たまにはこういうのもあってもいいかもと、随分前に書いたのですが、 つまらなかったらごめんなさい
私は運良くここの司書官として長くいろんな報告書を書いている。もう50年もマロル領に騎士として勤めてきた。たくさんの本に囲まれ良い人生だったと振り返れる
騎士と言っても喧騒から離れて久しい。今ではすっかり、インクの匂いが私の匂いとなっている
私が書いた戦闘詳報の報告書が無数にこの部屋にあるためだ
その中でも、私はこのロクサーヌ記が気に入っている。
人によっては評価の割れる人物だが、私が思うに、ロクサーヌ様は世間の批評よりも、ミチオ様の評価のみを気にしてらしたのが、私にはとてもチャーミングで尊い存在に見えた
私の人生を大きく変える存在だったのは間違いない
これはマロルでのロクサーヌ様への報告書をもとに私が書きあげた記録である
ロクサーヌ様に初めて会ったのは私がまだ20歳の時だった。
その当時は鋼鉄のバリルと呼ばれる御仁に仕えていた。
私が子供の時にマロルの広場でバリル様の槍術演舞を見て、心が躍った。そして、どうしてもバリル様の下で働きたいと思った私は、実家が商家でありながらも、次男の私は騎士になる事を父親の前で宣言した。
父は呆れていたが、私はその気持ちを押し通し騎士見習いとなり、なんとか無事にマロル領の騎士になれた。
騎士になってすぐにバリル殿は門番としてレオール様の館の護衛として配置された。不遇な異動であったとは思うが、逆に私にとっては、バリル様と身近に話すことができ、私はすごく嬉しかった
帝国暦582年 夏の84日
ある日突然それは起こった。ミチオ様と一緒にロクサーヌ様、ベスタ様が門外に現れた。本国からの使者という事で、開門せよと命令が降った。
この時この美しい少女がロクサーヌという名前だったのを知るのはずっと後になる
この日、鋼鉄のバリル様は一撃でロクサーヌ様に屠られたことを聞いて耳を疑った。最終的な報告ではハイコボルトにバリル殿は倒されたらしく、その日は食事が手につかなかったことを覚えている
しかし、戦士たる者戦いで命を落とすこと自体は名誉なことだと自分言い聞かせたが、不安と恐怖でその日は寝れなかった。
そのロクサーヌ様と目の前にいた少女が合致するまでにはそこからまたしばらくかかる
帝国暦582年夏の88日
マロル領にブルガ王国モンベルト領主パブロがいつものようにナバ平原に進軍してきた。それはレオール様が奪爵されるとすぐに現れた。又いつもの小競り合いをするのだろうと、口には出さなかったが、「ああまたか」と言う気持ちはどこかにあったと思う
前の日から我々は臨時に集められた帝国マロル騎士団として戦場に立ったが、ミチオ様は援軍の要請もしていなければ、他の領主に敵襲の知らせすら出さなかったため、ベイル騎士団50名と我々マロル騎士団100名それとミチオ様の旅団30名で戦う気でいたらしい。
それを帝国皇帝が危惧したのか、マキシム様旗下1000名の兵隊で4000名の敵を迎え撃つと言う話を聞いて私はここが私の終着点かと思い戦場へと行軍した
蒸し暑い道を死に向かって行軍しているのかと思いながらも、ここで死ねるのなら騎士の本懐だと自分を奮い立たせひたすら黙って行軍し戦場へと赴いた。
戦いの数日後、街の酒場で聞いた吟遊詩人の歌を聴いて私は驚いた。
1つ目のラッパが天を鳴らすと、この地を汚す者の領主の首が地に落ちる
2つ目のラッパが天を鳴らすと、ドラゴンのブレスでこの地を汚す兵隊の多くが瞬く間に消す
3つ目のラッパが天を鳴らすと、大地が裂け、この地に眠る山の精霊が現れ次々とこの地を汚す兵隊を踏み潰していった。
多くの光の槍が降り注ぎ全てを地に戻した。ああ、精霊に守られしマロルの地よ永遠に
と言う歌詞だった。この戦場にいなかったものが聞くと、吟遊詩人が大袈裟に歌ったものだと言う者もいたが私はこの目で見た。それは大袈裟に歌ったものではなかった
戦闘の前日に我々騎士団は作戦会議にてエマ様から、騎士団各位は、接近戦のみ戦闘に入る事を言われた為、最終的には接近戦がなかったのでまったく戦闘することはなかったが、大変な物を目にすることになる
眼前に敵が見えると私は武者震いが止まらなかった。
我々は背後に、兵隊の絵が描いてある模擬兵がほとんどだったからだ。マキシム様の兵隊は見えなかったため、これでは完全に我々は囮なのではないかと思っていたが
ミチオ様はこの状況で、馬に乗る練習を目の前でしている。えっミチオ様も囮?と我々はどう判断したらいいのかわからなかった
暑い夏の日だった、ただ立っているだけでもこの日は鎧を着ているので辛かった。しかも敵兵が左右に行ったり来たり、伝令があるまで待機だったので、ひたすら我々と戦う兵が眼前をウロウロとしているのは精神的にやられるが、ミチオ様は騎乗の練習をしていて余裕だったのがとても印象的だった
敵兵が我々の模擬兵に気がつき戦闘になるのかと思ったら、戦闘はせずに地点Aに移動と言うことだった。その命令に思わず「え?」と言葉を発してしまうほどだった
我々は馬を転進させ指示通りに移動した。敵は我々の背後から追いかけてくる距離はまだあったが、止まっていればすぐに追いつくだろう距離だ
私たち騎士団は下馬してミチオ様の旅団の後に準備した
目の前にはミチオ様の旅団が今では当たり前だが、弓矢を使い次々と敵を葬っていた。その中でもロクサーヌ様の弓術には驚いた。人はあんなに弓を早く弾けるものなのかと……
私は体格が良かったせいかみんなよりも頭一つ分身長があったためその戦闘を、一部始終見ていた。旅団の後ろに立っていた者は全く前が見えていないので、先ほどの歌が本当だったのかはほとんどのものが知らない。歌に聞くのと
惨劇を見るのとでは訳が違う……
旅団の人は皆弓が使えたので、我々騎士団は弾出しの弓を次から次に渡す役目を負っている。正直前を見る暇はなかっただろう。ロクサーヌ様の両脇に矢を渡す者がいたが、ロクサーヌ様の弓を引くスピードの方が早かったのだから
我々は全く戦闘にはならなかったが、私の青ざめた顔を見て、ロクサーヌ様が声をかけてきた。
「名前は?」
「アシュリーと申します」
「アシュリーは体格に恵まれていますね。今日見た事で余計なことは誰にも言わないように、内密です」
私は敬礼して短く「はい」と答えた。
その後どれが余計なことなのか分からなかったため、この日見たことの全てを誰にも話すことは無かった。
誰に聞かれてもただ「すごかった」としか言わなかった
その後は掃討戦でナバ平原を駆けたが、まあ私などはただただ走っただけで、敵は散り散りに逃げ惑うだけだったので、槍を交えることはなかった。
その日以降家に帰っても震えがしばらく止まらなかった。
帝国暦582年 秋の2日
この日私の人生は大きく変わることになる
午前中にモンベルトから大量の住人が引っ越してきた。その方法に度肝を抜かれた。家ごと魔法で移動させたのだ。
これで我が愛するマロルの領民が一気に倍になった。この日俺は街の警護にあたった。それはもう大騒ぎになった。町のなかった場所に1日で街の半分の人が引っ越してきたのだからそれは大騒ぎになる。私は各家々を回って上下水道について便利さを話した
引越しが終わり朝飯を食べ終わると、突然ロクサーヌ様が騎士団の訓練官として現れた。みんなの目の前で自己紹介すると、私は耳を疑ったあの時の少女がロクサーヌ様だったのかと
みんなは少女の訓練官が現れて、「おいおい」と言って舐めていた。俺と同期のケヴィンは特に舐めた事を聞いた
「ロクサーヌ様はミチオ様の愛人と聞きましたが本当ですか?」
ロクサーヌ様は何も答えず、ケヴィンを前に出して、今日からの訓練メニューについて説明した。まずは実際に木剣を使った組手にその後はフィジカルトレーニングという流れだが、最初にケヴィンがロクサーヌ様の相手をすることになった。
審判は班長がすることになった
ケヴィンは完全に舐めていた
「おままごとじゃないんだぜ」と言って盾を構え間を詰めた。この瞬間ロクサーヌ様はケヴィンの盾を蹴るとケヴィンは3メートル後の壁に激突した。
明らかに足が曲がってはいけない方向に曲がっていた。
ケヴィンは泣き叫んだ。
ロクサーヌ様はケヴィンに近づくと、
「這いつくばっても泥を啜っても戦いなさい」と怒鳴った。
ケヴィンの腹を蹴ると、嘔吐して終了した。
みんなが青ざめ震え上がった。
もちろん私はこうなる事を予見して初めから足が震えていた。
ロクサーヌ様はケヴィンに『癒し』を掛けると足はもとに戻ったが気を失ったままだ。
他の騎士に水をかけ起こすように言うと
ケヴィンは気を戻した
「舐めたこと言っていると罰を与えます。私の中で死はそれ以上の罰を与えられないと言う意味では軽い罰です」
とみんなの前で言うと、恥ずかしい話だが私の股間は縮みあがった。
続けて、「皆の住所、親戚、配偶者は調べはついてます。ここから逃げようなどとは決して思わないように。もし逃げるのなら暗闇には気をつけないと足があらぬ方向に曲がったまま人生を終えることになるかもしれません」
と言うとみんなの顔が青ざめた。
後日聞いたのだが、旅団の中でもロクサーヌ様の「粛清」は有名だった
エマ様からは訓練で「死人が出ないように」と注意を受けたほどだ
「今日の練習を毎日するように」と言い終えると
各々練習に入った。その日から訓練の気合の入り方が皆違った
「アシュリー!!」
「はい!!」
私は体に何か刺さったのではないかと思うくらいびっくりした
「貴殿は文字が書けますか?」
「はい!!」
「では、貴殿はこれから記録係となり、みんなの訓練や戦闘の様子などを細かく記録を取り報告書を提出する事を任じます」
「はい!!」
俺は自分の名前を急に言われたことに驚いた。ここから私の記録係としての人生が始まる
私はロクサーヌ様の指示通りの訓練メニューをその日から始めることになった。その訓練は熾烈で次の日には筋肉痛と疲労で立ち上がれないほどの過酷な訓練だった
なぜあの時、私に任ぜられたのかを後日聞く事ができたのだが、
「貴殿は体格にも恵まれ、恐怖を知り、字も書けるなら長生きできそうだったから」
と笑顔で言われた時には正直肝を冷やした
後に、騎士団では不平不満が続出したが、その不満もすぐに消えた。
モンベルトからの騎士団と合流したのだが、その騎士団は全て女性で美しい女性ばかりだった。ロクサーヌ様は、集団見合いを段取り、一気に団員は沸いた
「アシュリー、貴殿はこの女性と世帯を持つといいでしょう」と紹介された女性はとても美しく強い女性だった。
この女性こそが私の将来の伴侶となり
感謝しきれないほどの恩恵を受ける事になった
次回の9月23日21時より2章を始めます。まぁこれから書くのですが、、、
長らくお休みさせていただきありがとうございます
左手なのですが、レントゲンもMRIも撮りましたが、特に問題は無いと言われて、左手の調子は良くないのですが経過観察なので、始めたいと思います
これからも頑張って書くのでよろしくお願いします。
毎週月曜日、金曜日の21時頃に更新してます
ーーお願いーー
どれくらいの人が読んでいるのか知りたいので、高評価と読み終えたらしおりもお願いします。