※この作品はR-18です。

相思相愛プロジェクト!!   作:わしはトマトが嫌いじゃ

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 あああああ四時ちょうどに投稿したかったのに遅れてしまったああああでも出しちゃうううううう!!
 はい、というわけでティナです。さらわれたり演劇したり学校に行ったり夏を満喫したりチョコ作ったり因縁の相手をぶっ飛ばしたり王冠をかぶったりと、全キャラクターの中でもガチャ登場回数が比較的多めな子ですね。えっ、ぐーたら御子? あの人は殿堂入りだから……。
 食欲が強い子って性欲が強いといいますよね(ソース不明)。ええ、なんでこの場で言ったかは特に理由はないですけど、理由はないですけど!


CASE2 食いしん坊な宝石少女 (ティナ)

 ――秋も深まったとある昼下がりの、それなりに大きいがなんていうことのない普通の街の酒場にて。

 

「ティナちゃん、おかわりどう?」

 

「むぐむぐ……あっ、いただきますっ!」

 

 元気よく返事をする少女は、ものすごい勢いで目の前の料理を食べていく。ギルドの酒場の調理担当としては、おいしく食べてもらえて料理人冥利に尽きるというものだ。

 

「でも、前みたいに懐がさみしくなるほど食べるのはだめだよ。おかわり勧めておいてあれだけど」

 

「……ど、努力しまーす」

 

「食べない努力ってなんか変だね」

 

 視線を横に流す少女の名前はティナ・トピア。日を受けてキラキラと輝く銀髪と、吸い込まれそうになる宝石のような瞳、そして胸元の錠前のようなアクセサリーが特徴だ。

 十代中ごろの見た目であるが、これでも立派な冒険家である。今日も依頼から帰ってきたばかりなのだ。

 それにしても彼女の格好は目に毒だ。フリフリした透けそうなほどの薄さの白いレースで出来た服には色とりどりの宝石がちりばめられているが、何というか露出度が高い。お腹も背中も足もむき出しで、世の中を何も知らない清い男子には刺激が強い気がする。まあ、僕は大人だからちゃんと自分を律せるけどね!

 

「しかし依頼の報酬のほとんどが食費に消えるって、エンゲル係数どうなっているんだか……」

 

「だ、だってお腹いっぱい食べないと力でないですし……それと成長期ですから! そう、成長期なんですっ」

 

 胸を張るティナであるが、悲しいかな、成長途中らしくお世辞にも膨らんでいるとはいいがたい。ぺったんこではないが、ボインでもないのであった。

 

「……なんだか失礼なこと考えていますね?」

 

「マサカーナンノコトデスヨーアハハー」

 

 華奢で可憐な容姿ではあるが、その細腕から繰り出される打撃の一撃は凄まじい。悪漢を星にしたり、巨岩を粉々にしたり、悪人のアジトを文字通り崩壊させたりと、並みの力自慢が霞んで見えるほどの剛腕っぷりを発揮できる。ちょっと護身術をかじったぐらいの僕が太刀打ちできるような存在ではないのだ。

 

「そ、それよりもさ、今日の夜に行きたい場所とかさ、何か決まった?」

 

 以前より二人でお出かけしようと計画していたことを話の話題として挙げて意識をそらす。思惑通りにティナはそのことを思い出して、ちょっと困ったような、恥ずかしそうな表情を作った。

 

「えーっと……こうしてご飯を食べているときに言うのは、ちょっと恥ずかしいんですけど……」

 

「気にしないから、言ってみて」

 

「……気になるレストランがあるんです」

 

 なるほど、食べてるそばから別のお店のことを話すのは、それは恥ずかしいわけだ。

 

「この島でとても人気で、観光客も多くの人が訪れているって聞きました。それだけおいしいっていうことですよね?」

 

「でもお金は大丈夫? 結構パンチが効くお値段だと思うけど。もちろん僕からも出すけどさ」

 

「大丈夫です。この日のために、ちゃんとお金を貯めてきましたから!」

 

 それが今までの注文で消し飛んでいないか心配ということは、言葉には出さず飲み込んでおく。

 

「ごくごくっ……はぁっ、ごちそうさまでした!」

 

 ティナのほうは最後のドリンクを飲んだ後両手を合わせた。

 

「それじゃあ、また後で。そのレストランの前で良いかな?」

 

「はい! 楽しみです!」

 

 笑顔がまぶしい。できればそんなルンルン気分で今日はずっと過ごしたいところだが、なんだか嫌な予感がするのは気のせいかな?

 

 

 

「……えーっと、集まったには集まったけど」

 

「……」

 

 時刻通り、何の問題もなく、僕とティナは目的のレストランの前で再会した。そこまではよかった、しかし。

 

「ちょっとこれは……今から並ぶのはさすがにね……」

 

「……」

 

 目の前では正面の入り口から延びる長蛇の列が。さすが人気料理店。まるでシーズン真っ盛りのジモートランドのアトラクションのようだ。行ったことないけど。

 

「どうしよう、今から別のお店にでも……」

 

「……」

 

 やばい、ティナのテンションが明らかに下がっている。どれだけ楽しみにしていたかを示唆している。しかしこのレストランに匹敵する料理を出せる場所なんて、ほかには……。

 

「そ、そうだティナちゃん。僕の家に来ない?」

 

「……えっ?」

 

 落ち込んでいたティナが顔を上げる。

 

「ここから近いし、料理の研究のために食材とかたくさんあるから。少なくともお腹いっぱいにはさせられるよ」

 

「……本当にいいんですか?」

 

「そんな顔でほかのお店を探すのは気が引けるしさ。ティナちゃんみたいなかわいい子だったらなおさらだよ」

 

「か、かわいい……」

 

 せっかく顔を上げたのにまた俯いてしまったティナ。うーん、本心も交えて褒めたつもりだったけど裏目に出てしまったか。

 というかさりげなく年下の女の子を自宅に誘っているけど、これって事案じゃないよね? 小さいけど相手はしっかりと自立して自分で依頼をこなしている冒険家だし、料理のお兄さん的なポジションで酒場では気安く話せる間柄だし。うん、たぶんノー問題。

 

「え、えっと、それじゃあ行こうか。ササっと料理を作らないと」

 

「そ、そうですよね」

 

 自然とティナの方から手をつないできて、それを握り返した後一緒に自宅へと急いだ。

 

 

 

「適当に座っててね。ちょっと汚いけど」

 

「お邪魔しまーす……」

 

 一人暮らしには少し広めな一戸建て。借家であり、中心街から少し離れていてはいるが、広さに対しての値段がほかの賃貸より低く抑えられていたため、キッチンが豪華だったのもあって内見してから決めるのにそう時間はかからなかった。

 ちょっぴり緊張した声色のティナが家に入ってくる。そりゃあ知り合いとはいえ男の人の部屋に招かれたのだから、普通は緊張するか。

 しかし女の子が来るのが分かっていたら、もっときれいにしていたのに。普段の自分のずぼらさに説教したい。

 

「もし喉乾いていたらジュース飲む? リンゴにオレンジに……サクランボとか、ミックスもできるよ」

 

「お、お任せでお願いします」

 

 うーん、しかし緊張している状態じゃ味もよく分かんなくなるんじゃないだろうか。どうにかしてリラックスしてもらいたいところだけど、さてどうしたものか。

 

「……そうだ、ラジオがあるんだった」

 

 この前購入したルーンラジオ。この島にはラジオ局はないが、割と近い場所に発展した島があって、そこの番組が聴ける。何か音楽でも流せれば少なくとも気がまぎれるのではないだろうか。

 

「えーっとダイヤルを回して……あれ、こっちだったかな?」

 

 買ったばかりでまだ操作がおぼつかない。複数あるダイヤルをいくら回してもノイズが響くだけである。壊れているんじゃないだろうね?

 

「あのー、そんなに気を使わなくてもいいですから……」

 

「いやいや、お客さんなんだからおもてなしぐらいは……ん? 今なんか音が」

 

 偶然ノイズに混じって明瞭な音が聞こえた気がする。聞き間違いでないなら人の声だったはずだ。ダイヤルのメモリを音が聞こえたあたりで、微調整していく。すると。

 

『――はあああん! いやああぁんっ! お、奥ぅ……突かないでぇえ!!』

 

 女性のアレな声が聞こえたので、ブツッとスイッチを切った。

 

「……」

 

「……」

 

 うわあい、ティナちゃんお顔が真っ赤っかってアホ! 何で寄りにもよってそっち系の番組につながっちゃったの!? ていうかまだ夕食時の時間帯なのにこのチョイスってちょっと指示したやつ出てこい!

 

「……じゃあ、ちゃちゃっと作っちゃうから」

 

「……はい」

 

 ある程度の料理が完成するまでの間、お互いに終始無言だった。

 

 

 

 ハンバーグにコーンスープ、パエリア、カルパッチョ、オムライス、さらには新鮮な魚介類で作ったシーフードフライに、ビーフシチューまで。とにかく家の食糧庫や冷蔵庫にあるやつを総動員して、できる限りの食材の組み合わせで料理を作った。久しぶりにうちのキッチンはフル稼働だ。

 

「これもおいしい……」

 

 さっきの凍り付いた空気など初めからなかったかのように、出来上がった料理に舌鼓を打つティナ。あと残っているのはオーブンに入れたグラタンであるため、出来上がりの時間が来るまでは放っておいていい。ティナの対面の席に座り、自分も食事をとることにした。

 

「それにしてもその体で、どうやってそんなに物を詰め込められるんだろうね」

 

 見た目ではお腹が膨らんでいるようには見えない。食べたものは異次元にでも行っているんじゃないだろうか?

 

「……もしかして、大食いな女の子って、あんまり好きじゃないですか?」

 

「えっ? そんなことはないよ。むしろおいしく食べている子は好きだよ」

 

「そ、そうですか」

 

 頬を赤く染めてオムライスをほおばるティナ。

 

「ケチャップついているよ」

 

 

「ええっ!? ど、どこですか!」

 

 慌てて口元をぬぐうティナだったが、手には何もつかなかった。

 

「ごめん、それは冗談です」

 

「……もう! お兄さんったら!」

 

 当然だけどプンスカ怒り始めるティナ。こういう反応もかわいくて、ついついいじったりしてしまう。

 

「あはは、お詫びにアイスを用意するからさ、許してよ」

 

「……もうっ、しょうがないですね」

 

 不承不承と納得するティナである。食べ物で許しちゃうところが実に子供っぽい。今度オムライスを作るときは旗を立ててあげようかな。

 

「……もしお詫び精神が本物なら、この後一緒に行きたい場所があるんです。いいですか?」

 

「行きたい場所? レストラン以外にあったんだ」

 

「本当はレストランで言うつもりだったんですけど……その、街外れにある山に展望台がありますよね?」

 

「ああ、あそこね。子供のころはよく遊びに行ったよ」

 

 生まれも育ちもこの島である僕は、原則で行けないとされている場所以外はすべて回ったつもりである。当然、展望台も何度も足を運んだ。

 

「夜でそこから眺める街の景色がきれいだって聞いたんです。でも、一人じゃなかなか踏ん切りがつかなくて……せっかく一緒にいますから、この後どうですか?」

 

「なるほどね、もちろん良いよ」

 

「やったぁ!」

 

(でも、冒険家なら知り合いもいると思うけど、なんで僕なんだろう?)

 

 疑問に思いつつも、ティナが喜んでいるのなら別にいいかと思う今日この頃。とりあえず今ある料理とオーブンのグラタンを全部平らげるべく、僕はいい時間になったのでグラタンを持ってくるためにオーブンへと向かった。

 

 

 

 さて、作った料理がきれいさっぱりなくなり、食後の余韻に浸る間もなく僕らは展望台のある山へと来ていた。

 

「暗いから気を付けてね。ここ街灯が無いから」

 

「結構道が悪いですね……きゃっ」

 

 注意したそばから早速木の根に引っかかって転びそうになるティナ。短いスカートも相まって、危うくスカートが見えそうになった。

 

「……見ました?」

 

「ないヨ~、見えてないヨ~」

 

「……むう、信用できません」

 

 そう言って、今度はティナが僕の横に並んで、手をつないできた。

 

「これなら、転びそうでも支えてくれますよね?」

 

「名案だね。僕が転びそうなったら逆に二人とも倒れそうだけど」

 

「大丈夫です、その時は思いっきり引っ張りますから!」

 

「それ星にならない?」

 

 ここは慎重に歩くことを心に決めるのであった。

 

「最近来ていなかったけど、昔から変わっていないなー」

 

「お兄さんは生まれた時から、この島で暮らしているんですよね」

 

「うん、子供のころはまだ人も少なくて街も小さくてさ。今向かっている展望台も元々は街を建設する際に、高台から見下ろして確認するためのものだったんだ」

 

「じゃあこの島で一番、街の眺めが良い場所っていうことですね」

 

「そういうこと」

 

 少し高い段差などは先に僕が乗り越え、ティナをエスコート。気づけば展望台は目と鼻の先というところまで来た。

 しかしここにきて、ティナの様子が少し変だ。展望台に近付くほどそわそわしたり、視線を合わせようとするとプイっとそらしてくる。

 

「どうかしたの? 何か気になることがあるのかな?」

 

「い、いえ! でも……私たちのほかに人がいたりするのかなーって……」

 

「それはどうだろうね。昼間は散歩がてらに登る人はいるけど、夜となったらねぇ。……そういえば夜に来るのは初めてだなー僕。小さい頃は門限が決まっていてそもそも外をうろついたら怒られたし」

 

「お兄さんでも分からないんですね。……人、いないといいなぁ」

 

 後半の言葉は声が小さくて聞き取れなかったが、ともあれ到着だ。

 道中はずっと森に囲まれた場所だったが、一転して展望台は一本もない拓けた広場。外周部には木の柵が建てられている。他には丸太で作られたベンチぐらいしかない。

 

「どうやら、僕ら以外に人はいないようだね」

 

「そうですね……」

 

 どこか安心したように息を吐くティナ。やっぱり何か変だ。

 

「向こう側は一番眺めが良いはずだよ」

 

「行きましょう!」

 

 道中とは逆にティナが手を引っ張って、やや小走りで柵の間際まで移動する。

 

「わあ……!」

 

 初めて見る街の全景に、ティナが感動の声を漏らす。海沿いに作られた町は半円の形状をしており、道に沿って建てられた建物や街灯の光によって蜘蛛の巣のような形状できらめいていた。

 

「こうしてみると、本当に大きくなったなぁ。昼より夜の方が分かりやすいや」

 

「あそこの定期的にピカピカなっているのって灯台かな? ……あのレストランのあたりすっごく明るくなってるなぁ」

 

 僕とティナとで注目している個所は違うが、ともに景色を楽しんでいる気持ちは変わらない。

 

「……」

 

「双眼鏡とか持ってくればよかったかな……ティナちゃん?」

 

 はしゃいでいたのに急に黙り込んだティナ。横を見てみると両手を柵にのせて景色を眺めているのは変わらないが、何て言うんだろう、意識は目の前の街には向けられていない様子だった。考え事をしているようにも見える。

 

「……あっ、は、はい。なんですか?」

 

「なんですかも何も……さっきから様子がおかしくてさ。人がいるかどうか気にしたりそわそわしたり、今だって景色を眺めているように見えて何か考えているみたいだし」

 

「そう……ですね。うん、ここまで来て隠す必要もないし……」

 

 ティナが改まった表情になり、深く息を吐いてから僕の方へと向き直る。

 

「お兄さん……話したいことが、あるんです」

 

「な、なにかな?」

 

 頬を赤らめながらも真剣そうな表情で言われるものだから、こっちまで緊張してくる。

 

「私、この島に来て、そしてあの街でお兄さんと出会ってから、かなり長い間留まっています。それはもちろん町が素敵だったというのもあります。……けど、私にとって、もっとかけがえのないものを見つけたから、そのために私はあの街で依頼を受けたりして、できる限り長く居ようとしたんです。でも、私そろそろ、この島から離れなきゃいけなくなって……」

 

「……なるほど」

 

 そのためこの島での最後の思い出作りに、僕と一緒に食事に行こうと誘ったり、ここに来たりしたわけか。でも、それと今までの落ち着きのなさとはどうも結びつかない。思い出作りなら全力で楽しんだ方がいいのに、常に考え事をしていたのはなぜか。

 

「だから、今日、私が一番したかったことを、今ここでします。……お兄さん、目をつぶってください」

 

「目を? こうかな……」

 

 意図が分からないまま言われたとおりに目をつぶる。すると間を置かず、ティナが一歩僕の方へ近づくような足音が。そうなるともう触れるか触れないかぐらいの距離しかない。

 

「……少しだけ、前かがみになってくれませんか?」

 

「こ……こういう感じ?」

 

「はい、そのまま動かずに……」

 

 ティナの小さな手が僕の頭の後ろに回される。ティナの息遣いが聞こえて――。

 

「ん……ちゅっ……」

 

 唇にプルっと柔らかい感触が伝わり、それが唇だと理解するまでに数秒かかった。

 

(……って、これってキスじゃん!?)

 

 気づくまでもその後も、ティナは唇を放そうとしない。初々しくチュッチュと吸いついてきて、まるで溶け合っているかのようだ。

 唇を放したのは、秒針が一周するぐらいの時間がたってからだった。

 

「ぷはっ……あ、あの、ごめんなさい! 無理やりこんなことをして……でも我慢できなくて……!」

 

 唇を放した瞬間に頭を下げるティナ。

 

「ちょちょちょ、顔を上げて! 怒っていないし嫌でもないしむしろすごく嬉しいぐらいだし!」

 

「え、ええ!? ほ、本当ですか……!」

 

 キスした本人がそんなに驚いてどうすんのって思ったが、ムードをぶち壊しかねないので黙っておく。もう半分壊れたも同然だが。

 

「本当だって。ティナちゃんって良いところ挙げるとキリがないけど、とにかくかわいいし優しいしお茶目だし不器用だし大食いだし馬鹿力だし、そういうところが全部好きだよ!」

 

「後半誉め言葉ですか!?」

 

 自分でも何言っているのか分からなくなってきた。ティナもそうだけど僕も相当動揺しているらしい。

 

「だから僕はティナちゃんが好きっていう感情を、ちゃんと受け止められるから……ほら」

 

「あっ……」

 

 そっと、僕はティナの体を抱きしめた。体格が一回りほど小さいティナの体を包み込むようにし、体全体で彼女の存在を感じ取る。

 

「ティナちゃんは僕とお別れになるのが寂しくて、今日告白しようって決めていたんだよね?」

 

「……はい」

 

「結果はどうあれ島を離れるから、心残りの無いようにキスをした……っていうことだよね?」

 

「そう、です……」

 

 頭をなでながら一つずつ確認していく。どんどんティナの体温が上昇していく感じがする。とはいえ僕の方も体の温度が上昇気味なので、お互いさまというところだろう。心臓の鼓動が早鐘のようになっているし。

 

「一個だけ、ティナちゃんは勘違いしているところがあるよ」

 

「勘違い……ですか?」

 

「そう。たとえ今回お別れになっても、好きっていう気持ちは変わらないし無くならない。それに僕は仕事で島から離れられないけど、逆に言えば来ればいつでも会えるから。寂しくなんてならないよ」

 

「……」

 

 無言で僕の胸板に擦り寄せてくるティナ。なんだか懐いた小動物っぽい。

 

「身の回りのことが落ち着いたら、また遊びに来ればいいよ。ずっと待っているから」

 

「……はいっ、分かりました」

 

 最後にギューッとティナの方も思いっきり抱きしめてから、僕たちは体を放した。

 

「さて、もういい時間だし、そろそろ帰るとしましょうかね」

 

 夜はすっかり更けっていき、街の明かりも少しずつ少なくなってきている。今日のことは一生忘れないだろうということを予感して、ティナと手を繋ぎなおす。

 

「……あ、あのっ」

 

「ん、なに?」

 

 数歩歩いたところでティナが声をかけてきた。さっきからずっと頬を赤くした状態ではあるが、それよりも一段と顔を赤くしている。

 

「私、今日宿屋の予約を入れていないんです。だから……」

 

「……うん、僕の家に泊まっていくといいよ。ベッドは一つだけだから、一緒になっちゃうけど」

 

「その……それだけじゃなくて……私、お兄さんと……」

 

 尻すぼみになっていくティナの言葉に、いくら勘が鈍い僕でも彼女の言いたいことを察することができた。

 さすがにそれはまずいだろうと思い、思いとどまらせようと試みる。

 

「……ええっと、ティナちゃん? 君はまだ子供で――」

 

「わ、わかっています! そういうことをするのはまだ早いって、自覚していますから! ……でも、また会えるのはだいぶ先のことなんです。それまでずっと、お兄さんのことを想いながら過ごすのは、考えただけで胸が痛くなりそうで……。だからお兄さんとのつながりを、体に刻んでほしいって思って、だから、私は……」

 

「……あーもう分かったよ! まったくかわいいなチクショウッ!」

 

「きゃあっ!?」

 

 感極まった僕はティナの背中と膝下に腕を差し入れて持ち上げる。つまり、お姫様抱っこをした。

 

「ティナちゃんからそう言ったんだからね。後で泣きわめいて許してって言っても遅いから覚悟するんだよ!」

 

「う、うう~……わ、分かっていますよ。で、でも初めてだから、せめて優しくしてほしいなって……」

 

「うるさいっ、僕だって初めてなんだから、そんな加減の仕方なんて当然知りません。なので、お互い全力です」

 

「ぜ、全力!? あのラジオみたいに……は、はわわわ……」

 

 すっかり頭が茹ってしまったティナを抱えて、元来た道をゆっくりと降りていくのだった。

 

 

 

 壁に面したベッドの上に座り、僕は壁にもたれ、ティナはその僕の胡坐をかいた両足の上にすっぽりと収まっていた。

 

「改めてみると、やっぱりティナちゃんの格好ってエッチだよね。おへそが丸見え、細い足もむき出しで」

 

「やんっ、あっ……そんな、なでちゃ……くすぐったい、ふぅんっ、ですからぁ……」

 

 お腹や太腿などを愛撫し、ティナは体をよじる。予想通りというか、手を繋いだ時から気付いてはいたが、彼女の肌はツルツルのスベスベ。いつまでもこうして撫でまわしたい気分になる。

 

「耳もかわいいし、はむっ」

 

「ひゃぁっ」

 

 僕の足の上に乗っているため必然的に座高が高くなり、ちょうど目の前に彼女の耳が位置することになった。そりゃね、咥えてくださいって言わんばかりにティナの耳があったら、咥えなきゃダメですよ。

 

「お兄さんこそ……なんでこんなっ、あっ、変態さんみたいなこと……うううんっ!」

 

 足の付け根辺りを撫でてやったら過敏に反応してきた。なるほど、鼠径部が弱点と。ならば重点的に責めてやろう。スカートの中に手を滑り込ませて、指先でなぞるように弄ってやる。

 

「やああぁ……ぞくぞくしちゃうからぁ……」

 

「ティナちゃん、声がすごくいやらしいよ。……男の人を誘う気満々だね」

 

「そんなつもりなんて……私、お兄さん以外にこういうことはさせる気は、全然……」

 

「……それ、反則」

 

「ふぇ……? んひゃうっ!?」

 

 耳の次は首筋。さっき山の中を歩いたからだろうか、ほんのりと汗によりしょっぱく感じられた。塩分補給を兼ねて、ぺろぺろと舐めまわす。

 

「ティナちゃん……僕の方はもう我慢できないよ」

 

「はあ、はあ……は、いっ。お尻に何か、硬いのが……」

 

 密着しているため必然的にティナはこちらの体の変化もすぐに感じ取れることができる。具体的には股間にあるものが、自己主張をし始めたことだ。ティナの小さなお尻に、服越しで押し付けられている僕の愚息。ある程度の硬さを持った段階で、明らかにティナの呼吸が荒くなった。

 

「服……脱がせて良い?」

 

「……あの、ちょっと恥ずかしいんです。だから……服はずらすだけにしてもらっても、いいですか?」

 

 初体験が着衣エッチって、どれだけティナはスケベさんなのだろうか。全裸がスケベじゃないというわけでもないけど。

 

「……じゃあ、そういうことで」

 

「……はい」

 

 今までずっと肌を撫でていたが、名残惜しく手を放して脱がしにかかる。

 

「ところで……この、錠前みたいなアクセサリーって、いつも身に着けているけど、何か意味とかがあるの?」

 

 胸元に飾られた金色の錠前。会う時々にティナは衣装が変わるけど、基本的に胸元には形こそ変われど錠前のアクセサリーを身に着けている。

 

「えっと、私って本気を出すと、すごい力を出せますよね? その力を抑えるために身に着けているんです」

 

「あれでセーブした状態なのか……」

 

 全力を出したらどうなっちゃうだろうか。ということは、これは外したらまずいということではないだろうか?

 

「あっ、お兄さんが思っているほど、融通が利かないものじゃありませんから。力を出さなかったら外しても大丈夫ですし、お風呂とか寝るときは毎回外していますよ」

 

「それはよかった」

 

 言われて安心、早速アクセサリーを取り外し、そして胸全体を覆う真っ白い布を上にずらす。すぐに彼女のかわいらしい両胸が、姿を現した。

 

「ブラジャー……付けていないんだ」

 

「だ、だって形が出ちゃいますし……それに、ちゃ、ちゃんと下は履いていますから!」

 

「いや当たり前でしょ」

 

 普段から会っているティナが実はノーパンだったとか、もしそうだったら興奮はするけど若干引くかもしれない。

 胸を覆う部分の形状はチューブトップスに近い。背中側は帯状のひもでつながれているようだ。

 

「じゃあ弄っちゃおうかな。……いいよね?」

 

「はい……お、お願いしましゅっ」

 

 緊張によって噛んだティナは背中側でもわかるほど顔を赤くしている。だって耳まで赤くなっているんだもん。

 

「では恐れながら……おおっ」

 

「ん……はあっ! あっ……やあぁぁ……」

 

 両手で覆えるほどに小さい発育途上のティナのおっぱい。でも柔らかさと弾力は僕の記憶のある中で一番の心地よさだった。そしてムニュムニュと揉んでいる間にも、指の間にこれまたティナらしくかわいらしい乳首を挟んで、コリコリと刺激してやる。程よく汗で湿った肌は、僕の手のひらによく吸いついた。

 

「気持ちいい?」

 

「はい、あっ……胸の先っぽがピリピリして、背中がぞくぞくして……」

 

「ティナちゃんの乳首、どんどん固くなっていってるよ」

 

「お兄さんこそ……あふぁ……お尻に当たっているのが、もっとカチカチになっちゃって……んっ、いますよ」

 

 だってこんなティナの姿を見せられたら、よっぽどの不能でない限り誰でも股間がいきり立ってしまう。早くティナの中に入りたいと抗議しているかのようだ。

 

「お兄さん……さっきあんなふうに言っていましたけど、やっぱり気を使っていますよね? こんなにも、その……お……ち〇ちんが……大きくなっても、私を感じさせることに注力して……ひゃあああ!?」

 

 ティナの口から、恥じらいながらも卑猥な単語が飛び出したことに驚きを隠せず、思わず強めに乳首を挟み込んでしまった。

 

「ご、ごめんね。……初めては痛いって聞くからさ、できるだけ先に気持ちよくして。濡らした方がいいかなって」

 

「……じゃあ、いま、ちょっと触ってみてください」

 

「触る? どこを?」

 

「と、とぼけないでください!」

 

「言ってくれなきゃ分からないナー」

 

「……前言撤回です、やっぱり悪い人です」

 

「大人はみな悪人だよ、大なり小なり。ティナちゃんも大人になればわかるよ」

 

「も、もう私は大人ですから!」

 

 そういう姿こそ背伸びをしようとしている子供にしか見えない。とはいえ、こういう子供がしちゃいけないことをやっている時点で、ある意味大人の階段を一歩、どころか三歩ぐらい上ってしまっているわけだが。

 

「ほらほら、教えてくれないと、ずーっとこの敏感おっぱいをいじり続けるだけだよ?」

 

「お兄さんだって我慢しているくせに……んにゃあぁっ!? わ、分かりました、言いますから! 手を止めてくださぃ……!」

 

 強がるティナにちょっと手の動きを強めただけで、すぐに反抗心が消えてしまった。

 

「……こほん、あのー……私の、お……お……うう~、本当に言わなきゃだめですか?」

 

「だめだよ。ほらほら、長引くと苦しくなるだけだって」

 

「……わ、たしの……おま、〇こ……触って下さ、さいっ!」

 

 ようやく絞り出したお願いに、僕はすぐに応えた。スカートの中に手を突っ込み、パンティー越しに彼女の陰唇を指で強く刺激した。

 

「んああああっ! 指っ、きたぁ! やだっ、私っ、触られただけで……だめっだめぇ、くるっ!?」

 

 指先に固いしこりに触れる感覚が。ちょうど肉豆のあたりに触ったようで、今までの愛撫で十分昂らされていた体は今のがとどめとなったようだ。腰をガクガクと震わせながら、ティナは愛蜜を媚裂から噴き出した。

 

「いやぁ……いやぁ……私、お漏らししちゃ、あっううう……」

 

 両手で顔を覆い、ぐずるティナ。そんな彼女を僕は頬を擦り寄せて、落ち着かせる。

 

「大丈夫だよ、これはたぶんおしっことかじゃないから。気持ちよくなっちゃうと、女の人はここからいっぱい、エッチな汁を噴き出しちゃうんだよ。ティナちゃんは気持ちよくなって、イッちゃっただけだよ」

 

「だって私……一人じゃ、こんなになんて……」

 

「……一人?」

 

「えっ……あっ! ち、違います、今のはいいまちが、ひゃうっ!?」

 

 達したばかりのティナの陰核を、下着越しにつまむ。敏感なティナは、さっきの絶頂でびちゃびちゃになったパンティーを、自分の愛液でさらにずぶ濡れにさせた。

 

「嘘はなしだよ。ティナちゃん、一人で何をしていたのかなー?」

 

 噴き出した愛液をティナの下の花弁全体に塗り広げるように、人差し指と中指をそろえてスライドさせる。決して強くはないが、今のティナには強烈な快感だろう。

 

「わ、たしは、ひと、りでぇ……あっ、自分の、おま〇ことか胸を……あふっ、んあ、お兄さん、のことを、考えながら……弄ってっ、いました……!」

 

「よく言えたね、えらいえらい」

 

 ご褒美に頭を撫でてあげる。涙声で嬌声交じりにカミングアウトしたティナは、まるで叱られた後の子供のようになっていた。

 

「ぐすっ……嫌いになりました……?」

 

「何が? それだけ僕のことを好いてくれていた証じゃないか。今までも好きだったけど、もっと好きになったよ」

 

「好きって……そんなに何度も……あぁ……」

 

 恥ずかしさと幸福感が同居したような声を上げるティナ。後ろからじゃよく見えないけど、きっと他人には見せられない表情をしているんだろうなぁ。

 

「ちょっと僕の上からどいてくれない?」

 

「? わかりました」

 

 素直に僕から離れるティナ。今までずっと感じていた体温がなくなりちょっと寂しいが、すぐにこれからもっとくっつくことを考えたら我慢できる。

 ズボンのベルトとチャックに手をかけ、それらを外した後パンツごとズボンを一息におろす。

 

「ひっ……!?」

 

 ぶるんと飛び出した、浅黒い性器。一目見たティナがか細い悲鳴を上げた。

 

「これがさっきまで、ティナちゃんのお尻に当たっていたものだよ」

 

「あ……ああ……」

 

 言葉にできないようだ。見た目はグロテクスであるが、ティナの目はそこから離れようとしない。

 

「一人でしちゃうぐらいエッチなことを考えたことがあるティナちゃんだったら、この後しなきゃいけないことがわかるよね?」

 

「……わかっています」

 

 ごくりとツバを飲み込むティナ。膝立ちの状態で今度は彼女が自身の下着に手をかけ、ゆっくりと下におろした。愛液でぬれた下着は、自身の性器と銀色の糸でつなぐ。太腿からは愛液が伝ってベッドに滴り落ち、両足から引き抜いたピンク色のパンティーをベッドの外に投げ捨てると、ペチャっと卑猥な音が発生した。

 

「スカートをつかんで、捲り上げて」

 

「……」

 

 視線を僕から逸らしながらティナは自分の短いスカートに手を伸ばし、たくし上げた。

 窓から差し込む月明かりによって、鮮明に彼女の性器が確認できる。幼い秘裂からはとろりとした愛液が今なおにじみ出て、股間と太腿、膝までを濡らしていた。

 

「……きれいだよ。それと、すっごいエッチだ」

 

「お、お願いがあるんです。私が、お兄さんの、ソレに……自分で入れさせてください」

 

「それはいいけど……怖くない? だって、僕とティナちゃん、サイズ差がすごいんだけど」

 

 ティナのおんなのこと、僕の猛獣。襲い掛かったらとんでもないことになりそうだけど、大丈夫だろうか。

 

「平気です、だって私、最強の血が流れていますから」

 

「根拠として成り立っているのかな……でもティナちゃんだし。分かった、僕の上に……」

 

「はいっ、じゃあ、いきます……」

 

 ティナが僕の上に移動し、自分の入り口と僕の先端を触れさせる。対面座位、という体勢だったはずだ。

 

「腰を、下ろし……んんんんんんっ!?」

 

 ティナの小さな陰唇が無理やり開かれ、僕の強直が飲み込まれていく。ぎちぎちと音がしそうなほどのキツさ。しかしティナは、腰を止めることなく少しずつ挿入していく。

 

「はあっ、はあっ、はぁんっく……お兄さんの大きいのが……」

 

「ティナちゃんの中……キッツ……」

 

「あっ、いま、先端が何かに触って……」

 

 それが処女膜だということを理解したらしいティナは、腰を下ろすのをいったん止めてしまう。

 

「怖い?」

 

「平気って、言いましたよね。こんなの、一気に……はああああっ!」

 

 歯を食いしばったティナが、迷いなく一気に腰を下ろした。

 

 ずぶっ、じゅぶぶぶぶ……ぐちゅっ!

 

「あがっ……あっ、うぐうううっ!?」

 

「うあっ……一気に根元まで……!」

 

 何とか全部収まった。先端が子宮口に当たっているのを感じる。本当にギリギリのようだ。

 

「痛い……けど、すごい、気持ちいい……っ!」

 

「強がっちゃだめだよ」

 

「本当ですっ! 私の中に、お兄さんがちゃんと感じられて……動き、ますね?」

 

「……ティナちゃんがいいなら」

 

「じゃあ、動きます……あっ、はあっ、ん、ひゃああ!」

 

 ずぶっ、ずぶっと腰を動かし始めるティナ。彼女の主張通り、苦しそうであると同時に嬉しそうな顔だ。

 

「お兄さんはっ、気持ちいっ、ですか?」

 

「とっても気持ち良いよ。僕のモノの全体にまとわりつくように絡みついて……こっちも弄ってあげるから」

 

「あんっ……お兄さんって、おっぱい好きですよね」

 

「ちょっと違うね、ティナが好きだから、構成要素全部好きなだけだよ」

 

「また好きって言って……あっ、あっああっ!」

 

 腰が打ち付けられるたびに愛液が飛び散る、溢れる快感と幸福感に、胸がはちきれそうだ。

 

「チューしたいなぁ……うん、しよう」

 

「お、おにいさ、んむ……ちゅう、じゅる、ちゅぱ、れろぉ……」

 

 有無を言わさず唇を奪う。ティナはピストン運動を止めず、むしろペースをどんどん速めていく。

 

「は、はあ……ああっ。お兄さんのおっきすぎて、私の奥と、何度もキスしちゃってる……」

 

「何度してもし足りないよ。……でも、そろそろ限界なんだ」

 

「出したいんですね……じゃあ、スパートをかけますっ!」

 

 ぐっちゅ、ぐっちゅ、ぐっちゅ! ドロドロの膣がペニスをしごき、僕を射精させようと攻め立てる。いつの間にか、攻守が逆転していた。

 

「ぐあああっ、肉襞が、引っかかって……」

 

「はーっ、はーっ……私、もっ、イキそう……あっ……お兄さんのが膨らんで……出しそう、なんですね?」

 

「一緒に、イこう……ティナちゃん……!」

 

「はいっ! 思いっきり抱きしめて……あっあっあっあっあっ!」

 

 最奥で出すべく、がっちり体をホールドして離れないようにする。ぐずぐずに蕩けた膣が縮小し、彼女が達したと感じた瞬間、僕の方も限界が来た。先端が彼女の子宮口にディープキスしたと同時に、白いマグマがティナの中に噴火のごとく襲い掛かった。

 

 びゅぶ、どぶっ、どぶっどぶっびゅるるる!

 

「あああっ、熱いっ! 熱いのすごいっ! お腹、溶けちゃうぅっ!?」

 

「くっ! こんなに出て……うわっ、まだ出る!?」

 

 自分でも想像以上の量の精液が、ティナの子宮が瞬く間に埋め尽くす。収まり切れなかった精液が逆流し、結合部からあふれ出た。

 

「あぅ、あっあああ……お兄さんの、こんなに……幸せ……」

 

 ようやく射精が収まってきたところで、ティナが力尽きて僕に寄りかかった。

 

「……はぁっ、はっ、すごい量が出た……ティナちゃんの中、気持ちよすぎだよ」

 

「ふふっ、ごめんなさい」

 

 申し訳ないとは微塵にも思っていない微笑みを湛えて、ティナはいまだ痙攣が収まらない体で僕に抱き着く。

 

「……あーもう、自分で言っておいてあれだけど、やっぱり会えなくなるのが心苦しいなぁ」

 

「私も……」

 

 彼女が告白してきたときはかっこいいこと言ったつもりだけど、僕も案外ティナと同じぐらい寂しがりだというのを実感させられる。

 

「ところで、どうして島を離れることになったんだっけ? 聞いていなかったよね?」

 

「ああ、そうでしたね。えっと、『茶熊学園』から入校の推薦状が送られて、せっかくだから行ってみようかなって」

 

「冒険家育成学園か……年単位で会えなくなりそうだね」

 

 冒険家ではない僕が入学することはまず無理だろう。彼女が帰って来る時までこの島で待つしかない。

 

「いっぱい勉強して、もっと立派な冒険家になって……それから……」

 

 ことんと、ティナの頭が僕の胸板の上に落ち着いた。どうやら眠ってしまったようだ。

 

「おやすみ、ティナちゃん」

 

 僕はティナを抱いたままベッドに横になって、一緒に眠りについた。

 

 

 

「おはよう、ござい、ます」

 

「あっ、おはよう、よく眠れた?」

 

 翌日の朝。先に起きた僕はいまだぐっすりのティナにシーツをかけ、シャワーを浴びた後に朝食の準備をしていた。

 

「あのー……私、服って……」

 

 ティナがシーツを体に巻いた状態で、寝室からよろよろと出てきた。

 

「ああ、昨日すごい激しかったから、二人とも汗まみれで寝ちゃったでしょ? 仕方がないから勝手に脱がして洗濯機に入れちゃった」

 

「入れちゃったって……私着るものないですけど!」

 

「でもあの服のままじゃさすがに臭いが染みついちゃうでしょ? 僕のワイシャツ貸してあげるから、とりあえず乾くまでは我慢して」

 

「は、裸で、ワイシャツ……」

 

「下心は、ありませんヨ?」

 

「嘘ばっかり」

 

 不機嫌そうに頬を膨らませたが、他に着るものは何もないのでティナは渋々僕のワイシャツを着た。

 

「サイズが大きい……」

 

「そりゃ僕の着るやつだからね」

 

「お兄さんの着た服……匂い……くんくん……」

 

 こっそり嗅ごうとしているが、バレバレである。脱いだらちゃんと洗うようにしているので、特に残っているはずはないのだが。

 

「今朝食作っているから。次は目玉焼き」

 

「私も手伝わせてください! 卵割ります!」

 

「えっ、べ、別にいいよ、座ってて――」

 

「大丈夫です、こう、えいやって割ればいいんですよね? じゃあさっそく――」

 

 その目玉焼きが殻混じりのスクランブルエッグに変身したのは、言うまでもない。




 どうしてもストーリー部分が長くなって肝心の本番が短くなりがち。でも後悔はしていない。
 ティナの両親ってどこに行っちゃっているんだろうね。そのうちご両親にあいさつしないといけない料理人君だけど、母親はガチで島を滅ぼしたことがあるほどの人だから、無事で済むのかなぁ……。
 前回書いたアイシャ編とはいろいろと対比するように書きました。アイシャは相手の本心を聞いてからキスしたけど、ティナは先にキスしてから聞く、とか。キャラクター的にいろいろと正反対なんですよね、二人って。一方は小食で、一方は大食い。一方は考えるのが得意で、一方は苦手っていう。その二人が同じ学園の生徒会に入って協力していたっていうのも面白いですよね。
 自分が好きなキャラを重点的に描くんで、気長に待ってください。それじゃあ、また。
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