※この作品はR-18です。

FGOのTS短編集   作:オサカナ

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コヤンスカヤがカルデアの罠にはまって身体を奪われちゃう話(入れ替わり、吸収)

「おっ、来てくれたか藤丸くん。突然呼び出してすまなかったね」

「大丈夫だよ。それでどうしたの、ダヴィンチちゃん」

「ついさっき微小特異点が観測された。マシュと共に調査に向かってほしい」

「……またか~」

 

 ノウム・カルデア内のマイルームにて映像資料の閲覧をしていたところ、突然の収集命令により呼び出された藤丸立香。

 司令室に向かい小さな身体でせわしなく業務にあたっていたダヴィンチに、その理由を聞き出すと、その返答にやれやれといったような表情を浮かべた。

 

「まあ今回の特異点は聖杯の反応もない、放っておけばそのまま消失するような、ほんの小さなひずみのようなものだ」

「そうなの?」

「ああ、軽く調査をして戻ってくるだけでいいよ。次の異聞帯の攻略に向けて消耗は避けたいからね」

 

 

「じゃあ、用意はいいかい」

「はい! いつでも大丈夫です!」

 

 ダヴィンチの問いかけにハッキリとした口調で応じるマシュ。その傍らに立つ立香も首を縦に振り、自らも準備は万端であるとの意志を見せた。

 

「ところで藤丸くん……例の礼装は持ったかい?」

「えっ? ああ……あれなら持ったよ。常に身につけてろって言われてるしね。けど必要かなぁ?」

「ならいいんだ。私の勘にすぎないんだけど、なんとなくここは怪しい気がする……」

 

 ゆっくりと立香に近寄ったダヴィンチは、そのようにとある礼装の所持を確認する。

 何の変哲もないこの特異点、立香自身は問題ないものと感じていたが、ダヴィンチはその直感に不穏なものを察知したからだ。

 

「万が一彼女に遭遇するようなことがあれば……手筈通りによろしくね」

「……了解、ダヴィンチちゃん」

 

 そうして……二人は幾度となく経験をした特異点へのレイシフトを開始した。

 

 

 

「う~ん、やっぱり特に何もなさそうだね」

「そうですね、先輩。ここで一夜を明かしたら、予定通り帰還しましょう」

 

 焚き火を囲いながら静かな夜の森でキャンプをするマシュと立香。

 暖かい飲み物を飲みながら二人は、本日調査した内容の送信を行っている。

 

 あらかじめ知らされていた通り、ほんの僅かな範囲の森でしかないこの特異点には、これといって大きな異常はなかった。

 せいぜいこれまで何体かのウェアウルフやラミアといったエネミーに遭遇した程度であり、それらもマシュ一人で簡単に殲滅できる程度の強さのもの。

 

 マシュが言ったようにこのまま一晩明けて、何も異常がなければこの特異点からは撤退をし、自然消滅を待つ。

 それがカルデアの判断であった。

 

「ちょっと薪を拾ってくる。今は周辺に敵の反応もないみたいだし」

「わかりました。異常があればすぐ呼んでください」

 

 そういって立香は立ち上がり、森の奥へと歩き出した。

 軽く調べたところ周辺に生命反応は皆無であり、マスターが一人でも全く問題はない……そのはずであったから。

 

 

「こんなもんかな……ん?」

 

 少し経ち片手で抱えられるだけの乾いた薪を拾い、キャンプに向けて歩き出そうとした立香はとある異変に気がつく。

 先程までは一切無かったはずの霧が、辺りにたちこめていたのだ。

 

「……!」

 

 そして背後から覚えのある気配を感じた彼は、ゆっくりとそちらの方向へ振り返った。

 

「こんばんは。藤丸くん」

「っ……! コヤンスカヤ……」

 

 そこにいたのは金色の瞳を輝かせた、彼らカルデアの怨敵とも言える存在。

 

 桃色の長髪をまとめ、狐耳と尾を隠す様子もない。狐の形に大胆に露出させた胸元。

 チャイナドレスのスリットから覗かせる太ももは、男ならば目を向けずにはいられないほど扇情的な雰囲気を放つ。

 

 かつては傾国の美女と呼ばれた女、幾度となくカルデアの前に立ち塞がる人類悪である。

 

「ほ~んと、おバカさんですねぇ。ノコノコこんな所までくるなんて」

「なら……この特異点はお前の仕業か?」

「いえいえ~あなた方も知っている通り、ここはたまたま出現した放っておけば泡と消える、人類史の小さなひずみです。私はそこにちょ~っと待ち伏せさせてもらっただけですので」

 

 ケラケラと笑いながら、自身がここに来た経緯を話すコヤンスカヤ。

 その言葉に嘘はなく、彼女はあわよくばここで邪魔者を消せるかもしれないと、気まぐれで来てみただけ。

 

 もしもカルデア側がそれなりの戦力で来ていれば、もしくは立香に隙がなかったのなら何も手を出さずに帰るつもりであったが……

 

「もう暗殺なんてするつもりはなかったんですが……なんの労力もなく、虫みたいにプチッと潰せる絶好のチャンスですものね」

「くっ……」

「あっ、逃げようったって無駄ですよ。小さな範囲ですが結界を張らせてもらいましたので。通信ももちろんできません」

 

 そう言い、ゆっくりと優雅に立香の方へと歩みを進めるコヤンスカヤ。

 口元はうっすらと微笑を浮かべ、既に彼女はこの二人きりの空間での自らの勝利を確信する。

 

「令呪を使ってもいいですけど……その瞬間にどうなるかくらい、あなたはわからなくはないと思いますが。おすすめはしませんわよ」

「……」

 

 もはや令呪の行使によるマシュの転移すら不可能であるほどの間合い。かといって、例え礼装を着ていたとしてもマスター単独では到底勝ち目はない相手。

 誰が見ても立香の命運は尽きたかのように思えた。

 

 だが勝利を目前とした彼女は気づいていなかった。

 今の状況こそがカルデアの望んだ状況であること。罠に嵌められていたのは彼女自身であったことを。

 

「万が一何かが起こると面倒ですし……サクッとやっちゃいましょうか。それでは……」

 

 持っていた扇子を畳み、黒い手袋に包まれた手を振り上げるコヤンスカヤ。

 手刀が立香の首元へと振り下ろされようとしたその瞬間……

 

「……えっ!? そっ……それはまさか!」

「ふふっ……」

 

 その手は立香に届くことなく、彼の周りを纏う魔力の障壁によって阻まれた。

 そして立香が取り出したのは障壁の元となった一枚の呪符。

 コヤンスカヤはそれを見た瞬間、全てを理解すると同時に身を引かざるを得なかった。

 

「くっ……あの皇帝の仕業ですね……」

 

 中国異聞帯においてコヤンスカヤは一度、異聞帯の王であった始皇帝により囚われ、陵辱を尽くされていた。

 その際に使われたのがこれと同じ呪符であった。

 

 異聞帯の攻略後、縁を紡いだ始皇帝の召喚に成功したカルデアは、始皇帝および他のキャスターの協力を経て、さらに効力を高めた呪符の作成を行っていたのだ。

 もしも再びコヤンスカヤがマスターの暗殺を試みた時、確実に返り討ちにするための秘策として。

 

「勿体ないですが、ここは退却させてもらいます。無理にいこうとして手間取ってる間に、応援を呼ばれては困りますからね……」

「……」

「それではさようなら……」

「……逃がすかっ!」

 

 おもわぬ障害の登場にこのままの暗殺の続行は悪手だと判断したコヤンスカヤは、自身の力によりこの特異点からの転移を試みる。

 しかし彼女がかすかな光に包まれ、それを発動しようとした瞬間、立香は教えられていた手筈通り札に込められた真の力を解放した。

 

「!? きゃああぁぁ!?」

 

 カルデア側も仮に暗殺がありそれを防いだとして、その場でコヤンスカヤを仕留める、または拘束することは非常に困難であると考えていた。

 ましてや彼女が襲いかかってくるような状況を考慮すれば当然のことだ。

 

 だがそのようなチャンスをみすみす逃すということも、また選択肢としてはありえない。

 そのためマスター単独で遭遇があったとしてもマスターを守り、かつ確実にコヤンスカヤを退場させるための仕掛けを呪符へと仕込んでいた。

 

 呪符からは夜の森をほのかに照らす光が漏れ、結界内の二人を包み込む。

 二人の意識は一瞬にして途切れ、そのまま鏡合わせのように同じ速度で膝から崩れ落ちた。

 

 

「うう……一体何を?」

 

 ほんの少しの時が経ち、コヤンスカヤはゆっくりとその目を覚ました。

 

「……え? これって……まさか」

 

 だが発した自身の声の違いか、それとも肉体そのものの違和感か、すぐに自分に起こっていた異変を理解する。

 

「ああ、そっちも起きた?」

「くっ……! まさかこんな手を……」

 

 背後からの聞き慣れた声を耳にしたコヤンスカヤが振り返り、目にしたもの……それは月に照らされ絶世の美貌で不敵に笑うコヤンスカヤ自身。

 

 立香は以前コヤンスカヤの盛った毒により命の危機に陥り、また彼女が調合した解毒薬によって一命を取り留めている。

 そのやりとりの際にほんの僅か、通常の召喚に用いるには到底及ばないほど些細なものではあるが、二人の間には確かな縁が結ばれていた。

 

 そしてカルデアがコヤンスカヤを逃がさないために講じた秘策。

 それはその二人の繋がりを利用し、呪符の力を用いて二人の精神を入れ替えてしまうことであったのだ。

 

「これで形勢逆転だな」

「まんまと嵌められたのは、私の方というわけですか……」

「……くくっ」

「何がおかしいんですか……」

 

 コヤンスカヤの身体に入った立香は、尻もちをついた姿勢の自分の身体に入ったコヤンスカヤを見下ろす。

 もはやその表情に先程までの余裕はなく、どちらが優勢かは誰の目にも明らかであった。

 

「この身体になって、なんとなくわかったからさ。何でお前があれだけ調子に乗っていたのかが」

「やめてっ……! こないでください!」

 

 立香はゆっくりとコヤンスカヤの眼前にまで迫り、身をかがめる。

 その金色の瞳を細め、無力な存在と化した彼女の頬を撫でながら、その視線は股間に向いていた。

 

 コヤンスカヤは彼女らしからぬ焦りの声と共に、立香を突き飛ばそうとするもその手は簡単に止められてしまう。

 

「こないでってのは……ここがこうなっちゃってるから?」

「ちがっ……そもそも」

「そもそも何? まさか自分の身体じゃないからなんて言わないよね? 間違いなくお前がこの身体に興奮しているんだよ」

「くうっ……」

 

 その股間はズボンの上からわかるほど、男性器が大きく起立していた。

 立香は今まで自分のものであったそれを触り、数々の男を陥れてきた稀代の悪女に全く逆の立場を強要させる。

 その事に人ならば誰しも持つ程度の嗜虐性が刺激され、愉しみを覚えていた。

 

「このっ……離しなさいっ! んぐっ……」

 

 暴れるコヤンスカヤを軽々と押さえつけると、その豊満な胸に顔をうずめさせていく。

 初めて少しの間はコヤンスカヤもなんとか引き離そうと、無駄なことであると理解しつつも抵抗を続けていったが、その抵抗は次第に薄れていった。

 

 立香は入れ替わってからしばらく経ち、コヤンスカヤの持つ能力の一つである魅了の力をある程度理解し始めていた。

 今やその力で、本来の身体の持ち主でさえも虜にし始めていたのだ。

 

「はあっ……はあっ……」

「気持ちいい? こっちも……」

「!?」

 

 一旦顔を上げさせた立香は頬を赤く染め、恍惚の表情を浮かべるコヤンスカヤに対し、ニンマリとした笑みを向ける。

 そして手慣れた動作でズボンを脱がせ、先ほどよりはっきりと主張をしている男性器を取り出し、おもむろにその手を伸ばした。

 

「やめてっ! こんなっ……屈辱……」

「お前が散々やってきたことだろう?」

 

 ゆっくりとその男性器を扱き始める立香。コヤンスカヤの抵抗も初めよりずっと力なく、感じたことのない男性としての快感に翻弄されているのは明らかであった。

 

「んっ……あっ……あぁっ!」

 

 魅了の効果が深く浸透してきたこともあり、コヤンスカヤは立香の身体で快感の声を上げ始める。

 顔を背け、自分自身の容姿に対して見とれてしまっているという精神の変革に抗おうとする。

 

 だが立香は扱き続ける手をそのままに、コヤンスカヤの顔を自身の方向に向けさせる。

 そしてコヤンスカヤが男の肉体としての限界を迎えようとしたその寸前、魔力を込めてその頬に軽いキスをした。

 

「あっあっ……ああぁぁっ!?」

 

 その瞬間、コヤンスカヤは強烈な快楽と共にあっけなく精を吐き出した。

 立香は腰をしっかりと押さえつけながら、射精を続ける男性器に対して、上から手を被せるようして見守り続ける。

 

 直前のキスの効果もあり、その射精は尋常ではないほど長く、大量の精液を出し続ける。

 そのままおよそ一分ほど、コヤンスカヤは初めての与えられる側としての男の絶頂に嬌声を上げ続けた。

 

 

「終わった? ずいぶん沢山出てたみたいだけど気持ちよかった?」

「うるさいっ……うるさいっ!」

「こっちはとても美味しかったけど」

「……!」

 

 立香がゆっくり男性器から手を離すと、黒い手袋に覆われた右手には一切の精液が付いていなかった。

 コップの半杯ほどはあったはずの吐き出された精液は、全て魔力として吸収してしまっていたのだ。

 

 この身体でどのようにすればそうできるのか、既にそれを理解した上で立香は限界まで精液を絞り出し、言葉と共にその右手を見せつけた。

 もはやこの身体は完全に自分のものだと宣言するかのように。

 

「このっ……くうっ……」

「ふふっ……」

 

 怒りにまかせ、自らのものだった身体に掴みかかろうとするコヤンスカヤ。完全に冷静さを失った本来の彼女らしからぬ行動。

 だがその手は立香に届くことなく、ガクンと膝から崩れ落ち立ち上がることすらできなかった。

 

 息を切らすほど疲弊していたその理由は明白であった。

 立香は先ほどの射精から魔力を吸収すると同時に、コヤンスカヤの魂の一部すら吸い上げていたからだ。

 

「大体わかった……もうこの身体のままでもいいかも」

「もしかして……あなた」

「本当はこんなことは予定にはないけどね」

「ひ……ひいぃっ!」

 

 すぐに自身に起こった異変を察知したコヤンスカヤは、見下ろす立香を見て次に自分の身に降りかかることをも知ってしまう。

 悲鳴を上げ、自分で張った結界に背をぶつけながら後ずさろうとするも、手を簡単に掴み上げられてしまった。

 

「離せっ、離せぇっっ!!」

「暴れるなよ……ふぅっ……」

「ひゃあぁぁっ……」

 

 肉体も魂の一部すらも無くし、それでもなんとかして逃げまいとするコヤンスカヤを圧倒的な膂力で掴み上げた立香は、耳元に顔を寄せて優しく息を吹き込んだ。

 

 その魔力の込められた甘い吐息は一瞬にして神経を侵し、その最奥たる脳すらも侵す。

 視界がピンク色に染まったコヤンスカヤはもはやまともな思考能力をなくし、本能のまま目の前の極上の女体に襲いかかった。

 

「あっ、うあああっ……!」

「おおっと、もうこうなっちゃえば……な」

 

 正気を無くしたコヤンスカヤは立香にあらん限りの力で強く抱きつく。弾力に富んだ胸が大きく形を変えるほどの勢いで、性欲をあらわにする。

 もはや面影すらなくなったコヤンスカヤと自身のかつての身体を冷笑した立香は、自分の腕も広げ優しくその身体を包み込んだ。

 そして胸に顔をうずめ、甘い香りに表情をとろけさせている彼女に対し、最後の行動に移しだす。

 

「ああっ!? あ゙ああぁっっ!!」

 

 コヤンスカヤと立香の触れ合う接触面から淡い光が立ち上がり始める。

 すると快楽に喘ぐコヤンスカヤの声が一際大きくなった。

 

 立香は元の肉体を残ったコヤンスカヤの魂ごと、魔力と化して自身に取り込め始めていた。

 それは本来ならば取り込まれる側は身を引き裂かれるがごとき苦痛に襲われるはずの行動。だが直前の吐息の作用により、その苦痛は全て天上の快楽へと変換されコヤンスカヤへ還元されていた。

 

 元々カルデアの計画では、強制的な精神の入れ替えによるコヤンスカヤの無力化が完了した時点で可能な限り早く合流を行うはずであった。

 つまりこの行動は立香の独断といえるものであり、そもそもそのようなことを実現できるとも考えられていなかった。

 

 しかしコヤンスカヤの規格外の霊基はそれを可能とすることを立香は彼女の身体を得たことで知り、その実行に移した。

 それは今後の戦いの中で結果的にこうすることが最良であるという、カルデアの一員としての判断……と立香は自身に問いかけている。

 

 だが実際に彼の心の奥底で感じていたのは……この身体を手放したくないという欲望であった。

 

「ああぁぁっ!! お゙お゙おぉぉ……」

「あぁっ……凄いっ! 気持ちいいっ!」

 

 もはや快楽以外のことが頭から消えたコヤンスカヤは、少しずつ自身が消失しているにもかかわらず背中に腕を回し、さらに強く力を込める。

 当の立香も二つの身体と魂が混ざり合う過程での凄まじい快楽をその身に浴びる。そして常人では発狂しかねないその快楽すらも、コヤンスカヤの肉体は正常にただ気持ちいいものと処理していた。

 

 

「あっ、ああっ……」

 

 やがてコヤンスカヤ……もとい立香の肉体はしがみついていた手足、そして胴体すらも完全に吸収され、今や首だけが胸の辺りについているような様相となっていた。

 立香はちっぽけな存在であったはずの人間に身体を奪われ、あまつさえ魂の全てが喰い尽くされて最後の時を迎えようとする哀れな女狐に、目線を向ける。

 

「さよなら、コヤンスカヤ」

「あっ、ああぁ……私が……消え…………」

 

 最後に頭を掴み、胸にゆっくり押さえつけると、かすかな悲痛な叫びを上げ、魔力となって消えていく。

 ここに人類悪の一つであった愛玩の獣は敗北した。

 

 コヤンスカヤの魂は一切の意思を残さずにただ魔力の糧として吸収され、その身体は永遠に立香のものとなったのだ。

 

「ふう……」

 

 フルフルと動きに合わせてわずかに揺れる胸元から手を離すと、何度か手を握り、これまで以上に生気に満ち溢れた身体を支配したことを確かめる。

 次いで顔や胸、脚といったパーツに手を沿わせ、男の理想といっていいほどの女体が自身のものになったという現実を噛み締めていた。

 

 だがそれと同時に、忍び寄る一つの影があった。

 

「グルルル……」

 

 濃厚な魔力の香りに誘われたか比較的遠方からやってきた赤毛のウェアウルフが一体、立香の背後の林より襲いかかる機をうかがっていた。

 それは決して上級のエネミーではないにしろ、本来ならばマスター単独では討伐は困難であるはずの存在。

 

 結界はコヤンスカヤが消失した段階で既に解除されており、もはやウェアウルフは一息の元に飛びかかれるだけの間合いにいた。

 しかし立香は研ぎ澄まされた五感でその接近を察知しておきながら、一切の振り返る様子を見せなかった。

 

「ガアアァ!!……ガァッ!?」

「……」

 

 好機とみて雄叫びと共に強靱なバネで飛びかかるウェアウルフ。

 しかしその手に持った斧が立香の首元をかすめようとしたその刹那、弾けるような音と同時にウェアウルフの首は跡形も無く吹き飛び、胴体はその場に自由落下をした。

 

 きわどいまでの深いスリットから覗かせる、すらりと長く艶めかしい脚から発せられた閃光のごとき後ろ回し蹴り。

 それがウェアウルフの命をいともたやすく刈り取ったのだ。

 

「先輩! 無事で────!? あなたはっ……!」

 

 直後、通信が途切れたため周囲の捜索に当たっていたマシュが結界の消失と先ほどの異音を察知し、駆けつけた。だが立香の反応があったはずの場所にいたのは、事切れているウェアウルフと敵対的存在であるはずのコヤンスカヤだけだ。

 当然戸惑いを隠せないマシュであったが、それでも盾を構え直し臨戦態勢になったまま荒ぶった口調で問いかけを続ける。

 

「先輩は……先輩はどこへっ!」

「落ち着いて、マシュ。これでいい?」

「え……それは……まさか」

 

 興奮したマシュをなだめるように、立香は冷静な口調で応答する。そして右手の手袋を外し、マシュに対しその甲を向けた。

 そこにあったのは、マスター藤丸立香の証たる三画の令呪。彼は自身の肉体を取り込んだことで、コヤンスカヤの身体でありつつカルデアのマスターとしての力をもその身に宿していた。

 

「先輩……なんですよね? 例の作戦ってことですよね?」

「ああ、ちょっと予定とは違ったけど、作戦自体は成功したよ。早速カルデアに報告しよう」

「……はぁ、よかった……」

 

 最悪の事態すら一瞬予期していたマシュは立香の無事を確認し、安堵の表情を浮かべた。

 

 

 連絡のためキャンプへと戻る道すがら、立香は入れ替わりの後の経緯を簡単にマシュへと説明をする。

 当初マシュはコヤンスカヤを倒したことに対しての喜びを得ると共に、立香の身体が彼女のものへとなったことに複雑な気持ちを抱いていた。

 

 しかし短い会話の中でも感じられた、あの悪女の精神は既になく、間違いなく立香の精神がこの身に宿っているという確信。

 それはすぐにマシュの中の違和感を取り除いた。

 

 さらには立香に対する信頼と生来知らずに抱いていた同性に対する愛情。

 それらが混じり合い、すでにマシュは藤丸立香という存在に今までよりずっと惹かれ始めていたことに、彼女自身気づいていなかった。

 

 

 その後カルデアへの報告および帰還を済ませた二人。事の一部始終を聞いたダヴィンチはもちろん驚いていたが、入念なチェックの上で精神性やマスターとしての活動に支障は無いと判断。

 令呪の行使も問題なく、必要とあれば変化スキルを用いて元の外見となることも可能であった。

 

 人類悪としてのコヤンスカヤは消失した故か単独顕現は使用できなかったものの、上級サーヴァントを優に超える戦闘力をマスター自身が獲得したことによる、自衛能力の大幅な向上は大きな収穫であった。

 

 

 それから立香とマシュの関係は以前のものより親密になっていた。

 訓練や任務でマスターに徹する際の立香の指示は感覚器官の強化、また魔力そのものを敏感に感じられるようになったことでより的確なものとなり、必要な場面では肩を並べて見事なコンビネーションで戦闘を行った。

 それはカルデアから見ても、理想的な関係であった。

 

 そしてとある夜のマイルームにて……

 

「ああっっ! 先輩っ!! もっとぉ……」

「……」

「ああぁっっ────」

 

 ベッドでは金色の瞳と紫色の瞳、見目麗しい二人の女の裸身が向かいあう。攻めているのは立香、マシュはその手によってあられもない声を出し、よがり狂っている。

 今この瞬間も、立香が軽くマシュの尖りきった桜色の乳首に歯を這わせただけで、秘部から愛液を拭き出し、背をそらせて絶頂を得る。

 

 元からコヤンスカヤの身体に宿ったテクニックはこうして立香のものとなり、マシュの内に秘める被虐性癖を呼び覚まし、その虜とした。

 

「はぁっ……はぁっ……」

「どうする、マシュ? あれを……やる?」

「はいっ……お願いします」

 

 立香の問いかけに対しそう答えたマシュは、うっすらと笑みを浮かべながら目線を合わせる。

 そうして立香は笑みに応じるように、マシュに唇を重ねた。

 

「ん……んん……」

 

 大きな胸は柔らかにつぶれ合い、曲線美を描く脚は絡まり合い、二人の隙間もないほどの密着をする。

 その口元では立香が驚異的な舌技でマシュを追い込み、同時に強力な媚薬と化したハチミツのように甘い唾液を送り込んでいた。

 

 やがて唇が離れると、立香の右手はマシュの下腹部……丁度子宮の辺りに伸びている。

 この身体だからできる、マシュの大好きなことをするために。

 

「んあ゙っ……あ゙あ゙あぁぁっ────!」

 

 次の瞬間、立香の右手はマシュの下腹部に手首までめり込むように消えていった。それと同時に、マシュは一際大きな喘ぎ声を部屋中に震わせる。

 立香の右手はマシュの女性器からの快楽を感じる神経を侵し、快感のみを情報として与え、媚薬の効果でそれをさらに高めることで、その肉体で処理できる限界ギリギリの快感を与えていた。

 

 マシュの肉体は衝撃のあまり本人の意思を離れ暴れようとするが、立香に押さえつけられ微動だにせず、その絶頂を逃がすこともできずに味わい続ける。

 膣は別の生き物のように激しく収縮を続け、背に回した腕や絡まり合った脚には力がこもる。

 

 

 

「あ、ああ……ぁ……」

 

 しばらくして疲弊しきったマシュの意識は次第に薄れていき、やがて腕の力が抜け、ポトリと落ちる。

 立香は幸せそうにとろけきった表情で気を失っているマシュを見ると、右手を戻しながらクスリと笑い、そっと寝返りを打たせた。

 

 熱を帯びた肌の熱さ、いまだ力強く打ち続ける鼓動を感じながら、改めて立香はマシュの胸元に手を回し、その背には自らの豊満な乳房を押し付ける。

 そして耳元へ顔を近づけると、そっとささやくように呟いた。

 

「マシュ……大好き」

「────!!」

 

 意識を失いつつも、肉体が言葉を認識したマシュは一瞬で絶頂に達した。

 深い快感に身体を震わせ、喜びの中で自身が溶けていくような感覚を夢の中で覚えていた。

 

 立香はそんなマシュをたまらなく愛おしく感じながら、肌を寄せ合わせて添い寝を続ける。

 

 やがて立香自身も暖かな感触と幸せの中、ゆるやかにその意識を手放していった……

 

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