※この作品はR-18です。

無職転生18禁_補完庫   作:松谷若草色

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ベガリット大陸遠征後、ロキシーと結婚した後


新婚初夜_ロキシー

 風呂の脱衣場で、下着姿になったロキシーが髪をほどくのを見ていた。

 その青い髪は彼女が魔族であることを示している。

 下ろした髪は長く豊かで、三つ編みのクセなのかゆるくウェーブしていた。

 中学生くらいの見た目で、実は五十の大台に乗っているのだが種族柄一見分かりにくい。

 ミグルド族の平均寿命は二百歳。

 見た目が変わりはじめるのは百五十歳。

 もっとも本人は自分が子供っぽく見えることを気にしているようだ。

 にもかかわらず、青い瞳は物憂げでどこか色香を感じる。

 あるいは色香は物腰のせいだろうか。

 

 太ももあたりまである長い髪。

 慣れた手つきでさばき、ひとまとめにして頭頂部で結え、口に咥えていたかんざしで大きな青いお団子を留める。

 「どうかしましたか?」

 「へ?いや……長い髪を器用にまとめるなと思って」

 「そうですかね」

 軽い調子で返してくるロキシー。

 一連の手慣れた仕草をみて改めて、彼女は大人になって長い年月が経っているのだと気がついた。

 

 ロキシーは装飾の少ないグレーの下着をつけている。

 俺が長い間おがみ奉(たてまつ)っている、彼女の分身。

 時に()()を祭壇にまつり、時に懐(ふところ)にいれ心の支えにしてきたのは、伊達や酔狂なんかじゃない。

 いつも彼女の下着(それ)が大切なことを思い出させてくれた。

 誰にどう思われようと、自分のための信仰なのだ。

 俺にとっては特別な力がある。 

 

 そんな風にして長年、ロキシーの分身だけを見ていた。

 持ち主と同じように華美でなく控えめであると感じていたが、身につけているところを見ると印象が異なる。

 ロキシーは案外布面積の少ない下着をつけているのだ。

 

 身体のつくりとは無関係に、妙に大人びて見えた。

 それに指をかけてをすっとおろし、丸めて籠の中のさらに服の下に仕舞い込んだ。

 あ、と気づいた時にはスタンディングルーデウス……

 

 「ルディの情緒はいったいどうなっているんですか」

 ロキシーは、あきれた顔でそう言った。

 「さっきから表情がおかしなことになっていますよ」

 水王級魔術師ロキシー・ミグルディアの弟子ルーデウス・グレイラットと、飢えた性獣ルーデウスの間を行ったり来たりしている。

 師の言う通り表情がおかしなことになっているのは、俺の情緒がおかしくなっているからに他ならない。

 ロキシーはそそり立つものを見てか、顔を赤くした。

 「そんな思いを向けてくれるのは光栄ですがルディ、わたしにもお風呂の入り方を教えてください」

 口をとがらせてそういうと、ロキシーはごくごく冷静に先をうながしたのだった。

 

 

 そんなやる気に満ちたロキシーにタオルをわたした。

 タイミングを間違えてやる気に満ちている愛息子にもタオルを当てた。

 

 ロキシーと風呂に入ったら、と色々と妄想してきた。

 シルフィの時のようにあんなところを洗ったりこんなところを洗ったりと鼻を膨らませていたものの、いざその段になると不思議と気が引けてしまう。

 

 そんな俺をしり目にロキシーは嬉しそうにはしゃいでいる。

 「さすがルディ、こんなものを家に拵(こしら)えてしまうとは」

 「先生、濡れているところで滑らないでくださいね」

 「む、ルディ。わたしは子どもじゃないんですよ」

 もちろん存じ上げています先生、という相槌を聞いているのか、いないのか。

 「ずっと思っていたのですが、この椅子はなぜここにミゾがあるんでしょう。あ、待ってください。あてて見せます……」

 タオルを置いておくためでしょうか……などとつぶやいている。いや、まあ、それはおいおい。

 

 ロキシーだってこの数ヶ月、毎日風呂に入っていたんだろうからいまさら入り方を教えるでもない。

  

 「では、お風呂の入り方について説明します」

 と言って、簡単にレクチャーした。

 湯船の湯を汚さないよう使うことや、かけ流しにつかう手桶と洗面器の使い方、タオルと石鹸で体を洗うことなど。

 ロキシーは「なるほど」「そういう風にするのですか」などといちいち感心して、しげしげと風呂桶や石鹸置きを見ている。

 

 要するに、初めて一緒に入ることに意味があるのだ。

 

 いろいろな感覚が胸に去来した。

 ロキシーの無防備な姿に興奮する気持ち。

 尊敬している先生が、不思議な縁で自分の妻になったんだという実感。

 その彼女に対し、家の主人として接しているという妙な感覚。

 

 ちょっと見とれているうちに、彼女は身体を洗い終えた。ちゃぷりと湯船に入っていく。

 「こうして習慣的に湯につかり身体を温めるのはとても……いいですね。早くルディも体を洗ってこっちに来てください」

 さっそく湯船につかってそう言うロキシーは……なんというか……女の子の顔をしている。

 好きな人と一緒にいられて嬉しい、と全身からにじみ出ている。

 

 自分の妻となった先生、ロキシーの生身の魅力に唐突に気がついた。

 

 あ、いや。知っていたはずだ。

 彼女はブエナ村の人たちから慕われていた。

 パウロやギース、タルハンドに頼られていた。

 あのエリナリーゼをして親友と言わしめ、大切にいたわられていた。

 人とそういう関係を築くことができる魅力をたたえた人、それがロキシーだと知っていたはずだ。

 

 では、この気持ちはなんなんだろう。さっきからその正体がつかめそうでつかめない。

 ……正直に言えばラパンからシャリーアまでの間、自分の気持ちの処理に手一杯だった。

 そんな中で求婚した。受けた恩に報いたいという強烈な感情に導かれ、あの場面で引き留めなければ「絶対に」後悔するという確信だけで。

 

 師弟だったが、男女の関係をゆっくりと育んだわけじゃない。

 ラパンでロキシーと男女の関係を結んだ時、俺はロキシーを見ていたか。そんなはずはない、俺は俺のことで手一杯だった。

 この屋敷に帰ってきてからも、シルフィの出産までは大人しくしていると彼女は言った。

 結局この数か月、ロキシーとの交流は控えめなものだった。

 

 要するに俺は今日、いま、初めて男女という立場でロキシーを見ている自分に戸惑っているのだ。

 

 上気させた顔で湯船につかるロキシー。

 しっとりと濡れた青いお団子頭。

 おくれ毛に水がしたたっている。

 

 何もかも新鮮だ。

 

 体を洗って、広い湯船で彼女のとなりに座る。 

 「先生は……なんだか落ち着いていますね」

 そういうとロキシーは少し困った顔をした。水面をデコピンではじいて、湯船の外にとばしている。

 「ルディはわたしが平静に見えますか」

 「違うんですか」

 「そんなわけないじゃないですか」

 と、またもや口をとがらせてそう言ったロキシーの頬がやや赤い。

 「わたしはルディに一目ぼれでしたんですよ。こんな風になれて、何も感じていないわけないじゃないですか」

 胸の奥からじわりと幸福感が込み上げてきた。

 「ルディはなんだか神妙にしてますね」

 と言って、彼女は俺の顔を覗きこんでくる。

 「先生……俺は小さな頃から先生を性的な対象として見てきました。よく……ご存じだと思います」

 「はい、そうでしたね……」

 上目遣いで見つめてくるロキシーの、青いまつげ。

 「そして師匠としても人としても、心から尊敬しています」

 「……はい」

 「そんな人を絶対に手放したくないという思いで結婚を申し出ました」

 彼女の口元は、こらえきれないかのようににやけた。

 「わたしは幸運でした」

 座りなおして、彼女と正面から向き合った。

 

 

 「なのに先生……俺は先生と男女の関係になるというのが、今更妙に嬉しいんです。結婚を申し出ておきながら」

 言うと、ロキシーは手に手をしのばせてきた。

 

 「ルディの言っていることはわかります。わたしもそうですから」

 ロキシーにそう言ってもらえると、無条件に嬉しくなる。

 「ルディ……」

 「はい」

 「わたしたちは師弟です、わたしは不肖の師ですが。くわえて種族も違います。ルディのことを好きだと自覚した後、そういう壁があると考えなかったと言えば嘘になります」

 普通はそうだろう。けれどロキシーは奥手に見えて、冒険者の道を選ぶような人だ。

 「そんなことにお構いなしのルディに、わたしはとても救われ……嬉しかったです」

 確かにロキシーの言う通り、いろいろ差はある。

 「ルディとの間に築かれている師弟としての絆に疑いはありません。

 でも逆に師弟であることや種族の違い、そして開いた年の差……

 男女の関係になる以前に、ルディはそう言ったことを全然に気にしないんですか?」

 「先生のいうことは、頭ではよく分かります」

 言いながら俺は視線を下にやった。

 ロキシーはつられてその視線の先を見た。

 そこにはあらゆる壁を乗り越える決意をみなぎらせた我が息子。

 「師匠に対する尊敬や、種族と年の差より、これから男女の関係を築けるという期待で胸がいっぱいです」

 ロキシーはいたずらっぽく笑った。顔が赤い。

 「もう。ルディには敵いませんね」

 「先生……」

 おもむろに彼女は俺の口に指をあてた。

 「師匠への敬意より男女の関係というなら、今はロキシーと呼んでください」

 そういたずらっぽく言うと、目をつぶってこちらに顔を向けた。

 「わたしもいっぱい期待しているんです、伝わりづらいかもしれませんが」

 

 ロキシーの舌は言葉どおりに積極的だった。 

 

 

★ロキシー視点★

 

 

 「羽織るだけで水気を拭き取れます」

 お風呂からあがるとルディにそう言われて、バスローブを渡された。

 よくできている、アスラ貴族の文化だろうか。

 そのバスローブを羽織り、そして頭にタオルを巻いた。

 「ところで、何か身につけて上にあがりますか。必要がなければこのまま上に上がりましょう」

 ドキリとした。何も身につけないで階上の寝室にいくということは

 「えっと、つまり……はい、ではこのまま上に上がります。その……よろしくお願いします」

 「日中は来客と鉢合わせになってしまうこともあるから、この格好で廊下に出るのはあまりよくないですが」

 さわやかな笑顔で言うルディにはなんの臆面もない。

 体温が上がる。

 ではこれを持ってください、とルディは乾いたタオルの入った洗面器を渡してきた。

 「これはなにに使うんですか……ひゃっ!」

 わたしは、ルディにひょいと横抱きにされた。

 「ちょ、ちょっとルディ!なにを!?まだ髪が」

 「もう逃がしません」

 「こんなことされなくても、どこにも行きませんよ。もう!おろしてください」

 「嫌です」

 そう言ってルディは、器用に脱衣所のドアを開けて廊下に出た。ひやりとした夜気が火照った身体に心地よい。

 ルディはわたしをかかえて階段を力強くのぼった。

 最初はこわばって緊張していたが、いつしか身体をゆだねていた。

 今、こんなに愛されている。夢心地だ。

 

 迷宮で彼をひと目見て「絶対に」関係を持ちたいと直感した。

 その直感は強烈だった。

 本当に自分が誰かに一目ぼれするとは、そう思った。

 しかしその相手がルディだった、と分かってまた驚いた。

 自分の気持ちに混乱しそうになった。

 師としての情を忘れたわけじゃない。決して恋心で上書きされてしまったわけではないからだ。

 恋した相手が、たまたまかつての教え子だったのだ。

 

 

 幼い頃のルディは抜きんでて優秀だった。

 あまりにも優秀で、嫉妬すらした。

 五歳で聖級魔術を扱うなんて、おとぎ話にすら出てこない。

 

 幼くして彼ほど優秀であれば、それを鼻にかけてしまうこともある。

 私はそうだった。

 恥ずかしいことに彼ほど優秀でもないのに、だ。

 ところが彼は増長するどころか、謙虚な態度でさらに学びを深めようとした。

 時には手紙のやり取りを通して、それから魔大陸の方々で聞く風の噂を通して、ルディへの嫉妬はいつしか尊敬に代わった。

 彼が言う通りだ、年なんか全然関係ない。

 

 ルディがずっとわたしのことが好きだった、というのであれば。

 わたしはずっとルディのことを尊敬していた。

 

 ルディほどの男はそういない。

 魔術師としては、嫉妬している。それは仕方ない。

 けれど……再会したあの瞬間に、考える間もなく答えが出ていたのだ。

 彼と競い合うのではなく、その胸に抱かれたい、と。

 

 魔法都市シャリーアにきて数か月が過ぎた。

 こうしてルディに愛してもらえるようになれたのは、あの晩にシルフィがわたしを受け入れてくれたからだ。

 彼女は不思議な人だ。気がついた時にはわたしの懐に入り、心の中のいちばん柔らかいところをあの手で包まれていたような気がする。

 さすがルディが選んだ人だと思った。 

 

 この屋敷で数か月過ごしたが、ルディと一緒に寝室に入ったのは今日が初めてだ。

 なかなか新婚初夜が訪れなかったのは、とりもなおさずそのシルフィへの感謝と、それから恐縮によるものだった。

 けれど自分の現金さにはあきれるが、こうして一度ルディに愛されてしまうと、もっと早くねだればよかったという浅ましい思いも湧いてくる。

 浅ましいかもしれないが、それくらい甘く、抗えない気分だ。 

 

 そっと、ベットに降ろされた。

 抱えていた洗面器を彼が受け取り、ベットサイドテーブルにそっと置いた。

 (一体何に使うのだろうか)

 

 五十年生きた。

 時に冒険者として、時に教師として生きてきた。

 今、初めて女として生きるということに直面している。

 不安もあるが、期待で胸がいっぱいだ。

 ずっと憧れていた。

 ルディにも「期待で胸がいっぱいです」と言ってもらえた。

 女としての自分について、彼に誠実に打ち明けようと思った。

 

 「ルディ、わたしは、こんなことは誰にも言ったことはありませんが……その、こういうことに……とても興味がありました」

 「知……いえ」

 「シ?なんでしょう」

 「いえ、どんなことがしたいんでしょうか」

 「ルディと、その……色々と……したいと思っています。しかし恥ずかしながら……ばれていると思うのですが……わたしはあれが初めてでした。どのようにしたらいいのか、最初は導いていただけますか」

 「お任せください」

 でもロキシー先生、と彼は言った。

 「先ずは髪を乾かしましょう」

 そう言ってルディはおもむろに後ろ側に回って、温風で髪を乾かしてくれた。

 そんな魔術の使い方は初めて見た。

 「風と火の混合魔術を無詠唱で行っているんですか?」

 「そうですよ」

 「……本当に器用ですね」

 温かくてうっとりとしてきた。

 「先生、そこのいちばん上の引き出しに櫛が入っているからとってください」

 「はい、ですが髪くらい自分でときますよ?」

 振り向いてそういうと、彼はいたずらっぽい顔になった。

 「導いてと言ったのは先生ですよ?」

 「そうでした……もう始まっていたんですね」

 

 男性に髪をといてもらうのは初めてだ。

 ルディの優しくて甘い気持ちが胸に直接流れ込んでくるような気がした。

 「きれいになりましたよ」

 「ありがとうございます」

 こっちもいっそ胸にとびこみたいような甘えた気持ちになってきた。

 「さあ、これで準備は万端ですね」

 彼はわたしの後頭部に手を添え、わたしはそのままベットに押したおされた。

 

 期待は最高潮に達した。

 

 

★★★

 

 

 とろけるようなキスの後、ルディは体中に口づけをしてくれた。

 耳、首筋、手の甲、足の甲、太もも、おなか、脇腹……

 不意にルディが教え子であるという感覚がよみがえり恥ずかしくなったが、乳房をやわやわと揉まれてすぐに異様な興奮にかわった。

 

 ルディがわたしにしてくれる。

 興奮で……恥なんかどうでもいい。

 

 「ふ……ぅ」

 乳首を口に含まれて舌で包まれた時に初めて声が出た。

 「気持ちいいですか?」

 「はい……」

 聞いたことのない響きのやさしい声。

 「刺激が強すぎませんか?」

 「はい、ちょうどいい……と思います」

 そういうとすぐにまた温かい感触が乳首をはってきて、うわずった声があがった。

 もう片方の乳首を、指で優しくつぶしてくる。

 せりあがるような、こみあげるような快感。

 

 太ももを撫でていた手が、内またに滑り込んでじらしてくる。

 ため息とも喘ぎ声ともつかない声が出る。

 「ルディ、気持ち良いです……」

 「ロキシー先生、とても可愛いですよ」

 彼はすぐに顔をあげて、目を見つめてくれた。

 

 その視線でぎゅうっと力が入る。

 

 今度は舌をすぼめた形で乳首をこねられ、全身がゾクリとした。

 「あ……あ……ルディ、それ……」

 「これも気持ちいいですか」

 「はい、すごく……」

 内ももの手は、さわさわと周囲を撫でている。

 ……足を閉じているから触りづらいのかもしれない。

 だから決定的な部分を触ってくれないのかもしれない。

 開いたら、触ってくれるかもしれない。

 

 少しだけ開く。

 

 「ロキシー……そこ触りますね?」

 ルディは見てくれている。

 

 ついに、中心部に指がしのびこんでくる。

 指がヌルリとなめらかにすべった。

 「……ふ……うっ」

 直接与えられる快感、甘い声が漏れ出た。

 二本の指で突起を柔らかく潰して、優しく震わせてくる。

 丁寧な手つきがものすごく気持ち良い。

 「ぁぁああ、イイです、ルディ、上手……ルディはこんなことまで器用なんですね……」

 ラパンで押し倒された時の八つ当たりのような、切羽つまったような夜がまるで嘘のようだ。

 

 ズッ……ズッ……ズッ……

 胸の刺激がまた変わった。

 乳房全体を芯から吸い上げるようにして音が出て、快感が腰の奥にひびいた。

 「やぁ……あっ……ルディ」

 時折、すぼめた舌でグリッとこねてくる。

 自分でするのとは全くちがう快感に襲われた。

 ()()()()()()()()()

 「アッアッ、ルディ、わたし……」

 「先生、これも良いんですね」

 「……はい。ルディ……とっても……上手です」

 

 シーツを掴み、身をよじって思いきり果てた。

 生まれて初めて人前で気をやった。

 

 耳もとでルディの声が聞こえた。

 「ロキシー、すごく可愛い……また襲いそう……」

 

 最初の夜のことだ。もういっそ、そうして欲しいと思う。

 

 「でも、まだダメです。ロキシーの小さな身体を、きちんと柔らかくなるまでほぐしてからです」

 優しくささやかれ、つい自分が柔らかくほぐされていく想像をして頭に血がのぼる。

 さっきからルディのささやき声だけであえいでしまう。

 ヌルリと指が入ってきて中でゆっくりと曲がり、自分の声がひときわ大きく部屋にひびいた。

 「ここ、気持ちいいですか?」

 ルディの低い声でささやかれると、ぞくぞくする。

 それだけでわたしが感じるとわかっててやっているのだ。

 「はい、そこ……気持ちいいです。」

 快感がこみあげてくる。

 「下もこのまま舐めますね」

 彼はそう言って指をそのままに、身体ごと下に移動した。

 そこを、舐める。

 エリナリーゼさんから聞いたことはある。いざ自分がされるとなると、心理的な抵抗があった。

 しかしそれも、芯の部分にペトっと舌があてがわれる瞬間まで。

 やわやわと包み込まれ、チロチロと優しくはじかれた。

 一瞬でこれはクセになると分かった。

 

 ああっ、ああっ、ああっ……

 寝室に自分の声がこだましている。

 ものすごく気持ちが良い。

 それはもう、経験したことがないほど気持ちが良い。

 ルディと目があった、ルディはずっとわたしのことを見ていた。

 感動したが、すぐに快感の渦に呑み込まれた。

 

 彼の指がゆっくりと圧迫するように動き始める。

 腰から下がとろけるように気持ちが良い。

 「ロキシー、気持ち良いですか?刺激は強すぎませんか?」

 「気持ち良くてとろけそうです……」

 息も絶え絶えにそうこたえる。

 「良かった」

 ルディはつぶやいた。

 そしてわたしがもう一度果てるまで、彼はじっくりとわたしを追い立てて、快感の渦の中に突き落とした。

 

 ……ハァ……ハァ……ハァ……

 頭がチカチカする。

 こんなことってあるだろうか。 

 「気持ち良かったですか?」

 「はい……とても」

 「身体の準備はできたと思います。心の準備はどうですか?」

 そう言いながら、指をゆっくりと抜いた。

 「出来ています。ルディ、きてください」

 「一度目の時に思ったのですが、ロキシーにはちょっと俺のが大きすぎます。

 挿れたら最初は動かしませんから、いったんリラックスして馴染むのを待ちましょう」

 「はい、わかりました」

 わたしも何かできないものだろうか。

 

 彼のものがあてがわれた瞬間、吸い込むように滑らかに一つになれた。

 情けない声が出た。

 たくましいルディがわたしに覆い被さっている。

 足をひらいて彼を受け入れていることに興奮して腰をよじってしまう。

 「ン……」

 「ロキシー、すごく気持ちが良いです」

 ルディはそういうが、本当だろうか。

 「ルディ……わたしもルディにあんな風に気持ちよくなっていただきたいです。わたしはああいう時、なにをしたら良いでしょうか?」

 もっとルディに満足してもらうために出来ることがあるのでは。

 「いや、ロキシー先生は寝そべってすべてを任せてくれれば、俺が完璧にやってみせますよ?」

 ルディはいつもそうだ。まるでわたしを……いや……悪い気はしない。

 しないけれど。

 「いえいえ、わたしもこういった技術は伸ばしていきたいんです。次からは色々と教えてください」

 わたしもルディにもっとしたい。

 「……分かりました。でも今日は俺にリードさせてくださいね」

 「はい。ではわたしはルディのことを見て、勉強させていただきます……」

 そういうと、ルディは中でひときわ膨らんだ。

 「ロキシー」

 柔らかい笑みが目の前にある。

 「なんですか?」

 ルディの視線が一瞬サッと泳いで、言葉をさぐる。甘かった雰囲気が少し変わった気がした。

 「勉強って」

 そう言って、フフと軽く笑った。

 急激に恥ずかしくなる。

 変だったか……もしやルディにいやらしいと思われただろうか。

 体温が上がるのがわかる。

 

 「上達するの、楽しいですよね」

 「あ……はい」

 

 早とちりだった。

 「ええと、言葉が悪かった」

 申し訳なさそうにルディがいう。

 つながっているのだ。わたしの身体のこわばりは、直接ルディに伝わってしまう。

 

 「俺たち、似てるのかも。なんか分かるんだ、ロキシーのそういうところ」

 言われてみるとそうかもしれない。どこかきまじめな上達へのこだわりは似ているかもしれない。

 ただそれよりも気になったこと。

 ルディが「俺たち」と言ったこと。

 

 時折自分のきまじめさが嫌になることがある。でもルディと似ていると思うと、それでもいいと思えた。

 ことのほか嬉しい。

 「確かに()()()()()は、似ているところがありますね」

 

 目の前にルディがいた。

 

 額面どおりの意味じゃない。いつもの、わたしに向けるあの妙な崇拝の眼差しを取り払った、等身大のルディがいた。

 「なんで似てるか分かりますか?」

 思わせぶりな顔をしてきいてくる、ルディが生意気を言う時の顔だ。

 似てる理由?

 類は友を呼ぶという。

 もともとルディと似た気質があったから、か。

 「理由なんてありますか」

 似た二人が惹かれ合うのは自然なことだと思う。

 

 ルディの考えは、ルディに聞いてみないと分からない。

 「どうしてですか?」

 聞き返すと、なんとも言えない表情になった。

 ……わたしが喜ぶことをいう予感がする。

 

 「先生」

 「はい」

 なんだろうか。

 返事をすると耳元にくちびるをよせて囁かれた。

 「俺はロキシー先生の教え子ですよ?」

 「あ」

 ルディが耳元から顔を離してわたしのことを見つめ返してくる。崇拝してる時の目じゃなくて……リードしてくれようとしていたさっきまでの雰囲気じゃなくて……

 

 「先生、本当に尊敬しています」

 

 胸の中でなにか大きな感情が膨らんできた。

 「やめてください、わたしはそれにどんな立場でどう応ればいいかわかりません。今、ましてやこんな姿勢で」ーー文字通りの意味であなたを受け入れて。

 先生とはなんだろうか……

 おどけて、ごまかせない。

 口で教えて伝わるようなことじゃない。

 そんなことばかりが伝わっていく。

 

 ルディには、ちゃんと伝わっていたんだ。

 

 涙をぬぐうルディの手。

 先生のわたしはその手を払いのけた。尊敬されるためにルディの師でいるわけじゃない。

 「責任重大じゃないですか」

 涙声になってしまう、情けない。

 

 「先生の教えは素晴らしいってことを、俺が証明して見せますよ」

 ルディはおどけてる、けれど真面目な気持ちが伝わってきた。

 払ったのにかまわず、ルディはわたしの涙を指でぬぐってくれる。

 

 わたしがおさまるまで、ルディは優しく抱きしめていてくれた。

 そうだ、この人はわたしの夫。

 わたしはこの人の妻、そうだ。

 これからそうなんだ。

 

 「しよっか」

 そう言うルディの厚い胸に、ほおを押しつけて返事をする。

 「はい」

 急にふふふとルディが笑った。

 「なんですか?」

 「先生の教えが素晴らしかったってことは()()()()()()()()()

 ルディが馬鹿なことを言ってる。

 「……バカですね、もう。ここまでで十分証明されてます、先生は敵いそうもありません」

 わたしも馬鹿だ。

 ルディが笑った。

 自分は人にこんなふうに心から安心してみせたことがあったろうか。

 「ルディ」

 「ロキシー」

 やわらかな口づけを落とされた。

 ーーいや、こんなに無防備でいられる人はいなかった。

 

 ルディが慎重に腰を動かすと、太いものがわたしの中をすべるように動く。

 「ロキシー、痛くないですか?」

 「はい……」

 圧で声を出さずにはいられなかった。

 ゆっくりとさしこまれるたびにそれは続く。

 何故そうなるか分からず、自分から出る声に戸惑っていた。

 しばらく、よく分からなかった。

 

 わたしをいたわりながらするルディの顔をみていると、興奮を懸命にこらえているのが伝わってくる。こんなに気遣って……

 「ルディは?気持ちいいですか」

 「それは、当たり前です」

 あくまでゆっくりと動かしながら。

 

 最初の時と違う、ヌルリとした確かな快感。

 

 「ルディ……気持ちいい……」

 優しく気遣って動いてもらっている。

 「ロキシー、大好きです」

 「わたしも大好きです」

 わたしはルディを堪能した。

 

 「先生は、中からくる気持ちよさにまだ慣れていませんよね。ちょっと……」

 おもむろに彼は自分の指を舐めた。

 「なん……ですか……?」

 こっちもしますね、と舐めた指を秘部にあてがい、やわやわと動かす。

 よく慣れた快感が送られてくる。

 「な!?あっ!!……ぅん……ルディ……なんで分かるんですか」

 「強すぎませんか?きもちいですか?」

 「はい……きもちいです」

 これが慣れだろうか。

 ルディが特別上手なのだろうか。

 奥さんがいるからだろうか。

 こんなの……こんなの……

 

 また、追い詰められるように果てた。

 

 「ロキシー……そろそろ俺も……」

 「はい。ルディ……その……中に……していただけますか?」

 エリナリーゼが言ったのだ、望まないのであれば外にと。

 ルディは一瞬感極まった顔を見せた。

 彼のその表情をみて、胸が満たされた。この人に喜んでもらえて嬉しい。

 「……全部ください」

 

 気遣いのない抽挿は耐え難い快楽になり、わたしは彼に遠慮なくしがみつきその背を傷つけた。

 自分が悦ぶ声を初めて聴いた。

 

★★★

 

 経験したことないような快感が身体を通り抜け、ぐったりとした。

 幸福だった。

 隣にいるのにルディが恋しくてたまらない。

 「ルディ」

 呼ぶと目が合う。

 それで良かった。

 「ルディ」

 腕に腕を絡ませる。

 自分からこんなに甘えた声が出ると知らなかった。

 「なんですか」

 ルディの瞳が、わたしをさぐってくる。

 「呼んだだけです」

 知らなかった。

 わたしは、恋とはもっと互いに高めあうものだと思ってた。

 でもこんなにも無防備で。

 そしてこんなにもいたわられて。

 ルディじゃなきゃ、こんなに気持ちになるのは無理だった。

 なんてかけがえないんだろう。

 

 

 ルディがおもむろに起きあがった。

 「あ……」

 それだけで少しさみしくなってしまう。

 おかしい。

 ルディはお風呂から持ってきた洗面器に魔術でお湯をはっている。

 「なにをするんですか」

 「ロキシー、足を開いて」

 言われるままに足を開いた。

 なにをするのか気になり、肘で体を支えて彼の手つきを見守る。

 

 ルディは温かいおしぼりでぬぐってくれた。自分と彼の愛情が混ざって溢れたものを、優しい手つきで。

 無詠唱の混合魔術をこんなことに。

 

 ルディはこともなげな表情をしてる。

 それだけのことだった。

 

 それだけのことに胸を打たれ、不意に一生忘れられないと予感した。

 自分はこの人よりも長く生きる運命にある。

 けれどこの人は、わたしの唯一の人になる。

 

 なんてかけがえないんだろう……!

 

★ルーデウス視点★

 

 ロキシーの中はものすごくきつかった。

 刺激が強すぎて、気を抜くとすぐに終わってしまう。

 危なかった。

 腕の中に身を寄せてロキシーは宙を見つめていたが、ごろりとこちらに向いた。

 「ルディ…すごくよかったです」

 くたくたになったロキシーの囁き声。

 寄り添ったロキシーの体温がみるみる高くなっていく。

 「ルディとたくさん話したいことがあったけど…」

 消え入りそうな声。

 彼女はそれきり腕の中で寝息を立てた。

 

 とても愛しい。

 

 この人が俺に想いを向けてくれた時、断腸の思いで拒絶した。

 あの時の寄る辺のない無念と、ロキシーの見せた顔は多分一生忘れられないだろう。

 

 こうして思いを遂げられたのはシルフィのおかげだ。

 

 そんなことを考えていた。

どの話が好き?

  • 1 エリスの初夜のやつ
  • 2 エリスの日常のやつ
  • 3 ロキシーの初夜のやつ
  • 4 シルフィ&ロキシーサンド
  • 5 シルフィの新婚のやつ
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