この場で素っ裸になっても構わないと投げやりに宣言した堀北だったが、いざ裸になると想像すると顔から火が吹き出そうなほど恥ずかしかった。
いや、この感情は恥ずかしさだけではない。自分はこれまでこのクラスのために最善を尽くしてきたつもりだ。
徹底的に無駄な時間をなくして、自己研鑽に励んできた。
皆の手本となるようにそして尊敬する兄に手が届くように努力を積み重ねてきたはずだった。
しかし、いま自分は一人だけやり玉に挙げられて、男子の下衆な性欲にまみれた視線と女子の好奇と侮蔑の視線にさらされながら恋人にも見せることすらためらまれる裸を晒さなければならないのだ。
「それで?この場で水着を脱げばいいのかしら?」
堀北の声は今日の天気を聞くかのように平然としたものだった。しかしその声を発している顔は真っ赤でありそのごまかしはあまり意味をもっていなかった。
「そうだね。脱いでもらうんだけど、その前に一つ面白いことを思いついたんだ!」
櫛田の提案にみなは興味深々だった。
「堀北さんの裸をみんなで見る前に賭けをしない?」
どういった賭けなのか?堀北は今すぐ水着を脱ぐ必要はないことに安堵していたがその内容を聞き愕然とした。
「堀北さんの身体がどういう感じなのかをみんなで当てるゲームなんてどうかな?例えばだけど、堀北さんの乳首は何色なのか?とかあとは…処女なのか、そうじゃないのか?アソコは控えめなのかそれとも盛りマンなのかみたいな賭け。ただ見るだけなんてつまらないし、見世物になってもらおうよ。」
櫛田の提案に次々と賛成の声が集まる。
「そ、そんなことまで許可をした覚えはないわよ!それは流石にやりすぎだわ!」
わめいて抵抗する堀北だったが、櫛田はそれを予想していたのかゆっくりと堀北の耳元でつぶやいた。
「堀北さんってさ。まだ、みんなには嫌々こんなことをされてるってなってるけど、それも奪ってもいいんだよ?堀北さんのオナニー動画を私が持ってること忘れてた?あれを堀北さんから送られてきたって暴露したらどうなるかな?正真正銘の変態さんになっちゃうよ?」
「…そ、そんな…あれは櫛田さんが送れっていうから仕方なく…。」
「でもみんなはそんなこと知らないよ?」
「私も鬼じゃないからね。堀北さんがどうしてもいやだっていうことは辞めてあげてもいいよ?あんまり調子に乗ってないことならね。それでどう?」
悪魔の取引だった。こちらの要求を一つ飲むからそれ以外のことはすべてやれということだ。しかし堀北からすれば櫛田が譲歩したともとれる。堀北はそうすることによって生まれる櫛田のメリットを考えた。一つはこの見世物をつつがなく行うためだろう。要求を出されるたびに嫌々と言っていたのだと盛り上がっていた雰囲気が下がってしまう場合もある。
しかし、それを認めてしまったが最後、NG以外のすべてをしなくてはいけなくなってしまう。逆にNGを伝えるということはやられたくないことを知られてしまうということだ。
それ自体が弱みとなりますます言いなりにならなくてはいけない危険が増える。
それも加味したうえで堀北は受け入れることを選んだ。
「何をやめてほしいのかな?」
櫛田は嬉々として尋ねた。堀北の本当の弱みをつかむことのできる機会に望外の喜びを感じているのだ。
櫛田にとっての堀北とは復讐の対象ではない。もちろん、やり返しの側面はあるがそれよりも虐めるための対象だ。だから本当の一線を越えるつもりはない。一線を越えるかもよ?と脅すことでその反応を楽しむのだ。
「私は...処女を奪うのはやめてほしいわ...。」
涙ながらの懇願に櫛田は絶頂するかのような快感を感じた。あの堀北がまさか純潔にこだわってるのが意外すぎたのだ。櫛田は別にレズビアンというわけではない。しかしそんなことは関係ないくらい今の堀北は性的に魅力的だった。
あんなプライドが高そうで、自分にも厳しく、そして裸になることを許容して、オナニーまでも命令されるとしても最後に残したいものは純潔というとことがものすごく愛おしい。
「堀北さん、可愛いね。余計に汚したくなるけど...それだけは守ってあげる。でも、許容できる範囲を超えた抵抗はだめだからね?」
堀北はこくんとだけうなずき肯定の意を示した。
「堀北さんも納得したみたいだから、さっそくはじめよっか!」
その後、次々と賭けの内容に関してアイディアが飛び交った。
①堀北鈴音は処女なのか?
②乳首の色はピンクなのか?また、その形は綺麗なのかそれとも垂れ乳のようなブサイクおっぱいなのか?
③アソコの毛はしっかりと手入れされているのか?またそれは薄いのか濃いめなのか。
④堀北鈴音の性的な経験はいつ行われたのか?ex)初オナニーや毛の生え始めた時期。また胸が膨らんできた時期など。
⑤オナニーはしたことがあるのか、ないのか。avは見たことがあるのかないのか。
⑥avは見たことがあるのかないのか。
⑦おまんこは綺麗なのか、それともブサイクなのか。小陰茎の長さやクリトリスの大きさや皮がかぶっているかなどで判別。
堀北の身体に関する事だけでなく、個人的な、プライベートに大きく踏み込んだ賭けの内容も盛り込まれたものになった。これだけ活発にアイディアがでるなら特別試験の時もやる気を出せと堀北は頭の中で悪態をついた。
「桔梗ちゃん。堀北のアソコがどうとか、処女かどうかは確認すればわかることだけどさ。オナニーしたことあるかとかってあいつが正直に答えるのか微妙じゃね?女子はしたことあるって割合が8割らしいけど実際に聞いていたら誰もしてないって答えるらしいし。」
よくありがちなネットの知識を持ち出して池が疑問を呈した。
まじめな風に質問をしたつもりだったが、女子のオナニーの話の時に女子全体を見るようにして言ったのは本人の気質だろう。現に女子は池と目を合わせようとはせず、なんとなくきまづげな雰囲気が漂い始める。
池の質問を聞き、男子の視線が女子の方に集中したことも関係があるだろう。女子と男子の間に罅があ¥入りそうになる中、櫛田だけが平然として答えることができた。
「堀北さんとは隠しごととか、演技とかはしないようにさっき確認したから大丈夫だよ。」
さっきというのは、堀北と櫛田の二人がひそひそと話していたあれか池はと思い出し納得をしたようだった。しかし、男子たちはそのあとにした女子のオナニー事情についての話について何か補足があるのではないかと期待を込めた顔をしている。
「あと、そういったネットの情報は信用しないほうがいいよ。大体、都合のいいようにゆがめられてるし私もそういう経験はないかな。これでいい?」
「ご、ごめん!桔梗ちゃん!そんなことを言わせるつもりはなかったんだけど。」
そういいつつ、池の股間はさっきまでとは違い、ギンギンになっていた。櫛田がオナニーについて知っているという事実、そしてしたことはないと言及したことは彼にとってたまらなく興奮することのできるおかずになった。
櫛田は不快な思いを心の奥底に隠し込んでいたが、それを表に出すことはしなかった。堀北にセクハラや性的ないじめをするために自分の裸を見せたのはやりすぎたかもしれないと今更ながら反省する。
そして、男子たちのおかずになっているのは自分だけではないと堀北は感じとり少し楽な気持ちになった。そして、男子たちは自分のことを裁くという大義名分を掲げているが、その本音はただ性欲を満たせればなんだもいいのだということにも気づいた。
この場で効果的なのは、自分だけでなく、櫛田も巻き添いにすることかもしれない。自然な状況でそれを行うことができれば、男子は間違いなく自分の味方になる。でもそのためには自分から率先して辱めを受ける必要がある。
堀北は自分が返り咲くためにも覚悟を決めた。
「じゃあ気を取り直して。賭けの報酬だけど、正解した数が多い上位三人まで堀北さんになんでも命令できるっていうのはどうかな?」
「な、なんでもってほんとになんでも…なのか?」
櫛田の件で一悶着あったが、報酬の内容を聞いて見せ物という雰囲気が戻ってきた。まさかの内容に期待と困惑の声が上がる。それに答えたのは堀北だった。
「ええ。ただ、私と櫛田さんとの間である契約を結んだ。その内容以上のことはできない。でもそこに踏み込まなければなんでもするわ。ただしもしその一線を超えるような要求をした人はその命令の権利を失うということにさせてもらう。いいかしら?」
「うーん。それだとなんでもってことにならないような気がするぜ。」
「そうだよな。実際は何もさせられないで終わるってこともあるわけだろ…?」
この状況をうまくまとめたのは平田だった。
「この問題の論点は堀北さんの一線とはどのくらいのレベルなのかということだと思う。それがしょうもないレベルだったら僕たちもがっかりしてしまう。その上で聞きたいんだけど、そのレベルはどの程度、なのかな?大まかにでも言ってくれないと僕たちも認めるわけにはいかないかな。」
「それは…私から説明できるものでもないわ。これは私と櫛田さんとの契約だもの。」
「じゃあ、わたしからふんわりと説明しようかな。と言ってもみんなの心配は起こらないんじゃないかな?もし堀北さんの条件を破るとみんなも警察に捕まるような犯罪になる可能性が高いものだから。それと意外と堀北さんも乙女だった。とだけ言っておこうかな。」
乙女というワードに堀北は少しだけ恥ずかしそうに下を向いた。男勝りなイメージと処女は奪われたくないという考えがギャップがある。堀北も自分自身でそのことを自覚しているため恥じらいを感じたのだろう。
「わかった。ありがとう。よく考えたらこのゲームの発案者の櫛田さんが認めた条件だもんね。そこまで厳しくはないってことを知れただけで良しとするよ。話を止めて申し訳なかった。」
「じゃあ進めて行こうか。まず堀北さんの性体験について当てるゲームから始めようかな。ちなみに、堀北さんがこれからやるゲームの中では嘘はつけないし、隠し事もダメっていうルールになってるから。その点は大丈夫かな?」
「...ええ、問題ないわ。」
「一応、堀北さんの口からも言ってくれない?」
一応というのがどういう意味をもつかわからなかったが、とっくに意地を張る段階は過ぎている。堀北は素直に彼らの意向に沿うように言葉を選びながら誓いを口にする。
「私、堀北鈴音はこのゲームにおいて聞かれたことはすべて偽りなく、隠し事もせずに答えることを誓うわ。」
男子たちはというと、ゲームにおける質問の内容を確認して、ひそひそと盛り上がっていた。
「あいつがオナニーしたことあるかとか聞けるのやばくね?」
「堀北のことだからどうせないんだろ?」
「下の毛が生えた時期とか地味にエロいよな。av女優でもマニアックすぎて答えてないんじゃね?」
などなど期待と妄想を膨らませていた。中には股間を大きくして前かがみになっているものもいた。
「堀北さんほどの性事情を知れるなんてすごいラッキーだね♪私も個人的に質問したいことはたくさんあるけど、まずは堀北さんの身体に関する賭けから始めよっか。」
①堀北鈴音は処女なのか?
②乳首の色はピンクなのか?また、その形は綺麗なのかそれとも垂れ乳のようなブサイクおっぱいなのか?
③アソコの毛はしっかりと手入れされているのか?
④またそれは薄いのか濃いめなのか。
⑤おまんこは綺麗なのか、それともブサイクなのか。小陰茎の長さやクリトリスの大きさや皮がかぶっているかなどで判別。
「みんなの案で出たのはこんなところかな。堀北さんに水着を脱いでもらったら全部わかることだから簡単でいいね♪」
櫛田は今日一番の笑顔をしている。
堀北がクラスの全員に裸を晒すことはこれが初めてなので楽しいのだろう。
堀北はついに自らの水着に手をかけた。