★エリス視点★
「…教えるほどのものじゃありませんが、わたしがルディにしているところ見ますか?」
ロキシーはいつもと同じ調子でエリスにたずねた。
淡い水色の下着一枚になったロキシーに、エリスは気おくれしていた。ベットの中でルーデウスと相対している時のロキシーは色気たっぷりで、エリスから話しかけるのがためらわれたのだ。
だから、いつも通りの調子でエリスに接してくれてほっとした。
「ええ、お願いするわ――お願いします」
なんと受け答えしていいか戸惑う。いちおう教えてもらう身である。
「…アドバイスできるようなものじゃありませんが…わたしから言えるのは、ルディとよく話しながらする、ということです」
「わかったわ」
当のルーデウスはきまり悪そうに頭をかいている。
「なによ」
「エリス、したいの」
「わたしだってルーデウスのことをねぎらえるようになりたいんだから、いいじゃない」
「そうか」
「やなの?」
ルーデウスはちょっと困った顔した。そんな顔をされると不安になる。
直後、彼はニヤッと笑った。
「いや、楽しみにしてる」
ホッとした。
「わたしだって出来るんだから!ロキシー、早く教えて」
エリスの気合とは裏腹に、ロキシーは落ちついた表情だ。
「エリスは剣を極めたのですから大丈夫です。あまり教えられることはありませんが…ルディと呼吸を合わせて、丁寧にしてください。剣についてわたしは詳しくないですが、相手の動きに合わせるという点では似通ってる部分もあると思いますよ…たぶん。とにかく最初は歯だけ当てなければ問題ありません」
そう言われるとエリスにもできそうだ、と素直に思った。
一連のやりとりを見ていたシルフィが、エリスの方にきた。
「ボクも一緒に見ていい?」
「シルフィもしたことないの」
「ううん、でも一緒にみてていい?」
「ええ」
そう答えるとシルフィは隣にきた。
ふとももがペタリとくっついて温かい。
シルフィはなんでもないようにロキシーの方を見ていた。
けれど肌が触れ合うのは初めてだった。横目でシルフィの方を見ると、何も言わずにロキシーの方を見ていた。
ロキシーはかんざしに長い髪の先をゆわえてさばき、頭に大きな青いお団子を作っている。
不意にさっきロキシーが言ったことを思い出す。
『特別な四人で特別なことをする』
そうして気づいた。
シルフィはわざわざエリスの横にきて、一緒に座ってくれた。シルフィに受け入れられているという安心感が胸の奥からわいてきた。
泡立つような感情があった。
二人でロキシーとルーデウスのことを見た。
結果から言えばロキシーに「どうでしたか」と聞かれた時、エリスはすっかり赤面してうつむいていた。
てっきりエリスは、ロキシーが自分に教えるようにしてくれるのかと思っていたのだ。
けれど彼女はあっという間にこちらから話しかけるのがはばかられるような二人きりの世界を作った。
最初ロキシーは、彼のものを口でついばむように愛した。
手はルーデウスの太ももに添えて、肘で体重を支えている。
次第にゆっくりと呑み込み、優しく上下運動を開始した。
ずっと無言だった。
一瞬エリスはルーデウスに話しかけようと思ったのだが、なんとなく気が引けてやめた。
二人の息づかいと、ロキシーの淫靡な口の音しか聞こえない。
エリスはその場に立ち込める雰囲気に酔ったような気持ちになった。見ちゃいけないものを見ている気分になる。
そろそろロキシーがこちらを向いて、何か言ってくれそうなものだと思ったりもした。
が、そんな気配もない。
耐えきれずシルフィにささやく。
「シルフィもああやってするの…?」
「うん…ボクもするよ」
ひそひそと、顔をこちらに寄せてシルフィがこたえる。
「うそ…」
「うそじゃないよ…」
ロキシーはルーデウスのものから口を離して、そんな二人の会話など聞こえないようにルーデウスの方を向いた。
「ルディ」
「ん?」
「きもちいい?」
「うん、ロキシー…いいよ」
エリスの心臓が跳ね上がった。
返事に満足げに微笑んで、ロキシーは再び彼の猛ったものを口に含んで、ごくゆっくりと呑み込んだ。
ロキシーのあんな言葉遣いは聞いたことがない。本当に見ちゃいけないところを見ている気がする…
「シルフィ」
「なに」
「わたし、見てていいの?」
「エリス…真っ赤だね」
「ロキシーのこんなところ、見ちゃいけない気がする…」
「特別なことしてるんだから、旦那さんにしか見せない顔くらい見るよ…」
よく見るとシルフィの耳も赤かった。
「そう…よね…」
ロキシーはルディの足の間にうずくまり、小刻みに彼のものを口で愛撫している。
たまに口を離してルーデウスに話しかけている。
「久しぶりだからあんまりしたら出ちゃいますか」
「うん…ゆっくりしてもらった方がいいかも」
二人、手を繋いで、目を合わせて。
ルーデウスは、優しげにロキシーのお団子頭を撫でている。
エリスは、ロキシーとルーデウスの関係を見て圧倒された。
ちゅる…
ロキシーはようやく口を離してこちらを向いた。
「どうでしたか、エリス…って、そんなに赤く…ちょっと、うつむいてる場合ではありませんよ」
エリスは恥ずかしかった。
自分はあんなにはできない…あんなにルーデウスと親密には…
これまで、ただただルーデウスに付き合ってもらってきた自分には…
『ルディとよく話してやる』
二人の情事を見せてもらう前、エリスはロキシーの言った言葉の意味が、本当はちょっと分からなかった。
――今はうつむいた顔をあげるのが精一杯だ。
「大丈夫だよ」
唐突にシルフィがエリスの肩に手を触れて言った。
「え…」
「大丈夫だよ、エリス。ボクと一緒にしよう」
そう言ってシルフィは膝立ちで移動しながらエリスの後ろに回り、彼女の髪留めをとった。そのまま前髪をまとめるようにして、ふたたびエリスの髪を結え直してくれた。
「まずはやってみよう」
力強い目でエリスにうったえて、ルーデウスの方を振り返る。
「ルディ、ボクたち一緒にやるね」
と声をかける。
シルフィがそう言うと、彼はうなずいてエリスに向かった。
「エリス」
「なによ」
「よろしくお願いします」
「わか――」
違う。
ルーデウスと、よく話してしよう。
「はい、お願いします」
そう返事して、シルフィが手招きしてる方に顔を寄せる。
「エリス、ルディはここが好きだよ」
急にそんなことを言われてもどうすればいいか分からない。目を白黒させているとシルフィがこちらを向いた。
「…こう」
そういってエリスに見えるように舌を出して、たくましくしている彼の裏側の先の方にあてがう。
「ふ…ぅ…」
ルーデウスはたちまち息を荒げた。
あとここも、といってシルフィは根元、ほとんど付け根の部分にも同じようにする。
「あと口に入れるとき、自分の唇で歯をおおうようにするといいよ」
そう言って口の形をエリスに見せて、彼女は場所をゆずった。
エリスはルーデウスの正面に座った。最後にしたのは彼がミリスにいく前だ。
彼の正面に座ったら唐突に分かった。
今日、エリスは尻込みしているうちに二人に先をこされてしまったのだ。気が動転して分からなかった。
「ルーデウス…」
ねぎらう前に夢中で彼に口づけした。腰には彼の手がまわる。
唐突に甘えた気持ちがわきあがる。
「あんまり…わたし…その…うまくできないかもしれないけど」
硬いものを手にとりながら、一応伝える。
「そんなこといいよ、俺はエリスがしてくれるってだけで嬉しいよ。考えなしに誘って悪かった」
「いいの。でも、変だったら言ってよね」
そう言って彼の足の間にうずくまった。
二人が教えてくれたことを思いだしながら、彼のものを口で愛した。
ゆっくり、しっかり――
エリスの口の中で熱く、固く、太く、脈動している…
エリスがそうしている間、二人はルーデウスの身体に口づけしていた。胸を口に含んだり舌で愛撫している。そんなこともするんだ…知らなかった。
ルーデウスは少し声が出ている。
初めて聞く声だった。
エリスの脳裏に、この一年のルーデウスのことが脳裏をよぎった。
ルーデウスが好きだ。
すごく愛している。
「エリス、エリス」
夢中でしているとエリスの腕に手が触れて、耳元でロキシーがささやき声が聞こえる。目で返事をした。
「ルディとお話するのが一番大切ですよ」
――あ、そうだった。
エリスは夢中になってた。
反射的に口を離してルーデウスに問いかけた。
「ルーデウス、気持ちいい?」
「すごいよ。気持ちいい、エリス上手だね」
子供を産んでるのに、いまさら胸が痛くなるくらい興奮した。知らないことだらけだ――
「そんなに?」
「ああ、すごく気持ちいいし嬉しい」
「ほんと?うれしい!」
今度は反対側のシルフィがエリスの耳元でささやいた。
「エリス良いこと教えてあげる、出る時ルディのが膨らむから、合わせて優しく吸ってあげて」
「え…」
「優しくだよ、強いのはダメ。膨らむのに合わせて。十回くらい」
目で返事をしたら、シルフィはうなずいた。
ルーデウスに聞かなきゃ…
「ルーデウス」
「なに」
「わたしの口に出す?」
彼はこくりとうなずいた。
「お願いします」
ロキシーの動きを思い出した。
口に含んで小刻みに愛撫する。
シルフィに教えてもらったところに、舌を押し付けるようにして刺激を送る。
口を離して聞いてみる。
「どう?これなら出る?」
ルーデウスはうなずく。
「すごい気持ちいい…よ」
剣に…似てる…のか?
似てるかも知れない。
彼の瞳を見つめ、表情をさぐり、呼吸を聞いて合わせた。
シルフィに言われたとおり、ひときわ大きく膨らんでくる。
合わせて、優しく吸った。
予想以上の勢いでエリスの口の中に彼の精が吐き出された。シルフィに言われたとおり、膨らむたびにやわらかく吸った。
ルーデウスは声をあげている。
温かいもので口内が満たされて、これが彼の味だったのかと感慨深い気持ちになる。優越感におそわれた。
なんで今までしなかったんだろう。口に入ってきたものに、言いようのない興奮を覚えた。
決して口でしたことがないわけじゃないのだ。ただ大きくして挿れるためにしていたのだ。ルーデウスによくなってもらうより、自分が欲しくて仕方なかった。
今日ロキシーとシルフィに手伝ってもらって、エリスは初めてルーデウスの脈動を口内で受けとめ、そのまま飲み下した。
「わたしでも出来たわ」
彼は少し息を荒げて、無言でうなずいた。
「よかった?」
「すごかった…よかったよ」
「またしてあげるわ!」
大得意な気持ちになる。
そしてシルフィに向きなおる。
「シルフィ」
「うん」
「ありがとう」
そういうと、彼女はエヘヘと笑った。この笑顔はルーデウスにしか見せないものだと思っていた。
エリスは感極まってシルフィの手を取った。
「シルフィ、ありがとう」
もう一度礼をいう。
「もう、エリスは大げさだよ」
と言って、軽く手を振り払われた。すこし顔が赤い。
「ロキシーもありがとう。驚いたわ」
「なにがですか」
「二人の大切な関係を…その…あんなに近くでみたから」
「ああ、そうですね。エリスだって、する時はわたしたちに見せてくれるんでしょう」
「そう…ね…」
「あんまり恥ずかしがらないでください。わたしは恥ずかしいことをしていましたか」
「ち…違うわ。そんなことなかった」
ふふふ…と、ロキシーは下から見上げるようにして、いたずらっぽく指でつついてくる。
「エリスは可愛いですね。シルフィは平気な顔で混ざってきますよ」
「え…」
声を失ってシルフィの方を向いた。シルフィは照れ笑いしている。
エリスは改めて思った。
戦闘に関して二人から嫉妬されている。そこには少しの優越感すらあった。
けれどルーデウスの妻として…
妻として…
妻として。
自分は知らないことだらけだ。
ふと気づくといつの間にシルフィがルーデウスの方に向き直って、白い下着一枚で彼の太ももにまたがっている。
「ねえ、終わり?」
「まさか」
ルーデウスはシルフィに笑顔を向けた。
シルフィがその唇をふさいだ。
彼女の色気がこぼれ出している、とエリスは感じた。
「ボクともしてよぉ」
「もちろん、まだ誰ともちゃんとできてないよ」
そう言ってルーデウスはシルフィを押し倒した。
この日の出来事を受けて、ビヘイリル戦後_日常_エリスにつながる
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