いわゆるエロステータス鑑定を何故か現代で持たされた学生の話 作:オキフの謳
なんのことはない。
やったことといえば、岡本さん、中田さん、界外さんとのグループチャットに、現在位置を添えてヘルプミーと書き込んだだけだ。
書き込んでからの到着が異様に早かったので、すぐ時間停止発動して合流して連れてきてくれたのだと思われる。マジありがとう、喫茶店の豪華メニューぐらいなら喜んで奢ろう。*1*2*3
そして、ループ序盤程度のクソボスはこの暴力性能だけはクソ高いクソビッチ魔法少女どもにあっさりと粉砕されたのだ。
「……」
なお、その状況についていけずに呆然としていた理沙さんであるが、
「……え? まさか、グリモアノクターン……?」
と、こぼしていたのを俺は聞いた。聞いたのだが……。
さすがに失禁した人をそのままにしておけず、まずは身だしなみを整えてから、ということに。クリーン等で綺麗になったと言っても、それをそのまま履き続けられるか否かは本人の感性によるものが大きく、理沙さんはダメな方だったようだった。
◆ ◇ ◆
とりあえず、ぶっ壊されたドア、俺が即席武器に使って破損した椅子はリペア。その他汚れなどはクリーン。
妖魔?は倒すと一部ドロップを除いて跡形もなく消えるとのことで特別な対応は不要とのこと。
「それじゃあまずは色々と整理しましょう」
情報整理を提案したのは俺だ。
理沙さんの態度、発言から何らかの時間制限があるっぽかったが、それがボス妖魔の時間や場所を無視しての襲撃、ということであれば、こちらには暴力性能がピカイチの魔法少女どもがいるため、ここでの情報共有はメリットがデメリットを勝る、と説得した。
中田さん、魔法少女アルカヌスリーベル。
界外さん、魔法少女マギアストラ。
岡本さん、時間停止能力者、ただしそれ以外は一般人(変態)。
理沙さん、退魔師(リセットにより割とペーペーとのこと)。
俺、エロステ鑑定。
そして、理沙さんに「退魔師理沙」について詳しく聞き取りを行う。
まず、睨んだ通りに、時間制限はヤバいボスの襲撃で表現され*4、うちの暴力スタッフなら問題ないだろうことが推測された。
次に、「シナリオ」から離脱したいことの確認。あの状態でなぜ「シナリオ」に乗り気だったのかが気にかかるところだが、要は「シナリオ」を外れるイコール退魔師としてドロップアウトからの制裁コースで確実な死とか指名手配でまともに暮らせなくなることは確定だったからだったようだ。つまり後がない状態だったのである*5。そりゃあさもありなん、ということである。
さらに次、ブレイクへの道筋検討。水谷たちへの暴露、催眠術師の捕縛とデバイスの奪取、魔法少女どもの推定負けバトルの逆転。参考にできるのはとりあえず今までではこれらであるが、「退魔師理沙」に負けバトルは存在するのか……OPだけでもう通り過ぎたし、勝利ルートも用意されてる?
……おk、じゃあなんか展開に矛盾が発生させられそうなところ……なるほど、割と抜きゲー特化でストーリーもそんななくて、因縁っぽいものがボス撃破で語られるけど特にそのような内容に心当たりがない、と……ぬぐぐぐぐ。
「ゲームの流れとのことですし、クリアしてしまうのはダメなんですか? その……戦力には問題がないんですよね?」
岡本さんの素朴な問いに、俺は少し考え、理沙さんを見る。
理沙さんは少しキョトンとしていたが、言わんとすることを悟ってくれたのか、記憶をなぞっているのだろう、また数秒瞑目し。
「えーっと……いけますね、うん、いけます。普通に、事件は解決、次の事件へまた向かう、みたいな終わり方をして。後はクリア後ダンジョンが解放されて、フリーモードになります。“淑女の尾”に勝てるなら、ラスボスだって楽勝です」
「グッド。じゃあ、基本方針はゲームクリアで。なんか条件満たしていなかったらバッドエンドとかそういうのは?」
「覚えてる限りありません。死んだ後にアプデとかあったらわかりませんけど、発売後5年以上経っていたゲームにそれはないかと」
「ベネ。気兼ねなく殴り倒せばいいわけだ」
と、理沙さんと情報共有を進めていたところ、ふと、アルケインこと中田さんが口を挟んでくる。
「ねぇ磯田、結局グリモアノクターンって何?」
「あ」
「あっ」
そういえば。
それも理沙さんに確認せねばならないことだった。
俺と口を揃えてあっと漏らした理沙さんを見ると、若干気まずそうにしながら口を開く。
「えぇっと……『退魔師理沙』と同じく、私の前世にあったエロゲーです……。その、真っ当に魔法少女をやってらっしゃるお二人を、こう、馬鹿にするつもりはなくて……」
「理沙さん」
「はい?」
きょとんとする理沙さんに、俺は親指でぴっと中田さん界外さんの二人を指し示し。
「この二人は淫乱度マックス経験カンストレベルのもはや淫魔とかそういうのだから気にしなくていい」
「……えええええっ!?」
驚く理沙さんをよそに、笑顔でダブピする中田さんと界外さん。
まあ、その後のグリモアノクターンの説明についても、色々とアレなのだが。
原作のグリモアノクターンは、自分で決めた名前らしいのでアルカヌスリーベルと名前が一致していないというそもそもがあるのだが、グリモアノクターンは本来、とてもおとなしく人見知り気味で清楚な文学少女だったらしい。
「……文学少女……? 清楚……?」
キャスティングミスにもほどがねーか?
また、相方であるステラブレイザーについても、どうやらこちらも発端は自称だったらしく、マギアストラと同じく名前が一致していない。加えて、快活な運動少女だったそうな。
「運動……? 快活……?」
「な~にパパ、文句でもあるのぉ?」
「いえ、なんにも」
しゅっしゅ、とカラテパンチの素振りをする界外さん。
やっぱ、キャスティングミスにもほどがねーか?
また、名乗らないので仮称ミツキくんになっているあのマスコットだが、本来はルーローというらしい。
「美味そうな名前だな」
「エスニックなやつ?」
「ぱぱー、あたしパクチーきら~い」
「たまに食べたくなります」
まあそれはともかく。
原作であれば、怪人の作る幻覚に凄まじく手こずったり、あるいはあの幹部らしきお姉さんとの負けバトルを経て、必死に成長して食い下がる……という流れだったのだが、現実では幻覚が何故か俺には通用しなかったのでそこまで手こずらなかったり、あるいはわざと負けてエロイベ回収みたいなことするわ、その幹部は多分普通に戦って勝てそうだったり、岡本さんの座悪奴*6で沈没したり……やりたい放題である。
ちなみに岡本さんの元ネタはご存じない模様*7。
さて。
話を「退魔師理沙」に戻そう。
現状は、「序盤でだらだらやりすぎて、期限切れに依る強大な魔物の襲撃を受けてしまったが、何故かこれを一蹴してしまった」状態である。
ゲームシステム的には、襲撃タイマーはリセットされて再度カウントダウン中。その間に本来の目標を達成すれば良い。
その目標とは、近所の神社に存在する異界、つまるところダンジョンのクリアである。