諸行無常とはよく言ったものである。
俺は電灯もない薄暗い部屋で、ため息をついた。
目の前には、暖炉があり炎がゆらゆらと燃えている。
今使えるのは、この暖炉の火だけ。
電気は派手には使えない。
ここにいることがバレてはいけないからだ。
暖炉が使えるのは、煙が目立たない夜だけだ。
乾き切っていない湿気った服を着ているせいで、暖炉の温もりがただありがたかった。
「リト、傷は大丈夫か?」
奥からナナが現れる。
うん、と返事をすると、何も言わずに手に持った毛布を渡してくれる。
「御門先生はまだかな?」
毛布で体を包む。
縋るような声が出た。
こんな声が自分から出るなんて、これまでの人生で考えたこともなかった。
「連絡したらだめだぞ。ダークネスに居場所がバレる」
うん、と返事をすると、数時間前の出来事を思い出す。
////////////////////////
「最初から詰んでたってこと。プリンセス・ナナがこっち側にならなかったのは想定外だったけど」
俺は、突きつけられた王手の一言に、自分の無力を痛感していた。
ララたちの助けがなければ、俺は何もできない。
ナナがダークネス側につかなかったってことは、ララたちがおかしいのはやっぱりダークネスのせいなのだろう。
外堀から埋めて来たってことか。
今更言ったところで全てが遅いのだろう。
いつだって、わかった頃には手遅れってことがほとんどだ。
びしょびしょの靴が床を滑る。
その瞬間、ダークネスの変身した武器が動く。
俺のことを狙う凶器。
「リトっ!!」
その時、ナナが手元の装置を起動させた。
なんだあれ、と思う暇もなく、寸前のところで俺とナナの二人を光の膜が覆う。
「あ!」
変身した刃が空を切り、ダークネスが声を上げる。
視界が歪み、目が回る。
(この感覚、どこかで)
保健室で変なロボットに御門先生と転移させられた感覚と同じだと気づいた時には、あの時のように意識を失った。
////////////////////////
パキキ、と薪が爆ぜる。
窓の外は、木々が風で揺れている。辺りは未だ薄暗いままだ。
ナナは、俺に渡したのとは別の毛布を広げ、肩にかけると、俺の隣に座る。
分厚いペルシャ絨毯のような良質な絨毯からわかる通り、御門先生の別荘は、かなり高級な調度品が揃えられていた。
大豪邸というわけではないが、数人で住むには十分な広さで、まるで貴族のお屋敷みたいだった。
そんな建物にいるからといって、俺の気分は高ぶることはない。
安全で、みんながいなければ、意味がないのだ。
ナナと俺は、いや少なくとも俺は、ぼんやりと暖炉の火を眺めながら、この建物に来る前のことを思い出していた。
俺は少し時間を遡り、記憶を思い出す。
ダークネスから逃げて転移した後、まだ続きがある。
最初に転移したのはナナの動物空間だった。
そこで直ぐに誰かの助けを借りられないか、白羽の矢が立ったのは御門先生。
直ぐに電話をし、事情を説明した。
幸い彼女もダークネスの洗脳状態ではなく、俺たちに協力してくれるとのことだった。
『直ぐに移動して』と彼女の別荘に移動するように指示され、今ここにいる。
先生は、どうにかしてダークネスの力の根源である、ダークマターを無力化する薬を作成してくれるという。
そんな直ぐにできるのか、と疑問に思ったが、先行研究と三日間あれば可能らしい。
『大丈夫。任せて……!』
御門先生の天才ぶりと、これまで命を救ってきた実績のある言葉は、とてつもなく頼もしかった。
だが、喜びも束の間。
ナナの動物空間に、ダークネスが現れたのだ。
今思うと、多分、電話の通信をなんらかの手段を使って、傍受したんだと思う。
近くにララの道具はいくらでもあるから、不可能ではない。
奴の姿を見た瞬間、ナナが転移装置を発動し、御門先生の別荘近くに移動した。
「俺のせいかもしれない……好き勝手やりすぎたんだ」
パチ、パチ、と火の粉が弾ける。
どこかで思っていた本音がポロリと出た。
目の前に、自分の事を信頼してくれてる可愛い女の子がたくさんいたから、俺は手当たり次第、セクハラを繰り返してきた。
「リトは悪くないだろ。ダークネスは暴走してる。私が家に着いた頃には、ダークネスがいたんだよ」
ナナが帰宅してリビングにいると、ララたちがお茶を飲んでいたらしい。
そのままお茶を飲もうとした時、異変に気づき、変な匂いすると言ったら、ダークネスが陰から現れたらしい。
家を飛び出し、俺を探しにきたってことだ。
俺よりも歳も下で、体も小さいナナに慰められている。
情けなかった。
御門先生だってそうだ。
先生の好意に乗じて、レイプもしたのに、俺のために多分寝ずに作業をしてくれてる。
ララも、美柑も、モモも、洗脳状態なのはダークネスのせいだが、巻き込まれたのは俺のせいだ。
(俺、何やってんだよ)
俺は、ひとりになりたくて、別の部屋に移動しようと立ち上がる。
ナナが俺の袖を掴んでくる。
「別の部屋で頭冷やしてくる」
「……ダメ……だ。ダークネスが追って来た時、私もいた方がいい、だろ?」
後ろのナナの声は、少し震えていた。
我儘を言ってるのはわかっていた。
ナナのいうことももっともだ。
「そういう時って、私もあるけど……今はここにいろよ」
少し逡巡し、暖炉の前で、ナナを向き合って立つ。
この状況だ。
俺の我儘で状況を悪化させるわけにはいかない。
そういう面では、ナナは遥かに俺より大人だった。
「……」
暖炉の前は暖かかった。
乾きつつあるが、雨に濡れた服はそう簡単には乾かない。
身体に張り付く感覚がまだあった。
「……」
ナナを横目で見ると、その瞳は暖炉の炎を眺めていた。
その表情からは強い決意のようなものが感じられた。
「なあ、ナナ……」
「な、なんだよ急に……」
しばらく話してなかったからか、随分と驚いていた。
「助けてくれてありがとう。ナナがいなかったら、多分今頃死んでた」
まだ礼を言っていなかった。
なんとなくだが、今言わないといけない気がした。
普段から、ナナにも世話になりっぱなしだ。
当たり前のことを、あって当然と思っていたのだ、俺は。
無事に戻ったら、みんなに日頃伝えていないことを言わなくてはと、俺は思っていた。
ナナは目を丸くする。
「……べ、別にお礼なんていらないからなっ……困ってる時は助けるのは当たり前だろ?」
何故か顔が赤くなっている気がするが、暖炉の火のせいだろうか。
わからないが、俺も少しだけ気が楽になっていた。
ただ冷静なだけのやつだったら、俺はもっと精神的に追い込まれていたと思う。
「まあ……なんていうか……リトが困ってる時は助ける……から。だから……私のことも少しは頼れよ?」
うん、と返事をしたかったが、ナナにこれ以上頼っていいのか、俺の中で迷いが生じていた。
ナナは可愛いし、俺よりしっかりしてる。
でも、ナナはまだ幼い。
きっと、ナナにとっても、今回のダークネスの件はショックに違いなかった。
家族の、ララとモモがダークネスに人質を取られているようなものだからだ。
「……ナナ、あのさ___」
ナナは大丈夫なのか、と言おうとした時。
ナナの毛布が、肩から落ちる。
何してるんだ?と彼女の目を見たら、ナナが何も言わずに俺の背中に手を回し、ギュッと抱きしめられる。
人肌の温かさを、肌同士が触れる所だけ、感じる。
「ナナ?」
冷たい布の感触が肌に張り付くが、ナナだと思うと、そこまで不快に感じない。
それより、ナナの柔らかい体の感触が、俺の精神を舐めた。
ナナが、俺の胸に頭を預ける。
ナナが息を吸い、絞り出すように、言った。
「リト……」
少女の身体に感じたのは、優しさだった。
思えば、俺が誰かに優しくしたことがあっただろうか。
セクハラして、性欲のままに行動して、相手のことを考えたことがあっただろうか。
ナナの手が、俺の背中を撫でる。
心を撫でるように。
俺は、奪うだけで、与えることをしていなかったんじゃないだろうか。
ナナにも、目隠しして変態的なことをして、楽しんだこともあった。
だけど、ナナは俺を恨むこともしなかった。
ナナにも、ララにも、美柑にも、モモにも、ヤミにも、ティアーユ先生にも、御門先生にも、古手川にも。
(それじゃダメだろ)
俺の中で、情けなさの中から、ある種の闘志が湧き出で始めた。
女の子を、ナナを守ってやるのは、安心させるのは、男の役目じゃないか、と。
俺は震える手で、ナナの背中に手を回し、抱きしめる。
「ごめん……ララも、モモも、美柑も、きっと大丈夫だから」
「っ!…………うん……!」
ナナの声に僅かな嗚咽が混じる。
やっぱりナナもこの状況が不安なのだ。
ナナとお互いを抱きしめ合う。
しばらくそうしていると、ナナがハッとして、身を硬くする。
あ、あ、と照れたような声が漏れる。
「っ……!」
急に恥ずかしくなったのか、自らの行動を恥じるかのようだ。
彼女の優しさから出た行動は、誰も見ていないのに、ナナの中で禁忌の意味を孕んでいたようだ。
「も、もう……離れるぞ……」
「ん……」
急にぎこちなくなった会話に、笑いが出そうになる。
だが、俺たちの声に、ある種の熱が含まれていることは、言うまでもない。
急にナナと離れたことで、寒さが余計鋭くなり身震いする。
そうだ、服が濡れたままだった、と俺は今更思い出す。
俯いて、手をいじっているナナが、俺の僅かな異変に気づくと、俺の制服の上着のボタンを外す。
「服、乾かすぞ」
少しぶっきらぼうになったナナの声と、彼女の甲斐甲斐しさに、自身への恥ずかしさを感じつつ、制服の上着を脱ぐ。
「ナナも服濡れてるだろ」
「う、うん……そうだな……」
ナナは黄色いベストを脱ごうとするが、濡れて上手く脱げないようだった。
俺はベストの裾を持って、子供の頃に親にしてもらったように、上に脱がせてやる。
「あ……」
ふと下に視線を向けると、うっすらと透けた制服が目に入った。
ワイヤーの入っていないブラジャーが、白いシャツから透けて見える。
これまで、状況が状況だったからか、全く目に入っていなかった。
あれだけ濡れたら、白いシャツなら透けてしまうのは当たり前だった。
冷えた身体に、情欲の熱が湧き出る。
下半身が熱く、硬く隆起してしまう。
ナナが、俺の股間に目を移し、目を見開く。
「ぁ………………」
ナナは見てはいけないものを見た顔で、息を呑む。
そして、少し思案した後、自分の身体を見ると、透けている下着を見て、茹で蛸のように顔を真っ赤にする。
いつものように、ナナは怒ると思った。
しかし、俺の予想は大きく外れる。
プチプチとボタンを外すし、濡れた布が擦れる音が聞こえ、床に落ちる。
ナナは、顔を赤くしたまま、俯き加減で服を脱いでいた。
「服、脱がないのか……私だけ、脱ぐのかよ……」
俺も黙って、ナナに続いた。
下着姿になった俺たちは、一つの毛布にくるまって、暖炉の前に座っていた。
白の下着姿のナナが、すぐ横にいる。
ナナは何か思案げな表情をして、俺をたまに見ては、顔を俯くというのを繰り返しているが、それを見ていると俺もそわそわしてくる。
変化があったのは、新たに入れた暖炉の薪が、程よく火を放つようになった頃。
ナナが俺の肩を突っつく。
「ん?」
ナナが膝立ちになって、いつもより高い位置で、俺を見下ろす。
その顔には、未知の選択を選ぼうとする、躊躇いと羞恥が浮かんでいるようだ。
妙に色っぽい潤んだ瞳。
なんだ?と、言おうとした時、頬に柔らかい感触が当たる。
俺は目を見開く。
ナナが俺の後頭部に手を回し、自らの胸に押しつけたのだ。
ララや御門先生とは比べるまでもない、薄い乳房。
だが、その柔らかさは、女性にしか無い瑞々しい甘美な感触。
「小さいけど、前に好きって言ってくれただろ?」
前に行ったことを覚えていたのか、とフワフワとしたナナの乳房を頬に感じながら思う。
息を吸うと、ナナの匂いが、媚薬のように頭に回る。
命の危険を感じているからか、嗅覚も敏感になっているようだ。
俺の五感が、ナナの異性性をこれでもかと、俺の生殖本能を刺激してくる。
(これは……やばい)
俄に煮立ちつつあった俺の中の性獣が、目の前の若い女を食らえ、とうなり始める。
ナナの高い体温と、冷えた身体が混ざり合い、感覚が溶けるようだ。
押し付けられた胸骨から、ドックン、ドックン、と鼓動が伝わり、胸の下にある少女の白い腹部、そして男を受け入れる下半身のフォルムが、妄想の中に具体化する。
ずっとこのままで……いやもっと、もっと、と俺の心が訴える。
ナナへの感情と、渦巻くナナへの肉体への意識が、チョコレートのように混ざり合う。
屈折した欲望が渦巻いて、俺を苦しめる。
ナナは悪くない。でも、ナナが原因だ。
「元気、でたか?」
恍惚とした表情の俺を見て、ナナはにっこり笑いながら、俺の頭を撫でる。
その照れたような声を聞いた瞬間、下着に抑えれていた肉棒がビキ、と叫んだ。
「乳首舐めたら、もっと元気になれるかも……」
なんてことを言うんだ、俺のことをなんの見返りもなく助けてくれたナナに、と思った。
目の前の少女に、言ってはならないことだ。
背徳が、背筋を走る。
「ケダモノ……だ……本当」
ナナは薄いブラトップを掴み、スッと脱ぎ去る。
最後の輪っかが髪の毛を通り、オレンジ色の炎に、ナナの乳房が照らされる。
ほとんど谷間の影もできない乳房に、2箇所、小さな突起が影となって白い身体に存在を主張する。
何も言わずに、ナナが胸を突き出す。
俺はナナの乳首にしゃぶりつく。
「あぁっ……!」
それだけで脳が沸騰する。
小さいが、充血して硬くなった乳首の先を、啄み、吸い、こねる。
体が未発達でも、乳首は硬くなるのだ。
ナナが、くぅっと声を漏らし、さらに乳首は硬くなる。
女だ。ナナの女がここにある。
この清らかな少女の乳首を摘んでいるのは、この俺なのだ。
右、左と交互に唾液を塗りたくり、ナナの胸に舐められていない場所がなくなっていく。
「あぅ……っん……」
ちゅぶ、ちゅぱ、と乳首と一緒に薄い乳房を口に含み、吸う。
極上の和菓子を食べているような感覚。
押し付けた口が、ナナの体を揺らす程に、強く。
俺がナナの乳首を転がすたびに、ナナの悩ましい声が漏れ続けた。
「クゥ……!」
舐めて、吸って、軽く歯を立てて、ビンビンに硬くなった乳首が、赤くなってきて、俺の口も疲れてきたところで、最後の一舐め。
乳房の下から上までを、舌全体を使って舐め上げて、やっと口を離す。
「ん……」
テラテラと、唾液をまぶされた乳房に炎の光が反射する。
胸から、スッと視線を上げると、潤んだ瞳と目が合う。
ナナの顔が近づき、唇が重なる。
柔らかく、湿った、小さな唇だ。
触れるだけのキス。
それだけで十分だった。
だが、ちゅ、ちゅ、とお互いにマーキングするように、執拗に。
ナナの細い腰をつい、掴んでみると、ちゅぱ、っと唇が離れる。
潤んだ瞳が、俺を射抜く。
体が揺れた拍子に、怒張がナナの脚に当たった。
先走りで湿りがわかるほど濡れた下着を見て、ナナが呆れを含んだため息をつく。
「ホント……元気だな……」
暖炉の前で、ナナに押されて仰向けになる。
ナナが立ち上がると下着を脱ぎ床に落とすと、今度は俺の下着を引っ張り脱がされてしまう。
ナナが俺に馬乗りになる。
ちゅ、と、俺の肉棒と、ナナの秘裂が重なる。
ん、とナナの腰がわずかに揺れる。
「ナナ……?」
体重をかけない、遠慮がちな愛撫に焦らされ、呻き声が漏れる。
「うぁ……」
俺の脇の下の絨毯に手をつき、性器を擦り合わせる様子を覗き込むナナ。
はぁ、はぁ、とわずかに息が上がる中、ぽつり、とつぶやく。
「こうすれば、リトが元気になるって、思ったから」
ナナが僅かに腰を浮かせると、ぬちゅ、とネバネバとした液体が糸を引く。
ナナの手が、俺のチンポを垂直に立て、ゆっくりと腰を下ろす。
亀頭の先は、ナナの膣口に宛てがわれている。
何かが破れたような感覚が伝わり、ナナの身体が反射で丸まる。
「んんっ……!うぐぅっ!!」
狭い。
ナナはそれ以上の動きを止めて、は、は、と息継ぎのように激しく呼吸をする。
猛烈な異物感が、ナナを襲っているはずだ。
ギチギチと狭い膣が肉棒を締め付ける。
「き、気持ち良いか……?」
目に涙が溜まっていた。
形ばかりの笑顔で、ナナは俺を締め付ける。
誰も立ち入ったことのない雪原そのものに、俺は分け入る。
未だ一度も解されていない膣は、それはキツく、硬さがあった。
既に猛り煮詰まっていた俺のものは、それに相まって射精への欲を高める。
「ナナっ……無理は……」
「あ、たしは……大丈夫、だから……」
そう言って、ナナの脚に僅かに力が入るが、ビビっとナナの体が固まり、動けない。
ふ、ふ、とナナの苦しい息遣い。
ギチギチと締め付ける膣は、これ以上の異物を入れるには辛いのかもしれない。
だが、俺は言いづらいが、ナナ、と呼ぶ。
「まだ全部入ってないんだ」
「ふぇ?」
俺は少しだけナナの腰を掴む手に力を入れ、ナナに深く挿入する。
ズル、ズル、と竿と膣が擦れるが、挿れる。
「あっ……!ぁ〜〜〜〜〜!!」
竿が根元までナナの体に隠れると、ナナは、かはっ、と息を吐く。
やはり俺を受け入れるには、ナナの体は小さかったのだ。
俺は少しでも気を紛らわせるため、ナナにキスしようと、体を起こす。
ナナはすぐに、俺を抱き締めて、ゆっくりと根本まで挿れられた肉棒を確かめるように腰を少しだけ揺らす。
耳元でナナが呻く。
は、は、と短い呼吸で俺の背中にしがみつく。
「お腹、く、苦しい……よぉ……」
膣が波のような周期と不規則な痙攣で肉棒を緩く、しかし確実に刺激する。
額と額が合わさり、玉の汗が、ぺトッと広がる。
距離がゼロになったナナの顔。
熱く震えた吐息を交換する。
「キス、して……」
今度は俺がナナを抱きしめ、唇を交わす。
労るように、ナナの心を舐めるように、舌をナナの口内に入れて、ナナと絡みあう。
ちゅ、ちゅ、と唾液が混ざる音が響き、緩んだ唇と舌をチュゥと吸ってやる。
レロ、と舌が液体になったと錯覚するようなキス。
「_____~~~~~ふぁっ!」
一瞬、あれ程ガチガチに俺を拒み締め付けていた膣が緩み、奥底の奥、僅かに届いていなかったナナの最奥に亀頭が侵入する。
「_____ぁ…………ぁ……!~~~~~~~ッ!!」
膣が急激に収縮する。
「うあっ!」
俺は射精した。
異常な勢いで、精液がナナの中に流れ込む。
ビュ、ビュ!と脈動が白いモヤとなって、視界を包む。
「っ……ぁ……」
最後の一滴まで、ナナの子宮に注ぎ込む。
こんな射精は初めてだった。
あっという間の昇天。
未だ搾り取るように、ナナの膣は俺の肉棒を締め付けている。
心地よい射精の脱力感。
体に感じる人ひとりの重みを感じながら、ゆっくりと絨毯に背中をつける。
ナナは俺を強く抱きしめたままだ。
「もう……限界……」
ナナの体から力が抜け、倒れるように、絨毯に寝そべる。
ズッポリと中に入っていたチンポが、ズルズル、と抜け落ち、赤く充血した膣口から吐き出された精液が溢れる。
「あ……」
ピンク色になった白濁液が、自らの股から流れるのを眺めるナナ。
「…………わぁ…………」
つい、その姿を見て股間を硬くしてしまったが、トイレ行ってくる、と言って自分で処理した。
破瓜の直後のナナに、無理させるのは気が引けた。
それから二日間。
俺たちは爛れた学生のような時間を過ごした。
ナナは、膣の痛みが抜けなかったため、挿入は控えて色々な愛撫をした。
三日目の朝。
俺は座りながら股座に顔を埋め、口で俺のものを清めるナナから、チンポを引き抜く。
「もういいのか……?」
「ああ、もう時間だから……」
ナナは俺の逸物を一瞥して、口元を拭くと、いつもの服に着替える。
「行こう」
///////////////////////////
御門先生との約束の日。
俺たちは御門先生に指定された廃屋へと転移する。
地球ではないことは確かだ。
コツコツ、と足音を聴きながら、約束の場所へと向かう。
ナナが持っている転移装置は緊急用だったらしく、二人だと後一回動くかどうかわからないらしい。
つまり、もう転移による脱出はできないと思っていい。
御門先生とは連絡をとっていない。
ナナ曰く、ダークネスは電波ジャックができる可能性が高いらしい。
電話で通信したら、それを察知される。
「御門先生から指示があった場所だ」
「心配するなよ、リト。薬はちゃんとできてるって」
俺たちは手を繋いでいた。
ナナの手が俺をぎゅっと握ってくれる。
先生の薬はあくまでダークネスにかけるか、飲ませるかして初めて効果を発揮する。
薬が手に入ってからが勝負だ。
(何があっても、元の平穏を取り戻す)
俺は決心していた。
ここで先生を待つ。
そう思った時だ。
_____足音。
ちょうど、突き当たりの壁の向こうから、人の足音が聞こえてくる。
ここはどう考えても人が住んでいる場所ではない。
御門先生に違いないだろうと俺は思った。
この声を聞くまでは。
「遅かったね。お二人さん」
「ダークネス……!!」
ナナと繋いでいた手を離し、いつでも走れるように重心を落とす。
幸いこの建物は死角が多い。
隠れながらなら、ダークネスに一矢報いることができるかもしれないからだ。
「3日も寿命が伸びて嬉しかった?人生最期の3日って充実してたのかな?」
ダークネスは俺たちを見下ろして、クフフ、と嗤った。
ギリ、と奥歯を噛み締める。
ダークネスに何故居場所がバレたのか、これからどうするのか、色々と頭を駆け巡るが、ダークネスの物言いに無性に腹が立つ。
そんな様子の俺を見て興が乗ったのか、何か喋ろうとして、ナナを見て面白いことを思いついた顔をする。
「あ、プリンセス・ナナが一日身代わりになるなら、結城リトの寿命も一日伸びるかも」
明らかな狂言に、一瞬頭が沸騰しそうになるが、グッと抑える。
横目でナナを見る。
ナナも冷静なままだ。
だから、俺も冷静でなければならない。
ダークネスは、指を顎に添えてわざとらしい演技をして、嗤う。
「縛り上げて、変身で作ったすっごいオモチャでー、穴と言う穴をガバガバになるまで可愛がってあげるのも面白いかも!泣いても喚いても絶対やめないの!」
クフフ、と含み笑いをしている様子を見て、俺の反応を見て楽しむつもりだろうと予想する。
だが、このままダークネスのお喋りに付き合っている場合ではない。
そう思った時、ナナが動くかどうかもわからない転移装置を俺に向ける。
「逃げろ!リト!」
「二度目はないって。お一人でどうぞー」
ダークネスは、ナナの行動を完全に予測していたのか、流れるような動きで髪の毛を伸ばし、ダークネスが行使できるワープホールをナナの足元に発生させる。
「リ……」
「ナナっ……!!」
ナナの体は重力を失い、ワープホールに落下し、姿か完全に消える。
手に持っていた転移装置がカツン、と地面に落ちると、辺りが静寂に包まれる。
「ナナをどこへやった!?」
「心配?あははっ!おっかしー!」
ダークネスがそこらにあった机に腰掛け、腹を抱えてわらう。
俺の反応が余程お気に召したのだ。
ひとしきり笑った後、涙まで浮かべてダークネスは答えた。
「大丈夫だってー。デビルーク王は流石に敵に回したくないしー」
こいつの言っていることが本当なら、ナナはデビルーク星か、地球に送られたのだろう。
一瞬安心しそうになる。
だが、こいつの言ってること、それを裏返せば___
暗に、それ以外ならどうなっても問題ないということ。
ここにいるべき人間が、一人いない。
「御門先生は……!?」
そうだ。
ここには御門先生がいるはずだ。
「ふふふふ……うふふふふっ…………これ、だぁ〜れだ?」
奥まった建物の壁の向こうから、ダークネスの髪にぐるぐる巻きにされた何かが現れる。
人ひとりの陰影。
「御門先生……!」
栗色の髪の毛。
見覚えのある白衣。
前髪に隠れて顔は見えないが、ぐったりと意識がないことはわかる。
「もう用済みだからいーらない」
さもゴミを放るように、投げる。
俺は咄嗟に足を踏み出し、御門先生を抱き留める。
生きてる。
瞳も開いている。
だが、御門先生は異様な様子だった。
目が虚で、明らかに正常じゃない。
「先生に、何をした」
「んー?な〜んでしょう?」
ダークネスは、机に座ったまま、バタバタと脚を動かす。
鼻歌まで歌っている。
御門先生の体を確認する。
さっきダークネスが、ナナに言っていた拷問みたいなことをされてないか確かめる。
______少しやつれているが、一応、外傷はない。
ダークネスに暴力を振るわれたとかは、なさそうだ。
指の甲で、頬を撫でる。
密室でレイプしてきた俺のために、夜通し作業してくれたのだ。
俺の為に。
御門先生の優しさに、胸が暖かくなる。
先生を逃す。
まずは起きてもらわないと、先生を抱えて逃げるのは無理だ。
「う……あ……」
御門先生が呻き声を上げた。
意識が戻ったのか。
「先生っ!……………………先生?」
俺は眉を顰める。
先生の様子に、異変を感じとる。
先生、と呼びかけながら肩を揺する。
目が、虚のままだ。
魂が、意思が、尊厳が、抜け落ちたかのように。
あ、とか、う、とか、赤ん坊のように、言葉が発せられない。
ぼうっとして、涎も垂れている。
「ちょっとだけ素直になってもらったの。嘘をつかないっていいことでしょ?」
御門先生と、ダークネスを交互に見る。
ダークネスの発言の意味。
「自白剤か」
おそらく、ダークネスに薬を盛られ、無理矢理に情報を言わされたのだ。
だから、ダークネスに待ち合わせを知られ、計画もおそらく。
御門先生まで巻き込んでしまった。
俺は何もかも上手くいかないことに、歯軋りする。
ダークネスを睨みつける。
ダークネスは、俺を一瞥した後、御門先生を見て、心底意地の悪そうな顔で言った。
「面白いものが見れるよ」
なんだ?と、思った直後、御門先生の様子が変わる。
御門先生が、虚な目のまま、ニヘラと笑った。
「っ……!?」
気品があって、堂々として、柔和な御門先生を思い出した。
今の彼女が本当に同一人物なのか、と。
お、お、と呻いたと思ったら、信じられない言葉が発せられた。
「おし、お尻……」
お尻?、と一瞬俺は御門先生が何を言っているのか理解できなかった。
腕の中の御門先生は、あぁっ!と宙を見たまま、うなされたように、夢の中の尋問官が見えてるかのように、喋り始める。
「お尻ぃ、いいのぉ……メリメリって入ってきてぇ……、ゆうき、くぅん……忘れられないのぉ……!あの感覚が欲しいのぉ!」
俺は唖然とした。
御門先生が口にしたのは、耳も覆いたくなるほどの、卑猥な言葉。
以前の俺が御門先生に言わせてみたいと思っていたような、低俗で下品なセリフ。
「お、始まった、始まったー」
それが、今現実になっていた。
「せんせーには、好きなことがあるんだよね?教えてー」
ダークネスは目を細め邪悪に口角を釣り上げて笑う。
嫌な予感がした。
とてつもなく、これから起こることがとても悪い方向へと向かっている予感を俺は持った。
御門先生は、涎を垂らして息を大きく吸うと、まるで好きなお菓子でも答えるように、混濁に沈んだ意識で答える。
口を突き出し、『お』の口の形をする。
「おっきくてガチガチのオチンポ……!無理矢理突っ込まれて、感覚なくなるまでっ、ぐちゃぐちゃにされるのっ……!! ウフフッ……ウフフフフフフ」
甘ったるい媚びた声。
いつもの御門先生からは想像もできない、卑猥な顔。
涎を垂らして、顔を赤らめて、色情狂の女がそこにはいた。
「せ、先生……」
ダークネスが声を上げて笑う。
御門先生はまるで薬物をやっている女のようだった。
精神が破壊され、正常な思考を放棄した、性欲異常の依存症患者のような。
「どお?結城リト?超面白くない?」
言葉が出ない。
言葉通りに御門先生にとって邪な妄想をしているのか、眉を歪めて、でも口では笑みを浮かべる御門先生。
どうしたらいい。
俺は頭が真っ白になっていた。
「ダークネス……!や、やめろ!」
俺の制止も虚しく、ダークネスが口を開く。
「せんせー?目の前に結城リトがいます。どうしたい?」
「おちんぽぉ……しゃぶりたいっ!よだれ垂れちゃうのぉ……!ぶっといオチンポで、ボコボコにして……無理矢理喉奥突っ込んで欲しいぃ……!結城くんにひざまずいて、髪の毛掴まれて……」
御門先生は、あはっ、あはっと知性を感じない顔で、だらしなく笑う。
その顔は、愉悦に満ちていた。
そして、叫ぶ。
喉が潰れてしまうほど、強く。
まるで誰もいない空間で、普段溜め込んだ鬱憤を叫ぶように。
「舐めるだけじゃ満足できないでしょ?どうして欲しい?頼まないと」
「お尻ぶっ叩くのぉ!ぶっ叩いて……真っ赤に腫れ上がったお尻をもっとぶっ叩きながらぁ、いつでもおまんこしてぇ……!せーえき流し込んでぇ……犯して……犯しつくしてぇ……!!」
見たくない。
そう思った。
いくら先生でも、これはあまりに、酷い。
ダークネスは悪魔の笑みを浮かべる。
「マンコとアナル、どっちがいい?せーんせ」
「どっちもぉ……!おまんこも、ケツ穴もぉ……リトくんチンポでズオズオしてぇ……グリグリして欲しいぃ……!!」
「欲張りさんだねー。じゃあ、おマンコとケツ穴どっちかしかダメって言ったら?」
もう答えなくていい、俺はそう思ったが声に出ない。
だが目で訴える。
だがそんなこと知る由もない御門先生は、自白剤の影響か、ダークネスに応える。
「……断っ然っ……ケツ穴ぁっ!!アナルっ、アナルっ、アナルっ、アナルっ、アナルぅっ……!!!」
同じ単語を壊れた動画のように、繰り返す。
ひとしきり叫んだ後、あぁ、ああ、と元の虚な表情に戻った。
「わたしを……__してぇ……」
ダークネスは最上級の嘲りの声色で、嗤った。
「あははっ!上品ぶってる癖に本心ではこんなこと考えてたんだよ!?超ウケる!」
「……てめえ」
ダークネスは手を叩いて嗤う。
お前がやったくせに。
ダークネスを睨みつける。
「あ、れ……?ゆう、き、くん……?」
ハッとして先生を見る。
瞳に光が戻っている。
今度は、いつもの先生だ。
「先生、僕です」
「よかったぁ……無事で……」
荒れた喉で、御門先生は涙を浮かべてそう言った。
一言そう言うと、再びあの虚な目に戻ってしまう。
俺は何も言わず、御門先生を抱きしめる。
この状況を打開する方法を考える。
ダークネスの力を分解する薬ができているはず。
それしかない。
「もしかして、探してるのってこれかな?」
「あ」
紫色をした小瓶が、ダークネスの手にあった。
おそらく、御門先生が調合した薬だ。
「私を倒す秘策ってこれでしょ?あぶなーい」
ダークネスがワープホールを開いて、投げ捨てる。
最後の頼みの綱は、暗闇にあっけなく消えた。
実にあっけない。
これで俺の打つ手は無くなった。
ダークネスを倒すこともできない。
万事休す、だ。
息が浅くなる。
足が震えるが、腿を殴って立ち上がる。
「その肩の傷、痛い?」
クフフ、と笑ってチロ、と赤い下を出す。
ダークネスは、皆まで言わない。
ただ、俺をなぶり殺しにしたいってことだ。
どうにかして、逃げる算段を考える。
手持ちの道具はない。
念の為、転移道具を拾っておいたが、おそらくあと一回、一人しか転移できない。
俺が使ったその場合、御門先生の命の保証はできない。
「あれ?もしかしてまた転移道具を使おうとしてる?」
「鬼ごっこもいいけどさー、次に誰が『素直に』なっちゃうか想像してみなよ」
「友達とか、家族とか、さ。あははは!」
御門先生に使われた自白剤は、恐らく精神を蝕む。
俺の大切な人たちに、そんなものが使われる想像をするだけで、俺は腑が煮えくり返っていた。
「ダークネス……!」
恐怖と怒りが、俺の声を震わせる。
「……」
俺は、近くにあった転移装置を拾い、御門先生に握らせる。
設定先は、地球の俺の家だ。
「すごーい!自己犠牲ってやつ?本心では年下の未成年とセックスしたい尻穴狂いのド変態女だよ?助ける価値なんてある?」
あははは、とダークネスが高笑いする。
「せーんせ!目の前のリトくんにえっちい事沢山して欲しいんでしょ?」
御門先生はまだ自白剤の効果が残っている。
また、淫らな発言をさせるつもりだ。
俺は急いで御門先生の口を押さえようとするが、御門先生が口を開く。
「そ、んなの……だめ……」
「は?」
「ゆうき、くんは……大切な、生徒だから……そんなこと、できない、わ……」
今度は苦しそうな表情で、そう言った。
さっきまでの、高揚したような様子はない。
ダークネスは一瞬ぽかんとして、不機嫌そうに吐き捨てる。
「うわ、超シラける」
俺は早く御門先生を安全な所に送り届けたかった。
まだ何か言おうとする御門先生に、語りかける。
「先生、もう眠ってください」
手で目を閉じさせ、涙を拭う。
転移装置を起動するボタンを押した。
「ゆうき……くん……」
その言葉を最後に、御門先生が光に包まれて、消えた。
これで、御門先生はしばらくの間、無事だ。
ダークネスは、俺を狙ってる。
俺がここにいるだけで、みんなの無事でいられる。
「で、どうするの?」
俺は、全力で地面を蹴る。
ダークネスの方向に。
あっけに取られたダークネスの顔が目の前に迫った。
ダークネスにタックルを仕掛ける。
「うおおおおおおお!!」
そこで俺の記憶は途切れた。