サイバーパンクな忍者世界で不死身の剣士してます 作:ニゴリエース
ヨミハラの繁華街―――娼館や安酒場が建ち並び昼も夜も関係なく光が絶えないその通りを俺は歩いている。しつこい店の呼び込みを無視し、俺は早足でその場を歩いて行く。今日は傭兵稼業はオフなのだが、今は酒や女を楽しむような気分でも無い。
しばらく歩いて行くと繁華街の片隅に、少し寂れた建物があった。賑わう繁華街とは対照的で、人気はほとんど感じない。ここは酒場でも娼館でもない、このヨミハラでは珍しい探偵稼業をしている奴の事務所ので人気がないのは当たり前なのだが。
俺は事務所のドアを叩き、返事を待たず開く。中に入ると簡素な部屋の台所に見知った顔が立っている。
「よう探偵、邪魔するぞ」
「あらカムイ、来たのね。今日は早いわね、まだご飯できてないわよ」
そこに立っていたのはあの最強の対魔忍である井河アサギと同じ顔の女性である。といっても彼女はアサギであってアサギではない。正確には井河アサギの細胞から生み出されたクローンである。
元は中華連合という組織によって作られた存在の一つで、そのほとんどがオリジナルであるアサギさんに始末されたのだが彼女は唯一それを逃れ、あの特務機関Gに拾われたのである。恐らくアサギさんの高い戦闘能力を欲しがり、クローンをその代用品にしたのだろう。
手足をサイボーグ化され、その身体能力を発揮させると同時にアサギさんと同じ『正義の心』に目覚め、“G”のやり方に疑念を持ち出奔したのである。そして今では追っ手から逃れこのヨミハラで探偵稼業を営んでいる。
俺はとある経緯から彼女と知り合い、友好関係を結んでいる。当然見知った顔なので当初は戸惑ったが、今ではそれなりの友好関係を結んでいると自負している。ヨミハラを訪れた際はたまにこうしてこの事務所にお邪魔して食事をごちそうになったりしている。
ちなみに名前で呼ぶのはややこしいので彼女の呼び方は“探偵”である。彼女もそれには納得している。
「色々と買ってきたから早めに来ようと思ってな……ほら、酒と食い物。それと今月の分だ」
「……食べ物は助かるけど、お金は別に良いっていってるでしょ。それぐらい自分で稼ぐわ」
「ここんとこ厳しいんだろ……安い依頼ばかりでその両腕のメンテナンスもバカになんねえ。それに居候も増えて食費がかさむ一方だろ」
「それはそうだけど……」
探偵は少し苦い顔をして金を受け取るのを渋っている。こういうところは本当にあの人とそっくりだ。といってもクローンなので当たり前か。
「だったら遠慮なく受け取れ。それに俺だってお前に頼み事してる身だし、報酬だと思って受け取ってくれ」
「そうだぞ探偵。本人が良いと言ってるのだから貰えるものは遠慮無く貰うべきだと私は思うぞ」
「……お前はまだ居候してたのかアホ女」
「亜希、帰ってたのね」
横から探偵とは別の声が聞こえたので、俺は横目でそいつを睨み付ける。そこにいたのは赤と金のオッドアイに、細身の体に反して豊満な胸を備えた女である。こいつはこの探偵事務所に勝手に居候している対魔忍―――“ふうま亜希”であった。
ふうま一門の対魔忍で、その強力な忍法から周囲から距離を置かれていたが、俺は何度か任務を通して交流があったため普通に話す程度の交友関係を結んでいる。まさかこいつがヨミハラに潜入しているのは予想外ではあったが。しかも探偵の所に住み着くなんて誰が予想できただろうか。
「いい加減勝手に居候するのはやめろよ。人の家に勝手に住み着くとか、常識考えろ」
「うむ。カムイ、そう言われると私も少々つらいのだが……これもやむを得ないことなのだ」
「なんで?」
「だって別のアジト探すの面倒だし」
「おい探偵、こいつ追い出した方がいいぞ」
「別に気にしてないわ。部屋はまだスペースが余ってるし、亜希には時々仕事も手伝って貰ってるから」
「お前やっぱり甘いよ……」
探偵の言葉に俺は思わずため息をつきたくなる。こういう他人に優しくするところもあの人と似ているから余計に心配になってくる。
「カムイもそんなに亜希を毛嫌いすることないじゃない。同じ子供好きなんだし、話が合うんじゃないかしら」
「俺をこのペドフィリアと一緒にするな」
「なっ!?違うぞカムイ!私は子供達をそんな風に邪な目で見た覚えはない!ただちょっと撫でたりペロペロして可愛がってるだけだ!!」
「言い訳の時点で犯罪者だぞてめえ」
「はいはい、喧嘩はその辺にしなさい。ほら、カムイは料理の準備の手伝い、亜希はお皿を出して」
「は、はーい」
「了解……」
探偵に言われ、俺達はそれぞれ準備の手伝いを行う。すると再び事務所のドアが開き人が入ってきた。
「今戻ったわ……あらカムイ君、いらっしゃい。今日はお休みなの?」
「不知火さん、お邪魔してます」
入ってきたのは水城不知火さんだった。彼女の両手には食料が入った紙袋が握られている。恐らく買い物から帰ってきた所なのだろう。
彼女はとある事情から五車の里を出奔している。その後は紆余曲折あって今では淫魔族から狙われているため、五車の里に帰るよう諭してはいるが彼女がそれを拒絶しているため、代わりの案として探偵に頼んでこの事務所に匿ってもらっているのである。探偵に月々の金を渡しているのは依頼を引き受けた報酬と彼女の生活費である。
「お帰りなさい不知火」
「ええ、今帰ったわ。ごめんなさい、ちょっと荷物が多くて遅れちゃったわ」
「カムイも手伝ってるし、準備もあらかた終わってるから気にしなくていいわ」
「ふふっ、悪いわねカムイ君。お客様なのに」
「気にしなくて良い。俺は好きでやってるだけだ」
「そうそう。不知火も探偵も、遠慮せずカムイを頼ればいいぞ。こいつは昔から頼りになるからな」
「亜希、お前は少し遠慮しろ」
俺の言葉に亜希はすぐそっぽをむいて口笛を吹く。こいつに関しては本当に俺に対して図々しいというか。俺は思わずため息をつきたくなる。
「そういえば聞いたわよ。ヨミハラでまた派手に暴れたそうじゃない」
「ん~、なんのことだ。俺はただ売られた喧嘩を買っただけだが」
「もう、またそうやって……あなた、亜希と同じですぐ無茶な戦い方するんだから」
「別に傷はすぐ治る」
「……能力頼りはあなたの悪い癖よ」
「ああ、カムイは戦いになるとすぐ突っ込んで見境がなくなるからな。少しは周りを省みてほしいものだ」
「亜希、普段のあなたが言えたことじゃないでしょ」
普段の喧噪とは違うなんでもない会話。今日ばかりは疼きも治まっており気分も良い。どうやら今日は穏やかに過ごせそうだ。俺はそんなことを思いつい笑ってしまう。
―――ピピピピピッ
ふとポケットから音が鳴り、俺は料理を作る手を止めてしまってあった携帯を確認する。そこには以前使った情報屋から送られてきたメールが届いていた。俺はメールの中身を確認すると、眉をひそめた。
「あら、誰からのメール?」
「んっ、ちょっと依頼の件で」
「……今日は休みじゃなかったのかしら」
「ちょっとした急用な感じ。ちょっと出てくるよ」
俺はそう言って身につけたエプロンを脱ぎ捨てると無銘剣虚無を肩に担ぐ。それを見た不知火さんは顔を歪めている。相も変わらず心配性な人だ。
「心配しなくてもすぐ戻りますよ。ちょっと顔を出すだけですから」
「そう……あまり遅くならないようにね」
「ん?なんだカムイ、出かけるのか?依頼なら私も手伝おうか?」
「いらねえよ。お前はここで探偵の手伝いしてろ。探偵、ちょっと出てくるから俺の分取り置きしといてくれ」
「分かったわ。けど冷めないうちに戻ってきなさい」
「了解」
俺はそう言って事務所を飛び出す。そして俺は走りながら再びメールの内容を確認した。
『内調の新型サイボーグの情報あり』
俺はその内容を見て、少しばかり不安を感じた。何かとんでもないことが起こっている予感がしてならないのだ。
ヨミハラから離れた地下水路の通路―――そこが情報屋と落ち合う場所になっている。普段は武装難民がここにたむろっているが、どういうわけかここに来るまで気配すら感じられなかった。その事が俺の不安に拍車をかける。
「おい、着いたぞ情報屋!姿を見せろ!!」
俺はそう叫んで落ち合うことになっている情報屋を呼ぶ。すると柱の陰から人が姿を現した。しかし、そいつは情報屋ではなかった。俺はそいつの姿を見て顔を歪める。
「よオ、誰か探してんのか?」
「なんでてめえがここにいやがる井河影臣……てめえに用はねえ、消えろ」
姿を現したのは内調に所属する元対魔忍の井河影臣であった。まさか再びその姿を見ることになるとは思いも寄らなかった。俺は殺気を込めて影臣を睨むが、奴はニヤニヤと笑いながら手を振っている。その手には今回会うはずだった情報屋の携帯が握られている。画面には僅かに血が付着しているため、情報屋がどうなったか容易に想像できた。
「……おびき寄せられた、ってことか」
「まア、そうなるな。要件は分かってるだろ?」
「何度も言わせるな、内調には従わない」
「くくっ、お前も頑固だなァ」
「暗殺者のお前が不意打ちしないで姿見せたのは感心しないな。言ったはずだ、次は殺すと」
『エターナルフェニックス!』
俺はすぐに無銘剣虚無をブレードライバーに納刀し、エターナルフェニックスワンダーライドブックを取り出す。それを見た影臣は両手を挙げておどける。
「おいおい、今日の俺はただの立会人だ。お前とは戦わない」
「あっ?暗殺者のお前が立会人だと……なに言ってやがる」
「ああ、お前にはちょっとばかり実験の手伝いをしてもらおうと思ってね」
「内調の依頼は受けない」
「心配すんなよ、すぐ終わるさ。それにメールの内容だって嘘じゃねえぜ」
「……例の新型サイボーグってやつか」
「その通り……おい!」
影臣が後ろに声をかけた。すると、柱の陰からまた別の人間が姿を現した。そいつの姿を見て、俺は思わず眉をひそめる。
「……まさか、あんたが内調と組んでたとはねえ。随分と演技派じゃないですか“前條”先生」
「……」
出てきたのは俺の元同僚だった。五車学園の教諭にて現役対魔忍の“前條 大樹”という男である。俺が五車を出奔する前はジャージ姿がよく似合い、頭も良く教育熱心な人だったため生徒達や同じ教諭達にも親しまれている人だった。
そんな彼が普段着ないようなスーツ姿でゆっくりとこちらに近づいてくる。まさか内調と組んでたとは知らず、俺は思わず皮肉を込めて声をかけるが反応がない。俺の記憶では前條先生は親しみやすく表情豊かだったはずなのだがな。
「久しぶりにあったのに返事なしかよ……寂しいねえ」
「……」
「無視かよ……ところで、
「……自分で確かめたらどうだ」
初めて前條先生から声が聞かれた。だが、記憶していたよりもずっと冷たい声色で生気が感じられなかった。まるで以前会ったあの人とは別人である。俺は目を細めて彼を見つめる。そして彼の手には驚くべきモノが握られていた。
「その剣……それにそのドライバーは……」
右手には、以前にヒルト騎士団と戦いの際に紛失したと思われたあの“魔剣”が握られていた。そして腰には、俺が身につけているブレードライバーとよく似た“ドライバー”が巻かれている。
「俺も確かめるために来た。俺の新しい力を」
そして前條先生は右手に持った魔剣を腰にドライバーに装填する。
「……変身」
《xbig》―――ドオォオオオオオンッ!!
前條先生の体から凄まじい熱が発せられ、その姿を変える。全身が黒く、竜のような意匠と鱗がある。まるで鎧と生物を混合させたような見た目だ。
「……なるほど、俺のドライバーを複製しようとしたわけだ」
「そういうこと。こいつはその実験体一号というわけだ」
俺は全てを察して影臣を睨み付ける。まさか俺のファルシオンの力を複製しようと考えていたとは思わなかった。例えるなら“人造仮面ライダー”っていうべきか……。
面白そうだな……。俺は思わずそう思ってしまった。
「いいねぇ……今回は少し楽しめそうだ♪」
「その前に……」
俺が無銘剣虚無を握り変身しようとすると、それを遮り前條先生は右手を挙げる。そして不敵に宣言する。
「―――あんたは“五手”で詰む」
「―――へぇ」
『抜刀!』
「しーっ……変身」
『エターナルフェニックス!』
『虚無、漆黒の剣が、無に帰す!』
俺は仮面ライダーファルシオンへと変身する。俺は無銘剣虚無を構え、前條先生を見据える。彼は動揺することも無く少し腰を落として身構える。なるほど、肉弾戦スタイルか。
「ハハッ……おらぁあああっ!!」
俺は弾丸のように飛び出し、右手に持った無銘剣虚無を一閃する。しかし、前條先生は僅かに体を捻りギリギリ剣が届かないようにして躱す。俺はすぐに後ろを振り向いて連続攻撃を叩き込む。
しかし攻撃が当たらない。剣は全て最小の動きで躱される。蹴りを叩き込もうとすると蹴り返されて攻撃が届かない。拳や肘打ちも同じように打ち返されてダメージが入らない。
「ぐぅ……がぁっ!」
「――――っ」
俺が首に向かって斬撃を叩き込もうとした瞬間、手首を捕まれて攻撃が潰される。振りほどこうにもその腕力は凄まじく、動きが封じられる。そして次の瞬間、彼の拳が俺の顔面に叩き込まれた。
「
「がぁっ!?」
拳の威力は凄まじく俺は後ろに吹き飛ばされる。俺は空中で体勢を立て直すが、すでに前條先生は俺に接近してきている。カウンターを叩き込もうと無銘剣虚無を振るうが頭を伏せて躱される。そして鳩尾に二発目の攻撃が叩き込まれた。
―――ドゴォッ!!
「
「ぐはぁっ!?ぐぅ……!」
「……はあぁあっ!!」
腹に凄まじい衝撃が走る。思わず胃の内容物を吐き出しそうになる。だが耐える間もなく前條先生は回し蹴りを叩き込んでくる。俺はそれを片腕でガードするも、威力が凄まじく蹴りを受け止めた腕がメキメキと音を立てる。そして衝撃を殺しきれず俺は吹き飛ばされる。
「ぐがああぁああっ!!?」
「……
血が流れ出てじくじくと痛む腕を庇い、俺は膝を突き前條先生を睨む。この程度の傷、いつもならすぐに回復するはずだ。なのにまったく回復する気配がない。そして俺はそれが前條先生の忍法の仕業であることを理解した。
「呪遁か……」
前條先生の忍法は呪遁というもので、これは傷を付けた相手が忍法の発動者の範囲内にいる限り、絶対にそれを癒やすことができないという特殊な忍法である。彼は特殊すぎて一部の相手にしか通用しないと五車にいたときにはよく嘆いていたのを覚えている。だがこうして的にしてみると厄介この上ない。再生力が自慢のファルシオンと前條先生の呪遁では圧倒的に相性が悪い。
そして前條先生は格闘術を学んでいたようだが、格闘センスに関してはそこまで才能がある人で無かった。だが今の彼はまるで機械のように正確な動作で攻撃と回避を繰り返している。もちろん従来のサイボーグ化でもここまで機械的にはならない。
「なるほど……他のサイボーグとも違う。流石は新型といったところか」
「……」
「……いいねぇ、楽しくなってきたじゃねえか!うらあぁああっ!!」
俺は無銘剣虚無を前條先生に向かって投げ、同時に駆け出す。彼はすぐに右手の籠手でそれをたたき落とす。だがそれは予想の範囲内の対応だった。
「らあぁあああっ!!」
―――ドガァアッ!!
「ぐっ……!」
俺は前條先生が剣を弾くと共に彼に延髄蹴りを叩き込む。彼は対応しきれなかったようで直撃を受け吹き飛ばされる。地面を転がる前條先生だったが、すぐに起き上がる。首が曲がっていて骨が折れているはずだが、まるで気にしている様子は無い。
「ちっ、効いてねえのかよ」
「いや……効いては、いるらしい」
「……だったから少しはそういう反応しろよ!!」
彼が首を元に戻し、なんでもないといった様子を見せつける。それが癪に障り、俺は無銘剣虚無で斬りかかる。そしてそれを見た前條先生もまたドライバーから魔剣を抜いた。
―――ギャリンッ!!ガキィィイイイイイインッ!!!
縦横無尽に剣を振るうがそれも全て弾かれる。そして再び手首をつかまれ動きを止められた。そして俺の首筋に魔剣が押し当てられる。振りほどこうにもしっかりと押さえつけられている。
「っ……てめえっ……!」
「もらった……
―――ザシュウッ!!
「がぁああっ!?」
首を切り裂かれ血が噴き出る。どくどくと生暖かい血液が止まらず溢れてくる。生まれてから一度も傷つくことの無かった俺は、生まれて初めて重傷を負い節操なく気分が昂ぶる。同時に危機感を覚えていた。このままでは負けると……。
「ハハ……あぁ、くっそ痛ぇ……」
「―――王手」
そんな俺を見据え、前條先生は魔剣を構えてゆっくりと近寄る。
――――ザシュッ!!
前條は魔剣を振るいカムイの首を切り落とした。だが地面に転がったそれは、パシャンと音を立てて水に変わる。
「なに……」
「はああぁあああっ!!」
「っ!」
そして彼の横から乱入者が現れ長刀を振るった。前條はすぐに躱すが、咄嗟のことで躱しきれず僅かに胸の当たりを斬られる。そして攻撃を加えた相手は深追いせずに距離を置き、長刀を構えて前條を見据える。
「……ふん」
「―――あんた、本当に人間?なんで私の邪眼が効いてない……」
「答える必要はない」
攻撃してきたのはふうま亜希だった。彼女は油断なく前條を見据えているが、その顔には冷や汗が流れている。彼女の邪眼は“死裂”というもので、これは暗示によって相手の精神に働きかけ、僅かな傷でも致命傷に広げることができるという強力なものだ。
亜希は先ほどからこの邪眼を使っているのだが、前條に付けられた傷はまったく変化していない。つまり亜希の邪眼がまったく効いていないのだ。そしてそんな彼女の焦りを無視し、魔剣を構える。しかし何かに気づきすぐにその場から飛び退いた。
―――ドゴォオオオオッ!!
先ほどまで前條がいた地面がへこみ亀裂が入る。そして亜希のすぐ横に外套を纏った者が降り立った。
それはクローンアサギである。彼女の両腕は特務機関Gで開発された新型サイボーグアーム“ネメシス”であり、強力な重力場を操ることができる。身を潜めていたアサギは“ネメシス”による重力場で前條に奇襲をしかけたが、それすらも察知され避けられたのである。
「亜希、彼は回収したわ!すぐに脱出するわよ!」
「了解、探偵!!」
ここで戦うのは時期尚早と考え、亜希に撤退を促す。亜希もそれに従い、二人は踵を返してその場から駆けていく。それを見据えていた前條だが、特に彼女たちを追うこともなかった。そして身体がボロボロと崩れ、元の人間の姿へと変わる。そして物陰に隠れていた影臣に声をかける。
「……対象が逃げました」
「―――まっ、いいだろう。今回はあくまで実地テストが目的だからな」
『―――』
「はい、了解しました。すぐに戻ります……おう、戻るぞ」
「……了解しました」
手短に通信を終えた影臣は不敵な笑みを浮かべて彼女たちが逃げ去った方角を見据える。そして通信機からの言葉に従い、彼らは踵を返していく。
「カムイ君大丈夫!?あぁ、こんなに血が……」
「大丈夫だから不知火さん、そんな心配しなくても……」
「心配するに決まってるわ!少しは自分のことも省みなさい!!」
一方、先ほどの戦闘があった場所から離れた所で変身状態を解除したカムイは地面に座り込んでいる。そしてそんな彼を叱りつけながら不知火は必死に首に布を押し当て出血を止めている。
先ほどカムイが事務所を出て行った少し後、嫌な予感がした不知火はアサギと亜希を伴い彼の後を追った。そして予感の通り一方的にやられているカムイを発見したのである。彼の首が切り落とされる瞬間、咄嗟に不知火は忍法を発動しカムイと幻影を入れ替え彼を救出したのである。
「こんだけ離れりゃ前條先生の術の効果範囲から出るはずだ……すぐに傷も塞がるよ」
「ならせめて血を拭かせて。もう、本当に君は」
「だから……いや、ごめん……俺が悪かった」
「本当に……本当に心配したんだから」
「ごめん」
泣きそうになっている不知火を見て、カムイはすぐに頭を下げる。そして血を拭き取ると同時に、殿を買って出たアサギと亜希が戻ってくる。
「カムイ!大丈夫なの!?」
「悪い探偵……油断した」
「しっかし、まさかカムイがああも一方的にやられるとはね……しかも知り合いっぽいし」
「確かに知り合いだよ……けど、まるで別人だ」
「別人?」
「あぁ。どうやらやばいことになってるみたいだ……」
カムイはそう言って首元に触れる。すでに傷は塞がっており、前條達が離れていったのを悟ると胸元の携帯に手を伸ばした。それはカメラモードに設定されており、先ほどまでの出来事をしっかり記録できていたことを確認した。
「色々と確かめなきゃいけないこともできたな……しょうがない。またしばらくヨミハラから出るか」
「どこ行く気なの?」
「―――五車に戻る」
彼はそう言って無銘剣虚無を肩に担ぐ。そして彼女たち一人一人に声をかける。
「―――探偵、悪いな。何かあったら連絡くれ」
「ええ……気をつけていきなさいよ」
「ああ、分かってる……亜希、気をつけろよ。連中が目撃者のお前らを狙わないとも限らないからな」
「ああ、こっちは私に任せておけ」
「……不知火さん、悪いな。また少し離れる……ちゃんと戻るから安心してくれ」
「……今日みたいことはこれっきりにしてほしいわ」
「うん、気をつけるよ」
「―――いってらっしゃい、カムイ君」
「行ってくる」
カムイは三人に別れを告げて地上へ急ぐ。目指すは五車の里である―――。
前條……いったい何シグマなんだ―――(すっとぼけ)。
前條先生の変身姿は『仮面ライダーカリバー』と『カラスアマゾンを足したような感じをイメージしてます。名前の由来は仮面ライダーカリバーの上條大地とアマゾンシグマの前原淳を組み合わせた造語です。
今回のお話的にはチャプター14でちょうど峰舟子が小太郎と接触したくらいの時期あたりぐらいです。
オリ主のヒロインに追加するなら誰が良い?
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甲河アスカ
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鬼崎きらら
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神村舞華
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馬鹿野郎全員ふうまの嫁だろ