俺は気がつくとロクサーヌの胸の中で目覚める
「ご主人様、おはようございます」
と言って俺にキスをしてくれる
「おはよう。みんなは?」
「みんなはもうすでに朝食も取って出かけていると思います」
「ロクサーヌはずっと俺の横に?」
「はい。昨日はたくさんの人に要求をされてお疲れのご様子だったので、今日はゆっくり起床でもよろしいかと思いましたので……」
ロクサーヌよ…君がそう言ってくれる日を心から待っていたよ。俺は一日中ロクサーヌとしっぽりイチャイチャする日があってもいいとそういうわけだね
「さぁ!起きてレティシアの所に行きましょう!!」
「えっ?」
今日はロクサーヌとイチャイチャの日ではないのね
俺は重い腰を上げると
キッチンまで来てリタに声をかける
「レティシアの所に行ってくるよ」
「ここは大体終わったので、私もお供します」
「あれ?キーカは?」
「キーカさんはリナさんについていってますね」
「後は誰がここにいるの?」
「フィーネさんとセリーさんと、アドラさんとマノンさんですね。あと、テアもいます」
「あんまり見かけないけど、テアって普段なにしているの?」
「テアですか?呼びますか?」
「いや大丈夫だよ。なにしているのかなと思っただけだから」
「テアは雑務をしてます。広間や廊下の掃除を日が昇る前に始めてますね。朝食前に畑を借りているようで、そこで色々作っているみたいです」
「農夫になりたいと言っていたしな」
「その後みなさんと朝食をとった後は……普段はミアさん達と街に買い出しに行ってますね。重い荷物とかあるので……その後は、皆の尿や便、生ごみで堆肥を作ってますね。畑に使うそうです」
そうか……トイレか……あんまり気にしていなかったが、ここら辺には川もないから湖にそのままというわけにもいかない。テアが処理してくれていたんだと感心した
「その後は、ゴミの焼却や地下や離れの掃除もしてますね」
「テアの部屋は?」
「テアは部屋というよりも外に自分の小屋を建ててそこで寝泊まりしてます。初めはここにいたのですが、臭いとかみんなに迷惑かけるといけないからと言って外に小さな小屋を作ってそこで寝泊まりしてますね」
「気にしなくてもいいんじゃないと言ったのですが、一度決めたら言うこと聞かないので……やっぱり呼びますか?まだご主人様が代わってから挨拶していないのではないでしょうか?」
「どんな小屋が見てみたいので案内してくれるか?」
「もちろんです」
俺とロクサーヌとリタでその小屋に向かう
敷地内の雑木林の中奥にその小さな小屋があった
「これテアが建てたの?すごいね」
「1日で他の仕事をしながら、できるそうですよ」
あまり日が当たらない所だがこんな所でいいのだろうか?
「テア〜!!」
とリタが名前を大声で呼びながら小屋の入り口に行く
いないようなので、リタが中に入っていく
「いませんね」
俺はちょっと中を見せてもらった
中は質素かつ狭い天井もちょっと屈まないといけない
ベッドと机だけで、1.5畳ぐらいの大きさで、以前俺が買ってあげた服が飾られている
「あっご主人様」
後ろから声が聞こえる
「リタ!どうしてこんな所にご主人様を?恥ずかしいです…」
「俺が案内してもらったんだよ」
「ご主人様そうだったんですね。あ、ご主人様なかなかお会いする機会がなく挨拶が遅れました、この度テアのご主人様になっていただきありがとうございます。これからもよろしくお願いします」
「悪いな急に」
俺はあることに気がついた
彼女の失われている片方の腕は以前は押さえるための動かない腕であったが、普通に動く金属製の腕と代わっていた
「その腕……」
「あっフィーネ様とセリー様がテアの腕を作ってくれて……仕組みは難しくてわからないのですが、すごいんです、動くんです。字も書けたりします」
「あの服は着ないのか?」
「なんだか勿体無くて……いつ着ていいのか……テアは今まで2着しか持っていませんでしたから、いきなりもう2着ロクサーヌさんにも選んでもらって嬉しかったです」
「いえ、どういたしまして。でも洋服は着てあげないと!洋服は着てもらうのが仕事です」とロクサーヌが諭す
「はい……それでテアに何か御用でしょうか?」
「いや、小屋を建ててると聞いたのでちょっと見に来ただけだよ」
「はい。ここからの方が畑にも行きやすいので」
「そうか。いつもありがとうな」
「はい、ありがとうございます」
テアは元気よく嬉しそうに返事をしていた。
リタが
「最近ではリナちゃんと仲が良いようです」
「はいリナちゃんと話すことが多いです」
「よくしてやってくれよ?」
「はい」
と嬉しそうに答えた。
「今度畑も見せてくれるか?」
「はい、ご案内します」
「またな」
と言うと小屋から離れた
リタとキッチンに行き、朝食をワゴンにみんなの分入れて、洞窟の牢屋へとワープで移動する
取調室で俺とロクサーヌもみんなで朝食となった
今日の朝ごはんは
白飯とシャケっぽい焼き魚におひたしという和風な献立だ
レティシアを含む捕虜の4人も美味しそうに朝食を食べる
「とても美味しい朝食ですね。昨日の唐揚げというのも食べたことのない至高の一品でした。毎日このようなものを召し上がっているのでしょうか?」
レティシアの部下がそんなことある訳が無いとレティシア様を食事で我々を陥落させるつもりなだけだとか色々小声で言っているようだが……みんな聴こえていますよ?
「ご不満でしたらパンの方がよろしいか?」
「いえ、これも大変美味しいです」
「いや、用意していただいているこちらが【文句をつけて返させた】みたいになったら問題だからな」
と部下の1人が言う
レティシアは
「失礼ですよ。ミチオ様ありがとうございます」
引っ越しの日が決まった事などを伝えた。レティシアの生い立ちや部下の生い立ちなども聞きながら朝食を取った
どうやらレティシアの周りにいる女性の騎士たちは全て孤児のようだ。
孤児院で育っても、ろくな職に就けず、男性は冒険者や肉体労働者になるが、結果として女性は売春婦となるものが多いため、本人の希望があれはみんなレティシアが召し抱えていた。なので強くレティシアを守ろうと必死なことも理解できた。
「俺としては、もう引っ越しの当日まで一旦モンベルトにお返ししてもいいのだが……」
「えっ……そうなのですか?」
「ああ」
レティシアは答える
「いえ、私がモンベルトに帰れば、私の願いとは違う事を思っている人達がいるので……」
「でも、それはマロルに来ても同じではないですか?私たちの常設軍はマキシム麾下1000人しかいないのですから」
「それはそうなのですが……」
「今日は俺たちもやる事が盛り沢山なので、今日お返しはできないが、明日か明後日にはモンベルトに帰っていただき、宿泊の用意をしていただきたい」
「宿泊?」
「はい。人の移動は多分1日で終わるのですが、建物の移動は3、4日かかると思うので、その間その家に住んでいた者を屋敷に泊めてあげてもらえませんか?」
「それは大事ですね。その準備という事ですね」
「ああ、そのとおりだ。帰ってただ待っててくれではないな。それとこれからマロルに行かないか?見た事ないだろ」
「はい」
「まぁ2、3時間だけだが……領主の俺もほとんど知らないんだがな。就任してからすぐに攻め込まれたからな」
「……はい、ご同行させていただきます」
「ロクサーヌもそれでいいか?」
「私はご主人様が行きたい所についていくだけですから」
可愛いやつだな……
「じゃあ食事も終わったし、行こうか」
俺はリタを湖畔の館に一旦帰すと、レティシアのみを連れてマロルにワープで移動してきた。
誰がついていくか揉めていたらしいが、レティシアが護衛は、いりませんと言ったので、レティシア一人で行くこととなった。
マロルの冒険者ギルドにワープで移動する
俺のことを知っている奴がいないと言うことは、身バレもしないということ、ただ美女二人を連れていると目立つのはしょうがない。
マロルの町は湖と川がある。湖の方へと歩きながら話していく
「あそこが領主邸だよ。この街の反対側にモンベルトの町の人を連れてこようと思っている」
「綺麗な所ですね。モンベルトは山間の町だったので、新鮮です。あの館にはお住まいで?」
「いや住んでない。あの館は一旦建て直そうと思っている」
「そうなんですか?」
「うん、ちょっと悲しい事があったので…」
ロクサーヌも俯き加減でなにも話さない
……
「お店に入って休憩しませんか?」と俺は二人に言う
「ええ、そうですね」
近くの店に入った
朝食をとっている者も結構いる。
俺たちは食事は終わっているので飲み物だけにした。
周りの人が食事をとりながらおかみさんと話しているのが聞こえてくる
「新しい領主様っていうのはどんなお人なんだい?」
「いやー、私もみた事ないんだけど、若くてミチオ様と言うらしいよ」
「若いんだ。でもこないだの戦争にも勝ったらしいじゃないか」
「今までのような小競り合いではなかったらしいよ。相手を全滅させたらしいって……」
「だってよ、ここにはそんな兵隊いないだろうよ。そんなわけあるかい」
「その少ない兵隊が言ってたんだよ」
「へーー」
「で、そのまま隣の国のモンベルトまで進撃したらしいよ」
「へーーじゃあ国境が変わるのかい?」
「そうなんじゃないの?でもモンベルトの人が引っ越してくるらしいよ。人足と職人の募集しているみたいだから、ちょっとでも景気良くなるのかね〜」
「へーそうかい、じゃあ俺も働くかな」
「あんたが?」
「ああ、人がたりねぇって言うならな」
「はいはい。がんばってね」
「前の2代目はなにしてるか全くわからん奴だったからな」
「滅多な事言うもんじゃないよ」
「いや、その前の先代はいい領主だったがな。若いと心配はあるな」
「まぁ、まだなんも始まってないからね」
「ちげえねえ」
給仕のおかみさんは俺たちに話しかけてきた
「あなたたちも職人で来たのかい?」
「俺たちは観光で来たんです」
「そりゃ珍しいね。なんもない所だけど、最近新しい領主様になったんで、みんな期待してるんですよ」
「そうなんですね」
「でも貴方達、町の西側には立ち寄らない方がいいわよ」
「どうしてですか?」
「盗賊とか沢山いるらしいよ。この間も使っていない教会の地下に盗賊のアジトがあったらしいわよ……摘発されたみたいですけど、まだ沢山あるかもしれないので、気を付けてください」
……
「ありがとうございます」
この後もおかみさんとこの町について色々聞かせてもらった
2024.10.19改編