ベッドの、その上で。
眼下に広がるのは、制服に身を包んだ雪乃と結衣の姿。
制服姿の彼女たちと、乱れ交わり合う──。そんな妄想をした事がないと言えば、嘘になる。夢想の種にしては事後に酷い罪悪感を覚えたものだが、目の前の光景は妄想でもなんでもない現実だ。
もう少女と呼べる年齢ではなくなった彼女たちは、しかしその見た目は高校に通っていた時と遜色がないどころか、ずっと艶やかで美しい。それに空想の中ですら、彼女たちはこんな求めるような目をしていなかった。
「今日は安全日だから、そのままでいいわ」
避妊具を取ろうと動いた俺に、雪乃はそう声をかけてくる。その瞬間、びくっとペニスが反応した。どうやら俺が最初に交わる相手は、その一言で決定されてしまったらしい。
「ごめんなさいね。今日の一番は、私が先にもらうわ」
「あ、うん⋯⋯」
そんな言葉を交わす雪乃のスカートの中に手を入れると、ライムグリーンのショーツに指をかけた。彼女が僅かに腰を浮かせると、一気に下着を脱がし取る。
「あ⋯⋯」
熱に浮かされ、期待に満ちた目で雪乃が俺を見上げてくる。脚を開かせるとスカートは鼠径部のあたりまで捲り上げられ、彼女の入口が露わになる。
正直、堪らなかった。
制服でセックスしようとしているというのも、勿論ある。結衣に見られながら、というのも興奮する理由の一つとすれば変態的ではあるが、それも否定できない。
胸の高鳴りに鼓舞されるがまま俺は雪乃の秘部に手を伸ばし、その湿り具合を確かめた。陰唇に指を這わせ、クリトリスを撫でればすぐにいやらしい水音が鳴り始める。俺が彼女たちにした愛撫は服の上から胸を揉むぐらいだったというのに、雪乃はすっかり男根を受け入れる準備が出来ていた。
「入れるな⋯⋯」
亀頭を秘裂の間に滑り込ませると、雪乃はこくっと頷く。仰向けになっていたはずの結衣は、肩肘をついて身を起こし、フル勃起してしまっているペニスを見詰めていた。
ゆっくりと、腰を前へと出していく。その度に無数の膣襞がカリ首と竿に絡みつき、ぞくぞくとした快楽に包まれる。避妊具をしていたら逃してしまいそうな感触を、裸のままの肉棒で味わっていく。
「あ、あぁぁ⋯⋯っ♡」
最奥まで到達すると、雪乃はまだ挿入しただけだと言うのに充分に高まっている時のような喘ぎ声を漏らした。快感に支配されたその声はひたすらに甘くて温度が高く、鼓膜と一緒に脳まで溶かされてしまいそうだった。
「本当に、生で入れちゃった⋯⋯」
避妊なしで一つになった俺たちを見て、結衣はごくっと唾を飲み込んだように見えた。
無責任な行動である事は、前から重々分かっていた。それでも彼女に許されてしまえば、俺はそれに抗えない。いくら安全日でも絶対に妊娠しないとは言い切れないと、理性が断末魔のように叫ぶ。
「は、うぁ⋯⋯。やっぱ生、すげぇな⋯⋯」
「ん、ぁ♡ す、ごい、⋯⋯あ♡」
ゆっくりと腰を引いて、また一番奥までペニスを押し込む。その快楽の前に、もう理性の声は鳴りを潜めていた。
緩慢な動きで一突きしただけだというのに、雪乃は快感に目尻を下げている。その表情を見て興奮しない訳がなく、俺は二回、三回と往復の回数を増やしていく。
「あぁっ♡ ん♡ あ⋯⋯そこ、んっ、あぁ⋯⋯っ♡」
雪乃は堪らないとでも言うように身を恥じらせ、自分で制御できない快楽に耐えるように身を捩る。高校の時は皺になるからと言っていつも脱いでいたブレザーもそのままに悶えるその姿は、腰の動きを加速させるのに充分過ぎた。
「ゆきのん。その⋯⋯生ってそんなに違う?」
「ん、あぁっ⋯⋯♡ ええ、よく分かるのよ。あっ♡ 八幡の形と熱さが。あぁ、ん⋯⋯っ♡」
蕩けた表情のまま雪乃は結衣と目を合わせると、喘ぎ混じりで生セックスの感想を伝える。何もかもが俺を興奮させる為にやっているとしか思えない行動に、きゅっと玉袋が上がった気がした。
気付けば俺は雪乃に覆い被さったまま、パンパンと音が鳴るほど激しく彼女を突いていた。雪乃は俺と目が合うと、ふふっと愉悦に塗れた笑顔を俺に向ける。
「凄く興奮した顔をしてるわね♡ あ、んっ⋯⋯♡ 本当に、獣みたい」
「うるせっ⋯⋯」
「あ♡ あぁっ♡ ん、あぁぁ♡ そこっ、あ、凄いっ、んんんっ♡」
挑発するような視線に腰の動きで反論すると、雪乃の膣内がきゅんきゅんと締め付けを強くさせてくる。
二回出した後じゃなきゃやばかった⋯⋯と言いたいところだが、すでにやばい。出せと言われたらすぐにでも射精できてしまうぐらいに、俺は興奮し切っていたし肉竿の方も限界が近い。
「あっ♡ ん、はち、まんっ⋯⋯♡ あなたも、気持ちいい?」
「はぁ、はぁっ⋯⋯。う、あぁ⋯⋯。気持ちいいに決まってんだろ、こんなの」
雪乃の乱れた姿に俺もすっかり火がついてしまったのか、彼女の膝裏に手を差し込むと、大きく脚を広げさせる。結衣に結合部を見せるように、大きなストロークで雪乃の生膣をひたすらに突く。
「こんなのなんて、随分なもの言いね。あっ⋯⋯♡ 全部あなたの所為なのよ? こんなに感じてしまうのも⋯⋯あ、んんっ♡ あぁ⋯⋯♡」
「雪乃」
言葉でも俺を興奮させてこようとする雪乃の唇を奪うと、ズンズンと一番深いところまで肉棒を挿し込む。舌を進入させると、応答する舌を蹂躙するかのように激しく絡みつかせ合う。
もう、限界が近い。まだ挿入して数分。早漏と
「は、あぁぁ⋯⋯っ。雪乃⋯⋯っ」
「ん、はぁ⋯⋯っ。もう、イキそう?」
「ああ⋯⋯」
小さく頷きながら答えると、快感に蕩けた目に囚われる。
蠱惑的に口元は緩み、上気した頬は内包した熱の高さを如実に
「いいわ、出して。私も、あ⋯⋯っ♡ もうすぐだから、最後は激しく⋯⋯」
「ああ、分かった」
あまりに直裁な懇願に首肯すると、俺は腰を振る速度を更に上げていく。乾いた高い音でパンパンと何度も、何度も性交の激しさを音に変換していく。
やがて限界が見えてくると、一つの戸惑いが生まれた。いつもならなし崩し的に膣内射精をしてしまうところだったが、今日は結衣に見られながらという事もある。だから最後は外出しで終わる予定だったのだが──。
「はぁ、はぁっ、あぁぁっ、出るっ! 雪乃っ、出すぞ⋯⋯っ。あ、イク⋯⋯っ!」
「あぁぁああ♡ いい、んっ♡ いいわ、出して♡ 八幡っ♡ 全部、中にっ♡」
ペニスを引き抜こうと腰を引いた瞬間、雪乃の脚が絡み付いて引き寄せられる。そして俺は再び彼女の膣奥までペニスを押し込んだまま、ビュクンビュクンと射精を開始した。
「うぁ、お、おい⋯⋯。は、ぁぁ⋯⋯っ!」
「ん、あぁぁ⋯⋯っ♡ 駄目よ。いつもみたいに、全部奥に出して⋯⋯。あ♡ あぁっ♡♡」
雪乃に抱き寄せられると、俺は何度も彼女の膣内でペニスを脈打たせた。その度に精液は濁流となって雪乃の膣内で放出され、神経が焼き切れるんじゃないかというぐらいの快感に満たされる。
結局、またなし崩し的に膣内で射精してしまった。
俺は雪乃の中でビクビクと肉棒を動かしながら、彼女の頬に口付ける。きゅんとまた膣内が締まり、それに呼応するように俺も尿道に残っていた精子をビュッと発射した。
「え、っと⋯⋯。中出し、だよね? 今の⋯⋯」
「は、あぁ⋯⋯っ♡ ええ、そうよ」
「その⋯⋯どんな感じ? 中に出されるのって」
「そうね、コンドームをしている時とそれほど大きく変わるわけではないのだけれど⋯⋯。いつもより温かくて、彼のが拡がってくるのが分かる⋯⋯という感じかしら」
雪乃と結衣の会話がいやらし過ぎて、俺はいつまでも彼女の中でペニスを脈打たせていた。生セックスの実況の後に生中出しの感想なんて、どう考えても俺を興奮させる為にやっているとしか思えない。
「今日は無理かも知れないけれど、結衣もいつか──」
「あ、あたしも今日安全日だしっ」
「いやお前、何言ってんだよ⋯⋯。そんなの対抗しなくたって」
「違うの、本当だから。ほら」
そう言うと結衣は枕元に置いていた携帯を取ると、何やらアプリの画面を見せてくる。
生理周期管理アプリ、というやつだ。雪乃が使っているものと同じだから、見方は分かる。確かに安全日であるらしいが⋯⋯。
「あと二日⋯⋯。よかったわね。私とほとんど同じ周期みたいよ」
組み敷かれたままの雪乃が、また蠱惑的な笑みを向けてくる。いよいよ興奮と快感の沼から抜け出せなくなった俺は、ゆっくりと射精の終わったペニスを引き抜いた。
「あ⋯⋯っ♡」
ぬるんと固くなったままの肉棒を抜き切ると、栓を無くした雪乃の膣内からトロッと精液が溢れ出した。三度目なのに大量に出したらしく、ゆっくりとシーツの上に精液溜まりが拡がっていく。
しまった──。抜く前にティッシュを敷くのを忘れていた。
これは怒られるやつか、と思って雪乃の方を見るが、未だ夢の中にいるかのような表情を浮かべたままだ。
「気にしなくていいわ。それより⋯⋯」
そう言った雪乃の視線の先は、頬を赤くさせた結衣だった。その目はさっきまでの雪乃と同じように期待に満ち溢れていて、とてもつい最近まで処女だったとは思えない。
「結衣。私の上にきて」
「うん⋯⋯」
結衣は自らピンク色の下着を脱ぐと、くるぶしにそれを引っ掛けたまま雪乃の上になる。四つん這いになった彼女は、まだ羞恥をその顔に残しながら振り返った。
「ヒッキー、いいよ。⋯⋯生で入れて」
「結衣⋯⋯」
三回も、あんなにも出した後だと言うのに、興奮が深過ぎて目眩がしてくる。結衣のスカートを捲り上げると、すでにトロトロになっている秘部が露わになった。肉棒の先をそこにつけると、少し動かしただけでぴちゃぴちゃといやらしい水音が鳴る。
「いくぞ」
「うん⋯⋯。あ♡ あぁぁっ♡」
高く、大きな嬌声が部屋に響く。結衣の尻肉の向こうにずっぷりと生のペニスが入っているところが見えて、思わずその中でドクドクと射精したくなる。
「どう? 初めての生は」
「ん、あぁぁ⋯⋯。すっごい、ドキドキした⋯⋯。っていうかまだ動いてないから、あんまり分かんないよ」
「それもそうね」
くすりと雪乃は笑うと、結衣の頭の向こうから片目だけを覗かせ笑いかけてきた。言われなくとも、俺の役目は分かっている。
「結衣。⋯⋯動くぞ」
「う、ん⋯⋯。いいよ、あ♡ あぁぁっ♡」
またゆっくりと数を数えるように、裸の男性器で生の女性器の中を往復する。雪乃に比べるとどこかフワフワした感触の膣壁は竿全体を間断なく愛撫し、かと言って緩いどころかキツいぐらいの締め付けで俺を快楽の
「あぁ、い、ぃっ♡ んっ♡ ひっ、きぃっ、あ⋯⋯♡ これ、気持ちいい、ぅんっ♡」
結衣に入れて一分もしないうちに、俺はまたパンパンと肉をぶつかり合わせる音を寝室に響かせていた。
腰のくびれのあたりをしっかりと持って、ズンッ、ズンッとその一番奥をノックする。その度に結衣の生膣がきゅうきゅうと俺の分身を搾り上げ、まるで精子を欲しがっているかのようだった。
「そろそろ感想を訊いてもいいかしら?」
「さっきから、んっ♡ 言って、るのにぃ⋯⋯っ♡ ヒッキーの、すごい、形が分かって、んん⋯⋯っ♡ 気持ちいい⋯⋯」
結衣はそう言って振り返ると、淫靡に濡れた瞳で俺を捉える。その仕草に連動するように結衣の中の狭さが増して、不随意に動く膣襞は全てを欲しているように思えた。
情欲に濡れた目で見詰められ続けていると、もう随分と興奮しておかしくなっているのに、更におかしくなってしまいそうだ。深く突き入れた勢いのまま結衣に覆い被さり、その胸を背後から掴んで身体を起こした。
「ひぁ、う♡ んっ⋯⋯。なに、胸は、だ、めぇっ⋯⋯♡ ん、あぁぁっ♡」
背中を逸らしてぞくぞくと震えた結衣の乳房を後ろから揉みしだきながら、ぱちゅんぱちゅんと尻臀を押し潰す。胸を愛撫する前よりもずっと締め付けがキツくなって、駆け上ってくる快感が強く大きくなっていく。
服の上からでも、ブラジャーがごわごわしていても関係ない。俺は最上の感触を両手で堪能しながら、その膣内の温かさと気持ちよさも貪欲に求めていく。
「は、あぁ、うっ、はぁ⋯⋯。結衣、そろそろ出すけど、いいか?」
「ん、はぁぁ⋯⋯っ。あ♡ う、うん⋯⋯」
振り返って頷く結衣の表情は快楽に蕩け切っていて、また馬鹿みたいに反応するペニスがぐりんと反り返った。もう射精を止める事はできない。気持ちよく放精する為だけに我慢を重ねて、結衣の生膣を往復し続ける。
「結衣。どこに出したらいいか、八幡にちゃんと伝えないと」
雪乃は結衣の頭を引き寄せると、チュッと軽く音を立てて唇を奪った。
二人のキスを見る度に、酷く興奮する。同性からも羨まれるぐらいのプロポーションと、完璧な造形を持つ二人。その顔が重なるのはきっと俺の前でだけで、何よりも尊い瞬間だ。
「ヒッキー⋯⋯あ♡ その、中に、んんっ♡ 中に出して、いいよ⋯⋯」
こんな感情、知らなければ良かった。幾人もの視線と慕情を集めた彼女たちが俺にしか見せない顔で、聞かせない声で美しく鳴き──そして膣内で射精しても構わないと、そんな甘言で俺を淫欲の沼に落としていく。
悦楽と優越感、満たされていく隠匿されるべき支配欲と、限界を突破し四散しそうな程の興奮。俺が我慢できる理由など、何一つとして残されていなかった。
「はぁ、あぁっ、結衣、イクっ! 出るっ、うっ⋯⋯!」
「あん♡ あっ⋯⋯あぁぁっ♡ きて♡ ひっ、きぃっ⋯⋯♡ 全部、中にぃっ⋯⋯♡」
強く、一際強く腰を突き入れ、一番奥までペニスをねじ込んで、そして思いっきり射精する。結衣の突き当たりに鈴口を擦り付けながら、ドクンドクンと何度も生の膣内に生殖液を注ぎ込む。
「う、ぁぁ⋯⋯。まだ、出るからな⋯⋯っ」
「ひぁ♡ ん♡ うん⋯⋯全部中に出して。あ、んんっ♡♡」
見えていなくても分かるぐらい、ビュービューと勢い良く射精を続ける。
これは、天国だ。
もうそれ以外の形容のしようがなく、俺は幾度となく結衣の中でペニスを脈打たせる。もはや新たに生を受けた別の生き物のように、制御不可能な肉棒は結衣の膣内を精液で満たしていた。
「は、あぁ⋯⋯抜くな」
「あ、ん⋯⋯っ。うん⋯⋯」
ぬるんっ、と一気に結衣の膣内から射精の終えた陰茎を引き抜いた。そして数秒の後にコプッと音がして、膣内に出された精液が逆流してくる。
結衣の秘裂からトロトロと糸を引きながら垂れた精液が雪乃の陰唇を伝い落ちて、シーツの上にできた精液溜まりを大きくさせる。
「すげぇな⋯⋯」
一頻りこの世のものとは思えない淫猥な光景を眺めると、俺はティッシュの箱を手に取った。何枚かまとめて手に取ると、精液まみれにしてしまった彼女たちの秘部に宛てがう。
「あっ⋯⋯っ♡」
「ん⋯⋯っ♡」
少し触れただけでびくんと反応する彼女たちの秘部から滴る精液を、大量のティッシュを使って拭き上げていく。自分でも信じられないぐらいの量を出したらしく、精液が垂れて来なくなるまで何十枚もティッシュを使う必要があった。
「はぁっ⋯⋯」
事後処理を終えると、俺は気怠さに任せてベッドに仰臥する。天井を見ながらまだ少し荒い息を整えていると、ふと雪乃の顔が視界に入った。
「まだあなたのが綺麗になってないわよ」
「うん⋯⋯。それにまだちょっと大きいままだし」
「へ⋯⋯。おい⋯⋯」
雪乃と結衣は俺の下半身の両サイドにくると、じっと半勃ち程度まで萎えてきていたペニスを見ていた。そしてそうするのが当然かのように、精液と愛液に塗れた肉棒を舐め始める。
「んっ、ふ⋯⋯っ。んっ⋯⋯」
雪乃は亀頭からペニスを咥え込むと、結衣は睾丸のあたりに垂れた精液を舐め上げた。いわゆるダブルお掃除フェラという状態になると、俺の肉棒も黙ってはいなかった。
「おい、ちょっと休憩⋯⋯」
「ん⋯⋯。でもヒッキーの、大きくなってきたよ?」
艶やかに微笑む結衣に心を鷲掴みにされて、それ以上の反論が出来ない。というか実際に再勃起を始めているとか、我ながら絶倫過ぎる⋯⋯。
「んぅ、んっ⋯⋯。はぁ⋯⋯。ええ、休憩なんて要らないって言っているわね」
雪乃は肉棒から口を離すと、竿の部分を握ってその固さを確かめた。彼女たちの舌と口内で強制的に再起動がかけれたそれは、もう挿入するには充分な程に大きくなっていた。
「⋯⋯マジで? 雪乃、ちょっと今日は激しすぎと言うか⋯⋯」
「あら、さっきも言ったわよね。こんな身体にしたのはあなたなのだから、責任は取らないと。ね?」
雪乃は俺に跨ると、ひらりと舞ったスカートの中で俺の肉棒を握った。⋯⋯本気でもう一回戦するらしい。
「今度は私が動くから大丈夫よ。ん⋯⋯、あぁ⋯⋯♡」
「う、おぉぉぉ⋯⋯」
雪乃はストンと腰を落とすと、一気にペニスの先が最奥に到達する。全てをその情熱的な部分に受け入れられた瞬間、肉竿は息を吹き返したかのようにびくんびくんと暴れ出した。
「動く、わね。あ⋯⋯んっ♡」
スカートもブレザーも、ブラウスも何も脱いでいない着衣でのセックスは、制服姿というのもあって俺を限界の先まで連れて行ってくれるらしい。
雪乃の腰に手を添えるようにして、少しだけスカートを引き上げる。その薄暗がりの中で、雪乃の膣がずっぽりと裸のペニスを咥え込んでいた。
「うわぁ、すっご⋯⋯。気持ちよさそう⋯⋯」
「あぁ、んっ♡ ええ、凄く気持ちいいわ。私の中で、八幡のがどんどん大きくなってくるの⋯⋯♡ あぁぁっ♡」
雪乃は腰を上下に振りながら、膣内に収めたペニスの様子を実況する。雪乃の言葉はもはや乱れているなんて次元を通り越して、痴女のそれだった。そんな雪乃に羨むような視線を向ける結衣もまた、その素質はあるのだろう。
「は、あぁ⋯⋯う、ぉ⋯⋯」
「はぁ、んっ、あ♡ あぁぁ⋯⋯♡」
快楽に身悶えるように雪乃が頭を振ると、長く艶やかな黒髪が肩口から流れる。上気した頬の赤みはもう羞恥などの所為ではなく、彼女の性欲の発露だ。
「ん、はぁ⋯⋯♡ ねえ。結衣も八幡を気持ちよくするの、手伝ってくれる?」
「うん⋯⋯。どうしたらいいの?」
「乳首を、あ♡ 触ったり、舐めたりしてあげて欲しいの。そうすると、凄く敏感に反応してくれるから」
「ん、分かった」
結衣は首肯すると、俺のシャツのボタンを下から外し始めた。前をはだけさせると、肌着をずり上げて直接乳首を触ってくる。その瞬間ぞくっと背筋を震わせてしまい、当然結衣がそれを見逃すはずもない。
「あ、本当に気持ちいいんだ」
「ちょっ、おい、結衣⋯⋯っ」
結衣は右手で左の乳首をコリコリと弄ってきたかと思うと、右の乳首を舌先で舐め出した。上目遣いで俺の反応を窺ってくるその視線すらエロチシズムに満ちていて、尿道を精液がせり上ってくる錯覚を覚える。
「あ、んっ♡ これで完全に勃起したかしら?」
どうやら俺は雪乃の意のままであるらしく、彼女の膣内でこれ以上もなく勃起していた。ついでに言えば発射準備も完了していて、後はどうやってこの快感を長い時間得られるかだが──。
「う、あ、あぁ⋯⋯。雪乃、もうちょっと、ゆっくり⋯⋯」
「あぁ、ん、はぁ⋯⋯♡ 無理、よ⋯⋯っ。私ももう少しでイクから、それまで我慢して」
雪乃はそう言うと腰の動きを緩めるどころか更に激しくして、愛欲のままに上下にそのしなやかな肢体を揺すった。
服の中で僅かに揺れる胸と、蕩けるような目と表情。雪乃は全身を使って性行為に夢中になって、また俺から精液を搾り取ろうと膣内を狭める。もう四度射精したというのに、激しい快感と興奮の前にもう何も我慢できない。
「ん、はぁ、あ♡ あぁぁっ♡ あ⋯⋯イクっ♡ あぁ、んっ♡ 八幡っ♡ 一緒に、きて、あ、んっ♡ もう一度、このまま⋯⋯」
「うぁ、ぁぁああっ、で、るっ! 雪乃、俺も、イク⋯⋯っ!」
「いいわ、出して⋯⋯♡ あ♡ あ♡ あぁぁっ♡ もう一回、私の中に出して♡♡」
雪乃の性的過ぎる懇願に誘われるがまま、俺のペニスは彼女の膣内で射精を始めた。重力に逆らうように何度も生殖液をその奥に発射して、次第に亀頭が熱いもので包まれていく。
「は、あぁ、う、ぉぉ⋯⋯」
「はぁぁ♡ ん♡ あ⋯⋯♡ まだ出しているのね♡」
キュウキュウと締め上げてくる膣襞に絡みつかれながら、俺はまだ雪乃の膣内で射精を続けている。また、中に出してしまった。ひたすらに快楽と蠱惑的な言葉に導かれるがまま、雪乃の膣内に性欲の残滓を注入したのだ。
「は、あぁ⋯⋯。もう、全部出したから」
「ええ⋯⋯。ん⋯⋯っ。抜く、わね」
雪乃は俺の言葉を聞き届けると、ゆっくりと腰を上げた。雪乃の秘部はすぐにスカートに隠れてしまったが、彼女の股の間からトロリとまた精液が溢れて、俺の勃起したままの肉棒に滴る。どうやらまたたっぷりと、雪乃の膣内に注ぎ込んでしまったらしい。
「次は結衣の番ね」
「え、ちょっ⋯⋯」
ああ、やっぱり⋯⋯? と思ったのも束の間で、雪乃は何故かそう言って結衣のスカートを脱がせていた。結衣はいきなり下半身だけ何も纏わず、そのくせブラウスもブレザーも着たままというチグハグな格好になる。正直、エロい。主にその意外な程にすらっと長い脚が。
「八幡は見えている方が興奮するみたいだから」
「えっと、そうなの⋯⋯?」
本当にもう、色々と勘弁して欲しい。そんな
「⋯⋯時と場合による」
「ふーん⋯⋯」
多少の抵抗だけは織り交ぜてみてものの、結衣は全く信じている様子はなかった。しかし俺の言っている事は頑然たる事実だ。着衣がエロい場合もあれば、その逆だってある。または今の結衣のような全開チラリズムとでも言うような状態も悪くない。うん、本当にいい⋯⋯。
脳内の俺がうんうんと一人で頷いている間に、いそいそと結衣は俺に跨っていた。肉棒を掴まれる感覚にはっとして彼女を見ると、その先っぽはもう入り口に到着している。
「⋯⋯入れるね」
「う、ぁ、おぉぉ⋯⋯っ」
結衣がゆっくりと腰を落とすと、また柔らかな膣肉で肉棒が包まれていく。勃起したままのペニスが、精液と愛液でドロドロのままの肉棒が彼女の中に入る。俺の分身はぐんっ、と更に背伸びをして、結衣の最奥を突かんとする。
「あ♡ あぁぁっ♡ ん、あ⋯⋯。ヒッキーの、本当に元気だよね」
俺と元気、というキーワードの組み合わせには違和感しかないが、それが下半身に向けられた言葉なら納得するしかない。雪ノ下雪乃という超絶美少女との初体験を経た俺は、無事絶倫スキルを手にしたのだ。そのスキルの被害者なのか恩恵を享受する者なのか判然としない相手が増えるのは、想定外だったが。
「は、あぁ⋯⋯。こんなの見せられて、我慢できる訳ないだろ⋯⋯」
「あは⋯⋯。意外と素直だ」
結衣はそう言って俺に微笑みかけると、しかしその優しい表情とは打って代わって強烈に蠱惑的な身体で俺の敏感な部分を刺激し出した。つまりは俺の上で腰を振り始め、彼女の思うがままのセックスが始まったのだ。
「あ、んんっ⋯⋯♡ あ、すご⋯⋯んっ♡ ヒッキーの、奥に当たってる、あ♡」
結衣が俺の上で、本能のままに腰を振る。始めはゆっくりだったはずの腰使いは次第に激しくなり、強く俺の肉棒を締め上げながら自らも快楽の海へと溺れていく。
制服に包まれたままの乳房は、当然その大きさも形の良さも隠し切れるはずがなく、ぷるんぷるんとその中で暴れていた。思わずその様子を凝視してしまっていると、不意に結衣の背後に黒髪が見えた。
「ふふっ。八幡は、もっとあなたの身体が見たいそうよ?」
「え、ちょっ、ゆきのん⁉︎」
雪乃は後ろから結衣のブレザーを脱がすと、上からブラウスのボタンを外し始める。次第に露出が増えていく、彼女の肌色。あっという間にピンク色のブラジャーが俺の目の前で露わになると、雪乃は前開きのホックを外した。乳首が見えないギリギリのところまで脱がし取られながらも、結衣は腰をくねらせて快感の虜になっていた。
「あ、んんっ♡ ゆきの、んっ♡ それ、ダメぇっ♡」
「あら、でも身体の方は正直よ?」
結衣は雪乃に後ろから胸を揉みしだかれて、ペニスが抜けないギリギリのまで腰を上げた状態で固まってしまっていた。雪乃の指の間から、ちらちらとピンク色の乳首が見える。
「ねえ。結衣は動けなくなってしまったみたいだから、あなたが動いてあげて?」
「⋯⋯ああ、分かった」
結衣の腰を掴むと、俺は下から腰を動かして彼女を突き上げ始める。ずぶんっ、と一突きしただけで結衣の身体が
「結衣、ちょっと締め過ぎ⋯⋯」
「ん、あ、あぁぁっ♡ 待っ、てっ。ひっきぃ、ゆき、のんっ♡ ダメ、これダメぇっ♡♡」
「あら、何が駄目なのかしら」
雪乃は結衣の胸をこれでもかと執拗に愛撫し、その赤くなった頬に唇を寄せる。俺はパンパンと下から激しく結衣を突き上げ、無防備な膣内を激しく往復する。
本当に、なんて光景だろうか。
二人がかりで愛され、制服を乱したまま快楽に溺れる由比ヶ浜結衣。そんな彼女と一緒になれて良かったと、本当にそう思う。
「あぁぁああっ♡ イっ、ちゃうっ♡ あぁ♡ん♡ ダメ、これっ、イっちゃうぅぅ♡」
俺がひたすらに腰を振っている最中に、結衣はがくがくと身体を震わせて絶頂に達した。途端に膣内は強烈な締め付けをみせ、俺も段々我慢できなくなってくる。
「待っ、てっ♡ ねえ、本当に待っ、あぁぁっ♡ ひっき、ぃ、ゆきのん、止まっ、てぇ⋯⋯♡」
「あら、まだ駄目よ。もう少しで八幡も射精するみたいだから、ちゃんと受け止めてあげないと」
「あ、ん♡ んっ♡ 受け止めるっ♡からぁ♡ ゆきのん、手を、離して⋯⋯っ」
「それは無理な相談ね。八幡が夢中になるのも分かるわ。結衣の胸、ずっと触っていたくなるのよ」
愉悦に濡れた目で、情愛に満ちた手つきで、雪乃は結衣を更なる高みに連れていこうとその乳房を揉み続ける。俺も雪乃の意見に同調するように、腰を激しく上下に振った。
「はぁ、あぁぁ⋯⋯っ。結衣、そろそろ、出る⋯⋯。このままでいいんだよな?」
「あ♡ あぁぁっ♡ うん♡ このままヒッキーの、全部、あ♡ 中に出してっ♡ ん、あぁぁ⋯⋯っ♡♡」
結衣の蕩けた目には、漫画ならきっとハートマークが浮かんでいる事だろう。見た事がないぐらい乱れる結衣を愛しく思いながら、俺はパンパンとラストスパートをかける。
「あ、ぅ、ぁぁあ⋯⋯っ。イクっ、結衣、中に、出すぞ⋯⋯っ!」
「ん♡あ♡あ♡ うんっ♡ 出して♡ 中出し、していいよっ♡ あぁぁぁっ♡♡」
「は、あっ、あぁぁっ、出る、イっ、くっ!」
肉棒は一回り大きくなったかと思うと、次の瞬間結衣の膣内で精液を放出していた。ドクンドクンと激しく脈打ち、また結衣の一番奥に向かってザーメンを発射していく。
「あ♡ あぁぁっ♡ ヒッキー、のっ♡ すっごい、出てる♡ あぁぁっ♡♡」
結衣は膣内で精子を受け止めながら、またもがくがくと腰を震わせていた。雪乃が後ろから支えていなければ倒れてしまったんじゃないかと思うぐらいの、激しい絶頂。くたっと力を失う彼女に寄り添ったまま、雪乃は愛おしそうに結衣を見ていた。
「本気の八幡は、凄いでしょう?」
「う、ん⋯⋯♡ すご、すぎぃ⋯⋯」
雪乃に支えられながら、結衣はゆっくりと腰を持ち上げる。栓を失った瞬間、こぽぉっと溢れた精液が、また俺の肉棒に溢れ落ちていく。
しかし、これは⋯⋯。もう、何と言ったらいいのだろうか。
本当にこんな感情、知らなければよかった。愉悦を、性欲を、支配欲を満たされる快感を知ってしまえば、また満たしたくなってしまうのは必定。
「なあ⋯⋯」
俺はそう言って立ち上がると、勃起したままのペニスを彼女たちの眼前に差し出した。やめておけばいいのに、止められない。彼女たちを犯し尽くす快感を知ってしまった俺が今更、止まれる訳がなかった。
「口で、綺麗にしてくれるか?」
「⋯⋯もちろん」
「あ⋯⋯、うん⋯⋯」
どちらともなく唇を寄せると、雪乃はしぺしぺと、結衣はぺろぺろと、俺の肉棒に纏わりついた精液を舐め取り出した。次第にエスカレートしていくその行為は、意外にも結衣から口に咥え込んで加速していく。
「んぅっ、んっ、は、ん⋯⋯んぅっ」
「ん、はぁ⋯⋯。まだ、勃起しているのね」
雪乃は色欲に彩られた瞳で俺を見詰めると、結衣と交代して肉竿を咥え込んだ。じゅぷじゅぷと慣れた動きで、俺を高みへと連れていく。
眼下には制服をしっかりと着込んだままの雪乃と、はだけたブラウスとブラジャーだけで身を隠した結衣。その二人に俺の願いを伝えたら、一体どんな顔をするだろうか。
「なあ」
意を決して声をかけると、二人が俺を見上げてくる。瞬間どくんと心臓が跳ね、また射精が近付いてくる。
「⋯⋯最後は、顔にかけてもいいか?」
俺の言葉に彼女たちは一瞬キョトンとすると、次の瞬間にはそれぞれ情欲に満ちた笑みを浮かべていた。
「ふふっ⋯⋯。好きなだけ出すといいわ。顔射、大好きなのよね?」
「そうなんだ⋯⋯。ちょっと変態っぽいけど、ヒッキーのなら、いいよ」
思っていたよりずっと柔和な反応に、俺のペニスはびくんと大きく反応した。改めて言葉で許可されると、異様なまでに興奮する。
二人はそれぞれの手で俺の肉棒を握ると、シコシコとそれを擦り上げてくる。精液は段々とペニスに装填されていき、臨界点が目前に迫る。
「は、あ⋯⋯っ、う、あぁぁ⋯⋯。出、るっ⋯⋯。二人とも、顔に出すからな⋯⋯っ!」
「ええ、いいわよ。八幡の、顔にかけ、あ⋯⋯♡」
「うん、出して⋯⋯。え⋯⋯、あっ♡」
二人がそれぞれに顔射を許すと、俺は呆気なくも盛大に射精した。彼女たちの手から肉棒を引き継いで自ら激しく擦り上げると、雪乃の顔に、結衣の顔にと交互に精液をぶっかける。
「はぁぁ、う、ぁぁ⋯⋯っ」
「あ、ん⋯⋯♡ 凄い勢い⋯⋯あぁ♡」
「あっ⋯⋯♡ ほんとだ、ヒッキーの、びゅーびゅー出してる♡」
雪乃に綺麗な形をした鼻と唇に、結衣の上気した頬に、長いまつ毛にザーメンが飛んでいく。飛びすぎた精液が雪乃の前髪を揺らし、結衣のお団子頭にぶちまけられる。射精の勢いが弱まってくると、俺は雪乃と結衣の顔へ交互にペニスの先を擦り付け、まるで精液を塗り込むようにドプドプと射精を続けた。
流石に量も少なくなってきているし。濁度も粘度も下がってきている。しかしだからこそよく精液は飛び散って、雪乃のスカートを、露わになった結衣の胸元を白く汚していた。
「はぁ、は、あぁ⋯⋯。悪い、制服汚したな」
「ん⋯⋯っ。まあ、こうなるとは分かっていたけれど」
「うん⋯⋯。ふふっ。でもさ」
結衣はそう言うと、精液のかかっていない左目だけで俺を見上げてくる。
「きっとまた、汚しちゃうんだよね?」
そう言って結衣の手は、未だ勃起を続けているペニスを握っていて。
まだ夜は長いのだと、言外に語るのだった──。
* * *
日曜日の、朝。
普段であれば七時までには目を覚まし、ありきたりなクラシックの曲を流しながら朝食の準備をしているはずだった。
それがもう、午前十時をとうにまわっている。今から用意して食べていたのでは、朝食か昼食か分からない。
健やかな寝息に隣を見れば最愛の人の、酷くやつれた寝顔が見える。そしてその隣には、天使のような寝顔を浮かべる彼女も。
泥のように眠りこけてしまうのは、仕方のない事だと思う。昨晩は私も含めて、誰もが乱れすぎていた。今だってルームフレグランスでは隠しきれない性行為の残り香が鼻腔をかすめ、けれどそれですらどこか愛しいと思ってしまう。
今の私たちを形容するのなら、それは『堕落』だ。寝乱れてほとんど半裸になって、快楽を貪った後に惰眠をも貪る。これが正しいのかと問われれは、まちがっているとしか言い様がない。
それに私の思い描いていた未来だって、書き変わってしまった。もう二人きりで生きて行く事はないだろうし、普遍的な幸せはどこか遠くに行ってしまったように思う。
だけどこれが欲しかったのか? と問われれば、答えは間違いなくイエスだった。想像していたよりずっと淫らな関係になってしまったけれど、それでも答えは変わらない。
私と結衣との間の溝は、隔絶する壁は、ようやく壊れた。劇物のような悲喜劇が、無理矢理に溶かしてしまった──否、溶かしてくれたのだと、そう思う。
彼女は今、どんな気持ちでいるのだろう。それだけが心配になってしまう。
いつも私たちの扉を開け放ってくれて、それでも決して完全に中には入ろうとしなかった彼女。いざこうして私たちの中に入ってきて、後悔していなければいいのだけど。
そんな思念が、伝わったのだろうか。穏やかな陽の光の中で、結衣はうっすらと目を開いた。
「おはよう」
「ん⋯⋯。おはよ、ゆきのん」
まだ微睡んでいるような表情で私を見ると、次に視線を向けた先は勿論彼の方だった。私たちの恋人は余程疲れているのか、寝返り一つせずにすーすーと未だ眠りの中にいる。
「ヒッキー、よく寝てるね」
「ええ」
二つの微笑みの先の人物は、勿論それだけで起きるはずもない。
本当に、贅沢者だと思う。普通なら、大切と思うものを全て手にする事なんて出来ない。折り合いをつけると言って諦めて、いつしか忘れて──それすらも出来なければ、ずっと心に
二人とも選ぶなんて、彼らしくない。けれど彼が自分の気持ちに素直になれた証だろうし、その選択をしてくれなければ、私も同じように贅沢者にはなれなかったのだろう。
「ねえ、結衣」
「ん?」
彼に向けられていた微笑みが、私へと向かう。陶然としていて、甘美な、可愛らしい笑み。
それが余りにも尊くて、続く言葉が凡庸に感じてしまって、不自然に黙ってしまう。しかし声をかけたのは私で、その沈黙を破るのも私だった。
「その⋯⋯。私の事も、呼び捨てにしてくれてもいいのよ?」
私の提案に彼女は少しだけ目を開くと、また柔らかな笑みに目尻を下げた。
彼女のそんな表情を見ると、自分が酷く子どもに思えてしまう。いつだって結衣の微笑みは慈愛と母性に満ちていて、きっとそれは彼女の母親譲りなのだろうと思う。
「んー⋯⋯。ふふっ。それ、すっごい嬉しいけど、あたしはゆきのんって呼びたいかな。どうしてか分かる?」
悪戯っぽい表情が、妙にくすぐったい。
今なら、手に取るように分かる。分からないと思っていた人の心が、彼女の心が。
「あなただけの呼び方、だからかしら」
「そう、正解」
くすくすと笑い出した結衣につられて、私も思わず声を出して笑う。一体いつ振りだろう。こんな風に彼女と笑い合うのは。
何年も一緒に居るのに、数えるほどしかないのが少し寂しい。けれどこれからは、そんな寂しさも少しずつ消していけるのだろうと思う。
そんな想いを込めて、手を伸ばす。
彼女もまたその手を取って、すとんと彼のへその辺りに落ちた。
それでもまだ、彼は起きない。
「大好きよ、結衣」
脈絡も何もない、唐突な告白。
そんな言葉も、彼女には想定外でも何でもないらしい。柔和な微笑みが、優しく私を受け入れる。
「あたしもゆきのんのこと、大好き」
花が咲くように、口元を綻ばせて。
強く、絶対に離れないように、絡ませ合った指に力を入れて。
どちらともなく、目を
それでも。
きっと大丈夫だと、知っている。私たち三人なら何があっても、絶対に乗り越えられると、身を以って知っているから。
「んっ⋯⋯」
僅かな身じろぎと、少し掠れた声。
私たちが目を開けると、その間に挟まれた彼もゆっくりと目を開いた。
彼に言うべき言葉は、私も結衣も知っている。
けれどその次の行動に彼がどう返すのか、少しだけ楽しみだ。
「おはよう、八幡」
「おはよう、ヒッキー」
そう言って私と結衣は、彼の頬に口付けた──。
ここまでお読み下さりありがとうございました。
これにて第一部、八結雪編は完結です。
次話は幕間として八結のお話を挟んで、第二部 八結雪色編となります。
第二部からは週一ぐらいの投稿になりますが、楽しめそうだという方は引き続きお付き合い下さい。