「アイツさあ、あんたをオカズにしてたの?」
いきなり惣流があたしに話しかけてきた。
「な、何の事よ…」
「あんたでオナニーしてたかどうかって事よ。まあ…裸で吐いてたからしてなかったんだろうけど。」
「あの時はシンジはメンタルやられてたわよ。仕方ないじゃない!」
「どうだか。日頃から抜いてたなら裸見せても反応してたと思うけど?あんたの方は隔離室でシンジを見るだけでイキり起ってたのにねえ?」
「何年間もあたしを放ってた報いよ…!あんただって同じことしたでしょうに!」
「そうね…あの時のあんたみたいに色んなとこ勃たせながらさ!殴った勢いで逆レかましてやったわよ!」
「あそこでそこまで出来るわけないわよ!ミサトやリツコもいたってのに!」
「関係ないわよ!!あいつが気にしてたのはファーストの事ばかりだった!!その場で身体使ってでも他の女の事なんか忘れさせてやればよかったのよ!!」
「あんたねえ!!第一あの時のあたしはセックスも出来ない身体だったのよ!!どっちにしろ出来るわけないでしょうが!!」
「…それさあ、本当にそうだったの?」
「な…」
「あんたがそう思い込んでただけじゃないの?人の形は留めてたんだからさあ。ヤるならヤれたはずじゃない。オナホやダッチワイフみたいなもんでしょ?」
「あたしの身体をそんな玩具と一緒にするな!!!」
「はっ…あんたももう知ってんでしょ?アイツはあたしの目の前でオナニーしてたわ。メンタルやられてたのに、あたしの胸をはだけさせてね。あんたは裸見せたのに反応しなかったって事は、所詮造り物には魅力がないのよ!!」
惣流がそう言った瞬間、あたしは奴の頬を拳で殴っていた。その勢いで胸座を掴む。
「ふざけんじゃないわよ!!!あたしなりに一肌脱いだってのにあんな反応でイラつかなかったって思ってんの!?」
「だから身体で迫ってヤるなりすればよかったって言ってんのよ!!恥じらいがなかったなら容易かったでしょ!?」
奴は殴り返しながら言い返してくる。
「あの時のあたしの身体の事も知らないで!!あんな身体でシたくなかったわよ!!」
「その程度で躊躇してんじゃないわよ!!ヤれる時にヤれないから繋ぎ止めれないんだ!!!このバカが!!」
あたしの頭を掴んだ惣流は、そのまま頭突きをかまし、叫んだ。
「あたしはアイツになら襲われてもいいって思ってた!!意識があったらすぐにでも身体を差し出してたわよ!!それなのにあんたはいつでもチャンスがあったのに!!!」
数発あたしに頭突きをかました惣流は、右腕の包帯を外し、あたしの背後に回りこみながら包帯で首を絞め始めた。
「ぐ…っ…ぎ…」
「この意気地なしのクローンが…!!アイツを
そこまで聞いた瞬間、あたしは自分の足で惣流の足を思い切り踏みつけた。痛みで手が緩んだのを見計らい、包帯を引き裂くとそのまま一本背負いで投げ飛ばし、顔面を踏みつけようとしたが避けられた。その勢いであたしは奴の上に馬乗りになり、そのまま顔面を殴りつけた。
「意気地なしはあんたでしょうが!!いざそうなったら拒絶するんでしょう!!」
「そこまで踏み込めなかったあんたが言うな!!!」
惣流は左腕を動かしてあたしの頬を殴るとその勢いで上体を起こし、体勢が崩れたあたしに向かってさらに殴り、そして蹴り飛ばした。だがあたしはすぐに体勢を立て直すと、惣流に向かい蹴り返した。
「使徒なんかが寄生しなかったらあたしだって!!造るなら頑丈に造れってのよ!!」
「あたしの身体にケチつけんな!!!このダッチワイフが!!!」
あたしとコイツの罵り合いと殴り合いは過熱していった。殴る、蹴る、引っ掻くは元より―
「あんたなんか生まれた時点で手も身体も汚れてんのよ!!穢れた身体を使おうがどうってことないわ!!!」
「アイツが穢れた身体差し出されて喜ぶと思ってんの!?このクソ野郎が!!」
締め技や関節技や、
「どんな身体だろうがアイツはあたしのモノよ!!!なのにあんたは選ばれたあたしだってのにアイツを…!そんなの生き残った価値ないじゃない!!!」
「黙れっつってんのよ!!!アイツがいないんじゃこの身体になっても意味ない!!!穢れたままの方がまだマシだった!!!」
投げ技や急所に向けた技など明確な殺意を抱いた技をいくつも繰り出した。選別と称して同じ顔同士で殺し合ったあたしだが、惣流との殴り合いははっきり言ってそれが可愛く思える程の壮絶な物だった。恋心が絡むと殺意は一気に増すのだとあたしは改めて思い知った。そして―。
「「こんちくしょおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」」
互いの顔面にクロスカウンターが決まり、あたしたちは同時に倒れた。全身は血や痣だらけになっており、全治何日か分からないほどであるのは容易だった。目が覚めると、身体に傷は無かったが心は確実に殴り合いで負った傷があるとわかった。身体全体に、
(あんたが全部あたしのモノにならないなら、あたしは何もいらない)
ああ、そうだ。アイツがいない、
「こんちくしょう…」
あたしはまた眠れなかった。拳から血を流して。