※この作品はR-18です。

十字路世界   作:256進法

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第十四号:機甲歩兵の最前線

「データ抽出、70%終わりました!!」

アリアドナは大声でコルテスに対して報告した。

 

「分かった、もうデータは良いぞ。今すぐ脱出する。予定外の土産付きだが」

 

「「「了解しました!」」」

 

コルテスは手足を拘束されたナタリーを担ぎ上げると即座に走り出した。

部下達も同様に人質兼捕虜を肩に担ぎそれに続く。

 

「脱出ルートは来た道を引き返せば良い感じか?」

 

「はい。ですがD-2区画に横穴を開ければ退却時間を37%を短縮出来ます」

 

「よしそれで行こう。案内してくれ」

 

 

走る。駆ける。

途中の障害物を飛び越し、曲がりくねった通路を駆け抜けてゆく。

 

そして一行はD-2区画に辿り着いた。

 

「アリアドナ、頼む」

 

「了解です。社長」

 

アリアドナは戦闘用バッグから掌程の三角形の黒い物体を幾つか取り出し、壁に貼り付けた。

 

 

「8メートル下がって下さい」

 

コルテスとアリアドナ、その部下達は壁から離れる。

 

「ピー」という電子音がしたと同時に、合成コンクリート製の壁が吹き飛んだ。

 

穴が開いたのを確認するや否や傭兵達は次々と飛び込んで行った。

 

 

「あとどれ位で兵員輸送車まで辿り着く?」

 

「1分半弱です」

 

「この短縮はデカいな」

 

「ええ確かに。電磁装備のヘリが来ている事も心配ですが、何故急な撤退の判断を?」

「罠だという事は理解出来ました。しかし食い破れない程の『罠』なのですか?」

 

「可能性は高いな」

「戦場に何時でも介入出来る精鋭部隊が何処かに潜んでいる」

 

「精鋭部隊?何故に精鋭だと?」

 

「軍の将官を監視出来るような連中はその任務の性質上限られてくる」

「しかもここは連邦に取っては遠隔地で、下手をすればこれから敵地になる場所だ」

 

「専門の訓練を相当に積んだ精鋭が動いていると考えるのが妥当だろう」

 

「だとすれば直接相手取るのは非常に不味い。こちらにも相当な被害が出る」

「対サイボーグ戦闘のプロが居れば生きて帰れない部下が多数出る」

 

 

「俺達はあくまでも『軍に雇われた傭兵』という立場でしかない」

「傭兵は生きて帰るのが勝利だ。軍人のように任務に殉じる事じゃない」

 

 

「そう言う事でしたか。納得できました」

 

「お!輸送車が見えてきたぞ!」

 

 

「撤退だ!!!!急げ!!!!」

コルテスは音量をマックスにして部下達に呼び掛ける。

 

それを聞いた部下達は慌ただしく撤収の準備を進め、次々と兵員輸送車に乗り込んでいく。

 

 

「!!!」

 

 

突如何もない空間からミサイルが飛んできた。

撤退する部隊の周囲を守っていた重装甲部隊の盾に直撃する。

 

「亀甲隊形ー!!!1メートルずつ後退しながら味方を守れ!!」

巻き上げる爆炎に飲まれながらもリト二ウスが叫んだ。

 

ミサイル攻撃は2分程続き、重装甲兵達の周囲は黒焦げになっていた。

 

更にリト二ウスは信じられない事態を目にした。

 

数十メートル先に敵の戦車部隊とヘリ部隊が展開している!

目と鼻の先だ!

 

狙撃兵が確認したのは数十キロ先のヘリだけだ!それに部隊が向かってくる音がしなかった。

いきなり(・・・・)現れた!

 

「テレポーテーションか!」

 

リト二ウスは共通会話チャネルを繋ぐ。

「指揮官殿!敵の部隊にテレポーテーションを使う奴がいます!」

「しかしこれ程の質量を一度に移動させられるものなのでしょうか?」

 

「…!!敵の精鋭部隊(・・・・)のお出ましだ」

「恐らく軍事訓練を受けた非常に高レベルなMUTEだ。それが部隊単位で近くに居る」

 

「スール!クレシエンテ!全員撤収までに後どれくらいかかる?」

 

「10秒」

 

「こっちは後40秒です!重火器の娘がまだです!」

 

「リト二ウス。後40秒稼げるか…?」

「俺は加速装置の二重使用で機関が焼け付いていて機動戦車相手では役に立たないから今はお前だけが頼りだ」

 

「無論!!全員生きて帰すのが私の仕事です!!」」

 

「頼むぞ!生きて帰ってこい!!」

 

 

共通会話チャネルが切れる――

 

リト二ウスは部下に通信で呼びかけた。

 

「β分隊は重火器分隊の車両までの撤退を援護しろ!部隊が車両に撤退するのを確認したら車両の防護だ!」

「敵の攻撃を防ぎつつα分隊の退路を確保しろ!」

 

「α分隊は……」

 

重装甲兵達はリト二ウスその先を言わずとも理解していた。

 

「対近接戦闘用意!!ですねリト二ウス隊長!」

 

「……迷惑を掛ける」

 

「良いんですよ。これが機甲歩兵ってモンです。奴等に俺等の生き様を見せつけてやりましょう!!」

 

「生きて帰ったら何か奢ってくれよ!隊長!」

 

突如通信が入る。

 

「なーに自分達だけでどうにかしようとしちゃってんのよ。軽火器分隊も車両から援護するわ」

「私の可愛い部下のお尻を厳つい男達だけに拭かせる訳にはいかないのよ」

 

 

「……感謝する!!」

 

 

目の前に居るのは連邦製の最新戦車と精鋭部隊。ジアースの玩具のような戦車と兵隊ではない。

吹き飛ばされて粉々になるかもしれない。

部下も自分も敵の電磁砲で死ぬかもしれない。

 

 

だが!!やるしかない!!

 

 

リト二ウスは腰の横から巨大な対戦車ハンドガンを抜き、煤だらけになった盾と一緒に構える。

 

一瞬の静寂――。

 

口火を切ったのは連邦の戦車だった。

電磁砲を撃ちながら輸送車に向かって突撃する。

 

同時にα分隊は駆けだした。

 

 

「ウゥオオオオオオォォォッッ!!!!!」

 

 

リト二ウスは凄まじい叫び声を上げながらその巨体ごと盾で戦車に体当たりした。

 

凄まじい衝撃にリト二ウスの意識が飛びそうになる。

だが、リト二ウスは戦車にズルズルと押し切られそうになりながらも踏ん張っていた。

 

足下の合成コンクリートで舗装された地面が捲れ上がる。

 

戦車とリト二ウスのぶつかり合いは拮抗した!

 

こうなれば後はガデス重装甲兵の本領を発揮するだけだった。

 

リト二ウスは意識を失いかけながらも手にしかと持っていた巨大なハンドガンでゼロ距離から只管弾をブチ込みまくった。

 

ハンドガンの名は「重義体用対戦車フルオートハンドガン『TKFH-4カスティーゴ』」。

並の義体では扱えないこの武器はガデスの重装甲兵達にとって誇りでもあり、魂だ。

 

「ウオオオオォォッッッッ!!!!」

 

対戦車フルオートハンドガンの反動で射撃の軸がブレる。だがゼロ距離だ。兎に角ブチ込めば良い。

 

最新戦車が弾の衝撃で揺れまくる。

 

そして操縦システムに致命傷を与えたのか、戦車は停止した。

 

中の人間は元々居なくて自動操縦なのか、それともただの肉塊になったのか、止まった戦車からは誰も出てこなかった。

 

 

次々と重装甲兵達によって連邦の最新戦車が潰されていく。だがそれでも攻撃が止む事は無かった。

 

スールからリト二ウスに通信が入る。

「重火器分隊は全員撤退した!!」

 

「了解!α分隊、β分隊車内に撤退する!!」

 

重装甲兵達は盾を構えながら引き撃ちし、車両の中まで撤退した。

 

「全員いるな!?」

 

リト二ウスがコルテスを見据えながら報告を上げた。

「エフギウムとフェッルムが電磁砲の直撃を喰らい、戦死しました!!」

「彼の義体は回収出来ませんでしたが、彼らの対戦車フルオートハンドガンは回収しました!!」

 

彼の声は僅かに震えていた。

 

 

「…分かった。戦争が終わったなら教会に頼んで彼らの葬儀をやろう」

 

「帰るぞ」

コルテスは操縦士に告げた。

 

「あとはカルロス次第か。頼むぞ親友」

 

砲火の中、彼等の乗るマオルヴルフAT-3はバックして体勢を整えると再び地中に潜って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ウクライナは過去に核放棄したのが不味かった

p.s. ガス買えないのにトルコ製ドローン買うお金あるん?
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