一体これは、どういう事だ。
雪乃の住むマンションの、その一室──ベッドルームで俺は、由比ヶ浜と隣り合って座っている。
俺たちの目の前にはリビングから椅子とサイドテーブルを引っ張り出し、ぐいぐいと赤ワインを
「どうしたのかしら。まだ始めないの?」
じとっと睨むような目が俺に向けられて、ぞわりとした感触が背中を走った。果たして彼女は、俺の知る雪ノ下雪乃と同一人物なのだろうか?
事の始まりは、俺に何も言わずに由比ヶ浜があの夜の事を雪乃に話した事だったはずだ。
それはまぁ、俺への信頼が無い割に理解だけはある結果だったから致し方ないとしよう。しかしどうして、それがこんな話になるのだろうか。
『あなたが浮気してしまった事は許すわ。ただし条件があるの。あなたは私の目の前で、由比ヶ浜さんを抱くのよ』
土下座から顔を上げ、その時見た彼女の表情を俺は一生忘れないだろう。どこか陶然としていて、それなのに冷静に自分を見詰めているような、空恐ろしさを感じるあの表情。その言葉を聞いた時は、悪い夢でも見ているのかと本気で疑った。
「始めろっつってもな⋯⋯」
由比ヶ浜の方を見ると、一瞬目が合っただけで逸らされてしまう。
人に見られながらセックスするのなんて、当たり前だけど初めてだ。しかも見ている相手は恋人で、抱く相手はその親友。そこいらのニッチ向けのアダルトビデオにだって、中々こんなシチュエーションはないだろう。
「前にした時と同じ事をしたらいいのよ。どうしたらいいのかは分かっているんでしょう?」
責めるわけでもなく、口元は笑んでいると言っていいぐらい僅かに引き上げられている。
確かに彼女の言う通り、何をどうすればいいかなんて分かり切っている。一度やってしまった事なのだから、出来ないなんて言い訳も許されない。
もう一度由比ヶ浜の方を見ると、今度はかち合った目は逸らされる事なく、彼女はこくりと小さく頷いた。俺もそろそろ、覚悟を決めなくてはいけないらしい。
「⋯⋯分かった。いくぞ」
「う、うん⋯⋯」
俺は由比ヶ浜の肩を掴むと、いつかのように彼女をベッドに押し倒した。あのギシギシと煩いオンボロベッドではなく、しかし彼女と何度も愛し合ったという意味では同じ、雪乃のベッドで。
「んっ、ふっ⋯⋯」
由比ヶ浜の唇を塞ぐと、くぐもった声が耳朶を震わせる。心臓が急かすようにバクバクと高鳴り、今日は酒など飲んでいないというのに酷く酔ってしまいそうだった。
唇を舌で割って入り、歯茎をノックする。俺を招き入れた由比ヶ浜は、熱い舌で迎えてくれる。
「はぁ⋯⋯っ」
そうしていたのは、一体どれだけの時間だったのだろうか。
唇を離し、ちらりと雪乃の方を窺う。彼女はただ息を呑むようにして、俺たちを見ていた。
「⋯⋯⋯⋯」
雪乃は恋人と親友がディープキスをしているのを、ただ見ていた。その目は真剣そのもので、一瞬でも見逃すものかと瞬き一つすらない。
「⋯⋯どうしたの? 続けて」
「あ、ああ⋯⋯」
小首を傾げて、雪乃は試すような視線を投げかけてくる。くいとまた赤ワインを一口飲むと、やはり俺たちを注視するのをやめない。
「んっ⋯⋯」
以前、俺たちがそうしたように。彼女の指示を守って、俺は服の上から由比ヶ浜の胸を揉みしだく。ノースリーブのブラウスから由比ヶ浜の豊満なものが溢れてしまうんじゃないかと思うぐらい、彼女のそれは容易に形を変える。
「は、ん⋯⋯っ♡」
一度始めてしまえば、段々行為に対する抵抗が薄れていく。それは由比ヶ浜も同じなのか、いつしか声に喘ぎが混じり始めていた。
視野狭窄とはこの事だろうか。甘い声を聞くほどに意識は彼女に集中していって、離れられなくなっていく。
「⋯⋯脱がすな」
スカートのホックを外して、ファスナーを下ろす。ブラウスのボタンを上から外すと、するりとそれを脱がして、由比ヶ浜はあっという間に下着姿になった。
前に彼女とした時、果たしてこんな順番だっただろうか。恐らく違うだろうが、今日の目的は雪乃の言う通りにして満足してもらうことだ。俺たちに選択肢などなく、決して止まれなくなっている訳ではない。きっと無いと思う。無いといいなぁ⋯⋯。
「⋯⋯ヒッキーも」
真っ赤な顔をした由比ヶ浜と目が合って、俺はまだ自分が脱いでない事に気付いた。部屋に三人もいて自分だけ下着姿なんて、相当に恥ずかしいだろう。
俺は横顔に刺さる視線をはっきりと感じながら、シャツを脱ぎ捨てた。そのままズボンも脱ぎ捨てると、俺も由比ヶ浜に合わせて半裸になる。
「おかしいわね⋯⋯」
不意に届いたその声に振り向くと、雪乃は俺の股間を見て首を捻っていた。
⋯⋯なんか次に言う事、分かっちゃったんだけど。
「ねえ、どうして勃起していないの?」
「ぼっ⋯⋯」
雪乃の問いに、由比ヶ浜は絶句していた。雪乃は俗っぽい言い方より直裁な表現を使う事が多いし、そう言う方がよりエロく感じるから俺としては百利あって一害無しなんだが、由比ヶ浜にはちょっと刺激が強過ぎるワードだったようだ。
「いや、見られながらとか緊張するし、ね?」
「そういうものなのかしら」
雪乃との行為の時はお互いの身体を愛撫し合ううちに固くなってくるから、違和感があるのだろう。きっと由比ヶ浜の胸を揉んでいたら、いつも通り勃ってくるだろうと思う。実際テントを張っているとは言えなくとも、下着の中では半勃ちになっているのだ。
「あっ⋯⋯」
そう考えて俺は由比ヶ浜のブラジャーのホックを外した。ポロンと飛び出したそれは、やはり何度見ても綺麗な形をしている。俺は雪乃にしっかりとその様子を見られながら、再び彼女の乳房へと手を伸ばした。
「あ、ん⋯⋯っ。これ、すっごい恥ずかしいんだけど」
「だろうな⋯⋯」
その恥ずかしさを助長させるようで悪いのだが、いざ彼女の胸に触れてしまうとその手を止める事はできない。掴めばはみ出してくるその柔らかさを、ふにんふにんと堪能させて頂く。
「んっ⋯⋯。ひっ、きぃ⋯⋯っ♡」
また喘ぎ混じりの声が鼓膜を振るわせて、ギアを一段上げたように心臓は高鳴っていく。心臓はそのポンプとしての役割を果たすように、俺の下半身にも勢いよく血流を送っていた。ちらと自らの股間を見れば、もう充分過ぎるぐらいにそこは盛り上がっている。
「ふふっ、ちゃんと大きくなってきたみたいね?」
⋯⋯実況するのやめてくれないかなぁ。
なんか恥ずかしいし興奮するし。いや昂っちゃうのかよ。
「ねえ由比ヶ浜さん。提案があるのだけれど」
雪乃がそう言った途端に、俺の背中に知らない感覚が走った。
彼女はもう俺の横顔など見ておらず、さっきからその熱い視線は由比ヶ浜の胸に向かっている。俺の手の中で自由自在に形を変えていく様を見て、酷く情欲に
「彼のを、挟んでみてもらえないかしら?」
「は、挟む⋯⋯?」
「ええ。あなたの胸で」
俺の男性器を、由比ヶ浜の胸の谷間に挟み込む──つまりはパイズリというメジャーではあるが特殊な行為の指示に、俺もすっかりフリーズしてしまっていた。いやまあ、それは願ったり叶ったりの指示ではあるが⋯⋯。
「私も挟んであげた事はあるのよ。でもそれだけというか⋯⋯。射精させてあげる事はできなかったから」
余りにも直裁なお願いと告白に、頭がクラクラしてくる。確かに雪乃さん、挟めはしたけどそれだけでしたね⋯⋯。
つまるところ雪乃は、自分で満足させてやれなかった行為を完遂して欲しいと、俺が由比ヶ浜の胸で射精するところが見たいと、そう言っているのだ。本当に彼女の中で、何が起きてしまったのだろうか。なんとなく想像はつくものの、事実として認める事がまだ出来ないでいる。
「えっと⋯⋯どうすればいいの?」
「そうね。前にした時は⋯⋯」
覚えているわよね、とでも言うように、雪乃はちらりと横目で俺を見た。俺は頷くと、ベッドの上で仁王立ちになる。
「由比ヶ浜さん、脱がせてあげて」
「う、うん⋯⋯」
雪乃に言われて由比ヶ浜の指が俺の最後の一枚にかかると、一拍だけ間を取った後に彼女はえいやっとそれをずり下げた。途端に解放されたそれは、ぶるんっと彼女の眼前に露出される。
「さあ、由比ヶ浜さん」
「⋯⋯うん」
見るのは二度目だと言うのに、由比ヶ浜は一瞬目を見開いてからまじまじと俺の勃起しきったペニスを見ていた。雪乃に促されると、戸惑いながらも自らそのたわわを支え、俺のものを谷間に挟み込む。
「うおぉ⋯⋯」
俺の滾ったものが、すっぽりと柔らかさに包み込まれる。胸の谷間から突き出た亀頭がビクビクと動いているのが、まるで悦びに咽び泣いているかのようだった。
「⋯⋯私の時と随分反応が違うわね?」
そしてそんな様子をじっと見詰める目が二つ──。俺は思わずひゅっと息を吸い込み、顔を逸らした。
「由比ヶ浜さん。気持ちの悪い反応をしている八幡を、気持ちよくさせてあげてくれるかしら?」
「う、うん⋯⋯。やってみる」
少し前まで処女だった由比ヶ浜も、どうすれば男が射精するかは当然知っているのだろう。彼女は胸の谷間を更に狭くすると、そのマシュマロで俺のペニスをしごき始める。
「は、ぁ⋯⋯」
眼下に広がる光景を、俺は思わず凝視してしまう。あるいはその形を変えていく女性らしい部分に、見惚れていたのかも知れない。
あの由比ヶ浜が、自らの胸を使って、ペニスをしごく──俺に奉仕している。
この状況は相当に歪んでいて、きっとまちがっているのだろう。それでも異常なまでに興奮してしまっているのは確かで、一人の男として悦んでしまっているのも事実だ。巨乳なんて陳腐な言葉で言い表すには由比ヶ浜の胸は芸術品じみていて、そして気持ち良過ぎていた。
「ヒッキー、気持ちいい⋯⋯?」
「あ、あぁ⋯⋯。いい⋯⋯めっちゃいい⋯⋯」
息を呑む音が聞こえた気がして、視界の端で雪乃を捉える。ふにんふにんと形を変える谷間で快楽に墜ちていく性器を見詰める彼女と、その行為を続けながら俺を見上げてくる由比ヶ浜。どくんと心臓が強く脈打ち、それに呼応するように挟まれたままのペニスが大きく跳ねた。
「よかった⋯⋯。えっと⋯⋯出せそう?」
「ああ⋯⋯。もうちょっと、だな⋯⋯」
恋人に見られながら何をやっているんだ俺はと言い続けていた理性が、段々と言葉少なになっていく。代わりにやってきた本能が、我慢など出来るはずがないと声高に主張を始める。
実際、彼女の胸で愛撫を受け始めてまだ五分も経っていないというのに、俺の肉棒は射精寸前のように張り詰めていた。
「ゆい、がはま⋯⋯」
込み上げてくるものを誤魔化すように、俺は由比ヶ浜の頭に手を添えた。その間も間断なく彼女の胸は上下に動き続け、俺に快楽を与え続ける。
少しだけ汗ばみ、張り付いてくるもちもちの肌。竿全体を大きな動きで擦り上げられ、ガチガチになったものの中を熱いものがせり上がってくる。それに押し出されるようにして、少しだけ粘度のある透明な液が裏筋を伝い落ちていく。
「出るの?」
上目遣いの瞳を潤ませているのは、羞恥か情欲か。その表情一つとっても、俺を興奮させ切るのに充分過ぎる。
「ああ⋯⋯。いいか?」
「ん⋯⋯。いいよ」
カウパーに塗れてぬっちぬっちと動く由比ヶ浜の胸が、ラストスパートの如く動きを速めた。とても初めてだったとは思えないその動きと快感に、苦しいぐらいに胸は高鳴っている。
上気した頬が、上目遣いのままこちらを見つめ続ける瞳が、射精はまだかと問い詰めるようだった。だからもう俺は、我慢できない──。
「は、あ⋯⋯っ。出るっ! うっ、あぁぁ⋯⋯っ!」
「ヒッキー、出して⋯⋯。あ、え⋯⋯きゃっ!」
俺は由比ヶ浜の胸にペニスを挟まれたまま、ドピュドピュと盛大に射精する。柔らかなその谷間の中から、その可愛らしい顔に向かって。
このまま行けば顔に出してしまうと気付いた時にはもう手遅れで、俺は快楽のままに肉棒を脈打たせては白濁液を射出し、可愛く悲鳴を上げた由比ヶ浜の顔をドロドロに汚していく。
桃色の頬に、形のいい鼻に、桜色の唇に、僅かに寄せられた眉間に、薄桃がかった前髪に。びゅんびゅんと夥しい量の精液が飛散し、白く染め上げられていく。
「は、ぁぁあ⋯⋯。すまんっ、は、ぁ⋯⋯!」
「ん⋯⋯。え⋯⋯まだ出るの?」
まつ毛にまで精液がかけられて、片目だけ開けたまま由比ヶ浜は俺を見ていた。その間にもびゅくんびゅくんと飛び出したザーメンが、由比ヶ浜の頬に、鼻に、唇にかかっていく。
彼女はもう胸を上下に動かすこともなければ、肉棒を挟み上げる力も弱くなっている。なのに俺のペニスは暴れ続け、由比ヶ浜の顔を精液まみれにしてようやく射精はおさまったのだった。
「ヒッキー、出し過ぎだし⋯⋯」
かろうじて精液がかからなかった右目だけで由比ヶ浜は俺を責めると、その姿に酷く興奮している自分に気が付いた。
勿論顔射する事自体、初めての事ではない。興奮に任せてや行為の流れで、雪乃の顔を汚してしまった事など枚挙に
「すまん⋯⋯」
「待って」
ティッシュの箱を取ろうとした俺の手を、いつの間にか近くまで来ていた雪乃の手が遮る。彼女の頬もまたのぼせたかのように朱に染まり、精液まみれになっている由比ヶ浜を見詰め続けていた。
「由比ヶ浜さん、そのまま」
「え⋯⋯? あ⋯⋯」
本当に一体、何を思ったのか。
雪乃は由比ヶ浜に顔を寄せたかと思うと、そのまま彼女の頬を舐め上げた。鼻に、眉間に、唇にとぶちまけられた俺の精液を、その猫じみた小さな舌で舐め上げ、口内に含んでいく──。
「ゆき、のん⋯⋯っ。なに、してるの?」
「ん⋯⋯っ」
由比ヶ浜の質問に答える代わりに、こくんと雪乃は白く細い喉を鳴らして、俺の精液を嚥下した。
雪ノ下雪乃は、親友の胸で盛大に射精した恋人の精液を、恍惚とした表情で飲み干したのだ。
「ん⋯⋯、はぁ⋯⋯。覚えておいて、由比ヶ浜さん。八幡は出した精液を全部飲んであげると、凄く歓ぶの」
「⋯⋯そうなんだ」
「ふふっ⋯⋯。そんなに物欲しそうな顔をしても駄目よ。さっき出した分は、全部飲んでしまったわ」
いつも俺にそうしてくれるように、雪乃は口を開けて舌を尖らせると、出された全ての精液を飲み干したと証明する。
その様子を見ていて俺も平静でいられるわけもなく、肉棒はあれだけの量のザーメンを吐き出したというのに、激しく勃起したままだった。
「ねえ、見て由比ヶ浜さん。彼のペニスが、あなたの中に入りたがっているわ」
恍惚とした表情でそんな卑猥な事を言う雪乃は、もう俺の知っている彼女ではなかった。
確かに彼女は数え切れないほどの性行為によって、そこいらの女子大生よりも淫らになってきているとは思う。それにしても今日の雪乃はすっかり興奮しきっているというか、歯止めがないというか⋯⋯いくら酒に酔っているとは言え、性欲に忠実すぎる。
⋯⋯っていうか雪乃さん、いつのまにワイン一本空けてたんでしょうか。
「うん⋯⋯」
雪乃の促すような言葉に由比ヶ浜は自らショーツを脱ぎ去ると、ついに彼女は全裸になる。由比ヶ浜の裸を見るのは二回目だというのに、酷く興奮してしまう事に無理はないと思う。
脚もお尻周りも細いのに、とくと見よと言わんばかりに豊満な乳房。シルクを思わせる滑りを持つ肌に、この世の男全ての視線をかっさらうのに十分なその
「八幡」
雪乃の声に振り向くと、彼女はコンドームの個包装を俺に渡してきた。その行動が、視線が、もう一度彼女とセックスするのだと催促してくる。
俺はするすると固くなったままのものに避妊具を装着すると、そっと由比ヶ浜をベッドに押し倒した。両手で脚を開かせると、無抵抗のまま彼女の入り口が露わになる。
「入れるな⋯⋯」
「うん⋯⋯。あ⋯⋯ん、あぁぁ⋯⋯♡」
そう言えばまともに彼女を愛撫していなかったな、と思いながら腰を突き出すと、その狭さ以外なんの抵抗もなく俺の肉棒は由比ヶ浜の膣内に収まっていく。彼女はこの異様とも言える行為の中、直接的な刺激もないまま、その膣内をトロトロにさせていたのだ。
「は、あぁ⋯⋯。めっちゃ濡れてんじゃん⋯⋯」
「言わない、で⋯⋯。あ♡ んんっ、は、あ♡」
一度肉棒を抜き差ししただけで、由比ヶ浜は可愛らしい嬌声をあげて反応する。身体がびくんと跳ね、プリンのようなおっぱいが大きく揺れた。
「⋯⋯動くな」
「は、ぁ⋯⋯。う、うん⋯⋯。あ♡ あぁぁ♡」
リズミカルに由比ヶ浜の中を往復し始めると、そのテンポに合わせて乳房はぷるぷると揺れる。膣内から得られる快感も、視覚から得られる興奮も強烈すぎて、まだ入れたばかりだというのに頭が真っ白になっていく。
「は、あぁ⋯⋯。すげ⋯⋯」
「あぁ♡ んっ、ふぅっ⋯⋯♡ あ♡ あぁぁっ♡」
俺は情欲が昂るまま腰を動かす速度を上げると、由比ヶ浜の喘ぎも大きくなっていく。まさか雪乃に見られながらだから興奮している、という事はないだろうが、それにしても感度がいい。
「ん、これ、す、ごいっ⋯⋯。あぁぁっ♡ なに、これぇ⋯⋯っ♡」
その反応に、ふと気付く。
初めての時は痛みでその快感が覆い隠されてしまっていたかも知れないが、由比ヶ浜が経験する性行為はこれが二度目だ。痛みという阻害原因を無くした今、彼女を満たすのは純粋な快楽だけになっているのだろう。
「凄くいい顔をしているわね」
どこか陶然とした声が聞こえて、思わず振り向く。その先で雪乃は、愛でるような視線を由比ヶ浜に注ぎ続けていた。
「あ、ん⋯⋯っ。恥ずかしいから、見ないで⋯⋯」
由比ヶ浜は両手で顔を覆うと、必然的にそのたわわなおっぱいが寄せられる事になる。俺が腰を振るたびにより大きく前後に揺れて、また俺の興奮レベルが引き上げられる。
「ねえ八幡。由比ヶ浜さんは顔を見られながらするのが恥ずかしいみたいよ」
蠱惑的で、どこか挑発するような目が俺に送られる。雪乃の言わんとするところは、説明されるまでもなく分かっていた。
俺は由比ヶ浜の膣内からペニスが抜けないように気を使いながら、彼女の身体を百八十度回転させる。後背位になると、俺はまたパンパンとリズミカルに腰を振り始める。
「えっ、あ♡ んっ♡ 後ろ、から?」
「ああ。これ、初めてだよな?」
「あ♡ あぁ⋯⋯っ♡ うん、こんなの、初めて♡ あ、あぁぁ⋯⋯っ♡ んっ!」
くびれた腰を掴み、ズブンと大きなストロークで彼女の最奥まで到達する。緩急をつけながらのセックスに、由比ヶ浜の身体は面白いぐらい敏感に反応を返してくれる。
眼下に広がるのは白くて細い背中、それにずっぷりと男根を咥え込んだ秘部。腰を動かすたびに出し入れされる性の象徴を見て、俺は込み上げてくるものを感じていた。
「はぁ、はぁ、はぁぁ⋯⋯っ」
「あぁ♡ んっ、ふ、ぅ、ん⋯⋯♡ あぁぁっ♡」
気付けばパンパンと性交の音がベッドルームに響き渡り、夢中で腰を振っている。まるで動物のように彼女を求め、交尾のようなセックスに没頭していた。
「はっ、はっ、はぁ。由比ヶ浜、出していいか?」
「ん、あぁ♡ ⋯⋯うん。あ♡ いいよ、出しても⋯⋯。あ♡ あぁぁっ♡」
由比ヶ浜の返事を聞き届けると、俺は全速力で彼女を突いた。きゅうきゅうと締め上げてくる膣壁に、耳朶を蕩かすような喘ぎ声。興奮は最高潮になり、暴れ出した心臓は心拍数を下げる事を知らない。
もう、限界だった。
ペニスは張り詰め、尿道に精液が満たされていく。カウントダウンは高速で進み、やがてゼロを指した。
「あぁっ、出る! はぁ、うっ! イクっ!」
「あたしも、イッ、ちゃう♡ これ、イク、のっ♡ あ♡ イッちゃうぅぅっ♡」
ビクビクと背中を震わせ始めた由比ヶ浜の膣内で、俺は思いっきり射精した。薄い壁の中で肉棒は暴れ回り、ドクドクと熱く濃いものが放たれていく。
「あ、あぁっ⋯⋯! あー⋯⋯」
快楽から逃れるように背中を仰け反らせる由比ヶ浜の腰をしっかりと掴んだまま、俺は何度も彼女の中で精液を射出する。最後の一滴を出すまで強烈な快感に満たされたまま、俺はたっぷり一分ほどかけて由比ヶ浜の中で射精していた。
「は、あぁ⋯⋯♡ ヒッキー、凄すぎ⋯⋯」
濃いものを出し切ったペニスを引き抜くと、その先にはだらんと中身の詰まったコンドームが垂れていた。気持ちよかった分大量に出してしまったらしく、二度目だというのに先端から二センチぐらいも白濁液が溜まっている。
俺は肩で息をしながらそれを外すと、口を結ぼうとした所でその手を掴まれる。
「待って」
雪乃はそう言うと、使用済みとなったコンドームを俺の手から取り、由比ヶ浜の隣に腰掛ける。
「由比ヶ浜さん、口を開けて」
「は、あぁ⋯⋯え? う、うん⋯⋯」
仰向けになった由比ヶ浜は、目を丸くして雪乃を見る。しかしごくりと一度唾を飲み込むと、雪乃の意図を理解した上で口を開いた。
逆さになったコンドームの口から、ゆっくりと濃厚なものが垂れていく。糸を引きながら由比ヶ浜の唇に、その口内に、出したての精液が零れ落ちていく──。
「全部飲んであげて」
由比ヶ浜は震える舌先で最後の一滴を受け止めると、雪乃の言葉に頷きこくんと喉を鳴らした。いわゆるゴックンというやつを、彼女にまでさせてしまったのだ。
その光景を呼吸すら忘れて見入っていた俺は、びくんと固くなったままの肉棒を脈打たせた。
「どう?」
「んー⋯⋯。匂い凄いし、飲み込みにくい⋯⋯」
「あら、じゃあ次はもう飲んであげられないのね?」
「え? や、その⋯⋯。ヒッキーが喜んでくれるなら⋯⋯いい、かも」
ちらりと俺を見てくる由比ヶ浜に、まだまだ情欲に濡らしたままの目で俺を見る雪乃。⋯⋯さっき「次は」って言ったか、こいつ。
そんないやらし過ぎる会話を繰り広げる二人の視線に晒されたまま、俺の肉棒は首輪を外された猛犬の如く暴れ回っていた。
「っていうかゆきのん、見てるだけ?」
「⋯⋯え?」
由比ヶ浜の発言が心底意外だったのか、雪乃はさっきまでの嗜虐的な笑みを引っ込め、あどけないぐらいの表情でぽかんと口を開けていた。
そんな雪乃の反応に調子を得たのか、由比ヶ浜はぐいと彼女の腕を引っ張った。意図せずベッドに寝転ぶ形になった雪乃に見上げられると、俺ももう我慢できない。
「そうだよな⋯⋯」
勝手知ったるなんとやらで、俺は引き出しからコンドームの箱を取り出す。その赤い個包装から避妊具を取りだすと、するするとそれを装着した。
起きあがろうとした雪乃をベッドに押し倒すと、膝下丈のフレアスカートの中に手を突っ込む。ショーツだけを脱がし取り、その綺麗な脚を開かせた。
「やっ⋯⋯。ちょっ、やめ⋯⋯」
「本当にやめていいのか?」
亀頭の先を入口に擦り付けながらそう問いかけると、雪乃は言葉に詰まって頬を紅潮させる。彼女の膣口は愛撫も何もしていないのに充分濡れていて、すぐにでも男性器を受け入れる準備ができていた。
「入れるな」
「ん⋯⋯。あ♡ あぁぁっ♡」
雪乃の膣内は何もしていないというのに、まるで愛撫した直後かそれ以上に濡れていた。きゅうきゅうと締め上げてくる膣壁に阻まれながらも、俺は激しく勃起したペニスを最奥まで送り届ける。
「めちゃくちゃ濡れてんじゃん⋯⋯」
「──っ! だ、黙りなさ⋯⋯ぃいっ♡ ん♡」
ずぶんと強く一突きすると、雪乃の唇から可愛い声が漏れる。
俺と由比ヶ浜に見られながらしろなんてアブノーマルな要求をする雪乃が、その色欲を満たされて興奮していない訳がないのだ。
「もうやめろとか言うの無しだからな」
「ちょっ、とっ、ん♡ 待って、あ♡ んんっ♡」
パンパンとまた音がするほど強く腰を振り始めると、雪乃は口元を押さえながら顔を逸らす。襲いくる快感に耐えているような表情が、さっきまで言われるがままだった俺の嗜虐心に火をつける。
「うわぁ⋯⋯すっご⋯⋯」
由比ヶ浜すぐ真横で繰り広げられるセックスを──親友のその行為を見て、身じろぎ一つせず見守っていた。俺だけ全裸で雪乃がほとんど着衣のままというシチュエーションは、まるで無理矢理に犯しているかのような錯覚を覚える。
「はぁ、はぁ、はぁっ⋯⋯」
「あぁぁっ♡ ん、あ、あっ♡ 八幡っ、あ♡ 最初から、激しいっ、んんっ、あぁっ♡」
由比ヶ浜とは違った熱さと、肉棒を締め付けてくる感覚。また入れたばかりだというのに、すっかり出来上がってしまったような嬌声。
腰を打ちつける度にベッドは激しく揺れ、隣でその様子を見ている由比ヶ浜の乳房まで揺らしている。雪乃はじっとすぐ隣から表情を見られて、恥ずかしいのかずっと顔を逸らしていた。
「ゆきのん、すっごい気持ちよさそう⋯⋯」
「あぁ、んっ♡ 見ない、でっ、あ♡ んんんっ♡」
「ずるいよ。あたしの時はじーっと見てたのに」
いつの間にやら由比ヶ浜は、その顔に笑みさえ浮かべて視姦を愉しんでいた。その表情は雪乃が俺たちのセックスを見ていた時とよく似ていて、今日は本当に二人ともどうしてしまったんだと心配になる。──まあ、一日の内に雪乃と由比ヶ浜の二人とセックスしている自分が、一番どうしてしまったんだという話だが。
「は、あぁ⋯⋯。雪乃の中、いつもより締まってるぞ」
「あぁ、あ♡ ひぁ、ん♡ だってこれ、凄いっ、んんっ♡」
不随意な彼女の膣内の蠕動と、最初から激しく動き過ぎているせいだろうか。まだ五分と経っていないのに、早くも射精感が込み上げてくる。行為の異様さも本能の前には情欲を焚き付ける火種にしかならず、心臓が飛び出そうなほど俺は興奮していた。
「⋯⋯ヒッキー凄いね。こんなに激しくされたら、壊れちゃうよ」
「はぁ、は、あぁっ⋯⋯そうだな。ちょっと休憩⋯⋯」
正直、あっという間にイッてしまいそうだった。二度も射精した後にそれも格好が付かない話だったし、確かに雪乃の乱れ方が心配になってくる。最近では少なくなったが、体力の無い彼女は責めすぎると失神してしまう事もあるのだ。
雪乃に覆い被さって中に入ったまま、動きを止めて息を整える──と、彼女はぎゅっと俺を抱き寄せてきた。
「⋯⋯やめないで」
瞬間、電流のようなものが背中を走った。
いたく拙い言い方なのに、酷く悩めかしい誘惑の言葉。聴覚を襲うその衝撃に衝き動かされるがまま、俺は雪乃の両脇に手を突いた。
「あ⋯⋯っ♡ あぁぁっ♡ ん、あっ、あぁっ♡」
叩きつけるように強く、彼女に腰を打ちつける。パァン、パァンッと大きなストロークで、彼女の最奥を抉るように突きまくる。
漏れ出した嬌声も、色欲に塗れたしまった純真な目も、俺を昂らせる因子にしかならなかった。俺たちがこんな行為に夢中になってしまうのはまちがっている事なのに──吐きそうなほど興奮して、腰を止められない。
「あぁぁっ、ん♡ これ、す、ごいっ♡ あ♡ あぁっ♡ イクっ⋯⋯あ♡ イッ、ちゃうぅっ♡」
「はぁ、はぁっ、はーっ、はっ⋯⋯。あぁ⋯⋯俺も、出すな」
「ん、あぁあ♡ きてっ、あ♡ ん♡ 八幡っ、一緒に、ぁぁああっ♡」
もはや雪乃は快楽に飲まれて、由比ヶ浜が隣にいる事を忘れてしまったのだろうか。まるで
そんな彼女を見て、その強烈な締め付けで吸い上げられそうになって、俺も我慢なんてできるはずもない。
「はぁ、あ、いく⋯⋯。はぁ、はぁっ、雪乃っ、出るっ、は、ぅ⋯⋯っ!」
「あぁぁ♡ん♡ きて♡ あっ、あっ、あぁっ♡ 私も、い、くぅっ♡♡」
雪乃の細い身体がびくんびくんと跳ね、膣内は精液を搾り取らんばかりに肉棒を締め付ける。俺は彼女の一番深いところまでペニスを挿入すると、その中でビュクビュクと激しく射精する。
「ん、あぁあぁ⋯⋯♡ すっごい、動いて、あ♡ たくさん、出てる⋯⋯」
射精の実況をする雪乃がまたいやらしくて、俺は追撃するようにドプドプとその膣内で精を放つ。快楽に全身を震わせるたびに、彼女の膣内がキュンと締まる。
雪乃とのセックスでここまで深く求め合うのは、今まで何度あっただろうか。由比ヶ浜に見られながら交わって興奮していたんだろうと指摘されても、何も言い返す事ができない。
言葉を失ってしまった由比ヶ浜に見られたまま、俺は雪乃の上に倒れ込んだ。射精が終わっても彼女の中に入ったまま、はぁはぁと荒い息を吐き出し続ける。
「⋯⋯抜くな」
「あ⋯⋯っ」
ようやく息が整ってきたところで、俺はぬるんと雪乃の膣内からペニスを引き抜いた。三発目だというのに大量に射精したらしく、肉棒の先にはだらしなくコンドームが垂れていた。
「ヒッキー、待って」
使用済みとなったコンドームを取ろうとすると、その腕を由比ヶ浜に掴まれる。
一体何だ、と由比ヶ浜を見ると、彼女は何を思ったのかその華奢な指で俺のペニスから避妊具を外した。
「ゆきのん、口開けて」
「ん⋯⋯。え⋯⋯?」
つっ、と由比ヶ浜に唇を撫でられて、雪乃は口を開いた。
そして由比ヶ浜はまるでそうするのが当然かのように、俺の精液がたっぷりと入ったコンドームを、雪乃の唇の上で逆さにする。
──本当、マジかよ。
心臓は耳に煩いほど高鳴り、スローモーションのようにゆっくりと出したての精液が避妊具から垂れていく。トロリと雪乃の唇を滑ったかと思うと、そのほとんどが口内に零れ落ちていく。
「全部飲んであげたら、悦ぶんだよね?」
慈しむような目を向ける由比ヶ浜を、雪乃は情欲に濡れたままの瞳で見返す。こくりと頷く代わりに、こくんとその白く細い喉を鳴らした。
「ヒッキー、ゆきのんも全部飲んでくれたよ?」
──嬉しい?
その目が俺にそう問いかけた気がした。
そして俺は返事をする代わりに、未だに勃起したままだったペニスをびくんと脈打たせた──。