※この作品はR-18です。

サイバーパンクな忍者世界で不死身の剣士してます   作:ニゴリエース

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※今回は少し短めです。


『後悔は先に立たず』

 神話級の鬼族というのは例え手練れの対魔忍であっても驚異的な存在だ。単純な戦闘力と耐久力だけで他を圧倒し、人間など一撃で粉砕できるほどの力を持っている。

 

 ヤマタノオロチは典型的なパワータイプで酒場で見た大剣の一撃は凄まじく当たれば即死は免れないだろう。ましてや小太郎達はまだ学生で実戦経験に乏しいはずなので、苦戦は免れないだろうと考えていた。

 

だがそんな俺の考えに反し、戦いの展開はこちら側の一方的なものであった。

 

「ひいぃいいっ!!ヤマタノオロチさんごめんなさぁぁぁぁぁいいっ!!」

 

鹿之助はビビりながらもアウトレンジから手裏剣を使う。ヤマタノオロチはそれを避けることができずそれを真正面から食らってしまう。

 

「ぐぅぅっ!!?

 

「―――行くわよ!!タコ足四刀流“Tentacle Slashッ!!」

 

 そして中距離から蛇子がタコ足を利用した小刀の連続攻撃が繰り出される。

 

「にしし♪おねーさん、足もとがお留守だよ~?」

 

「オラオラァ!!どこ見てんだよクソ女!!」

 

 更に蛇子の攻撃に続いてさくらと俺が接近して攻撃を食らわせる。

 

 

 

 

―――ザシュ!ザシュザシューーッ!ズバァッ!

 

 

 

 

「がぁああ、このガキどもおぉっ!チョロチョロしやがってぇええっ!!?」

 

 連続で攻撃を食らい、ヤマタノオロチは憤怒の形相で大剣を振り回す。だが、その剣先が狭い坑道の天井に擦れてつっかえて振りが遅くなる。その隙に俺は距離を取り、さくらは足下の影からするりと姿を消してしまい攻撃が届かなくなる。

 

「があぁああああああああっ!!糞っ!?糞があぁぁあっ!!」

 

 一方的な攻撃に怒りの感情を昂ぶらせヤマタノオロチは更に剣を振り回すが、坑道のあちこちにぶつかり彼女の動きは鈍くなっていく。まさにドツボにはまった状態だ。

 

「―――地の利がないって奴だな。この狭い坑道では、あんたのでかい得物は不利なんだよ」

 

「ッ!!?なんだとぉおっ!!?」

 

 小太郎の言うとおり、この坑道は狭くヤマタノオロチが持つ大剣を振るうには明らかに狭いのだ。それを見越して小太郎は戦いの場を坑道跡に選んだのだろう。

 

さらにさくらの影遁の術、そして小振りの得物なら坑道の狭い通路に影響されず自由に振るうことができる。無論俺の無銘剣虚無も威力のデカい攻撃は坑道が崩れる可能性があるため放つことはできないが、普通に振るう分には問題ない。

 

 さらに中距離から蛇子、遠距離から鹿之助の攻撃でヤマタノオロチの集中を乱している。それがますます彼女を激昂させて冷静さを失う。完全に小太郎の指示に言いようにされている状態である。

 

「え~~~いっ!!!」

 

「おらあぁあああっ!!」

 

 そして再び俺とさくらが接近し縦横無尽に相手を切りつける。いくら神話級の鬼族とはここまでやられると流石に満身創痍となっていった。

 

「あがっ!!?ぐぅぅ……ヒヒ、ヒヒヒヒ!!ああ、わかったわかったよ!!」

 

 突如ヤマタノオロチは構えを解いて笑い出す。

 

「んん?おねーさん、降参かな?」

 

「おいおい、もう止めちまうのかよ」

 

「ヒヒ!あぁ、その通り降参さぁ。―――ふうま小太郎ッ!!!てめえ、次は絶対に殺す―――」

 

「あっ!?」

 

「ああ!?逃げちゃった―――!!?」

 

 ヤマタノオロチは捨て台詞を吐くと踵を返し、坑道の奥の闇へと駆け去った。流石は歴戦の傭兵と言うべきか、引き際はちゃんと心得ているらしい。

 

「この~っ!?待ちなさい―――!」

 

「バカ、追わなくていい」

 

「ぐぇっ!?」

 

 逃げたヤマタノオロチの後を追おうとするさくらだが、俺は首根っこを捕まえて押さえる。彼女は少し咳き込むと恨みがましく俺を睨み付けた。

 

「げほっ……なんで止めるのさおじさん!」

 

「おじさっ……俺はまだ20代だ!って、そうじゃなく……こんな複雑な坑道でいちいちあんな奴追ってたら更に時間を食うことになる。静流さんが言ってたとおり、今は任務が優先だ」

 

「でも……あの人、めちゃくちゃ強いよ。それこそ、ふうま君の作戦が無ければどうなってたかわからないくらい―――今が、倒してしまえる絶好のチャンスだと思うけど……?」

 

「そ、そうだぞカムイ先生っ!!それにあの人、たぶん、すっごく根に持つタイプだぞっ!?

 ふうまもそう思うよなっ!?」

 

「まあ……俺もそうは思うけどな」

 

 さくらや鹿之助に対して蛇子も同意見なのか、佐郷さんを支えてうんうんと肯いている。確かにあのタイプは根に持つとしつこい。それこそ仕返しをしなければ気が済まない奴だろう。

 

「あいつは俺がなんとかする。絶対に小太郎には手出しさせないよう根回ししておく。それでいいな、小太郎?」

 

「はい……まあ、俺の方も念のために二度と会わないようにしときます」

 

「そうだな、それが良い」

 

 とりあえずヤマタノオロチはツケが厳しいと言っていたからな。立て替えておけば意外とコロッと忘れてくれるかもしれないし。俺はそんなことを考えながら小太郎達に追っていった。地上はもうすぐだ―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヤマタノオロチとの戦いから一時間後―――俺は別の意味で嫌な予感がしたので変身を解除せずに小太郎達について行き、五車の迎えとの合流地点にたどり着いた。そしてそこにいたのは――――。

 

「―――来たか。潜入任務、ご苦労だったなお前達」

 

「紫先生っ!!?」

 

(うぅわぁぁぁ……嫌な予感すると思ったけど、やっぱり紫かよぉ)

 

 そこで待っていたのは俺の古くからの友人にして元同僚―――五車学園の先生であり、未来の対魔忍のエースと呼ばれている八津紫であった。まさか知古に再び会うことになるとは……今日は厄日か。黙って里を抜けた手前、顔は合わせづらいのでやはり変身は解除して無くて正解だったな。

 

ちなみにさくら(小太郎の話によると別次元からやってきたこの世界のさくらとは別の存在らしい)は紫から別次元の自分の話が伝わるとマズいらしいので小太郎の影の中に引っ込んでいる。くそぉ、今だけ影遁を使えるのがうらやましい!

 

「うおぉおおおおおおおっ!!?俺達はやったぞぉおぉおおっ!!

 ゴールっ!ゴ~~~~~~ルッ!!」

 

「いえ~いっ♪やったわねみんなっ!!

 ひゅ~っ、どんどんぱふぱふっ♪」

 

 蛇子と鹿之助は喜びすぎて変なテンションになっている。だが学生にとってはそれだけ大変な任務だったのだ。米連のサイボーグに地下都市での鬼ごっこ、果てには神話級の鬼族との戦闘だ。不運が重なって随分ハードな任務内容になったな。俺はしみじみとそう思った。

 

「あなたが今回の協力者のファルシオンだったな。今回はご苦労だった」

 

「―――ん?ああ、気にしなくて良い。これからもどうかご贔屓に」

 

 ふと紫は俺に目をとめて手を差し出してくる。俺は内心バレてないかドキドキしていたが、案外平気らしい。俺は彼女の手を握り握手に応えた。だが次の瞬間、握っていた手が万力の如く締められる。そして俺の眼前に拳が飛び込んできた。

 

 

 

 

―――ドゴオォッ!!!

 

 

 

 

 

「―――ふんっ!!」

 

「ぶべらぁっ!!?」

 

「「「っ!!?」」」

 

 顔面に強い衝撃を受けて俺は吹き飛ばされる。そして近くにあった柱に激突し体が半分以上めり込んだ。どうやら紫に殴られたらしい。衝撃でクラクラする頭を払い、正面を向くと凄まじい怒気を放っている紫が目の前にいた。あっ、これバレてる、死んだ……。

 

「仮面で顔を隠した程度で私が分からないと思ったのか……何年お前と共にやってきたと思ってる」

 

「―――いったぁ……!だからっていきなり殴るこたぁねえだろ……」

 

「……今のは、黙って出ていった分だ」

 

「……それについては、悪かっ―――」

 

「ふんっ!!」

 

 

 

――――ドゴオオォォオオオオオオンッ!!!

 

 

 

 

 

「ごぶぅっ!!?」

 

 俺が謝るより先にまた紫の拳が顔面に炸裂した。やめて、すぐ再生して死なないけどお前の拳痛いんだから!俺にはお前に殴られて喜ぶ趣味ないから!それで喜ぶのはあの“変態ストーカー魔科医”だけだから!!

 

「これは私たちに相談しなかった分だ!!……今は任務中だからこれで勘弁してやる。次会ったら殴ってでも五車に連れて帰るからな」

 

「……悪い」

 

 どうやら今回は殴っただけで見逃してくれるらしい。俺は謝罪と感謝の意を込めて小さく謝ると、紫は小さく鼻を鳴らして佐郷さんの方へ歩いて行った。

 

「貴方が佐郷氏か。地上で政府の迎えが待っている。一緒に来てくれるかな」

 

「―――ああ。世話になる」

 

 佐郷さんは小太郎達の所から離れる。しかし紫について行く途中で振り返った。

 

「―――若様。何もかも虚しくなった……あの時、俺はあんたにそう言ったが……今は少し違う」

 

「佐郷さん……?」

 

「あんたが何を為すか、ふうまをどんな風に導いていくのか……その先が、見てみたくなった。

 ……叶わぬ願いだがな」

 

「叶うよ。そのために俺も全力を尽くす」

 

「ふふっ―――」

 

 どうやら今までの小太郎の言葉や行動を見て、佐郷さんの中で何かが変わったらしい。あの何もかも諦めたかのような雰囲気だったあの人が、新たな希望を見いだした様子だ。彼は無言で微笑むような仕草をして今度こそ紫の元へ向かっていった。

 

「―――さて、任務は完了だ。お前達は五車に戻って良いぞ」

 

「えっ?」

 

「ここで?」

 

「解散ですか?」

 

「なんだ?問題でもあるか?」

 

「いや、そうじゃないですけど……せめて地上まで、佐郷さんを見送りに」

 

「……見送りに?」

 

「ええ……最後まで、見届けたいっていうか……?」

 

 紫の言葉に驚く三人―――そして代表して小太郎が紫に佐郷さんの見送りを打診した。だが、紫の態度はまるで有無を言わせず、それを却下する。

 

「いや、その必要はない。お前達も疲れているだろう?

 後はこちらに任せておけ」

 

「は、はあ……?」

 

「不満か?」

 

「い、いえ……そんなことは……」

 

「良し。ならばここで解散だ」

 

 紫はそう言うとチラリとこちらを一瞥する。が、すぐに視線を外して地上へ続く階段を、佐郷さんを連れて上がっていった。

 

「―――んじゃあ、これで俺もお役目ごめんだな」

 

「えっ……カ、カムイ先生も?」

 

「そんな顔するな小太郎。今の俺は傭兵―――俺の依頼はお前らの護衛だからな。終わったらさっさと引き上げるのが傭兵の鉄則さ」

 

「「「……」」」

 

「まあ、心配するな。別に今生の別れじゃ無いしな……でも、そうだな。これをやるよ」

 

 別れを惜しむような表情を浮かべた小太郎、鹿之助、蛇子の顔を見ながら俺は変身を解除する。そして懐からあるモノを取り出しそれを小太郎に渡す。

 

「えっ、これは……?」

 

「俺との初任務のご祝儀みたいなもんだ。それで稲毛屋のアイスでも買いな」

 

「えぇぇぇえええっ!?ちょ、ちょっと待ってくれ、これ結構分厚いよな!?ぜ、全部でいくら入ってるんだよ!?」

 

「全部で200万くらいか……本当は武装難民とこの通行料として用意しんだがな。ちゃんと仲良く分けろよ?」

 

「うひゃぁああああっ!?す、すげぇ……カムイ先生って金持ちだったんだな!!」

 

「蛇子もびっくりしちゃった……あれ、でもこのメモは?」

 

「俺の連絡先……何かあったら呼びな、すぐにお前らの所に飛んでってやる。特別にタダでな」

 

「「「―――っ!」」」

 

「……しばらくはヨミハラにいる予定だからな。もしかしたらすぐ会えるかもな」

 

「……あぁ、今度も頼りにしてるよカムイ先生」

 

「蛇子も、また会えるの楽しみにしてます」

 

「うぅ~~、カムイ先生もその内五車に戻ってきてくれよ!絶対だからな!!」

 

「ハハ、考えておく……ほら、佐郷さん見送るんだろ?早く行ってこい」

 

「「「はいっ!!」」」

 

 三人は笑顔で応えてそのまま階段に向かってかけていく。俺は彼らに向かって手を振り、別れを告げると踵を返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は代わってヨミハラ―――俺は再び坑道を通ってここに戻ってきた。そして俺は裏通りに入り、ある部屋の中へ入る。そこは俺がヨミハラに来る際に使用している拠点だ。俺は東京キングダムだけでなく、いくつかの重要都市を訪れた際にわざわざ宿を探さないで済むようにいくつか物件を購入し拠点として利用している。ここもその内の一つだ。

 

 俺は無銘剣虚無を壁に立てかけて息を吐きながら床に座る。任務が終わり、どっと感情が抜け落ちたような感情に陥る。

 

「はぁ……なにが、何かあったら頼れだよ……捨てたくせに今更未練たらしい」

 

 俺は任務での最後のことを思い出しながらそうつぶやいた。本当だったらあそこで小太郎達に金だけ渡してすぐ別れる予定だった。だが、思わず連絡先が書いたメモを渡してしまった。断ち切ったはずなのに、自分で捨てたはずなのに……俺はなぜ再びあいつらとの繋がりを持とうとしているのか。

 

「ああ、くそ……おれって、こんなに女々しいやつだったのか?」

 

 一人になるとすぐに五車での日々が頭によぎる。楽しい日常、かわいい教え子達、頼れる同僚に友人達……あの日、自分の一族全員を殺して復讐を果たした時に全部捨てたつもりのはずだった。だが、戻って来いと言われたときに僅かに俺は期待してしまった。そんな資格は俺にはないのに。俺が心の中で自嘲すると胸がぽっかり穴があいたような感覚になる。

 

「ちっくしょう……寂しいなぁ、戻りたいなぁ」

 

 普段だったら口にしないような弱音を吐いてしまう。そして俺の意識はゆっくりとフェードアウトしていった。

 

 

 

 

 

 

 不意に懐かしい匂いがした。甘くて優しい、心が落ち着く匂いが―――そして俺の頭を誰かがなでつけている感覚がする。こんな風に撫でられたのはいったいどれくらい前だったろうか……。確か、あれはまだ五車にいたときだったか……。

 

「あら、起こしちゃったかしら……?」

 

「……なんで、ここにいるんですか」

 

 目を開けると、俺の前にはまた懐かしい人がいた。どうやら膝枕をされているらしく、後頭部から柔らかい感触が伝わってくる。そしてその人は俺が目を覚ましてもさして気にせず、優しい笑みを浮かべて俺の頭を優しく撫でている。

 

「結構派手に暴れたみたいだから、もしかしたらと思って来てみたの。そしたら案の定、カムイ君がいたからつい、ね」

 

「……五車に帰れって言ったじゃないですか。あそこには、貴女を待ってる人がいるんだから」

 

「……それは、無理よ。今更なの」

 

「……」

 

「……あなたと同じよ。私は全て捨ててきてしまった……もう、私に戻る資格なんてないわ。それに―――」

 

「……それに、なんですか?」

 

「カムイ君……泣いていたから。放って一人で帰れないの」

 

「……くっ……あはは……やっぱり“不知火”さんには、敵わないなぁ」

 

 俺はつい笑ってしまうと、彼女もまたも困ったように笑っている。俺の前に現れたのは、何年も前に任務中に行方不明になった水城不知火さんだった。俺が里を抜けてからヨミハラを訪れた際に、偶然彼女に再会したのである。それから色々といざこざがあったが、今ではこうして普通に会うことである。ただ一点、俺も彼女も五車の里には戻っていないことを除いて―――。

 

そしてヨミハラを訪れる際はいつもすぐ俺に会いに来ている。俺のことなんか放っておけば良いのに、お節介ばかり焼いてくる。昔はそれを拒絶してたのに、それが今じゃ心地よくてつい甘えてしまう。

 

「不知火さん……」

 

「なあに?」

 

「もう少しだけ、傍にいてほしい」

 

「あらあら、今日は随分珍しく甘えん坊なのね♪」

 

「今日は懐かしい奴らにあったから……きっとセンチになってるんだ」

 

「なら、意地にならず帰れば良いんじゃないかしら?」

 

「……今でも帰ろうかって迷ってる。でも、今はまだ……」

 

「ふふ、分かったわ。ならカムイ君が満足するまで私が傍にいるわ」

 

「……ありがとう、不知火さん」

 

 俺はそう言って気持ちを振り払うように目を閉じる。すると優しい匂いに包まれて俺はすぐに眠気に襲われる。

 

「おやすみなさい、カムイ君……」

 

そして不知火さんの言葉を最後に、俺は泥のように眠るのであった。

 

 

 

 

 

 ―――後日、俺は小太郎より佐郷さんが殺されたことを知らされたのであった。

 

 

 

 

 

 

オリ主のヒロインに追加するなら誰が良い?

  • 甲河アスカ
  • 鬼崎きらら
  • 神村舞華
  • 馬鹿野郎全員ふうまの嫁だろ
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