赤い凶眼の黒鋼の狂戦士。
【Chrome Disaster】。
最前線を走ってきた攻略組をしてなおも赤黒く表示されるその名前。
可視出来る破格の強者の黒いオーラを鎧騎士は纏う。
偵察チームは、顔をだして姿を確認して、逃げ帰ってきた。
フルレイドを仮組みして挑んだ一団がいて
HPバーを五段ある内、一段を消し飛ばして、パターン変化がある事を確定させた。
全員まとめて全周囲衝撃波で吹き飛ばされて帰宅してきた。
特殊な条件の戦闘。
限定条件で許された死に戻りに近いこの戦闘は 自分たちが愉しみたかった、SAOに期待していた リアルな仮想現実空間の戦闘を体感させているのだと。
憎しみばかりではなく、この世界をみんなで一丸となって攻略していく。
デスゲームと成り下がった世界。
開発者自身が ゲームではあるが遊びではないと言い放った世界を。
挑戦する事の喜び、トライアンドエラーによって確定していく敵パターン。
本来『死に覚え』ゲーとなるはずだったゲームバランス上のエネミーを実に的確に代役として再現しているのだ。
皮肉な話しである。
擬似的な死に戻りが再現された結果、必死さが失われた分、余裕が生じ、その余裕が彼等攻略組に本来持ちうる、素養、才能を引き出していく。
『黒の剣士キリトや閃光のアスナが居なくても戦えるのだ』という当たり前の理屈。
クォーターエリアが過ぎた後、未だ、理不尽な強さの敵に忌避感と警戒感すらある攻略組の意識改革が起きつつあった。
経験は人を強くする。圧倒的な強者とのまるで実戦形式の叩き台。
万変自在な攻撃に対処出来うるだけの対応力と危機的な攻撃を見定める危機察知能力は磨かれていく。
されど、純粋火力が足りない。
転移門広場前で様々な情報が交換されていく。
その中に 黒の剣士と閃光のアスナの姿はなかった。
~76層 アークソフィア主街区 エギルの店~
いつもの面子には足りない。
それでもここは彼女たちの憩いの場ではあった。
「……アスナさん。衣装変えてましたけど、すごい似合ってましたね……」
ちょこんといった感じで座ったシリカが先程見たアスナの姿を思い返して呟く。
「あれ、見た目だけじゃなくて性能も相当エグいわよ。どこであんなレアもの仕入れたのやらって感じ」
リズベットは思い起こして鍛冶屋として当然必要な目利きがアスナの装衣が装備として、武装として優れた事を見抜く。ソレを言うのならば、あの時、前にいた三人全てがそうだったのだが。
「……キリト君とアスナさん、コンビ解消するって言ってたけど……」
「アスナが一方的に決めた感あるわ。 あのタイミングで公表されたら、キリトがどう思おうと周囲はそう決め付けるわね……ああいう事出来るタイプだとは思わなかったけど」
「アスナ、女子校育ちらしいからね。封殺するような情報の出し方とか政治力や状況を活かした事の運び方は得意だと想うわ」
「……うん。それをお兄ちゃんに対処してうまく立ち回れって言うのは……無理かな」
円卓を囲む四人は一人を除いて暗い。
シノンはさほど、現状ではまだキリトに対する思い入れはなく、そう言うものかという受け入れも出来る。
リーファは 血の繋がらない兄 が恋人とうまくいかなくなるのを目撃して複雑な心境。
シリカは アスナさんとキリトさんの間がうまくいかなくなるのはちょっと複雑だが、そこに付け込む隙はあるのではと。
一番複雑なのはリズベットではあろう。
親友の彼氏、ゲーム的には結婚までしていた二人の関係がここに来ていっきに微妙なモノになり、アスナの傍にはよくわからない新顔二人。
問い質したくもあり、問い質せばどうしようもないところまで事態が進行するという言いようのない確信もあり。
「……ねぇ。話は変わるんだけど。あんた達はさ。【チート】ってどう思う?」
「「「ちーと?」」」
「そう。チート。いわゆる ずる だとか。不正手段して攻略しようとかそう言うの」
カランカランと甘めなドリンクの中に転がる氷を揺らしてその動きを見る。
「このSAOに限っての事と自分の状況を踏まえて言うのなら、私はアリ。だとは思うわ。結局の所、デスゲームって事になると生き死に掛かるし、そこに選択の余地はないもの」
シノンはそう言うと自らがメディキュボイドと言われる医療用ダイブマシンを使っている最中に巻き込まれた事を告げる。
「そういうわけで。私はこう、他の人と違って、HP0による影響が果たして、脳を電磁波で焼かれるのかどうかすらも解らないのよね。だから、迂闊な事は出来ないから万難を排したい。その為の手段に選択肢は多く持っておきたい」
だから、自分はチート行為すらも容認する。
そう言外に告げてシノンは視線をリーファに投げる。
「……私は……難しいけど、デスゲームなら使っても文句は言われないんじゃないかなーとは思います。言われないというか、言うべきじゃないというか……私、お兄ちゃんには死んで欲しくないし、生きて帰るためにはそう言う手段が必要になったときには使っちゃうと思います」
リーファは自分がデスゲームと知りながら、この世界にきたのはキリト、兄と慕う彼に死んでもらいたくなかったからと言う立脚点を思い起こす。
「だから、ありかなしかで言えばアリ。デスゲームじゃないのなら圧倒的にナシですけど。うん、ALOでそう言うことはされたくないかな」
シリカとリズベットは顔を見合わせる。
自分たちとはそもそもの立ち位置が違う。だから「アリ」になるのかと。
「お二人はそう思うんですね……」
「うーん。やっぱ、そこら辺、思い入れの差とかこの中で過ごした時間の長さとか関係あるのかしらね」
シノンはその言いように二人が『ナシ』である事を察する。
察するが故に、自分が口に出したのだから、そちらも言うべきだと話しを広げる。
「あら、そう言う物言いって事は、リズベットとシリカは違うの?」
「ん? そうね。キッパリと言えば、ノー ね。なんて言うか、過ぎた時間やそういったものまで上塗りされて潰されそうで。鍛冶屋としてマスタメイサーとして鍛えた時間が一瞬で抜き去られるみたいなのは違うんじゃないかって思うわけよ」
「死なないためにとかそう言う理屈も解るんですけど……やっぱり、中で過ごした時間や死にかけて越えたものを不正手段で越えられちゃうと……」
経過時間の長さ や シリカ、リズベット共にエネミーの関わるイベントを勝ち抜いてここに居る事から、そういったものを無かった事にされるようでキツいという当たり前の感覚が 持ち込まれるチートへの忌避を示す。
「ねぇ。最前線にも立つ事があるエギルはどう思う?」
「ここで俺に飛び火かよ……俺は……アリだな。やっぱ死にたくはないから、それが生存にダイレクトに繋がるなら利用すべきだと思うがね。この手のmodってヤツはどう扱うかが評価の規準さ」
広間で宣言してた事を踏まえるなら、アスナも肯定派だろうがな。
とエギルは最後に付け加えるとカウンター業務に戻る。
キリトもアスナもおらず所在なさげなユイを招き寄せるとリズベットは彼女にも見解を問う。
「ユイちゃんはどう思う?」
「…まず、SAOにそう言うことを仕掛けた、仕掛けられた時点で普通はあり得ないのです。この土台になってしまったのがおそらくは11月から始まった異常なのです。異常感知すら逃れて、尚、その手段実行を確実にしている……そして、それをGMサイドが抑制出来ない」
ゲームシステムの側から見ればチート行為はBANすべき行い。
そう、本来のMHCPとしての機能が彼女に宿っているのならば。
ゲームから取り除かなければならない動的オブジェクト、即ちオブジェクトイレーサーの執行対象とすらなり得る行為。
「チートと呼ばれる行為を使用すれば、本来ならばシステム権限でゲームから取り除かれるのが基本なのです。カーディナルシステムはその不正を許しおくモノではありませんから」
ユイはそう結ぶ。
あり得ざる行いを持ってでもデスゲームを終着に導かんとする意志。
「……リアルワールド、つまり、現実の方でバックアップ受けてるみたいな言い方だったわよね。リーファ、そう言う話しは聞いた事あるの?」
ぶんぶんと首を横に振るリーファ。
彼女の現実世界の回りではそのような話しは聞いた事はなかった。
だからこそ、リーファという少女の現実は、自ら単身でデスゲームへの挑戦を敢行したのだから。
「どこからどこまでが本当の事やらって感じになってきたわねぇ……」
■ 無限の歓喜 性愛の断片《インフィニティエクスタシー エロスフラグメント》
『あら。徹頭徹尾、9割方は事実よ』
そんな声が響く。
ゆらりと揺らぐと リーファの背後に紫銀の装いに身を包んだ何ものかが【転移】してくる。
それは、転移門広場前で人々を煽動していた存在で。
『お初にお目に掛るわね。我が名は、クィネラ。現実世界よりの稀人』
周囲を見渡すとその彼女は、先ずはシノン、それからリーファに視線を留める。
『……ALOとの混線か……本来ならば、現実よりの姿に構成されるはずが同質のカーディナルの接触の影響で引き込まれたとみるべきか。しかし、そうなると些か厄介ね。こう言うケースで真っ当な人間がやって来るのは計算外だわ』
リーファを見定めるように状況分析と解析を行うクィネラ。
彼女の目はリーファという少女の状況と状態を収奪したシステム実行者としての権能を持って見抜く。
突如とした乱入者。
されど、声をあげる事が出来ない。
端的に言えば、存在の圧力が違う。あえて、彼女は自分が上位にある事を示すために【情報圧】を高めて其処にいた。
その圧を撥ね除けるためにはやはり、意志の力が必要で。
この場にはそれほど強固な意志の持ち主はいなかった。
いや。例外はいる。
「……あなたは一体何ものですか……?」
恐怖すら滲ませる声音でユイは誰何をクィネラに問う
『自己紹介はしたじゃない……ああ、そうか。お前がデータ欠損が起きているMHCPね……ふぅん…今はまだ成長初期段階か。まぁ、良いわ。今のお前には何も出来ないもの。自分が母と慕った少女の抱えていた精神的失陥を気がつけなかったMCHPには』
びくりと身を震わせる。
それは本来の機能を持っていれば容易に防げたはずの。
あるいはここではないどこかちがう場所でならけして起きえなかった事態。
『まぁ、黒の剣士の方はまだ間に合うでしょう。しっかり、サポートしてお上げなさいな』
ソレだけ言うとクィネラはリーファの耳元に口を寄せると周囲の人間に一切訊かれる事のない何事かを口伝していく。
リーファの眼が見開き、クィネラを見遣る。
『では、確かに申し添えたわ。後の選択はあなたに委ねましょう』
クィネラはそれで自分の役目は一段落したと言わんばかりにその場を離れてカウンターに座る。
『この店で一番高級な酩酊感を感じる飲料を出しなさい。それと共に最高級のつまみも』
その言葉で周囲の緊張感や重さが解かれた。
ざわめきだす飲食店としてのエギルの店。
高貴なイメージすら感じさせる圧倒的存在感のある女が優雅な仕種でカウンターに座り、一番の売り物を一息で買っていく。
目線をあえて引きつけていく振る舞い。
ミスディレクション。
クィネラがそうして場の空気を誘導させた事で。
誰一人、リーファがそこから姿を消した事に気が付く者は居なかった。
そして、彼女が戻ってきたのは翌朝になっての事だった。
誰にも何も告げずに消えて、時折メールで安否を知らせるだけという彼女にあるまじき奇妙な立ち振る舞いであった。
~現在の状況~
擬似的な死に戻りで強敵に挑戦するイベントが起きています。
チートに対する少女達のスタンスが明らかになりました。
リーファは クィネラに 現在の状況が現実世界において良くない事をちらっと言い含められました。ハッキングで実名割ってあるので実名を耳元で囁いた後、詳細を聞きたければ、76層の指定した宿屋に来るように言われました。脅迫されてます。
アンケート選択肢【場面選択】発生中
視点者、あるいは状況進行を選択します。
選ばれなかった選択場面は『一方、その頃○○があった』程度の事象認識で場面が進行します。
ヒロインのエッチパートの配分に変更が起きたりします。
今回の場合
1を選択した場合、キリトとアスナのこれからについてとアルゴとユートの関係についてがオープンになって、その影で2のイベントが起きていて、リーファの様子がなんか変。と言うのをキリトが後々知る事になります。このルートでは、その日の夜にアスナに伴われてアルゴがやってきます。
2を選択した場合、ユート視点でリーファを落していくイベントが始まり、図らずもアスナがキリトを引きつける離間策が成立した状態になります。このルートではユートにお手出しされたリーファとアスナの二人を相手にした3Pが発生します
アルゴイベントはこの選択肢に拘わらず開始されます。
リーファイベントは開始タイミングと詳細が変更されます。
夜の3Pの相手が変更になります。
1の場合と2の場合でリーファの堕ち度合いが変わります
1:匂わせNTRルート:契約性隷
2:身体をじっくり使われてしまうルート:完堕ち性隷
1の場合、キリトとアスナの関係性が分岐します(後程アンケート派生)
2の場合、キリトとアスナの関係性は迂余曲折の末、戦友 に落ち着きます
選択ボーダー150