紐パンきつねの夏色ご奉仕 作:ナルキケーネ(ハーメルン支店)
まつりとフブキが〝目に見える約束〟をしてから、一ヶ月ほどが経っていた。
あれからも毎晩のように、恋人同士ではないふたりが、言葉にできない愛を確かめ合っていた。
誓いを立てる以前とは違い、触れ合うだけの逢瀬では止まらなくなったまつりとフブキ。脚を組み絡ませ、お互いに濡れた花びらをぐじゅぐじゅと擦らせ合うような、ホンモノのセックスをする仲まで繋がりが深まっていた。
それでもベッドで肌を重ねる際には、基本的にまつりがリードをする関係性は変わっていない。
フブキは頑張れる範囲でその気持ちに応えようとし、舌や手、擦り合わせる秘部で、まつりを軽い絶頂まで押し上げることができるようになっていた。
今日も今日とて、攻めたデザインの白い紐パンを穿いていたフブキは、まつりに何度も大きくイかされて意識を手放していた。
「……あっ……んっ……はぁ、くぅ……んんっ……♡」
(……ん……ぅ……?)
大好きな人の、大好きな声が聞こえた気がした。
快楽で痺れていた頭に、少しずつ意識が戻ってくる。クリトリスに走る、じんじんとした疼きが感覚の精度を上げていった。
(……そうだ……私、まつりちゃんにイかされて……そのまま……)
自分が噴いた大量の潮で、ビショビショになっていたシーツの冷たさまで感じられるようになったフブキは、恥ずかしそうに唇を震わせた。
電動マッサージ機による性感の残響に、腰をじれったく揺らそうとしたところで、鼓膜を甘く震わせるくぐもった声を認識する。
「あっ、あっ……くぅううっ……♡ イイ……ここ、なら……ん、んっ……♡ すぐにっ……イけそ……ぉっ……う、はぁああっ……♡」
(……まつりちゃんのこえ……? それに……この音って……)
フブキはゴールデンイエローのピアスが着いた耳をピクピクと揺らし、同じベッド上で背を向けている少女の嬌声に聞き惚れた。
いつも攻められてばかりのフブキは、まつりがセックスに耽る声を集中して聞けたことがなかったのだ。
まつりは、こんなにも女の子らしくて可愛い声で喘いでいる……フブキはそのことを強く実感し、(普段から、もったいないことをしてるなぁ……)と反省していた。
くちゅくちゅと、蜜壺を激しく掻き回す粘っこい水音が頭の奥まで浸透してくる。指を膣口に突っ込み、表と裏から陰核を刺激して、まつりは顎を持ち上げた。
「あっ♡ああっ♡イくっ……♡ あ、もっ……イっ……くぅっ……♡ はくっ……はぁっ……♡あっ……うあああっ……!!♡」
ぷしゅっ♡と小さな水音がしてから、息を荒げたまつりが、シーツの上でビクンと跳ねた。そのまま何度も身体を痙攣させて、切れた息を整えようと肩を揺らす。
甘美な余韻を引き延ばしているのか、まつりはくちくちと控えめな蜜音を漏らして「あっ♡あぁ……んっ……♡」と切ない声を上げていた。
(……まつりちゃんの……おな、にー…………聞いちゃった…………)
ドキドキと暴れる鼓動と、荒くなってしまいそうな呼吸をなんとか抑えて、フブキは再び眠ろうとした。
しかし、聞いてはいけないものを聞いてしまった罪悪感と、まつりの手技を思い出した秘部の疼きが神経を昂ぶらせてくる。そのまま寝入るのは不可能に近かった。
「はぁ……はぁっ……♡ ごめんね、フブキ……また、ひとりで……ヤっちゃった……」
余韻から冷めたまつりはフブキの背中に抱きつき、素肌に慎ましくも柔らかく熟した胸を押し当てる。ピンと硬く勃起した乳首が、フブキの背中の神経を過敏にさせた。
ふさふさの尻尾を股で挟んで、絶頂で濡れた陰唇を筆でなぞるような、繊細なこそばゆさを味わっている。じゅくじゅくと擦れる秘部の感触は、フブキの尻尾にも伝わっていた。
「ふぅー……ふぅ……んんっ……♡ まつりも、頑張って……はぁ……♡ フブキとのエッチで、満足しようと……してるんだけど……」
まつりは自分の愛液をフブキのお腹に塗り付けながら、なだらかに引き締まったアイドルの下腹部を撫で回す。
そこにはまだ微量のもどかしさが溜まっているとわかっていながら、まつりは自分の欲求不満をフブキに押し付けようとはしなかった。
「……フブキが、限界までまつりを欲しがってくれるの……待ちたいから……」
(……まつりちゃん…………)
熱く湿っていた吐息が力を失うように、安らかな寝息に変わっていく。背中とお腹にまつりの体温を感じながら、フブキは自分の頑張りを思い返した。
まつりを愛したい気持ちは強くあるし、それをどうにか伝えようと、恥ずかしいのをたくさん我慢してエッチな行為に臨んできた。
まつりの真似をして、秘部に舌を這わせ、ぬかるんだ膣壁を指でコリコリとほじくることにも慣れてきたはずだ。
しかし、性感に慣れているまつりを満足させるには程遠い。貝合わせをしても、ふたりが高みに昇る前にフブキの頭が真っ白になって、つい受け手に回って腰の動きを止めてしまう。
(……私、えっちな気持ちに弱いし……ぺってぃんぐも、せっくすも……へたっぴだし……。まつりちゃんに、いっつも我慢させてたんだ……)
フブキは、とうとう知ってしまったまつりの秘密に、しゅんと肩を落とした。
愛し合っているはずなのに、セックスの練度が違いすぎて、フブキが足を引っ張っているような状況だった。
まつりはフブキの頑張りを十二分に理解していたため、胸いっぱいまで夜伽を楽しめている。ただ、何も言わずに性欲だけを解消する必要があっただけだった。
(……ちょっと考えたら、わかったハズなのにな……)
お腹を汚した粘液から、まつりの優しさと気遣いをひしひしと感じながら、フブキは自責の念に駆られる。これまで何十回も身体を重ねてきたのに、その優しさに気付けなかった自分が恥ずかしかった。
夏色吹雪が性的なスキンシップをするようになってから二ヶ月弱。今のフブキがまつりを満足させられていないなら……過去には、もっと切ない夜を過ごさせていたことになる。
真面目なフブキの中で、唸ることしかできないような申し訳なさと、このままではダメだと反省する思いが強まっていく。
(…………私も、まつりちゃんに……最後まで、満足してもらいたいな……)
フブキは悩ましげにため息をついて、諦めるように眠りに就く。
やがて、バラバラのように思えていた二つの吐息は、オレンジ色の輝きに合わせてゆったりと重なり始めるのだが……睡魔に誘われたフブキには聞こえていなかった。