「おお〜、すっごい美味しそう!」
「ええ。今回のは、特に自信があるわ」
俺の目の前にあるのは、雪乃お手製のケーキである。結衣の言う通り、とても美味しそうだ。
そして目の前で言葉を交わす雪乃と結衣は、何故か総武高校の制服に身を包んでいる。結衣の言う通り、とても美味しそうだ。
⋯⋯って違う。何もかもが違い過ぎる。
とある土曜日。
俺たちは雪乃の提案で結衣の誕生日会を仕切り直し、再開催していた。何故か俺まで制服で。
雪乃がそれを言い出した時に結衣も「なんで?」と訊いたが、「格好だけでもそうしたら、高校時代に戻った感じがするでしょう」と返され、なるほどぉと納得してしまっていた。チョロい、チョロ過ぎるぞガハマさん。あと何に納得したのん?
とにかくそういう事でわざわざ俺たちは制服を持ち寄り、雪乃のマンションで着替えて食卓を囲んでいるという訳だ。
「ケーキを切り分ける頃には冷めていると思うわ」
制服に身を包んだ雪乃は、淹れたばかりの紅茶をそっと俺の前に差し出した。
高校時代を完全再現しようと言うのか、大学に入ってからはつけていなかった赤い小さなリボンを髪に飾り、トレードマークでもあった黒地に白の一本ラインが入ったニーハイソックスまで履いている。久々に見る人類最強レベルの絶対領域を彼女が立ち上がる度に視線で追ってしまうのは、結衣が身体を反らしたり前屈みになった時に胸元を見てしまうのと同じぐらい仕方のない事だと思う(早口)。
「ヒッキー⋯⋯」
そんな言い訳がましい事を考えていると、結衣が湿度の高い目でじっと俺を見てくる。
「ゆきのんばっか見過ぎじゃない?」
「⋯⋯は? いや、そんな事ないでしゅけど」
何故か敬語になった上に噛んでいた。こういう時の結衣は鋭過ぎて怖い。
しかし俺の反論は事実で、ばっちり結衣の制服姿も見ている。それは瞼の裏に焼き付けんばかりに見ていて目が合いそうになるとそっと逸らしていただけだ。気付くのならその健気な努力に気付いて貰いたいものである。
「さっきから結衣の方もちらちらと見ていたけれどね」
と思っていたら、いた。気付いている人がいたけどこれもこれでしんどいな何で気付かなくていい人が気付いちゃいますかね?
うぐぐと言葉を詰まらせていると、二人から「訳を聞かせるまで目を離さない」とでも言うような視線を送り付けられる。まさか誕生日会が始まって即こんな雰囲気になるとは、想定の範囲外だ。
「⋯⋯お前らが可愛すぎるからだろ」
ぼそりと、そんな嘘偽りない答えを口にする。
結衣はお団子頭をくしくしと弄りながら頬を僅かに染め、雪乃は勝ち誇るように笑みを浮かべた。
「二股谷くんらしい感想ね」
そう揶揄しながら、雪乃も僅かに頬を赤くしていた。何なんだこいつらダブル可愛い祭りで俺をキュン死にさせる気か?
雪乃は照れ隠しのようにポットから残りの紅茶を注ぐと、自分と結衣の前にもカップを置く。これで形式上の、誕生日会の準備は整った。
「では始めましょうか」
そう言って雪乃は二と一の数字を象った蝋燭にライターで火をつけ、照明を落とした。
暗闇の中で、結衣の顔が照らし出される。バースデーソングを雪乃は聴き惚れてしまいそうなアルトで、対する俺は聞き逃してしまいそうなバリトンで歌い上げ、結衣が蝋燭の火を吹き消す。
何度か繰り返した光景だ。しかし今年は、『ハッピーバスデーディア』に続く名前が『由比ヶ浜』から『結衣』に変わっている。決定的に、不可逆に変わっているのだ。
「ありがとう、二人とも」
照明を点けると結衣は面映そうに笑い、瞳を僅かに潤ませていた。火を吹き消した時の煙が目に染みたのか、それとも何か思う事があったのかは、分からないけど。
「それじゃ、食べましょうか」
雪乃は結衣のそんな表情を見なかった事にして、楚楚とした所作でケーキを切り分けた。目の前に置かれたそれを、結衣は壊れ物でも扱うかのようにフォークで切り分ける。
「ん〜! やっぱり美味しい!」
一口食べた瞬間、頬っぺたが落ちそうとでも言うように彼女は頬を両手で支えた。
もちろん現実的にそんな事が起こり得るはずもなく、代わりに零れ落ちたのは俺たちの笑みだった。
「口に合ったようで安心したわ」
雪乃は聖母像を思わせるような微笑みを湛え、パクパクとケーキを食べ進める結衣を見ている。俺も結衣に倣うようにケーキを口に含むと、しっとりとしたスポンジの感触と生クリームの絶妙な甘さに手が止まらなくなる。
「ところで、結衣」
もぐもぐと夢中でケーキを頬張っていると、不意に雪乃が言った。
「今日はその⋯⋯。八幡と恋人になった記念でもあるわけだし、呼び方は改めないのかしら?」
ほほぅ、そんな意図もあったんですねこの会は。いえ分かっていましたけれども。いや本当に分かってたよ?
「あー⋯⋯。うん、じゃあ」
結衣は「んんっ」と喉の調子を確かめると、椅子に座り直して俺の方を向いた。ちょっとこっちも、緊張してきてしまう。
「は、八幡⋯⋯くん。うわぁ、やっぱ無理! 恥ずかしい!」
赤くなった顔を両手で覆うと、結衣はぶんぶんとかぶりを振った。
⋯⋯なんつー可愛い反応だ。天然でこれをやるから凄いんだよね、君。
「⋯⋯別にいいんじゃねーの。無理して呼ばなくても」
「それもそうね。由比ヶ浜さんの特権的な呼び方だものね」
「あはは⋯⋯。うん、やっぱりヒッキーが一番しっくりくるし。⋯⋯呼べたら呼ぶけど」
まだ少し頬を赤くしたまま、結衣は上目遣いでそう言った。そんな表情で急に名前呼びされたら、本当に卒倒しそうなんだよなぁ⋯⋯。
暫しの歓談と、雪乃お手製のケーキ。その光景は場所こそ違えど、まるで奉仕部の部室のようだった。
雪乃の淹れてくれた紅茶が香り、何より温かく何もかもが包まれるような雰囲気。思い出を美化しているような気もするが、制服姿で仲睦まじい姿を見せる彼女たちに、どこか郷愁を覚えてしまう。
最初制服を持って来いと言われた時は意味が分からなかったが、雪乃はきっとこんな時間を取り戻したかったのだと思う。あの頃ではなり得なかった俺と二人が恋人同士という関係で、過ぎ去った時を埋めようとしているのだ。
「結衣」
ケーキを食べ終わった、その後。
雪乃は食器を片付けるとその足でリビングに向かい、小さな箱を手に戻ってくる。結衣の方を向いて座ると、両手でその包装紙に包まれた箱を差し出した。
「改めて、お誕生日おめでとう」
「うん⋯⋯。ありがとう。開けていい?」
結衣も両手を出してそれを受け取ると、頷く雪乃を見てから包装を剥がしていく。
エンボス加工のされた、
「うわ⋯⋯なんか超良さそうな時計。⋯⋯いいの?」
「もちろん」
雪乃が惜しげのない満面の笑みを浮かべると、結衣は早速右手にそれを着ける。
細いベルトもフラットでシンプルな文字盤も、制服に合わせるには少し大人びて見えた。
「うわぁ、すっごい素敵。青ってちょっと意外だったけど、大人な感じがしていいね!」
「意外⋯⋯。そうかしら」
そんな結衣の反応に、雪乃は僅かに首を傾げて見せる。
「昔、八幡がくれたシュシュがあったでしょう? あの色と合わせられるようにしたの。あのシュシュ、あまり着けているところを見なかったから⋯⋯」
「ゆきのん⋯⋯」
感動に打ち震えるように、結衣はまた瞳を潤ませていく。
仲良き事は美しき哉。⋯⋯ともらい泣きでもしたいところではあるが、雪乃のプレゼントのポイントが高過ぎて俺のターンが来るのが億劫になる。雪乃は考え抜いて腕時計を贈ったのだろうが、それに比べると俺のプレゼントは安直過ぎるのだ。
「⋯⋯次は俺からだな」
そのまま百合百合して頂くのも大変結構なのだが、あまり後回しにして期待され過ぎてもよろしくない。
俺は鞄の中から小箱を取り出すと、ラッピングされたそれを結衣に差し出した。
「誕生日おめでとさん」
「うん、ありがとう⋯⋯」
開けていい? という結衣の問いに頷くと、彼女は丁寧にそのラッピングを開いていく。
「首輪⋯⋯?」
「ああ。そろそろ前に贈ったやつも、くたびれてきてる頃かと思ってな」
誕生日プレゼントは彼女の本当の誕生日よりも前、色々な事が起こる前に買ったから他意はない。決して「今日からお前は俺のペットだ。──いいな?」みたいな乙女ゲーの俺様系男子ムーブをかましたい訳ではないのだ。⋯⋯そう考えちゃってる時点で気持ち悪いんだよなぁ。
しかし結衣はその首輪を見て「うふふ」とこっちが引いてしまうような笑みを浮かべていた。こいつ、本当に勘違いしてないか⋯⋯?
「⋯⋯自分の首につけるなよ」
「へ⋯⋯。あ、⋯⋯そんなの分かってるし!」
顔を赤くして反論してくるあたり疑わしいものだが、そんな反応がいちいち可愛い。一生弄り続けていたいまであるが先にこっちがキュン死にするか、雪乃の視線で凍てつかされて終了するだけだろう。
何とも微笑ましい光景に頬が緩みそうになっていると、一頻り恥ずかしがった結衣はじとっとした目で俺を睨む。
「⋯⋯それに首輪なんかつけなくても、もうヒッキーのものじゃん」
「⋯⋯」
「え、ちょっと、黙んないでよ⋯⋯」
⋯⋯本当にもう、なんなのこれ。なんで首輪なんて買ったんだよ俺マジでいい加減にしろ。
雪乃は物言わぬ地蔵と化した俺と顔の赤みが引かない結衣を交互に見ると、小さく溜め息をついた後にぼそっと呟いた。
「⋯⋯この女たらし」
はい、本当すいません⋯⋯。
* * *
バースデーソングを歌って、ケーキを食べて、プレゼントを渡して。
次に誕生日会でする事ってなーんだ?
そうだね、さんぴぃだね!
そんな訳あるか。
「ヒッキー⋯⋯」
しかし目の前の光景は、それが夢ではなく現実なのだと物語っている。
総武高校の制服に身を包んだ雪乃と結衣は、ベッドの上で割座になって俺を見上げていた。
制服を持って来いと言われた時点でこういう展開になる事を予想していなかったと言ったら嘘になる。そりゃ期待するってものだ。前に雪乃に制服を着てもらって致した時はめちゃくちゃ興奮して阿呆ほど出した。それはさて置き──。
「いつまでそうしているの?」
もどかしそうにそう言う雪乃は、まだ何もしていないのに火がついているような口振りだ。
この場を仕組んだのだから当然と言えばそうだが、この関係になってからの雪乃の燃え方は凄まじいものがある。以前からスイッチが入ると凄かったが、結衣の前ではより大胆になっている気がするのだ。
「いや、ねぇ? どうしたもんかと思ってな⋯⋯」
「あなたの好きにしていいのよ?」
「うん⋯⋯。お手柔らかにね」
その一言に、どっくんどっくんと心臓が強く脈動を始める。
まずはキス、だよな。どっちからすればいいんだよこれ無理ゲー過ぎる。
そろりとベッドに乗り、二人を見る。外では決して見せない、情欲のまま求めるような視線。三人でするのが初めてという訳でもないのに、制服姿の破壊力が凄過ぎて近付くだけで興奮度は急上昇する。
「⋯⋯こっち来てくれ」
二人を呼ぶと、そっとその距離は詰められる。雪乃の碧玉の如き双眸に、結衣の
「⋯⋯拗ねるなよ」
俺は一言そう断ると、結衣の頭を引き寄せてその唇を奪った。唇をはみ合い、舌を口内に進入させる。
どちらから先にするか迷ったが、結局俺は結衣を選んだ。今まで彼女の気持ちに応えられなかった分、という思いもあるが、そちらの方が雪乃が興奮すると思ったからだ。⋯⋯どうやら俺も相当この状況に頭がやられているらしい。
「ん、はぁ⋯⋯」
濃厚なキスから舌を解くと、熱っぽい視線が注がれている事に気付く。
その視線の主はくすりと笑うと、俺の頬と艶やかな唇の距離をゼロにした。
「そのぐらいで拗ねたりなんかしないわ。あなたがちゃんと愛してくれるなら」
一瞬で離れてしまった唇に吸い寄せられるように、今度は雪乃の唇を奪うと、すぐに舌を入れて唾液を交換し始める。
くぐもった声を聞きながら制服越しに彼女の胸に触れると、びくっと細い身体が震えた。
「んんっ、は、ん⋯⋯っ」
「ヒッキー⋯⋯。あ⋯⋯」
物欲しそうな声が聞こえて、俺は空いている左手で結衣の腰の辺りを撫でる。そのまま手を上方に滑らすと、制服越しのたわわを揉み始めた。
両手で二人の乳房を揉んでいると、その違いがよく分かる。
結衣の胸は言わずもがな、巨乳なんて卑俗な言葉で言い表せられないほどの圧倒的存在感と重量感。どこまでも沈み込むその柔らかさはマシュマロのようで、しかし押し返してくる弾力もまた心地いい。
雪乃の胸は結衣と比べてしまうと控え目というかドンマイと言ったところだが、触ればその感触に夢中になってしまう。もち肌と絶妙な柔らかさもさる事ながら、彼女の感度が高いのもポイントだ。コリコリと形のいい乳首を弄れば、そして舌で転がせばどんな声で鳴くのか、俺はよく知っている。
暫く交互にキスをしては胸への愛撫を続けていると、雪乃の手が俺の身体を這ってくる。それに真似をするように結衣も俺の身体に手を伸ばすと、一体誰が教えたんだか服の上からピンポイントで乳首を弄ってきた。経験の少ない結衣が俺を気持ちよくしようと頑張ってくれていると思うと、異常に興奮してしまう。
「⋯⋯っ、はぁ⋯⋯。八幡、そこに座って。今度は私たちがしてあげる」
「ああ⋯⋯」
促されるままに、俺はベッドの縁へと腰掛けた。雪乃は俺の脚の間に入ると慣れた手つきでベルトを外し、ズボンのチャックを下げる。雪乃がズボンに手をかけるとこちらもどうすべきかなんて分かっていて、腰を上げると一気にトランクスごと脱がし取られた。
「やっぱり、もう勃ってるんだ⋯⋯」
雪乃の隣でその様子を見ていた結衣は、ぶるんと飛び出した俺の肉棒を見てそう呟く。俺のペニスは直接的な刺激は何一つなかったというに、今日も元気に天井を向いてびくびくと準備運動中である。
「結衣はフェラチオをしてあげたことはある?」
「へ⋯⋯? ふぇ、ら⋯⋯? ううん、ないけど」
「じゃあ一度してみてあげるといいわ。とても喜ぶから」
雪乃の提案に、結衣は俺のガチガチになったものを見ながらこくっと喉を動かした。
言われてみれば確かにパイズリなんて特殊な行為はしたのに、結衣に口でしてもらった事はない。期待するようにペニスは
「ひ、ヒッキー⋯⋯。その、お⋯⋯お⋯⋯」
結衣はおずおずと俺の脚の間に入って来たかと思うとすぐに引き返し、雪乃にボソボソと質問を始めた。
「ねえ、ゆきのんはあれの事、なんて呼んでるの?」
「普通に『八幡の』か『ペニス』と言うけれど」
「ぺ、ぺに⋯⋯。そっちの方が恥ずかしくない?」
「そうかしら? 陰茎と呼ぶ方が言い難いと思うし⋯⋯。ああ、でも八幡の好きな漫画の中だと女性はみんな『おちんちん』と言っているわね。そっちの方が喜ぶかも知れないわ」
「そっか⋯⋯。うん、ありがと」
え、待って。待って待って待って君たち全然内緒話になってないし雪乃さん今なんて言ったのん? ハーレムに中出し顔射なんでもありのあれを読んだっていうのかねえマジでそれ言ってるの?
結衣は激しく動揺している俺の脚の間に入ってくると、上目遣いで恥ずかしそうに問いかける。
「ヒッキー⋯⋯。えっと、お、おちんちん舐めてもいい?」
「────」
──死んだ。
羞恥と可愛さとエロさで死んだ。
比企谷八幡、享年二十歳。死因は下半身への血流増加による失血死であった。
「恋人なんだから、許可を取る必要なんてないわよ」
雪乃は結衣の隣に並ぶと、そっと彼女の手を取って俺の肉棒の根元を握らせた。それで覚悟を決めたのか、結衣はペニスに顔を近づける。興奮のあまり言葉を失くした俺をちらりと見上げると、その可愛らしい唇の間にペニスを咥え込んでいく。
「ん⋯⋯」
「歯を当てないように気をつけてね」
結衣は雪乃にアドバイスを受けながら、懸命に俺のペニスをしゃぶる。雪乃とはまた違う温かさに包まれて、肉棒が結衣の口内でびくびくと脈打った。
「んぅ、んっ、ふっ、んん⋯⋯っ」
「ええ、そのぐらいのペースでいいわ。舌も使ってあげて」
「んんっ、はぁ⋯⋯。舌、って?」
「咥え込んだまま、舌で舐めてあげるのよ」
雪乃はそう言うと、つっと俺の裏筋に指を這わせる。そして人差し指と中指で優しく、カリ首を一周くるりと撫でた。
「ここが裏筋で、亀頭の周りの太くなっている部分がカリ首と呼ばれるところ。この辺りを舌でなぞってあげたり、亀頭全体を舐めてあげるのも気持ちいいそうよ」
「きとう⋯⋯。うん、頑張る」
いや、ねぇ、雪乃さん⋯⋯ガハマさん多分分かってませんよ? あと本人のもの使って性技指南とかいやらし過ぎるんですけれども。
今日は二人とも最初からえちえちだなぁ、と俯瞰してみようとしたのも束の間。結衣はもう一度俺のペニスを咥え込むと、じゅぷじゅぷと音を鳴らしながらフェラチオを再開させた。
「んぅ、ん、ぅ、んンんっ、は、ん⋯⋯っ」
「う、おぉぉ⋯⋯」
結衣の舌がぐるりとカリ首を一周して、思わず声が漏れる。これはガハマさん、才能ありかも知れない。あれだけのアドバイスで俺から気持ちの悪い喘ぎ声を引き出すとは、中々やる。
「んっ、ふっ、んぅ⋯⋯。ろう?」
結衣はグロテスクなまでに勃起し切ったペニスを咥えたまま、俺を見上げてそう聞いてくる。
「ああ、すっげぇ気持ちいい⋯⋯」
「ん⋯⋯。よはっは」
俺が髪を撫でてやると、結衣は目を細めて舌と頭の動きを再開させた。まるで従順な子犬のようだと、不意にそう思う。
「んぅ、は、んっ、んっ、んんぅ⋯⋯」
左手はブレないようにしっかりと肉棒の根元を持ち、右手は俺の内腿を撫でてくる。結衣の舌がちろちろと裏筋を舐めたかと思うと、次の瞬間には亀頭全体が快感の渦に巻き込まれる。
しかし、だ。
段々と射精は近づいてきているのに、何かが足りない。雪乃が口でしてくれる時に見せる、徹底的な追い込み。それをまだ彼女は、伝授していないのだ。
「上手よ、結衣。次は吸ってみて」
「んっ、はぁ⋯⋯。こう?」
結衣は聞いたままに俺のペニスを咥え込んだまま吸い付いてくる⋯⋯のだが、いかんせんその吸引力は優し過ぎる。互いの身体を知り尽くしている雪乃と比べてしまうのも酷だが、射精のトリガーを引くには弱いのだ。
「大体合っているけれど⋯⋯。お手本を見せてあげるわ」
雪乃がそう言うと、結衣はちゅぱっと音を立てて俺のペニスから口を離した。結衣が場所を譲ると、雪乃は正面から肉棒を咥え込む。
「んっ、んんぅ、じゅっ、はぁ⋯⋯んっ、んぅっ⋯⋯」
雪乃は俺の内腿に両手を這わすと、手を使わずに口だけで奉仕をして見せる。俺の肉竿をストローにみたて、ちゅうちゅうと強烈に吸引する。
まるでタピオカでも飲んでいるみたいに、しかしそれよりもずっと強く。雪乃の苛烈なまでのバキュームフェラに、俺はあっという間に天国まで連れていかれてしまう。
「んぅ、ンんっ、は、ん、じゅっ、んんぅ⋯⋯っ」
「は、あぁぁ⋯⋯っ! 雪乃っ、出るっ! イクっ、うっ⋯⋯!」
俺は両手で雪乃の頭を抱えると、ドクンドクンと彼女の口内で射精した。肉棒が雪乃の舌の上でびくびくとのたうちまわり、その可愛らしい舌の上に濃厚なものを吐き出していく。嗚呼、僕のタピオカが吸い付くされていっちゃうよぉ⋯⋯。──そんな下らない事を考えていると、射精が止まらない。
「んんっ! ふっ、んぅ⋯⋯。んー⋯⋯っ」
雪乃は最後まで手を抜くつもりがないのか、射精を始めても吸引をやめない。一滴残らず絞りとるとでも言うような行動に、俺のペニスはいつまでも雪乃の口内で脈打っていた。
「うわ⋯⋯すご⋯⋯」
強烈なバキュームフェラからの口内射精を間近で見ていた結衣は、目を丸くしたまま口をぽかんと開けていた。
雪乃はゆっくりと射精を終えたペニスから口を離すと、僅かに唇を開いて口内に出された濃厚な精液を見せる。結衣の顔が、ともすれば情欲に濡れていると言っていい程の熱を灯し、俺の心臓は脈拍を下げる事を知らない。
雪乃が「どうする?」と首を傾けると、結衣は「うん」と頷く。声無き会話の後に、彼女たちはまるでそうする事が自然だと言うように、唇を重ねた。
「んぅ、はぁ、ん⋯⋯♡」
「は、ぁ⋯⋯。んンん⋯⋯っ♡」
膝立ちになった雪乃は上から結衣の唇を奪うと、開かれたその薄桃色の唇の間に出したての精液を溢していく。精液を味わうように舌を絡ませ合い、情熱的に深い口付けを交わす。
ディープキスをしながら唾液交換ならぬ精液交換をする彼女たちを見て、俺のペニスは痛いほどに勃起していた。あまりにも、エロ過ぎる。理性の声が、靄がかかったように遠くに聞こえる。
「ん、はぁ⋯⋯やっぱり一回目は、濃いわね」
「は、ぁ⋯⋯んっ。⋯⋯うん。喉に絡みつくみたいだった」
やがて唇を離した二人は、こくんとその小さな喉を動かして俺の精液を嚥下した。雪乃と結衣が、二人同時にゴックンしてくれたのだ。
「ヒッキー、出し過ぎ。二人で分けたのにすっごい量だったよ」
「お、おう⋯⋯。まあ気持ちよかったから、ね?」
なんつー理由で怒られてるんだと思いながらも、俺のペニスは反省など全くしていないかのようにびくんびくん脈打っている。
「けれどこんなに早く出してしまうのでは、入れてもすぐに射精してしまうわね」
どこか愉悦の混じった雪乃の視線が、俺の瞳を射抜く。
俺と雪乃との付き合いは、それなりに長い。だから次に彼女が何を言い出すか、なんとなく分かってしまう。
「八幡。そこに座りなさい」
「あ、はい⋯⋯」
ほらね、やっぱり。分かってたよ。あと期待もしてた。
そう考えると俺も相当な変態のように思えてくる。俺は後ろ手をついて脚を投げ出して開くと、雪乃が小さく頷いた。この体勢はつまり──。
「結衣。八幡は久しぶりだとすぐに射精してしまうから、今度は足でもう一度出させてあげましょう」
「あ、ああ、足⋯⋯?」
雪乃は結衣の手を引いてベッドに腰掛けると、そう提案する。結衣の反応も無理はない。どう考えても変態チックだし、およそ普通の恋人同士がする行為ではないのだ。
「そう、足。結衣は靴下を脱いでしてあげたらいいわ。きっと汚れてしまうし、その方が彼も喜ぶでしょう」
ははぁ、これはこれは雪乃さん、やはり分かっていらっしゃる。
雪乃はニーハイを履いたままで結衣は生足とか感触の違いが分かっていいでしょう、とか最高の提案⋯⋯というか、想像するだけでやばい。二人がかりなんて、八幡のHACHIMANは耐えられるかしら⋯⋯。
「見て、あの期待した目。早くして欲しくて堪らないって顔よ」
「うわ⋯⋯。ヒッキー、流石にその顔は引く⋯⋯期待し過ぎでしょ」
無茶な事言うんじゃねぇよ、と思いながらもビクビクと肉棒の脈動はおさまらない。揶揄されドン引きされながらも、やはりどうしても期待してしまうのだ。
「けどこうしてあげている時の八幡は、意外と可愛いのよ? 見ていたら分かるわ」
そう言って雪乃は、まずはお手本とでも言うように自らの足を使って俺のペニスを挟み込んだ。ニーハイに包まれた土踏まずに挟まれ擦りあげられる。
尿道に残っていた精液がトロッと雪乃の足に垂れたが、彼女は気にした様子もなく足裏で責め続ける。結衣はその様子を息を呑んだまま固まり、凝視していた。
「う、あ、はぁぁ⋯⋯」
「ほら、こうされるのが好きなの。結衣も一緒にしてあげましょう?」
「う、うん⋯⋯」
雪乃は右足を、結衣は左足を出すと、それぞれの足で俺を分身を挟む。そしてゆっくりと上下に擦り始めると、未知の感覚が俺の中を駆け抜けた。
「は、ぁ、うぉ⋯⋯。これ、すご⋯⋯」
「あ⋯⋯。本当に気持ちいいんだ、これ」
「ふふっ。言った通りでしょう」
俺の反応に調子を得たのか、雪乃は左の足先でつんつんと俺の睾丸を突いた。その僅かな感触ですら快楽と興奮に変わって、さっきから耳の中で心臓の音がうるさい。
それに快感を得る先は、彼女たちの足だけではなく。悩めかしく彼女たちが足を動かす度に、そのスカートの中からちらちらと下着が覗き見えるのだ。
雪乃はライムグリーンの、結衣はピンクの下着で大切な部分を隠しているが、見覚えがあるのは気のせいだろうか。
「やばい、これ⋯⋯。は、ぁ⋯⋯イキそう⋯⋯」
「早過ぎる気がするけれど⋯⋯。いいわよ、射精しても」
雪乃に許されてしまうと、いよいよもって射精を我慢できなくなる。
ニーハイに包まれた雪乃の細い脚が、結衣の剥き出しの生足が、目の前でひたすら俺を気持ちよくする為だけに動く。スカートの奥から俺を誘惑するように、何度も下着が顔を覗かせる。
ふと雪乃が結衣に顔を寄せると、今度は俺に聞こえないように何事かを耳打ちした。聞き届けたらしい結衣は頬を赤らめると、うんと頷く。
「八幡」
「ヒッキー⋯⋯」
二人に呼ばれ、彼女たちの顔を見る。そして二人の視線の落とす先──スカートの方に視線を引き寄せられる。
そして雪乃と結衣はどこかのご令嬢がお辞儀をする時みたいにスカートの裾を両手で摘むと、ひらりと高く捲りあげ、俺にその可愛らしい下着たちを見せつけた。
「は、ぁぁああっ、出るっ! イクっ!」
瞬間ペニスが一気に膨張したかと思うと、途轍もない勢いで精液が噴射された。雪乃と結衣の足に挟まれたまま、俺はビュービューと白濁液を射出する。
心臓が壊れそうなほどに激しく脈打ち、呼吸すら難しくなる。天井に向かって打ち出された精液は、重力に抗えなくなるとドロドロと彼女たちの脚を汚していった。
「あ⋯⋯。本当に出しちゃった。え、すご⋯⋯まだ出てる」
「二回目なのに⋯⋯。呆れるぐらい出すわね」
「うぁ、あ、ぁ、はぁぁ⋯⋯っ!」
彼女たちはそう言いながらも、脚の動きを緩める事はない。ダブル足コキなんて特殊でいやらし過ぎる行為に我慢なんて出来るはずもなく、俺は噴水のように生殖液を発射しては雪乃のニーハイを、結衣の生脚を白く汚していた。
ようやく射精がおさまると、雪乃と結衣は手を握り合ったままベッドを下りる。後ろ手をついてまま荒い息を吐く俺の側で手をつくと、ゆっくり顔を近づけてくる。
「さっきの気持ちの悪い声は何かしら。本当にどうしようもない変態ね」
「本当、さっきのめっちゃキモかった。本当キモいから」
二人は俺の耳元で「ふふっ」と小さく笑うと、ほとんど同時に頬に唇を寄せた。柔らかな感触で挟まれ、異常なまでの多幸感と興奮に包まれる。
雪乃がティッシュの箱を取りにいっている間に俺は結衣と濃厚なキスをして、彼女が戻ってくるとその唇を奪う。流石に脚にぶちまけてしまった精液を飲ます訳にはいかないから、キスを繰り返しながら汚してしまった脚を綺麗にしていく。
「さあ」
雪乃が肉棒に纏わりついた精液を拭き終わると、彼女はベッドに上がって俺を呼ぶ。結衣も頷いて、雪乃の隣に寝転んだ。
当たり前、とでも言うように、俺のペニスは勃起を続けている。その強欲なものをぶるんぶるんと揺らしながら、俺もベッドに上がった──。