『……おかしな話しだが。アンチカーディナル ハッキングプログラム とは全く連想も出来ない名称をつけたら、ことの他安定してな。コード:クィネラ……起動キーとしてこの名を呼びたまえ。 SAOでの君の相棒となる』
「ハッキングツール【コード:クィネラ】か。プロトオーグマーを経由した外部サーバーにミラーコピーを作り上げ、改変し、改竄し、使用者の都合のいいものに置き換えて、カーディナルに送り返し正常なプログラムであると誤認させる。この際の同一性の再現に成功したってこと?」
『ああ。これで、彼の夢想の結実たる天空城アインクラッドは地に堕ちる。天才プログラマー茅場晶彦。その彼のつくりあげた夢の鋼鉄の城はその中核構造カーディナルシステムを完全ミラーコピーの形で丸々収奪され、ただの不特定多数に利用されるだけのデータに成り下がるのだ』
「……リスクは1年以内で事を終えないと経由中継者である僕の実体の脳が限界域を超えて脳死する。……先んじてSAOに居る人たちのタイミリミットもだいたい同じか」
アスナは逃げるようにその場を離れた。
キリトの静止する声も聞かずに振り切って。
言い表すのなら 彼女がその時抱いていた感情は嫉妬。
黒の剣士キリトが自らの手で最前線で戦える力を得るまでの道筋を与えられた二人。
リズだけならば、アスナはきっと耐えられたし、やり過ごすことも出来ていた。
シリカにもSAO初期から生き抜いてきたシンパシーがあった。
現実世界のキリトのことを知る彼の義妹 リーファ。
完全なる巻き込まれた被害者として、それでも戦うことを決めたシノン。
キリトが 自分を一番に見てくれていない現実がそこにあってアスナの心はジワリジワリと歪みつつあった。
おおよそ二週間共に過ごしたあの22層のログハウスが苛むように二人きりの楽しかった時間が過ぎる。
なのに今は。
仮想空間において涙を隠すことは出来ない。
分泌物の何割かをシステム的に出せないようにしてるくせにこんな時ばかり と。腹立たしげに涙を拭う。泣いてなんかいられない。こんな事で泣いてはいけない。
あの場にいた五人に告げる事無く、新しく登録済みにしていたフレンドにメッセージを飛ばす。
【外で待ってます】
それだけの簡潔な言葉。何かを言葉で飾るような仲ではなく、単に夜の噴水前で拾っただけの人。それでも、抱えている問題は大きくて。本当なら皆でこの問題に当たるべきなのだと理解していて。
きっと同じ事を繰り返してしまう。
だから、必要なのは実績だった。
呼び止めようとしたキリトが出てこないのは落ち着いた頃にでも話せば解るとでも思われてのことだろうか。
エギルの酒場の中がざわつくよう感じて。
その中から出てきたのは。
アスナと出逢ったときと同じ装備を身に纏った【Yuuto】だった。
違うのはその背に背負うような形でマウントされた黒い剣のような何かと盾のような何か。パチリパチリと弾けて黒い羽が舞うように漂う。
こんな者が二階からいきなり降りてくれば大なり小なり場も凍るし、リアクションも採れまい。
「いや、成功だったね。普通に降りてきたら絶対に絡まれてたよ。あの空気。 この手の装備 見た目の威圧感ヤバいしね。まぁ、もっと威圧感マシマシもあるけど」
その姿からは想像も出来ない軽い口調でアスナの前に彼は現われたのである。
■ 無限の歓喜 性愛の断片(インフィニティエクスタシー エロスフラグメント)
その姿を認めると追いかけられると拙いと思ったアスナは裏路地に潜んでから移動しようと思った。この姿のこの人と二人でアークソフィアを歩けば、恐らく、追いかけてくるであろう中の五人にあっという間にバレてしまう。
ユートは指で酒場の中をくいくいと示して
「やっぱ、面倒ごとになりそうな感じ?」
「うん……ごめんなさい。やっぱり、皆にもショックなことだとは思うの」
「うーん。軟着陸できるのが理想だったんだけど、実績評価つける必要ありか」
ふと。アスナは自分の身体が彼に引き寄せられてるのに気が付いた。
ハラスメントコードの警告が出るはずの状況で、しかし、警告メッセージは現われず。
悪戯っぽい声でアスナの耳に届くようにユートは言う。
「ちょいと隠れよっか。基本の隠密看破じゃ見破れない系ので」
何処から取りだしたのか解らないケープを頭から被らされる。
ふと、自分たちをチラ見していた人たちが困惑気味な目を浮かべる。
キョロキョロとしてまるで何処に行ったのかを探しているよう。
「……あの。これって……?」
「HIDEポーションだっけ? モンスターから視認外になる薬って。その上級効果で完全隠密状態になる 姿隠しの装衣 ってアイテム。シティアドベンチャー対策に改造してあるから町中でも使えちゃうヤバげな代物」
ボソボソと喋って音は隠せないことを印象づける。
肩から抱き寄せられるような形になって、それを無抵抗で受け入れてしまっている自分にアスナは軽く戸惑いを覚えた。
でも、それは。
目の前をアスナのことを探しているであろう人物が二人。
二人、名前を呼びながら通り過ぎていく。足早な辺り、しっかり探すつもりなのだろう。
「アスナーっ……拙いな。これ、相当お冠だぞ……」
「あのすいません、血盟騎士団の副団長のアスナさん、見かけませんでしたか?」
黒い髪と黒いコート。
アスナにとってとっくに見慣れた姿の彼とポニーテールに結わえた金髪をフリフリ揺らせながら気づかわしげな顔で通行人から聞き込みをするその義妹。
ギリっと歯がみしている自分にアスナは気が付いた。
何も二人組でなくとも。手分けして探すならそれなりなやり方があるだろうに。
おそらくは 二人一組を三グループと言ったところだろうか。
ゆっくりゆっくりユートに肩を軽く抱かれながら その横を姿を隠したまま通り過ぎる。
おそらくは姿が消えているだけで接触をすればバレるのだろう。
アスナの中にふと奇妙な感覚が灯る。
キリト君の真横をキリト君のよく知らない男の人に。
姿を隠しながら、恋人のように肩を抱かれて通り過ぎる。
ゾクリとした感覚。とてもイケないことをしているような。
たったそれだけのことの筈なのに。
そしてその感覚が 背徳感 と呼ばれるモノだとアスナが気が付くのは遠くないことだった。
その耳元に興味深い者を見たかのような。
ボソボソと隣を通り過ぎようとしていた人物に聞こえてしまうかも知れない音量で。
「……ふぅん……アスナさんとあの黒いコートの人、とそう言う関係?」
「…え?」
「気付いてないみたいだけど、顔、朱いからね?」
常のアスナであれば。 その指摘を更に真っ赤になりながら罵倒と平手打ちで返答しただろう。
だが。今は。
姿を隠していると言う状況と拒めなかった抱き寄せられてその胸元に身を預けてしまうような態勢が。
朱に染まったアスナが 抗議の目線を上目遣いでユートに与えて終わった。
これまでにない経験が 緩やかにアスナの何かを侵蝕し始めていた。
プロトオーグマー3
ARからVRに機能をシフトさせた試作器。
その内部プログラムには【コード:クィネラ】と呼ぶカーディナルをハッキングすることのみに特化したハッキングツールが存在する。
現実拡張を利用した際の人間の認識知覚野を利用して「仮想空間内において使用者が目視した空間情報全てを量子、電子情報に分解し外部接続された演算器に送り込み、寸分狂いないコピーデータを形成する完全複製転送」を行う機能を第一義。
第二義として「情報を使用者の都合の良い情報に変換し改竄。改竄したデータを複製元に送り返し、その情報が正しいモノであると定義させる」
これを組み合わせることで 結晶無効化エリアの無効化 など カーディナルがシステムとして用意した事象を否定、廃棄、上書きするハッキングを行える。
なお、人間の脳の機能を著しく酷使するため、着用者は仮想空間内を長時間行動することを想定していない。
重村教授の本来の思想である 非侵襲性 を真逆に走る唯一つとなった。
【コード:クィネラ】
プロトオーグマーを動かすメインプログラムであり、対カーディナルハッキングプログラム。この名称がつけられる前は真っ当に作動しなかった曰く付きの代物になった。冷酷に冷静に公理を刻むが如くにカーディナルを改竄する。プロジェクト参加者の一人が趣味でナビゲーションピクシーを用意し、封印状態として内部にパッケージングしてある。
やがてこの名を持つ意味と因果は明らかになるときは来る。
カーディナルの対となるべくある名前。
因果は未来において逆転する。
姿隠しの装衣
モンスターハンターワールド・アイスボーン出典。本来の装備効果から強化されている模様。町中で装備出来ることと腕の内に入るのならば、二人まで同時に隠せる。
物体透過と発生音消去 までは行えない。
アークソフィア及び非戦闘空間におけるユートの武具装備状態
厳つい装備をしていても何故か、その外見と質感にそぐわない柔らか仕様になる。
これは、装備自体が敵意、隔意、害意などの感情値を検知したり、戦闘エリアに突入することで基本の装備展開状態になる。
【重要選択肢】アクセルワールドvsソードアートオンラインより ラスボス系ヒロイン ペルソナ・ヴァベルの登場因果が調いました。彼女の来訪は物語の進行に大きな影響があります。1と2は同じようですが進行内容が変わります
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呼び込む:鎧が原因
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事故った:ヴァベルの転移ミス
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ヴァベルは来なかった:シナリオ変更無し