マイクは後方で爆発が起きる中、母親と自分が住む家へ急いでいた。
モニカは緊張とストレスで顔と身体が強張っている。
マイク自身にも余裕が無かった。
急がないと、急がないと母親が爆発に巻き込まれて死ぬ可能性がある!
車列が出来ていたが、車は全て放棄されていた。
(このままでは来るまで通れない…」
「仕方がないか」
「モニカ、すこし揺れるが我慢してくれ」
「…わ、わかった!マイクさん」
マイクは車道から歩道に乗り上げ、アクセルを全開にした。
車は轟音を立てて歩道を驀進する。
(あともう少し…もう少しで家なんだ!)
視界には爆発で吹き飛ばされり炎上している家々が見えてくる。
(頼む…無事で居てくれ母さん!)
「この角を曲がれば…」
(家だ!愛しの我が家だ!母さん!!!)
(家が見えて来た!間に合ってくれ!!)
次の瞬間、マイクの家にミサイルか何かが飛来して爆発・炎上した。
「ッッ!!!!!」
「母さん!!!」
マイクは炎上して焼け落ちていく家の前に車を急停車させた。
「きゃあっ!」
停車の反動に驚いてモニカが声を上げる。
マイクは車から飛び出すと、一直線に家へ駆けこんでいく。
「玄関の鍵…カギ…時間が無い!」
マイクはドアをタックルで吹き飛ばすと、家の中に転がりこんだ。
「母さん!居るか!!!?」
「マ…マイク…」
「聞こえるよ!どこだ!母さん!」
マイクの母親はリビングと階段の間でコンクリートの下敷きになっていた。
「待っててくれ!!今からどかすから!!!」
マイクは非常に力持ちな方だったが、それでも崩れたコンクリートはビクともしない。
「今からジャッキを持ってくるから!それまで頑張ってくれ!」
マイクは自分の車まで全速力で駆け寄って行くと、トランクからジャッキを取り出した。
「モニカ!母さんが崩れた家の下敷きになっている!!助けるのを手伝ってくれないか!?」
「わっ、わかりました!」
モニカは車を飛び出てマイクの後を追いかけていく。
マイクの後を追いかけたモニカは彼の母親が血だらけで下敷きになっているのを目撃した。
「っ!待っててください!おばさん!」
「モニカちゃん…?」
「喋ったらダメです!じっとしてて!」
マイクは懸命にジャッキを瓦礫に差し込みながらコンクリートを持ち上げようとする。
「モニカ!母さんを引っ張ってくれ!」
「はい!!」
モニカはマイクの母親を懸命に引き摺りだそうとするが、足が潰されてて引っ掛かっている。
「マイクさん!足が引っ掛かってる!」
「なんだと!?」
マイクは母親の足の方の瓦礫をどかそうとする。
だが、瓦礫は無常にもさらに落下して彼の母親を押し潰す。
「クソォッッ!!!」
「母さん!大丈夫だから!!もう少しで助けられるから!!!」
マイクは彼の母親を励まそうと声を張り上げる。
「もういいのよ。マイク、モニカちゃん」
「良くはないだろ!母さん!!もう少しで…」
「マイク!!!!」
彼の母親は大声でマイクを静止させた。
「もうダメなのは自分で分かる。貴方達は逃げなさい。そして生き延びるのよ!!」
「モニカちゃん、マイクをお願い」
「えっ…あっ…あっ…はい!」
モニカはショックで上手く声が出せない。
「マイク!!家の横のガレージに緊急時必要な物が有る筈だからそれを持って行きなさい!」
「リビングの床下には『お父さんの遺産』もあるわ…」
「なにいってんだよ母さん…皆で逃げるんだよ…俺が助けるんだ…」
「マイク!シャキッとしなさい!今アナタがすべき事はモニカちゃんを無事安全な場所まで送り届ける事でしょ!!!」
「お願い…お母さんを安心させて…」
「母親らしい事を最期ぐらいはさせて頂戴…」
「…わかったよ母さん…」
マイクは涙を流しながら返答する。
「マイク」
「何だい…?母さん…」
「生きて、幸せになって…それだけが願いだから」
「わかった。約束する」
マイクは母親の手を暫く握りしめると駆け出した。
「モニカちゃん。ごめんなさい。こんな事になって…」
「いえ…ぐすっ…ぞんなごどないでず…」
「思った以上に良い子ね。マイクを宜しくお願いするわ」
「ひぐっ…わがりましだ…おばさん…」
モニカもマイクの下へ駆け出して行く。
「これでよかったわね?貴方?」
マイクの母親は死んだ筈の夫に語り掛ける。
「大丈夫。あの子は強い子だから…」
「生き甲斐のある…人生だったわ……今から貴方の元に……」
言葉を終えると同時にマイクの母親は息を引き取った。
(続く)