※この作品はR-18です。

サイバーパンクな忍者世界で不死身の剣士してます   作:ニゴリエース

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『剣士と鬼マフィアと騎士:前編』

 

 

「そうか……佐郷さんは殺されたか」

 

『はい……あの後、地上で車に乗ろうとした直後に頭を撃たれて……』

 

 あの任務から数日後、俺はヨミハラの拠点にて小太郎から事の顛末を聞いていた。小太郎曰く、俺と別れた後に地上を出た際に佐郷さんは車に乗る直前に頭部を狙撃されたらしい。紫曰く即死らしい。

 

 そしてそれを見た小太郎、鹿之助、蛇子は厳重注意を受け、このことは他言無用だと念を押されたらしい。だがその事に対して小太郎は何か不自然に感じたらしく、紫には追求せずに俺に連絡を取ることにしたのだ。

 

「―――悪いが、その件についてはなにも分からん。俺が依頼されたのはあくまで護衛だからな」

 

『……そうですか』

 

 まあ十中八九アサギさんの仕業の可能性が高いんだが。あの場から生きて政府に渡したら横から内調にかっ攫われるのは目に見えていたからな。恐らく派手な死を演出することで佐郷さんを内調に渡さないようにする作戦だろう。

 

「……まっ、それは俺の方で探っておく。何か分かったら知らせるから心配すんな」

 

『はい、俺の方でも色々と調べてみようと思います』

 

「ああ、気をつけろよ」

 

 俺はあくまで小太郎を安心させるためにそう声をかけたが、どうやら小太郎もあまり思い悩んでいない。恐らく薄々佐郷さんの死が偽装であると感づいているのだろう。本当によく頭が回るやつだ。

 

「そういえば俺が渡した200万はどうした。ちゃんと仲良く分けたか?」

 

『……あっ、ああ……あれですか』

 

「お前のことだから、また新作のゲーム買ったんだろ?

それとも高スペックのゲーミングPCか?」

 

 小太郎は昔からゲーム好きで、趣味は読書かゲームだったのはよく覚えている。だが小遣いが少ないせいでよく新作のゲームが買えないと嘆いており、昔俺が五車にいた頃はよく俺の家に来ては一緒にゲームをしていたものだ。だが、俺の質問とは裏腹に小太郎の声はなぜか最初より暗い。

 

『……没収されました』

 

「……はっ?」

 

『時子に、取られました……』

 

「―――あ~~~……」

 

 小太郎の言葉で全てを察してしまった。時子というのはふうま宗家の執事である“ふうま時子”である。彼女もまた対魔忍であり五車の教師をやっていたので俺も面識があるのだが……。小太郎に対して、ふうまの当主としての期待が大きいのか、割と過保護で厳しい一面がある。まあ小太郎の不真面目な部分がわりと目立つのも原因だと思うが……。

 

 おそらく渡した金が時子に見つかって没収されたのだろう。まあ、学生には大金だろうから持たせるわけにはいかないと言ったんだな。俺もよく生徒―――特に小遣いが無くて嘆いている時の小太郎に稲毛屋のアイスを奢った際は、あまり甘やかすなと怒られたもんだ。

 

「見つかっちまったもんはしょうが無いな……」

 

『くっそ~……せっかく数量限定のプレミアム版を予約しようと思ったのに……』

 

「まっ、今度からはしっかり小遣いを貯めて買うことだな」

 

『無茶言わないでくださいよ!ただでさえ少ない小遣いが、さくらが居候してからはそこからあいつの生活費とかを出してるんですよ!?手元にどの程度しか残らないと思ってるんですか!!』

 

「……バイト見つけるしかないな。まあ、頑張れよ」

 

 学生には学生なりの苦労があるようだ。俺はそんなことをしみじみ思いながら小太郎との通話を切る。そして俺は近くに置いてあった麻袋を掴み外へ出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「邪魔するぞ」

 

「あいよ、いらっしゃい」

 

 俺が訪れたのはとある酒場だった。カウンターには魔族の男が立っており、グラスを磨いている。恐らくこの酒場の店主なのだろう。ヨミハラでは珍しくないどこにでもある変哲も無い酒場だった。

 

「兄ちゃん、うちは初めてかい。今日はなんにする?」

 

「いや、実は飲みに来たんじゃないんだ」

 

「あっ、どういうこったい?」

 

 店主がさっそく注文を取ろうとするが俺はそれを遮ると、彼は訝しんだ。そりゃ酒場に来たのに目的が酒じゃないと聞いたらそりゃそうなるか。

 

「おっさん、ここにヤマタノオロチが来たことあるか?」

 

「……お前さん、あいつの連れかい?悪いこたぁ言わねぇ。他の女に乗り換えた方がマシだぞ」

 

「随分な物言いなんだな」

 

「あったりめぇよ!あいつがウチの店でどんだけツケため込んでると思ってるんだい!!傭兵としての腕は良いがいつもツケで飲み食いするし、いくら返せって言っても金がねぇと言って聞きやしねえ!兄ちゃんのことも都合の良い財布程度にしか思ってねえって!!」

 

 店主から聞いたヤマタノオロチの評判は最悪だった。酒代のツケを払うのが目的で小太郎達を殺し、報酬の増額を目論んでいた時点で禄でもないと思っていたが、まさかの嫌われようだ。よく出禁にならないな。

 

「……実はそのことで話があるんだ」

 

 俺はそう言って麻袋に手を突っ込みある物を取り出しカウンターに置く。それを見て店主は眉を上げた。それは金だ―――一束で百万円であり、麻袋にいくつも入っている物の中から一つを店主に差し出した。

 

「こいつでヤマタノオロチのツケをチャラにして欲しい。足りないならその分も出そう」

 

「……お前さん、話聞いてたかい?

 なんでアイツのために金なんか出す?」

 

「知り合いがアイツに絡まれてね。恨みを買っちまって困ってるんだ……ヤマタノオロチが来たら伝えてくれ―――『これでチャラにしろ』って」

 

 あの任務で小太郎はヤマタノオロチに恨みをもたれてしまった。もしこのヨミハラであいつと小太郎が鉢合わせになってしまえば、まず間違いなく命はないだろう。だからこそ俺はヤマタノオロチを探し出して始末しようかと考えたが、どうやら奴は相当俺のことを警戒しているらしく、今日まで捕まえることができないでいた。

 

 そのため別の方法を模索し、考えついたのは、“ヤマタノオロチの酒代のツケを肩代わりする”という方法である。鬼族というのは基本的に酒と金にだらしない。ヤマタノオロチは特にだろう。だからこそ、アイツの本来の目的である店のツケを払うことで、小太郎への恨みを忘れさせようと考えたのだ。

 

 そのためにわざわざ商人に貴重な品を売って資金を拵えたんだ。なんで俺があの鬼のためにと思ってしまったが、これもかわいい教え子のためだ。安いもんだろう。

 

「まあ、とにかく要件はそれだけだ……じゃあな」

 

「―――待ちな兄ちゃん」

 

 俺は要件を済ませ、麻袋を抱えて店を出ようとすると店主がそれを遮る。そして棚の奥から酒瓶を取り出し、グラスと一緒に俺の前に置いてきた。

 

「……注文はしてないんだが?」

 

「酒場に来て酒を飲まないなんて失礼だろう……それに、あのバカ鬼のためにわざわざ大金を捨てるなんて酷な話だ」

 

「……」

 

「こいつは俺の奢りだ……今度からはちゃんと客として来てくれ」

 

「……おっさん、商売上手だな」

 

「ガハハ、そりゃそうだ。俺が何年この酒場で働いてると思う!!」

 

 俺は店主の好意を受け取り、カウンターに座り直して酒をグラスに注いでゆっくり飲み干す。酒にはあまり詳しくないが、それでも良い品だと思うほどすっきりとした味わいだった。俺は二杯目を注ぎ、またグラスに口をつけた。が、その次の瞬間だった―――。

 

「あれ~、随分美味しそうなお酒飲んでるじゃ~ん♪」

 

「ぶっ!?」

 

 背中から柔らかい何かがぶつかるような衝撃を受け、口に含んだお酒が気道に入る。俺は咳き込み喉に絡みついた酒を急いで吐き出す。そして俺に不意打ちをしてきた奴を睨み付ける。

 

「アハハ♪ごめ~んびっくりさせちゃった?」

 

 そこにいたのは見た目からして派手な女だった。服装はビキニにベルト、タイツとブーツのみで色々と際どい。そして派手な化粧と、爪にはマニキュアらしきものを付けておりまるでギャルみたいなファッションだ。

 

 しかしそいつの額には二本の角が生えており、なんか色々と派手なデコレーションをしているが金棒らしきものを背負っている。さらには腰にサブマシンガンを持っている。明らかに鬼族だ。おまけにソイツの体から伝わってくる力は、件のヤマタノオロチと勝るとも劣らない。

 

「おう、フランシスじゃねえか。久しぶりにウチで酒飲みに来たのか?」

 

「やっほーおっちゃん♪おひさー♪」

 

「……おっさん知り合いか?」

 

 どうやらこの鬼族はおっちゃんの知り合いらしい。俺はこの鬼族が誰なのか尋ねると、おっちゃんは少し驚いたような顔をする。

 

「お前さん知らないのかい?今ものすげえ勢力を拡大してる話題の新興ファミリーの親玉さ」

 

「フランシスっていうの。よろしくー♪」

 

「―――マフィアか」

 

 おっちゃんが言うには、このフランシスという鬼族は最近できたマフィアの親玉であるらしい。だが始めた理由は酒代を稼ぐためというくだらないものらしい。

 

だがその美貌と欲情を促す肉体欲しさに他のマフィアから様々な支援を受け、勢力を伸ばしているのだとか。しかも才覚に優れているらしく、様々なシノギに手を出しては成功を収め、新興マフィアでも別格になりつつあるとも言う。

 

「んで、そのマフィアのボスが俺になんの用だ」

 

「アンタの持ってるお酒」

 

「あっ?」

 

「それおっちゃんが奢った奴なんでしょ?しかも店で一番のやつで、おっちゃんも常連にしか出さないじゃ~ん♪それ、フランシスちゃんにも分けてほしいな~って♪」

 

「……おっさん、こいつまさか」

 

「おう、フランシスも鬼族だからな。当然酒好きだぞ……まあツケばっかりのヤマタノオロチよりはマシだがな」

 

 こいつも鬼族の例に漏れず酒好きか……。しかもどうやら俺がおっちゃんに奢ってもらった酒が目的らしく、こうやって絡んできたのだと。本当に鬼族という奴は……。

 

「ふざけんな、こいつは俺がもらったもんだ。酒が飲みたかったら自分の金で買え」

 

「えぇ~、アンタそんなにお金持ってるんだし奢ってくれたって良いじゃん!それに、こ~んな可愛くて美人なフランシスちゃんとお酒が飲めるんだし、アンタにだってお得な話でしょ♪」

 

「自分で可愛いとか美人って言うな!!」

 

 どんだけ図々しいんだこの鬼女は……。絶対関わるとろくでもないことになると確信し、俺はフランシスを追い払おうとするが、なおも食い下がってくる。ああ、鬼族って本当に面倒くさい。

 

 

 

 

 

 

 

「アハハ~♪ほらほらカムイ~次の店行くよ~♪」

 

「ふっざけんなてめえ!俺は酒目的で来てるんじゃねえって言ってるだろ!!」

 

「良いから良いから~♪それに、酒場に来てお酒飲まないなんてもったいないじゃない~♪」

 

「飲んでるのはほとんどてめえだろが……」

 

 結局あの後、俺はヤマタノオロチがツケをしてる店を何軒か訪れてはフランシスが付き纏って大量の酒を呑み、その代金を俺が払っていた。おかげで当初の予定より大幅に金を使うはめになった。俺は酔っ払ったフランシスに肩を貸しながらも文句をたれる。

 

 本当だったらこんな迷惑な酔っ払いは路地裏に捨ててやりたい所だが、わざわざフランシスにお酒を奢る必要が無いのにこうして酒場をハシゴさせているのにはちゃんと理由がある。個人的でお楽しみな理由が―――。

 

(こいつも鬼族だ……それも強い部類の―――人通りが無いところに誘い込んでからヤるか)

 

サイボーグ兵士“ヘスティア”に魔界騎士“イングリッド”、裏切りの対魔忍“朧”と“ヤマタノオロチ”―――あれだけ強い奴がゴロゴロいたのに、結局あの任務で禄に戦いを楽しむことができずにいた。小太郎達がいた手前、疼きをずっと我慢するのには苦労した。

 

あの時からこっちはずっとお預けを食らっていたんだ。そんな飢えた状態の俺の前に、こんなとびっきりの獲物が転がり込んできたんだ。我慢するなという方が無理あるってもんだ。

 

(殺しはしない……だが鬼族なんだ、少し無茶しても大丈夫だろ)

 

「ん~、カムイ~こっちは酒場ないはずでしょ~?」

 

「―――んっ、そうだったか?」

 

「それに~こっちの方は路地裏でしょ~?」

 

「そうかもな」

 

「あ~分かった!あんた、アタシの体が目的なんでしょ~♪カムイのエッチ~♪アタシは安くないんだぞ~?」

 

(ああ、ある意味ではお前の体が目的だよ……)

 

 俺はフランシスの軽口を流しつつ、目的の場所へたどり着く。そこは先ほどまでの喧噪が嘘のように静かだった。人通りもなく、暗くて他の誰かには見つかりにくく、事を起こすにはちょうど良い場所だ。

 

「カムイ~どうしたのよ~?早く次のお店行こうよ~♪フランシスちゃんまだ飲み足りない~♪」

 

「……悪いが、そうはいかねぇんだ」

 

 フランシスから離れ、俺は腰に差した無銘剣虚無に手を伸ばした。これから起こるであろう戦いに心が高揚し、疼きが加速する。今の俺は、たぶん他の連中には見せられないであろう恐ろしい笑みを浮かべているはずだ。自分でも分かる。

 

 

 

 

 そして俺は無銘剣虚無を一気に引き抜き――――。

 

 

 

 

 

―――ガキィィイイイイイインッ!!!

 

 

 

 

 

「えっ!?」

 

「……」

 

「ククク、随分なご挨拶じゃねえか」

 

 俺はフランシスの背後に忍び寄っていた奴に無銘剣虚無を振るった。そいつは手に持った剣で俺の斬撃を受け止め、激しいつばぜり合いをする。顔はフードで隠れており、正体は不明だがおそらくは魔族―――しかもそれなりの実力者のようだ。

 

 そいつの気配を感じたのはつい先ほどだった。俺がフランシスから離れた瞬間、僅かに気配が漏れて彼女の背後に移動していたことから狙いはフランシスだろう。おそらくは他のマフィアからの刺客か。

 

「オラアアアアッ!!」

 

「―――っ!?」

 

 俺は力任せに無銘剣虚無を振るい、刺客を弾き飛ばす。そいつはすぐに後ろに飛び退いて剣を構え直している。それだけじゃなく、路地裏の奥から同じ格好をした連中がぞろぞろと出てくる。

 

「ちょっと~!なんなのこいつら~!」

 

「どうやらお前が目的みたいだぜフランシス。心当たりはあるか?」

 

「こんな奴ら知るわけないじゃん!」

 

「―――その女を渡せ」

 

「―――クク、こいつが欲しかったら俺を殺してから奪えよ」

 

 俺がフランシスを庇うようにして前に出て挑発すると、連中は一気に剣を引き抜く。全員が全員殺気立っている。まさか鬼族の女を引っかけて、こんな美味しい状況に巡り会えるとは。ようやく思いっきり戦える機会に俺の気分は最高潮に高ぶっている。

 

「アハハハ……!さあ、やろうぜ―――!!」

 

「ちょっと待ったぁぁああああああっ!!」

 

「―――あっ?」

 

 いざ戦おうとした瞬間に後ろから、どこかで聞いたことがある声がした。俺が振り向くと奥からこちらに向かって走ってくる影が見える。見た目はやや小さく少しバカっぽそうな顔つきだが、頭には角が生えており腰には桜のごとき色合いをした剣を差している。

 

(あいつは確か―――ノマドの嵐騎……名前はリーナだったな)

 

 そいつはヨミハラを支配している巨大組織“ノマド”―――そこの大幹部であるイングリッドの直属の部下である騎士リーナであった。

 

「お前達、このような場所で罪もない男女を襲うとは何事だ!そのような悪行狼藉、この私の目が黒いうちは許さないぞっ!!」

 

どうやら俺達を助けるために割って入ったらしい。確か小太郎達とヨミハラを訪れ、鹿之助がハイオークの連中に攫われた時に助けに入ったのも彼女だった。ノマドなんて明らかに悪の組織に属している割に、随分とまっすぐな奴だ。

 

「“嵐騎”……!?」

 

「構うな、目標はフランシスだけだ!」

 

「掛かってくるのならば、容赦はしないぞ―――!!」

 

 リーナの登場に連中は動揺するが、すぐに平静を取り戻し剣を構えて飛びかかってくる。そしてリーナもまた腰に差した剣を抜き構える。

 

「ハアアアアアアッ!!!」

 

 

 

―――ズバズバズバズバッ!!

 

 

 

 

「ぐああっ!!?」

 

「ぐぅっ!?」

 

 リーナが剣を振るい、襲い来る刺客を切り伏せる。刺客もそれなりの剣筋だが、それでもリーナには届かない。鍛え方が違うな……。やっぱり、こいつとも戦いたいなぁ……。なんて思っているとリーナの後ろから別の奴らが剣を振るい上げた。

 

「舐めるな小娘がっ!!」

 

「むっ、その程度―――!」

 

 

 

 

―――ザシュ!

 

 

 

 

「ぎゃあっ!?」

 

「……手伝うぞ」

 

「むっ、そうか助かるぞ!!」

 

 俺はリーナの後ろから襲いかかった刺客を切り捨てる。そして背中合わせで襲いかかる刺客の剣を躱し、時には弾いて次々と切り伏せる。

 

「あ~んもう、なんでこんなことになるのかなぁ!!」

 

 

 

 

―――ブゥン!!ドゴォオオオオッ!!

 

 

 

 

「がぁっ!?」

 

「ぐふぅっ!?」

 

 フランシスもまた背負っていた金棒を軽々と振るう。その細腕からは考えられないほどの腕力で振るわれた金棒は、刺客達をまとめて吹き飛ばしていく。刺客達はバタバタと倒れていきその数を減らしていった。

 

 

 

 

 

 

 結局、俺達はほとんど傷を負うこともなくその場を制圧することができた。

 

「はあ、この程度か……ちょっと物足りないな」

 

「もう!せっかくお酒を飲んで良い気分だったのに!!」

 

 フランシスは戦闘に巻き込まれて気分を害したらしい。俺も数頼みの刺客連中ばかりで物足りない気持ちだった。

 

「ふぅ……お前達、怪我は無いな?」

 

「ああ……協力感謝するぞリーナ」

 

「―――うん?おお、お前はあの時の!」

 

「カムイだ……ノマドの騎士さんは今日もパトロールか、精が出るな」

 

「うむ、秩序を守るために必要なことだからな!それより、なんでお前達はこんなところで襲われていたのだ?」

 

「俺は知らん……どうやら連れが目的みたいだったがな。本当に覚えはないのか?」

 

「だ~か~ら~!フランシスちゃんもこんなやつら知らないってば~!!」

 

 フランシスに再度尋ねるが、どうやら本当に知らないらしい。しかしこいつもマフィアの親玉なのだから、敵の一人や二人いてもおかしくないのだが。

 

「―――ん?このシンボルは……」

 

「……どうしたリーナ、何か分かったのか?」

 

 すると、どうやらリーナはなにか見覚えがあるものを見つけたらしく、倒れている刺客に注目している。俺もそいつを観察すると、胸にレイピアが二本重なっているらしきものが備えられたマークを付けている。なにかのシンボルなのだろうか。

 

「これは……ヒルト騎士団のマークか。奴らも人間界に来ていたのか」

 

「うげっ、こいつらアイツのとこの連中だったの!?」

 

「……知ってるのか?」

 

 リーナが口にしたヒルト騎士団という単語に、フランシスは心底嫌そうな顔をする。どうやら二人とも知っているようなため、俺は二人にこいつらについて改めて尋ねることにした。

 

 

 

 

 

 “ヒルト騎士団”―――元々は魔界にいた剣士が集ってできた旅団であり、殺しや略奪を主な生業としている騎士団とは名ばかりの悪党の集まりらしい。魔界でも散々悪事を働いていたらしく、魔界で彼らを好む連中はほとんどいないらしい。

 

 当然魔界の有力貴族が何度か討伐隊を嗾けたらしいが、腐っても剣の腕だけは一人前の奴らが多く、壊滅に追い込むことができないでいたらしく、つい最近に人間界にも進出してきたらしい。

 

 中でも団長である“ヴァニティ・ヒルト”は、元は名のある騎士で剣の腕も中々だったようであるが欲深く傍若無人で女癖も悪く、好みの女がいれば強引に囲もうとすることもあるらしい。フランシスもつい最近、そのヒルトに無理矢理迫られたことがあるらしい。目的はフランシス自身と彼女の持つ縄張りかもしれないな。

 

「う~む、ヒルトの奴……振られた腹いせに刺客を差し向けてくるとは。見下げ果てた奴だ、騎士の風上にも置けん!」

 

「アタシあいつ苦手なのよね~。明らかに下心満載だし、言い方も偉そうで気に食わないし」

 

 リーナはヒルトのやり方に憤慨しており、フランシスはそのヒルトのことを思い出しているのか辟易した表情を見せている。どうやら相当嫌なやつらしいな。だが俺はそのヒルトというやつに興味津々だった。

 

「おいフランシス、そのヒルト騎士団って奴らの居場所は分かるか?」」

 

「ん~?確かにあいつらがいた場所なら知ってるけど……えっ、もしかしてカチコミ?カチコミにいくの?」

 

「カチコミとか言うな……こんだけ兵隊動員してんだ。どうせまたお前を狙って襲ってくるだろ?なら逆にこっちから挨拶に行ってやろうってことさ」

 

「え~、もしかしてアタシのため?カムイ、アタシが心配であいつらを懲らしめるって感じ?

 やっば~!フランシスちゃん超嬉しい~!!」

 

「……うん、まあそれでいいよ」

 

 本当はただ戦いたいだけなので、フランシスのためとかそんな気持ちはさらさらないが否定するのも面倒くさいのでそのまま流すことにした。とりあえず連中の居場所はフランシスが知ってるみたいだし、俺は早速彼女を連れてその場所に行こうとする。

 

「ちょっと待ちなさい!」

 

「ん?」

 

 しかし俺達が歩き出そうとした瞬間、リーナに呼び止められる。

 

「どうした嵐騎、まだなにか用か?」

 

「まさかお前達、二人だけでヒルト騎士団のところに乗り込むつもりなのか?」

 

「あぁ、まあ戦うのは俺だけで十分だがな」

 

「え~何水くさいこと言ってんのカムイ~!カチコミなら当然アタシも付き合うっての~!」

 

「だからカチコミじゃねえって……」

 

「―――ヒルト騎士団は一筋縄ではいかないぞ。なにせ魔界の奴らでも、連中を討伐することができなかったくらいだからな」

 

「……それはさっきも聞いたが?」

 

「だから、私もついて行くぞ!」

 

「……はあっ!?」

 

 俺は思わず声を上げて驚いてしまった。これはヨミハラでは特に珍しくもない個人的ないざこざのような物だ。なのにこのノマドの騎士はわざわざ介入するという。俺みたいに個人的な目的もありそうにはない、一文の得にもならないようなことに首を突っ込むのは訳が分からない。

 

「ヒルト騎士団の傍若無人っぷりは目に余るからな、ヨミハラの平和を守るノマドの騎士として連中を止める義務が私にはある。それに魔界騎士として、騎士に恥ずべき連中は成敗すべきだと思うからな!」

 

「……なら、好きにしなよ」

 

「リーナも一緒に来るの?オッケー、よろしくー☆三人でカチコミオールだぁ!」

 

「うむ、よろしく頼むぞ!」

 

 まさかそんな理由でついてこようとするとか……本当にこいつノマドの騎士なのか。俺は思わずそう思ってしまうが別に断る理由はない。俺が戦える分が減ってしまうかもしれないが、もしかしたらどさくさに紛れてこいつとも戦えるかもしれないしな。

 

 魔界騎士―――この間のイングリッドとの機会は逃がしたからな。今回ばかりは運がこちらに向いてきたなと、俺は一人ほくそ笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが連中のアジトか?」

 

「そうそう♪あいつら、アタシがヨミハラでのシノギを広げようとしたときにここに連れ込んだのよ。お酒はごちそうになったけど、いきなり自分の女になれとか行ってきてさ~」

 

 俺達三人があの路地裏から歩き出して一時間くらいが経過した。たどり着いたのは町並みから外れた、寂れた洋館風の建物であり正面の扉には騎士鎧を纏った門番らしき連中が二人いた。

 

「門番がいる。ヒルト騎士団のアジトはここで間違いなさそうだな」

 

「よし、ならば私が先に行こう!お前達は後ろから付いて―――」

 

「いや、アイツらは俺がやる」

 

「あっ!?お、おい―――」

 

 さっそく前に出ようとするリーナを押しのけ、俺は門番の前に進み出る。あの路地裏ではほとんどリーナに獲物を取られたんだ。いい加減我慢の限界だ。

 

「なんだお前達は!」

 

「ここをどこだと心得てやがる!!」

 

「ヒルト騎士団っていう小汚い連中の吹きだまりだろ」

 

「なにぃ!!」

 

「貴様、我々がヒルト騎士団と知っての侮辱か!!」

 

 軽く挑発すると、連中はあっさり自分達がヒルト騎士団であることをばらした。うん、単純な連中で助かった。

 

「さっきはてめえらの兵隊に襲われたからなら。仕返しに来たよ」

 

 

 

 

『エターナルフェニックス!』

 

 

 

 

 俺は早速ブレードライバーに無銘剣虚無を納刀し、エターナルフェニックスワンダーライドブックを取り出す。そしてワンダーライドブックを装填し、無銘剣虚無を引き抜く。

 

 

 

 

『抜刀!』

 

 

 

 

 

「しーっ……変身」

 

 

 

 

『エターナルフェニックス!』

 

 

 

 

『虚無、漆黒の剣が、無に帰す!』

 

 

 

 

 

 炎の鳥を纏い、俺は仮面ライダーファルシオンへと変身する。門番の連中は、俺が敵だとすぐに察知し手に持った武器を構えた。

 

「―――て、敵襲!!」

 

「野郎!!」

 

「ハハッ……!!」

 

 俺は無銘剣虚無を肩に担ぎ、一気に連中の前に踏み込む。そして奴らが防御の態勢を取る前に、斬撃を二閃―――。

 

 

 

 

―――ズバッ!!ザシュッ!!

 

 

 

 

 門番の首が二つ飛び、地面に転がる。連中は何が起こったのか分からないまま死んだらしい。

 

「うわぁ~!カムイなにそれ~すっごい派手じゃ~ん!」

 

「まさかカムイも魔剣を持っていたのか!う~ん、中々格好良い……」

 

 フランシスとリーナが近づいてくる。俺の姿が変わったことに興味津々らしいが、今はそんなことをやっている場合では無い。

 

「今は俺のことなんかどうでも良い……それより中に入るぞ。準備はいいな?」

 

「オッケー☆アタシはいつだって準備万端!ギャルの生きざま、とくとみせてやるっての~!」

 

「私も大丈夫だ!いつでも踏み込めるぞ!!」

 

「よし、なら行くぞぉ!!」

 

 

 

 

 

 

―――ドゴォオオオオッ!!

 

 

 

 

 俺は屋敷の扉を蹴破る。中にいた連中はなにごとかと武器を持ってわらわらと出てくる。俺はこれから始まる戦いに、喜悦を抑えられずにいた。

 

「おぉ、出てくる出てくる……こりゃ入れ食いだな」

 

「よっしゃ~!いっちょ派手にやりますか~!!」

 

「魔界騎士リーナ参上!ヒルト騎士団、貴様らの蛮行はもはや目に余る!大人しく降伏しろ!!」

 

「なんだ、襲撃か!?」

 

「魔界騎士だと!?なんだってそんな奴がここに!!」

 

「かまわねえ、全員やっちまえ!!」

 

 ヒルト騎士団の連中は構わず俺達に襲いかかる。俺は肩に担いだ無銘剣虚無を、フランシスは背中の金棒を、リーナは腰から魔剣サクラブロッサムを抜き放って構える。

 

「ククク、さあ楽しませろよぉ……!!」

 

今、戦いの瞬間が幕を上げた――――。

 

 

 

 




仮面ライダーの家庭用新作ゲームが出ないかと思うこの頃です。

オリ主のヒロインに追加するなら誰が良い?

  • 甲河アスカ
  • 鬼崎きらら
  • 神村舞華
  • 馬鹿野郎全員ふうまの嫁だろ
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