そこは通い慣れた場所が故に、慣れ親しみのある場所であるはずだった。
ブラウンを基調とした、広々としているのに必要最低限の調度品しかないリビング。窓から届く陽の光が、幅広のソファと
そんないつもの光景は以前であれば実家かというほど安らげる空間になっていたのだが、今日に至っては全く違う。そりゃもう全然違うのだ。だって状況が余りにも変わり過ぎてしまったから。
「どうぞ」
「ん⋯⋯。サンキュ」
雪乃はいつものように、俺の前にコトリと小さな音を立てて紅茶を置いてくれる。俺の隣に腰を下ろしたものの、いつもより距離があるのは気の所為だろうか。
本日土曜日は、彼女たちの決めたところの雪乃の日。つまり雪乃と二人きりで過ごす日である。
恋人同士なんだから二人きりで過ごすのは当たり前の事だったのだが、俺は若干緊張していた。何せ結衣とも付き合うようになってからは三人で合う時以外雪乃と二人きりになる事はなかったし、それはいろはとも付き合いだしてからも一緒だった。世間一般的に見れば奇妙⋯⋯というか大分ぶっ飛んだ関係にも徐々に慣れつつあるのだが、そうであるが故に今この時の方に違和感を感じてしまうのだ。
「⋯⋯」
しかし、ふと。
雪乃は紅茶を一口飲んだ後、俺にしなだれかかってきた。まるで以前のように、本当に何でもない事みたいに。
「あなたとこうするのは、久し振りね」
そう言うと雪乃は安堵の息なのか溜め息なのか分からない、深く長い息を吐いた。それにちょっとした叱責が混じっているように感じるのは、俺に後ろめたい事がある所為に他ならない。
「いや、まぁ、そうだな⋯⋯。なんか色々、すまん⋯⋯」
俺が言うと、雪乃はもたれかかるのを止めて不思議そうに顔を覗き込んでくる。一体何の事、とでも言うみたいな表情だった。
「それは何に対しての謝罪なの?」
こういう時、雪乃は割りときっぱりハッキリ訊いてくる。何せ高校時代に起きた不和のほとんどがディスコミュニケーションから来るのだから、当然と言えばそうだろう。お陰で日本人にありがちな「なんかさぁ⋯⋯ほら、あれだよあれ。例のほら、あれ⋯⋯」といった濁し方は通用しないのだ。
「そりゃ⋯⋯結衣のこととか」
俺が若干もにょりながらそう言うと、ふむと雪乃は顎に手をやった。流石にそこまで言って、伝わらないなんて事はあるまい。
「その件に関してはもう、話はついているはずだけれど⋯⋯。今更どうして?」
「いやな⋯⋯。二人きりでその話をしたことはなかったし、正直なところどう思ってるんだろう、って」
俺が答えた後も、雪乃は
「もちろん、ショックだったわ。けど⋯⋯」
不意に言葉を切ると、雪乃はようやく口元から手を下ろした。
「少しだけ、安心したの」
「安心?」
雪乃がそう言って目尻を少しだけ下げると、俺は思わず訊き返した。会話の流れからは想像もしていなかったキーワードに、ぐるぐるとクエスチョンマークが浮かぶ。
「もしあなたとあのまま付き合いを続けていたら、その⋯⋯ゆくゆくは結婚、をするのかも、と思っていて」
「お、おぅ⋯⋯」
予想していなかった言葉のオンパレードに、疑問符が頭の上をぐるぐる回りだした。
結婚、という言葉を二人の間に出すのは、今日が初めてかも知れない。当然、俺も雪乃と同じように感じていたし、そう考えてもいた。
しかしきっともう、そんな未来は訪れないのだろう。雪乃たち三人と恋人関係になった以上、誰か一人と籍を入れるなど考えられない。全てを手に入れたようで、確かに溢れた未来もあるのだ。
「大学を卒業して、社会人になって、あなたと一緒になって。⋯⋯結衣が、今よりもずっと離れていってしまうのは間違いなかったと思うの」
訥々と語る声には、まるでその別離の日を迎えたかのような寂しさが混じっていた。
きっと雪乃と二人でいれば、彼女の言う通りの未来が訪れたのだろう。いつまでも一緒なんて、あり得ない。ずっと前から分かっていて、ずっと前から考えないようにしていた事実だ。
「両方手に入れるなんて、無理だと思っていたわ。けれどあなたは誰でも救ってしまったように、
にわかに強くなった語調は俺を責めるようで、しかし雪乃の目は意地悪く笑っていた。微かな嗜虐を浮かべたその瞳は、彼女の姉を彷彿とさせて思わず怖気が
「だから、少し安心したの。これでどちらかの手を離すなんてことを、しなくていいんだって」
雪乃はいつの間にか笑みを優しいものに変えて、うっとりするほど綺麗に笑っていた。
「初めて結衣が奉仕部に来た時のことを、覚えている?」
「⋯⋯もちろん」
どうしてそんなことを訊くのかは分からないが、結衣と初めてあった日の事は忘れられるはずもない。何せ俺たちにとって、初めての依頼人だったのだから。
「あなたがジュースを買いに行っている間に、私は結衣と話をした。そこで結衣からあなたへの好意の欠片みたいなものを感じ取ったわ。⋯⋯そのことがずっと、どこかに
それはずっと前に、可能性の一つとして考えた話だった。その事実を知ったことで、高二のあの冬、バレンタインの頃の雪乃の姿勢に合点がいく。あの頃の雪乃は気持ちの表し方が分からなかっただけではなく、そんなしがらみを抱えて過ごしていたのだ。
つまりはそんな経緯もあるから、雪乃にとって悪い事ばかりではなかったらしい。その一つの事実は、大いに俺の心を軽くしてくれた。
「けれど、八幡」
しかし、である。
ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間、雪乃はその双眸の温度を下げると、凍てつく波動を全身から放ちだした。えぇ⋯⋯なにこの子、前世エスタークなの?
「いろはの件は、駄目よ」
「あ、はい⋯⋯」
その節はすいませんでした申し開きのしようもございません、と俺は項垂れるように頭を下げた。
いろはとの経緯に関しては、どう考えても俺が悪い。結衣の時みたいに酒が入っていた訳でもなければ事故要素もなく、俺から浮気しようとまで言ったのだ。
けどまさかいろはを排斥しようとなんて考えちゃいませんよね? と雪乃の顔色を窺うと、細められた目が俺を見ていた。
「あなたは昔からいろはに甘かったけど⋯⋯正直そこまで気があるとは思っていなかったわ」
「えぇ、いや、はい⋯⋯」
萎んでいく俺に、言葉は矢継ぎ早に放たれていく。何かこう、恐れていた事態になりつつあった。まあ全部、俺が悪いんだけど。
「どうしていろはにまで手を出したの?」
「手を出したて⋯⋯。いや、出したか」
納得の後にその質問を受け取ると、俺はうーんと考え込む。
しかし、こんな機会がなければきちんと話す事ももうないだろう。今それを詳らかに語る事は贖罪にはならないが、少しでも雪乃の理解に繋がればとは思う。
「⋯⋯あの日いろはに告白されて、寂しそうに離れようとしていくのが、ずっと昔の自分に重なったんだよ。そんな思いをさせたくないってのは、確かにあった」
「⋯⋯けどそれはいろはにとても失礼よ。そんな気持ちだけで付き合ったの?」
雪乃は睨んでくる訳でもないのに、その視線は痛いほど鋭い。しかし当然それだけの感情でもなくて、だからこそあけすけに言うのが憚られるのだ。
しかしもう、この際言ってしまうべきなのだ。俺の為にも、彼女の為にも。
「だけ、ではないな⋯⋯。あそこで手放して、誰かのものしたくないって気持ちが確かにあった」
「それをよく
雪乃は今度こそ見間違えようもなく俺を睨み──そしてふっと破顔した。口元を押さえて、肩を震わせだす。
「あのー⋯⋯。雪乃さん?」
「ごめんなさい。あなたの反応がおかしくて⋯⋯。もう大丈夫」
雪乃は未だに頬に笑みを浮かべたまま、俺を見詰めてくる。どうやら
「正直に答えてくれてありがとう。少しすっきりしたわ」
「いや⋯⋯」
そんな事で礼を言われるのも妙な話だな、なんて考えていたら、近くでチュッと音がした。頬を押さえながら雪乃の方を見ると、こちらを試すような笑みが向けられている。
「けど今日は、あなたは私だけのものよ」
雪乃はそう言って、俺の唇を塞いでくる。首に回された腕も、その唇の熱さも、二人きりという状況と合わせてずいぶん久しぶりだった。
「んっ⋯⋯」
くぐもった声が、脳を揺らす。雪乃の舌が俺の唇を割って入ってきて、猫のようにざらつくその舌が俺の舌に絡みついてくる。
唾液とともに気持ちを交換し合うと、己の中でムクムクと欲望が膨らんでくるのが分かった。こんな積極的なキスをしておいて、雪乃だって期待していないはずはないだろう。そう考えるといても立っていらず、彼女をソファに押し倒した。
「待って」
雪乃はそう言って俺を押しのけると、するりと抜け出してしまった。
「着替えてくるわ」
「へ⋯⋯? お、おう⋯⋯」
着替えてくる、って⋯⋯あれか。いろは、結衣と来てこの流れは、つまりあれですね?
頭の中を指示代名詞まみれにしていると、程なくして雪乃はリビングに戻ってくる。もちろんその身を包むのは、いつだったか俺が似合うと褒めたエプロン。そして──。
「──エプロンON彼シャツだと⋯⋯?」
てっきり裸エプロンで戻ってきてくれるのだと思っていたら、予想を裏切られた。勿論いい意味でだ。
雪乃が着ているのは俺が着替え用としてここに置いていた白い長袖シャツで、その上から例のエプロンを身に着けている。ほっそりした脚が丸見えなところを見ると、下半身を隠しているのはエプロンとショーツぐらいのものだろう。
「その⋯⋯。やっぱり裸にエプロンというのは恥ずかし過ぎて⋯⋯」
「いや、いい。むしろそれがいいまである。イッツパーフェクト」
制服にエプロンが最強だと思っていたし実際高校時代は我慢できずに襲ってしまった事もあったが、これはこれで視覚的な刺激が強くてマジ最強ゆきのん神可愛すぎる⋯⋯。
「雪乃、そのまま」
「え⋯⋯?」
俺はポケットから携帯電話を取り出すと、カシャカシャとそのマーベラスな姿を写真におさめていく。まさか撮られるとは思っていなかったか、次の瞬間鋭い眼光が俺を射抜いた。
「ちょっと、何を撮っているの」
「今撮らなくていつ写真を撮るってんだ。俺には今しかないんだよ」
語気を強めて言うと雪乃はシラっとした目で引いていた。八幡、メンタル強者だからそんな反応慣れてるもんね!
「そのままエプロンとシャツの裾をまくってみてくれ」
「嫌よ。あなた正気?」
「自分からその格好したやつに言われたくないな」
俺が言うと雪乃は目を逸し、頬を赤くさせていく。自分からちょっとエッチな格好をしてくれたのに恥ずかしがるゆきのん、とてもいいと思います!
「ってことで、まくってくれ。ちょっとでいいから」
「流石に、それは⋯⋯」
「頼む。一生のお願いだ」
「それを今使うのね⋯⋯」
俺の熱意が伝わったのか、雪乃は「はぁ」と溜め息をついて自ら裾を握る。息を呑んで次の瞬間を待っていると、雪乃はゆっくりと両手で裾を捲くり上げた。
「⋯⋯これでいい?」
「かん、ぺきだ⋯⋯」
雪乃の腰より下を包むのは、淡く青いショーツ一枚のみだった。恥ずかしそうに内向きになった脚がたまらずエロティックで、俺はうんうんと深く頷きながら動画撮影ボタンを押す。ポコッと可愛らしい音がすると、雪乃ははっと目を見開いた。
「ちょっと、また撮っているの?」
「イエス」
答えると雪乃はまくり上げていた裾を戻してしまい、俺に詰め寄ってくる。ああ、オコのんの顔も可愛いなぁ、なんて思っていたら携帯を奪われ、撮影を止められてしまう。
「何をする」
「あなたこそ何をしているのよ」
動画を削除しようと指が動くのが見えて、俺は慌てて携帯を取り返した。
「寄越しなさい」
「いやだ」
「なら消しなさい。私の目の前で」
「それもいやだ。後で一人で観るだけなんだからいいだろ」
「いいわけがないでしょう。この⋯⋯っ」
雪乃は携帯を奪おうとしてくるが、するりとその手を躱して彼女の身体を抱き締める。俺の腕の中で暴れる雪乃を抑えつけていると、徐々に体力が尽きてきたのか肩で息をし始めた。
「雪乃」
そう呼ぶと目が合って、俺はその瞬間可愛らしい唇を塞いだ。今度はこっちから舌を侵入させると、雪乃も舌を動かして応えてくれる。
「んっ、は⋯⋯ん⋯⋯」
さっきよりもずっと激しく、脳が蕩けてくるようなキスだった。いつの間にやら雪乃の方も俺の身体に腕を絡ませて、濃厚な舌使いで俺の口内を舐め回してくる。
「⋯⋯っはぁ。⋯⋯ずるいわ」
「なにが?」
俺がすっとぼけて雪乃をソファに押し倒そうとすると、彼女は脚を踏ん張ってそれを阻止した。
「待ちなさい。今日は私からするわ」
「へ⋯⋯。あ、そう⋯⋯」
この流れだとこちらが攻勢か、と思っていたが、雪乃は強い意志を込めてそう言った。ならばその意思を尊重しようではないか。なんかそっちの方が、エッチそうだし。
「座って」
雪乃に言われるがまま、俺はソファに座る。するとすぐさま雪乃は俺の前に膝をついて、カチャカチャとベルトを外してきた。
ジーンズのボタンもチャックも開けられてしまうと、俺は何も言われないまま腰を浮かせる。その瞬間ズボンもパンツも一気に脱がされて、ぶるんと中途半端に勃起しているペニスが
「んぅ⋯⋯」
雪乃は一瞬だけそれを見ると、手も何も使わずに俺の肉棒を咥え込んだ。拙速なほどの性行為に、思わずとくんと心臓が跳ねる。
「んっ、んっ⋯⋯んぅ、は、んん⋯⋯っ」
雪乃が顔を上下させる度にジュプッ、ジュプッといやらしい音が部屋を満たして、どんどん下半身に血が集まっていく。流石に何度もしているだけあって、雪乃のフェラチオは途轍もない快感だった。どこを舐めたら俺が気持ちいいか、どこまで咥え込んだら興奮するのか、彼女は知り尽くしているのだ。
「は、あ⋯⋯。すげ⋯⋯」
堪らず俺が髪を撫でると、雪乃はこちらを見上げてふふっと笑った。細められた目が蠱惑的で、グンッとまた肉棒が大きくなる。
「んぅぅ⋯⋯ん、はぁ⋯⋯。もうガチガチね」
「そうなんだよなぁ⋯⋯」
雪乃の格好と行為にやたらと興奮してしまい、一分もしないうちに俺のペニスはフル勃起状態になっていた。というか彼シャツエプロンなんて姿じゃなくとも、いつも興奮してすぐに勃つわけだが、今日は硬さが違う気がする。
「すぐに出しちゃ駄目よ。⋯⋯んっ、んぅ⋯⋯」
雪乃はそう言うと、また俺の陰茎をしゃぶり始める。窪められた口が竿全体を圧迫して、猫のようにザラつく舌が裏筋を這う。カリ首のまわりを、ぐるりと舐めあげる。
「は、おぉぉ⋯⋯」
あまりの気持ちよさに、俺は思わず変な声を出していた。わざとこちらを興奮させようとしているかのような、そんな淫らさに心がかき乱される。
「んぅ、ん⋯⋯っ。はぁ⋯⋯」
雪乃は俺の一物から口を離すと、すっと目を細める。切れ長の目で俺を見ながら睾丸から亀頭の先まで裏筋を舌でなぞり、びくんと跳ねる肉棒の反応を愉しんでいるようだった。
「うぁ、ぁぁあ⋯⋯」
「気持ちよさそうな顔ね? ⋯⋯んっ、んぅ⋯⋯っ」
雪乃は挑発するようにそう言うと、またじゅぷじゅぷと俺の肉竿を咥え込む。心拍数が上がるにつれて玉袋も上がってきて、尿道に精液が満ちてくる気がした。
「は、あぁ⋯⋯。雪乃⋯⋯っ」
「んんっ、んぅ⋯⋯。駄目よ、出しちゃ」
雪乃はチュポンッと唇から肉棒を離すと、ふわりとこの状況に似つかわしくなく笑ってみせる。その綺麗な笑みの下で、俺のペニスは早く射精させろとぶるんぶるん揺れていた。
「雪乃、今日は⋯⋯」
「まだ安全日じゃないわ。だからちゃんと着けること」
あ、はい⋯⋯と若干冷静になっていると、雪乃はソファのクッションの裏からコンドームの箱を取り出した。いや、どこから取り出してんの、それ⋯⋯。
「着けてあげるわね」
雪乃はそう言ってコンドームを個包装から取り出すと、何を思ったかそれを唇で挟み込む。
「う、おぉぉ⋯⋯っ」
そのままフェラチオするみたいに俺の肉棒に口をつけると、舌と唇を使ってするするとゴムを装着させてくれる。そう言えばこの子、こんな口技も出来るんだった。
「入れるわね」
今度結衣といろはにも教えてくれないかななんて最低な事を考えていると、雪乃はそう言って目の前でショーツを足元に落とした。挿入の前触れに、びくんと肉竿が震える。
「あ⋯⋯♡ あぁぁっ♡」
雪乃が肉棒を握りながら腰を落としてくると、ゆっくりとその熱い膣内に誘い込まれていく。膨張しきったペニスが雪乃の一番奥まで入ると、細い背中が僅かに反った。
「ん、あぁ⋯⋯っ♡ ふふっ。まるで射精しているみたいね」
雪乃は挿入されたペニスの感想を伝えてくると、そのまま俺の唇を塞いでくる。そのちょっとした体重移動ですら快感に変換されて、びくびくと肉棒は反応を繰り返していた。
「動いてもいい?」
「あ、ああ⋯⋯」
ぶっちゃけ、さっきまでイキそうだったから挿入しただけでヤバイ。だと言うのに肉竿は元気に脈打ち、もっと快楽をくれと叫んでいる。雪乃と身体を交わらせる時は、大体こうだ。早く出してしまうかもなんて頭では考えているのに、その肢体からもたらされる快楽が欲しくて堪らなくなる。
「あぁ⋯⋯♡ んっ、あぁ⋯⋯っ♡」
シャツにエプロンを着けただけという玄人向けな格好をした雪乃が、俺の上でその身体を上下に揺らし始める。愛撫もなしに俺を受け入れた膣内は、いつもより滑りの少ない分より擦れて気持ちいい。加えて興奮のままバッキバキに勃起しているのだから、妙に膣内は狭く感じる。
「は、あぁ⋯⋯」
「八幡⋯⋯あっ♡ んっ♡ はぁ⋯⋯っ♡」
雪乃は上下の動きを前後に変えると、俺の頬を両手で挟んでキスをしてきた。遠慮も躊躇いもなしに差し込まれてくる舌に自分の舌を絡め返すと、まるで舌先まで性器になったかのような錯覚を覚える。
「んっ、ぁぁあっ♡ はっ、あっ♡ 八幡、のっ♡ んんっ♡ 奥まで届いて、るっ♡ あぁぁっ♡♡」
喘ぎ混じりの性交実況がやたらといやらしくて、勃起しきっていたはずの肉竿が更に張り詰めた気がした。雪乃の最奥にコツコツと亀頭の先が当たる度に、身震いするほどの快感が背中を駆けていく。
「うぅ、あぁ⋯⋯。雪乃の中、すっげぇ締まる⋯⋯っ」
「あぁぁ♡ 八幡のが、あぁっ♡ いつもより、大きいのよ。あ♡ あぁぁっ♡♡」
雪乃は自らの動きによって、どんどんと高まってきていた。その声も表情も俺を高みに連れて行くには充分過ぎて、段々本気で射精を我慢できなくなってくる。
「はぁ、あぁぁ⋯⋯。雪乃、そろそろ、出そうなんだけど⋯⋯」
「んっ、は、あぁっ♡ んっ♡ あんっ♡ ええ♡ 出したがっているの、分かるわ。あ♡ んんっ♡」
徐々に快楽に蕩けてきた目が、俺を囚えて離さない。甘ったるい喘ぎ声で、膣内に差し込まれた肉棒が射精したがっているのが分かると、彼女はそう言っているのだ。
こうして彼女の身体に溺れていると、あのセックスのセの字も知らなかった雪乃はどこに行ったのだろうと思う。確かにここにいるのに、まるで別人のような妖艶さで俺を魅了し続けている。
「出してしまって、いいわ。あ♡ あぁぁっっ♡ 私の中で、あ♡ イッて⋯⋯♡ あぁ♡ あぁぁあぁぁっ♡♡」
雪乃は自らの性欲に任せてまた上下に、今度は激しく腰を振り始める。無数の膣襞を肉竿全体に絡みつかせながら、その強烈な締め付けで射精を促してくる。
ずんっ、ずんっと腹に響く強い快感と、ゆさゆさと多少は揺れるようになった、未だ秘匿されたままの乳房。快感の強さに合わせて、振り乱される黒く長い髪。快楽を欲しがる緩んだ口元が、どこまでも俺を追い詰めてくる。
「はぁ、あぁぁっ⋯⋯出る! 雪乃っ、イ、くっ!」
「あぁぁあぁぁあ♡ 出し、てっ♡ ん、あぁぁっ♡ ふぅっ♡ ぅんんっ♡♡」
軽くイッたのか背中を仰け反らせた雪乃の中で、俺は思いっきり射精していた。キュンキュンと締め付けてくる膣内で、ドプドプと溜まっていた精液を放出する。
何も着けずにその膣内で放精できる事が一番の快感かと思っていたが、ゴムをしたままでも雪乃の中は充分に気持ちよかった。特に今日のように興奮しきったままする射精は、あぶない薬でも飲んだのかってぐらいに中毒性がある。
「あぁ、んっ♡ まだ、出してる⋯⋯♡」
雪乃はビクビクと射精を続ける肉棒を挿入されたまま、慈しむように下腹部の辺りを擦る。その仕草一つとってみても俺を更に興奮させるのには充分で、ドピュッともう一度その中に射精した。
「は、うぁ、あぁ⋯⋯。なんか⋯⋯めちゃくちゃよかった⋯⋯」
「あ♡ ん⋯⋯っ♡ ええ、私も気持ちよかったわ」
大分と余裕のある表情の雪乃に対し、俺の方は語彙が残念な感じになっていた。頭が空っぽになるぐらい、雪乃とのエッチが気持ちよかったのだ。
雪乃はゆっくりと腰を上げると、ぬるんと勃起しままのペニスが抜け出てくる。亀頭の先に精液がたっぷり入ったコンドームを垂らして、未だに射精しているかのようにびくびく脈打っていた。
「たくさん出したのね」
雪乃は俺の脚の間に入ると、使用済みとなったコンドームを間近で見る。白魚のような指で避妊具を外すと、どういう事か「はい」と俺に差し出してきた。
何これ自分で捨てといてねってこと? とゴムを受け取ったまま考えていると、雪乃は自らの口元を指差して言う。
「あなたが飲ませてみて」
そう言って雪乃は、挑発するような笑みと共に形のいい唇を開いた。
いや⋯⋯本当、マジかこいつ。いろはや結衣への対抗意識もあるのかも知れないが、今日はえっち過ぎやしませんかね⋯⋯。
「おぅ⋯⋯」
自分でもちっさ、と思う声で返事をすると、雪乃の顔の上でコンドームを逆さにする。一発目だからか、濃厚な精液は中々垂れてこない。仕方なくゴムを絞るように指を動かすと、少し前に結衣がそうやって精液を飲んでくれた事を思い出した。
「ん⋯⋯」
ちろりと出された舌先にドロドロのザーメンが滴り落ちて、雪乃の口内へと入っていく。あまりに扇情的な光景に手元が狂い、トロリと唇にまで精液をかけてしまう。
「⋯⋯これで全部だ」
「んんっ⋯⋯はぁ⋯⋯」
俺がそう言うと、雪乃はコクンと白い喉を鳴らして出したてのザーメンをゴックンした。ついでと言わんばかりに下唇を舌で舐め、溢してしまった分の白濁液まで飲んでみせる。
「⋯⋯凄いわね。いつもよりずっと濃いわ」
暗に飲みにくかったと言いたいのだろうが、それよりもその台詞に興奮させられてしまって、頭に入ってこない。雪乃はまたくすりと蠱惑的に笑って見せると、新しいコンドームの個包装を手に取った。
「まだしたいのよね?」
「⋯⋯当たり前だろ」
雪乃は分かってると言わんばかりに頷くと、またコンドームを口に咥える。そのままフェラチオする要領でゴムを装着させてくれると、俺のペニスは射精直前のようにびくびくと脈打ちまくっていた。
「次は、どうしたい?」
雪乃は肉棒をしごいて根本までゴムを着けさせながら、俺に向けて問いかける。余裕綽々のその態度に、俺はもっと快楽に狂わせたいなんて、そんな事を思ってしまう。
「前から入れていいか?」
「ええ、いいわ」
俺は雪乃の手を引くと、さっきまで俺が座っていたソファに座らせた。そっと脚を押し開くと、雪乃は両手を広げて微笑んでみせる。
「来て、八幡」
「⋯⋯っ! 雪乃っ!」
「あ♡ あぁぁぁっ♡♡」
見事なまでに雪乃にのせられて、俺は興奮のままズブンと彼女の中に進入する。途端に絡みついてくる膣襞は、また俺の肉棒から精液を絞りとろうと蠕動していた。
ぴったりと腰をくっつけると、雪乃は広げていた両手を俺の背中に回してくる。そのまま抱き締められると、吸い寄せられるように唇を重ねた。
「ん⋯⋯、は⋯⋯。ん、あぁぅっ♡」
唇を離すと同時に腰を振り始めると、また甘く高い喘ぎが耳朶を震わせる。俺を見詰めてくる雪乃の瞳は情愛に潤いを増し、とろんと蕩けるような表情が堪らない。そんな顔をされたまま腰をぶつける度に唇から甘い声が溢れるのだから、硬くなったままの肉棒が更に硬くなってしまう。
「は、あぁ⋯⋯。その格好、いいな」
俺は興奮しすぎているのを誤魔化すようにそう言うと、エプロンの上から雪乃の乳房を揉む。流石にシャツとエプロン越しではごわごわするが、確かな柔らかさを感じる事ができた。
「あぁ♡ んっ♡ あなたが興奮しているのは、エプロンだから? それともシャツ?」
「はぁ、うぁ⋯⋯。どっちもだ」
「あぁぁっ♡ あぁ、んっ♡ す、ごいっ♡ あぁっ♡ また大きくなったみたい⋯⋯っ♡」
腰の動きを激しくすると、雪乃の乳房が衣服の中で揺れた。その柔らかさをもっと堪能したくてエプロンの横から手を突っ込み、シャツ越しに雪乃のおっぱい(通称:ゆき乳)を
「はっ、はっ⋯⋯。ブラは、してないのか」
「あぁぅっ♡ ふっ、あ♡ んんっ♡ だって⋯⋯。触られた時に、あなたの手が分かりにくくなってしまうから⋯⋯」
そう言うという事は、雪乃はこうして愛撫されるのを期待していたという事か。何それ興奮する⋯⋯。
その言動すらもひょっとしたら雪乃の策略かも知れないななどと考えながらも、俺は腰の動きを止められなくなっていた。声も、反応も、その姿も全部俺を興奮の彼方に誘い、抜け出せない。雪乃と一度性交を始めたら、途中で止めるなんて考えられなくなるのだ。
「はぁ、あぁ⋯⋯っ。雪乃」
いきなり激しく動きすぎて、急な射精の感覚に襲われる。俺はようやく腰の動きを止めてその波をやり過ごすと、両手で雪乃の身体を抱き寄せた。
「こっちに」
「んっ、あぁっ♡」
抱き上げた雪乃の身体を床に下ろすと、俺は正常位になって彼女に覆いかぶさった。こうやって見上げられると妙に興奮してしまって、またも性器は快感を求めて脈打っている。
「今日は、めっちゃ締まるな⋯⋯。は、おぉ⋯⋯っ」
「あぁぁあぁぁっ♡ あぁっ、ぅんっ♡ ⋯⋯私も久しぶりに二人でして、興奮しているのかも」
雪乃は小悪魔的な笑みを浮かべると、また俺の首の後ろに手を回してくる。その仕草が暗にもっと突いてと言っているようで、やたらと興奮させられてしまう。
「八幡、もっとして⋯⋯。あ♡ あぁぁっ♡」
直截に言われてはもうその罠から逃れられるはずもなく、俺はパンパンと音が鳴るほど激しく雪乃を突いていた。段々と大きくなってくる喘ぎ声と快感に、またキュンと睾丸が上がってくる。
「はぁっ、はぁっ⋯⋯。雪乃っ、はっ、あぁ⋯⋯、そろそろ、出していいか?」
「あぁぅっ♡ んっ、あぁぁっ♡ ええ♡ あんっ♡ ちゃんと私も、イかせてね?」
雪乃の言葉一つ一つが俺を最果てまで追い詰め、射精感を加速させていく。出会った頃は毒舌ばかり吐いていた口は甘い喘ぎを零し続け、その表情も身体も俺を求めていた。
「はぁ、う、あぁ⋯⋯っ、雪乃っ、もう⋯⋯っ!」
「あぁぁああっ♡ いいわ、出してっ♡」
雪乃はそう言うとカーペットの上に髪を広げたまま、口を開いて舌を指差す。
「ん、あぁっ♡ そのまま、口に出して⋯⋯♡」
ドクンと、心臓が大きくなる。一気に鼓動が早くなって、目の前が白く弾けた気がした。
「は、あぁぁ⋯⋯っ、出るっ、イっ、くっ⋯⋯!」
射精の寸前にペニスを抜くと、バチンとコンドームを剥ぎ取りながら雪乃の上体に跨った。艶かしく開いた唇の間に肉棒を突っ込むと、全ての我慢を止めてその口内で射精する。
「はぁ、あぁぁ⋯⋯っ!」
「んぅっ、ん、⋯⋯んんぅっ⋯⋯!」
馬乗り状態のまま、雪乃の口腔へと白濁液を放っていく。ともすればまるでAV撮影のような、酷く支配的な行為。それを彼女の望みでしているという事実も、あろう事かちゅうちゅうとタピオカドリンクでも飲むかのように吸い付いてくる事も、バカみたいに俺を興奮させてくる。
「ん⋯⋯。んぅ⋯⋯はぁ⋯⋯っ」
「うぁ、あぁぁ⋯⋯」
ぶるぶると腰を震わせて、最後の一滴まで雪乃の口内に精液を注ぎ込む。ようやく射精が終わって腰を引くと、ちゅぽんっと音が鳴ってペニスが解放された。
雪乃はその可愛らしい唇を開くと、口内に放出された精液を俺に見せてくる。また大量に出してしまったらしく、夥しい量の生殖液で雪乃の小さな舌が溺れていた。
「ん⋯⋯っ」
その目が一瞬蠱惑的に笑ったかと思うと、雪乃は細い喉を鳴らして精液をゴックンした。どこまでも俺を挑発するようなエロティックな行為に、肉竿がぶるんと脈打つ。
「雪乃──っ」
「ええ」
あなたが興奮しているのは分かっているとでも言いたげな顔が、俺を迎え入れる。雪乃の手を引いて起こすと、そのまま隣のベッドルームへと連れていく。もつれ合うように雪乃とベッドに転がると、組み敷くようにして四つん這いにさせる。
「は、あぁ⋯⋯っ。うぉぉ……っ」
「あ──♡ あぁぁっ♡♡」
雪乃の腰に左手を添わせ、右手で肉棒を支えてその中へと進入する。途端にキュウキュウと締め付けてくる膣内が、まだ満足していないと言っていた。
一体何が、彼女をここまで性に狂わせたのだろうかと考える。それがもし想いの強さだと言うならば、俺もまた狂い切っているのだろう。満たされては枯渇する性欲が、その証左だった。
「はぁっ、はぁっ、あ、あぁ⋯⋯っ。雪乃っ、は、あぁっ、ふっ、ふっ──!」
脳まで蕩かせ、焦がすような快感が背中から突き上げてくる。その快感の強さの分だけ、俺の腰は早くなっていく。
「ん♡ は♡ぁぁあっ♡ あぁ♡んんっ♡ はち、まんっ♡ まっ、てっ♡ あぁぁっ♡ 最初から、はげしいぃぃっ♡♡」
いつの間にか俺は、全速力で雪乃に腰を打ち付けていた。雪乃にのせられるがままだなんて分かっちゃいるが、もう何も我慢できない。
「あぁ♡ぁぁああっ♡ はち、まん⋯⋯っ♡ ゴム、は⋯⋯?」
雪乃は顔だけで振り返ると、俺にそう問いかけてくる。形のいい尻肉の向こうに裸のまま出し入れされるペニスが見えたけれど、もう止まる事はできなかった。
「はっ、あぁ、はぁっ、す、まん⋯⋯っ!」
「んんっ♡ あ♡ あぁぁぁっ♡ まだ、安全日じゃない、からぁぁっ♡♡」
激しい俺のピストンを受けて、雪乃はそう拒みながらも嬌声をあげる。自分が何をしているかなんて、分かっていた。それでも止められないのだ、雪乃の生の膣内を味わってしまったら。貪り尽くす事でしか、欲望を燃やし尽くす術を知らないのだ。
「はぁっ、う、はぁぁ⋯⋯。最後は、外に出すから⋯⋯な?」
我ながらありきたりで、馬鹿みたいな台詞だと思う。雪乃は身体を支えるために腕を突っ張ったまま、細かく肩を震わせている。許容も拒絶も示さずに、ただただ快楽に耐えていた。
「あ♡ ん♡ あぁぁっ──♡♡」
そんな最中に責め続けるのは、我ながらずるいとは思う。けれど、どうやっても抗えない。雪乃とのセックスでもたらされる快楽を知れば知るほど、底なし沼のようにその快感から抜け出せなくなる。
これ以上ないほど硬く大きくなった肉竿で雪乃の膣内を往復する度に、息もできなくなるほど興奮は高まっていく。あると思っていた余裕は徐々に小さくなっていき、代わりに射精感がにじり寄ってくる。
「はっ、ふっ、ふっ、はぁぁっ、う、あぁ⋯⋯」
「ぁぁああっ♡ んっ♡ あっ♡ あっ♡ あぁぁっ♡♡ はち、まんっ♡ んんっ♡ おくっ♡ す、ごいっ♡ ん、あ♡ あぁぁっ♡」
雪乃は快楽に耐え切れなくなったのか、腕を折りたたむとベッドに突っ伏す。自然と寝バックの体位になって、また抉るようにその奥を穿っていく。
「あ、うぁ、はぁ⋯⋯っ。雪乃⋯⋯」
けれどこの体位では、完全に奥まで届ける事が叶わなくなってしまう。だから俺は雪乃の両腕を掴むと、ぐんっとその細い身体を起こした。
「あ♡ あぁぁ──~~♡♡」
腕を引き寄せながら、ズンズンと雪乃の奥を突きまくる。流れ、揺れる長髪。ベッドに突っ伏し、隠す事もできない喘ぎが脳天まで響いて、射精までのカウントダウンは進んでいく。
雪乃はそれだけでイッてしまったのか、さっきからキュウキュウと膣内の締付けを強くさせていた。普段の清楚さはどこかに消え失せ、雪乃は快楽のままにはしたない声を溢し続ける。
「イっ、ちゃう♡ あ♡ あぁぁ──♡ また、イッちゃうからぁっ♡ はち、まんっ♡ もう、イッて♡ あ♡あ♡あ♡ あぁぁっ♡ 出し、てぇっ♡♡」
「はっ、はっ、ふっ、あぁ⋯⋯っ。じゃあ、そろそろ、イクぞ⋯⋯っ!」
雪乃の腕を引っ張りながら、俺はこれ以上ないぐらいの速度で腰を打ち付ける。その音も、快感も、何もかもが今まで以上で、何もかもを我慢できなかった。
「んんぁぁああっ♡ 八幡っ、出して♡ 出してぇっ♡ んんっ♡ あ♡ あぁぁ──~~♡♡」
「ゆ、きの⋯⋯っ! は、あぁ、出るっ! 出るぅっ!!」
最後の理性で俺は射精の寸前にペニスを引き抜くと、そのままノーハンドで雪乃の背中に射精した。俺のシャツを身に着けたままの雪乃の背中に、腰に、夥しい量の精液が撒き散らかされて、いやらしい染みをいくつも作っていく。
「はぁ、あ、あぁ⋯⋯っ!」
「ん、あ♡ あ、つい⋯⋯っ♡」
雪乃の尻肉の間に肉竿を擦り付けながら、ビュービューとまた大量の精液を彼女の身体に射出していく。絶頂に達しているのか小刻みに揺れる身体に、俺はマーキングするかのように白濁液を吐き出し続けていた。
「はぁ、はぁっ⋯⋯。すっげぇ、出た⋯⋯」
射精が収まってもなお、俺の肉棒は硬くなったままだった。たった三発の射精では満足しないと、その大きさが語っている。勃起したままの肉竿を、雪乃は快楽に蕩けた目のまま見詰めていた。
「⋯⋯まだ、満足していないのね?」
「満足がどうこうっつーか⋯⋯。もっと、雪乃としたい」
「ふふっ⋯⋯。こういう時のあなたは、すごく素直ね」
慈愛に満ちた艶笑が、また深く俺を虜にする。そんな表情を見せられたら、また何も我慢できなくなるではないか。
「雪乃。今度は⋯⋯」
「ええ。今度は前から⋯⋯ね?」
雪乃は獲物を誘い込むように、仰向けになって脚を開く。
その姿を見て興奮を抑えられるはずもなく、俺はまた雪乃に覆いかぶさるのだった──。
* * *
俺のペニスが勃たなくなるまで、あれから四時間がかかった。
雪乃はエプロンが汚れるからと途中で外し、射精する度に身体や顔にかけていたから、着てくれているシャツもぐちゃぐちゃだ。結局それも脱いで、雪乃は全裸で俺の横でぐったりしている。
「あー、その⋯⋯。大丈夫か?」
「大丈夫なわけ、ないでしょう⋯⋯」
未だに雪乃は肩を上下させて大きく息をついていたし、その表情はまだ快感の向こう側から完全には帰ってこれていないように思える。まああんな格好をして誘われたら、我慢なんて出来るはずがない。いや開き直ってる場合じゃねぇな。
「結局、コンドームもつけてくれないし」
「いや、うん⋯⋯。それは、すまん⋯⋯」
雪乃の非難に、俺は申し開く言葉を持たない。
もしも三人のうちの一人だけが妊娠したとかになれば、簡単にこの関係は瓦解するだろう。⋯⋯いや、あたし(わたし)も妊娠させろとかそんな話にもなりそうだな。やっている事も想像する事もお花畑すぎる。
「⋯⋯けど二人きりでこんなに激しいの、久し振りね」
それ以上責めるつもりもないのか、雪乃は多少余裕を取り戻した顔でそう言った。確かに彼女の言う通り、四人集まった時はともかく、二人きりでここまでの回数を致すというのも久し振りだ。やっぱり彼シャツエプロン最強可愛すぎる。また着てくれないかしら⋯⋯。
「あんだけお前が誘惑してくればなぁ⋯⋯」
「⋯⋯今、それを言うのね」
なんだか聞いた事のあるような台詞を言いながら、雪乃は段々と頬を染め始める。冷静になると相当エロい事を言ったりやったりしていた事が分かってきたのだろう、恥ずかしがる姿が妙にいじらしい。
吸い寄せられるように雪乃の頬にキスを落とすと、透き通った瞳が俺を捉えた。たったそれだけの事でまた我慢できなくなって、唇を重ねる。
「ぶっちゃけ、めちゃくちゃ興奮した。またしてくれると、次も頑張れるんだが⋯⋯」
「あんまり頑張られすぎると、こっちの体力が持たないのよね⋯⋯」
雪乃はまだ少しだけ恥ずかしそうに、つつーっと俺の喉から胸板にかけて人差し指を滑らせた。素でそういう事するのやめなさいよね。ぞくっとしちゃうでしょうが。
しかし反応したのは俺の下半身ではなく、ぐうぅと大きな音を鳴らした下腹部だった。
「そう言えば、お昼もまだだったわね」
「だな。⋯⋯雪乃、せっかくだから」
エプロンを掴んだ雪乃を期待を込めた目で見ると、彼女は何を言わんとしているのか分かったらしく、ジト目で見詰め返してくる。その視線に負けじと夢希望をのせた視線を返すと、雪乃は「はぁ」と大げさに溜め息をついた。
「⋯⋯続きは駄目よ?」
雪乃はそう釘を刺しながらも、裸の上にエプロンを着けてくれる。やっぱり雪乃さんの裸エプロンも、いい。アメイジングでマーベラスだ。
「約束できる気がしないんだよなぁ⋯⋯」
キッチンに向かう後ろ姿を見ながら、ぽそっとそう呟いた。
そんな艶めかしい背中を、尻を見せられて我慢出来るはずもなく、また身体の中心から疼きがやってくる。
だから結局昼ご飯が夜ご飯になってしまったのは、仕方のない事だと思うのだ。