減ってよかったじゃねえか」
「俺はこんなちんちくりんじゃなくて、ああいう肉付きのいい女の方が好みだったのに……こんなことなら馬車の中でやっちまえばよかったぜ……」
「ちげえねェ、今から追いかけるか?朝までに帰れんぞ」
「チッ」馬車はそのまま進んでいくことにした
クロエは飛び降りると、着地後1回転して怪我もなく森に逃げ込み、木の影から馬車が止まるかどうかを確認していた。
馬車は止まらずにそのままその場を去っていったが、真っ暗の中、どうしたらいいのか急に不安になった
涙が止まらない
「ウッ……ウッ……」
すぐさまエマがクロエの元にやってきて、
「よくやったな、怖かっただろう」
と言って抱きしめた。しばらくするとジョゼも現れた
「申し訳ないが、奴らのアジトまでは追跡する、大丈夫か?」
「もちろんです。セリーさんも助けてください」
クロエはエマの後ろに乗ると、奴らの馬車を追いかけていった
(どうだエマ、うまく行ったか?)
(はい、無事にクロエは確保しました。そのまま奴らを尾行します)
(わかった。何かあったら連絡してくれ」
(了解です)
ミリアに連絡を入れる
(どうだ?ミリア)
「うぁっ!!ビックリした」
(心の中で思うだけでいいぞ)
(はい、既に宿屋に戻っています。みんな別行動で、各々違う宿に泊まっているみたいです。ご主人様に言われた人物をつけています。宿はスレビィ亭と言う安い宿のようです)
(見張っていてくれ。後で誰か送る。朝になったら行動するはずだ)
(ルティナ、火事はどうだ?)
(鎮火しましたが、騎士団がやってきて今事情を聞かれて、周りの死体についても聞かれています。多分、もう少しかかると思います)
(ベスタ、大家さんはどうだ?)
(ご主人様、やはりおじさんは暴行を受けたようです…ですが、おじさんは謝ってます。住んでいる家を話してしまって申し訳ないと言っています)
(それは仕方のない事ですと伝えてくれ。事情を騎士団の人に話してほしいんだが、家まで行けそうか?それと家はしっかり直しますと伝えてくれ)
(かしこまりました。大丈夫だと思います)
(では、ルティナと合流してくれ)
(はい)
「よし、みんな交代でこいつらを見張っていてくれるか?」
「かしこまりました」
戦闘チームもいるので大丈夫だろう
俺とロクサーヌで湖畔の館にワープで来た
照明は落ちている
1階の広間を見てみるがなんともないようだ。2階に上がってルシールの部屋まで音を立てないように行く
ルシールの部屋の前まで来てロクサーヌが中に入る
真っ暗な中ロクサーヌはルシールを起こす
「うぁっ!」
かなりビックリしているようだ。
俺も中に入る
「実は私達は今、現在進行形で襲撃を受けています。ここでは問題ないですか?」
「えっ?えっ……ええぇぇぇー!」
「はい。ここはなにも起きていません」
「ではみんなを起こして、戦闘部隊は装備してくれ」
「かしこまりました」
ルシールは寝巻き姿のまま次々と他の部屋の扉を叩く
「ワイオス作戦発動!」と言って次々と叩いて行く
ロクサーヌに聞く「ワイオス作戦…ってなに?」
「エマが教会の名前にちなんで、いろんな作戦名を付けてみんなに覚えるように言ってました。ワイオスは臨戦体制で全員集合と言う作戦名です」
「他にも色々あるのか?」
「全員独自に生き延びよ。とか、玉砕覚悟でご主人様を死守せよ。など、色々です」
「おっかないなぁ…」
「人数が多いですからね。敵に知られないように命令を実効させるのには有効です。私たちも広間に行きましょう」
僅か5分でみんなが集合した。
みんなが整列している前で、俺がみんなに言う
「先程の宴会場にて、セリーとクロエが拉致された。既にクロエは救出したが、セリーはまだ敵の手中にある。エマとジョゼで敵のアジトを捜索中である。それと、クーラタルの家が50名ほどの敵に襲撃を受けたが、我々でそれを撃破。既に沈静化に成功して捕虜も確保した。この湖畔の館も襲撃を受けているかと思ったが、敵もここの場所は把握できていなかったようだ。各自これから戦闘と、バックアップをしてもらいたい」
「はい」
ロクサーヌが指示して、ミリアのサポートで2名、ルティナのサポートで3名、食事の用意で5名、残りの者は洞窟に移動
とテキパキと分配した
洞窟に戻ると、ドワーフの二人に簡易牢屋の作成をしてもらい牢屋にぶち込む。
そうこうしていると、
ルティナとベスタが戻ってきた。
「交代の3名にお願いしてきました。」
「もう大丈夫だと思います」
ミリアも戻ってきた
「一旦戻ってきました。2人にお願いしてきました〜」
(エマ、そっちはどうだ?こちらの準備はできたぞ)
(先程、マロル近辺のべモール村に到着してアジトを発見しました)
と言うと、
ジョゼがフィールドウォークで帰ってきた。
「セリーが囚われているところを突き止めました、案内いたします。」
ジョゼに連れられ、戦闘メンバーみんなでべモール村に到着した。もちろんまだ夜明け前だ。セリーと連絡をする
(どうだ?中の様子を教えてくれ)
(ご主人様。誘拐されて来た者が私の他に2名います。私と同じように袋を被せられています。ずっと泣いているので会話はできていません。少なくとも1階には賊が8人はいると思います。2階には寝室もあるようで、人数は分かりません
誘拐されたのは2名しか分かりませんが他にもいるかもしれません)
ここでセリーとの交信が急遽終わる
セリーは急に話しかけられたのだ
「お前名前を言ってみろ」
「私はリナ」
「ほらな。ちゃんとリナだっただろ?」
お前が散々リナだって言っていただろ。これで間違えて誘拐したことは確定だな。(こいつら、本当に馬鹿だな)とセリーは思う
「なぁ兄貴、いいだろう?1匹くらい。俺もう我慢できねえよ」股間を押さえて話している。
「ダメに決まっているだろ」
「どうせすぐ壊しちまうんだから良いじゃんかー。一回くらい」
「お前が先にぶっ壊しちまったら、俺らは全員始末されるぞ」
うぉあ〜寒気するわ〜と心からセリーは思った
既に家の周りの包囲は完了した。ミリアが入り口に立っている見張りの額を矢で打ち抜いた
倒れる瞬間に縮地でエマがキャッチする。
エマが突入しますか?と目で合図しているので
「マススリープ」の呪文をかけると
「あっ」
家の中でバタバタと崩れ落ちる音がする。
「ここが良いところなのに……なんで呪文で終わらせちゃうんだよ、突入って言いたかったのに」とエマが残念そうに言う
「いやだって、他の誘拐されて来た人だって騒がれたら厄介だろ」
8名全員がスリープにかかり寝ている。ついでにセリーも寝ている。
盗賊の集団8名を「タイ」の呪文で結び上げる
セリーの袋を開けセリーを起こす
「大丈夫だったか?」
「あん…ご主人様ぁ、怖かったですぅ…」酔っ払っていない状態で初めてデレている。
2階から
「ごちゃごちゃなにしてんだ!!」
と大男が階段を降りてくる
「ハッ」
俺はセリーに弓と矢を渡した。
すぐさまセリーは弓を構えた
「賞金首だ」とエマが言うと縮地で階段を降りてくる。目の前に飛ぶとショートソードで腹を刺した。ちょっとうずくまったところで矢をヘッドショットを入れて早々と決着が付いた。
「セリーすごいな」弓の実力が更に上がっている。
ドヤ顔をしているセリーだが、
「下着が丸見えなんだけど……」
「え?」
さっきバックルを使ってナイフを作ったからズルズルとショートパンツが落ちてしまったようだ
恥ずかしそうに落ちたショートパンツを持ち上げている
「もう」
「なんだ……全員集める必要もなかったな」
「2階を捜索しよう」
2階に上がると奴の出てきた部屋には女が泣いていた
裸で相当乱暴されたのだろう。顔が相当腫れあがって、体には無数の殴打された後がある
エマはシーツに包み「癒し」の呪文を唱える
「もう大丈夫」女は泣いているだけだった
他の部屋は誰もおらず紙に書かれた指示書だろうか?テーブルに散乱している
セリーがそのうちの何枚かを拾い上げ持っていく
「いくつかの書類にレオールの署名があります。持っていきましょう」
「とりあえず接収して帰ろう」
捕まえた奴らは目隠しをして、猿ぐつわもした
捕まえた奴らも全員ベイル近くの洞窟にワープで連れてきた
帰ってくると全員の拍手で迎えられる
「へっ?なに?」
ジョゼが
「完勝ですね」
「いや、やられたらやり返す。それが俺だから」
「はい」ロクサーヌが特に強く返事している
まずはセリーには帰ってきてすぐに申し訳ないが
採掘マスターにして、地下牢を作ってもらうことにする
ドワーフのマノンとアドラにも手伝ってもらい、早急に独房の牢屋を作る
全部で18名の捕虜を取った
牢屋を作っている間に、俺はロクサーヌとロッジに向かう
まだ明け方だが、ロッジは24時間営業なので迎えてくれた。
流石にセバスチャンは出てこなかったが、他の従者が対応してくれる
「ミチオ様いらっしゃいませ」
「大変申し訳ないが、エステル殿、ガイウス殿、ブルーノ殿、セバスチャン殿に至急会いたいのだが、どうすればいい?」
「はい、セバスチャンは直ぐに呼べますが他の方々は正午過ぎになってしまうかもしれません」
「では、セバスチャン殿だけでも頼む」
「はいかしこまりました、少々お掛けになってお持ちください」
着席して2人で待っていると
ロクサーヌが
「ほとんど寝てらっしゃらないし、お疲れではありませんか?ご主人様…」
「まぁ…これくらいどうってことないよ」
「少しだけでも……」と言ってロクサーヌは膝枕をしてくれる
5分くらいでセバスチャンが来た。本当に直ぐこれるんだな。俺は直ぐに膝枕から飛び起きた
「申し訳ありません。いかがなさいましたか?」
「実は我々の家が襲撃を受けた。それとはまた別にセリーが拉致された。黒幕はどうやらマロル領領主レオールのようだ。いま、色々と証拠を集めている。」
「かしこまりました。それは一大事です」
「セリーが拉致されたアジトにこの書類があり、レオールの署名があります」
「拝見させてもらいます」と言ってセバスチャンは書類を受け取る
「確かに、関与しているのは間違いなさそうですが、これだけでは言い逃れできそうですね」
「はい。なので襲撃してきた者を捕らえました。これから自白してもらおうと思っています」
「かしこまりました。では正午にもう一度ここに来てもらってもいいですか?」
「ああ、頼む」
俺たちは洞窟に戻ると、ミリアにそろそろ奴らも動き出すかもしれないので、宿屋の前で待機してくれとお願いした。
「はい!」
エマからESPリングをもらうと、ミリアに渡した。
「動きがあったら連絡してくれ」
「はい」
ミリアの代わりに行ってくれた冒険者を呼び、また連れて行ってもらった
セリーの所に行くと、既にかなり掘り進んでおり、すごい地下室が出来上がっていた。立派な地下牢が既にいくつか出来上がっており、手枷と足枷も作ってあった
「もうちょっとかかりますね」
「帰ってきて早々悪いな」
「じっとご主人様が来るのを待っているだけでしたから大丈夫です」
ルティナが
「いよいよ尋問ですね。真実を言わないと苦痛を与える呪文がありましたね、あれを使いますか?」
「いや…あれは一人なら有効だが、これだけいると返って逆効果だなぁ。」
「じゃあどうしますか?私たちは尋問したことないですが……」
「いい方法があるからなんとかなるんじゃないかな」
囚人を広間に集めると、俺は俺の顔が見えなくなる様に板にコンテイニュアルライトをかけて俺はその後ろに立つ
囚人の目隠しと猿ぐつわを外す
彼等は久しぶりの光で全くこちらが見えていない様だ
「ヴォーカルオルタレーション」と言う呪文を唱えた
音声を変える呪文だ。ここはボイスチェンジャーみたいな機械的な声にしてみた所、効果覿面であった。彼等も聞いたことない音声でめちゃくちゃビビっている
「お前達は手を出してはいけないものに手を出し、見てはいけない物を見てしまった。全員処刑にするつもりだ。ここは入口も出口もない洞窟だ。ここの地底深くに牢屋がある。ここで屍になってもらう。だがしかし、この中から9名だけ我々に有力な情報を提供してくれた者は、ここで見聞きした事を忘れる事を条件に解放してやろう」
「そんな手に引っかかるか!」
と食ってかかる者もいた
「別にお前に話して欲しいとは言ってない。他の者が言えばいい事だ。ただし、情報には鮮度がある。より重要だと思う事を話さないと、話してもここで死んでもらう。以上だ」
囚人達は殴られながらまた目隠しと、猿ぐつわをされて大きな牢屋に叩き込まれた。
ロクサーヌが
「ご主人様があんな声になってしまったのかと心配しました」
「迫力あるだろ?」
「悪魔の様な声ですね」
「初めて聞いた人はそう思うだろうな」
ルティナが
「あれで効果あるのですか?」
「あいつらは基本ワルだからな。お互いをそんなに信じてはいないよ」
戦闘メンバーと2軍戦闘メンバー以外は湖畔の館に送り届け、通常通りの事をしてもらうことにした。
やはり、長時間閉鎖的で湿度もある洞窟にいると色々思い出してしまう者もいるらしく、かわいそうだと思って返した。湖畔の館で食事の用意をしてもらうことにした
そうこうしていると、ミリアから連絡が入った
2024.09.10改編