堀北はこの日の六限にあるプールの授業が憂鬱で仕方がなかった。
幸いにも、朝のホームルームには遅刻せずにショーツを変えてくることができたのでⅮクラスのみんなには何も気づかれずに現在に至っている。
なぜ、憂鬱になっているのかというと櫛田から出された命令のせいだ。
それはまず授業の終わりに抜け出して胸のサポーター部分を外し乳首を透けさせること。二つ目が何らかの方法で下の毛の生え方をクラスメイトの最低でも数人に見せることだ。
乳首を透けさせることについてはもう諦めている。実物を見られるわけでもないのだ。
ただ、形を知られてしまうだけ。そもそも、同年代の女子の乳首の形なんてみんなあまり変わらないと思う。
だから、乳首の形を見られてしまうこと自体はそこまで悩まずに受け入れることができた。
もっとも、少し前までの堀北なら全力で拒否したはずなのだが...。
問題なのは二つ目だ。下の毛......陰毛を部分的ではなく、すべて見せなくてはいけない。そのところが堀北を憂鬱にさせている原因だった。下の毛の生え方はその女子の最も知られたくないプライベートな情報のひとつだ
。どんな色をしているのか。質感はどうなっているのか。そして...手入れはどのようにしているのか。
自分がもし全剃り、いわゆるパイパンしていたら抵抗はそこまでなかったのかもしれない。
パイパンならば、ただ全部剃っているということが知られるだけでそれ以上のことは知られなくて済む。
しかし、私はパイパンにはしておらずハサミで少し長さを整えた後に逆三角形になるように剃っている。
そのため、すべての下の毛に関するプライベートな情報がクラスメイトの前に露わになってしまうのだ。
幸いなのは数人にアクシデント的に見られればいいというところくらいだ。だから見られてもいい人物を考えておくことくらいしかやれることはなかった。
数人ということは、三人といったところだろう。できるだけその人物は女子がいい。でも、全員が女子というのは櫛田さんが納得しないだろう。
男子は一人入れておく必要がある。でも…誰ならマシに思えるのだろう。
男子で嫌悪感を感じにくい人物と言ったら…平田洋介君が思い浮かぶ。しかし、彼とは少し前のクラス内投票の件で揉めてしまったばかりだ。
山内君が退学してしまってからというものどうやら様子がおかしい。
女子に話しかけられても最低限の会話しかいない。春学期の綾小路君の方がマシに思えるくらいに少ない。
……綾小路君なら、まだマシかもしれない。男子と言っても明確なグループは男女混合で話題にはならなそうだ。それに、あのグループの男子もそんな話題を好んでするような性格ではないと思う。
次の特別試験の時に相談するのが少ししづらくなるかもしれないが、背に腹は変えられない。
それからただただプールの時間がくるまで授業を受けていたのだけど、たまに櫛田さんがこちらの方を「楽しみだね♪」というようにこチラチラと見てくるのが気になってしまう。
そうこうしているうちにプールの授業の時間がやってきた。
私はいつも通りにスクール水着に着替えていく。特にタオルで隠したりはせず下着を脱ぐと全裸の状態になり鞄から取り出していた水着を体に通していく。
いつも意識していなかったけれど水着に着替えるときは、体を隠しながら着替えている人も少なからずいるみたいだ。
例えば、軽井沢さんはそれに該当していていつもタオルを使いながら着替えているか、最後に更衣室から出てくるかのどちらかだ。一回だけ先生から遅刻はしないように注意されたけれど「セクハラなんだけど、女子の着替えに時間がかかることも知らないの?」と高圧的に言われてからは何も言われなくなっていた。
もちろん、だれでもそんなことがまかり通るわけではなくクラスの中心人物である軽井沢さんだからだと思うけれど。
何か見られたくないものでもあるのだろうか?スタイルも良く胸だって貧乳というほどは小さくない。多分C~Dくらいだと思うけど、太っている様子なんて一ミリも感じない。
このプールで一部の人に下の毛を見られてしまうと思うと自然と同姓にもかかわらず下の毛に目が行ってしまいそうになる。
軽井沢さんはどのような手入れをしているのだろう。見た目通りにギャルっぽくすべて剃ってしまっているかもしれない。それとも、髪の毛と同じ金色のブロンドヘアがすこしだけ生えているのかもしれない。
見てもいない軽井沢さんの下の毛事情を想像するとなんだか不思議な気持ちになってきたのを感じる。
一度も見たことがないからなのだろうか。
そう考えながら軽井沢さんが着替えはじめないかと様子をうかがっているとうっかり軽井沢さんと目が合ってしまった。
「堀北さん?着替えたのに行かないの?」
軽井沢さんに不審がられて声をかけられてしまった。
「いえ、すぐ行くわ。軽井沢さんは着替えないの?」
「あはは。そうだね。みんなの前だとどうしても恥ずかしいんだ。あんまり人には言わないようにしてるんだけど。ギャルだからそこらへんもオープンなのかなって思われるから複雑なんだよね…。」
「たしかに、同姓でも恥ずかしさがあるのは納得できるわ。でもそれならみんなに言えばいいんじゃない?」
「いやいや、そんなことしたらスクールカースト下がちゃうよー。これは堀北さんだから言えたんだよ?クラスのリーダーだから。だから他の人には言わないでね?
「わかったわ。貴方もクラスの上に立つだけの苦労があるのね。でも出来るだけ遅れるのは避けなさい。良くないわ。」
「はいはい。出来るだけ気をつけまーす。」
そんなやりとりをして私は更衣室を出た。
軽井沢さんの意外な一面を見ることができたけど、あれは本当なんだろうか。初心だからと言っていたけれど何かを隠しているような雰囲気が感じられた。
多分、私がジロジロ見ていたのをいつも着替えが遅いことを咎めようとしていたと勘違いされたのだろう。
本心ではなくても軽井沢さんと同等だと言われたこと自体は嬉しいかったから悪い気分はしていない。
自分はそんな中で今日、辱めを受けなければいけない。せめてこのことを言われるのは後がよかったと思う。
更衣室からプールへと続く途中で壁に背を預けながら待ち構えている女子生徒がいた。櫛田さんだ。おおかた、釘を刺しにきたのだろう。そう考えていると一度目を合わせた時とは打って変わっていつもの櫛田さんの口調で声をかけられた。
「やっほー。堀北さん。これからすごい恥ずかしいことをすると思うんだけどなんか手伝ったほうがいいことあるかな?胸のサポーターがないのは事故で言い訳できるかもしれないけど下の方はどうにもならないんじゃない?」
櫛田さんは楽しそうに問いかけてきた。
それに対して私は何も言い返すことができなかった。
「ええ。先ほどからずっと考えていたのだけどどうしても不自然になってしまうと思います。」
私には選択肢がなかった。敬語を使って櫛田さんに譲歩をしてもらうしかない。そんなふうに屈服してしまう自分がどうしようもなく情けなくなる。
「そっかー♪じゃあ、屈服のポーズとってみようか?」
続きが遅くなり申し訳ありません。
ここ一ヶ月くらいでわかったのですが、大体二週間ペースで書きたくなる時とあまり気が進まない時を行き来しているみたいです。
とりあえず今週中にはプール編は終わらせたいです。
また、魔法科高校の劣等生を同時並行で書きたいと思っているのですが、そのアンケートにお答え頂ければ幸いです。
魔法科は今5000字くらいストックしています。リーナとエリカは深雪と真由美と魔理あたりです。
内容はこれと似た感じになると思います。
どっちがいいのか
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魔法科高校とよう実を同時並行で。
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よう実に集中してほしい。
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魔法科のほうが読みたい。