サイバーパンクな忍者世界で不死身の剣士してます 作:ニゴリエース
高坂静流さんから任務の協力要請を受け、6日が経過した。俺は東京地下にある首都圏新外郭放水路で時間を潰している。ここは元々は局地災害の備えとして作られていた施設が、途中で計画が頓挫としたことで長年放置されており、今では東京地下300mに存在する闇の無法都市『ヨミハラ』へと通じる唯一の通り道である。
外の人間がヨミハラへと訪れるには必ずこの場所を通らなければならない。故にここで待っていれば必ず今回俺が護衛するための奴らが通ることになる。そこで合流することになっている。流石に五車の里まで直接出向くわけにはいかない、というか俺がしたくない。黙って出て行った手前、顔を出しづらいのである。
まあこれから会う相手も比較的親しい相手達であるため、素顔で会うのは気まずいので今はお面と外套を身につけ、正体が分からないようにしている。お互いに知らない仲ではないのだからちゃんと顔を出して会った方が連携は取れると思うのだが、今更どの面下げて会えというのか。
俺は無銘剣虚無を弄びながらぼんやりとしていると、通路の向こう側から気配が近づいてくるのを感じる。目をこらすと人影が4つ、こちらに近づいていくるのが見える。そして姿を現したのは年若い男女が4人。そして全員が対魔忍スーツを纏っている。
先頭を歩くのは巨大な刀を背負った女性。若干日に焼けた肌に咥えたばこ、耳にピアスを開けており、無頼然とした雰囲気を纏っている。彼女は確か、上月佐那―――逸刀流の使い手の対魔忍だったな確か。静流さんから渡された資料では確か今回の任務でヨミハラへの案内をする役割だったはずだ。
―――……強そうだな。
彼女の雰囲気からして恐らくそれなりの強者だ。そのためまた疼き始め思わず殺気が漏れそうになるが、協力する相手―――しかも元同業相手に斬りかかるわけにはいかないため、俺は必死に疼きを抑え声をかける。
「あんたらが依頼にあった対魔忍の連中か?」
「おう、上月佐那だ。そういうあんたは確か今回の任務の協力者であってるか?」
「あぁ、ファルシオンって呼んでくれ」
「……ちなみに聞いとくけど、敵じゃないんだな?」
「そのつもりだ、安心しろ仕事はちゃんとこなすからそんな殺気立つなよ」
「先に殺気立たせたのはそっちじゃないのかい?」
「さぁて何のことやら」
上月はニカッと笑いながら答える。しかし目は笑っていない。どうやら僅かに漏れた殺気を感じ取られ警戒されたようだ。俺は両手を挙げて無害であることをアピールしつつ自分が今回の協力者であることを伝える。すると後ろにいた奴がおずおずとした様子で上月に尋ねる。
「えぇっと、佐那さん、もしかしてこの人が?」
「おう、今回の任務のために雇った傭兵だ」
「お前らが噂の独立遊撃隊の連中だな。ファルシオンだ、今回はよろしくな」
「あっ、はい、初めましてふうまです」
「えっ、えっと、上原鹿之助です」
「へ、蛇子です、よろしくお願いしますファルシオンさん」
軽く頭を下げて自己紹介をする三人―――ふうま小太郎、上原鹿之助、相州蛇子。この三人のことはよく知っている。なにせ俺が五車の里にいた頃の元教え子なんだから。里を出て久しく顔を見なかったためか、彼らの顔を見て思わず懐かしい気分になってしまう。しかし今は任務中なので感傷に浸ることはしない。
「今はお前らが雇い主みたいなもんだ、緊張しなくて良いし敬語もいらない。せいぜい上手く使い潰してくれ」
「……分かった、よろしく頼む」
小太郎は軽く頭を下げる。その目はこちらを観察している。初めて見る相手に警戒半分、戸惑い半分といった感じだな。
「時間もないし長話もなんだ、こっから歩いて話すか」
俺がそう告げると、再び全員で歩き出す。目指すは闇の地下都市ヨミハラ―――。
歩き始めてしばらく経った。途中で上月が小太郎達に絡むように話しかけている。どうやら酒を飲んでいてご機嫌のようだ。しかも小太郎に対してセクハラまがいの絡み方をするもんだから蛇子が注意する。しかし何を吹き込んだのか、彼女は途中で顔を赤くして怒りながらずんずんと前へと歩いて行ってしまう。そんな蛇子を上月は笑いながら追いかけていく。
「まるで酔っ払いの親父だな」
「ははっ、そうだな」
俺がそうつぶやくと小太郎も苦笑いを浮かべて同意する。任務中に酒を飲むのは論外だが、彼女の場合はそれが必要なことであるのはあらかじめ資料を通して知っているため、俺はそれをただ眺めて楽しんでいた。すると、後ろにいた鹿之助はおそるおそるといった様子で俺に話しかけてくる。
「あ、あの~、ファルシオンさん」
「んっ、どうした鹿之助?」
「えっ、えっと……どうしてファルシオンさんは、今回の任務に協力することになったのかなって」
「うん、なにか不思議か?」
「い、いやっ、任務で他の対魔忍と組むってことはあったんだけど、傭兵を雇ってるなんて今までなかったから不思議だなぁって思っただけで……」
「あぁ、なるほどな」
鹿之助はビクビクした様子で尋ねてくる。初めて会うということになっている俺にコミュニケーションをとろうと考えたのだろう。しかし彼は昔から臆病なところがあり、こちらを伺う目には若干怯えが混じり、口調はややどもっている。
まるで子鹿だな……と俺はそんなことを思いながら鹿之助の質問に答えることにする。
「別に珍しいことじゃないさ、対魔忍だって人員は無限じゃない。情報収集にしろ戦闘にしろ現地に詳しい人間がいたほうが効率よく行えるだろ?」
「あぁ、なるほど確かに」
「それに向こうじゃ何があるのか分からないさ。なにせさっき上月が言ったとおり、ヨミハラは東京キングダムよりやばい町だからな」
「そ、そんなになのか?」
「ああ、なにせノマドが支配する町さ。薬に人さらい、強盗に殺人とドンパチが基本な場所さ」
「ひっ、ひえぇぇええ……そんなおっかない所なのかよ」
「おまけに大半の連中は闇の住人だ、向こうでは信用できない奴がほとんどさ」
「信用できない?」
鹿之助は話を聞いて更にびびっているが、興味を引かれたのか小太郎も話しに混ざってくる。俺は二人に言い聞かせるように話し始める。
「後ろからいきなり刺されるなんてよくあることさ。雇った傭兵が金に目がくらんで雇い主を裏切って殺す、逆に金を渡すのが惜しくなって雇った連中を殺すなんてことも珍しくない」
「ええっ、そんなこともあるのかよ!?」
「そりゃそうさ。金で動く奴らを相手にするときは、まず疑ってかからなくちゃならない。特に傭兵相手はな。じゃないと、この世界じゃすぐにくたばることになる」
「……じゃあ、あんたもそんな経験があるのか?」
「うん?」
「ファルシオンも、金が絡んで裏切ったり裏切られた経験があるのか?」
俺の言葉に小太郎が反応し質問してくる。そりゃ傭兵がいきなり傭兵を信用するな―――なんて言うんだ。警戒するなって方が無理ある。
「裏切られたことはあっても、裏切ったことはないさ。俺は別に金目的で傭兵やってるわけじゃない」
「えっ、じゃ、じゃあなんで?」
「もちろん金は必要だが、一番の目的は……強い奴と戦えることさ」
「強い奴と戦う?」
「あぁ、俺はいわゆる戦闘狂ってやつでな。単純に力が強い奴、上等な装備で身を固めてる奴、戦略に長けた奴…そんな連中と殺し合いがしたくて傭兵やってんのさ」
「えっ、えぇ……?」
「くくっ、そういう意味では俺も信用ならないかもな。噂の独立遊撃隊であるお前らなら、俺を楽しませてくれるよなぁ?」
「ひぃぃぃいいいいっ!?」
俺の冗談めいた言葉に小太郎はドン引きしており鹿之助は悲鳴を上げて怯える。いかん、からかいすぎたか。
「冗談だ冗談、流石に雇い主に噛みつくような真似なんて俺はしないよ」
「わぶっ!?」
そう言って俺は鹿之助の頭に手を置き、やや乱暴になでる。年齢の割に背が低い鹿之助はちょうど良い位置に頭があるため、五車の里にいたときもこうやって頭をなでていた。鹿之助はいきなり頭を撫でられやや驚いている様子だが、なぜか大人しくなる。
「まっ、俺の話は胸の内に留めておけよ。傭兵が信用ならないのは確かなことだし」
「……」
「お前は頭が良さそうだからな。そういう難しいことはお前がちゃんと考えて指示してやれば良い。それだけで部隊の連中は動きやすくなるし、助かる命も増えるもんだぜ小太郎」
「……えっ、あっ、はい」
俺はそう告げて小太郎の頭をポンポンと軽く叩く。小太郎はぽかんとした表情を浮かべるが、俺は気にせず先に行った上月と蛇子を追いかける。ヨミハラはもうすぐそこだ。
「あー、ここからだな」
「だな、灯りが見える」
「お前ら、ここからは注意して進んでくれ。少し危険になる」
「……あの灯りのことですか?」
少し進んだところで、前方の闇にポツポツと不可解な灯りが見え始める。この放水路に居を構えている武装難民の連中だ。
「あれは武装難民さ。この放水路に勝手に棲み着いて縄張りにしている。奴らを刺激すると厄介だ」
「武装難民……!?」
「うへえ。なんかまたヤバそうな奴らが……」
「そりゃヤバい奴らさ。大陸の経済危機で流れ着いた貧乏人に犯罪集団の塊だ。後がないから誘拐に殺人、金になるならなんでもやる節操ない連中だ」
「そんな人たちがここにいるんですね」
「どうする、全員斬ってくか。時間はかかるがな?」
「いや、アタシが話を通してあるから、余計なことをしなければ大丈夫」
「通行料ですか」
聞いた話だと上月はすでに何回もヨミハラに潜入しているため抜かりはないようだ。俺もここを通るときは金を用意してきて通っているため、いわゆる常套手段みたいなものだ。おかげで出費が痛いし、連中は殺しても後から後から湧いて出てくる。しかもそんなに強くないので斬ってもそんなに楽しくない。
「それなりの金をね。必要経費ってやつさ」
「なるほど……」
すると、武装難民の一団が闇の中から現れる。その手には銃を持ってこちらに向けている。とても歓迎しているようには見えない。俺は小声で後ろにいる小太郎達に話しかける。
(小太郎、さっき言ったこと覚えてるな)
(はい……)
(ふうまちゃん。この人達……)
(ああ……。油断するなよ蛇子)
(お前らは俺の後ろにいろ。すぐに構えられるようにしとけ)
(わ、分かった……)
「よお、ワンの旦那。縄張りを通してもらうよ!」
そして上月が連中のリーダーらしき奴に話しかける。彼女も武装集団の不穏な雰囲気に気づいているのだろう。
「おぉ……。誰かと思ったら、対魔忍の嬢ちゃんか」
「分かったら銃をさげてくれねえか、おっかなくてチビっちまう」
「ヒヒ……。それができれば、こっちもそうしたいんだがなァ」
「あァ?」
佐那の表情が変わって背中の得物に手が伸びる。俺も腰に差した無銘剣虚無を握る。一触即発の雰囲気である。
「おい。てめえ本気か……?」
殺気が膨れあがる。こりゃ、やばいな……。
「マズいぞ、散れ蛇子、鹿之助!!」
「うん!!」
「ひいいいいいいいっ、やっぱりこうなるのかよぉぉっ!?」
ガガガガガガガガガガガッ―――!!!
小太郎が叫ぶと同時に周囲のワンの配下が銃を乱射する。その直前に小太郎達は動き銃弾を回避する。
「このクソ野郎共、どういうつもりだ!?」
「ヒヒっ、通行料の値上がりだよ。特にアンタらのなッ!!」
俺と上月も身を翻して銃弾を回避する。連中は俺たちを追って更に銃を連射してくるが、俺と上月は身体能力を活かして銃撃を躱す。
「逃がすな、囲め!!」
「おう、容赦するな!!」
「ふうまちゃん鹿之助ちゃん、こっちよ!」
「ああ、助かる!」
「うひゃああああ!へ、蛇子ありがとう……!」
蛇子は足を太く長い、タコのような足に変化させて小太郎と鹿之助に襲いかかる銃弾をガードしている。獣化の術―――体の一部を動物に変化させその動物の特性を使うことができる術である。蛇子の場合はタコであり、銃弾程度なら防ぐ防御力としなやかな動きと手数で変幻自在な攻撃を繰り出すことができるのである。
ふうまと鹿之助も武装集団の隙を見ては応戦している。
「なんだってんだい畜生、こっちは安くない金払ったのに!!」
「金で動く奴なんか信用できるか、義理人情もない連中はすぐに裏切るからな!!」
「確かにな、今実感したよ!!」
俺と上月は銃弾を掻い潜る。そして彼女は背中の得物で、俺は無銘剣虚無で武装集団を切り伏せる。
「あの金でどれだけ飲みに行けるか分かってんのか、あァ!?」
「文句言ってる暇あったら一人でも切れ、数ばっかり多くて仕方ない!!」
―――ズシャ!ザシュッ!
「あぎゃっ!?」
「ひぐぅううぅっ!?」
それなりの数の武装難民を斬ったが、連中は湧いて出てきてまるで意味をなさない。まるで蜂や蟻の集団だ、潰しても潰してもキリがない。
「や、ヤバいよふうま、どんどん敵が増えてくるっ!!」
「ああ、このままじゃ囲まれる。佐那さん、ファルシオンさん、一度退いて立て直しましょう!蛇子、煙幕だ!」
「う、うん、分かったわ―――え~~いっ!」
ふうまに言われ、蛇子は口から煙幕―――タコ墨を武装難民に向かってまき散らされる。
「うべっ、なんだこりゃ!?」
「ま、前が見えねえぞ!?」
「おおっ、ナイス蛇子!じゃあお前らいったん退くぞ!!」
「「「了解!」」」
武装難民の連中に襲われた場所から逃げ、十分ぐらい経っただろうか。俺たちは少し離れた場所の物陰に身を潜めている。そしてそこ武装難民の一団が通り過ぎる。
「まだ遠くには逃げてないぞ!!」
「殺せば報酬たんまりだ!!」
連中はそんなことを口走りながら俺たちを探している。小銃頼りでほとんどたいしたことのない奴らだが数だけは多い。手広く捜索して身動きが取りづらいったらありゃしない。
「これじゃあ動けねえな、縄張りから出ることもできねえ」
「佐那さん、何か心当たりありますか。奴らの恨みを買うような……?」
「いや何もねえって、アタシにも何がなにやら……!?」
「……連中は金で動くやつらだ、稼ぎを簡単に不意にするとは思えねえ」
小太郎と上月、そして俺はひそひそと話し合う。俺と上月は何回もヨミハラへ何度も言ったことがある。金を握らせれば連中は攻撃をしてこなかったが、こんなことは初めてだ。
「恐らく俺ら……正確には対魔忍であるお前らを殺せば金を出す誰かが現れたってことだろう」
「ファルシオンさん、誰かって誰なんですか…?」
「予想はある程度できるが断定はできない。あまりに情報が少なすぎる」
「確かに……確証的なことは言えない。ただ予定が大幅に狂ったのは確かだな」
俺と小太郎は腕を組んで考え込む。このままでは任務にも間に合わなくなるだろう。
「参ったな……。奴らの縄張りが通れないとなるとヨミハラに行くのは面倒になる……」
「そ、そんな……こっそり端っこの方を通るとか、だめなんですか……?」
「うーん。あまり気が進まないな。奴らは夜目が利くから」
「他のルートもあるが、そっちはあまりお勧めはしない。危険度はそっちの方が上だ」
あそこは坑道になっており内部が複雑だ。魔界の門を通じてデビルワームが巣を作っている。人間なら簡単に食い殺すことができるサイズが大量にいて、どこから出てくるかも分からない。あいつらを相手するくらいなら武装難民のほうがまだマシだ。
「じゃ、じゃあ……おい、俺たちどうするんだよふうまっ!?」
「そうだな……」
鹿之助の怯えたような言葉に、小太郎は考え込むように首を捻る。するとなにか考えついたようだ。
「よし、思い切って『あれ』を試してみるか!!」
「「『あれ』……?」」
「まさか格好一つでこうも簡単に通してもらえるとはな、少しは疑えってんだ……」
「しっ、あんまり声出さないでください、連中に聞かれたら大事です……」
「しかしよくこんなこと考えつくな……」
今、俺達は全身をみすぼらしい服で包んでいる。先ほど気絶させた武装難民の衣服を剥ぎ、それを身に纏っているのである。
小太郎の作戦はいわゆる変装である。武装難民の連中は全身を覆い隠すような衣服のため、顔は見られないため簡単に見た目をだますことができる。現に連中は武装難民の格好をした俺たちをすんなり通した。これにより奴らの縄張りに入り、ヨミハラへと行きながら武装難民に俺たちを襲わせた連中を探ろうって魂胆だ。
そして思惑通り、武装難民の連中は俺たちに気づくことはなかった。さらには明らかに連中とは身なりが違う武装した集団を見つけることができたため、小太郎がリーダーであるワンより言伝を預かったと言うと、ご丁寧に案内し始めたのである。
周りには武装難民とは違った上等な武器を持った重装備の兵士―――そして英語でしゃべっている。まず間違いなく米連の特殊工作員だ。となると武装難民を雇ったのは特務機関Gで確定だな……。
俺はそんなことを思いながら米連の兵士に続いて歩を進めていく。すると目の前に明らかに異質な格好をした兵士がいた。
(噂のサイボーグ兵士、それも隊長か……)
周りの米連のエージェントの会話から、この目の前にいるのは連中の隊長―――連中からはヘスティアと呼ばれていた。格好からしてサイボーグだと丸わかりだ。
「やあ、どうもどうも。お忙しいところすみません」
「ほんまやで。お前らボケがチンタラしとるからこっちまで大忙しや」
「なんで関西弁……」
「しっ……」
ヘスティアが関西弁で喋りだしてしまったため思わず小声でツッコんでしまったがすぐに俺の横にいた上月が注意してくる。いやだっておかしいだろ米連のエージェントがなんで関西弁で話してんだ。
「で、ワンのメッセージって何や?」
「その件ですが……まあ、立ち話もアレなんでお茶でも飲みながら」
「はア!?お前らが対魔忍ども逃がしといてなに眠たいことぬかしとんねん!!」
小太郎の言葉にヘスティアはすごい勢いでキレて凄んでくる。
「舐めとったらケツの穴からナノマシン突っ込んで腹ん中ホルモン焼きにしたるぞっ!?」
「いやだからなんで関西弁なの……」
「しぃっ……!」
思わずヘスティアの口調にまたツッコんでしまうが、小太郎ののらりくらりとした態度がお気に召さなかったのか、ヘスティアは改造した両腕を上げて火を噴く。
(火か……奴の言葉から恐らくナノマシンを使った発火攻撃か)
小太郎により思いがけない情報も入った。わざわざ手の内を晒してくれるなんてありがたいことだ。
「あの、いえ、舐めてないです……。そ、それではワン様よりメッセージをお伝えします。あなた達は、どうして対魔忍を追っているんだ……と」
「なんやそんなことかい。そりゃターゲットが被ったからや」
(佐郷文庫だな……)
「奴らとヨミハラでぶつかる前に、ここで潰してやった方が話が早いっちゅうこっちゃ!!」
「なるほど。対魔忍と、あなた達の任務のターゲットが被った、と……」
小太郎は腑に落ちたというように肯いた。あらかじめ答えを知っている俺からすれば当たり前の話だと思った。なにせGの連中は佐郷文庫を抹殺するために来ているのである。連中からすれば彼を保護しようとする対魔忍は任務を邪魔する連中―――消そうとするのは当たり前か。
するとヘスティアは何かに気づいた様子になる。
「……ちょっと待て。それ、ワンのボケには説明したはずなんだが。お前、何でまた聞いとるんや」
「えっ、そうでしたっけ……おかしいなぁ、アハハ……?」
「いやいや、おかしいやあらへん。お前ら、もしかして……
「「「「「……っ!?」」」」」
まずいな、感づかれたか……俺は思わず身構えそうになる。
「もしかして……ワンは忘れっぽいんか?仕事の基本やぞ、次からはしっかりメモを取れって伝えとけ!!」
「……アホかこいつ」
「しぃいっ……!!」
どうやら向こうは勝手に勘違いしてくれたようだ。おかけでまたツッコんでしまったが、これなら楽に切り抜けられそうだ。
「は、はいっ、伝えておきます……!」
「よっしゃ、なら話は終わりや!うちらはもう行くからな、お前らも気張って働けや!!」
そう言い捨ててヘスティアと米連部隊は地下空間の奥へと移動していった。
「いや、一瞬ドキッとしたけど……あいつチョロいな」
「うん、びっくりだぜ」
「ヤバいね。ビビるくらいチョロい」
「米連にもいろんな人がいるのね」
「いやだからなんで関西弁」
「ファルシオンさん、まだそこ気にしてたのね……」
俺たちはヒソヒソと囁きを交わす。皆の言うとおりチョロい女だったなあのサイボーグ。
「米連が一枚噛んでたとはな……。ややこしくしてくれるぜ」
「ターゲットが被ったって言ってたわよね」
「俺たちがヨミハラでやる任務と関係してんのかなぁ?」
「へえ、米連も狙うターゲットか。面白そうな任務じゃん♪」
「佐那さん、またそんな適当なことを……。でも、米連から報酬が出てるとなると、武装難民も簡単には諦めないな」
「だろうな、なにせ連中は金にがめつい奴らだからな」
恐らく米連からは巨額な金を提示されたのだろう。そんなおいしい話をあのクソ共が逃すはずがない。死に物狂いで追いかけてくるだろう。
「……となると、この姿でヨミハラまで進むのが得策か」
「そうだねぇ。これを被ってれば、奴らの縄張りもフリーパスだ!」
「それができりゃ御の字なんだけどな……」
「んっ、なにか気になることでもあんのか?」
「いや、何か忘れてる気がしてな……」
この格好ならば襲われることはない―――そう上月は思っていたようだが、俺は頭の奥に何かが引っかかって仕方ない。何か忘れているような気がしてならないのである。
「グルルル……」
「ん、なんだ……?」
闇の中からうなり声が聞こえてくる。目をこらすとそこにいたのは―――。
「グル…グルル……!」
「あら、大きなワンちゃん……?」
「まずい思い出した、魔犬の群れだ……武装難民が飼いならしてる奴らだ!」
巨大な魔犬の群れが、俺たちを取り囲むようにして現れる。忘れていた、武装難民は狩りのために魔犬を飼い慣らしてるのだ。そして奴らの鼻は異常なほど敏感だ。つまり―――。
「オンオンッ、オンオンオンオンオンオンオンオンオンッ!!」
「マズい、匂いだ、匂いでバレたッ!!」
「うそおぉおぉっ、こんな敵の真ん中でかよぉおぉっ!?」
魔犬が獰猛な牙を剥き出しにして吠える。その吠え声に反応して米連の兵士と武装難民がぞろぞろと集まり始める。
「どうした、何があった!?」
「犬共が反応しているぞ!!!」
敵地のど真ん中に来たのが裏目にでたな、囲まれて逃げられそうにない。第二ラウンド開始ってところか…… 。俺は若干辟易しながら無銘剣虚無を抜く。せめてあのサイボーグ女と戦いたかったなぁ……。
3周年カウントダウンイベントガチャで石全部使ってもSRの時子さんが来なくて絶望してます(泣)
オリ主のヒロインに追加するなら誰が良い?
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甲河アスカ
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鬼崎きらら
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神村舞華
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馬鹿野郎全員ふうまの嫁だろ