⚜ ⚜ ⚜ ⚜
昨日の夜ね、レフ神父っていう仲良しの神父様が遊びに来たの。
凄く背が高くて、瞳がエメラルドみたいに綺麗で、ミルクティー色の長い髪を三つ編みをしてる30代後半くらいの男の人で、僕が物心付いたときにはもうとなりに居て、お世話してくれたり、こっそりお菓子くれたり、時にはお勉強教えてくれたり……
普段は隣町に住んでて忙しくてなかなか逢えなくて……それでね、顔を合わすのは凄く久しぶりで嬉しくて、昨日の夜は一緒の布団で寝たんだよ。
修道士部屋じゃ二人並べないから、レフ神父がいつも泊まるお客さん用の大きいふかふかベッドで。
寝るときにずーっと抱っこされて。……僕も、もう子供じゃないんだけどな。
❁ ❁ ❁
朝3時に起きてお祈りして、動物小屋のお掃除して、牛舎から重いミルク缶を持ってきて……僕は最年少だから真っ先に料理の下準備して、ご飯食べて洗って、またお祈りして………
シスターってほんと忙しい。
せっかく来てくれたのに、毎回神父様と全然遊べない。
先輩シスターのアルパ様にゴネてみたら、「そうね、久しぶりにライカに逢いに来てくれたんだし、今日は遊んでいいわよ。」って。
午後はお部屋に戻って「今日はいっぱい遊べるよ!」ってレフ神父とハイタッチして……
それでね………
❁ ❁ ❁
確かに……遊んでくれてはいるんだけど………
レフ神父が僕の頬を撫でたりつまんだり、もにゅもにゅってしてるばっかりで、正直何が面白いのか全然わからない。
今回は僕の頬を揉みに来たのかなぁ。前回は、確か髪を嗅ぎに来た。
それにしても………長い。
もうかれこれ20000分は触ってる。…言い過ぎかな?
「ねぇ、レフ神父、まだやるの?流石に僕、飽きちゃったんだけど……」
「う、もう少しだけ………ダメかい?」
「はーーっ……その言葉、何回目?僕はもう3回くらい聞いた気がするんだけど!」
別のことして遊ぼうよ、僕の修道士部屋の棚にチェスもタロットもあるよ。
来たときに一緒にやりたくて…おねだりして買ってもらったたくさんのカード•ゲームや、玩具たち。一度も遊ばないまま埃を被って、大人になって、街の子供たちに譲ったのも、もちろんたくさん……
今日はだめ、ただの撫でられお人形ごっこじゃなくて。
溜めてたもの二人で遊ぶんだから!
レフ神父にぷーっと膨れっ面を披露した。
彼は僕のこれにとても弱いのを、知っている。
すると神父様の指がつん、と僕の頬を刺し、そのまま頬に溜めていた空気が抜けた。
「……ぷっ」
「もーっ!!レフ神父やめてよ!」
ちょっと恥ずかしくなっちゃって、照れ隠しに神父様に数発グーパンをしてみる。彼は全部にっこり笑顔で受け流す。
んむ………。敵わないな……この人には。
ん、むしろ喜んでる……?なんで喜んでるのかわからないや……。
もう恥ずかしくって、わざと目を逸らしていた。
❁ ❁ ❁
ふと神父様が僕と向かい合うようにしてしゃがんだと思うと、突然ぎゅっと抱きしめられる。
神父様のローブも、髪も、柔らかい、いいにおいがする。
「ふふっ、ごめんごめん。ライカ君が可愛いからつい……ね?ゆるして?だめ?」
神父様の腕に、ますますきゅううっと抱き寄せられる。
この艶めかしい、甘い声にドキドキする。
「うっ、い、……いい、けど……別に、そんなに怒ってないし……」
「本当に?ありがとうライカ君、……大好きだよ」
「ひっ……!?」
耳元に囁かれた突然のラブメッセージに、心がドクンと跳ねた。
大好きだなんて……
もう、もう……レフ神父ったら!
いつもどうしてこんなに僕を甘やかすの?
ダメだよ、今日ばかりは恥ずかしくてダメ。
ほら、もう鼓動が……ドクドクドクって………!
もうこんな……こんな赤面見せられない……僕は神父様に抱きついて、胸に顔をうずめた。
あ………神父様もドキドキしてる。
せわしない心臓の鼓動。この人も……僕も……
「……きみは本当に、かわいいね」
「う、うう」
「かわいい。……ね、顔上げて」
「……ぁ」
優しく頭を撫でられ、ゆっくりとレフ神父に顔を向ける。
やだ……こんな顔見られるの。
神父様が目を閉じてキスの催促をしてくる。
………。
………ほんっと、しょうがないんだから。
「いい子」
彼は甘く囁くと、唇を僕のと重ねた。
熱のこもった、柔らかいレフ神父のくちびる。
何度やってもこれは慣れない。いまだにちょっとびっくりする。
続けて、休む間も無いままちゅ、ちゅっ、と何度も僕にキスをする。僕達の吐息とリップ音だけが、この部屋いっぱいに響く。
こんなにキスされると恥ずかしくて、ちょっとだけ涙が出ちゃった。
「っふ、……ぅあ、……ん」
「ん……」
脳が溶けちゃうよ。
どうしてこんなにいっぱいちゅーするの……?
もう心臓の鼓動も苦しいくらい跳ねてて、だめ、目の前がふわふわして、………もうなんにも考えられなくなっちゃう………
ねぇ神父様……僕のこと好きなの?ほんとうに……?
神父様……
「ん、んんっ……れふ、しんぷ」
「うん?なぁにライカ君」
「……、すき、ぃ……」
「え」
意識がほとんど溶けかけながらレフ神父の首を両手でつかんで、精一杯の愛の言葉をたぐりよせる。
あぁ、言い終わってますます恥ずかしい。
もうこのまま死んでしまいたいくらい。
「〜〜〜〜っ、どうして君はいつもそうやって、私を……
っああ、もう、可愛いな!」
「ん、んんんっ!?」
レフ神父は目一杯強い力で、僕を抱きしめる。
『ぎゅっ♡』じゃなくて『むぎゅーーーーーっ!!!』という具合。
くっ、くるし、苦しい…。
抱っこというにはあまりに強すぎる。
胸に顔をうずめたままで、こんなに強い抱きしめられ方をされてはすぐに酸欠になりそう。
しかも鼻がぐにゅーってなって痛い。うう、
はぁ、大人のちからでぎゅーってされても、くるしいよ、しんぷさま………あいがつよすぎるって………
く、くるしい………しんぷさま、しんぷさま……!
僕は必死で神父様の肩をバシバシ叩く。
そうして気づいたのか、僕をきつく締め上げていた腕が緩まる。
「っぷはぁ!」
やっと呼吸をする。死因が抱っこによる窒息死になるところだった。そんなことになったら、他のシスターたちが腹を抱えて笑うだろう。
「っあ、ご、ごめんねライカ君。大丈夫かい?」
「大丈夫、じゃ、ない! すっ……ごい苦しかった!」
「ごめ……すみませんでした。」
「ふーんだ!」
僕が不機嫌になって顔をそらすと、ペコペコとレフ神父に頭を下げられる。
今回はちょぉっと、命の危機を感じたよね。
許していいのかな?どう思う?神様。
「ね、本当に反省してるよ。ごめんね、ライカ君。
どうしたら君はゆるしてくれる?」
レフ神父が困った顔で、僕に許しを乞い、尋ねる。
僕に嫌われたと思い込んだ彼は、なんか嘆いたり手で顔を蔽ったり、神に祈ってたりしてちょっと面白い。
もう少し困らせたらもっと面白くなるかな?
「ふーん、……じゃあ、ちょっとだけじっとしててよ。」
彼はわかった、と不思議そうな顔をした。
そして………
──ちゅ。
僕は神父様に、軽いキスをした。
「え」
彼は目をぱちくりさせ、自分の唇を指で触りながらただただ驚いていた。
………えへへ、ちゃんとうまくいった!
「しかえし!」
レフ神父が困ってるのを見て、へへ、思わず笑顔になっちゃった!
僕はそのまま追討ちとして『あっかんべー』をし、
きっとわれに返った神父様があとから困って追いかけて来るって思って、
……キスが恥ずかしくて、
………初めて自分から誰かにキスをしたことが、本当に恥ずかしくて………
その場から逃げるように、走って部屋を出た。
すぐに部屋周辺にある、大人からは見えない柱の死角に隠れると、部屋から、
「っは、はじめてライカ君からしてくれた……」
レフ神父の困惑しきった声が聞こえた。
と、同時に、なにか甘〜い感じのため息も聞こえた。
❁ ❁ ❁
ちょっと経って、レフ神父が冷静さを取り戻したらしく、部屋から出てきた音がする。
僕を探しているみたいだ。
足早にこちらへ向かってくる。でも、しばらくこの死角から、神父様の困った様子を見ていることにした。
シスターに好き放題キスするなんてバチ当たりだよ神父様。
聖堂でかくれんぼだなんて、こんな面白い遊び、いつぶりかな……。
本話は、当作品のサポーター様から頂いた二次創作小説のAnswerとして書いたもので、
シチュエーションや、「」の中の台詞をそのまま流用しています。頂いた小説がレフ神父視点だったため、今回、反対のライカ目線で書かせて頂きました。
ドキドキする素晴らしい二次創作小説でした。本当にありがとうございます。
尚、著作権の問題や、設定をこのまま引用すると現在の設定との齟齬が生じるため、これは聖ルク本編とは無関係のセルフ二次創作と致します。
Thanks……for ゆきねこ。様
────────
⚜ ⚜ ⚜
以上までがミッドナイトノベルズにて掲載させて頂いていたストック分となります。最新話は絶賛執筆中。
投稿はのんびりペースになりますが、皆様どうぞお付き合い願います。