※この作品はR-18です。

相思相愛プロジェクト!!   作:わしはトマトが嫌いじゃ

3 / 7
 なんだか某錬金術師漫画にありがちなタイトルですけど、それとは一切関係ありませんのであしからず。見てもらえれば分かるから!
 今回は男気天使ルカです。それとちょっぴりシリアス。割と主人公君が不憫な目にあいますが、ちゃんと報われますのでご安心? を。
 初期ルカの服装って、中どうなってんのかなーとか自己解釈しました。何か詳細なデータとかあって違っていたらスマソ。このおっぱいで天使は無理でしょう。


CASE3 右腕の対価 (ルカ)

 痛い、痛い、痛い。

 右肩が焼けた鉄の剣を突き込まれているかのようだ。押さえようにも体の各所も痛みで悲鳴を上げている、寝返りすらうてそうにない。

 瞼を開けるが視界がぼやけてよく見えない、ここはどこだ?

 俺は……たしか、そうだ、紫髪の天使と、同じ依頼を受けて……。

 

「うっ……がっ」

 

 周りに誰かいないか声を上げようとしたが、出てくるのはうめき声だった。今まで何度か怪我を負ってきたことはあるが、ここまでの重傷は経験がなかった。

 

「――あっ、お、起きましたかっ!」

 

 きれいに通る声がそばから聞こえ、何とか動かせる首を声のした方向に向けた。

 ようやく視界が明瞭になり、俺を覗き込む少女の姿が目に入る。毛先に行くほど青みがかる紫髪。両足が根元から見えるほど裾が広がったコート。自分が言うのはあれだが、冒険家らしい特徴的な恰好をしていた。

 何より特徴的なのが、背中の翼と頭上に浮かんでいる輪っかだろう。これだけで彼女がどんな存在か判断できるというものだ。

 

「……る、か」

 

「そうですよ。ルカ・フォルティス、あなたを守る……役目を果たせなかった、守護天使です」

 

 慈しむような表情をしているが、守れなかったと言ったとき、彼女は申し訳なさそうに目を伏せた。

 確か同じ依頼を受けて、現地で会ってそのまま魔獣退治を行った暫定パートナー。あの時は馴れ合う気がなく、自己紹介もほとんどせずに目標達成のために一緒に戦った。彼女の方からはだいぶ話しかけてきたが、返答は最小限にとどめていた。

 守護天使として守ったらいと、見た目は裏腹にテンション高めで男気溢れる発言や気概を見せたルカは、宣言通りに俺のサポートに回っていった。彼女の防御魔術は強力で、普段の仕事よりやりやすかったのはありがたかった。

 

「ごめんなさい、私のせいで、そんな……大怪我をさせてしまって」

 

 依頼を遂行している最中に見せたテンションは鳴りを潜め、謝罪の言葉を口にするルカ。

 確か、あの時俺に魔術をかけていて油断していた彼女は、背後の茂みから飛び出したライオンみたいな魔物に襲われたのだ。

 当然ルカはよける間もなかった。そのまま彼女の首を噛み切ろうと迫った魔物がアギトを開くのを見て、俺は反射的に彼女を右腕で突き飛ばしたのだ。直前までルカがいた場所に俺の右腕が位置することになり、魔物の牙は容赦なく俺の腕に突き立てた。彼女がかけようとしていた魔術が中断されたため、防護なしで受ける羽目になった。

 

「あのライオンもどき……嚙みついた後さんざん人を振り回しやがって……。で、お前は? 怪我はないか?」

 

「私は大丈夫です……大丈夫、ですけど……あなたの、その、う、腕が……」

 

「腕? 肩のあたりが痛くて動かせ――」

 

 首を右に向ける。包帯でぐるぐる巻きにされた右腕が目に入る、そう思っていた。

 実際は違った。肩全体を血が滲んだ包帯が覆っている。それだけだった。肩の先が、なくなっていた。つまり、右腕がなかった。

 

「あの後、あの魔物があなたを振り回して投げ捨てるときに、腕を、食いちぎって……」

 

「……」

 

 頭の中が真っ白になる。冒険家という職業上、怪我は付き物で、時にはそれが原因で引退せざるを得なくなる。まさか自分が、今回引き当ててしまうなんて。

 

「私……死なせないようにしようと、必死で……でも、なくなったものは、私の治療魔術ではどうしようもありませんでした……ごめんなさい、本当に、ごめんなさい……」

 

「それは、違う!」

 

 震えた声で今にも泣きだしそうなルカを見た俺は、反射的に叫んでいた。

 

「庇ったのは俺の勝手な判断だったし、あの状況で背後まで警戒するのは難しかった。これは、仕方がないことだったんだ。ルカの治療魔術が優秀なのは、実戦でよく理解しているよ。むしろ腕を生やせる魔術なんて、実現しているかどうかも怪しいものを無理強いするつもりはない。俺たちは互いにベストを尽くした。だから、腕一本で済んだんだ」

 

「……」

 

 状況を無理やり正当化して、ルカに非はないことを何とか理解させようとする。

 

「冒険家が怪我をするのは日常茶飯事だ。たまたま、運悪く、片腕がなくなっただけのことさ」

 

 だが、なんで俺は出会って間もない少女に対して、自責の念を与えまいと努力しているのだろうか。そんな義理、本来はないはずなのに。

 

「せめて痛みだけでも、私が代わりに受け取れたら良いんですけど……」

 

「やめてくれ、それじゃ俺が庇った意味がないだろう?」

 

「私は守護天使ですよ? それが守られるなんて……」

 

「迷惑か? 悪いな、今更取り消しは効かないんだ。黙って受け取ってくれ」

 

 我ながらキザなセリフで胸やけしそうになる。大怪我を負ったとはいっても、起き掛けの会話でここまで余裕ができるのなら、右腕以外は問題なく回復するだろう。

 

「あなたは……これから、どうするんですか?」

 

「そうだな……とりあえずギルドで冒険家登録を取り消してもらって、そのあと故郷にでも一旦帰るか。……そういえば、冒険家になってから一度も帰ってないな」

 

「故郷はどこに? 遠いんですか?」

 

「まあ、飛行艇を乗り継いで二日ってところか。変わってなきゃ、島の半分が麦畑で出来た穀物の島だ。飛行艇で上から見ると季節によっては、黄金色の平原が広がっているように見える」

 

「なるほど……麦畑……穀物の島……」

 

「……言っておくが、付いてくるんじゃないぞ。おまえの上司が黙っていないだろう?」

 

 ルカのことだ、あれだけ言い聞かせても責任を感じて、俺の身の回りの世話をするとか言い出しかねない。利き腕を失って生活にも支障が出るから、いずれにせよ人を雇わなければならないが。だからと言って現役の冒険家の、しかも女神に仕える天使を、俺一人のために拘束するような真似はさせたくない。

 

「心配しなくても大丈夫です。女神さまにはきちんと説得しますから。もとより困っている人を助けるのが、天使の使命で、私の信念ですので」

 

「駄目だ、付いてくるな。大体な、天使っていうのは、目立ちすぎる。ルカの場合は特に。田舎ではめったに見かけるもんじゃないんだ。静かに引退後生活を過ごしたい俺の目論見をつぶす気か?」

 

「背中の翼と頭の輪のことですか? 大き目のフード付きコートでも羽織っていけば、何とかなりますよ」

 

「そもそも……二十四時間俺の面倒を見るっていうことは、住み込みになるんだぞ。若い男女が一緒の屋根の下。俺は自称紳士だが、間違いが起こってからじゃ遅いんだ」

 

「間違いって何のことですか?」

 

「そこからか……」

 

 俺の説得とルカの主張。話は平行線となり、結局夜がすっかり明けても決着がつかなかった。

 

 

 

 依頼を受けた村で療養すること一週間、俺は飛行艇の発着場にいた。少なくとも一か月は安静するように言われたが、このままだとルカが強引に追いかけてきそうだったので、彼女がいない隙を見計らって療養先から抜け出してきたのだ。

 

「いない……よな?」

 

 途中ギルドの酒場に寄って登録を解除してもらう時も警戒は怠らなかったが、今のところあの意地でも主張を曲げない守護天使の姿はない。

 それにしても周りからの視線が鬱陶しい。まあ普通病院にいなきゃいけないレベルの隻腕の怪我人が、包帯ぐるぐる巻きの状態でこんな場所にいるのだから仕方がないか。飛行艇では個室を割り当ててもらおう。

 

「さて、どんな仕事を探すか……」

 

 故郷に着いた後のプランを考える。まず利き腕を矯正しなければならない。仮に片腕で出来る仕事が見つかったとしても、使える腕がなければ意味がない。

 

「なるようになるか」

 

 理由あって少年時代から冒険家活動をしていたため、幸いにも蓄えはそれなりにある。しばらくは、少しでも体の調子を戻すべくトレーニングをするべきだろう。

 

「――発進五分前ー、発進五分前ー。お乗りの方はお急ぎくださーい!」

 

 乗る予定の飛行艇の甲板から、船員が大声で呼びかける。もう振るう機会のない大剣を背負って、トランクに詰めた荷物を持って乗りこむため足を進める。

 

「――まああああってくださあああぁぁいぃぃぃっ!!」

 

 と、背後からだんだんと大きくなってくる聞き覚えのある叫び声が聞こえて、頭が痛くなった。

 

「……なんで翼があるのに走っているんだ?」

 

 嫌々振り返ると人混みを華麗に避けて全力疾走する守護天使の姿が。少女らしからぬ光景だ。というかなんだあのスピード、並みの短距離選手をも凌駕しているんだが。

 あっという間に、彼女は俺の目の前に到達した。

 

「はあはあ、追いつきました。もう、急にいなくなりましたからビックリしましたよー。村の人に聞きまわって、場所が分かった後ノンストップで来ました」

 

「俺は散々来るなって、言ったつもりだったが?」

 

「ふっふっふっ、もし女神さまのことが気がかりなら問題ありません! ちゃんと理由を伝えて、任務という形であなたをサポートするように言われましたから!」

 

「だからいなかったのか……」

 

 もはや彼女が俺に付きまとうことは確定事項になった。これは今後のプランも多少変更せざるを得ない。

 

「さあ、さあ、あの飛行艇に乗るんですよね? 荷物、持ちますよー」

 

「いい、自分で持てる。大体女の子に任せるわけにはいかないだろう」

 

「ご心配なく! 私、力持ちですので!」

 

「そういう問題じゃない」

 

 今からでも彼女のペースに慣れなければ、無駄に疲れが増すだけなのは明白だった。

 

 

 

 何度か乗り継いで丸二日、記憶通りの姿の俺の故郷が眼下に現れた。ほぼ真円を描いた形の孤島。中央部に高い山があり、山陰に隠れないような位置に麦畑が広がる。逆に日中あまり日が差さないエリアには小さな町がある。俺の生家はそのはずれの山の近くにある

 

「真緑ですね」

 

「まだ夏だからな。ある程度秋が深まらないと色づかない」

 

 丸い窓から覗き込むルカが、興味津々で島の全景を眺めていた。

 

「あの山、頂上からの景色ってきっと良いでしょうねー……」

 

「登山道は整備されていないぞ」

 

「ほら、私、翼ありますから。あなたを抱えて飛んでいけますよ!」

 

「山登りは興味ない。それに俺は今満身創痍なんだが」

 

「もちろん治ってからですよ。後でまた治療魔術かけておきますね」

 

 療養中は定期的に彼女から治療魔術をかけてもらっていた。多少の傷はすぐに治してしまうほどの強力なものだが、さすがに腕の欠損を含む全身の傷を一気に、というわけにはいかない。一か月休まなければならないのに一週間で歩けるほどにまで回復できたのも、ひとえに彼女のおかげだ。

 

「……もうすぐ到着だな。着いたらやることが山済みだ。サポートする気なら、きっちり働いてもらうぞ」

 

「承知しました! あなたの生活を……守ったらああぁぁあいっ!!」

 

 かくして、男気天使との生活最初の一日が、始まるのだった。

 

 

 

「うひぃっ!? クモは嫌です、クモは~!?」

 

 島に到着して一番に始めなければならないこと。それは住む家の掃除である。昔住んでいた家が空き家のままそのまま残されていたため、町長の許可を得てそのまま住むことが許された。先にルカには家の掃除を頼み、俺は食料や生活必需品を買い揃えるためにいったん別れることになる。

 で、およそ二時間かけてあらかた必要なものが揃い、購入したものは配達するように手配した後、すぐに使うものだけを抱えて生家に戻ってきたのだが。

 

「いやああああっ!? こっちはムカデぇっ!?」

 

 扉を開けると、キッチンでほうきとちり取り、雑巾といった基本装備を手にしたルカが、喚きながら暴れまわっていた。逃げ回っているといってもいい。

 

「ルカ、今そっちに黒いのが行ったぞ」

 

「そ、それって……ご――」

 

 例の黒いやつが突撃してくるのを目にしたルカは、屋根が吹っ飛ぶかと思うぐらいの甲高い叫び声をあげた。周りに民家がなくてよかった。

 

 

 

 ルカが害虫相手に悪戦苦闘していたため、あまり掃除は進んでいなかった。一応元々あった机と椅子は、すぐに使うと言っておいたから綺麗にしてはあったが。

 

「虫が嫌いだなんて、意外だったな」

 

「だって足の動きとかが~……ワキワキウゾウゾ、しかも飛ぶんですよ!? 体についたりでもしたら……」

 

 その割には依頼先で遭遇した巨大な虫には結構躊躇なくビームとかで薙ぎ払っていた気もするが。まあ小さいから苦手っていうのもあるかもしれない。

 

「お前にしては女の子らしいな」

 

「お前にしてはって、何ですかーそれー? どう見ても女の子でしょうに」

 

「今までの行動を振り返ってみような?」

 

 きれいに拭かれた机と椅子を外に運び出して、昼食の準備をする。埃だらけの中で食べるわけにはいかない。

 

「あなたが言う女の子らしいとは、どういったものなんですかー?」

 

「まず振る舞い方が全体的に男らしい。食べ方もな」

 

「むぐっ……」

 

 買ってきたベーコンレタスサンドを大きく口を開けてかぶりついたルカは、気まずそうにそのまま口を動かした。

 

「人目に憚らず大声をあげたり、短距離選手みたいなフォームで走ったり、率直に言えばギャップがすごい」

 

「うっ、うっ」

 

 一言一言がグサグサ来ているようで、グラグラと体を揺らすルカ。

 

「少しは女らしい仕草とかはできないのか? まあ、ルカが無理だというんなら? 俺は別に強制はしないがね」

 

 あえて煽るような口調で攻め立てる。ルカにはここに来るまで随分と振り回されたのだから、その意趣返しというやつだ。

 

「そ、そこまで言うなんて……わかりました。あなたがそうおっしゃるのなら、このルカ、全身全霊で女の子らしさを、出したらあぁ……だ、出したらい?」

 

 ぎごちない笑顔で言い直すルカ。これはダメそうな予感がする。

 

 

 

 飯を食った後、掃除の続きを始める。蜘蛛の巣やキッチン周りは俺が担当、ルカには床掃除や棚、これからすぐ使う寝室などを掃除してもらうことになった。この島は湿度が低いためあまりカビが生えず、ベッドのクッションやシーツは埃を丹念にはたけば使えそうだった。

 

「昔のままだ……誰も手入れしていないから当然か」

 

 冒険家になるまではずっとこの家で過ごしてきた。当時は両親と三人暮らしで、全員麦畑に関わる仕事をしていた。子供だった俺も、たびたび手伝いに駆り出されていた。

 人生が変わったのは十二歳ぐらいか。両親が森から迷い出た魔物に襲われ、あっさりと死んでしまったのだ。所有していた畑は当時の俺一人ではどうすることもできず、格安で手放すしかなかった。

 それから間もなく、俺は島から離れて冒険家となる。島には子供にできる仕事はほとんどなく、あっても収入は低いし、何より誰もいなくなった家にいるのに耐えられなかったのだ。

 

「それが怪我で引退したら、のこのこ帰って来るなんて……勝手な奴だよな、俺」

 

 冒険家になってからは、主に魔物討伐の依頼を重点的に受けてきた。直接見てもいない親を殺した魔物に見立て、仇のように倒してきた。そんな自分の醜い姿を見せたくなくて、ほとんど一人で仕事をしていた。

 

「逆に守ることを信条としている天使とあった日に、冒険家生活が終わりを迎えるなんて、皮肉なもんだ」

 

「何が皮肉ですか?」

 

 ルカがひょこっと寝室から顔を出してきた。どうやら独り言が聞こえていたようだ。汚れを気にしてか、あの白いコートは脱いでいて、その下の白いワンピースのような格好になっている。

 

「……もしかして、私と出会ったこと、後悔しています?」

 

「どうしてそう思う」

 

「もしかしたらですけど、私かあなたどちらかだけで依頼を受けていたら、私が油断して庇わなければならない、という状況は起きなかったのではないかと」

 

「もし、の話はいくらしても仕方がない。今ある腕で何とかするしかないさ。それに言ったろう? 庇ったのは俺の判断だって」

 

「あなたは……見かけによらず、優しい人ですよね、とても」

 

「見かけによらずってのは余計だ」

 

 這い出てきた虫をほうきで外に掃きだし、井戸から汲んだ水が張ったバケツから雑巾を取り出す。

 

「……む、俺じゃ絞れんな」

 

「私にお任せを!」

 

 嬉々として部屋から飛び出し、俺の手から雑巾をひったくったルカ。

 

「雑巾から水を……絞ったらあぁぁああい!!」

 

 無駄に気合を込めて彼女は全力で雑巾絞りをした。何事もアツくならないといけないのかこの天使。

 

「……さ、どうぞ」

 

 キラキラした笑顔で渡されたそれを受け取る。絞りすぎて少しボロボロになってないかこの雑巾? 今日の掃除が終わるまで持つのだろうか。

 

「そっちの進捗はどうだ? 最低限ベッドは寝られる状態にしないと、家の中の床で寝るなんてひどいことになるぞ」

 

「あー……そのーことーなんですけどーねー……」

 

 ルカがものすごく言い出しづらい表情を作っている。嫌な予感がするが、とりあえず現状を一から振り返る。

 

「日が暮れるまでまだ時間はある。ベッドは三つあるが、一つは子供のころのやつだから、俺たちが使う分には少し狭い。だからこそ親が使っていた寝室を掃除してもらっているわけだが、ルカ・フォルティス君? まさか使えないなんて言うことはないよな?」

 

「えー、半分そうで半分違う……みたいな?」

 

「? どういうことだ?」

 

「そのー……さっきベッドを一つ綺麗にして、その上にあなたの大剣を、邪魔だったのでいったんそこに置いたんですよ。そうしたら……」

 

「人の得物を邪魔呼ばわりするな。……そうしたら、どうした?」

 

「予想外ですよねー。まさか置いたらベッドの足が折れて使用不能になるなんて……」

 

 ルカの発言を半分まで聞いた俺は、速足で寝室へ向かった。窓際と壁際にそれぞれ一つずつ。その内、壁側のベッドが折れて傾いていた。

 

「気づかなかったぞ……そうか、俺が水を汲みに行っているときに……」

 

「どうやらシロアリにやられたみたいなんですよね。日当たりのいい窓際は無事でしたけど……」

 

 どうあれ、使えるベッドが一つしかなくなったわけだ。この家にはソファはないため、寝床はここしかない。

 

「どうしましょう、今からベッド買いに行きますか?」

 

「この島の家具店は注文してから作り始めるんだ。家に届くまで五日はかかる」

 

「じゃ、じゃあ今から応急修理して……」

 

「シロアリに食われたんだろう? 直しても別の場所が食われていたらおしまいだ」

 

 この後徹底的にこの家の木製部分をチェックする必要がある。それは掃除の合間にするとして、だ。

 

「……あるもので何とかするしかない、か」

 

 ルカが男気溢れる性格をしていようと、女性は女性。どちらも床に寝る選択肢はないとなれば、取れる手段は一つ。

 

「こうなったら、私が床で寝ますよ。怪我人に無理はさせません!」

 

「ルカ、しばらくは一緒に寝るぞ」

 

「私のことは心配ご無用! 野宿とかで慣れていますから……って、えっ? 今なんて言いました?」

 

 自分で勝手に床寝する方針に固めていたルカが、俺の言葉が耳に入っていなかったらしく聞き直す。

 

「だから、二人で同じベッドで寝るって言っているんだよ。さすがに二人だと狭いが、お前にしても近くで一緒にいる分には都合がいいんだろう? 俺の異変にすぐ気づけるし」

 

「えーっと……私と、あなたが、同じベッドで、寝泊まり?」

 

 ルカが自分に言いかかせるように一個一個確認する。さすがの彼女でも知り合って間もない男と隣で寝るのには抵抗があるのだろう。

 だが知ったことか。ここまで彼女が尽くすと言ってきたのだ。最大限利用させてもらう。

 

「そうだ。まあ最初から住み込みで働く気で来たんだから、今更嫌とは言わせないぞ。家主の権限で命ずる」

 

「うぬぬぬぬ……わかり、ました。つまりあなたの安眠につながる……というわけですよね? つまり健康にもつながり、傷の治りも早くなる……と。一日でも早く元気になるように、あなたの睡眠を守ったらあああぁぁああいっ!!」

 

 いつも通りの気合の入れ方であるが、どうも自分を鼓舞させているようにも見えた。

 

 

 

「いやーこの島の食べ物美味しいですねー。麦畑に目がいきがちですが、ほかの食材も充実していて」

 

 綺麗になったキッチンで作った夕飯を食べ終え、満足げのルカ。なお、料理はほとんど俺が作った。彼女には片手では難しい工程を担当してもらったが、材料を切るか盛り付けしてもらったぐらいだ。細かい味付けとか苦手なのが、彼女らしいと言えばらしい。

 

「作った穀物を餌として育てた家畜は、この島特有のブランドになっている。畜産農家が少ないから必然的に希少性も高くなるが、島民なら相応の値段で購入できるのがうれしいところだな」

 

「これでお米が手に入るのなら言うことなしだったんですけどねー……」

 

 ルカが言うには握り飯(おにぎり)が得意らしいが、この島には田んぼがない。米はあるが他の島からの輸入品であるため、島でいくらでも取れる麦と比べるとどうしても値が張る。彼女には悪いが、自慢の手腕を発揮することはできなさそうだ。

 

「当面使う分の部屋の片づけは済んだし、ようやくゆっくりできそうだ」

 

「二日かけての移動からのお掃除ですからね~。あなたもその状態で随分働いて、お疲れでしょう?」

 

「特に左腕がな。利き腕じゃないし、一本しかないから疲労がたまりやすい」

 

 五体満足のころは片腕での腕立て伏せは当たり前。愛用の大剣で素振りを一日何百回もやったり、トレーニングを兼ねて大木を切り倒すところから薪を作ったりもした。筋力には自信がある方だったが、非利き腕のみの作業は思いのほか疲れる。

 

「でしたら、マッサージも兼ねて今から体をお拭きしましょう!」

 

「……なんでそうなる?」

 

「だって疲れているんでしょう? 汗もかいているはずですし、着替えなきゃいけないですし。ほら、服を脱ぐのを手伝いますから、立ってくださいよー」

 

「自分で……」

 

「できる、なんて言わせませんよ。そもそも片腕じゃ拭くことができる範囲も限られますし、あなたは怪我人なんですから。無理はダメですよ? ほらほら、速くはやく! 腕を上げるのも忘れないようにお願いしますね」

 

 催促がうるさいので渋々立ち上がる。待っていましたと言わんばかりにルカが俺の服に手をかけ、一つ一つを丁寧に脱がしていく。

 

「……よく見たら、古い傷跡もいっぱいありますね」

 

 肌着を脱がして露わになった俺の肌を見て、ルカが興味ありげに呟く。

 

「あまりじろじろ見てほしくはない。……これは子供のころの傷だ、戦い方なんてまだ身についてなかった頃だからな」

 

「そこまでして、魔物を倒したかったんですか?」

 

「……ルカには関係のない話だ」

 

 つっけどんに返す俺に、むくれた様子でルカはパンツ以外のすべてを脱がした。

 

「では、拭いていきますよ……」

 

 水をしみ込ませたタオルを持ち、ルカが俺の体に触れた。冷たい井戸水がしみ込んだタオルとそれに触れた手はひんやりして、反射的に鳥肌が立った。

 

「ビクッってしましたよ? 驚いちゃいました?」

 

「いいからササっと済ませてくれ」

 

「仕方がないですね~」

 

 ルカは俺の傷に注意しながら、上から下まで少しずつ拭き上げていく。彼女の顔が肌に近くなると吐息が当たってくすぐったくなり、耳元に近くなるとんっ、んっ、と声が漏れ出ているのが聞こえる。

 至近距離で彼女を見るのは、怪我をして目覚めた以来か。あの時は腕を失った衝撃と、今後の事について考えていたからあまり意識していなかったが、こうしてみるとルカははっきり言ってとびっきりの美少女だ。例の男気溢れる性格も、言い換えればまっすぐで情に厚いということであり、人間性は好意的に受け止められる。

 振り返ってみれば、他人を遠ざけ、一人で誰もいない場所で魔物を討伐していた俺は、女性はおろか同性の友人すらいない。初めて触れる女性の肌。今こうして彼女に体を拭かれている状況を再認識して……俺は俺の中にある『男』が目覚めるのを感じた。

 

「んっ、ふっ……おや?」

 

 俺の異変に気付いたルカが、はたと手を止めた、ちょうど太腿のあたりを拭いていたところで、ソレにすぐ気づいたのだろう。

 

「……これって、おっきくなって、いますね?」

 

 若干ひきつった表情で、パンツ越しにソレを見つめるルカ。

 

「……悪かったな。女の耐性なんて、備わっていないんだよ、こっちは。今まで接点がなかったからな」

 

「私に興奮してしまったんですねぇ。それにしても今頃になって反応するんですか~? ずっと一緒にいたと思うんですけど」

 

「お前がいけないんだぞ。日ごろああやってアツいくせに、不意に女らしさを出しやがって」

 

「女の子らしさを出せって言ったのは、どこの誰ですかねー?」

 

「過去の約束事を引き合いに出すな……おい、なんで触る?」

 

 ルカが両手を伸ばし、布越しに俺の棒に触れた。直接触れられているわけではないのに、えも言えぬ感覚が走る。

 

「だって……男の人はこうなっちゃうと、落ち着かなくなってしまうんですよね? この状態では寝ようにも寝られなさそうですし……ここは私が、ご奉仕しようかなと」

 

「……やったことがあるのか?」

 

 するべき質問は違うことは認識していたが、どうしても気になり問いかけた。

 

「あ、ありませんよ~! こうして見るのも初めてで……あっ、パンツも下ろしますね」

 

「あっ、おい……」

 

 止める間もなくパンツに手をかけたルカが、一気にずり降ろした。

 ぶるんと飛び出し現れたのは赤黒い俺の相棒。女と無縁の生活を送っていた反動か、自分でも驚くほどのサイズになっていた。

 

「こ、これは……」

 

 目の前に現れた凶器に、怖気づくルカ。短剣もかくやという大きさの代物だ、自分の手に負えないのではと思っているのだろう。

 

「やめるか? 構わないぞ、俺は」

 

「や、やめませんよ! ちょっと驚いただけで……うっ、うわ~……」

 

「嫌がっているじゃないか」

 

「嫌がっていませんって! ほ、ほ、ほらぁ、こうして握るんでしょう? 熱くてカチカチで……武器、ですかこれ?」

 

「ある意味では生まれつき持っている武器だな」

 

 躊躇しながらも、両手で俺の愚息を握り、包み込むルカ。彼女の小さな手では、両手を使っても全体を覆うことはできず、亀頭が丸ごとはみ出していた。

 

「……でー、次はどうすれば、良いのでしょう?」

 

「……まず、手を上下にしごくんだ。ゆっくりな」

 

 知識だけは持っているので、指示することはできる。完全に膨らんだ肉棒を鎮めるのは怪我した状態では難しいし、ここはもうルカに任せることにする。何よりこうなったのにもルカにも原因があるのだから、責任を取らせる必要もある。

 

「こうっ……でしょうか?」

 

 水にぬれたルカの手が、しっとりと肉棒に張り付く。手が上下に通り過ぎるたびに、ビリビリと電流のような感覚が生まれた。

 

「あっ……先端の穴から、透明な汁が……」

 

「……ルカの手際がいい証拠だな。うまいぞ」

 

「ぬるぬるしていますね……これを使って……んっしょ、んっしょ」

 

 先端からにじみ出た先走りを掬い取り、怒張全体に塗りたくることで滑りをよくするルカ。手の動きがスムーズになり、それに比例して生まれる快感も強くなる。

 

「少しずつ強くして……いいぞ。ルカの手がすべすべで柔らかいから、とても気持ちがいい」

 

「よかった……ひゃっ、今、ビクッてなりましたよ? まるで別の生き物みたいですね……」

 

 だんだん勝手がわかってきたらしく、俺の反応を見てより敏感な場所を探して重点的に責めようとしてくる。

 

「このキノコの傘のように膨らんでいるところのすぐ下、指が当たるたびにビクビク震えて……ここが特に気持ち良いんですね?」

 

「くっ……」

 

 先端からあふれ出る先走りがルカの手を濡らし、さらなる潤滑油となって愚息全体に広がる。ぬっちゅぬっちゅという音が数時間前までは空き家だった生家に響き渡る。

 

「……出るっ!」

 

「ひゃあっ!?」

 

 急激にこみあげてきた射精感を止めることができず、噴水のような放精を開始した。長い間溜め込まれ続けた精液は一度十センチほどの高さまで上がり、その後愚息を握ったままのルカの手に降り注ぎ、穢していった。

 

「はぁ、ふぅっ、はぁああ……凄いです。熱くてドロドロしたのが、こんなに出て……手がべたべたになってしまいました」

 

 男性の象徴を握りしめたルカも、まるで自分の性器を愛撫されているかのように息を荒くして紅潮していた。

 

「何か拭くものは……って、ルカ!?」

 

 蕩けた視線が向けられているのは、先ほど出したばかりの俺の精液。そしてルカは自分の両手についたそれを、躊躇なく舐めとった。

 

「んん、じゅるっ……ちゅっ、ぺろぉっ……ごくっ」

 

 艶めかしく精液を啜り取っていく様は、今までの彼女にはない大人の色気を出していた。そこには男気天使といわれる要素はどこにもない。

 俺が呆然と見守っている間にも、ルカは手についた精液をすべて舐めとり、自身の臓腑へと落とし込んだ。

 

「はあ……あ、苦いですけど、癖になりそうですね、これ……」

 

「飲めとは一言も……言っていないんだが?」

 

「好きな人の物ですから。全然苦になりませんよ」

 

「……ルカ、いま好きって」

 

「あっ……まだここにもこんなに……」

 

 ルカの発言を指摘しようとしたが、今度は俺の愚息についた精液に狙いを定めたようで、少し萎んだソレに彼女はしゃぶりついた。

 

「んずちゅっ、じゅるっ、じゅぅぅぅうう……」

 

「ぐっ……吸い出して……!」

 

 尿道に残った精液をも逃さないルカは、舌で亀頭全体を舐めまわしながら、強烈なバキューム力で吸い上げていく。

 その後もたっぷり時間をかけて愚息を舐めつくしたルカは、ようやく口を放した。

 

「んっくっ……はあ、はあ、はあああ……。また、おっきくなっちゃいましたね……」

 

「誰のせいだと……」

 

「誰でしょうねぇ?」

 

 ルカがわざとらしくちろっと舌を出してクスクス笑った。普通放精すれば落ち着くものだが、絶頂直後にルカがフェラを行ったためすっかり硬さを取り戻していた。

 

「うーん……このままもう一度手でするのもいいんですが……」

 

 あごに手を当てて考え込んだルカは、おもむろに自分の服を脱ぎ始めた。

 

「なぜおまえまで……」

 

「だってこうしないと、胸で挟めないじゃないですか」

 

「胸で、挟む」

 

 あれよあれよとルカは下着以外のすべてを脱ぎ、純白のブラジャーも上にずらして自らの乳房を露出させた。

 

「あとで私も体を拭くつもりでしたし……それにさっきで大体コツをつかめました。要は適度に圧迫しながら上下に擦ればいいんですよね?」

 

「それよりも……お前の胸、結構、いやかなりの大きさだな……」

 

 どうやら着やせするタイプらしいルカは、服を脱いだことにより豊満なバストがあらわになった。ブラジャーなどの押さえるものが何もなくなった胸は、彼女が動くたびにたぷんと揺れる。

 

「んもう、そんなに凝視しないでくださいよー。恥ずかしいじゃないですかー」

 

 赤いままの顔を背けて、両腕で真っ白な二つの果実を隠すルカ。

 

「……いや、そんなことよりもさっきの質問だ。ルカ、お前は俺のことを好きって、言っていたよな? なぜだ?」

 

「……」

 

 一度は流されたが、そのまま誤魔化そうだなんてそうはいかない。

 ルカは答える代わりに、腕がなくなった俺の右肩を撫でた。触られるといまだに痛むが、不思議と彼女が触れることに関しては、感覚はあるが痛みはほとんどない。

 

「私からも質問させてください。なんで、あの時私を庇ったんですか?」

 

「……そうだな」

 

 結論から言えば、その理由は今でもよくわからない。反射的に、衝動的に突き飛ばしていた、それだけだ。

 

「俺にもわからないんだ。今のところは、な。期待に沿うような答えが得られなかったのなら、謝るよ」

 

「謝るだなんて……守りたいという気持ちは人それぞれですよ。私のように信念に則ったり、大切な人を守りたいと思ったり。あなたのように、理由なく人助けしたり。……でも、根底にあるのは、きっと自分が納得したいという気持ちから来ているんでしょうね」

 

「ルカが言うと重みが違うな」

 

「えへへ……私があなたのことを好きになったのは、守ってくれたからではありませんよ。一見すると怖そうなあなたにも、ちゃんと優しい心を持っていた。優しい人を好きになっちゃうのって、当然だと思いません?」

 

「ルカの言う俺の優しさが演技で、お前を取り込めようとしていた……なんていう可能性を、考えなかったのか?」

 

「ありえませんよ。右腕の対価には釣り合いませんから。私なんて」

 

「そんなことはないさ。ルカは素敵な女性だ」

 

 自分を卑下するルカに真っ向から否定する。彼女を鬱陶しがっても、嫌いになるなんてありえない。

 

「~~っ。もうっ! お世辞を言ったってなにも出てきませんからーっ! むしろ出させる方ですからね!」

 

「うおっ……」

 

 恥ずかしさをこらえきれなくなったルカが、その巨乳で俺の愚息を挟み、包み込んだ。両手で包まれていた時とは全く違う感覚。ふわふわした乳肉の感触と温もりがとても心地いい。

 

「先っぽが出ていますね……あむっ」

 

「ぐっ……無理するなよ」

 

 ルカは胸の谷間から飛び出た鈴口に舌を這わせ、吸いついた。チューチューとストローで飲み物を飲むかのごとく吸いながら、挟んだ両乳を自分の手で持って、上下に動かし始める。

 

「んじゅるるっ……じゅぼっ、ちゅぅぅぅ……ちゅるっ」

 

「はあっ……はあっ……うぐっ……」

 

 一心不乱の俺から精液を出させようと、手と口と胸を総動員して快楽を生み出そうとするルカ。俺の赤黒い性器と、彼女の白い果実のコントラストが、とても卑猥に見える。

 

「ちゅぅっ、ちゅっ……出そうですか? 先端が膨らんできているのがわかりますよ……」

 

 唾液でべたべたになった肉棒から口を放したルカが、胸を動かす手を止めないまま、俺に視線を向けてきた。

 

「ルカ……するべきことは、分かっているな?」

 

「ふふふっ、ええ、分かっていますとも。床にこぼすなんてもったいないことはしません。一滴残らず……飲んだらいっ」

 

 再び口づけたルカが、最後の追い込みを仕掛ける。胸の動きも激しくさせ、爆発寸前の俺の愚息が蹂躙される。

 

「出す……出すぞっ! ルカっ!」

 

「んむっ、んんへふほっ……んんんんっ!?」

 

 上目遣いで良いですよと塞いだ口から言ったルカに目掛けて、俺の精がほとばしった。咥えていたルカの口に注ぎ込まれる熱く濃厚な白濁液。それを彼女は一滴もこぼすことなく、注がれる端から飲み込んでいく。

 

「んぶっ……じゅるっ、ごくっ……んぐっ……ん……」

 

 射精が収まった後も、ルカは口内と尿道内に残った精液を飲む干すべく、もごもごと口を動かした。最初に舐めとった時よりも時間をかけて、彼女は宣言通りに一滴残らず飲み切った。

 

「ふ、うんんっ……はあ、はああ……さっきよりもいっぱい出た気がします……」

 

「あれだけルカを感じ取れればな……うん、だいぶスッキリしたよ」

 

 ようやく元のサイズへと推移していく息子を見て、ほっと胸を撫でおろす。

 

「……あのーちょっといいですか?」

 

「どうした?」

 

「私、散々あなたのモノを奉仕したんですけど……そのせいでしょうか、体が火照ってしまって……」

 

「……」

 

 下を見れば、彼女の腰を覆う下着は、女性の割れ目のあたりの色味が深まっていた。にじみ出た彼女の粘性の体液のせいで、濡れた個所がてらてらと光っている。

 

「……言っておくが、品切れだぞ、こっちは」

 

「わ、分かっていますよ! そもそも怪我人にこれ以上の無理はさせませんから! ……ただ、あとでその、あなたの手で、慰めてはいただけないかなーと。本番は、怪我が治って負担がないときにしたいですから」

 

「……しょうがないな」

 

 幸い性器を愛撫するのなら、片腕だけでもできる仕事だ。何より自分だけ満足しておいて、功労者であるルカに何の褒章もないなんてそんなのあんまりではないか。

 

「恋人として当然だからな」

 

「認めてくれるんですね……」

 

「当たり前だろう? 一時だけなんて、右腕の対価としては割に合わない。責任もって、これからも傍にいるんだな。俺はお前がいなきゃまともに生活もできないんだから」

 

「えへへー、そうかー、恋人かー……」

 

 にやけるルカを尻目にさっとパンツを上げ、俺は食事を終えたままの食器を片付けることにした。この後の彼女のお楽しみのために、今日できる作業をすべて終わらせる。

 ルカとの刺激的な一日は、こうして過ぎ去っていくのだった。




 本番は無しです。ほら、主人公君大怪我しているし、続編の時にたっぷりいじめてやりますからご勘弁を。決して尺の都合上とかそういうのではないんだからねっ!
 ところで言葉遣いとかこれで合っているのかな……? あんまり男気を出せた気がしないけど、かと言って出しすぎると別キャラになりかねないし……。タグに『キャラ崩壊』って乗っけたけど、それともなんか違うしなー。
 ちなみに、作者はルカレインも応援しています。女子力高めの好戦的な男って、ルカとは真逆の属性すぎない? レインだからいいのか。シェアハウス時の二人の格好おしゃれですよね。ルカにナース服で看護されたいの巻。いつかやろう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。