いわゆるエロステータス鑑定を何故か現代で持たされた学生の話 作:オキフの謳
テレビで、最近話題になっているアイドルグループののステージが流れている。
何でも、デビューシングルの売れ行きが良くて注目株なのだとか。歌が素晴らしくうまいというわけではないが、この手のアイドルにありがちな下手というわけでもない。女性ウケも悪くないらしく、妹がまさに推しているアイドルグループである。
「意外と歌うまいよねー」
ばりばりと煎餅を齧りつつ、妹の麻衣子がぽつりとこぼした。ちなみに俺はソシャゲの周回中。
「実力派、ってやつなのかなあ。お兄ちゃんどう思う?」
「あー……?」
とりあえずそっとしておいてほしいのだが……俺はこの魚雷満載機体の効率的な攻略をどうにかして考えねばならぬ。
と、いうわけで。
《鑑定結果》
・名前:松本 芳子
・芸名:内山 みどり
・性別:女
・非処女 初体験:土橋 拓也
・総性経験値:554
《鑑定結果》
・名前:高村 直美
・芸名:平木 ひろみ
・性別:女
・非処女 初体験:土橋 拓也
・総性経験値:832
《鑑定結果》
・名前:山中 美智子
・芸名:若松 さやか
・性別:女
・非処女 初体験:土橋 拓也
・総性経験値:786
……誰だよ土橋拓也って。
文明の利器で検索してみると*1、このアイドルグループに出資する音楽レーベルの社長の名前だった。ついでに社長の顔写真を検索して、直近の行為歴を鑑定内容に追加してみると、出るわ出るわ、おそらく今までもアイドルグループを食い散らかしたと思しき一度しか見ない名前の羅列。アイドルとその本名について詳しいわけでもないので、ただの当て推量ではあるが、状況証拠的にギルティであろう。
「……十中八九コネ」
ただ、アイドルというものへの幻想は木っ端微塵であった。
うっかり覗いてしまった迂闊さを反省しつつ、麻衣子に告げてやる。
「え、なんで?」
「出資率トップのレーベルの社長が枕要求する人だから」
「……マジで?」
愕然、とした感じで麻衣子が煎餅を取り落した。そこまで言う必要はなかっただろうか? まあいい、お前もこのもにょもにょ具合を味わうがいい。無論、八つ当たりである。
俺とテレビを交互に見ながら、混乱している麻衣子をよそに、周回を続ける。防御無視攻撃がバンバン飛んでくる以上、タフネスを高めつつ火力を上げて、文字通りやられる前にやれに持ち込むしかない、という相手の編成の悪辣さに罵声を投げつけつつ。
「う、え、う、嘘だー、おにーちゃんのうそっぱちでしょ、信じないもん! おにーちゃんのばかぁ!」
実にステレオタイプ……いや、一昔前の妹系のなにかの発言をそのままして自分の部屋に走り込んでいく麻衣子。
その物音に反応してキッチンから出てきた母親に怒られる俺。
さらにその状況に反応してこっちを向いた父親にも怒られる俺。
長々と続く説教に……いや、言われることは至極最もなのだが、前世からの累計でかなりの年齢の俺にはちょっとこう、堪えるものが。ようやく解放されて、部屋に戻る途中、妹の部屋をノックしてみたが返答はドアにぶつけられる枕の音であった。
ただ、俺は怒った妹の攻撃、というやつを舐めていたらしい。
部屋に入った時、鼻に入った甘い匂いと、机の上の残骸。俺の名前を書いておいた、親父の出張土産のプリンが空になって置いてあった。
「や、野郎やりやがった!?」
いや、大人げないにもほどがある。いくら出張に行ったら買ってきてくれるためそう珍しいものではないとはいえ、食べようと思っていたものが食われたというのは、うん。
取り繕うのはやめよう。
めっちゃムカつく。
しかし、ココで何らかの逆襲をしたところで、麻衣子の最終必殺「両親にチクる」でさらに逆襲されることは目に見えている。こういうところは兄貴って不利だぜ……とか益体もないことをつぶやきつつ、俺は禁じ手を解禁することにした。
・用意するもの
麻衣子の写っている写真
・使うもの
エロステータス鑑定
というわけで、いざ!
さーて、麻衣子のやつはどれぐらいのオナニー猿なのかなっと?
《鑑定結果》
・名前:磯田 麻衣子
・性別:女
・非処女 初体験:青柳 良介
・総性経験値:1022
……は?
…………え…………誰…………?