あんなことがあってから翌日。
あのあと、制服のポケットを確認すると小型の盗聴器らしきものがあった。
やはり、隙をみて仕掛けられていたようだった。
登校一時間前。すでに身支度を終えて勉強を開始しようとすると電話がなった。
こんな時間からかかってくることは普通ない。
液晶を見ると案の定、櫛田桔梗と表示されていた。
「やっほー。堀北さん。いい朝だね。元気?」
「別に普通の朝だわ、で何かしら。用がないなら切りたいんだけど。」
「またオナニー でもはじめるの?」
「別にそんなことしないわ。勉強をしようと思っていただけ。」
「そっか。わたしは今からしようと思ってたんだけどな。堀北さんにも手伝ってもらいたいんだわけどだめかな?」
「手伝うって何をするの?」
「言わせないと気が済まないの?オナニーだよ。堀北さんだけだと不公平だと思って。」
「切るわ。」
「昨日のさ。映像は脅しに使わないって言ったけど堀北さんがオナニーしてたって言うこと自体は対象外だよね。噂だけでも流したら凄いことになるんじゃないかな?」
「そうしたら私も櫛田さんが不法侵入してきたことを学校に提出するわ。」
「だったら私も動画拡散させるよ。そっちから約束を破ったら契約も無効だよね。」
「それを脅しと言うんじゃないかしら。」
「あくまで噂を流そうかなって言ってるだけだよ。これはわたしが今まで築いてきた信頼のおかげだよ。動画による脅しじゃないことくらい堀北さんならわかるよね?」
櫛田の言っていることは詭弁だ。映像を脅しに使わないということは昨日の全てに適応されると二人で確認していた。
しかし、櫛田が決定的な行動に出ない限り堀北に反撃する手段はない。それに反撃したとしてもよくて相打ち、最悪の場合オナニー動画は拡散されてしまう。故に、ブラフだと分かっていても堀北には櫛田の言うことに背くという選択肢はとれなかった。
「何をすればいいの?」
「さっすが!話が早いね。じゃあ。今日の下着の色を教えてくれない?」
「何になるのかわからないけど、今日の下着は白色よ。」
「へぇーだいぶ清楚なんだ〜。」
「白だとおしっこの色とは黄ばんじゃわないの?」
「….クロッチのところは洗っても落ちない場合もあるわ。でも外から見れば大丈夫よ。」
「そっかー。正直に答えてくれてありがとう。」
「じゃあ、昨日は改めてどうだった?わたしはいま堀北さんにオナニー の様子を聞かれてるって考えるだけでちょっと興奮しちゃった、やっぱり違わない?」
「たしかに、性的快感が高まったのは認めるわ。」
「あの後もオナニー した?」
「……..。」
「堀北さん?」
「ええ。したわ。」
「何を?」
「自慰行為をしたわ。気持ちよかったわ。」
「そっか!よかったね。ちなみになんだけど今身に付けてるクロッチ見せてくれない?ビデオ電話にしてもらって。わたしの予想だとシミになってると思うんだよね。」
「下衆な想像ね。ありえないわ。」
「じょあ、お願い!」
堀北は躊躇いながらも下着を脱ぐと裏返しにしてカメラでクロッチの部分を映し出した。何もなっていないことを願って。」
「あれーーー。ちょうど真ん中のところシミになってるよ。じゃあお股に手をつけたり離したりしてみてくれない?」
「もういいでしょ。」
「よくないよ。やれ。」
堀北は願っていた。どうか、何を起きないでくれと。
しかし、クチュ、クチュと音が鳴り響く。
「認めるわ。わたしは貴方の質問で性的興奮を覚えてしまうみたい。」
「そうなんだ。やっぱり変態さんなのかな?」
「…..誰だって人それぞれの性癖はあるわ。」
「なるほどねー。つまり堀北さんの性癖は恥ずかしいことを聞かれたりすることなんだ〜。」
「….. もう、登校の時間よ。貴方のくだらない遊びに付き合う時間はないわ。」
「あら、残念。また学校で会おうね?ホームルームまでお話ししよ?空き教室の〇〇室で待ってるから。」
そういうと櫛田は電話を一方的に切ってしまった。
わたしは自分自身に問いかける。
なぜ、体が反応してしまうのだろう。
たしかに、性的な質問をされたとき嫌悪と共に背徳感のような感情が芽生えてしまっているのも事実かもしれない。
メッセージ音が携帯から通知されてきた。
「いま、濡れてるお股は拭かないでそのまま下着を履いてがっこうにきてね?」
櫛田さんらしい嫌味な命令だ。少しくらい拭いて行っても多分気付かれないと思う。でも、櫛田さんとは誠意ある対応をしているうちになんとか打ち解けるかもしれない。私が正直になっているのもそれのせいだ。
わたしは脱ぎ捨てた白色のショーツを履くと鏡の見ながらスカートを身につけた。
大丈夫。まだ外から見ても何もおかしくはない。
わたしが空き教室に来た時、そこにいたのは櫛田さん一人だった。
「はい。では身体検査を始めまーす♪。堀北さんはこれをしてもらいまーす。」
櫛田さんが取り出したのは手錠だった。
それを私の手首にかけるとあっという間に後ろまで運ばれてしまった。
「あれ?抵抗しないの?今日は、やけに素直だね?」
「ええ。少しこれまでの行動を反省したの。今日一日は櫛田さんに誠意ある対応を心がけるわ。」
自分の身を圧倒的に不利な立場まで捧げる。
それは今までやってこなかった行為だ。
これまでは上から櫛田さんを導き正そうとした。しかし、それではうまくいかない一年間だった。ならば、その逆ならどうなんだろう。
わたしが自らの身を捧げている間は櫛田さんはクラスのために働いてくれるのではないか?
それがわたしが導き出した結論だった。
「櫛田さん。お願いがあるの。」
「うん?聞いてあげるよ。何かな?」
「わたしはこれから出来るだけ櫛田さんに誠意を示していくわ。だから櫛田さんもクラスのためにわたしに協力してほしいの。」
「ふぅーん。じゃあ一つ試させてもらうね。わたしに誠意を見せるってどう言う意味?ぼやかされてる感じがするんだよね。もっと直接的な表現で教えてくれない?」
堀北は顔を赤くしながらわたしの目を見て宣言した。
「わたしは櫛田さんに一切の隠し事をやめるわ。部屋にも盗聴器を置いてもらって構わない。わたしは普段どうりに生活するわ。携帯の中身も他の人に迷惑がかかる範囲以外全て見せる。言うこともできるだけでも聞くようにするつもり。そのかわりクラスのために私に協力して欲しい。」
「そうだなぁ。二つ聞いてくれるならいいよ。盗聴器じゃなくてカメラをつけてもらう。あとは私の命令は堀北さんの頼み事に比例して大きくなる。隠し事をしないのも携帯を見せるのも誠意としてくれとるよ。でも命令は出来るだけだったでしょ?だから、取り引き。これは後でも先でもいいよ。私もAクラスに行きたいのは本当だから。」
「….,わかったわ。カメラのことも….認めるわ。ただ、それも使って脅迫するのはやめて。その映像は櫛田さんの個人的なことでしか使わない。それを飲んでくれるなら認めるわ。」
「ふふ。取り引き成立だね。」
「じゃあ、取り引きしようか?今日はたぶん特別試験が告知される日だよね。とりあえずここで言うことを聞いてくれたら今日は堀北さんの言う通りに協力するよ。」
「わかったわ。あと….30分だけど貴方の言う通りにするわ。」
「じゃあ、そうだな、身体検査の続きするね。」
次々と私の服は櫛田さんに取られていく。
残されたのは上下の白の下着のみだった、
「お!申告通りに白色の下着なんだね。ショーツの真ん中には黒いリボンなんかつけちゃって♪ 生意気だなぁ….!」
「別にデザインで選んだわけではないわ。ちょうどセールをしていてサイズがあったから購入しただけよ。」
「はいはい、そうですか。でもさぁ、気づいてないかもしれないけどショーツの下の部分、少しシミになってるよ?もしかして手錠をかけられて興奮してるのかな?」
「そこまでの被虐趣味はないわ。」
堀北は毅然とした態度で櫛田のことを睨みつけた。
「おお〜怖い、怖い〜。そういうことしなきゃ私も手加減してあげようってなるのになぁ〜。じゃあ、しっかり質問してあげる。なんでシミになっちゃったのかなぁ?」
「……ここの教室に来る前に….櫛田さんに何回か性的な質問をされたわ。」
「そうだねぇ。それで?」
櫛田の執拗な質問責めにも毅然とした堀北の態度は崩れなかった。
「その時に….櫛田さんに昨日、自慰行為をしてしまったと告白したときに私は性的に興奮してしまったみたい。だから、手錠なんかでこうなったわけではないわ。」
櫛田はそれを聞くと声をあげて笑い始めた。
「手錠なんかでこんなったわけじゃないわ!ってマジでウケるんだけど。つまりだけど堀北さんは縛られたり拘束されたりするんじゃなくて女の子としては、したのがばれたら死にたくなるくらい恥ずかしい、オナニーをしましたって敵に宣言するほうが興奮するんだね。それってなんでいうかわかる?アブノーマルっていうんだよ。」
「さっきも言ったように誰にでも個人的な性癖はある。それに関して私は恥じる必要性を感じないわ。」
「相変わらず可愛くないなぁ。お仕置きされないとわからないのかな?」
次回:櫛田がドSになります。