マロル
そこはペール湖のほとりにある町。人口は約2万人
オーモルの湖とは雰囲気が少し違う。オーモルは田舎であまり人がいないがマロルの湖は町があるので賑わっている
町の東側に領主の館が隆起した所にあり、すぐ横に砦が存在している。特筆すべきは砂浜があることだろうか
とは言っても、珊瑚があるわけがないので、白い砂浜ではなく、ただ砂が堆積しただけの砂浜であり、地元民が散歩する程度で、ビーチとはいかない。まぁ水着が存在するわけではないので、眼福にもならないが……
西側の丘の上は花畑だったのでとても綺麗だったが、今では盗賊が住み着いて寄りつかなくなってしまったようだ
漁業もあるが、この湖を南に下っていくと割とすぐに海まで行けるそうでクアール村が漁村になっている
北に行くと、セリーを助けたソレイミ村。その先にべモール村その先にベイルがある
西に行くとペルバ村があり、そこにも違う湖があるそうだが、湖は繋がってはいないらしい
更に西に行くとナバ平原がある。道はあるにはあるが、安全は保証されていない。国境の村ペルバは関所の砦もあるが、簡易的なものらしい
と、ほとんどおかみさんが教えてくれた。最後に浜辺を歩いて、帰ることにした。
危ない方に行ってみたかったが、2人を連れてそんな所に行ったら絡まれるのは必須。今回はぐるっと街を回って見ただけにした
レティシアは気分転換になったようで、感謝していた。
俺はレティシアを洞窟の牢屋に届けるとルティナの店に移動する
店の前に来ると、ジョゼが店の前にいた
「ご主人様、問題が発生しました」
「どうした?」
「100人の招待に対して300人来てしまったようです」
「どうして?」
「お嬢さんやお気に入りのメイドなどを連れてきたようです。席は120は用意していたのですが、予想を上回る来客でどうするか考えているようです」
「大変だね…3回に分ければいいんじゃないかな」
「えっ?……ではご主人様、裏口から入ってルティナさんに説明いただけますか?」
裏口に案内され中に入ると、ルティナが泣きそうな顔で俺にすがる
「ご主人様〜!助けてくださ〜い!」
「さっきジョゼに聞いたよ。沢山来たのなら分ければいいんじゃないかな?そんな訳にはいかないのかい?今からならルティナだったらできるんじゃないか?」
「ご主人様天才!そうか…1回にする必要はないんだ…こんな楽しい事が何回もできるなんて、そんなチャンス滅多にない!!」
会場はエアコンが利いていてとても涼しい
「文明の涼しさだ〜」
「ご主人様どうですか?」
フィーネが聞いてくる
「すごく涼しいな。うちにも欲しいな」
「そうですね…みんなとする時、すごい熱気になってしまいますもんね……」とフィーネは恥ずかしそうに言う
「そ、そうだな」
ルティナが
「3回に分けて客を入れましょう。今から100名ほど入れて5時からがメインで、足らなかったら3回目をその後にしましょう!」
とみんなに聞こえるように言う
ジョゼ達戦闘部隊の人が客の誘導をする。
中に入るとみんな不思議そうに
「こんなに涼しいなんて気持ちいいわ」
「本当ね、閉め切っているのに……どうしてかしら」
ジョゼから連絡があった
「問題が発生しました」
「どうした?」
「貴族の方がお菓子を直接ミチオ様にお渡ししたいと言っているのですがどうしますか?」
「なんで直接俺に?そもそもルティナと俺が繋がっているのを知っているのは僅かな人間だけだろ?」
エマが答える
「あっ、それは私がいるからです。あとそれ、ワイロです」
「ワイロ?なんで俺にワイロ?」
「ミチオ知らなかったのか?貴族からなんて言われているか?」
「いや、もちろん知らない」
「貴族殺し」
「はあぁぁぁぁ?」
「だってレオールの件で三人も貴族を殺しているんですよ?」
「俺が殺した訳じゃないよ」
「私たちはもちろん知っているけど、貴族達はそう思ってなくて、ちょっと影のある貴族はお友達になりたいんじゃないかな?フフフ」
エマがジョゼに言う
「私が行くよ。ミチオは今日ここに来ていない事になっているから」
エマがその貴族夫人に会いに行く
「え?ミチオ様ではないの?早く呼んできて」
そういうのはラーゲル男爵夫人
「これはお久しぶりです。今私はミチオ様の情婦としてお世話になっているのですが、こういう下着にミチオ様も興味ありまして、私もここを手伝っています」
「は?そうなの?」
「今日、ミチオはここにおりませんので、私がお預かりしてお渡ししておきます」
「いや、直接渡したいの……」
「ですからいないので、今回は遠慮してもらうしかないです」
「えっ?本当に渡してくれる?」
「お菓子なら」
「!!!」
エマはその包みを受け取る
「中身を拝見しても?」
「いいわよ」
包みを取ると確かにお菓子が入っている
でも、そんな重さではない。お菓子を持ち上げてみると
「あっ…」
金貨が下に引き詰められていた
「お金が……」
「…私は知らないわよ?」
するとエマが大きな声で
「ラーゲル男爵夫人から、孤児院建設のために多大な寄付をいただきました」
と言うと周りの貴婦人たちは
「素敵」「ラーゲル夫人すごいですわ」と拍手が湧く
ラーゲル夫人もこれには困った表情で顔をひくつかせている
「私も少しですが寄付したいのですが……」と後を絶たない。エマはラーゲル夫人に上のお菓子を取って
「これはミチオ様に渡しておきます」
と言ってジョゼに大量の金貨を渡した
ジョゼはとても慌てている
「エマさん、これどうするんですか?」
「みんなから寄付を集めてくれ」
「えっ?」ジョゼの前に貴婦人達の列が並んでいる
本当に寄付している人も、黄金色のお菓子を持ってきた人たちもジョゼに並んで進んでお金を寄付する
結果後で聞いたらこの寄付だけでも金貨600枚ほどいただいた。
みんなが舞台裏に集まると俺はある呪文をかけた
「スプレンダー」
エマが聞く
「なにしたの?」
「みんなの魅力を上げる呪文らしいけど……まぁ多分上がっているよ」
「たぶんって……」
そろそろ始まるようだ
フィーネの奏でる演奏から拍手と共にルティナがゴーサインを出すと次々にみんなは舞台に出る。帰ってくるとすぐさま着替えて違う下着に履き替える。およそ30種類の下着を発表した
みんなどれも素晴らしい出来で見る者を圧倒した
この世界の女性の下着はカボチャパンツかふんどしのようなものしかなかったから、衝撃的すぎるだろう
白いガーターベルトとストッキング姿のカシアには俺も目を奪われた
洋服にしかあしらわれない刺繍やレースが下着に使われ、その魅せる下着は女性達を虜にした。
「美しいわ…」と言う言葉とため息が出る者もいる
ショーの終わりにはルティナも出てきて一番の盛り上がりとなった
ルティナは貴族よりも、こういうショービジネスの方が向いているのではとさえ思う。
みんなの拍手と歓声がやまなかった。ルティナは終始ニコニコで下着ショーを終える
最後にエマが挨拶をする
「淑女の皆さま、お集まりいただきありがとうございます。少々時間は早かったですが楽しめましたでしょうか?
素敵な女性には素敵な下着が似合うと思いませんか?
皆さんもご存知でしょうが、私は昔から男勝りでした。そんな私でもこの勝負下着でセクシーに見えませんか?
この後2階でフィッティングしていただければ、今日見た下着は購入する事ができます。殺到しますと怪我の元となりますので、20人ずつお上がりください」
とエマが案内するとジョゼ達が案内する
待っている間にプリンと飲み物が振る舞われる
「これが噂のプリンね。これも購入できるのかしら?」
「はい、購入できますが日持ちしませんので、今日明日に食べられる分だけを購入してください」
「すごい美味しい」
「なんて甘いの…帝都では毎日このようなものを召し上がっているの?」
「そんなことはないわよ?私も初めて食べたわ」など貴婦人同士でも盛り上がっている
一巡すると、そろそろ5時に近づいてきた
エマとジョゼ達の誘導で2回目のショーの準備が始まる
エマはそのまま進行役をしている
2回目の主賓はもちろんアリシア皇后である
もちろん生意気なジゼルも来ている
「エマ、なんて格好しているの?ミチオとやらにやらされているのですか?」
「いいえジゼル様、私が進んでやっているのです。どうですかこの下着、セクシーじゃないですか?」
「そ、そうなのね。きれいよエマ。それにしてもここは涼しいわね」
「えあこんと言うのがついているそうです。是非楽しんでいってください」
アリシアはいろんな貴婦人から声をかけられ、人だかりができている
ショーが始まると、ニコル達の休憩になり控室にいる
「売れ行きはどうだった?」
「いやーほとんどの人が全種類買ってますね。ミチオ様が言っていた通り値段を通常の価格の1.5倍にしておいてよかったです」
「在庫はまだあるのか?」
「ずっと作ってきましたからね。まだまだありますよ」
2回目のショーも大変盛り上がった
終わったところでアリシアは立ち上がり拍手して絶賛した。
その声に合わせるようにみんなの拍手と歓喜が上がった
2回目のフィッティングが始まったアリシアを待たせるようになってしまったが、本人に確認したところ、プリンとジュースが美味しいから問題ないって。
もちろんアリシアにはエマがついているので問題は無いと思う。俺は出ていく事ができないので、みんなの報告を待つだけだ
2回目の貴婦人達のフィッティングが終わると、休む事なく3回目のお客様が入ってくる。
ジョゼがやって来た
「非常に言いづらいのですが、再び問題発生です…」
「どうした?」
次から次に……
「ご主人様お耳を」
「実はレイン伯爵夫人が来てます」
「は?なんで?」
「呼ばないわけにはいきませんが、来るとは思っていませんでした」
「それで?」
「とりあえずば落ち着いています」
「じゃあショーの間はジョゼが、ショーが終わったらエマが様子を見ておくように……」
「はい」
ロクサーヌが「何かありましたか?」
と言うので「いや、難しいお客さんが来ているそうだ。目を離さないようにと指示しただけだ」
「そうでしたか……いろんな方がいますからね。ご主人様も大変ですね。休憩して私の膝枕使いますか?」
ロクサーヌ…なんて可愛いやつだ。だが、ロクサーヌにレイン伯爵夫人が来ている事がバレたら殺しかねん。平静を保つためにもここは膝枕借りよう。
「ああ」
俺はロクサーヌの膝枕に横になる
レイン伯爵夫人はなにをしに来たのだろう……
目的はわからないがこちらから何かを仕掛けるのはまずいだろう。
それにしてもみんなよく働く
3回目のショーがまもなく始まる。モデルのみんなも準備は万全のようだ。俺は袖口でロクサーヌの膝枕でそれを眺めているだけだ
フィーネの音楽と共にみんな神々しい立ち姿で、美しい丘陵が躍動的に動いている
ルティナの掛け声で3回目が始まる
ショーは15分ほどで終わるが、その間2回ずつ着替えるのだが、俺はその生着替えをロクサーヌの膝枕で見てる
なんと言う贅沢だろう
やはり、拍手と歓声が終わらない。みんなこういうのは見た事ないのだろう。見れなくて残念だったな、ガイウス。
俺は特等席で見てるよ
と心の中で勝利を確信した
ショーが終わるとモデルのみんなも楽しめたようで、
「すごく楽しかった」「またやりたい」
と、もうすでに次を考えているようだった。
一番嬉しそうだったのは元々プライドの高いルティナだったが
「みんなありがとう。うまくいったのもみんなのおかげ」と泣いて喜び、みんなに感謝した
カシアとアーダもすごく嬉しそうだ。
二人とも元々は引っ込み思案だったのに、今ではイキイキとしている
ルシール、ソフィア、クラリス、ヴィクトリアも1か月前まではコボルトに囚われ、性奴隷となり、人生を諦めていたのに、とてもきれいになったし、さらに強くもなった。もう今や普通に歩けている。心の傷は見えないが、いま間違いなく輝いているだろう
みんなで円陣を組んで喜んでいる
ルティナが俺を見つけて俺の下に駆け寄ってくる。
「ご主人様ありがとう」と言って抱きついてほっぺにキスをする。
「ルティナさんずるーい!私もー!」と次々に俺は抱きつかれキスをされた。
みんな俺に感謝の言葉を述べた。
俺は特になにもしていないが……みんながしたかったことをさせてあげただけ
ロクサーヌは俺の上でみんなを追い払う
「ご主人様はいま疲れているのです。離れて下さいね」
「はーい」
俺は立ち上がりみんなに言った
「今日はご苦労様でした。1ヶ月間大変だったけど頑張った甲斐があったな。みんな着替えてきなさい」
「はーい」
みんなそんなにプリンプリンのお尻を出して弾ませている
眼福だぁー
3回目のフィッティングも終盤に差し掛かり、ルシールが俺の所にやってきた
「ご主人様その……問題発生です」
ジョゼはレイン伯爵夫人に何か言われているのが小窓から見えるが向こうからは見えないだろう
怒っている様子ではないが、聞き取りにくいので魔法
「クレアオーディエンス」
をかけて霊聴した
「だから……このお店を売って欲しいから責任者を出してと言っているだけなのに。売り物じゃないなんて意味がわからないわ」
は?この人はなにを言っているのだろう……この店ごと購入する気だったのか……これはまずいな…いざという時は出ていかなければ……
俺はロクサーヌをここに控えさせている。
騒ぎを聞いて、ルティナとニコルそしてエマがやってきた。
「私がルティナですが」
「やっと会えたわルティナさんね」
「はいそうですが……」
「実はねここのお店を買いたいと思ってきたの。どう?」
「はい?このお店ですか?」
「ええそうよ。ほら、素敵じゃない。女の人を美しくするお仕事なんて」
「えっ?」
……
……
「うーん……わかりました……お売りします」
とルティナはレイン伯爵夫人に答える
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2024.10.21改編