※この作品はR-18です。

ToLOVEる転生物語   作:大軍

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第27話 ダークネス事変(起)雨男

 

 

 良い日というのは何をしても良い気分になるものらしい。

 

 俺は連日、ララ、御門先生という全国の男がヨダレを垂らすほどの美女を抱いた。

 俺はルンルン気分で、校門を通り過ぎる。

 

 気分がいいと、こんな古びてぼろっちい校舎も、どんよりして今にも雨が降ってきそうな曇り空でさえも、美しいものに見えてくるのが不思議だ。

 

「?」

 

 ふと、振り返る。

 なんだかいつもと違うような、変な気がしたのだ。

 虫の知らせというやつか。

 いや、こんなハッピーな日が続いてるのだ、いつもの違うのは当たり前のこと。

 

「家に帰ったら……うへへ」

 

 多分側から見たら、相当気持ち悪い顔をしている。

 俺は、股間と胸を膨らませながら、家に帰ったら誰が居るかを想像してしまう。

 可愛い少女たちが俺を待っているのだから。

 

 家に帰れば、お尻の穴を弄ったりできる美柑がいる。

 今度はチンポを咥えさせて飲ませてみたい。

 JSとヤルなんて滅多にないチャンスだ。

 

 ララも、まだやり足りない。

 おっぱいも、もみくちゃにして、あの天真爛漫なララの顔を歪ませたいな。

 

 モモも、ナナもあの未成熟な肉体で、気持ちよくなりたい。

 

 俺は小躍りする。

 

「あ〜、楽しみだ」

 

 ぽつ、と水滴が鼻先に落ちてきた。

 

 困った。

 

 ここら辺は、あまり店とかが無い。

 俺は急いで帰るか、雨宿りするか迷いながら、取り敢えず屋根のあるところがないか、当たりを見渡す。

 

 

「ん?ナナ?」

 

 丁度、家の方向を見るとに、ナナがこちらに向かって走ってくるのが見えた。

 今日は帰りが遅かったから、ナナは先に帰宅していたのだろう。

 おーい、と手を振る。

 

「あれ?」

 

 だが、おかしい。

 なんであんなにナナは走ってるんだ?

 なんで、あんなに血相を変えてこちらに向かってくるんだ?

 

 

 ポツ、ポツ、とどんより曇った空から雨粒が落ちてきた。

 ナナがこちらに着く頃には、あっという間に地面が雨で色が濃くなる。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……リト」

「ナナ、どうしたんだよ、一体」

 

 ナナはずぶ濡れになって、激しく息を吐く。

 髪が濡れて肌に張り付いている。

 俺はたまたま近くにあった屋根のある軒先で、息を切らしたナナに手を貸す。

 

「……いいから来い」

 

 ナナは俺の腕を掴むと、有無を言わさない様子で、家と反対方向へ引っ張られる。

 いつもの様子と明らかに違う。

 

 名前を呼んでも、俺の事など無視して、走る。

 水溜りを踏んだ。水が靴に入ってる。

 傘もないから、俺もずぶ濡れだ。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 走って、走って、誰もいない公園までたどり着くとやっと止まる。

 俺も息が上がっていた。

 

 灰色の雲から、ゴロゴロ、と不気味な音が鳴り始める。

 ゼーゼー息をしながら、曇天を見上げる。

 これは長い雨になりそうだ。

 

 視線を下ろして、多分下着までずぶ濡れになっているナナを視界に収める。

 ナナも俺のことを見ていた。

 

 ナナが俺の目を見て、静かに、だが、確かな声で言った。

 

 

 

「ヤミが……ダークネスになった。リト。お前を追ってくる」

 

「え?」

 

 平穏な日常が崩れていく音が、空から降ってきた。

 

 

/////////////////////////////////

 

 

 公園にはたくさんの遊具がある。

 

 その中には、ドーム上の雨を凌げるものがあった。

 俺たちはその中に四つん這いで入り、横並びに座る。

 

「言った通りだ。ヤミが……いや、ダークネスがリトを追ってる。家のみんなはおかしくなってる。多分ダークネスの仕業だと思う」

 

 俺は最初理解ができなかった。

 ダークネス。

 確かにヤミにはダークネスという、第二人格みたいな存在がいる。

 だからって、俺を追ってる?みんなおかしくなった?

 

 いやいや、家に帰ったら、美柑やララたちが迎えてくれて、平和な生活が待ってるはずだ。

 

「……」

 

 だが、ナナがふざけている様子はなかった。

 こんな大真面目な様子が演技だとしたら、人間不信になっちゃう。

 

「事情は……一応わかった。取り敢えず、家に電話してみていいか?」

「うん……無駄だと思うけど」

 

 膝を抱えたナナがボソリと返事をする。

 俺は横の彼女を見ながら、デダイヤルを開く。

 

 かけるのはララの電話だ。

 

『あ、リト。どうしたの?』

 

 ああ、やっぱりいつものララじゃないか、と俺は思った。

 俺は普段通りのララの声に安心しながら、ダークネスについて話を振る。

 

『ダークネス?ヤミちゃんでしょ?どうかしたの?』

 

(ん?)

 

 ララはさして気にならないように、いつもの調子だ。

 少しだけ違和感を覚えるが、いつも通りの調子から、考えるのを放棄する。

 

 やっぱりナナの勘違いなんじゃないだろうか。

 

 そう思ったら急に気が楽になった。

 ダークネスが俺を追ってるとか、怖くて出歩けない。

 

 俺は一旦電話を切る。

 

「なあ、ナナ。家に帰ってみよう」

「っ!?ダメに決まってるだろ!!」

 

 ナナは目を見開いて、こちらに体を向ける。

 何を言ってるんだ、信じられない、と言った表情だ。

 少し胸が痛むが、一旦家に帰らないことには、この濡れた服も乾かせない。

 

 実際、ダークネスが追ってきてたら、既に俺の前に現れていてもおかしくない。

 ナナの走ってくるスピードと、ここに座ってた時間を考えれば、ダークネスが現れない方がおかしいのだ。

 この公園は家からせいぜい百メートルだ。

 

「なあっ、リト!ダメだ!!」

「ララもいつも通りだったし、ダークネスが暴れてたら、もっと焦ってるはずだし」

「だから、みんなおかしくなってるんだって!!」

 

 ナナの声がドームに反響する。

 肩を掴まれる。

 俺は内心、大したことないだろうと思わざるを得なかった。

 

「でもさ……」

「っ……!静かに……!」

 

 ナナは、手で俺の口を塞ぐ。

 細い指が頬に食い込むが、ナナの横顔を見る。

 その表情は真剣そのものだった。

 

 よくわからない。

 よくわからないが、俺もナナと同じように、外の音に耳を澄ませる。

 

 

_____パシャ……パシャ……

 

 

 ザアザアと雨が地面を叩く音に紛れて、足音が聞こえていた。

 俺だったら聞き逃しているくらい、僅かな違い。

 

 音を隠す様子もない。

 子供が裸足で遊んでいるような。

 だが、さっきまで子供なんてこの公園にはいなかった。

 

 俺たちが入っているドーム型の遊具には、筒のように両端が繋がっている。

 俺たちと反対側の出入り口に、誰かが近づいている。

 

 足音がこちらに向かっている。

 

 すぐそこにいる。

 

「……っ!!」

 

 裸足の足。

 金色の長い髪の毛。

 

 それだけが、ここから見えた。

 

 その瞬間、ナナが俺の腕を掴んで、ドームから飛び出す。

 

「_____!!」

 

 ナナが何かを叫んだ。

 多分、逃げるぞ、って言ったんだと思う。

 頭が真っ白になって、俺はナナに引っ張られるまま、走り出す。

 

(本当なのか……?あの髪の毛は、ヤミにそっくりだった。でも、ヤミがあんな格好で出歩くはず、ない……)

 

 つまり、正真正銘、ダークネスだ。

 

 自分の愚かさを呪う。

 ナナの言う事を信じなかった。

 あいつの目的は?

 なんで俺を?

 

 そんな言葉で頭がいっぱいになる。

 

(待てよ?)

 

 俺は不意に立ち止まった。

 俺たちは逃げている。

 逃げるのはダークネスとは逆の方向。

 

 家とは逆の方向だ。

 

(家のみんなは?)

 

 そう思った瞬間、俺は直線方向から右の道に方向転換する。

 ここを曲がれば、幾分近道だった。

 

「リトっ!行っちゃダメだ!!」

「ララや美柑たちのところに行かないと!」

 

 ナナが後ろから追いかけてくるのがわかった。

 ナナを待つより、家のみんなが無事であることを確かめたい。

 

 俺は雨で滑らないようにデダイヤルを取り出し、今度は家に電話をかける。

 

『あ、リトさん?』

 

 数コールの後、すぐに電話がつながる。

 モモだ。

 モモの様子はいつもと一緒だ。

 だが、ララもそうだった。

 あの時の違和感。

 ダークネスだと言っても何も反応してなかった。

 

 だから、もう一度、ダークネスが追ってきてると伝える。

 

『大丈夫ですよ〜。ダークネスさんですよ?もう、からかってるんですか?』

 

 モモは面白そうな声でそういった。

 やっぱりララと同じだった。

 ダークネスを全く警戒していない。

 もしかして、これがナナの言っていた、おかしくなってる、ってことなのかもしれない。

 

 電話を切ると、すぐそこに自宅が見えていた。

 一旦家に隠れて_____

 

 

「あ、結城リト。はっけーん!!」

 

 

 ヤミの声が、上から聞こえた。

 だけど。ヤミの声だけれど。

 

 

_________ヤミの喋り方じゃ____ない。

 

 

 

 その瞬間、ドカンッ!!、と何か硬いものがコンクリートに打ち込まれたような破裂音が鳴った。

 

「熱っ」

 

 鎖骨辺りに衝撃と、焼けたような鋭い痛みが走る。

 同時に何かに突き飛ばされ、そのまま俺は地面へと尻餅をつく。

 

 金色の鋭い何かが、視界の端に映る。

 俺にの腹に覆い被さっているのは、ナナだ。

 ナナが俺を突き飛ばしたのか。

 

 右手で、さっき変な衝撃があった左の鎖骨を抑えると、そこには雨の水とは違う、ねっとりとした感触。

 俺の手には、真っ赤な鮮血が付着していた。

 

 ナナが咄嗟に突き飛ばしたことで助かったのだ。

 衝撃に息が詰まって呼吸が乱れながら、スッと地面に降り立った金髪の少女を視界に収める。

 

 金色の長い髪の毛。

 白い肌に、中学生くらいの膨らみがある幼い体型。

 下着よりも卑猥な黒いボンテージ。

 頭部に生えた角。

 ゾッとするような瞳が俺を見ていた。

 

「あーー!外しちゃったじゃん!ってうわぁっ!?」

 

 次は俺の首を狙うであろう、ダークネスの変身した髪の刃が、動いた気がした瞬間。

 バブッと音と共に、網目上の膜がダークネスに発射される。

 

 ナナだ。

 たぶん、動物の捕獲用のやつ。

 綱に絡め取られ、ダークネスの動きが止まる。

 

 多分、持って十秒だろう。

 

「リトっ!」

「うっざー。逃げても無駄なのに」

 

 ナナが俺の手を取り、結城宅に走る。

 雨か汗ともわからないが、視界が液体で歪む。

 とにかく逃げたかった。

 ただただ恐ろしい。

 

 自宅に戻ったら、誰かが助けてくれるはずだ。

 俺はそれでなんとかなると思っていた。

 

「リトっ!一旦宇宙船で逃げるぞ!」

 

 ナナが言った。

 妙案だ。

 だが、家のみんなもどうにかしないと。

 

 最悪の場合、ナナのいう通り、ここから遠く逃げないといけないのかもしれない。

 そんなことにならないと願いながら、俺は頷くと、そのまま家へと走る。

 

 

「美柑っ!ララっ、モモ!」

 

 玄関を開け、土足で中に入る。

 リビングに向かう。

 

「わ!リト?何やってんの、そんなにずぶ濡れで」

「おかえり〜!雨すごいね!」

「リトさん、お帰りなさい!どうしたんですか?」

 

 三人がいた。

 みんな、ソファで寛いで、お菓子を食べていた。

 いつも通り。

 穏やかな日常。

 

 一瞬、今までのがドッキリか、白昼夢なんじゃないかと思った。

 思いたかった。

 

「な、なあ。たった今、ダークネスに襲われたんだ。みんな大丈夫なのか?」

 

「ダークネスさん?なら、さっき出ていきましたけど?」

 

 皆、キョトン、とした顔で、俺を見る。

 血を見せても、ダークネスがやったと言っても、誰もダークネスを疑わない。

 

「どうなってるんだよ……!なんで……」

 

 頭がおかしくなりそうだった。

 少女たちを前に、俺は立ち尽くす。

 

 そして、2階に行っていたナナが戻ってくる。

 

「……リト」

 

 ナナが、深刻そうな顔で口を開く。

 

 

「宇宙船が破壊されてる」

 

 

 その瞬間。

 

 

 _________ドカンっ!!

 

 

 という轟音と共に、玄関が吹っ飛んだ。

 

「うっ!」

 

 パラパラと木材やら家具の破片が飛び散る。

 

 破壊された玄関の向こうには、それをやった張本人と思われるダークネスが立っていた。

 

「くそ……」

 

 全て合点がいった。

 ダークネスがすぐ俺を追って来なかったのは、宇宙船を破壊していたからか。

 

 卑猥な格好で、こちらに近づきながら、ダークネスがクフフ、と笑う。

 

「最初から詰んでたってこと。プリンセス・ナナがこっち側にならなかったのは想定外だったけど」

 

 切られた傷が痛い。

 

 

 

 

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