机の椅子に深く腰掛けたまま、問題を次々に解く。
カリカリとペンの音が小気味よく響き渡る。
なんともいえない感覚だ。自分で自分が冴えている、集中できているとよくわかる。
この人の作った問題を解いている時はよくこんな感覚を覚える。自分で問題集に目を通している時はさっぱりなのに、こうしていると習ったことが次々に頭に浮かび、解き方がわかっていく。
「よし……終わったよ」
「あっ、もう大丈夫? じゃあ見てあげるね~」
最後の問題を書き終え一通りの見直しも終わり、解き終えたことを後ろの人物へと伝える。
すぐにその人物は手にしていたケータイを置いて、プリントの採点を始めた。
「うんうん……ここがちょっと違うかな」
「おっと、うっかりかな」
「後はオッケー! よくできましたー!」
そう言って赤ペンで丸を付けたプリントを返したのは僕の家庭教師……とも言える人だ。
名前はクレア・レーウィル。
肩までのふわりとしたダークブラウンの髪と可愛らしい笑顔が特徴である、二十代の前半くらいの見た目の女性。
やや高めの身長、なかなかのスタイルの良さ、とても整った顔のまあ……美人さんなのだろう。いつも会っていると、そういった実感があんまりわかないが。
そして僕はそんなやや人懐っこい雰囲気を纏う彼女を、クレア姉と親しみを込めて呼んでいる。
クレア姉はこの僕、有馬優希が小学生の頃に家のすぐ近くである、ここに引っ越してきた女性だ。
学校の帰りだったか、買い物の途中だったか、地域のイベントだったか、最初の出会いははどのようなものなのか、もう記憶もおぼろげだ。
だけどいつの間にやら、高校生になった今もこうしてちょっとしたお屋敷ともいえる広い家に、上がらせてもらったりすることもしばしば。
週末なんかはこうやって無償で勉強を教えてもらうことも日常の、両親をも含めた親しい仲になっている。
同年代の友達はいるけれど、それとは別のなかなか長い付き合い。
またどうしたわけか様々な分野に、見た目の若さに似合わぬ幅広い知識を持っているクレア姉だが、教え方も学校の先生とは比べ物にならないくらいわかりやすい。
現に今までやっていたのは化学の勉強で、問題も作ってもらったもの。
しかし……そんなクレア姉のことを僕はそこまでよく知らなかったりする。
仕事はいろいろやってると聞いたけど……やっぱり詳しくはわからない。
実は何かの発明の特許をいくつも持っていて凄い金持ちだとか、この家の他にも世界中に別宅があるとか、名前も偽名だとかちょっとだけそんな噂を聞いたことはある。
かなり得体の知れない人ではあるが……何年も付き合ったからわかる。間違いなくいい人ではあると。
「ちょっとコンビニ行ってくるけど、優くんは何か買ってきてほしいものとかある?」
「……ダメだったんだ。ほどほどにね」
その僕の言葉をクレア姉は小さく頷いて返す。
Fate/Grand Order、通称FGO、僕たち二人がプレイしているスマホゲームであるが僕が問題に取り組んでいるまさにその最中、クレア姉はガチャを回していた。
しかしさっき行ったばかりのコンビニに再び足を運ぶということは……そういうことなのだろう。
「じゃあ、アイスでお願い。適当なのでいいや」
「はいはい、了解」
そういって部屋から出ていったクレア姉を見届けると、僕も自分のスマホでFGOを起動する。
しかしクレア姉っていったい何歳なんだろう……
最初に会った時からほとんど顔変わってないような気がするけど……
「はあ……」
ゲームのプレイやネットサーフィンで時間を潰していた僕は、スリープにしたスマホを机に置いて大きく背伸びをする。
買い物に出ていってからそれなりに時間も経った。クレア姉も帰ってくる頃だろう。
「……」
わずかな暇をもてあましていた僕は、ふと席を立ち、部屋を出る。
そしてなんとなく普段あまり行かない廊下の一番奥の部屋へと歩みを進めていった。
「……空いてる」
ちょっと思いがけない出来事に、ドキリと鼓動が高鳴り、一瞬身体が硬直をする。
どうせ閉まっているであろうという僕の予想に反して、そのドアの鍵は開いていたのだ。ここは今まで入ったことのない部屋のはず。
特に何も言われたこともないが、ここを案内してくれたこともないので、自然のうちにわざわざ足を運ぶことはなかった……が、せっかくの機会だし少し覗いてみようかな。
「えっと……本ばっかだなあ」
部屋に入り、見渡した第一印象がつい口からこぼれた。
言葉通り、そこは本と本棚でいっぱいのまさしく書斎という言葉がピッタリの部屋であった。
確かにこれはわざわざ人を案内するような場所ではなさそうだ。
「ん? これは?」
そしてその中で何気なく手に取った本。表装は無地で、中身は印刷された活字ではなく手書きのもの。
ボロボロな中身に書かれている文字は英語……なのかよくわからないが、どうやらこれは……日記らしい。
「…………! えっ?」
あまり見てはいけないものだと直感しつつも、自分の中のわずかな好奇心に突き動かされ、開いたページの最後まで目を通す。
すると本来あり得ないはずの不思議な表記があった。
書かれたいた日付、何月何日であることは読めなかったが年を示すらしい数字は上二桁だけ読み取れた。
そこに書かれていたのが『15……』というものであったのだ。
これが本当にクレア姉の日記なら……約500年前の物ということになる。
……いやいやまさかそんなことはないよな。
きっとどこかで手に入れた書物なのだろう。そうだ、そうに違いないよな……ん?
「……!?」
「みぃ~たぁ~なぁ~」
「やめっ……クレ、ングッ!…………」
「……あ、あれ?」
ゆっくり目を開けていくと、見えてきたのは見慣れた天井。かすかな意識が徐々に鮮明になっていき、現状を把握していく。
照明がついているがやや暗い部屋、寝かされているのは……ベッドの上か。
意識を失う直前のこと……謎の本を読んでいた僕は、後ろから何を嗅がされてそのまま倒れ込んで……
「あっ、優くん起きた?」
「クレア姉……あっ!」
そうして目を覚ました僕に、ベッドの側の椅子に座っていたクレア姉が話しかけてきた。
持っていたスマホの画面がチラッと目に入ったが、ピックアップキャラが見えたので、あの後結局なんとかしたのだろう。
だがそんなことは置いといて……とりあえず最初に言うことは当然、一つしかない。
「ご、ごめんなさい……」
「ふーん、でも見ちゃったんでしょ~アレ」
「……はい」
「いいよ、優くんには教えてあげる。私の秘密を全部ね」
「えっ……」
それからクレア姉は自身の正体について語り始めた。その耳を疑うような衝撃的な内容に……僕は驚きを隠せなかったというのが本音だ。
「つまり……クレア姉はたまたま本当に不老となる薬を完成させた本物の錬金術師で……」
「そうそう」
「こんな見た目だけど、何百年も生きてる人だってこと?」
「その通り」
「……マジ?」
「うんマジ」
確かにそれならばさっきの日記のことも筋が通る。こんな状況で嘘をつくなんてことも考えにくいし……マジなのか。
「じゃあさ……これから何されるの?」
「そうだよね~やっぱ見ちゃったからには、タダじゃ済まないよね。やっぱ定番の記憶消去? それとも……」
「ゆ、許して……誰にも言わないからさ……」
僕は初めてこの人を恐ろしいと思った。前から何かしら秘密がありそうだとは思ってたが、まさかこんな超特大の秘密があったなんて……しかもそれを知ってしまって無事で済まされるわけがない。
これから何をされるのか……全く予想がつかない。
「な~んて冗談冗談。代わりといっちゃなんだけど、これを飲んでごらん。そうすれば許してあげる」
「え……これって」
そうしてベッドの隅で震えていた僕にクレア姉が渡そうとしてきたのは、見慣れない白い錠剤だった。
こんなときに渡される薬……嫌な予感しかしないぞ。
「……」
「ん? 怖がってる? 大丈夫だよ、危ないものではないからさ」
「え?」
「もう……やっ!」
「!?」
僕がためらっていると、突然クレア姉はその錠剤を指先でパチンと弾く。
恐るべきコントロールとスピードで口の中に入ったそれを僕は飲み込んでしまった。
「ああ……」
「大丈夫だって言ったでしょ。本当に危ないものじゃないから。でも面白いものではあるけどね……」
「え……んん!?」
嬉しそうにニヤニヤ笑うクレア姉に戸惑っていると、突如ドクンと強い胸の鼓動を実感した。
危険なものではない。もうその言葉を僕は信じるしかない。
だけど面白いものとは何が起こるのか……
だがその言葉の真意に考えをめぐらすその前に、変化はすぐに出始めた。
「あ、あぁぁ……?」
最初に気づいたのは声の変化だった。
普通の男のものだったはずの声が、自分の耳で聞いてわかるほどハッキリと、まるで女の子のような透き通った高い声に変わっていった。
「何っ……これっ!」
「どう? 気持ちいいでしょ?」
「あぁ、くっ……うぅっ」
次の変化は背丈だった。
身体がゴキリという音を発しながら、背が縮んでいく。袖が余り出し、指先は細くなり、顔すら変わっていく感覚がある。
そしてわずかだが胸元に違和感が少しずつ生まれていく。
ベッドでうずくまり、目も開けられないが、髪が伸びていき服も変わっていくような、そんな不思議な感覚すらあった。
しかしそのような尋常ならざる変化が自身に起きているにもかかわらず、感じていたのは痛みではなく……ほとばしるような強い快感だった。
「あああぁぁっ! んんっ! あぁぁっっ!!」
快感はどんどんと増していき、周りを気にする余裕もなく悲鳴に近い声が自然と上がってしまう。
そんな意識が飛びそうなほどの気持ちよさの中、自分の股間……男にとって大切なものが縮むように無くなっていくことを、代わりに奥へと続く裂け目ができていくことを、そしてその奥で新たな器官が作られていくことを確かに感じていた。
「うぁっ……あ゙あ゙ああぁぁっっ!!」
そして一際強い快感が全身を駆け巡り、雄叫びと共に全身がビクンとベッドの上で跳ねる。
それから少しの間、身体が動かないほどのボンヤリとした意識の中、気持ちよさを感じていた……
「完璧にできたみたいだね」
「え……クレア姉……何を、飲ませたの……」
「ふふ~ん、気になる? じゃあさ、これを見てごらん」
何とか座れるまでに回復した僕は、あまり力の入らない手でクレア姉が手渡した鏡を受け取る。
クレア姉の真意も知りたかったが、自分の変化を知ることが最優先であったからだ。
だが……その鏡に映っていた人物を見た時の衝撃は、直前まで考えていたことが全て頭の中から消えてしまうような、それほどのものだった。
「まさか……これ……ライネス?」
鏡の中にいた僕であるはずの人物は……煌めく金の髪を伸ばし、空色の瞳を輝かせる美しい少女。
紺のコートを纏った気品溢れる風格を持っているが、その表情は戸惑いに満ちている。
それはまさしく司馬懿の疑似サーヴァント、ライネス・エルメロイ・アーチゾルテその人だった。
巷に溢れるコスプレなんてまるで目じゃない。それどころか、現在のどんな技術を使ってもこんなことはできないと確信できる。
再現度100%、本物としか言えないライネスが鏡の中にいたのだ。
「もしかして、さっきの薬が……」
「その通り、飲んだ者の姿を私の思うがままに変える、私の自信作のひとつがあれだよ。優くん、ライネス推しだったでしょ」
「いや……そうだけど。これ戻れるんだよね?」
「それは大丈夫、時間がくれば戻れるよ。逆に言えば……時間がくるまでは戻れないけど。これで逃げ出すなんてこともできないね~」
そんな薬まで作ったのか……やっぱこの人は本物だ。
だけど、まさか自分が大好きなライネスそのものになるなんて……
でも、ちょっと……いや凄く嬉しいかもしれない。
「それに私もライネス好きなんだよね~」
「クレア姉……何を」
「やっ!」
「えっ!? んんっ!?」
「は~いい匂い。柔らか~い」
僕がその変化を確かめるがごとく自分の顔や髪、男性器のなくなった股間や服の上からでもわずかに感じられる、なだらかな胸を触っていると、当のクレア姉もベッドの上に乗ってきた。
そして突如、僕に覆い被さるようにして抱きついてきた。
艶やかなロングの金髪がベッドの上にふわりと広がり、その感触の良さとふわりと香るいい匂いを楽しむように顔を這わせていく。
それは次第にズレていき耳元、首筋、胸元、手やタイツに包まれた足にまで至っていった。
だけどこれって本当だったら、僕がずっとしたかった事であり……クレア姉、ちょっと羨ましいぞ。
だけどこの人と、こんな近くで肌を擦り寄せるなんてことも初めてなわけで、それはそれで興奮してくる。
やっぱり可愛い人だよな……
「ふ~最高。でも私ばっかりじゃなくて、やっぱり憧れの女の子になったからには、女の子ならではのことをたっぷり味あわせてあげなくちゃね」
「? わっ!」
「おっと、ここ気持ちいい?」
「や、やめ……ひゃぁっ!」
小柄な少女の身体となった僕を軽々と押さえつけていたクレア姉は、コートの足の間へと手を伸ばす。
そのままタイツを片手で器用に破ると、なんのためらいもなく秘部へと直接指を入れていった。
自身で感じる、細く長い指が肉を割って入ってくる感触。
なんだか不思議で……それでいてとても気持ちよくて、つい声が出てしまう。
「あの薬には特別に性的に興奮する作用も混ぜてあるからね。もう十分いい感じになってきたでしょ~」
「あっ……やっ! そこはっ!」
「とりあえずその身体で、一回気持ちよくなってみようか」
指の動きは加速し、膣はクチュクチュと水音を出す。初めて味わう感覚に、ふと助けを求めるように上がった手を、クレア姉は優しく握ってくれた。
さっきと同じように……いやそれ以上に快感が高まってくるにつれて、だんだん自分の中で何かが、背中から頭に向けて登ってくるような気がしてくる。
そして……
「ああっ! ああぁぁっ!」
その快感が突如頭の中で弾けるようにして、全身に巡ったのをはっきりと感じた。
ライネスの声色で甘い嬌声が部屋に響く。
クレア姉の手を強く握りしめ、髪を振り乱しながら弓なりに身体が硬直する。
膣内では指を締め付けていることを実感しながら……僕は男だったら決して味わえない女性の絶頂に達していた。
「はぁっ……はぁっ……」
凄い……これは本当に凄い。先程の変わっていくときの快感をも超えている。
この世の不安が全て無くなってしまったような多幸感が……頭の中いっぱいに広がっていく。
射精したときのような、気分の萎えは一切ない。沸き続ける、とろけるような快感で満たされている。
女の子しかこれが味わえないなんて……ズルいでしょ……
「優くん、気持ちよかった?」
「……」
少しして覆い被さった体勢から起き上がり、こちらを覗き込むようにしてくるクレア姉のその問いに対して、コクリと頷く。
大好きなライネスの身体になっただけでも嬉しかったのに、こんな体験までできるなんて……そう答えるしかないだろう。
「そっか~それで? もう満足?」
「えっ、あ……いや」
「それとも、まだその身体を楽しみたい?」
「……」
その問いにも……やはり僕は縦に首を振った。
まだ戻りたくない、それはこんなよくわからない目にあっている今でさえ、揺るがない自分の本心であると自覚していた。
「だよね~私の見込んだ通り。じゃあ続けようか。でもその前に……」
「あれ? それ……」
「せっかくだし……私も飲んでみようかな」
僕に向けて目配せを送りながらそういうと、クレア姉自身もどこからか取り出した例の白い薬を口に放り込んだ……
「んんっ! きたきたっ……!」
すぐにその効果は表れだす。今度は自分の目で見る肉体の変化。
最初は声から。快感に上がる声がクレア姉のものから、やはりゲーム内で聞きなれたとある声へと変わっていく。
「ああっ! やっぱこれ気持ちいい……!」
音と共に、クレア姉の身体が変わっていく。
全身を震わせて、何度も感じているらしい快感に耐えているのが見てわかる。
「はぁっ……あ、あっ!!ぁああ!」
僕も先程感じた、変身の最後の快感にクレア姉も悶えている。
顔立ちも髪も服装も全て変わり、全く違う人物がそこにいた。
「ふう……んん~~!」
ベッドから立ち上がり、そのしなやかさを備えた肢体を思いきり伸ばす。
ふんわりとしたウェーブのかかった黒髪。体格はよりスレンダーなものとなり、露出度の高い服装は存分にその美しさを知らしめる。
宝石のような真紅の瞳はギラリと輝き、こちらに自慢げな視線を送っている。
その姿はやはり完璧と言ってもいいほどの再現度の……女神イシュタルだった。
「ふふっ……やっぱすっごいね~この身体。さっすが女神様」
そういいながら、イシュタルの姿をしたクレア姉は胸や尻といった、パーツの変化を堪能する。
その様は傍から見ても、とても楽しそうで……きっとあの薬は自分でこうして楽しむために作ったのだろうということが、まざまざと感じられた。
「それじゃあ優くん……」
「えっ……わわっ!?」
クレア姉は先程と同じように、ライネスの姿の僕をベッドへと押さえつける。
ちょっと乱暴な気もするが……僕自身もこのキャラも大好きだし、嬉しい状況には違いはない。
だが至近距離で見る美の女神と呼ばれたその顔は、思わず息を飲んでしまうほど綺麗であり、それでいて淫靡な雰囲気を感じさせる。
そうして数秒の間、お互いの目を見合せた後、そのまま柔らかな胸を僕の胸の間で潰しながら……ゆっくりと二つの唇を重ね合わせてきた。
「んっ……!? ん゙ん゙っ!」
女性同士の柔らかな唇の感触を得た瞬間、その舌が僕の舌へと蛇のように絡みつき丁寧にしごくように動き始める。
たったそれだけであるのに、思考をぼやけさせてしまう。
「ぷはっ……すごい……ちょっとこれは……」
「そう? でもね~まだ何もしてないに等しいんだけどな」
「えっ」
悪戯そうにそういったクレア姉は、近くの台に置いてあった、とあるものを手に取り、揺らすようにして見せつける。
それは白いプラスチックのような、ゴムのような、見た感じではよくわからない不思議な素材でできた男性器を型取ったもの。
そしてそれがもう片方にもあり、U字型になっている。
当然実物では見た事ないけれど、僕もその存在だけは知っている。これって……双頭の……
「私特製のこいつで……一緒にグリグリ~ってね」
「あ……」
「わかっちゃった? これからそのちっちゃい身体がどうなるのか」
思わず言葉を詰まらせてしまう。その通りだ。
あのエグい形……あれが僕の穴に突っ込まれて、動かされなんてしたら……
考えるだけで、期待と不安が入り交じった感情が胸の奥から湧いてくる。キュンとする感覚が下腹部から得られる気がしてしまう。
「んっ……よし、入ったかな」
それ以上僕に問うことなく、ディルドの片方を自分の秘部へと挿入する。
そして見せつけるように、僕の方へもう片方を向けた。
「よしよし、準備完了……じゃあいくわよ」
「……!」
僕をぶち犯す準備が整ったクレア姉……いやイシュタルはそのままの口調、喋りのリズムで語りかける。
となれば……
「……ああ、こちらもいいよ。存分にやってくれ」
「ふふっ、いい返事ね」
「おっ……ああ゙あ゙あ゙あ゙っっ!!」
そして足を開いた僕の、先程開かれたタイツの間からなんの遠慮もなく一気にディルドが突っ込まれた。
ちょうど気持ちいい所を擦るような形状をしたイボにより、一気に絶頂に達し、思い切り背を反らしてしまう。
「お゙っ……! くっ、あ゙あ゙ぁぁっっ!!」
痛みなどは微塵もない。自らの肉を強引に割り太い異物が入ってくる感触、あまりに強すぎる快感に、女の子が出してはいけないような声が出てしまう。
白い星がチカチカと見える視界には、ニンマリと悪魔の笑顔を浮かべながら覗き込む様が映る。
「もうそんなに気持ちよくなっちゃったの? 情けないわねぇ」
「くっ……その程度かい? まだまだこちらは余裕だよ?」
「へえ? 可愛らしい強がり。それじゃ遠慮なく……」
「あっ……ああぁぁっ!! 太っ……!? こんなのっっ!? あ゙ぁぁ!!!」
元より繋がっていたお互いの腰。それをさらに思い切り突き上げ、全く隙間がないほどに僕達の身体が密着する。
そしてその直後、訪れた感覚は普通では有り得ないものであった。
僕の中に深く突き刺さるディルド。それがまるで意思を持つかのように動き出し、確かな固さを保ったまま、蹂躙を始めたのだ。
先程言っていた『特製』という言葉の意味、それを僕は嫌という程実感させられていた。
「あぁぁっ! えっ!? そこはっ……!!」
「あらら、さっきの威勢はどこへやら。でも、もちろんここで止める事なんてしないから……ねっ!」
ピッタリとくっついたまま全く腰を動かしていないのに、ディルドは腟内を舐め回すかのように動く。
太さや長さすら自在に変わりながら生き物の様にうごめき、それを僕は鮮明に感じさせられてしまう。
指や男性器、市販のディルドなどでは到底有り得ない、普通の女性が生涯かけても味わえない快楽であることは間違いなかった。
イシュタルのあまり激しい攻勢にずっと断続的に細かい絶頂が襲いかかるが、身体の痙攣すら極上すぎる女体に押さえつけられて、小さな動きとしかならない。
そしてついには細長く形を変えたそれが、僕の子宮口に侵入を試み始めていた。
「それではフィニッシュ……覚悟はいい?」
「はぁ……はぁ……!? ああっ!?」
次の瞬間、イシュタルは僕の腰に手を回し強く抱き寄せた。そのまま、子供をあやすかのように頭を首元へ寄せ付ける。
また当然のように僕たちの結合部では、同時にかすかな水音を上げながら、奥深くへと進み続けるものがある。
そして……
「あぁっ!? んうぅっっ────!!!!」
子宮口をディルドの突起の一つが勢いよく通り抜けた瞬間、僕は今日一番の絶頂に達した。
ライネスの小さく華奢な身体はイシュタルにその身を深く預ける。
まるで全力で走った後のような荒い呼吸は続く。
しばらく背中を優しく撫でられ、その心地良さに思いをはせていた……
それから数時間ほど、僕たちのそれはもうねっとりとしたまぐわいは続いた。
衣服は消失させられ、お互いに素肌を重ね合わせる。
ライネスの折れてしまいそうなほど細く、それでいて間違いなく女性的なシルエットを帯びる可憐な身体。
イシュタルの完成された美といえる、この上なく美しい身体。
共に素晴らしくも対象的な女体がその白い肌を赤く染め、喘ぎ合う。
衣装に合わせて纏められていたイシュタルの髪も解かれ、黒の髪と金の髪がベッドの上に互いの身体を包み込むように広がっていた。
そして結合部では、時たまジュプリと明らかな水音が聞こえるほど濡れている。
密着したままほとんど動かないお互いの肉体と反するように、皮膚の上からその動きがわかるほど淫らな玩具が激しく動き続けている。
「ああっ! またっ……!」
もはや何度目か数えるのも忘れたほどの絶頂。
膣が不随意の運動を起こし僕の奥深く、子宮にすら到達しているディルドを強く締め上げた。
このディルドは変身の薬と同じくらい衝撃の代物だった。
太さや長さ、形状を変えて自在に動かせるだけでなく、相手の感じている快感のフィードバックすら可能とする。
たまに僕の方が攻めとなるのも楽しかったし、快感の共有をしたまま絶頂すると、二人の肉体が溶け合っていると錯覚すら起きるようでたまらない。
その上憧れのキャラの姿でそんな事ができるなんて、本当に夢のようであった。
「う……あぁ……」
「ふぅ……」
そしてしばらくぶりに、ミッチリ隙間なく腟内を満たし深く突き刺さっていたディルドが少しずつ、愛液を垂らしながらズルリズルリと抜けていく。
それだけで複数のイボが腟内を刺激し、これ以上ないほど敏感な身体がピクピクと痙攣を起こしてしまう……
「……ねえ、優くん。ちょっと真面目な話していい?」
「……え? ああ、うん……」
やがてベッドに横たわった姿勢のまま、口を閉ざしていたイシュタルの姿をしたクレア姉がそうしゃべり出す。
口調はいつも通りであり、見た目は変わらずともいつもの雰囲気は間違いなく感じていた。
「最初に私が言ったことはもう信じてくれたよね」
「そりゃあ……こんなことになれば」
「ありがと。で、本題だけど……こんな風に長く生きてるとさ、自分にとって相手がどんな人かってのがよくわかるだよね」
「……なんの話?」
なんだか話の流れがよく見えないな……
ちょっと照れくさそうな表情とイシュタルの顔はギャップがあってちょっと新鮮だけど。
「私たちが会ってまあまあ経つけど……優くんって割と前から私の人生の中でも、かつてないくらいビビっときてるわけなんだよ。魂のレベルで波長が合うっていうか……」
「はぁ……」
「それでもうちょっと深く知りたくて、前からこんな機会を狙ってたわけで……実際こうしてみたらやっぱドンピシャで……」
「つまり?」
「つまり、優くんのことすごく気に入ってるから……これからの人生で一緒にいてほしいなって……」
んん? ということは?
「これからの人生でって……僕と?」
「そうそう、まあ……逆プロポーズってやつになるかね」
「本気?」
「今更……嘘なんてつくと思う?」
うわぁ、この人はマジだ……悪い悪魔の顔してるけど。
「もちろん優くんはまだ学生だし、今すぐってわけでもない。ゆっくりと大人になってから……私の力なら年齢も姿も自由自在で、それこそ法にも縛られないようなものだけど」
「……」
「優くんも知ってるだろうけど、実は私はとってもお金持ちだよ?」
「知ってるけど……」
「それに私と一緒にいれば、たくさん面白いものがみれるよ。優くんが知らない世界を……ね?」
「それもなんとなくわかってるけど……」
突然の告白。だけどな……かすかにそんな気はしていた。
「これからいつでも、こんなことができるんだよ? 二次元キャラでも誰でも好きな姿になって……その良さは存分に知って貰えたと思ったんだけどなあ。ちょっと強引になっちゃったけど……」
「確かにだいぶ強引だったね……うん」
「……ごめんね」
「……わかったよ。最初から決めていたから」
「!」
僕は改めてクレア姉と顔を見合わせ、そう答えた。
ちらつかせてきたお金やまだ見ぬ新たな世界、そしてこの最高の体験になびいた訳では……無い。
もちろん多少は理由となっていないこともないけれど、それ以前に僕はクレア姉のことが……
「前から……好きだったし」
「……優くん」
ちょっとだけ目線を逸らしながら、小さく呟く。
クレア姉も同じくらいの声量で僕の名を呼ぶ。
「……ありがと~!!」
ニッコリと笑い、僕の手を強く握った。
「もう……ところで、これの時間ってまだなの?」
「ん~そろそろ。でもまだまだ変身の薬のストックあるし……続行で!」
「え? あっ!」
「他のキャラもいいけど、とりあえず次はチェンジでいこうか!」
どこからともなく持ち出した例の白い薬を僕の口に入れ、自分も飲み込む。
最初と同じようにすぐに身体の変化は現れだす。
「んんっ!? これって……もしかしてっ!?」
小さなライネスの身体がみるみるうちに変貌をする。
背丈は伸び、なだらかな胸は豊かに膨らむ。
そして目の前のコヤンスカヤの姿をしたクレア姉の姿も変わっていく。
だけど互いの変身の終わり方は既にわかっていた。
「ああっ……あああぁぁっ!!」
「……完了っと」
やはり巡る快感にビクンと身体を震わせる。
何度もやって慣れているせいかクレア姉は僕よりも早く起き上がり、変わった肉体をじっくりと確かめる。
「自分でなってみると……やっぱ違うよね。優くんもめっちゃ綺麗」
「うん……こりゃすごいね」
今度は僕がイシュタルに、そして……クレア姉がライネスへと完全に変身が完了した。
目の前にいるのは先程まで自分だった、そして大好きな憧れのキャラ。
もう鏡でじっくり見たわけだけど……他人の目線で見るとまた違ってすっごく可愛い。
もちろん美しき女神であるイシュタルとなった自分自身も文句なしだ。
そして既に裸身の全てを晒している僕たちは、互いに心を通わせたかのように目線を合わせた。
「さあ時間はたっぷりあるぞ。さっそく続けるとしようか?」
「……ええ、やりましょう」
それからさらに……夜がふけて明けるまで、ライネスやイシュタルだけでなく様々なキャラの姿になり、クレア姉との交わりは続いた。
本当に楽しくて気持ちよくて……夢のような時間だった。
だけどこの時間は、この人との時間はこれからもずっと続いていく……それが何よりも嬉しかった。