※この作品はR-18です。

俺の大学性活はまちがい続ける。   作:滝 

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ガハマさんのメロンはクリーム味。

 水曜日。それはつまり、彼女たちの決めたところの、結衣の日だ。

 先日の会合の結果、俺と三人の恋人たちはそれぞれ一緒に過ごす日を作る事になった。ちなみにそこに俺の意思は入っていない。いや元から入れる余地なんかなかったけど。

 そんな経緯もあって結衣と駅前で落ち合い、喫茶店でゆっくりした後の事である。家には誰も居ないからと、彼女の住むマンションに向かった訳だが。

 

「あら~? ヒッキーくん、いらっしゃ~い」

 

 玄関扉を開けると、何故か結衣の母親──みんな(主に俺が)大好きガハママに出迎えられた。いや、結衣のママだからユイママか? まあそれはどっちでもいいとして。

 どゆこと? と結衣の方を見ると、彼女もまた想定外だったのか驚いた表情をしている。

 

「な、なんでまだいるの? 今日は出かけるって⋯⋯」

「ええ、今から出るのよ~。迎えに来てくれたお友達、遅れちゃってて」

 

 サブレの入ったゲージを肩にかけ直すと、ガハママはそう答える。いかにも今から出掛けて来ますというような、外行きっぽいワンピースはガハママにとてもよく似合っていた。相変わらず大学生の娘がいるとは思えないプロポーションで、その特徴は結衣に脈々と引き継がれています本当にありがとうございます。――と割と最低な事を考えていると、ガハママがこちらをじっと見ている事に気がついた。ついでに俺に気付いたサブレが、嬉しそうにひゃんひゃんと吠える。

 

「今日は⋯⋯おうちデート?」

「ママ、いいから! ほら、行くなら早く行ってっ」

 

 悪戯っぽい笑みを浮かべたガハママを、結衣はぐいぐいと玄関扉の前まで押しやる。

 

「じゃあ、二人とも仲良くね~」

「もうっ! そういうのいいからっ!」

 

 ガハママはまるで親しい友達にそうするように、バイバーイと手を振ると扉の向こうに消えていく。なんというか、久し振りに会ったけど相変わらず綿菓子みたいにふわっとした人だ。

 それにしてもガハママには、今の俺たちはどう見えたのだろう。ガハママにして見れば、娘が高校生の時によく話していた男の子で、二度だけ家に来た事のある男友達⋯⋯であるはずだ。

 その答えを探るように結衣を見ると、彼女は俺の視線を無視して玄関扉に鍵をかけた。その上防犯のドアガードまでかけてしまったけど、それしたらガハママが帰って来た時に開けられないのでは⋯⋯。

 

「あー⋯⋯、びっくりした⋯⋯」

「俺もだけど⋯⋯。変わんないね、君のママ⋯⋯」

「あぁ、うん。ママはママだから⋯⋯」

 

 どことなくちぐはぐな会話を交わしながら、俺は結衣に続いて家に上がらせて貰う。

 マンション、というのは結構どこも似たような作りをしているものだ。玄関があって、廊下があって、その先はリビングダイニングキッチンがある。

 リビングに入ると、結衣に促されてソファに座った。――と同時に、彼女は俺の腕を絡め取りながら体重を預けてくる。

 

「ふー⋯⋯」

 

 いや、ふーって⋯⋯。ガハマさん勝手に和んで満足そうにしてますけど、こっちはちょっとドキっとしたんですが?

 しかしまあ、その距離感にもいい加減慣れろって話だ。恋人として過ごした時間の長い雪乃とは違って、結衣とこうして過ごすのには未だに少し緊張する。もっと凄い事だってしているというのに、可愛らしく甘えてくる彼女にはまだまだ慣れなくて、その度に『トゥクン⋯⋯』となってしまうのだ。

 

「ねぇ、ヒッキー」

 

 呼ばれて振り向くと、目が合うより早く唇を塞がれる。だからばっちりと間近で結衣のキス顔が見えて、また心臓が跳ねた。

 

「えへへ⋯⋯。やっぱこういうの、いいね」

 

 はにかみながらそう言うと、俺の手をきゅっと握ってくる。

 本当、マジかこいつ。なんでそんなに可愛いの? 可愛いの塊かよ。いや本気で可愛いなこいつ。天然でやるところが本当可愛い。いや実は狙ってやってるのか? まあ可愛いからなんでもいいか(思考放棄)。

 

「⋯⋯つーか、こんな感じでいいのか。出かけるとかじゃなくて」

 

 空いている方の手でぽりぽりと頬をかきながら、そんななんでもない事を訊く。結衣は微笑みを絶やさないまま、こくっと頷く。

 

「こうやってくっついていられる方がいいもん。いろはちゃんも、だいぶ楽しめたみたいだし」

「⋯⋯は?」

 

 なんでここでいろはの話が出てくるんだ? この子たち、いつの間にそんな情報共有してるの⋯⋯。

 

「あのー、いろはから何か聞いてらっしゃる?」

「聞いてるっていうか⋯⋯写真で伝わってくるっていうか⋯⋯」

 

 うーん、と結衣は少し悩んだ後に携帯を取り出した。スマホマホマホスワープとラインと開くと、スクロールした先に見覚えのある一枚の写真がある。

 俺といろはが、頬をくっつけ合った写真。いろはが口に使用済みのコンドームを咥えたまま、してやったりと笑う写真が──。

 

「ヒッキー、こういうのがいいの?」

「違う。なんだその写真早く消せ」

「いろはちゃんが送ってきたからあたしじゃ消せないよ」

 

 冷静に返してくる結衣の持つ携帯をまじまじ見ると、グループ名には『女たらしの恋人たち』なんて名前までついている。よりによってなんて名前をつけやがる⋯⋯。

 

「あとそのグループ名変えない? もっとこう、あるでしょ。しっくりくるのが」

「それもゆきのんがつけたから知らないけど⋯⋯。でもこれ、事実じゃん」

 

 ほう、このネーミングセンスは雪乃さんか⋯⋯。というか雪乃からしたらそう見えるんですね。事実でしょと言われたら全く言い訳ができない。

 他にも変な写真が送られていないかと思って携帯に手を伸ばすと、するりと結衣は俺の手をかわす。

 

「それ以上は見ちゃダメ」

「なんで?」

「んー⋯⋯。見ない方がいいっていうか、あたしたちにもプライバシー? があるわけだし」

 

 俺のプライバシーはゼロなのになんだそれ⋯⋯。

 しかしまあ、見ない方がいいというのは確かかも知れない。この子たち絶対俺の悪口とか愚痴こぼしてたりしてそうだし。それある。あっちゃ駄目なんだよなぁ⋯⋯。

 

「あ、それよりシフォンケーキ、もらったやつあるけど食べる?」

「今思いっきり話題そらそうとしただろ」

「もういいじゃん、その話は。写真はもう、あたしもゆきのんも見ちゃってるんだし」

 

 ぷくっとむくれて見せる結衣の仕草が幼(いとけな)くて、話題とのギャップがまた堪らない。

 まあ、いろはに何させとんじゃコラと言われなかっただけマシだと思おう。そもそもあの写真も、いろはが自ら撮ったものだけど。

 

「⋯⋯まあ、食べるけど」

「ん。じゃあちょっと待ってて。クリーム作るから」

 

 結衣はそう言うとソファを立ち上がり、キッチンに向かうと思いきや廊下の方へ出ていった。

 その様子には妙に既視感があるし、別にわざわざクリームまで用意しなくてもいいんだけどなと思っていると、結衣が戻ってくる。

 その身を包むのは、いつぞやに俺と雪乃で選んで贈ったピンク色のエプロンだ。

 ただもう一つ、付け加える事があるとしたら。

 なんでエプロンだけを着ているの? って話なんだよなぁ⋯⋯。

 

「あのー⋯⋯。結衣さん」

「⋯⋯はい」

「どうしてエプロンだけを身に着けていらっしゃるの?」

「だって⋯⋯。いろはちゃんが」

 

 そこまで聞いたところで、俺は手をかざして続きを制した。やっぱりいろはから、色々聞いてんじゃん⋯⋯。

 

「とりあえず、ゆっくりしてて」

 

 結衣はそう言うとボールやらクリームやらを準備し始めた。その間、当然俺の視線はその一挙手一投足に注がれる。

 エプロンは当然、それ単体で着るものではない。だからはみでる。主に彼女のたわわな部分が。歩くだけで揺れるし、泡立て器なんて使おうものならもう凄い事になる。

 

「⋯⋯結衣」

 

 背後に立つと、そのたわわのサイズに対して細すぎるぐらいの腰に手を回す。結衣はホイップクリープを作っていた手を止めると、身を固くさせた。

 その頬を唇でついばむと、結衣の身体から段々力が抜けてくる。回した腕をゆっくり上げていくと、その柔らかな部分をエプロンの上から揉み始めた。

 

「ん⋯⋯っ。もうちょっとで、出来るんだけど」

「先にこっちが食べたいんだよなぁ⋯⋯」

 

 こんな可愛らしくていやらしい姿を見せられて、我慢などできるはずもない。

 俺はもーみもーみと結衣の胸を揉みながら、股間が窮屈になってくるのを感じていた。一昨日いろはと散々致したばかりだったが、一日も空ければ完全復活である。当人に対して下半身だけ元気すぎる。

 

「ん、あっ⋯⋯。んんっ、は、あぁ⋯⋯♡」

 

 結衣のうなじにキスを落とすと、艶めかしい声が鼓膜を震わせる。その声をもっと甘くしたくて、俺は右手を彼女の身体に沿わせてゆっくりと下ろしていく。

 

「あぁぁっ♡ んんっ、はぁ、ん⋯⋯♡ ひっ、きぃ⋯⋯っ」

 

 彼女だけの呼び名が、脳を蕩かすようだった。結衣の入り口を中指でなで上げると、あっという間にそこは湿度を増してくる。

 

「もう、入れられそうだな」

「んんっ、あ♡ うん⋯⋯。ここで、したいの?」

「ああ、ここがいい」

 

 結衣の期待するような目が、俺を捉えて離さない。しかし俺の方も財布に避妊具を用意してあるぐらいには、結衣との情事に期待していた。

 コンドームの個包装を取り出して、その薄っぺらい膜をするすると硬くなったペニスに装着させる。その様子を、結衣はキッチン台に手を突いたまま見ていた。

 

「後ろから、いいか」

「うん⋯⋯。いいよ。⋯⋯あ♡ あぁぁ⋯⋯っ♡」

 

 結衣の尻肉に股間を押しつけて、ぬぬぬっと彼女の膣内に挿入する。心なしかいつもより狭くて、熱い。俺はガチガチになったものをビクンと膣内で脈打たせると、ピストン運動を開始する。

 

「は、あぁ⋯⋯」

「あぁぁっ♡ んっ、あ♡ あぁっ♡ おく、くるっ♡ んんっ♡ あぁぁっ♡♡」

 

 結衣の喘ぎは挿入するなり一気に大きくなって、脳天を突いてくるようだった。出し入れを繰り返す度に、ぞくぞくと背中を快感が駆け上がる。

 腰紐と肩紐だけの結衣の後ろ姿はほとんど裸も同然で、その奥を突く度にぷるんぷるんと柔らかい部分が揺れていた。

 

「はぁ、はぁっ⋯⋯。結衣の中、いつもより締まってるぞ」

「んぁぅぅっ♡♡」

 

 パァンッ! と音が鳴るほど強く結衣の奥に突き入れると、一際(ひときわ)甘い喘ぎが漏れて、エプロンからはみ出た胸がぷるんと自己主張する。だからもうちょっと、それを見たいと思ってしまう。

 

「は、あぁ⋯⋯。結衣、こっちに」

「あんん⋯⋯っ♡ え⋯⋯」

 

 ちゅぽんと結衣の膣内から肉棒を引き抜くと、その手を引いて身を起こさせる。ほとんど出来上がっているホイップクリームの入ったボールを片手に持つと、もう片方の手で結衣を引っ張っていく。

 ダイニングテーブルに結衣を座らせると、そのままそっと押し倒した。彼女の頭のすぐそばにボールを置くと、両手でほっそりした綺麗な脚を開かせる。

 

「あ、ん⋯⋯っ。ここで?」

「ああ。顔見ながらしたくなった」

「もう⋯⋯。あ⋯⋯んっ♡ あぁぁっ♡♡」

 

 再び結衣の中に入っていくと、びくんとその身が震えた所為でエプロンの向こうの胸がまた大きく揺れる。

 それにしてもこのエプロン、まさかこんな風に使う日が来ようとは、買った当初は想像もしなかった。使い込まれた感じも、未だに大切に持っていてくれた事も嬉しくて、結衣がいじらしく思えてくる。

 

「あっ♡ あっ♡ んっ♡ あぁぁっ♡」

 

 そんな結衣を彼女の生活スペースで──きっといつもそこで食事を摂っているだろう場所で交わるというのは、在る種の背徳感を呼ぶ。特にガハママに会ったばかりというのがヤバい。何がヤバいってそりゃもうヤバみがヤバい(語彙力)。

 

「結衣」

 

 俺はホイップクリームを指先で取ると、喘ぎを漏らす口元にそれを近付ける。条件反射的に結衣は口を開くと、俺はクリームに塗(まみ)れた指先を結衣の唇の間に入れた。

 

「味見、しないとな」

「うん⋯⋯♡ は、ん⋯⋯っ♡」

 

 俺は結衣の一番奥までペニスを入れたままびくんびくんと脈打たせると、それだけで気持ちいいのか彼女の肢体もその動きに合わせて揺れる。ペロペロと犬みたいに指先を舐めてくる所為で、結衣に指フェラさせているみたいになってしまった。

 

「ん⋯⋯っ♡ 甘い⋯⋯♡」

「は、あぁ⋯⋯。そうか」

「あぁぁっ♡♡」

 

 俺は腰の動きを再開させると、結衣のエプロンを真ん中に寄せてそのメロンを露出させた。ボールから泡立て器を取ると、すくったホイップクリームを結衣の乳首の上に塗りたくる。膣奥を突きながらした所為で、結衣の胸はクリームでベトベトになっていた。

 

「は、あぁ⋯⋯。じゃあ俺も、味見させてもらうな」

「ん、あっ♡ あぁぁあ♡ それ、だ、めぇっ♡」

 

 ゆっくりと腰を動かしながら、クリームまみれになった結衣の乳首を舐め上げる。ぺろぺろと舐めながら腰を振っていると、まるで犬にでもなったような気分だった。

 

「うぁぁ⋯⋯はぁ⋯⋯。確かに、甘いな」

「あぁぁ♡ ひっ、きぃっ⋯⋯♡ 舐めすぎ、だから⋯⋯。んんっ♡ あっ♡」

 

 周りにクリームが垂れていかないよう満遍なく、執拗なまでに結衣の胸を舐め回す。その間もゆっくりと腰を動かし続けていると、結衣の膣内はキュウキュウと強烈に締め上げてくる。

 

「は、あぁ⋯⋯。ちょっと、締め付けキツ過ぎるんですけど」

「ん、あぁぁっ♡ ヒッキーの、せいじゃん⋯⋯っ。あ♡ あぅぅぅっ♡」

 

 クリームを全部舐め終える頃には、俺の方も結衣の中でパンパンに張り詰めていた。この状態で激しくしたらマズイとは思いつつも、そこから得られる気持ちよさに期待してしまって、衝動は止められない。

 

「あぁ♡ ん♡ あっ♡ あぁぁあぁぁっ♡♡」

 

 腰の動きを激しくさせると、結衣の嬌声が俺の脳を震わせる。ペニスが最奥を突く度に結衣のおっぱいがたぷんたぷんと揺れて、目が離せなくなる。

 結衣の膣内のうねりを感じながら腰を振り続けていると、睾丸がきゅっとせり上がってくる感覚がした。結衣の方もまた、その表情から絶頂が近いのが分かる。

 

「はぁっ、はぁっ⋯⋯。結衣、そろそろ出していいか?」

「あぁぁ♡ あ♡ あっ♡ うんっ♡ は、あぁぁっ♡ ヒッキー、一緒に、イこ? んあぁ♡ん♡ あぁぁぁ♡」

 

 結衣の腰を掴むと、パァンッ、パァンッ! と激しく音が鳴るほど彼女の奥を突く。肉棒の根本に力を入れて、最後の瞬間まで射精を我慢する。

 

「はっ、はっ、あぁ、出るっ! 結衣、出すぞっ!」

「あぁぁんぁぁあ♡ うんっ♡ ひっ、きぃっ♡ 出して♡ あ♡ あぁぁっ♡♡」

 

 ずぶんっ、と結衣の一番奥までペニスを入れると、俺は快感のままその中に射精した。ドクンドクンと肉竿が脈打つたびに、脳が蕩けそうなほどの快楽にみまわれる。

 

「は、あぁ⋯⋯。う、ぁ⋯⋯」

「あ♡ あぁぁ♡♡ ヒッキーの、あんっ♡ まだ、中でびくびくしてる⋯⋯♡」

 

 射精している俺と目が合うと、結衣はそう言って微笑みかけてくる。可愛らしいのに艶かしくて、俺はまたビュッと結衣の膣内で精液を放出した。

 本当に、イッている結衣の中は凄い。精液を搾り取ろうとするかのように腟内が蠕動して、いつまででも挿入したままにしたくなるぐらいだった。

 

「はぁ、あぁ⋯⋯。抜くぞ」

「うん⋯⋯。あ⋯⋯♡」

 

 結衣の膣内から射精の終わったペニスを抜くと、先っぽにはたっぷり精液が溜まったコンドームが垂れ下がっていた。結衣は少しだけ身を起こすと、片手で使用済みになったコンドームを取る。

 

「うわぁ、すごい量⋯⋯。いつもこんなにいっぱい、中に出してたんだね」

 

 恐らくは純粋無垢な感想なのだろうが、今の状況やら姿やらの所為でその発言はやたらとエロい。エロ過ぎる。

 当然のように勃起したままのペニスを脈打たせていると、結衣はもう一度ダイニングテーブルに寝そべって、精液入りのコンドームを逆さにした。粘度が高いのか中々垂れてこない精液を、まるでクリームの絞り器みたいにして絞り出す。トロリと口内に垂れたザーメンを、結衣は舌で受け止めた。

 

「ん⋯⋯」

 

 そしてコクンと。

 結衣は小さく喉を鳴らして、出したての精液を飲み干した。

 

「えへへ⋯⋯。ヒッキーの生クリーム、飲んじゃった」

「」

 

 その一言にビキンと脳に衝撃が走り、ビクンと肉棒は硬さを増した。

 いや、本当にこの子⋯⋯えっちの才能がありすぎる⋯⋯。

 

「もう一回入れていいか?」

「いいけど⋯⋯。ゴム、部屋にしかないから」

 

 結衣はダイニングテーブルから立ち上がると、チュッと音を立てて頬にキスをしてくる。

 

「部屋でしよ」

 

 そんな何気ない一言に、俺は今すぐ押し倒したいぐらい興奮していた。

 結衣に手を引かれて彼女の自室に入ると、結衣はごそごそと机の引き出しを探る。

 

「ヒッキー、はい」

「ん、ああ⋯⋯」

 

 見慣れないパッケージは、当たり前だが結衣が俺とセックスする為に用意してくれたものだ。その事実を認識すると、ふと先日のいろはとの情事を思い出す。

 

「あー、その、な⋯⋯。着けてみて欲しいんだけど」

「あたしが? うん⋯⋯いいけど、したことないよ」

「まあ、分からんかったら教えるから」

 

 結衣は若干戸惑いながらも、新品のコンドームの箱を開ける。個包装を取り出すと、じっとそれを眺めた後にペリッと蓋を開けて薄っぺらいものを取り出した。

 

「ヒッキー、そこに寝て」

 

 おお、と返事をして、結衣に言われた通りにベッドに寝そべった。結衣は俺の脚の間に入ってくると、前かがみになって勃起したままのペニスを見る。当然その格好になると結衣の成熟したメロンがたぷんと垂れて、そっちに意識も視線も吸い寄せられてしまう。

 

「えっと、こう⋯⋯?」

 

 結衣のおっぱい(通称:ゆい乳)に意識を持っていかれている間に、するりとコンドームは下ろされようとして、亀頭を包んだぐらいで止まっていた。初心者にありがちなミスだ。

 

「逆だな」

「あ、うん⋯⋯」

 

 俺が言うと、結衣はコンドームを上下反転させてもう一度着けようとしてくれる。⋯⋯が、ゴムは中途半端に伸ばされた所為で、中々それは装着されていかない。

 

「その巻いてある部分を指で押さえて、下にスライドさせていく感じで⋯⋯」

「こんな感じ?」

 

 手でジェスチャーしてやると、結衣は俺の教えた通りにコンドームを装着させてくれる。そのちょっとした刺激でびくんと肉棒が脈打ってしまうのは、結衣にしてもらっている事を考えると仕方ないと思う。

 

「はい。着けたよ」

「ああ。⋯⋯じゃあ、上になってくれるか?」

「ん、いいよ」

 

 結衣は俺の願いに逡巡すらなく答えると、よいしょと俺に跨ってくる。エプロンの下で肉棒が握られると、結衣は俺の顔を見た。

 

「入れちゃうね?」

 

 ああ、と答えると、結衣の腰がゆっくりと下ろされていく。ぬるんと熱い膣内に迎えられると、二度目の行為だというのにゾクゾクとした快感が背中を駆け上がってくる。

 

「あ⋯⋯♡ あぁぁっ♡ ヒッキーの、まだおっきいままだ♡」

「は、あぁ⋯⋯」

 

 結衣は最奥までペニスを迎え入れると、俺に向かってニッコリと笑いかけてくる。こういう時にその笑顔は、反則だ。

 

「動いてもいい?」

「ああ⋯⋯。頼む」

 

 俺が答えると、結衣はゆっくりと腰を上下に動かし始める。めくられてエプロンからはみ出たままだった結衣の乳房が、ぷるんぷるんと跳ねる。

 

「ん、あ♡ あぁぁっ♡ これ、取ってもいい?」

「うぉ、は、あぁ⋯⋯。いいぞ。汚れるとあれだしな」

 

 結衣は俺にそう言って、エプロンを外す。これでもう、結衣の裸体を隠すものはもう何もない。全てが露わになると息苦しいぐらいの興奮が襲ってきて、結衣の中でまたビクンと肉棒が大きくなった気がした。

 

「ヒッキーも、脱がすね」

「え⋯⋯? ああ⋯⋯」

 

 結衣はそう言うと、俺のシャツのめくり上げてきた。腰を前後に振りながらそうされるのは当然初めてで、思わず心臓の律動が早くなる。

 シャツを中途半端な位置までずり上げると、結衣はふと俺に笑いかけた。かと思ったら次の瞬間、腰の動きを上下に変えて乳首を弄ってくる。

 

「うぉ、ぉぉお⋯⋯っ!」

「あ♡ んっ♡ ヒッキーの、また大きくなった♡」

 

 本当、ガハマさんさぁ⋯⋯。最近エロ過ぎるんだよ。けしからんもっとやれ。

 蠱惑的な表情と目に意識を吸い込まれて、その動きから目が離せない。結衣の奥を突く度にうねりと無数の襞が俺を迎え、快楽の坩堝に落ちていく。

 

「あぁっ♡ んっ、あ♡ あっ♡ ヒッキーの、奥、クるっ♡ んんっ♡」

 

 結衣が腰の振りを激しくさせてくると、膣奥に誘いこまれる度に強烈な快感にみまわれる。快感に耐えられなくなってきたのか結衣は俺の両脇に手を突くと、テンポを落とさないまま性の動きを続ける。

 

「は、あぁ⋯⋯。すげ⋯⋯」

 

 結衣の身体が前に傾斜した所為で、そのメロンがたゆんたゆんと揺れていた。思わず手を伸ばして揉み始めると、結衣の声がワントーン高くなる。

 

「あぁぁぅっ♡ んっ♡ は♡ あぁっ♡ あ♡ あっ♡」

 

 それでも腰を振るリズムは変わらず、結衣の膣内はキュンっと締め付けを増した。視覚からくる興奮と下半身から伝わる快感が凄すぎて、脳が白く焼けていく。

 

「は、あぁ⋯⋯っ。結衣⋯⋯。もう、出る⋯⋯っ!」

 

 まだ彼女の中を味わっていたかったのに、思わずそんな声が出た。出したばかりとはいえ、結衣との行為がいやらしすぎるのだ。

 動き続けている腰を支えると、結衣は口元に三日月を作って俺に言う。

 

「ん、は、あぁ♡ いいよ♡ ヒッキー、一緒にイこ?」

 

 そう言った瞬間から、タンッ、タンッと肉同士のぶつかり合う音が鳴る。本気の腰振りに俺の肉棒は充血し、また尿道を精液が駆け上がってくる。

 

「う、おぉぉ⋯⋯っ。出るっ! 結衣、出すぞ⋯⋯っ!」

「あぁ♡ んっ♡ は、あ♡あ♡あ♡ あぁぁっ♡ いいよっ♡ あ♡ イッてっ♡ んンんっっ♡ あ♡ イクっ♡ あたしも、イッちゃうぅぅっ♡ あぁぁ~~──♡♡」

 

 結衣の背中が仰け反り、キュンっとまた膣内が狭くなる。その瞬間に俺は限界を迎え、結衣の奥に向かって射精した。

 心臓とシンクロするみたいに肉棒は脈打ち、ビュービューと結衣の中で吐精を続ける。マグマのように熱いものが放出される度に、身体が震えるほどの快楽に包まれる。

 

「は、あぁ⋯⋯。結衣⋯⋯」

「んっ、あぁぁっ♡ うん♡ まだ、出てるね♡ あ♡ ん⋯⋯っ♡」

 

 結衣と見詰め合いながら射精を続けていると、またも堪らなくなってくる。ドピュッ、と最後の一滴を彼女の中に出した直後でも、俺の性欲は収まるどころか大きくなるばかりだった。

 

「はぁ、はぁっ⋯⋯。結衣、もう一回⋯⋯」

「んんっ、あぁっ♡ え、ちょっ⋯⋯」

 

 俺は身を起こすと、そのまま結衣をベッドに押し倒した。騎乗位から正常位に体位を変えると、俺は堪らず腰を動かし始める。

 

「あぁ♡ ん⋯⋯っ♡ ヒッキー、ゴム替えて⋯⋯んっ♡ あぁっ♡ ふ♡ あぁぁっ♡♡」

 

 勿論ゴムを取り替えなければいけない事は分かっていたが、眼下に結衣の肢体を捉えるとそれも難しかった。

 その味を知ったら、抗えなくなる。もっと欲しいと、その欲望に逆らえなくなるのだ。

 

「はぁ、は、あぁっ、ふっ、ふっ⋯⋯。は、あぁっ⋯⋯」

「あぁぁっ♡ ん♡ は、あ♡あ♡あ♡ ひっ、きぃっ♡ それ、強い、のっ♡ あぁぁっ♡ あたし、イッたばっかり、だからぁっ♡♡」

 

 肉棒を最奥まで送り届ける度に、ぷるんぷるんとプリンのように張りのある乳房が揺れる。蕩けるような喘ぎを聞く度に、脳が甘く痺れていく。

 気が付けば俺は、まるでラストスパートみたいに激しく腰を打ち付けていた。切ない声で俺の名前を呼ぶ結衣を、何度も何度も張り詰めた肉棒で突き続ける。

 

「はぁっ、あぁ⋯⋯っ。結衣⋯⋯っ!」

「あぁっ、ん♡ あ♡ あぁっ♡ ヒッキー、もっと名前呼んで。ん⋯⋯♡ あ♡ あぁっ♡」

「はっ、は、ぁぁ⋯⋯。結衣、結衣⋯⋯っ」

 

 息を荒くさせながら腰を振り続けていると、結衣は俺に向けて両手を広げた。条件反射のようにその身に覆いかぶさると、ぎゅうぅっと抱きしめてくる。

 

「は、あぁっ、結衣⋯⋯」

「ひっ、きぃっ⋯⋯♡ ん、は、ぁぁ⋯⋯」

 

 唇を塞ぐと、結衣の方から俺の口内に舌を侵入させてくる。心も身体も求めている事が分かるその行動に、腰の真ん中辺りが熱くなってくるのを感じた。

 

「んっ、ふぅっ♡ んんっ♡ ぁんっ♡ んんっ♡」

 

 結衣と舌を絡ませ合いながら、ズブンッ、ズブンッと大きなストロークで最奥までペニスを届ける。抱き合ったまま腰だけ動かし続けていると、また射精感がこみ上げてくる。

 

「は、あぁ⋯⋯っ。結衣っ、は、あぁっ⋯⋯。そろそろ、イクぞ⋯⋯っ」

「あぁっ♡ ん、いいよっ♡ はぁ、ぁぁああっ♡ 口に、出して⋯⋯っ♡」

 

 結衣は俺の顔を見たまま、軽く口を開けて見せる。その仕草ですら異常なまでに艶かしくて、俺はもう射精を我慢する事を諦めた。

 

「はぁっ、はっ、う、あぁっ、出るっ! 結衣っ、イクっ!」

「あ♡あ♡あ♡ あぁぁっ♡ 出してっ♡ ヒッキーの、ちょうだいっ♡ ん、あぁぁっ♡♡」

 

 射精の寸前に結衣の膣内からペニスを引き抜くと、彼女に跨りその口に向かって射精する。興奮の分だけ勢いがよく、飛びすぎた精液が結衣の唇や鼻にかかっていく。

 

「は、あぁ⋯⋯。うぉ⋯⋯」

「あぁ⋯⋯っ♡ ヒッキーの、あったかい⋯⋯♡」

 

 結衣は顔中に精液を浴びながらも、そんな甘く蕩けた声を出す。結局ほとんど口の中に入らず、結衣の可愛らしい顔が俺のザーメンまみれになっていた。

 

「あれ⋯⋯」

 

 射精が収まってきたところで、ふと違和感に気付く。俺、いつゴムを外したっけ⋯⋯?

 結衣の上からどくと、すぐに彼女の入り口を確かめる。挿入する前より開いているように見える陰唇の間に、だらんとコンドームの口が垂れているのが見えた。

 

「んあぁぁっ♡」

 

 結衣の膣内からずるりとコンドームを取り出すと、騎乗位で出した分の精液がその先に溜まっていた。どうやら引き抜く時に、ゴムが取れてしまったらしい。

 

「⋯⋯ヒッキー、それちょうだい」

 

 結衣に言われて使用済みのコンドームを渡すと、彼女は受け取ったそれをまじまじと見ていた。また自分からゴックンするのだろうかと思って見ていると、結衣はこちらを見て悪戯っぽい口調で言う。

 

「そういえば、今日は胸でしてって言わないね」

 

 言われて思い出してみれば、確かに今日はパイズリをしてもらっていない。結衣とこうして行為に及ぶ時はほとんど毎回して貰っていたから、そんな風に言われたらまた別の欲望が湧いてきてしまう。

 

「⋯⋯今度は胸でしもらっていいか?」

「⋯⋯ん。いいよ」

 

 俺はさっき結衣に顔射してしまった時のようにその身体に跨ると、硬くなったままの肉竿を胸の谷間に収めた。すると結衣は何を思ったか、受け取ったコンドームを逆さまにして、中に入っていた精液をトロトロと俺のペニスにかけていく。

 

「じゃあ、するね」

 

 結衣はそう言うとザーメンをローション代わりにして、パイズリの動きを開始する。結衣のマシュマロおっぱいに白濁液が絡みつき、ぬっちゃぬっちゃと淫猥な音が立つ。⋯⋯こいつ、一体どこでこんな事を覚えたんだ。

 

「は、あぁ⋯⋯」

「あは⋯⋯。あんなに出した後でも気持ちいいんだ?」

 

 先程とは打って変わって、余裕たっぷりに訊いてくる結衣がやたらと艶めかしい。もちもちの結衣の肌が吸い付くように肉棒を包み、ザーメンの温かさが快感を増幅させる。

 

「う、あぁ⋯⋯。すっげぇ、いい⋯⋯」

 

 堪らず、結衣の胸の動きに合わせて俺も腰を振り始める。その分ペニスを摩擦してくるストロークが長くなり、どんどん結衣の胸から得られる気持ちよさが増していく。

 こうやって馬乗りパイズリなんて格好でしているのも、一段と俺を興奮させていた。従属させるような行為をしているのに、結衣の方は嫌がるどころか積極的に胸を狭め、動かしているのが殊更にいやらしい。

 

「ふふっ。⋯⋯ヒッキーの、あたしの胸の中ビクビクしてる♡」

 

 結衣は顔中を精液まみれにしたまま、淫靡な笑みを浮かべた。そんな表情を見せられたら、どんどん我慢ができなくなる。

 気付けば俺は、ぬちぬちと音がするほど激しく腰を振っていた。結衣の乳房を性器にして、まるで犬のように腰を動かす。もはや理性も何も、あったものじゃない。

 

「はぁぁ、あぁ⋯⋯。もう、出しちゃってもいいか?」

「あ♡ ん⋯⋯。いいよ。ヒッキーの好きな時に出して♡」

 

 結衣の言葉は、俺の何もかもを許していくようだった。

 本当に結衣との性行為は、俺をどんどん駄目にしていく気がする。基本的にはどんな行為にも応じてくれるし、何をさせても凄まじくいやらしい。彼女の身体に溺れてしまったら、もう浮上なんてできやしないのだ。

 

「は、うぁ、あぁ⋯⋯。結衣、顔にかかるかもだけど⋯⋯」

「うん。かけちゃってもいいよ」

 

 結衣は胸を動かしながら、場違いなほど綺麗な微笑みを浮かべた。そんな結衣の可愛らしくて美妙な顔に今から精液をぶちまけてしまうのだと考えると、頭が沸いてきそうなほど興奮する。

 

「うぁ、あーっ、出るっ! 結衣っ、イクっ!」

「あ♡ いいよ♡ ヒッキーの、いっぱい顔にかけて♡ あ──♡♡」

 

 結衣がそう言った瞬間、俺は堪えきれずに彼女の胸の谷間で射精した。目を瞑った結衣の顔目掛けて、ドピュドピュと大量の精液をぶっかけていく。

 

「ん♡ あ⋯⋯♡ ヒッキーの、熱い⋯⋯♡」

 

 顔を白く汚されていく結衣を見ていると、興奮した分だけ次から次へと生殖液が噴出される。あっという間に結衣の顔は夥しい量のザーメンでベトベトになって、ぬらりと部屋の照明を照り返していた。

 

「は、あぁ⋯⋯。はぁ⋯⋯」

「あぁ⋯⋯っ♡ 四回目なのにすごい量⋯⋯」

 

 最後にビュゥと結衣の唇に精液をかけると、ようやく俺の射精が終わった。薄っすらと持ち上げられた結衣のまつ毛は、白濁液で濡れている。

 

「ヒッキー」

 

 結衣はそう呼ぶと、俺を見ながら口を開いた。彼女が何を求めているか、何をしてくれようとしているか、瞬時に理解する。

 

「んぅ⋯⋯っ。ん、はぁ⋯⋯んっ♡」

 

 膝をつき直すと、結衣の口内に硬さを失いつつある肉棒を挿入した。俺が腰を動かし始めると、馬乗りのままのお掃除フェラという格好になる。

 ああ、もう本当に駄目になる。

 こんないやらしい行為を、俺のどうしようもない欲望を受け入れられてしまったら、もっともっと知りたくなる。由比ヶ浜結衣という女の子の最果てはどこにあるのか、探りたくなるのだ。

 

「結衣⋯⋯。もう一回、いいよな?」

 

 結衣の口内でペニスを硬くしながらそう聞くと、彼女はこくっと頷くのだった──。

 

 

       *       *       *

 

 

「もう出ねぇ⋯⋯」

「あたしも、もう無理⋯⋯。あご疲れた⋯⋯」

 

 全ての行為が終わったのは、夕方と言うより夜と言ったほうがいい時間だった。

 結局結衣が用意してくれたコンドームは全て使い切り、手やら口やらで射精させてもらって、ようやく俺のペニスは勃起をやめた。我ながら絶倫過ぎるしお猿さん過ぎたが、結衣の魅力の前では無理もない話だと思う。

 隣で裸のままぐったりしている結衣を見ると、こうなってしまうのは毎度の事とは言え申し訳ない気持ちになる。俺も大変だけど、その強大過ぎる性欲を受け止めてくれる彼女たちもまた、中々に骨が折れる事だと思うのだ。

 

「あー、その⋯⋯。ありがとな」

「ん⋯⋯? 変なの、お礼なんか言って」

 

 結衣は俺を見ながらくすりと笑うと、頬に唇をくっつけてた。チュッと音を立てて唇が離れると、どこまでも深い微笑みが俺を覗き込んでくる。

 

「あたしも、ありがと。いっぱい愛してくれて」

 

 結衣の方からもお礼を言われるのも妙な感じで、やたらと面映い。その上期待するような目で俺を見てくるもんだから、次に取る行動が決めつけられてしまう。

 

「ん⋯⋯」

 

 顔を近づけると結衣はそっと目を閉じて、俺のキスを受け入れた。触れ合うだけの口づけだったけれど、しかと結衣の熱が伝わってくる。

 目を開くと、視界いっぱいに結衣の満面の笑みがあった。そんな嬉しそうな顔をされたら、またキスしたくなってしまう。

 

「ねえ、さっき言ってたシフォンケーキ食べようよ」

「え⋯⋯? ああ、そうだな」

 

 言われて思い出したが、シフォンケーキを食べるのにホイップクリームを作っている途中なんだった。激しい運動をした所為で腹も減っているし、丁度いい。

 脱ぎ散らかした服を回収しながらダイニングに戻ると、結衣は当たり前だが着衣の上にエプロンを着けて、ホイップクリームを作り直す。そんな牧歌的な光景を眺めていると、あっという間にクリームができあがった。

 

「はい、どうぞ」

 

 ありがと、と言って受け取った皿には綺麗な焼色のシフォンケーキに、作りたてのホイップクリームがたっぷりと添えられている。フォークで切り分けてそれを口に入れると、しっとりした食感とまろやかな甘味が舌を慰撫した。

 

「どう?」

「ん⋯⋯? ああ、すげぇ美味(うま)いと思うけど」

 

 店で作られたものだけあって口当たりもいいし、ふんわりした焼き加減が絶妙だった。それにわざわざ結衣が作ってくれたクリームが添えられているんだから、至高の逸品といいだろう。

 

「あたし、ヒッキーに嘘ついちゃった」

「あん?」

 

 シフォンケーキを一口食べた後に、結衣はふとそんな事を言い出した。嘘、って一体、何を指しているのだろうか。

 

「そのシフォンケーキ、もらったって言ったけど、本当はあたしが作ったやつなんだ」

 

 その発言に、俺は思わず結衣の顔とシフォンケーキを見比べた。どこからどう見ても買ってきたものにしか見えないし、味だって専門店並に美味しかった。

 

「マジか⋯⋯」

「もうっ。その反応めっちゃ失礼だし!」

 

 結衣はぷりぷりしながら、フォークに刺したままだったシフォンケーキを俺の口に突っ込んでくる。

 しかし見た目も味もパティシエ並みというのは途轍もない進歩だ。最近料理やお菓子作りのスキルが上がってきている事は認識していたが、まさかここまでとは思わなかった。

 

「本当に上手くなったな。菓子作り」

 

 俺はシフォンケーキを嚥下すると、結衣に向かってそう言った。俺の素直な感想に、結衣は得意げに笑う。

 

「うん。ヒッキーのためだからね」

「俺のため?」

「そうヒッキーのため」

 

 微笑んだまま結衣は言うけれど、俺にはピンと来ていなかった。雪乃に料理や菓子作りを習っていたのは、てっきりそれが趣味になったのだと思っていたからだ。

 

「ちょっとでも自分の気持ち、伝えたいじゃん。言葉とかハグとかでもいいけど、こういうのもいいかなって」

 

 結衣のその言葉に、思わず胸が詰まった。

 こいつ、俺のこと好き過ぎだろ。本当に。

 

 けど結衣が嘘をついたのなら、俺だって一つ、嘘をついても許されると思うのだ。

 

「結衣。クリームついてる」

「え、どこ?」

「いいから、そのまま」

 

 そう言って俺は結衣の顔を覗き込む振りをして──そのままその唇を、奪う。

 

「⋯⋯とれたぞ」

「あ、うん⋯⋯」

 

 完全に不意打ちだったからか、結衣の頬が徐々に赤くなってくる。

 おい、なんだよその反応。やめろよやったこっちも恥ずかしくなってくるでしょうが。

 

「⋯⋯甘いな」

「うん⋯⋯甘いね」

 

 嘘のクリームも、本物のクリームも。

 甘党の俺をもってしても、少しばかり甘すぎる。

 

 そんな事を考えながら、俺は結衣の作ってくれたシフォンケーキをもう一口食べるのだった。

 

 

 

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