※この作品はR-18です。

いわゆるエロステータス鑑定を何故か現代で持たされた学生の話   作:オキフの謳

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生活周辺の通りすがりの美人や有名人を覗いて楽しんでいたら、身の回りが割と淫獄だった学生の話・4

 

 とりあえず、その後はぐっすりと眠ることができた。

 もはや「青柳良介」とやらは麻衣子に手出しすることはあるまいだろうし、今回の経験があれば、麻衣子とて二の轍を踏むこともあるまい。

 ただ……非常に遺憾なことに、俺はただの現代に転生したと思っていたが、もしかするとこれは違うのではないか、と今は考えている。起き抜けにふと、思い至ったのだ。ここはもしや、数多のエロゲーエロ漫画エロ小説などのごった煮世界ではないか、と。言うなればエロのスパ●ボシリーズである。

 そう考えれば、麻衣子がエロゲーの登場人物であることも、おそらく間違いあるまい。だって、そうじゃないとプレイヤーと思しき「青柳良介」がまるで作業を回収するかのように麻衣子に手を出すこともなかったし、回収されるかのように手を出されることもなかっただろう。

 ふぁ●く。

 

 そして、麻衣子の学園生活シミュレーターの世界というには、ハムくん達の巻き込まれている事態が不穏すぎる。あれは別のエロゲーやエロ漫画のシナリオと考えたほうが無理がない。これが、スパ●ボ的世界ではないか、と思い至った理由である。

 

 だから、次にすることも決まっている。

 ハムくんたちの状況を紐解いて、どうにか……これもあやふやな言い方だがどうにかしなければならない。

 なぜならば、俺もハムくんも北林も遠山も、他の二人も、麻衣子も、みんなも、この「現代」に生きているのだから。

 エロゲーやエロ漫画のシナリオだから、あのような淫行に走らされるなのだとしたら、そんなシナリオなどクソくらえだ。

 

「おっすおはよう」

「おう、おはよう」

 

 今日も、仲良く歩いているハムくんと遠山に声をかける。

 

「……。……解決した?」

「一応な。多分もう大丈夫。まあ、別の問題が出てきちゃったんだけどなぁ……」

「ありゃりゃ。そっちの協力はいる?」

 

 ほんと、ここでするっとそういうセリフが出てくる辺り、この二人はマジ善人だ。

 

「んー、この問題は、多分北林のやつが力になってくれそうな気がする」

「そっか。私達に協力できることがあったら、何でも言ってね」

 

 遠山の気持ちはありがたいが、状況をなんとかせずにハムくんに話すことはできない。遠山も然り。

 

「ありがとよ。持つべきものは友達だよ」

 

 こんな素晴らしい友人にクソッタレなことをしでかしてくれているシナリオは、なんとしてもブレイクせねば。

 

 

 

 

「北林、ちょっといいか? ちょっと真面目に相談したいことがあって、今日の放課後いつものカラオケ寄ってかない?」

「いいけど、どうしたんだい?」

「真面目に、ガチで、真剣に、お前に相談したいことがある」

「唐突だね。僕でいいのかい?」

「ああ、お前じゃなきゃだめな案件でなあ。後そこのお前ら? お前らが思ってるような事態じゃないからな?」

 

 学校について、すぐには見当たらなかったが、HR前辺りに戻ってきた北林に約束を取り付ける。

 ……あと、話しのトーンで変な考えを起こしている漫研部員にもチェックを入れる。

 

「磯田がそんな真面目な顔してるの珍しいもんね。いつもは、外を見てなんかニヤニヤしてることが多いし」

「えっ。そんな多かった?」

「かなり。僕も水原も、いつも何を見てるんだろう、って思ってる」

「ま、マジか……気をつけます……」

 

 思わぬ藪蛇があったものの、目的は果たせた。

 後は、放課後にきっちりと片を付けるだけである。

 

 

 

《鑑定結果》

・名前:北林 敏晴

・性別:男

・T:164

・非童貞 初体験:古谷 あかね

・総性経験値:1729

・行為歴

 8時間前:口淫:古谷 あかね:3F男子トイレ

 19時間前:後背位性交:遠山 七枝:ラブホテル「コービサンノミヤ」

 19時間前:後背位性交:大塚 春奈:ラブホテル「コービサンノミヤ」

 19時間前:後背位性交:古谷 あかね:ラブホテル「コービサンノミヤ」

 19時間前:騎乗位性交:古谷 あかね:ラブホテル「コービサンノミヤ」

 

 

「それで、話って? やけにマジな感じだけど」

 

 カラオケボックス。

 二人で個室に入って、対面に座る。

 朝の俺のトーンがマジだったからか、茶化す様子もなく、電子目録を手に取ることもなく、促してくれた。

 

「ああ、それなんだけどさ。昨日の夜9時から10時ぐらい、どこにいて何をしてた?」

 

 そして、俺はまずストレートにぶちまける。

 

「? 家で勉強してた……と……思う、よ……?」

「どの教科の、どの辺りだ?」

「えっ……え、えっと……あれ……?」

 

 思い出せないのだろう。というより、鑑定の結果、その時間帯に勉強なんてしているわけがない。

 どうやら、俺は賭けに勝てたらしい。

 北林があの3人に平気で手を出すようなガチのクズであるなんて、そんなはずはないと俺は信じていた。ハムくんにとっての親友である北林は、俺にとっても親友であるのだから、それは確信を持って言える。もしそうだったらソレはその時はその時だと割り切っていたが、そちらの対処を考える必要はなさそうだ。

 繰り返すが、俺は賭けに勝ったのだ。

 

「そのへんについて、話がある。ガチで真面目な話な。結論を最初に言っておくと、多分誰も悪くない」

「……うん?」

 

 

 

「……落ち着いたか?」

「うん、やっと……ごめんね取り乱して」

「いや、あれで取り乱すのは当たり前だろ。俺だって昨日めちゃくちゃだったろ?」

「そういえば……。磯田は磯田で何が合ったんだい?」

「あー……あったんだけど、被害を被ったのが俺じゃないんで、なにかがあった、ってことだけにさせてくれ」

「そういう事情ならいいけど……でも、まあ、僕の財布にこんな物が入ってたらね……」

 

 事情を説明して……当然、北林は取り乱して、混乱して、否定材料を探すために自分の持っているものを総浚いして、財布からラブホテルのポイントカードが出てきた段階で、俺が嘘を言っているわけではない、ということを理解してくれたようだ。

 あと、吐いた。掃除は俺がした。

 当然だろう、北林は、割といいとこの家ということもあり、そういう方向にはスレていないのだ。

 

「後、多分……スマホのメールとかRineとか写真フォルダに、とんでもねーもんが入ってると思う。これは確認したわけじゃなくて、推測なんだが」

「えぇ……やめてよそういうの。こっちはもうお腹いっぱいで、更に詰め込まれてゲーゲー吐いてきたばかりだってのに……。ごめん磯田、ロックは解除したから君が見て」

「いいのか?」

「いいよもう。こんな状況でもなきゃ、すぐに投げ捨てたいぐらい」

「まあそりゃそうだよな。じゃあ、ちょっと借りるぞ」

「うん」

 

 ぐったりする北林からスマホを受け取り、アルバムを開く。

 そうしたら、出るわ出るわ、色々とヤバいもの……ぶっちゃけるとハメ撮りの数々が。

 自分の知らないところで行われる、予定調和のシナリオであれば「被害者はいない」から喜んでコピったかもしれない。しかし親友二人と、その片方に思いを寄せる女友達3人が巻き込まれているとなると悍ましい物にしか見えない。

 ところが、そんなものをなぜチェックしているのかと言えば、北林が何も覚えていなかったことによる。つまり、シナリオに無意識に行動させられた結果と推測できて、それは他の3人も同様なのか? ということだ。逆に、麻衣子は何があったか覚えていたので、この覚えているいないの差が出る条件はわからないが、この3人の中にももしかしたら覚えているやつがいて、さらにそいつから話を聞けばこの条件もわかるのではないか、ひいては「シナリオ」からの脱却への筋道が見えるのではないか、という本当に手探りな理由である。

 ――しかし、この、極端なことを言うと勘にも近いチェックは、功を奏したようだ。

 

 普通、強引に言うことを聞かされて犯され続ける、なんてことになったキャラクター(今ココはあえてキャラクターという)の反応は、反抗的だったり、あるいは無気力な従順だったりするだろう。

 

『今日の朝フェラお前な』

 

 に対して、返信しなかったり、

 

『やりたくない』

『別にいいぞ?慎吾の前でスマホ落とすだけだから』

『わかったいく』

 

 等の反抗的な応答が普通だろう。

 ところが、

 

『朝フェラ当番こい』

『え、そんなのいつ決めたっけ? まあいいけど。学校でやるのも意外と興奮するよね』

『(ハメ撮り添付)こいつを慎吾に送ってやろうか?』

『実行したらタマ潰すぞ。後なんで目の前にいるのにそういうことするわけ?素直にしゃぶってやらんぞ』

『さっさとこい』

『こいつ話通じてねー。ていうか何なのその横暴さ』

 

 とかなっていたら、「シナリオ」に巻き込まれてはいるものの、完全にシナリオのとおりに動いているわけではなく、そして「シナリオ」関連のことを覚えているようだ、となるわけである。

 従って、次のアクションはこいつを呼び出して話を聞く、ということになる。

 

「はー……なるほどねー……」

「ああ。……その、なんだ」

「んい?」

「意外と……その、取り乱したりしないんだな?」

 

 それで、電話してちょっと真面目な話が、ということで呼び出してきてもらったのが、こいつ。

 古谷あかね。

 

「いや、逆に色々と腑に落ちたというか。道理で、3人共正気?じゃなかったからなんだ、とかね」

 

 ドリンクバーすら注文して、グラスを片手に古谷は言う。

 

「磯っちの言うのが正しいとして、わたしは最初から全部覚えてたからいきなり実は自分がヤりまくりライフ送ってましたなんてことになってないし? というか、うん。最初は敏晴がものすごく遠回しでダメなやり方で告白してきて押し倒されたと思ってたから……」

「……遠回しでダメなやり方?」

 

 いや、北林、それ聞かねー方がいいと思うぞ、俺。

 

「なんか無人の公園の画像出してきて、これをばらまかれたくなかったらヤらせろって」

 

 北林が突っ伏した。

 

「『シナリオ』の中じゃ、わたしは露出徘徊でもしてたの?」

「いや、知らんよ。俺の言う『シナリオ』だって推測でそういうものがあるはず、っていうだけだし。前提にし過ぎかもしれんけど」

「で、まあ……んんっ」

 

 古谷が言いよどむ。まあ、赤裸々に言いかけて止めたのだろう。

 

「別に文句はなかったから、そのまま何度か……ベッドヤクザってやつなのかな、って思ってたら、春奈と七枝まで連れてきてヤっちゃうし、3人共普段と様子が違うし、なんか言っても聞かないし、別のタイミングで話を切り出しても冗談でしょとか言っちゃうし、どういうことなのって思ってたら、磯っちの説明でよーやく理解できたってワケ」

 

 実にあっけらかんと言ってくれる。ただ、気になることが一つ。

 

「お、おう。でも、その、言っていいのかわからんが大丈夫か? 3人共ハム……水原のこと好きなんだろ?」

 

 と言ったら、古谷は「嘘だろこいつ?」みたいな顔をして北林をみる。え、なに? 北林も首を振ってるし。

 

「え、気づいてないの? あれは慎吾を焚きつけるためにわたしと春奈が協力してるだけだよ。まあ、半分遊んでるのも否めないけど、気づいてないのは当の慎吾だけかと思ってたら、あんたもかぁ……嘘でしょ、そこまで鈍いのになんでわたし達の状況に気づけたの?」

「うるせーやい」

「誰だか知らないけど、似たような状況になった人がいるみたいだよ」

「あー、納得……いやいやいや、そしたらそっちにどうして気づいたの、ってのが出てくるじゃない。ねえ、どうして?」

 

 あまり良くない流れである。

 

「いや、見たんだよ、お前らがラブホに入ってくところ」

「まーじーでー。あんな離れたラブホに? デタラメ言わないで?」

「……」

「……はぁ……聞くなってことね。七枝が麻衣子ちゃんの件でグレーっていうか真っ黒な手段使った、って言ってたし、それかしら」

「そういうことにしてくれ」

 

 カマかけかよくそぅ。

 

「で? これ、春奈と七枝には話してないわけよね?」

「そこが問題なんだよな。話すべきか、隠すべきか……『シナリオ』は多分北林が気づいたからぶっ壊れたからもう続かないと思うんだけど」

 

 ここは勘である。

 「シナリオ」を破壊したのでもう動かない、というのは希望的観測に過ぎないが、かと言って麻衣子の経過観察をするわけにも行かないし、そこで北林たちを放置して時間を浪費するわけにも行かないからだ。

 

「ダメね、話さないと。それも可能な限り早く」

 

 が、ここを古谷が断定した。

 

「え、なんで?」

「どうしてだい?」

 

 当然、俺達は疑問を投げかけるわけで、

 

「んー、あー、んー……あんたたち、ちょっと目をつむって下向いてなさい。こっち見たら玉潰すぞ」

 

 無論、俺達は従った。少し、なにやらごそごそと衣擦れやら何やらの音がして、

 

「もういいよ」

 

 改めて古谷の方を見れば、カラオケのテーブルに、なんか見たことのある金属アクセサリが多数。

 

「なにこれ?」

「乳首ピアスにクリピアスに他の場所のピアスいくつか」

 

 迂闊に聞いた北林が、古谷の答えにテーブルに突っ伏した。

 

「こんなんが知らない間に体についてたら大パニックよ、大パニック。ちょっと遅いけど、2人とも春奈の家に集めるわよ。磯っちも来るように、全員が集まったせいでまた『シナリオ』に動かれちゃたまんないわ」

 

 

 そこからは早かった。

 2人を含めた全員が春奈の家に集まり、なるべく軟着陸するような説明をする。

 俺はまた「シナリオ」だの推定される内容のハーレム系主人公のハーレムNTRエロ漫画の説明を、同級生女子3人の前ですることになったりしたが、まあ、些事だ。些事と言ったら些事だ。

 

「なーるほどねえ。最近気づいたら寝ていて朝になってるくせに疲れが妙に取れない理由がわかったよ」

 

 ただ、北林や俺が吐くぐらいショックを受けたというのに、なんであっけらかんとしてるんですかね、このお2人は。

 あるいは、さっき古谷主導で、全身のピアス除去とかもした時に色々と話し込んだりしたんだろうか。

 

「あたしゃ実感がないだけさ。記憶がないし。ただ、あの変なもんとかメールの履歴とか見たら、信じざるを得ないさ」

「そんなことより、磯田くん」

「はい、なんでせうか?」

 

 実感がない。そういう大塚はいいとして、遠山は何か興奮して、燃えている? しかも自分の身に起きたことをそんなこと呼ばわり。

 

「私達がその『シナリオ』に巻き込まれていたことは理解したよ。それで質問なんだけど、本当に『シナリオ』に巻き込まれていたのは私達4人だけ?」

「……というと?」

「慎ちゃ……水原くんが巻き込まれていた可能性はない? 何か、不自然なこと、なかった?」

「不自然なこと……?」

 

 言われてみれば、俺が水原をハムくんと呼ぶ所以である、総性経験値ゼロ、というのもいささか妙と言えば妙だ。人間、性欲は必ず発生するものであり、なのにオナニーすらしたことがない、というのは不自然にすぎる。

 てっきり、俺は4人だけが「シナリオ」の俎上に乗ったと思っていたのだが、例えば、「主人公が思いを寄せる女性(つまり手を出すどころか告白すらしていない)をNTRれる」という状況を作るために、主人公、この場合はハムくんから性欲というものが排除されていた可能性、というものは確かにある。

 遠山はこのことを言っているのだろうか?

 

「不自然といえば……水原のやつ、コイバナとかシモネタとか振っても一切乗ってこないんだよな。この年代にしちゃ妙だし、性欲あんのか? って」

「そう、それ!」

 

 遠山がずずいと身を乗り出してきた。

 

「もうこの際だからばらしちゃうけど、一回裸で迫ったことがあって」

「おま」

 

 絶句する俺。

 

 

「こっちは割と決死の覚悟だったんだけど、『そういう事は結婚してからにしよう』ってあっさり流されたのね。ぴくりともしなかったんじゃないかな。だからちょっとムカついて、春奈とあかねにも手伝ってもらって3人で迫ってみたこともあるんだけど、それもダメで」

 

 お前らそんなことしたの? という視線を向けてみれば。

 いやー、ついノリで、とテヘペロしやがる古谷。いやほんとにテヘペロやりやがった。

 目をそらす大塚。微妙に顔が赤い。

 そんなの関係ない、とばかりにスマホを取り出す遠山。

 

「でもそれも、もしかして。『シナリオ』のせいだったとしたならば……あ、慎ちゃん? うん、私。急でわるいんだけど、春奈の家まで来て? みんなで集まって大事な話してるの。うん、そう。今すぐ。ナウ」

 

 

 

 

 ということで、俺は三度同じ話をすることとなった。まあ男相手なので躊躇はないが、「お前はNTRエロ漫画の登場人物っぽかったんだよ!」といきなり言われて信じられるやつはそうおるまい。

 

「嘘だろ……」

 

 当然呆然とするハムくん、もとい水原。もはやハムくんという呼称は相応しくなかろう。

 だが状況がそれを許さない。

 

「慎ちゃん」

「な、なに? 七枝」

「リベンジ」

 

 *おぉっと みずはらは とおやまに おしたおされた!*

 

「おいおいおいおいおい俺らいるんですけおぉっ!?」

「よっしゃあやったれ七枝!」

「いや、そこあたしのベッド」

「……もうどうにでもなーあれ」

 

 いきなり始まった大騒ぎに、もう止まらないと判断した残りの俺たち4人は部屋の外に出た。出ざるを得なかった。

 俺的には清楚筆頭と思っていた遠山が、割とどころじゃなくかなりの肉食系であったという事実に困惑が止まらない。

 

「あー、そうだよねわたしらがポーズってことに気づかなかったぐらい鈍かったもんね磯っち。七枝、慎吾が反応しないのをいいことにどんどんエスカレートしていったから、慎吾限定でちょー肉食よ、肉食」

『や、やめっ、そっ、そんなところ触らないで!?』

「聞いた話だと、去年夏休みの間、慎吾の前だと常に全裸で過ごしてみたこともあるとかいってたな……」

「マジで!?」

「マジマジおーマジ、それから一緒にお風呂入っても一切えれくちおんしなかったそうだから」

『だめだって、どいて!? でちゃう、でちゃうー!』

「おー。『シナリオ』の効果は慎吾にも及んでいたのが確定したねえ」

「苦節……何年だ? まあいい、そりゃ止まらないよな……」

『あっあっあっ、あーッ!!』

「おめでとう七枝」

「お幸せに七枝」

「それでいいのかお前ら……」

 

 当然、この騒ぎに大塚の親御さんが何事、という顔で覗きに来てるし、それをなんか言いくるめてる北林の苦労人さに憐れみの感情が絶えない。

 

「わたしゃ七枝の恋愛成就に協力してただけだし?」

「同じく。ほぼ片手間だし、事前に根回しは済んでいるからな」

「知らぬは水原と……あと俺か」

「男子にも根回ししたつもりだったんだけど、わたしらに近いからわかるでしょ、って説明省いたわたしらも悪いんだけど。『シナリオ』にそもそもあんたみたいなのは普通いないわけだから、そーとー鈍いんでしょ」

 

 ぐうの音も出ねえ……。

 

「……で。これからどーすんのあんたら」

 

 気が抜けてずるずると廊下にへたり込みつつ、俺は二人に聞いてみた。

 

「どうもしない。敏晴が悪意でやったのならともかく、記憶も実感もないし、傷跡とかそういうものもない。妊娠もしていないようだし、忘れてしまえば誰も思い出さない」

「はー……心が強いこって」

「これが見知らぬおっさんとかなら取り乱してたさ。敏晴で、しかも望んでやったわけじゃない。だから忘れるっていう選択ができるのさ」

「そういうもんかねえ……。古谷は?」

 

 どこまでも強い大塚の言葉に感心しつつ、今度は古谷に水を向けてみる。……向けてみたら、あいつはなんかめちゃくちゃ悪い顔をしていた。

 

「いやぁ……トッシーをベッドヤクザに調教するのも悪くないかなあ、って」

「おい」

「おい」

「だって! みんな覚えてないけどあれめっちゃ気持ちよかったんだもん! なんか色々とおかしいけどまあいっか、ってながされたくなっちゃったんだもん!」

「だもんじゃねえ」

「磯田が介入しなかったらほんとどうなってたんだ……」

「えーと、パターン的には全員妊娠して失踪してNTRビデオレ」

「やめろ解説するなぼやいただけで聞きたいわけじゃない!」

「まあそんなわけでぇ……」

 

 そして、めちゃくちゃタイミング悪く北林が戻ってきた。戻ってきてしまった。

 

「もー、なんで僕に全部ごまかすのとか押し付けるのさ……少しは手伝ってよ」

「わたしとしては責任をとってもらおうかなぁ、って」

「え、責任!? ちょっとまって、まって、あ、あーっ!」

 

 どこにそんな力があるのか……小柄なはずの古谷が、北林を捕まえて大塚の部屋に入っていく。

 ドアが開いている間、遠山の嬌声が重苦しく響いた。

 

「……お家帰りたい……」

「生憎だがな、ここがお前の家だぞ……」

「そうだった……そうだったんだ……」

 

 ぼそぼそとつぶやいて、大塚は膝を抱えて丸くなった。

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