「サポートもしてもらえるわけだし、重村のおじさんのところのゼミの関係者総出のバックアップでしょ?…………それに」
『ああ、想定通りなら、茅場君は自らの夢の城の中で死ぬだろう。それこそがSAOログアウトの最終キーとなる』
「なら。その幸福の夢の中で終わる前に、その夢に巻き込まれて死んだ人たち。その遺族代表としてそのツラに全力グーパンチをぶち込んでやらないと」
『……返す返す済まない……出来るのならわたし自身が行くべきなのだが……』
「重村のおじさんに、全身使って戦わなきゃ行けないフルダイブVRは流石に無理でしょ……? それにとびっきりの異物として全く違う別システム、別ゲームのデータをぶち込んであちらに殴り込むわけだから、修正逃れのための手動パッチを横からハッキングしてぶち込み続けるわけだし。そんなことの陣頭指揮出来るのおじさんだけだろ。適材適所だし、そもそも、肝心要のハッキングできるタイミングなんか一回しか訪れないんだろ」
『そうだな……茅場君に嫉妬した須郷君が仕掛けるタイミングを利用する。そのタイミングを利用し、バックドアを仕込む。あちら側の茅場君には不正アクセスしたのは須郷君ぐらいしか見えないように細心のカモフラージュをしてな……彼にVRの基礎、仮想空間の構築の原理を仕込んだのはわたしだからね……クセの一つぐらい解るし、その全てを彼の手で作り上げたわけではない。そう言う脆弱性を利用させてもらう』
「……しかし、よく見つかったよね。SAOの仕様企画書…………表向きではあるだろうけど、隠された裏エリア【ホロウエリア】だっけ。…………設定通りならアインクラッドでロストしたデータはここにその最後の瞬間までをパッケージングしたデータとして保存されるんだっけ……」
『……2023年10月18日。あの子の最後の日、そこまでの記録が眠っているとするなら……せめてデータの形でも良い。それを……ッ』
バッと擬音を立てそうな勢いで彼は飛び起きた。
夢を見ていた。
その一瞬で彼は現状を理解しようとして、ふと靄がかかるような頭痛を感じてばったりとまたベッドに倒れ伏した。
無骨な造りのベッド。 それでいながら、何かしら、こう、香しい。
それに思い当たって五感が再現されていることに安堵する。
流石にベッドのシーツをなめ回して、味覚の確認をするまでには至らなかったが。
視覚、触覚、嗅覚。身体が動くのも間違いない。
それでいながらのこの頭痛は『そう言うモノ』だと受け入れる。
ゲームシステムに真っ正面から喧嘩を売るような真似で送り込まれたのだからこれも仕方ないと。
ガチャリ と扉の開く音。
「あ、よかった。目が覚めたのね」
「……君は?」
部屋に入ってきた少女の姿を見て、彼は素直にそれがこれまでで逢ってきた中で最上位に位置する美少女だと理解する。
何かを言う前、問う前に名前を訊くのも当然の反応と言えた。
苦笑しながら扉を閉めて、ベッド脇の座椅子に腰掛ける少女。
「名前を訊いたのはこっちが先だとおもったんだけど……夜のこと、覚えていますか?」
「……夜……? そういえば、飛び込んだ先が鉄火場と拙いから装備の類はきっちり用意していたような気がするんだけど……なんでインナーなんだろ……」
「それはこちらの手で武装解除させてもらいました。流石にあんな恰好だとベッドを使わせることも出来ませんから」
そう言う少女の目は鋭いままだ。
もし何かの間違いがあれば、あるいは少年の手が伸ばされるようなことがあれば即座にその身柄を監獄エリアに叩き込む。
システム上、ハラスメントコードと倫理コードをしっかり適応すれば異性の手が触れた段階で警告音と警告メッセージ付きで監獄エリアの一方通行な転送が出来る。
この事から 何かしらの尋問を行うのであれば、異性が行う方がもしもが起きる可能性が少なく、また、少女の実力も加味されて。今、この得体の知れない少年の尋問に携わっているのである。
「……んー……どっから何処まで話してよいのやらって感じはするけど。最初に出会った人は味方につけておくべきだと直感が訴えてるな」
「……どういうこと?」
「あ、僕の名前、っていうか、アバターネーム見えるんだから解ってるはずだし、その誰彼は、何をしにここに来た何ものであるか?ってことだよね? 【Asuna】さん?」
少女、アスナの顔が一瞬、羞恥に染まる。彼女は最初期に頃にも似たようなことをした記憶があるからだ。アバターネームは秘されるモノではない。それが伏せられているとすればそれはイベント上、あるいはシステム上の制限がかかったプレイヤー以外の存在だ。
そして、彼はそうではない。もう慣れてしまったこの世界、SAOの常識の一つ。頭上の上に白い文字で浮かび上がるような。 この世界を嫌がおう無しに仮想の世界と認識させるアバターにつけられた名前とそのレベル。
(……レベルは……攻略組と遜色なし……あの二人とは完全な別口なのね……)
アスナは昨夜見た全身甲冑姿と目の前の少年アバターのレベルの高さからレベル1で放り込まれてきたリーファとシノンの二人と この少年は全く繋がらないことを理解する。
「僕の名はユート。【Yuuto】。遺族代表で生きてる内に茅場晶彦の顔を全力グーパンチとフルスイングアッパーしに来ましたって所かな」
「…………つまり、あなたは……」
「そう。ここがデスゲームになっていると理解して、それでもなお。と此方にやってきたバカな人間の一人だよ。娘を亡くしたとある男の怒りの刃を携えてね」
■無限の瞬間 空洞の断章(インフィニティモーメント:ホロウフラグメント)1
エギルの酒場のラウンドテーブルにいつものメンバーが集まる。
アスナが合流したのはその最後だった。
「ごめんなさい。遅れちゃったね」
「アスナ。……それで、その、夜中にいきなり現われたやつは……?」
「本調子じゃなさそうだったから無理はさせないでもう少し横になっていてもらおうと思うの。 問題ないかしら?」
着席したアスナを見て、四人の少女は顔を見合わせる。
「でも、男性の方なんですよね……? アスナさんのお部屋に寝させていて良いんですか?」
「そうよ。アスナ。目を覚ましたって言うのなら改めて別室を取らせるなりあると思うけど?」
「んー……そこは余り気にならないかな。あのタイミングでフリーで使えそうな場所、わたしの部屋しかなかったし。騎士団のギルドハウスに連れて行くには、団員になってもらわないとならないし。あんな夜中にいきなり、キリト君の部屋に不審者投げ込んじゃうのも、それはそれで問題でしょ?」
アスナのその言い回しの仕方に一瞬、ほんの一瞬、キリトとリーファは眉根を顰める。
「予め来訪メッセージ飛ばしてもらえば、その辺りはどうにかしたって言うか、素直に俺を呼べばよかったじゃないか。アスナ」
「夜中までリーファちゃんと話し込んでいたみたいだし、兄妹水入らずの邪魔するのもよくないかなって思ったの」
「……はぁ。ねぇ。アスナ。呼んだ呼ばないはもう過ぎたことだから良いのよ……その甲冑ひっぱいだしたから出てきたやつは一体何なのか?ってことの方が重要なんじゃないの?」
「そうですよ。わたしやシノンさんみたいな境遇なんですよね? その人」
アスナは一瞬、ほんの一瞬。告げるべきかを躊躇ってわかっている事実の一つだけを開示した。
「しののん や リーファちゃんより、問題アリな状態よ。彼が此方にログインを試みたのは2024年11月7日だそうよ。……今、12月の初旬。ログイン成功まで一ヶ月かかってる。これがどれだけ異常かは……キリト君やユイちゃんの方が詳しいと思うけど」
「バカな……あり得ない。VR上に生体データを再現するのにそんなに時間がかかるわけがない……」
「……再現する際に膨大な付加情報。それも、カーディナルシステムにおいては適正値を刻むことが出来ないモノを貼付させればそう言うラグがあっても不思議ではないかも知れません……ですが、それは……」
キリトとユイ。双方の顔が歪む。それが明らかに異常であることを理解しているからだ。その言葉、その内容が正しいとするならば、システムに過負荷を与えているエラーの要因の一つであるのは疑う余地がないからだ。その顔を見て。アスナは目を閉じ。
「これを異常と思い、受け入れる余地がないのならば、自分はログアウトする。そうとまで言い切った人間を切り捨てるの? ホロウエリアに取り残された女の子を救い上げようと思うのはよくても?」
どちらも切り捨てて見捨てる方が攻略を先に進める上では正しい。
危険を切り捨てて安全を得る。
そして、足手まといなどを考慮してしまえば。
適正レベルに上がっていない、リーファ、シノン、リズベット、シリカも切り捨てるのが正しいことになるからだ。
そうならないようにキリトは尽力したし、している。
だから、次の言葉をアスナが言ったとしても誰もそれを否定し、却下しうる強さを持ち得なかった。
「…………男性同士だから、キリト君にお願いしようと思ったけど。彼は。【来訪者ユート】は血盟騎士団副団長【閃光のアスナ】の元、その庇護下に置きます。キリト君。彼をその異常性から対処しなければならないと思うのならば、わたしを通してからにしてもらうから」
黒の剣士キリト と 閃光のアスナ。
二人の道は緩やかに別れ始めようとしていた。
プロトオーグマー 2
重村教授が作り上げたオーグマーの試作型。
ナーブギアに誤認させ、SAO内部に侵入するために作り上げた対カーディナルシステムハッキングツールがその正体である。
この際、彼は娘の命を奪ったナーブギアをリバースエンジニアリングしている。
強固であった防壁は一人の男の企みで撓んだ。
旧重村研究室に所属していたかつての教え子達を総動員して仮想世界の未来を挫滅轢断しかねない茅場晶彦に対処するためのプロジェクト【exception handling】を立ち上げた重村は その世界に直接侵攻する 仮想世界に対する適性の高い人材を探していた。
来訪者ユート
アスナが少年ユートを指していった言葉。本名 茂村 優翔。
重村教授の遠縁にあたる。
攻略組に引けを取らないレベルの高さは数値上のエラーではなく彼を構成する情報量の高さによってカーディナルがそう認識せざるを得なかったため。
現実世界における彼のバックアップの手厚さから単体で一つの世界に匹敵する情報圧を持つ。
ARとVRでは適性が違う部分が多いが、その差を埋めるために彼が慣れ親しんだアクションゲームのデータをカーディナルシステムに誤認させて相当数持ち込んでいる。銃器などの武器もあるのだがカーディナルを誤魔化しきれないため、使用制限されているモノも多い。
DMC系武装が制限されていることにすごく哀しむことになる
その最大の目的は茅場晶彦を殴り飛ばすことにあるが ホロウエリアと呼ばれる場所に存在しうる ユナ のホロウデータ を無数のホロウデータごと抜き出して確保することにある。
【重要選択肢】アクセルワールドvsソードアートオンラインより ラスボス系ヒロイン ペルソナ・ヴァベルの登場因果が調いました。彼女の来訪は物語の進行に大きな影響があります。1と2は同じようですが進行内容が変わります
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呼び込む:鎧が原因
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事故った:ヴァベルの転移ミス
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ヴァベルは来なかった:シナリオ変更無し