※この作品はR-18です。

ソードアートオンライン エロスフラグメント   作:愁雨

8 / 28
歪み始める世界と感情。
切っ掛けは些細なことからで。

始まりは全くの別の過程を手繰ってきた人との出逢い。


インフィニティモーメント:ホロウフラグメント編
1:出会い


 

 アインクラッド75層。

 最後のクォーターポイントで判明した事実は攻略組全体に絶望をもたらすものだった。

 

 攻略組最有力ギルド 血盟騎士団。

 団長 聖騎士ヒースクリフ。 

 騎士剣と騎士盾を自在に繰る攻防一体のユニークスキル【神聖剣】の使い手たる彼。

 その彼こそがソードアートオンライン、浮遊城アインクラッドを死の遊技場、デスゲームに変えた黒幕たる 茅場晶彦 だったという事実。

 それを見破ったのが黒の剣士キリト。

 彼の放った投剣がヒースクリフに当たったとき、全ての虚飾が剥げ落ちた。

 

 【イモータルオブジェクト】。不死なる対象、破壊不可能な対象。

 

 けしてプレイヤーが持っていてはいけない属性に守られた存在である事実こそがヒースクリフを黒幕たる茅場晶彦に至らしめた。

 屈指のユニークスキル【二刀流】の担い手である彼は 一度の敗北を得て再度、最強の聖騎士に挑むことになった。

 ゲームデザイナーで有り、システムを誰よりも理解するGMであるヒースクリフにはあらゆるソードスキルが通用しない。

 黒の剣士キリトの二刀流から繰り出される 現状において最強の27連続攻撃ソードスキル【ジ・イクリプス】

 その最後の攻防。

 正史であれば、ヒースクリフは失望を隠さずにその攻撃をやり過ごし、ソードスキル終了の硬直クールタイムの最中にある黒の剣士に向けて ゲームオーバーデッドエンドの一撃を加えるべく剣を振り下ろす。

 それをさせじ と 閃光のアスナと呼ばれた最速最強の細剣使いはシステムによる行動不能状態から 愛するキリトを救わんと【意志の力】のみでそれを振りほどき、彼の前に立ち、致命の一撃をその身に受ける。

 アスナの死。それを眼前で目の当たりにしたキリトは、絶望に。されど それでは死ねぬと彼もまた意志の力を持って訪れる死。それが確定する刹那の間にアスナの残した白銀の細剣を緩やかに。されど絶殺の意志を持ってヒースクリフに突き立てる。

 そして、茅場と共にポリゴン片となり爆散する。

 だが、それでも……

 と続いていくのが正しい正史だ。

 閃光のアスナ と呼ばれた少女 と 黒の剣士キリト と呼ばれたアインクラッド攻略の英雄。

 その二人を中心とした永い電脳世界と現実世界を舞台とした物語。

 

 だが。そうなるべき物語は今ここにねじ曲がる。

 

 繰り出される【ジ・イクリプス】。ヒースクリフを捉えたはずのその一撃はしかし。その最中、凄まじいまでの過負荷が空間を支配する。

 ソードスキルは強制中止され、何もかもが歪み。

 

 そして 世界は超えられない分岐点を一つ超えてしまった。

 

■ 無限の瞬間 空洞の断章(インフィニティモーメント:ホロウフラグメント)

 

 目を覚ましたとき、誰もが立地点を理解できていなかっただろう。

 攻略組は 迷宮区から野原に投げ出されるような形で。

 後に 76層以上の大事件 と呼ばれるそれは エラー訂正機能の異常、転移システムの異常、一部スキル、装備の異常等々の問題を引き起こす。

 

 レベル適性でないまま最前線の街となったアークソフィアにやってきてしまったもの。

 

 しかし。いまだクリアされない世界。

 終わっていないのであれば終わらせなければならない。

 大規模な過負荷によるシステムエラーが次に起きたとき、今度は切断が維持されるかも怪しいのだから。

 

 

 攻略組の折れかけた意志は 残された25層をクリアし、100層突破へとまとめられたのである。

 

 それを期してのことか。

 システムエラーの余波が引き起こしたのか。あるいは、死の世界の入口と知って自らの意志でやってきたのか。

 本来は接点がなかったはずの異なるゲーム ALO、アルブヘイムオンラインの世界より舞い降りる来訪者 金髪の麗しい妖精剣士リーファ。

 不慮の事故以外の何ものでも無い無関係な状況からこの世界に堕ちてきたシノン。

 

 黒の剣士キリトはそれに手を差し伸べる。

 

 正史であればこのタイミングで出逢うことなどなかった少女達もまた転移システムの異常により最前線の街に取り残された。

 正史であれば最前線まで上がり来ることなどなかったキリトに縁ある 竜使いシリカ

 閃光のアスナの親友であり、黒の剣士キリトの愛剣を打上げた 武器鍛冶のリズベット。

 

 黒の剣士キリトの回りには 美少女が集うようになった。

 キリトを中心にして繋がる縁は残された階層を突破するその力になるはずだった。

 

■ 無限の歓喜 性愛の断片(インフィニティエクスタシー エロスフラグメント) 

 

 アスナはシステムエラーによって解かれてしまった彼との間を結ぶ絆であった指輪をなぞる。

 

 その胸に刺さる痛みがついぞ嫉妬と呼ばれるものだと気が付いたのは。

 

 大切な彼氏であり恋人であるキリトが 容姿も似てもいない美少女の妖精と言って良いリーファと現実世界のことを情報交換し合う姿、互いの無事を祝う義兄と義妹の姿。恋をしている少女の目を持ってキリトをみるリーファ。

 軽い記憶喪失を持ってデスゲーム内に放り込まれてしまったシノンを迎え入れる姿。

 鍛冶士としてのスキルをシステムエラーで失い、それでもと奮起するリズベットを顧客として支えるキリト。

 適正レベルでないまま、しかし、竜使いというテイマーの中でも希少な存在として前線に立つことを選び、そしてキリトを支えようとするシリカ。

 

 彼の隣は自分だけの居場所の筈だったのに。

 再度結婚すれば良い。もう一度、わたしはあなたの最愛であるという自負を示せば良い。

 そうは想いはするが、アスナの胸に積もる何かは重くなる。

 

「ママ? どうしたんですか? 複雑な顔してます」

「ユイちゃん…………そうね。ちょっと、色々あって物思うこと増えたなって」

 

 アスナはそう言うと机に向かう自分の顔を覗き込むようにしている 訳あって 娘 として接することにしたユイにくたびれた笑顔を向ける。

 自分自身がこんな面倒な女だったとはついぞアスナも思っていなかったのだろう。

 ほんの些細なことで嫉妬をするようなせせこましい女だったのかと。

 あるいは、後もう少しだけ、決定的な何かをキリトとの間に迎えていれば、こうは思わなかったのかも知れないと。

 

 血盟騎士団の再編、攻略組の再始動。

 中核におくはずのキリトは その矢先に新エリア、しかも、同行者として一人しか送り込めないようなエリアの攻略を行うのだという。

 解決しなければならない課題は山積している。

 腕を組み背を伸ばすようにして伸ばす。

 実態はなかれども、凝り固まりそうな思考を揉みほぐすように。

 

 ふと。外に出てみようと思った。

 

 夜中。実際の経過時間を忘れないように朝昼晩はタイムスケジュール通りに刻まれている。真夜中の街の散策。これまでの自分がしたことのないことをしてみようとアスナはリフレッシュのために立ち上がる。

 

「ユイちゃん。わたし、少し外の空気吸いに出てくるね。一人で寝るのが寂しいときは、キリト君のところに行けば良いと思うから」

「…………あの、今、パパの部屋には……いえ、なんでもないです。解りました。一人でも平気ですからママの部屋で待ってますね? 夜遅くですし、ママが強いからといってももしもがありますから気をつけてくださいね」

 

 口ごもったユイを少しだけ疑問に思いながらアスナは身軽な町歩き用の装いに着替える。ぽんぽんと指先でステータスから装備変更を行う。

 マニアックなことではあるのだけど、倫理コードを解除していると、装備変更のうち、衣服に該当するものは手動切り換えになる。 脱がせる、脱がされる。と言う行為にすら意味を持たせる仕様らしい。

 ふと、アスナは22層のログハウスで過ごしたときの キリトとの『初めての夜』を思い出す。

 あの時は一杯一杯で何もかもが過ぎ去った後で実感があった。彼と想いを通じ合わせたのだという。

 お腹を軽く撫でる。実体ではないこの中に。仮想空間であるからこそ、存在しなかった避妊具。

 吐き出された熱の味を 忙しさが洗い流してしまいそうになる。

 

 頭を軽く振る。こんな事を思い返すなんて。

 アスナは自分が欲求不満に陥ってることを自覚する。

 キリトの近くにいる少女達を押しのけて、抱いてと言えればどれほど気が楽になるのか。

 所在なさげにベッドボードに腰掛けるユイをみて

 この子の前で欲求不満の解消のための行動をしてしまうわけにもいかない。

 

 格安の手配で借りている今のエギルの酒場の二階の自室では自分を慰めることも難しいと今更ながらにアスナは気が付く。

 22層のログハウスや大枚を払って借り上げた75層以下にあるマイハウスのありがたさを身に染みながらアスナは月下の散歩に出た。

 …………その前を通り過ぎたとき、キリトの部屋からわずかに漏れ聞こえた男女の声をあえて聞こえないフリと気が付かないフリをして。

 

● 銀月来臨 異界の来訪者

 

 そして広場の噴水の近く、冷たさを再現する水場に足先を浸して、色々なモノを冷やす。

 見上げた星空は仮想世界故に澱みがない。積層構造のアインクラッドの内部でありながら、見上げるような空を作り上げているのは仮想空間故なのだろう。

 ふと涙が零れる。VR空間では、感情の発露から来る涙などは隠せない。

 あの濁った星もよく見えないし空気もきれいではない。星や月よりも街灯やビルの灯りの方が神々しい。だけれども、人が確かに生きていると言う実感を感じさせた現実世界の夜空がどうしようもなく恋しくなった。

 

 つぅ とほほを伝った涙が零れて 水場に落ちて 波紋を広げる。

 涙を拭って立ち上がり、部屋に戻ろうと思ったとき。

 

 

 アスナの目は。閃光のアスナとしての直感が。

 振り向いた噴水。そこに明らかな異物が佇んでいることに気が付いた。

 

 咄嗟に圏内であるにも拘わらず、細剣を呼び出す。

 何かが起きてからでは遅い。 いくつものパターンを考え、考えがキリトを呼ぼうと思ったところで止まった。

 もし、もし。あの時、漏れ聞いた声が……とこんな時に考えるべきではない思索に捕らわれてしまう。

 振り切るようにアスナは誰何を問う。

 

 月明かり。

 銀月が照らすその姿は攻略組の最前線を走ってきたアスナをしてみたことのない銀色の全身甲冑。

 ともすれば、モンスターにも思えそうな装飾はそれでいながら力強い輝き。

 

 見る者がみれば 『シルバーソル3部位+ゴールドルナ2部位』と判断するソレは明らかにこの世界にあって存在してはならない異物だった。

 

 アスナの誰何を問う鋭い舌鋒に答えるかのように

 動き出したその全身甲冑は スローモーションで前にばったりと倒れ伏した。

 

「……え?」

 

 一瞬どうしようか戸惑ったアスナは、キリトを呼ぶのではなく、大柄なエギルに助けを求めるため動き出したのであった 

 




『プロトオーグマー』
現実拡張(AR)を行うための機器のテストモデル。
年齢適性を確かめるため、幅広い年代の人間でテストが行われている。
現実世界にゲームキャラを投影して遊ぶなどといった使い方ができる。
ベース設計にナーブギアにも使われた技術が使用されているため、誤認が起きる可能性があった。
昔の狩りゲーを引っ張り出して遊んでいたらろくでもない目に遭った人間がいるらしい

『昔の狩りゲー』
 モンスターハンターシリーズのこと。SAOの時代からははるかに40年くらい前に溯る模様。
 オーグマーを通した結果、そう言うモノだと誤認され、装備回りのデータごとシステム異常によって生じた隙間にデータ回りがねじ込まれた。転移システムがエラー吐き出しているのは外部からコイツのデータ回りを引っ張り込むためにその領域が演算に使われているため。
 存在するだけでアインクラッド、カーディナルに過負荷を与えるバグの第二号。

アスナルート 重要分岐発生(エロ濃度は変わらないが、アスナさんの表現に絶大な差が生じる)細かく確認したい場合は、メッセージか活動報告で突っこめ!

  • カーディナルの観測下を続行
  • クィネラの手を案に乗る
  • ……答えはまだ出せない
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