いわゆるエロステータス鑑定を何故か現代で持たされた学生の話 作:オキフの謳
と……意気込んだはいいものの。
昨日は結局それ以降なんの手がかりも得られず、翌日の今、通学中である。
以前も思ったことだが、名前だけぽんと渡されても、そこから個人特定に繋げられる手段を一学生は所持していない。前回、麻衣子の時はたまたま本人にたどり着く必要が消滅しただけで、今回こそはたどり着かねばならない。
(しかし、瀧口泰樹ってどこかで見たような……)
喉元まで出かかっているのだが、出てこない。そんな気持ち悪さを抱えつつ、なんとなく電車内を見回す。
と、目に入ったのはこの間の総性経験値2万超えのあの人。
《鑑定結果》
・名前:植木 紗希
・性別:女
・非処女 初体験:瀧口 泰樹
・総性経験値:22841
ビンゴ! こいつだ!
ということはこのOLさんも催眠の被害者なのか?
以前見たわけだし、行為歴はいらん。どうせこの人の自宅だろうし、数値があまり動いていない以上猿みたいな履歴がもう一度出てくるだけだろう。
《鑑定結果》
・名前:植木 紗希
・性別:女
・非処女 初体験:瀧口 泰樹
・総性経験値:22841
・開花済み性癖:露出癖(重度)、被虐癖(重度)
・状態異常:催眠・隷属(98%)
……可哀想に。そんな感想しか出てこない。
催眠で隷属98%って、ほぼ最後の最後の譲れない一線以外を蹂躙済み、ということだろうか。度合いは回数か、あるいは頻度で増加で、譲れない一線までは侵食できないのか、もしくは放置*1で度合いが減少するのか、そのいずれかもしくは両方か。そして、重度の露出癖と被虐癖なんてつけられて、仮に「シナリオ」の影響から逃れられたとしても、後遺症がやばすぎる。
そして、今この状況で静かに電車に乗っているということは、今が「シナリオ」外だから何も覚えていないからだろう。そんな人から、覚えていないことを聞き出す、というのははっきり言って無理だ。初対面以下なので信用が足りないし、説得して色々と身の回りを調べてもらうだけの材料もない。
この人から催眠術師の情報を手に入れるのは、とりあえず今は諦めたほうがいいと判断した。時間の浪費だけになるだろう。
さて、そうなると、生徒会長側から情報を集めねばならない。
生徒会長を尾行し、それに成功すれば催眠術師と会うところに立ち会えるだろうが、問題が多い。
まず、俺には尾行技術がない。そもそも、プロの尾行は行動範囲を予め調べるか予測しておいて、集団で連携しながら行うものだ。一人でやったりするものではないし、逆に見つかって怒られるところが容易に想像できる。
つまり、尾行はダメだ。
次の手段としては先回りが挙げられる。
エロステ鑑定で出てきた、ニノミヤ公園にいれば、もしかしたらやってくるかもしれない……程度のものだが、現状他に手段がない。
最後に、催眠術師の催眠手段も未調査、ということだ。
催眠系のエロゲーだと、ガチで催眠技術を身につけた、正体不明のアプリをDLしてきた、怪しいチラシからの不思議な通販、果ては超常現象的な手段を学んだ、とかがあったことを思い出す。何らかのアプリとかデバイスを使用してやっているパターンであってほしい、でなければ手段を取り上げることができない。知識や才能は当然取り上げることは不可能だが、道具であれば没収が可能だ。更に、その道具がこちらにも使用可能であるならば、逆に催眠術師を催眠し返してもう悪さができないようにすることもできるだろう。
……まとめよう。
まず第一に、俺の存在を催眠術師に気づかれてはならない。「シナリオ」外の俺が催眠効果を受けるかどうかは不明だが、不明ならば悪い方を想定しておくべきだ。
第二に、生徒会長を「シナリオ」外に引っ張り出すための説得材料、つまるところ証拠を用意せねばならない。水原達の場合は、「シナリオ」の人格と実人格の乖離と、その場合はまああるだろうと推測していたハメ撮りの存在があったため、俺が動く必要がなかっただけだ。一番は催眠術師との行為中*2の写真を撮ってくること、だが……さらに被害をもう一回分見逃すのか? という良心からの責めが辛い。
第三に、催眠術師の催眠方法を特定し、そしてそれを没収しなければならない。道具やアプリを使うのであれば楽だが、ガチの技術とか超常現象とかだった場合、どうすればいいのかが思いつかない。「シナリオ」ブレイクによる無機能化であろうか……狙うならば。
つまるところ、目標が定まっただけで、その解決へ向けた筋道についてはまるで見通しが立っていなかった。
だが、突破口は意外なところから現れることとなる。