仕方ない。知らんぷりはできないからな
「皇帝陛下からの招集が来たので行ってくる」
ロクサーヌとエマはついていくと言う事だったので、
2人を連れていくことにした。
セバスチャンが迎えてくれる。
「ミチオ様、ロクサーヌ様、エマ様お待ちしておりました。ガイウス様が上の階でお待ちになっております」
部屋に到着すると、カルロスと、マキシムが部屋の前で待っていた
「ミチオ様お待ちしておりました」
そんなに時間経ってないだろ?と思ったが2人も一緒に部屋に入る。
「ミチオ様が到着しました」
「ミチオ殿待っていたぞ、そこに座ってくれ」
ガイウスが挨拶してくる
中にはさらに、ブルーノ伯爵とエステル男爵もいる
俺は言われた席に座る。ロクサーヌとエマは俺の後ろに立っている
「遅い時間にすまんなミチオ……悪い話ととっても悪い話がある……どちらから話そうか…」
いい話で……と言うことはできないのか……
「では悪い話から……」
「実はレオールが獄中で自殺した。他の貴族2名も同様に自殺した……が、我々は殺されたと思っている。自殺に見せかけた殺しだと思っている」
「殺された?」
「ああ…しかも、ローレルは行方不明だ。脱獄したのか、連れて行かれたのかわからない。捜索中だ」
ロクサーヌが小声で他の誰にも聞こえないほどの小さな声で
「だから私たちで殺してしまえば……」
ロクサーヌは大きな声で言わないように小刻みに震えて怒りを抑えていた。エマがそのロクサーヌの肩に手をかける
「悪い話というのはそういうことですか?」
「そうだ。ミチオ殿も狙われる可能性もあるので、気をつけてくれ」
ロクサーヌは我慢できずに口を出してしまう。
「それならそいつを捕まえるまでです。絶対にミチオ様に手をかけさせません」
「ああ。ロクサーヌ殿、ミチオ殿を頼む」とガイウスが言う
「で、とっても悪い話とは……」エマが俺よりも先に聞いてしまう。エマは先にとっても悪い話が聴きたかったようだ。
エマ、相手は皇帝だそ?!
「それなのだが、これは私たちも関係するのだが、隣国ブルガ王国にマロル領は隣接しているのだが、何年かに一度国境のナバ平原まで出兵してくる。今まで互いに睨み合って戦闘になった事がないのだが、このタイミングでくるとは……」
「戦闘になった事がない?」
「小競り合いはなったことはあるのだが、せいぜい2,30人が小競り合いして終わりと言う感じだ」
「レオールが抑えているのかと思っていたが、多分だがそこのモンベルト領のパブロも接待していたのだろう……
先代は武人だったからな、その都度出兵していたが、レオールになってから全くないとは聞いていたが、レオールが捕まって自分の接待も記録されているとしたら、自国を裏切っていたことになるからな。証拠ごと燃やす気でくるかもしれない」
「…………全く……」
「パブロのせがれも今年元服しているはずだから、勝利を目指してくるかもしれない」
エマが聞いてくる
「敵はどれくらいの規模で?」
「報告では4000ほどと聞いているが、我々はマロル、ベイルの兵隊はほとんどおらず、100ぐらいで、帝国でも都合つけられるのがマキシムの直参騎士1000ほどだ」
「3倍以上か……しかも相手は魔物ではなく人、ミチオ殿大丈夫か?」
「大丈夫も何も…まだ俺の領土になったわけでもないのに……」
「いや、そのつもりで当たってほしいのだが……」
「領土を手に入れる前に攻め込まれるのか……で、パブロはどれくらいでナバ平原に?」
「明後日にはナバ平原に陣を敷くだろう」
「忙しいのに……」
エマは
「これはやるしかないようですな。でしたら、ベイル在住のマルティナの騎士団、宮廷魔術師パルパも召喚していただけないだろうか?」
「それくらいなら問題なかろう」とカルロスと顔を見合わせる
マキシムも
「私の騎士団は最強と言われていますから、3倍くらいどうってことないですよ。すでに我々はナバ平原に向かっていますので、明日には到着します」
お前それやられてしまうフラグだろ?
「相手の兵隊にだって家族はいるだろう。なんとか兵隊を失わずに勝てないものか……」
ガイウスが言う
「もう勝って相手の心配までしているのか?兄者さすがだな、ハッハッハ」
「パブロの所に集まっている兵士はごろつきに鎧を着せた感じだから気しなくてもいいぞ?本国の正規軍ともなれば違うとは思うが……」
エマも続ける
「ミチオ様がしなければ、マロルやベイルの民間人が略奪と陵辱を受けるだけとなり、また戦災孤児が生まれます。兵隊になるということはやられる覚悟もあると言うことですから」
「勝たなくてもいい。睨み合いだけで終わっても、こちらの勝ちと思っていて大丈夫だ」とガイウスが目標を下げてくる
「かしこまりました。マキシム殿と共闘でやれるところまでやらせていただきます」
「よく言った」
ローレルの件は俺にはどうしようもないので、
マキシムに周辺の詳しい地図をもらいその日はロッジを後にした
帰ってきて、今回の話をみんなにした。
みんなはほとんど冒険者だから、反対するものはもちろんいない。非戦闘員も戦闘員として使うかと聞かれたので、いや、なんとか戦闘員だけでなんとかしようと思うと言ったら「戦闘経験がある全員で対処すべし!!」と言うのが大半だった。
ルティナとベスタは出店の方を頑張ってもらおうかと思ったが、
「もちろん私たちも戦闘に参加します!!」と言うことで商売どころじゃないご様子。
みんなはこの話を聞いて、もっと沈むかと思ったらハイテンションになっている。全く参るわ…
夜もこのテンションで高揚しているのか、パーティのメンバーは俺を求めてきた。
もちろんそれにはお応えしないとな
みんなの炎を鎮めるのには時間と体力がいる
俺は気がついたらロクサーヌの腕の中で寝ていたらしい。とても深く、ぐっすりと眠れたようだ。
朝はロクサーヌが口づけで起こしてくれた。
「みんなは?」
俺が起きるとすでにロクサーヌしかいなかった。
「他の者は明日の準備をしています」
「そうか……もうみんなは……」と俺はまだ寝ぼけているようだ
下の広間に行くと、朝食前なのにすでに賑やかになっていた。珍しくフィーネが一番初めに声を掛けてきた。
「ミチオ様、おはようございます。昨日の件で新しい武器を作りました」
と一本の矢を持ってきた。
「??矢??」
「これは反重力魔法がかかっている矢です!!」
「??どういうこと?」
「持ってみてください」
と矢を渡された。すごく重い矢で500g近くあって普通の矢の10倍以上になる
「この重い矢は反重力魔法がかかっているので、初速を維持したまま何かにぶつかるまで、飛び続けます。どういうことかわかりますか?」
「えっ…えー!!」俺は思わず叫んでしまった。
ロクサーヌは全くわからないようだ
「???ご主人様どういうことですか?」
「この1本の矢で戦争を終わらす事ができるという事だよ」
「全くわかりません。もうちょっと分かりやすくお願いします」
「フィーネ、すごいアイディアだ。何本作れる?」
「今日までに10本は作れると思います」
「是非頼む。なるべくなら被害は最小限にしたい」
「はい」
「この1本は貰っていっていいか?」
「はい試してみてください」
「それはそんなにすごいのですか?!当たらなければ同じでは?」
とロクサーヌがビックリしている
避けられるはロクサーヌだけだよ
いつものテーブルの席に着くと、エマが作戦を伝える
「そんなにうまく行くものか?」
「相手は絶対勝てると思っていますからね。間違いなくかかります」
「初歩的な質問をしていいか?フィールドウォークがあるのになぜ行軍するんだ?」
「馬を連れていくにはフィールドウォークが使えません。平原で戦う場合どうしても機動力が欲しいので、馬が欲しいのと、平原の場合壁がないのでフィールドウォークが使いにくいと言うのもあります。」
「一気にマロルまで来てしまえばいいのではないか?」
「ブルガ王国と帝国の同盟国ではないので、フィールドウォークは使えませんし、国境は直接渡らないといけないです。ですが、我々にはワープがあります。なのでクロエとキーカ、ロクサーヌ、ミリアで敵の城モンベルトまで行ってきてもらいたいのです」
「どういう事?」
ミチオの耳元でエマが話す
「………………」
「ええ!!そんなことするの?!」
「大丈夫です。ミチオ様の顔はバレてないですから捕まることはありません。帰ってきたらナバ平原で会いましょう」
「ところで、何でマルティナとパルパを呼んだんだ?」
とエマは俺に質問してきた。
「ああいう輩は自分の命がかかると頑張るタイプだから」
「それは随分災難だな」
「パルパはマキシムがフィールドウォークで連れてくるだろうし、マルティナは嫌々今頃ベイルを出発していると思います」
「マルティナの兵力は?」
「いても30ぐらいじゃないですかね?必死に集めていると思いますよ?」
「パルパは……」
「いるわけないでしょ。あんなむさ苦しいジジイに命かけるやつなんて」
「敵の情報は?」
「敵の数は4000ぐらいかな。パブロ本人も来ていると思います。それと最近元服したバディと3つ年上の兄ジョルディもいるはずです。それとアンドレス将軍もいるでしょう」
「アンドレスというのは強いのか?」
「ええ強いですよ。竜人族でベスタよりも大きいですから。でも大丈夫です。首と胴体が離れれば死にますから」
と笑顔でエマが答える。
「まぁ後は烏合の衆です。形だけのつもりで戦場にきてます」
「我々も形だけで終わらせるつもりなのだが……」
「もしかしたら……っていうのがあるかもしれないから準備をしているんですよ」
そうか、エマも色々考えてくれているんだと目を外に移すと、ニコルが外で何かをしている
「あれ?外でニコルは何をしているんだ?」
「絵を描いています。近くから見たら分かりますが、遠くから見たら、兵隊が3000ぐらいいるように描いてもらっています。そしたら相手もそうそう近づかないかなと思いまして」
10本の絵筆を魔法で動かしている姿を見ると、まるでプリンターのようだ
朝ごはんは、リタが肉野菜うどんを作ってくれた。
「うめえ〜!」
重くもなく、しっかり食べられる朝食を用意してくれた。
リタがやってきて「今日は昨日ミリアさんがとってきた魚を食べられないかもしれないので、オニギリをひまりちゃんたちと一緒にみんなで100個作りました。二つずつ持っていってください」
と葉っぱに包まれたおにぎりを渡された。
「ありがとう」
「今日はリタを俺のパーティに入れておこう」
「はい」
ロクサーヌは戦闘前にウズウズしているようだ。
「まだなにも始まっていないよ」
「はい、そうなんですが……」
ジョゼが話しかけてくる
「こんな時になんですが、以前お話ししたオーモルの魔物の件なのですがどうしますか?」
「ああ、その件ね」
「ギルドにて斥候を出したところ、狼のようです。しかも100頭ほどの群れらしいので、たぶん強力なボスがいると思います。もしかしたらダイヤウルフかもしれません。この件はいかがしましょうか?」
「ギルドで受けるとこの件はいくらぐらいの報酬で受けるの?」
「25万ナールぐらいでしょうか?」
「じゃあ15万ナールくらいで受けたらどうだろう。もしくは15万相当を現物交換で」
「それは喜びますね。ではそのように伝えます」
「そのかわり、1、2週間猶予をもらってくれ。なるべく早く取り掛かるから」
「はい」
今度は狼退治か……確かに今はそれどころじゃないが、こちらも困っている人がいるからな……放っておけないし、卵の供給を止められると、プリンの出荷にも影響が出るからな。
すでにオーモルの村では我々がプリンで大量の卵を必要としていることを伝えて、鶏をたくさん飼ってもらっている。
なのに、こちらは何もしないというわけにはいかないしな
クロエはモンベルトに来た事があるので
クロエとキーカ、ロクサーヌ、ミリアの4人でモンベルト領のモンベルトにフィールドウォークでクロエに連れていってもらった。
到着すると、そこはモンベルトの冒険者ギルドだった。
みんながこちらを見る。いかにも冒険者の方達の視線を感じる。
2024.09.14改編