「ご主人様はすでにセカンドジョブをお持ちなのですか?」
「ああ持ってるよ」
「だからいろんな事ができるのですね」
「エマ、先にレティシアのところに食事持って行ってくれるか?」
「はい。リタとクロエで共に行きます」
俺たちは、教皇の教会の前までワープで行った
例の小さい扉を叩くと、中から僧侶が現れ、挨拶する
もう何回も来てその度すごいお金を置いていくからな。 彼らからしたら、大口のお客様というところか……
だんだん丁寧な口調になっているのがわかる。
「少々お待ちくださいませ」
しばらくすると先程の僧侶が教皇の執務室に案内する。
「これはミチオ様よくおいでくださいました」
「教皇様、いつも突然押しかけて申し訳ありません。実は、入魂の儀を行ってほしいと思い、参りました」
「それはそれは」
教皇は俺の近くに来て聞く
「申し訳ないのですが、また同じ金額を寄付していただけないだろうか」と小声で言う。
「ああ、それはもちろんです」
教皇はそれを聞くと安堵した様子で笑顔になる
「では早速」
と言うと、3人は唖然とした表情で教皇を見ている。術中の光のベールはみんな見惚れていた。
「終わりました」
「いつもありがとうございます」
アイテムボックスから210枚の金貨を出し
「お納めください」
と言って教皇の前のテーブルに置く。
「ありがとうございました」
「転職もしますか?」と聞かれたが例によって、
「ちょっと考えたいので大丈夫です」
と答えた。
「ではみんな帰りましょう」と言うと、4人は立ち上がった。
「また何かありましたらお願いします」と言うと俺は教皇の執務室から出た。
見送りの僧侶が教会の外まで案内すると、俺たちは湖畔の館に戻った。
「全然意味わからなかったのですが……あれだけでなにが起こったのですか?」
ニコルも
「現金で210万ナール出してまでする価値があるのですか?」
「ああ、もちろん。ニコルは豪商とアルチザンでいいか?フィーネは算術士と学者でいいのかな?」
「えっ?!はい」
「アーダは冒険者と商人」
と勝手に変えてしまう。
「で、さっきの80枚の金貨を預けておくね。帳簿?って言うのかな。しっかりつけておいてね」
「えっ?!あっ、はい」
「これでなっているんですか?」とフィーネが言うが
ニコルは
「なってる…」
自分のつけている銀製品を変形させている。
ニコルは感激している
「ミチオ様すごい!!チューしてあげる」
ニコルは抱きついてほっぺにチューするが、なんだか外でされると恥ずかしいです。
「じゃ、じゃあアーダ頼むね。後2人をルティナの所へ連れていって。俺とロクサーヌはレティシアの所に行ってくる」
「はい、かしこまりました」
と言うと、俺とロクサーヌはレティシアが捕らえられている洞窟へと向かった。
取り調べ室で食事を取っているようだったので、俺とロクサーヌもそちらへと向かう。
トントン
「はい」とエマの声が聞こえる
俺は中に入ると、レティシアに礼をする
4人はちょうど食事が終わったようだ。
「毎日このようなおいしいものを食べているのですか?」
エマが答える
「ああ、ミチオ様から従者だけでなく、奴隷も皆同じ食事を同じテーブルで取っている」
「すごい事ですね」と付添の者が小声で言う
俺は着席すると、
「それで…本当にみんな、あなたの号令で引越しを承諾するのかな?」
「私たちも色々考えてみました。農家の者はもう少しで収穫なので、もしかしたら残ると言うかもしれません。それと、鍛冶職人などは家を離れるなら、このまま残ると言う者もいるかもしれません。ですが、残っても全て取られてしまう事を考えると、移住してしまう方がいいとは思うのですが……ところで、言いづらいのですが……」
「なに?」
「ミチオ様はいつ来るんでしょうか?」
みんなで顔を見合わせる
「俺がミチオだが?」
「えっ??またご無体を」
エマが聞く
「では誰をミチオだと思っていた?」
「ほら、40歳くらいの騎士風の方で、エマさんが最初の会談で目配せを送っていた人です」
「ああ、それはマキシムだ。彼が陛下に報告するからな、うちのミチオ様はそういう面倒な事をしないからな」
と言うと俺のアゴをエマが持つと、エマは俺にキスをする
「まぁ」とレティシアが言う。
隣にいるロクサーヌはそれをみて、
俺はまたアゴを持たれ、ロクサーヌは俺の上に座って濃厚なキスをする
「なっ!彼がミチオ、いや、ミチオ様だ」
とエマが言う。
「これは失礼しました。大変お若いのでにわかには信じられなかっただけですので……」
ロクサーヌがレティシアを挑発した目で見る。
なんで?と思ったが、あとでエマに聞いたら、昨日の夜に俺が風呂に入っていちゃついていた時、腕に自信のあるレティシアはロクサーヌと模擬戦をしたらしい。もちろん圧勝でロクサーヌが勝ったらしいのだが……
ロクサーヌさん…俺の見てない所で何してるの?!
「わかっていただけただろうか?」
「はい、申し訳ないです」
「実は、フィーネが都市計画を考えているので、モンベルトの詳しい地図というのは手に入りますか?」
「はい。館にありますので誰かに取りに行かせましょう」
「それと、そちらのご要望をお聞きしたい」
「孤児院を立てていただけないでしょうか?」
「ああ、それは問題ない。さっき話していたが、収穫とはどれくらいの期間でできるものなのか?」
「うーん、1週間程で…」
「なるほど、引越しの日程は後ほどお伝えする」
レティシアが合図すると、1人が立ち上がる
「カーメラだ」
「私と彼女が地図を取りに行くのに同行させてもらうと共に、町に引越しの発表をしたいと思います。よろしいですか?」
「じゃあ今すぐ行こう。俺、今日はやることが盛りだくさんなんだよね」
「ちょっとキーカを連れてくる。ちょっと待っててくれ」
俺はここにきていたリタと共に湖畔の館に戻る
「キーカを連れてきてもらっていいか?」
「かしこまりました」
ちょっとすると
「ごしゅじーん、僕を呼んだかー!」
と言って両手を広げて走ってきた。
「キーカ、さっき髪の毛を伸ばしたけど、それって植物とかもできるのか?」
???
「できるよ」
「本当か?」
「うん」
「じゃあちょっとついてきてくれ!!」
「うんいいよ」
俺とキーカは再びワープで洞窟の牢屋に来た
「この子はダークエルフ!?ミチオ様の所はいろんな方がいるのですね。連れていくのですか?」
「ああ」
俺とエマ、ロクサーヌ、キーカ、それとレティシアとカーメラの6人でモンベルトの町にワープで行く。
城門の外にワープしてきた。
農道を通ると
「やはり、あとちょっとですね」
とレティシアが言う
農民がレティシアに挨拶する。次々に寄ってきては、今取れたものをレティシアに渡す。
それを嬉しそうに受け取る。
たしかにレティシアは民衆に愛されているのかもしれない。
「あとどれくらいで収穫なんだ?」
「あと2ヶ月…いや、1ヶ月と言うところですね」
「収穫を早める事ができそうなのだが…試してみるか?」
「えっ?」
「キーカ、1ヶ月分成長させてくれるか?」
「なかなか難しいこと言うな」
畦道を通り
「一回でできるのはこれくらいかな」
「…………グロースオブプラント」
と唱えると、周りの畑が一瞬光った。
レティシアと近くにいた農民はビックリしている。
「えっ…えっ!?」
同行していたカーメラも
「すごい、もう収穫できる……これ何回できるんだ?」
「10回くらいかな……」
「10回か……100回できないと全部収穫にはならないな」
俺はアイテムボックスからある物を取り出す
「ハイエーテル、リンゴ味」
「なに!?なにそれ!?」
とキーカの目が輝く
「MPの回復薬が10本あります」
「つまり?」
「100回できるはずです」
「それはすごい!!」と農民も驚いている。
「じゃあエマ、農民の皆さんとキーカで回ってきてもらえないか?」
「えっ、私?」
「あとでこちらから使いも出します」とレティシアも言う。
「キーカを1人にはできないだろう?」
「まぁそうだな……わかったわかった」
レティシアは農民に対して収穫を早めるように指示する。
「はい!これで問題一つクリアだな」
「そ、そうですね」レティシアは驚愕を隠せない
門まで来ると、門番がレティシアに気がつく。
敬礼をしている
門をくぐり街の中に入ると、みんなレティシアに気がつき次々に自分の売っている物を差し出して、「よかったら使ってください」と商品を差し出す。
レティシアも全部は受け取れないし、
「それは商品でしょう」と言って受け取らない
自分の家まで来ると、レティシアに気がついた門番が吊橋を下す。
「レティシア様」「レティシア様ご無事ですか?」
「はい、よくしてもらっているので大丈夫です。それよりも今から発表があるので民衆を広場に集めてもらえますか?」
「はい。かしこまりました」
「ではこちらに」
とレティシアは俺を書庫に連れていってくれる。
たくさんの本があり、その奥の横に大きな引き出しがついており、それを引くと細かく書かれた地図が入っている。
「ここら辺のはみんなそうなのでしょうか?」
「はい」
「全部持っていっても問題ないですか?あっ、できれば本もいただきたいのですが……」
「もう必要ありませんからどうぞ好きなだけ」
と言うと、俺は本棚に片っ端から「アイテム」の呪文をかけていく。
それをみんなアイテムボックスにしまっていく。
「えっ?」
次々に本棚が収納されていく
「さぁレティシア様、お気に入りの場所とかありますか?」
「え?はい」
一度外に出ると、
「あの離れに私の部屋があります」
ロクサーヌが
「可愛らしい所ですね」
と言うと
「植物園も兼ねています」
中に入ると
「いや、凄いなぁ…これ置いて引越しするには勿体ないのでは?」
「仕方ありません」
「あちらの本館には未練はないようですが、こちらはそうでもないようですね」
「はい、そうですね……」
「じゃあここも持っていっちゃいますか?」
「そんな事ができるのですか?」
「いや、いまはまだしない方がいいと思いますが、引っ越しの際には……」
「本当ですか?驚かされてばかりですね……さぁそろそろみんなに引越しのお願いに行きましょうか?」
他の騎士たちと一緒に広場に行くと、そこの広場の2階席から
みんなの前で堂々とレティシアは声を発する
「先日、私の父や兄達は突然他国に本国になにも言わずに侵攻しました。結果は惨敗です。今は父も兄達も他界しております。そして、皆さんが知らないうちに、ここは帝国領となりました」
聴衆はどよめく。「wooーー」と罵声も聞こえる
「でも、私は決断しました」
と言うと、みんなはシーンとなった
「ここにいても新しい支配者が来て、税という名で略奪のかぎりをする事でしょう。そして私もいらない貴族として捨てられるでしょう。
私の一番の宝物は皆さんです。
ここに帝国が駐留することになったらここが戦地になるだけとは皆さんは思いませんか?マロル領の領主はそれを望んでいません。
これから私はマロル領領主についていくつもりです。これは裏切りでしょうか?……私はずっと王国に裏切られ続けてきました。今ここは帝国領です。でしたら好きな所に引越ししてもなにも問題ないと思いませんか?」
男の1人が姫に聞いてくる
「マロル領主は略奪はしないのか?」
「皆さんは略奪されましたか?するのでしたら昨日からされていると思います」
みんながどよめく
「あと1ヶ月で収穫なんだが……」
「ならこの話が終わったら畑を見に行きなさい。ビックリしますよ」
「家を捨てて流浪の民になるのか?」
「私にはまるでわかりませんが、家ごと引っ越しできるそうです。なんの用意もしなくていいそうです」
「みんなか?みんな連れていくのか?」
「もちろんみんなについてきてほしい……私からの最初で最後のお願いです」とレティシアは言うと、頭を下げてお願いした。
「レティシア様、頭を下げないでくれ。俺はついていくよ。大変かもしれねえけど、レティシア様がついているならそれが俺にはそれが一番だ」
と言うとみんながどよめき拍手する
「もちろん無理強いはしません。ついてこない者もいるかもしれませんが、お願いです。この町からは離れてください、ここにいても不幸な未来しかないので……お願い……私も……みんなとずっとここにいたかったけど……王国はみんなを……今は私を信じて……」
レティシアは泣きながらもみんなに訴える
みんなは拍手で「泣くなーみんなついているぞ」
「私たちもついていくからーレティシア様幸せになってー」と女性からも声がかかる
「これから王国との交渉、安全のために今の私は囚われの身ですが心配しないでください。とても良くしてもらっています。このように自由にここにくることもできます。マロルの領主にみんなの命と生活を守ってもらう事になりました。また何か分かりましたらご連絡します。今日はありがとうございました。またお会いできる日を楽しみにしてます」
と言うと俺たちは、門の外にワープする
門の外に来ると、エマとキーカが走って寄ってくる。
「早かったですね」
「ごしゅじーん、このリンゴジュースすごいぞ!すごいうまいリンゴよりうまいぞ!うん?どういうことだ?りんごよりうまいリンゴジュースとは?……でも畑はまだ半分もできていないぞ」
「それはまた今度にしよう」
「リンゴジュースは?」
「また今度な」
「えーーーー」
「ちょっとずつ飲むからうまいんだぞ」
「はっ?そうなのか?」
「どうした女?なんで泣いてる?嬉しくて漏らしたか?」
「はい嬉しくて」
「変なやつだなーーあはははは」
「変ですね」と泣きながら、笑いながら答える
ワープで洞窟の牢屋に行く。
「じゃあもうしばらくここにいてもらってもいいか?」
「はい……」
「じゃあね」とキーカが手を振って湖畔の館へと戻る。
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2024.10.19改編