評価
雨上がりのコンビニ。
俺は当選した、とある漫画の原画展のチケットの引換券を発行するために貴重な休日を使っていた。
ところが専用の機械のあるコンビニが近くにない。
スマホの地図を頼りに来たことのない隣駅まで自転車で来てしまった。
やっとこさ見つけたコンビニで大事な用事を済ませ終わったところで帰り道がわからない。
腹も減ったし、雨も降りそうだ。
こういう時はスマホ搭載の人工知能に任せるのが一番だ。
人間よりもよっぽど便利で俺の意を汲んでくれる。
「帰るか。オッケーゴーグル、家に帰りたい」
人工知能は言った。
『おうちは最高ですよね。早く帰れるといいですね』
/////
休日の朝日を楽しむ間もなく、俺は後ろ髪を引かれながら一人足取りの軽いモモを先導に、家に併設されている宇宙船に移動していた。
転送装置によって宇宙船は、地上数千メートル上にあるのだが、自分もそんな場所にいるわけで、宇宙の技術には驚嘆
する他ない。
「それで、どこに行くんだ?」
「もう着きますよ」
そう言ってモモが扉を開けると、パッとブラウン系の暖かい照明が灯る。
そこには白い壁に囲まれた、一人部屋より少し大きいくらいの部屋があった。
「談話室です。元々は移動用の船だったんですよ」
モモは振り返えると、ニコリと笑った。
部屋には暖炉をはじめ、貴族然とした本棚やソファが配置されており、趣味のいい高級宿に来たような高揚感を感じてしまうほどだった。
「リトさんも気に入られたのならいつでも気軽に使っていいですよ?」
余程ポケーとした顔をしていたのか、モモは楽しそうに髪を揺らす。
「お姉さまやナナもよく来て、本を読んだり映画を見たりしてるんです」
そう言うだけあって、床には寝転んでいいように絨毯が敷かれていて、くつろぐことを重点に色々なものが配置されているのがわかった。
わりかし俺はこの部屋を気に入ってしまったかも知れない。
「……それで、なんで俺をここに?」
俺をわざわざここに連れてくるのには理由があるはずだ。
なんなら結城家のリビングでもよかったのだ。
いい穴場を見つけた嬉しさを傍に置いて、ツカツカと部屋の中へと入って行ったモモに問いかける。
するとモモは手を後ろに組んでモジモジしながらポツリとつぶやいた。
「ご褒美として、私にもマッサージをして……頂きたいなぁ、と」
「…………」
一瞬意味が分からず気まずい沈黙が流れるが、一応仔細を聞いてみると、大体の話が見えてきた。
「見てたのか?」
「いえ、以前リトさんがお姉さまの部屋から出てきた後に、やけに機嫌がよかったので色々聞いてみたら……」
と言うことらしかった。
直接ララのマッサージを見られていたら流石にまずいことになっていたかも知れない。
あれは普通のマッサージじゃなかったからな。
それにしてもそれだけで俺にマッサージして欲しいからって、こんな所にまで連れてくるのだろうか。
「それだけで?」
「……あと、ナナもリトさんにやってもらったと聞いて……」
「?」
ナナにマッサージなんてしたっけ?と思ったが、ああそうか、膝枕をして咥えさせた時の事をそうやって説明したのかと合点がいった。
どちらかというと俺の方が気持ち良くしてもらったのだが、言うとややこしくなりそうなので、黙っていることにする。
詰まるところ、姉のララだけならともかく、双子のナナも俺にマッサージしてもらって、自分だけ無いのはずるいと言うことか。
「…………だめでしょうか?」
俺の表情を見たモモの瞳が青く曇る。
正直ここで断ることもできるが、どうするべきだろうか。
「すみません。やっぱりご迷惑ですよね」
「いや、そんなことは……ない」
「っ!」
モモがパァっと口元を綻ばせる。
いつも変に大人ぶっているが、こうやって見ると少しだけドキッとさせられるのだからタチが悪い。
思わず視線を外してしまった俺だが、ふと前からの疑問を思い出した。
「それはそうと、ご褒美って言ってるけどモモが俺にしてくれた事ってなんなんだ?」
そう。
モモの行動の理由は分かったが、俺にマッサージをさせる根拠となるご褒美については全く分からないままだった。
モモは、右手で髪の毛の先を触りながら、えっと……と煮え切らない。
言うか言わないか葛藤があるらしい。
わかりました、とやっと口を開くと、モモは自信がなさそうに話し始めた。
「……正直、本当にリトさんにお渡しして喜んでもらえるか分からなくてですね……。でもっ、きっと喜んでくれると思って私……」
「もういい」
「っ!」
モモの表情が絶望で固くなった。
話を止めたのは、モモが要領の得ない説明を始めたからではない。
実は、ここ数日モモが頻繁に出掛けていることは薄々感じていたのだ。
ナナやララに聞いても分からなかったため放置していたが、俺に渡すものを調達していたのだと今の話で感づいてしまったのだ。
「俺のために色々やってくれたんなら、後で聞く」
「っ! じゃ、じゃあっ! ……でもご褒美の対価は聞かなくていいんですか……?」
ああ、と頷くとモモはさっきまでの表情が嘘のように綻ぶ。
自分に対して、やれやれと思いつつも、現金なものでモモの用意したものがどんな品なのか割と気になっていた。
「で、どこをマッサージして欲しいんだ?」
よしやるか、と腕まくりしない程度のやる気が出てきた。
モモはそうですね、と顎に指を当てて少しの間、俺を待たせる。
モモは手を前で組むと、頬を赤らめて呟いた。
「お姉さま達と同じ、でお願いします」
その声には甘えと期待がこもっているようだった。
いつものモモなら体の隅々まで、とか要望して俺をからかってきただろうが、今日は趣が違うらしい。
その気につられて、俺の方もモモの期待に応えたいと思い始めていた。
「どうだ?」
俺がそう問いかけると、絨毯にうつ伏せになったモモが、ん、と身じろぎをする。
「ぁ……すごく、気持ちい、いいです……」
肩甲骨の筋肉を指圧されながらモモは目を閉じてそう答えた。
初めはソファじゃなくていいのか、と聞いたのだが、絨毯の方がやりやすいでしょうとモモがいったので、この形になった。
じゃあ失礼します、とミニスカートの裾を押さえながらうつ伏せになったモモを上から見た時は、華奢だが肉付きのいい身体が無防備に横たわっていることに、ゴクリと唾を飲んでいた。
股間に血流が集まるのを感じながら、俺は熱心にマッサージを行っていく。
手始めに背中の真ん中から徐々に始めていく。
最初はゆっくり、固まった筋肉をほぐす事を第一にじんわりと血流を通していく。
「あぁ……そこっ……いい、ですぅ……」
モモは息を深く吐きながら、スラリと伸びたふくらはぎから先をモジモジと擦り合わせている。
いつもより密着したモモからは、香水か柔軟剤かわからないが、甘い男を誘うような匂いが香っていた。
モモは他のララやナナ達と違って匂いまで気をつけているあたり、良くも悪くも女らしい。
モモはいつも余裕綽々を装っているが、本当のところはかなりのビビりだと俺は思っている。
不安だから、色々策を弄するのだ。
そう言うところを考えると俺とモモは少し似ているのかも知れない。
____あ
別のことを空で考えていたからか、つい俺は込める力を間違えて強くしてしまう。
「っ! あぁんっ!」
下がっていた顎が絨毯から離れるほどモモの身体が反る。
俺はパッと指圧している指をモモの体から離し、モモの状態を確認する。
「す、すまんっ 痛かったか?」
「ぃ、いえ……ちょっとびっくりしましたけど……強いのも情熱的で、ステキ、ですっ……」
モモは頬を絨毯につけたまま、湿った唇から吐息をゆっくりと吐いた。
瞳はうっすら潤んでいる。
モモはハッとすると、何てはしたない声を、と小声で呟いているのが聞こえた。
モモの了承をとると、俺は再度マッサージを続ける。
「いきなり強くして悪かったな、モモ」
「い、いいえ、最初の優しいのも好きです、けど、さっきのみたいに強いのも気持ち、いいです……」
モモは顔を赤らめながら、絞り出すように感想を述べる。
俺は強く指圧してしまった腰の近くの筋肉を、労るように摩っていく。
モモは時折腰を揺らしながら、マッサージの温かさに浸っているようだ。
俺はモモの喘ぎ声にも似た溜息が漏れるたびに、ムクムクと性欲が燃え上がり始めているのを感じていた。
黄色の短いワンピースに包まれたこんもりと盛り上がった形のいいお尻がふりふりと目の前で揺れるのだから、仕方ないだろう。
このまま倒れるように抱きついて、ララほどでは無いにせよたわわに実った乳房を握りしめ、その感触を味わいたい衝動をなんとか抑える。
(……)
俺はふと俺の体の横に漂っているモモの尻尾に目が移る。
そこで俺の胸にメラメラと悪戯と加虐の欲が性欲と混じり合い全身を支配していった。
なあ、モモ……と声を出す。
「尻尾もマッサージした方がいいか?」
そう言った途端、モモは尻尾を踏まれた猫のように翻ると目を見開いて言った。
「だっ、だめですっ!!」
モモはそれだけはダメ!と手で上半身を支えながら先ほどよりも更に反って振り向いたことに、驚きと悪戯心が俺の中に芽生える。
俺はごめんごめんと、先ほどよりも少しだけいやらしいタッチに動きを変えて、腰回りをマッサージしてやる。
「あっ……リトさん、話を聞いて、くださいっ」
臀部と腰の間、つまり尻尾の近くを触られたモモはカクッと肘をつきながら、話し始める。
「女性にとって、尻尾と言うのは……はぁっ!」
モモは俺の愛撫ともマッサージともつかない動きに、腰をうずうずさせる。
それでも尻尾周りをゆっくりと円を描くようにほぐしてやると、ついには上体を絨毯に預けて抵抗の形すら解いてしまった。
俺はトントンと尻尾の付け根あたりを叩いたり、尻尾と付け根の間のギリギリを爪で引っ掻いたりと、動きが短調にならないようにじっくりとモモに悪戯をする。
「……っ……ぁ……んっ……」
モモは目元をだらしなく垂れさせながら、声が漏れないように口を手で押さえている。
せっかくだ。
今さっきモモが言いたそうにしていたことを言ってもらおう。
俺はニヤリと頬が釣り上がるのを感じた。
「なあモモ、尻尾がなんだって?」
「ふわぁ……ん…………」
だめだ。
聞こえていない。
もはや手も押さえてない。
こちらから見えないだけで、ヨダレを垂らしているんでは無いだろうか。
それくらい一人で浸っている表情だった。
俺はふう、と溜息をつくと、モモ!と声をかけると同時に、あれほど触ってはいけないと言われていた尻尾の根本をキュッと指で摘んだ。
「ひううっ!」
脊髄反射というのだろうか。
尻尾に伝わった接触が電気信号となって神経を伝わり、脳へ届けられ、快楽物質が分泌されるのが一瞬で行われる。
モモはビクッ!と一瞬体を強張らせ、遅れて俺の下にあるモモの下半身が、絨毯に腰を押し付けるように、ヘコヘコと擦り付けられる。
「かはぁ!……あぅっ……あ……はっ……」
だらんと両腕を放り出したモモは、尻尾の衝撃に思考が追いつかないとばかりに、短く浅い呼吸を繰り返す。
俺はニヤニヤと人が見たら憎たらしく感じるでろう笑顔で、その姿を眺めていた。
絨毯に突っ伏しているモモはそのことを知らずに、乱れた呼吸を戻すためにそのまま動かない。
小さな砂時計が落ち切るくらいの時間が経って、やっとモモが口を開いた。
「ぅ……ぅぅ……り、リトさんっ、あ、あれほどっ尻尾はダメって……言ったのにぃ……!」
「何度も呼んでるのに気づかなかったから……でも、俺が悪かったよ。モモ」
「う……い、いえっ……気がつかなかった私も悪いですから……でも、リトさんでも急にそんなことしたら女性に嫌われちゃうんですよ……?」
一瞬キョトン、としたモモは腕で顔を隠して、ぐずる子供のように絞り出すようにそう俺に忠告してきた。
何やら含みのある話し方のように思えたので、どういう事か聞いてみることにした。
ただ単に触られると気持ちいいから、と言うだけなのだろうか。
俺は少し知りたくなったので、マッサージの場所を尻尾周辺から少し外れたところに重点を置いてほぐすことにした。
モモは一呼吸置くと、いつもの調子を少し取り戻したのか、ニコッと笑いながら無知な子供に教えるように口を開いた。
「女性にとって尻尾はとっても大事なものなんです…………」
モモは女性にとって尻尾がどんなに繊細なものなのかを語り始めた。
生まれた時はどんななのか、親からどんなふうに教えられるのか。
「ご存知の通り……尻尾は、敏感ですし……」
モモは尻尾について語りながら、顔を隠していた右腕を体の下に移動させていることに俺は気づいていた。
両手は真っ直ぐのままであり、ちょうど指先は自らの秘所を触れるように股座に位置していることは、モモがうつ伏せであっても容易に想像できた。
モモが尻尾について説明していると、だんだんモモの様子が変わってくる。
「尻尾は……っん……心から愛するヒトの、愛寵を……ん……欲するとっ……無意識に、その人に絡み付いてしまう、という話も……あるくらいっ……心に関係ある、トコロなんですっ……んっ」
(俺がいるのに始めてんのか)
モモは話しながら、明らかに何かしていた。
というかオナっていた。
「モモ、気持ちいいか?」
「……んっ、はい……気持ちいい、ですぅ……」
モモの吐息と全身から発せられる淫猥な雰囲気がこの部屋を包んでいた。
当然俺にもその気は当てられており、じっとりと汗が滲んでシャツが背中にくっ付いて不快だ。
「リトさん……背中はもう、いいので……お尻も……やって頂けませんか……?」
モモは躊躇いがちに、耳を真っ赤にさせながら、そう要望してきた。
乱れたピンク色の髪の毛が邪魔をして、その表情までは見えない。
モモはそう言っている間にも、粛々と自慰行為を続けていた。
目の前には膝丈のスカートに覆われた、プリンとした桃尻がある。
しかも本人は触ってくれと言ってると来た。
勝手に両手がパーに開き、震えながらゆっくりと形のいい尻に触れようとした____
その手は、尻に触れる直前で止まった。
俺は思ってしまったのだ。
ーーーーーーー良い様に利用されていいのか?
否
そうだ。
さっきまで俺は美柑とイチャイチャすることを邪魔されて、モモに復讐を誓っていたじゃないか。
俺は開いていた手を握り締めると、モモに告げる。
「何言ってるんだ、モモ。女の子のお尻なんてマッサージと言っても手で触れないよ……」
「…………え……?」
数瞬の間を置いて俺の発言を理解したモモは、背後からでもわかるほど困惑と落胆の気を放った。
俺はモモの思い通りになんてなってやらない。
俺のつまらないプライドだ。
モモの声に若干心が痛んだが、大丈夫だ。
思い通りにならないだけで、俺の方法でやるだけの話だ。
モモはどうにかして俺を納得させようとした。
「で、でもっ、本人がいいって言ってるんですよっ?」
「ああ、だから手で触るのはダメだ。ーーーーーーーーーーーだから、ここでマッサージしてやるよ」
俺は膝立ちでモモに跨っていた体勢から、覆い被さるように両手を地面につく。
そして、モモのお尻に俺の腰をぐいっと押し付ける。
「…………ふぇ?」
いわゆる寝バックの体勢。
服越しでも分かるプリプリの尻の感触。
俺は完全に勃起した股間をズボンで隠しながら、モモの尻の形を味わう。
「り、リトさん……?」
モモは目を白黒させて俺を見上げる。
モモは困惑した顔をしながら、俺に何か答えて欲しそうだった。
俺、なんか変なことしてる?と、とぼけた顔をしてモモに理由を答える。
「どうした?」
俺はモモが何か言う前に、腰をヘコっと動かし、揺する。
「はわぁ……い、いえっ……これは、その……どういう体勢か、って……ご存知……かなって……」
流石に寝バックの体勢は無理があるか。
モモは困惑と気まずさの混じった声で俺の返事を待っている。
しかし俺はモモの中に、邪な妄想の一部として心の中に仕舞われていた欲望が体現されたことへの喜びが混じっているのを見逃さなかった。
「?」
「そ、そうですかっ……いえ!何でもないです!……続き、お願いしますね……」
なんのこと?と、まるで精通前の少年が、知らず知らずの内に年上の少女の性的な羞恥を煽ってしまった時のような表情で、俺はモモの目を見据える。
モモは、年少者に弱みを見せないように余裕を醸し出す努力をする少女のように、ニコッと笑顔を作る。
しかしその顔はひどく不自然で、汗と赤くなった首元がやけに目立っていた。
「そうか、よかった。もっとこうして欲しいってのがあったら言ってくれよ?」
「……は、はひぃ……」
これはかなり良い。
咄嗟に考えついたにしては最高のマッサージだ。
俺はグイグイと腰の前面をこれでもかと押し付け、モモの形の良い尻を押し潰す。
普段あざとい仕草で俺をからかうモモの姿が脳裏に思い出される。
わざと俺に尻を向けたり、脇を覗かせたり、色々な記憶が。
「んあっ……」
つい腰を押し付けるのにも力が入ってしまう。
錯覚かもしれないが、服越しに感じるモモの尻からは湿り気が感じられる。
モモは俺の腰の圧力と、自分の手に秘所が挟まれ、声が漏れる。
「なんか……すごい、ですっ……」
俺はこの非現実的なマッサージに軽い陶酔感すら感じていた。
テントを張った腰をただ押し付けるのではなく、右の尻に擦り付け、左の尻に押し付け、その感触に下半身は舌鼓を打つ。
しばらくそうしていると、支えている腕が疲れてきた俺は、片腕ずつ絨毯に肘をつけ、殆どモモに体重を預ける体勢になる。
当然俺とモモの体が密着することで、俺の鼻腔にモモの汗の匂いが充満する。
男を狂わせるいけない匂いだ。
いきなり身体を押し付けられたモモは、声をあげて驚きと喜びを表現する。
「え、ええっ……リトさんっ、ど、どうしたんですかっ……」
「腕が疲れちゃってさ。でもこうした方がもっとマッサージできるし」
俺はモモに完全に身体を預けつつも、腰に意識を集中して身体全体をモモと連動させてズリズリと揺さぶる。
山脈のように迫り出した肉棒が、ズボンを介して桃尻の谷間に挟まれる。
少女の匂いに脳が痺れ、女らしい柔らかい肉体を全身で感じて胸がざわめく。
モモは男に押し潰される圧迫感と尻尾もろとも挟まれる快感で声を漏らす。
「あっ、この、体勢っ……尻尾がっ……潰されてぇ……!!」
尻尾のコリコリした感触を腹部に感じる。
モモからして見れば、俺が意図的に尻尾を刺激するためにやっているとは思えないだろう。
モモは俺を制止することなく、俺のマッサージを受け続ける。
「も、もう少し……弱くっ…………じゃないと、わたしっ!……」
俺は動くのをやめない。
もう止められない。
俺はペースを落とすことなく、腰を尻に擦り付け、腹でモモの尻尾を広範囲に渡りしごく。
モモは俺の返事を聞くことすらせず、与えられ続ける快感に没頭していた。
「ンンッ!……んっ……ひぅ……!」
モモは自由な左手で口元を押さえ、顎を引いて完全に真下を向いた。
快感には我慢の閾値がある。
絶頂よりも少し前、我慢できる、途中でやめられる快感と、足を踏み入れたらもう戻れなくなる境の快感。
モモはそのラインを超えたのだと俺は感じ取った。
「んんっ……んッッ……!」
全身から感じる快楽の胎動が強くなっている。
俺は白いうなじの覗く、モモの耳元に近づき、
フゥ
と生暖かい息を吹きかけると、それを合図にモモは最後の快楽の壁を超えた。
「ぅっ……んぁ……ぁっ……あ、っ〜〜〜〜!!」
モモの全身が小刻みに痙攣する。
ただズリズリと弱い刺激を続けるだけで、モモは閾値を超えてしまったのだ。
俺は言いも言われぬ達成感を胸に、寝そべった体勢からゆっくりと身体を起こす。
「……は……ぅ…………ッ……」
モモはぐったりとしたまま動かない。
呼吸する度に、肩が大きく上下に動く。
その胸中にあるのは困惑か、それとも絶頂の喪失感か。
だがモモ、まだ終わりじゃないぞ。
果物は少し熟れすぎたくらいが甘くていい。
「……ん……あ、りト、さん……」
「大丈夫か?マッサージあんまり良くなかった?」
なんとも白々しいと俺も思うが、モモはそんなことは思わない。
モモはこれで終わりだと思っているだろう。
まさか、そんなわけがない。
俺は無言で、モモの腰辺りを手のひらで円を書くように、尻尾の性感を弱く弱く刺激してやる。
決して強くない快感だけれど、腹の底から何かを欲しくなるような、そんな刺激を。
「い、いえっ……あの、その……突然でちょっと驚いちゃって……あっ……」
部屋の灯に照らされた快感の火照りを何とか隠そうと笑顔を作っているモモが何とも可愛らしかった。
俺はモモのマッサージ疲れを癒すフリをして、モモに更なる欲求を湧き上がらせんと、手の動きをより丁寧で熱心な刺激にしていく。
モモは継続して与えられるもどかしい刺激に、ブルリと身震いをした。
「本当に大丈夫か?なんか汗かいてるけど……」
「ち、違うんです……リトさんの、マッサージが優しくて……うっとりしちゃっただけですよ……」
モモは乱れた髪を耳にかけながら、焦ったように肩越しに俺に笑いかける。
俺はモモの腰に手を置きながら、そうか、と相槌を打つ。
「ちょっと……休憩を……」
そう言って俺のマッサージを中断するように促してくる。
モモが起きあがろうとしたが、腕に力が入らずにヤキモキしていたので、モモの脇に移動し、肩に手を貸してやる。
モモは俺の手を借りながら、うつ伏せから起き上がり、女の子座りをして一息つく。
腕を伸ばして股に添えているから、ララほどではないが、身長にしては豊かに実った乳房がむにゅり、と腕に押し潰されて形を変える。
そうしている間も、俺はモモの腰あたりをずっと摩る。
「尻尾の話とか、結構勉強になったよ。ありがとう、モモ」
「リトさん…………えへへ……ま、マッサージもとっても、き、気持ちよかったですっ……」
息を整えたモモはハニカミながら髪の毛をいじっていた。
まさかマッサージの途中に自分だけ気持ちよくて絶頂してしまって、今も疼いているなんて言えるわけない、言葉の端からそんな雰囲気が漏れ出していた。
そんなモモを見ていると、ふと俺の中でいじめっ子心が芽生えてきた。
「なあ、モモ、さっき聞きたいことが___」
そう言ったところで、モモがピクリと何かに反応する。
俺もほぼ同時に、部屋の外から誰かの足音が近づくのを察知する。
「なんだ、こんなところにいたのか、モモ」
すぐ後に開けっ放しのドアの影から現れたのは、暇を持て余してそうなナナだった。
モモを見つけた後に、目を合わせたのは俺。
一瞬目を見開いて笑顔が見えたような気がしたが、次の瞬間には目を逸らされた。
もう一度モモを見ると不機嫌そうに腕を組んだ。
「お、お前らこんなところで何やってんだよっ」
「あら、ナナじゃない。別に、リトさんにマッサージをしてもらってるだけだけど、何かようかしら?」
ナナを見た途端に、ナナを逆撫でするような声色と表情に変わるモモ。
姉妹の優劣争いはいつもこんな感じなのかと思うと実に不毛だと感じた。
しかし参った。
ナナから見れば、モモと俺が二人きりで何かしていたと疑うのは当然かもしれない。
「はぁ?マッサージって、なんでそんなこと……」
「あら、ナナには関係ないことでしょ?」
売り言葉に買い言葉。
表面だけは余裕のモモと、納得の行かなそうなナナ。
どうしようかと思案していると、モモが俺の方をチラッと見て、口元がニヤリと歪んだ。
そして、ナナに聞かせるために、得意げな声で
「リトさん? そろそろマッサージを再開していただけますか?__________お尻の」
(モモのやつ……!)
モモの意図を理解する。
俺をダシにするつもりだ。ナナを揶揄うための。
俺は尻へのセクハラをマッサージとしてやらねばならない。
ここで断れば、自覚してエロ行為を行ってきたとバレて不信感を抱かれる。
完全に墓穴を掘ってしまった。
「は、はぁ? 尻ぃ?」
わかりやすくナナが狼狽する。
髪の毛を戦慄かせながら、顔を真っ赤にして吠える。
ふと、俺は考える。
(この状況、結構燃えるかもしれん)
ナナには悪いが、俺はちょっとだけモモの思惑に協力することにする。
そうと決まれば、俺は口を閉じたまま、モモのいう通りにマッサージを再開する準備に入る。
「そうよ?リトさんにお尻をマッサージしてもらうの。…………え?あ、はい、こうですか?…………ナナにはちょっと刺激が強いかも知れないから見てなくていいのよ?」
モモがナナを煽っている中、俺は無言でモモの体勢を変えてやり、次のマッサージをするための準備を整えた。
そうしている間にも、モモはさっきまでずっとマッサージをしてもらっていた、とナナに自慢げに話している。
それを聞いたナナは悔しそうに歯噛みしていた。
準備が終わる。
これでいい。俺はニヤリと心で笑った。
「あら、ナナみたいなお子様は元気にお外で遊んでればいいんじゃな……はぁんっ!」
パツンっ、と音がなると同時にモモの言葉が途切れた。
髪が揺れ、肩が揺れ、胸が揺れた。
そしてもう一度、俺はモモの尻に腰をぶつける。
パツン
「あんっ!……リ、リトさんっ?」
モモは理解が追いつかないと言った表情で、俺に問いかける。
俺はその声を聞きながら、腰の動きをやめない。
モモは今、俺に腰をがっしりと掴まれ、四つ這いの体勢になっていた。
「ん?どうかしたか?」
「あの、っ!……こ、これっ……ぁっ……」
パツ、パツ、と腰を打ち付けられ、言葉を途切れさせながら、モモは目を白黒させる。
俺は腰を正確にモモの中心を捉えるように、神経を注ぎながら返答する。
「これは叩打法っていう、叩いてやるマッサージ法なんだ」
「あっ、……そ、そうなんですっねっ……そ、ういうッことよっ!ナナっ!」
モモはバックで腰を打ち付けられながら、それでもナナをみて得意げに笑う。
どう見ても擬似セックスでしかない行為。
マッサージと称して、そんな行為をナナに見せつけながら、俺は悦に浸っていた。
「え、ちょ……これ……」
ナナはぽかんと口を開けながら、顔を真っ赤にしてただ見ることしかできない。
モモは腰が動く度に、ズン、ズンと身体に振動が伝わり、色々なところが揺れる。
打ち付けられる尻は、ブルンと尻肉が波打ち、遅れて重力に引っ張られた乳房がブルブルと左右上下に暴れる。
見ているだけで性感を刺激される。
「さっき聞きたかったんだけどさ、尻尾を思いっきり引っ張るとどうなるんだ?」
「んっ、え、えっとっ……尻尾はぁっ、脊椎と、あ!……繋がってい、るのでっ、一時的に、腰からっ下が、感覚っ……なくなっちゃうと……思いまっンン!」
モモは振動に声を乱されながらも、にっこりと笑う。
俺は腰を振りながら、ふーんと返事をする。
その光景を見ていたナナがはっと顔を上げる。
「そ、そうじゃなくて!……これっ、ど、どう考えたっておかしっ……!」
「あら、羨ましいッのかしら?んっあなただって、前にリトさんッ……に肩を揉ませたって言ってっ、きたじゃない……んんっ!…………あ、あれぇっ?……なんかっ!へ、ヘンっ、これ……振動がっ!腰の尻尾に、伝わってっ……んんっ!!」
モモの話を聞いて俺はニヤリと笑った。
ここにきて俺がずっと腰回りを弱く刺激していた効果が出てきたことに。
俺の突きによって一定のペースで与えられる振動は、骨と筋肉を伝って、確実に尻尾に伝播しているのだ。
言ってしまえば、バイブの振動に近い。
それが尻尾に伝わって、気持ち良くならないはずがないのだ。
「おい、聞いてるのかよ、だからってこんな」
ナナの抗議に反応もせず、モモは背中を丸めて俺のマッサージを受けるしかない。
俺の方は、腰を振るたびに、目の前の雌を犯しているような錯覚に陥り、頭に血が上ってくるのを感じていた。
この女をめちゃくちゃにしたい、そんな欲望が俺の頭を支配する。
「はぁ……いいっ!……こんな、リトさんっあああ」
モモがガクッと頭を絨毯につける。
腕の力が入らなくなったようだ。
モモはお尻だけを俺に突き出した格好で、腰がパンパンと音を立てて叩きつけられる。
そしてモモは2回目の絶頂を迎える。
「ン、ンンンンンンンンンっっっ!」
モモの肩が小刻みに震える。
荒く息をしながら、モモはナナのことを一瞥する。
「……はあ……はあ…… ーーーーーふふっ」
「!」
モモは力のないだらしない顔をしながらも、なんとも幸せそうな表情でナナを嗤った。
お子様のあなたに、理解できるかしら。
そんな意図が込められた笑み。
俺にはわかっていた。
モモにはそんなことをする余裕なんてない。
俺という存在にここまでされていることに困惑していないはずがなかった。
実際は尻尾に与えられる快楽に顔の至る所が緩んで弛緩しているだけ。
その表情が奇しくもナナを嘲笑っているかのように見えたのだ。
グイッ
「リト、さん……私……も、もう限界、で……」
俺はまだモモを解放する気はなかった。
俺は絨毯に這いつくばったモモの両腕を掴んで、引っ張る。
腕を引かれたモモは、強制的に上半身が起き上がる。
モモの胸が突き出したことを確認した俺は、さらに強く腰を叩きつける。
「あっ!あっ!あっ!ああっ激しっ!あっあああ!」
「強いのも好きって言っただろっ」
バスッバスッとも、ドスンドスンとも聞こえる、腰が叩きつけられる音が部屋に響く。
腰を引くときに両腕を緩め、叩きつけるときには腕を引っ張って更に強い振動をモモに送る。
側から見ればレイプ以外の何物でもないだろう。
「ああああ!! リトっ!!さん、!激しっすごっ!」
先程よりも二倍以上早く、強い振動がモモを襲う。
髪はバラバラに乱れ、スカートは捲れてパンツが見えかけていた。
腕を引っ張られて突き出た胸が、振動で更に大きくその形を変えて暴れ回る。
俺はこの瞬間に持てる全てを注ぐつもりだ。
美柑との至福の時間を邪魔された借りを返す。
「はあっ、はあっ、はあっ!」
腰を振る俺もほぼ全力だ。
俺の方も限界が近づいている。
このままでは俺の方がバテてしまう。
そう思い、最悪モモの尻尾をしごいてしまおうかと思った矢先だった。
少し離れたところで俺とモモを呆然と見ていたナナが、はっと我に返ってズンズンと近づいてきたのだ。
何をするんだ?と疑問に思ったその瞬間。
「くぅっ……バカにして……!」
なんと、ナナはそう呟くとモモの尻尾を思い切り掴んで、グッと引っ張った。
偶然にも俺の最後の一突きと全くの同時だった。
「えあ!?あ! ~~~~ッ!! ッッ!! ああああああっ!!!!!」
元々高められていた下半身の性感と擬似セックスという非日常的な精神的興奮、そして極め付けに現在最も敏感になっている尻尾を強く刺激されたモモは、簡単に絶頂へと至った。
喉からは普段聞くことのない声が出て、全身が緊張と弛緩を繰り返し、目からは涙が流れた。
「あ……かっ…………!……んぐ……っ」
俺は息を吐きながら、両手で掴んでいたモモの左右の腕をゆっくりと降ろして、モモを肉の鎖から解放してやる。
ビクッ、ビクッと体を痙攣させているモモを見ると、その焦点はもう合っていなかった。
プシュッ
スパートをかけて肩で息をしていた俺は、下方から水が吹き出すような音を聞いて、目線を下に移す。
モモは近くにあった、確かオットマンと言ったか、ソファの足置きに上半身を預けて、股からチョロチョロと透明な液体を滴らせていた。
「え、お、おい……モモ、大丈夫か?」
状況を理解したナナがおずおずとモモに近づく。
「あ…………ッ…………ぁ……」
ナナが何度も声をかける。
しかし、未だモモの意識は飛んだまま。
白目を剥いて、よだれが絨毯にシミを作っている。
まさかのモモが昼間からこんな姿を晒す事になるとは夢にも思っていなかった。
昂った状態での尻尾への刺激がここまでのものとは正直驚きの方が大きい。
モモの肩を摩っているナナは、尻尾を握っただけでこんな事になるとは思ってもいなかったと表情にありありと出ていた。
「こ、これってあたしのせいか……?」
ナナが縋るように俺に問いかけてきたので、汗を拭いながら俺はさあ?っと肩をすくめて笑うしかなかった。
気まずい空気になったその後、ナナがモモを風呂に入れてくれた。
迷いながら俺も手伝うかを聞くと。
「いらん!」
と一蹴された。
そのまま離れようとしたら視線を感じたので振り返ってみると、ナナが俺のことを何か言いたげに見ていた。
流石にやり過ぎたか?と冷や汗が出てくる。
「な、なに?」
「………………」
及び腰になって、とんでも無く情けない格好だと自分でも思った。
そんな内心を知ってか知らずか、ナナは俺をじっと見て何かを言うか言わないか迷っているようだった。
「…………マッサージ…………」
ボソッと、呟くようにそれを口にすると、モモをおぶって浴室へと行ってしまった。
今度埋め合わせをしないとな、と呑気に思いながら、俺はお気に入りとなった部屋を後にするのだった。
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その翌日。
モモは姿を見せなかった。
部屋を訪ねても全く返事が返ってこない。
そもそも防音だから聞こえてないのかも知れないが、何にせよ部屋から姿を見せないのは中々ないことだった。
諦めて部屋に戻ると、机の上に包み紙に包まれた拳大のものが置かれていた。
「こ、これは……!」
出てきたのは緑色をした植物の根っこだった。
ただの根っこではない。
俺がティアーユ先生から教えてもらっていた媚薬を作るために必要な材料の一つだ。
しかもかなりの希少素材で、媚薬の価値を吊り上げている要因の一つになるほどのものだった。
「モモのやつ…………」
確かにこれをもらったら、先にご褒美をやってもお釣りが来るくらいだろう。
恐らくモモが顔を見せないのは俺にションベンか潮か分からんものを漏らしているのを見られたからだと思う。
ふう、と若干軽くなった肩を回しながら、根っこを机の中に仕舞う。
ちなみにモモが部屋から出てくるまで3日の時間を要した。
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