サイバーパンクな忍者世界で不死身の剣士してます 作:ニゴリエース
―――ザシュウッ!!
「―――ぎゃあぁぁああああっ!?」
首都圏有数の犯罪都市センザキ――――かつては東京のベッドタウンとして発展した街であったが、戦争難民が多く住み始めた影響で街の中心部がスラム化し、魔界の住人や犯罪組織が流入して、今や悪の大繁華街へと成長を遂げた。
そしてそこに存在するとある邸宅―――豪華な内装が広がり幾つもの高価な調度品が並ぶ一室にて鮮血が迸った。そして身体に深い切り傷を受けた女は身体をビクビクと震わせる。
すでに死に体に近いが、女は必死にもがき地を這いながらその場を逃れようとする。女からドクドクと夥しい血が流れだし、地面を赤く染め上げていく。
しかし、そんな女の前に立ち塞がるものが一人いた。女はその人物を見た瞬間、逃げられないことを悟り絶望の表情を浮かべながらも震える声で必死に懇願する。
「お、お願い、許して……お金ならいくらでもあげるわ。なんだったら私の身体も好きにしてもかまわないわ……だ、だから、お願い、命だけは……」
自らの身体までも差し出して助かろうとする女を、“仮面ライダーファルシオン”ことカムイは仮面の下で冷たく見下ろす。そして剣を女へと向け、静かに告げる。
「―――お前は、そうやって命乞いした子供を一人でも助けたことがあるか?」
―――ブシュウッ!!
「―――おぶぉおっ!?」
カムイは冷酷に無銘剣虚無を女の喉元に突き刺す。僅かな悲鳴が響き女の身体はピクリともに動かなくなる。そしてカムイは無銘剣虚無を引き抜くと、女の喉からまるで噴水のように大量の血が噴き出る。
カムイは無銘剣についた血を払いながら女へと近づき、それを蹴りつけて仰向けにする。そして女が間違いなく死んでいるのを確認した。
「さて、これで依頼の奴は片付いたな……」
ブレードライバーからワンダーライドブックを抜き変身を解除したカムイは静かに呟いた。なぜ彼がこんな場所で殺しをしていたのかというと、もちろん依頼があったからだ。
今し方彼が殺した女は魔女―――元はとある闇の勢力に属する幹部の一人であったが、彼女は突然自身が属していた組織を裏切り、資金を持ち去ると独立を果たしたのである。
そしてそこから魔女は好き勝手にやり始めた。強引な手段で敵対する組織の土地を奪い取ったり、はたまた東京キングダムやヨミハラから孤児を誘拐しては欲望の赴くまま夜の慰み者にし、用が済めば奴隷として売り飛ばすか殺して臓器を奪うなど、散々に悪事を働いた。
いくら闇の組織とはいえ、街のルールや被害を度外視した魔女のやり方に組織は業を煮やし、魔女を始末すべく何度も刺客を送ったが、その魔女の実力は予想以上に強く刺客は全て返り討ちに遭っていた。そして後がなくなった闇の組織が雇ったのがカムイである。
組織はカムイに魔女の始末を依頼した。カムイは強い奴と戦えるという目的はあったが、それ以上にカムイはこの魔女がまだ年端もいかない子供を食い物にしてきたということを聞き、殺意を滲ませながら依頼を承諾した。
そして彼はさっそく魔女のいる邸宅へ襲撃を仕掛けた。襲い来る護衛や侵入者用に仕掛けられたゴーレムや鬼火を全て斬り捨て、ついに件の魔女を殺したのである。
斬り殺した魔女は実力も高く、普段のカムイだったら心を躍らせながら戦いに興じていたであろう。しかし彼は魔女を殺した後も苛立ちが消えず、忌々しげに死体となった魔女を蹴りつける。
「―――あぁぁああああっ、くそがっ!!クソがクソがクソがっ!!最悪な気分だぜくそったれの魔女が!!」
カムイの気分は最悪の一言であった。魔女が無力な子供を餌にしていると聞いてから彼の気分はまったくと言って良いほど晴れていない。戦いに身を投じても苛立ちは消えず、魔女を殺しても気分が収まらない。彼はまるで鬱憤を晴らすかのように無銘剣を振るい邸宅にある調度品を破壊していく。
しばらくして、邸宅内はもはや見る影もないほどの光景となった。名だたる絵画はズタズタに切り裂かれ、高価そうな壺などの置物は全て粉々にされて床に散らばっていた。
「はぁっ……はぁっ……くそっ、気分悪い……さっさとヨミハラに帰るか」
室内を荒らしてようやく少しは気分が治まったのか、カムイは肩で息をしながら屋敷を去ろうとする。
しかし彼が屋敷の扉に手を掛けた瞬間、無銘剣を握った手がずしりと急に重く感じ違和感を覚える。
「ん?」
カムイは思わず無銘剣虚無を見るが剣自体には特に異常も見られないため、カムイは疲れが溜まっているのだろうと考え特に気にする事なく、今度こそ屋敷を去って行った。
しかしこの時彼は気づかなかった。斬り殺した魔女から飛び散り地面にぶちまけられた大量の血液が、まるで魔方陣のような形を成していたこと、そして屋敷の中で一人闇の中で息を潜めながら彼を見つめる物が存在することに―――。
(ホホホホホ、これはこれは……思いも寄らぬ大物が掛かったものですねぇ。どうやら面白くなりそうです)
闇の中で影―――ノマド大幹部“フュルスト”が怪しく笑う。そして彼はカムイの姿を見届けると、そそくさとその場を去るのであった。
―――翌朝……。
―――ジリジリジリジリジリッ!!
「んっ……」
カムイが寝泊まりしているヨミハラのアジトの自室にて、目覚まし時計がけたたましい音を鳴り響かせながら朝を知らせる。カムイは布団にくるまりながらもぞもぞと動き出し、起床を促す時計を止めようと手を伸ばす。
しかし手は時計に届かず空を切るばかりである。やがて止めるのを諦めたのかカムイは布団の中に手を引っ込め、ますます布団に包まっていく。
すると次の瞬間に部屋の扉が開き、誰かが入ってくる。そして鳴り響く時計のスイッチを切り音を止める。
「起きてくれカムイ、もう朝になったぞ」
部屋に入ってきたのは同棲している秋山凜子であった。彼女はエプロンを身につけた状態であり手にはお玉が握られている。彼女はカムイよりも先に起床し朝食を作っていた最中なのだが、目覚まし時計が鳴り響いたまま起きてこないカムイの様子を見に部屋に入ってきたのである。
彼女は布団に包まっているカムイを揺らし起きるよう促す。彼はもぞもぞと動くが布団から出ようとはしなかった。
「―――もう少し寝かせてくれ凜子……センザキから帰って寝たばっかりだから眠いんだ……」
先日の依頼―――魔女の始末を終えセンザキからまっすぐヨミハラに帰り床についたカムイは、まだ眠いと言わんばかりに布団の中で身体を丸める。そんな彼の様子に凜子はため息をつきながら布団を掴む。
「ダメだ、もうすぐ朝食ができあがるのだぞ。いい加減起きないか」
厳格な性格である凜子はそう言いながら力尽くで布団を引き剥がしカムイを引きずり出す。しかし、次の瞬間彼女の目に信じられないものが映るのであった。
「―――えっ?」
「っはぁ~……分かった、分かったから起きるっての」
カムイはそう言って頭をかきあくびをかみ殺しながら身を起こす。しかしこのとき彼は違和感を感じた。ベッドから起きようと足を下ろすが、どういうわけか足が地に着かないのだ。まるでベッドの高さが急に高くなったかのようである。
「……なんでベッドが急に高くなってんだ」
「か、カムイ……なのか?どうしたんだ、その姿は」
「ん?なんだよ凜子……なんか変な格好だったか―――あっ?」
違和感を覚えているカムイに凜子が戸惑った様子で声を掛ける。そして彼女の言葉から自分の格好が変なのかと考え自分の身体を見下ろす。そして彼は思わず固まってしまった。
自身が纏っているのは寝る前に着替えたパジャマ―――しかしどういうわけかダボダボで明らかにサイズが合っていない。そしてこの時に彼はようやく自身の異変を感じ取り、自分の手足を見つめる。彼の視界に映ったのは、まるで子供のように短くなった自分の手足であった。
「なっ……なっ……なんじゃこりゃぁぁぁあああああああっっ!!?」
カムイは思わず叫んでしまう。その声もまた普段の自分の声よりも高く違和感が尋常ではないため彼は顔面を蒼白にし、パニック状態となる。
「どっ、どどどどどうなってんだぁっ!?り、凜子っ!俺の身体が縮んでるんだがぁっ!!?」
「えっと……か、カムイ先生で、間違いないのだな?」
「そうだよ!俺だよ!いったい全体なにがどうなってんだっ!!」
対魔忍としての経験から、滅多なことでは慌てたりしないカムイであったが流石に今の自分の状況には戸惑いを隠しきれなかった。なにせ朝起きたら身体が子供になっているなんて誰が予想できただろうか。
「むぅ……なぜこのような姿に……ちょっと愛らしいな(ボソッ)」
「えっ!?」
「い、いや、なんでもないぞ!―――それより、いったいどうしてそのような姿になっているのだ。心当たりはないのか?」
「あったらこんなに慌ててねえよっ!うわっ、声も高くなってやがる違和感ハンパねえっ!!」
(……あぁ、あのように愛らしい姿で慌てて……やはり可愛げがある。普段のカムイと違って、少し新鮮だな)
突然の事にカムイはもはやまともな思考ができておらず慌てるばかりである。ちなみにそんなオロオロしている縮んだカムイの姿に、凜子は内心少しキュンとしてしまったのは余談である―――。
『とにかく……原因が分からない以上は対処しようがない。私は少し静流先生の所を尋ねて今回の事について聞いてくるので、貴方はしばらく待っていてくれ』
ドタバタした一日の始まりからしばらくが経過した。突然身体が縮み子供の姿になるなど今まで体験したことのない出来事にカムイはほとほと困り果てた。そんな彼を見かねた凜子はなんとかしようと考えるが、彼女もまた大人の人間が突然子供の姿に戻るなんて出来事は見たことも聞いたこともない。
そのため今回の一件について自分だけでは対処しきれないと判断し、同じくヨミハラに潜入しているベテラン対魔忍の高坂静流に知恵を借りるべく、凜子はカムイをアジトに一人残し出掛けるのであった。
しかしカムイは自身が子供の姿になっていることに慣れずアジトでただ一人じっとして事態が解決するのを待つのも性に合わないため、自分もまた独自に動こうと考えヨミハラの伝を頼ることにした。
「ありがとうございました~」
「―――よしっ、服はなんとかなったな」
カムイはヨミハラの大通りに存在する服屋から子供用の服を一式買っていた。身体が縮んだ影響でアジトにある衣服は全て着られなくなったためである。彼は早速買った衣服を身に纏い背中に無銘剣虚無を背負い彼は目的地を目指して歩き出す。
彼が目指すのはヨミハラの繁華街のはずれ―――ヨミハラにて探偵業を営んでいるクローンアサギの事務所である。
彼は様々な事件などに携わってきたクローンアサギや、自分にとって昔馴染みであり元は凄腕の対魔忍であった水城不知火なら今回の件について何か情報や手立てを知っているのではないかと考えたのである。
二人の力を借りるべくカムイは見慣れたヨミハラの大通りを歩き出す。しかしここは数ある闇の街の一つであり、見渡す限り闇の住人が存在し道を行けば犯罪者が平然と歩いているのは当たり前である。
ましてや身なりが綺麗で小さな子供が一人で歩いているなど、犯罪者にとっては攫ってくださいと言っているようなものである。そしてカムイもまた例に漏れず、彼の前に立ち塞がるものが現れる。
「おうおう!こんな所を可愛い顔したちいせえガキが一人で歩いてますぜ親分!!」
「ほう、珍しいな!こりゃ高く売れそうなガキだ!」
「ヒヒヒッ、こんな所を一人で歩いていると危ないぜガキ!俺達が道案内してやるよ!」
「ちっ……」
カムイの前に現れたのは二メートルを優に超える屈強な肉体に醜悪な顔をしたハイオークの集団であった。彼らはニヤニヤと醜悪な顔を歪めて笑い、これ見よがしに斧をチラつかせながら下卑た台詞を吐いている。明らかに人さらいの集団である。
カムイはその典型的な悪党の集団を前にして舌打ちをする。彼は苛ついた様子で口を開きハイオーク達を威嚇する。
「今急いでんだ……道をどけろチンピラ」
高いソプラノボイスながらも、子供とは思えぬほどドスのきいた言葉にハイオーク達は驚きながらもすぐに怒りを顕わにしてカムイを睨み付ける。
「なんだとこのクソガキっ!!」
「舐めた口聞きやがって!!」
「どうやら売られる前に痛い目に遭いたいらしいなっ!!」
「はぁ……急いでるって言っただろが」
ハイオーク達は武器を構えながらカムイを取り囲んでくる。カムイはため息をつきながら背中にある無銘剣虚無を掴む。しかし背中から抜いた瞬間ズシリと重みを感じ、カムイは無銘剣虚無の柄部分を両手で掴む。
(くそっ、やっぱり重い……筋力まで下がってんのか……まあいい、変身すれば関係ない)
いつもなら片手で振るっている無銘剣虚無だが、今は両手で持つだけでも一苦労である。どうやら身体が縮んだだけでなく身体能力までもが低下しているのを実感する。
しかし彼は自身が幼少期の時にファルシオンへ変身した際、一時的に大人の体躯まで成長したことを覚えていたため、変身さえすれば何とかなるだろうと考えたのである。そしてカムイはすぐにエターナルフェニックスワンダーライドブックを取り出すと腰のブレードライバーへと装填する。
『エターナルフェニックス!』
「くっ……変身っ」
カムイは無銘剣の重さに苦労しながらもブレードライバーへ納刀し、ハイオーク達を撃退すべく仮面ライダーファルシオンへと変身しようとする。しかしここで不測の事態が起こるのであった。
「なっ!?変身できてねえっ!?」
カムイは驚愕を顕わにした。普段であったら無銘剣虚無を抜刀し仮面ライダーファルシオンへと変身するところであった。しかし彼の身体はまったく変わっておらず、無銘剣虚無とブレードライバーはうんとも寸とも反応を示さなかった。
「どうなって……まさか子供になった影響か!?」
まさか変身能力まで失ったとは思いもよらず、カムイはいよいよ焦りを顕わにする。しかしそんなことはハイオーク達には関係がなく、彼らはついにしびれを切らしカムイに襲いかかる。
「このガキ、さっきからなにやってやがるっ!」
「知るかっ!それより囲んで袋にしてしまえ!!」
「ボコってそのまま攫って売り払うぞっ!!」
「ぐっ、くそがっ!?」
襲いかかってくるハイオーク達を前にカムイは身構えようとするが無銘剣虚無が重く思うように動けない。万事休すかと思われカムイは目をつぶった。その時であった―――。
「でやぁぁぁああああああああっ!!」
―――ズバズバズバッ!!
「ぐぎゃっ!?」
「ぐあっ!?」
「うぐっ!?」
気合いを乗せた叫びとともに閃光が走りハイオーク達の身体が切り裂かれ鮮血が舞い、彼らは短い悲鳴を上げる。突然のことにハイオーク達だけでなくカムイまでもが何が起こったのか分からなかった。
そんな呆気に取られる彼らの間に入るように一人の美女が立っていた。それは、カムイにとって見覚えのある女性である。
「君、大丈夫?怪我はないか?怖かっただろう、お姉ちゃんが来たからにはもう大丈夫だぞ」
現れたのはふうま亜希―――剣客の対魔忍であり、カムイが今目指していた探偵事務所に居候している住人の一人でもある。
彼女はたまたま大通りを散策していた際、ハイオークに襲われている
亜希はカムイに怪我がないのを確認するとほっと胸をなで下ろす。そしてハイオーク達の方へと向き直ると彼らを鬼のような形相で睨み付ける。
「お前達……こんな可愛らしい子供に乱暴しようなんて、この私が許さんぞっ!!」
亜希はカムイを庇うようにして背に隠し、長刀を構える。そして得物を持っていた腕を切り落とされ苦しむハイオーク達を睨み付けながら牽制する。
「本来なら子供を襲おうとした時点で万死に値するが、こんな小さい子供に殺しは刺激が強い……今なら見逃してやるぞ」
「ぐっ!」
「こ、このアマっ……」
「ほっとけ……おい、行くぞっ」
亜希に切り落とされた腕の激痛に耐えながら怒りの形相で彼女を睨み付けるが、自分達では彼女に敵わないと悟り身体を引きずりながらその場から逃げ去っていく。
ハイオークがいなくなったのを確認すると、亜希は長刀を鞘に戻しカムイの方へと振り返る。
「さて……改めて聞くけど怪我はないか?ここは危険な街だからな。君みたいな小さい子が一人でうろつくのは危ないぞ。さあ、私が一緒にお母さんを探してあげよう」
亜希は先ほどとは打って変わって柔らかい声色でカムイに話しかけてくる。どうやら自分が助けた子供が自分の知り合いであるカムイと気づいていないらしい。
「助かったぞ亜希……そしてナイスタイミングだ。このまま事務所まで連れてってくれ」
「……んっ?なんで私の名前を知ってるんだ、どこかで会ったかな?」
「俺だ亜希……カムイだよ、井河カムイ」
「……えっ?」
「ちょっと事情があってな、子供みたいな姿になってるんだ……」
初対面と認識している子供に自分の名前を呼ばれたため小首をかしげる亜希であったが、カムイはすぐに自分の正体をばらした。亜希はまさか助けた子供がカムイとは思いもよらず固まってしまう。
まるで信じられない物を見る目でカムイを見つめるが、やがて顔をうつむかせて身体を震わせる。そして―――。
「なっ、なっ……なんてことだぁぁぁああっ!!カムイ、どうしてそんな小さくて愛らしい姿になっているんだぁぁぁぁああっ!!」
「ぎゃぁぁぁあああああいきなり何すんだてめぇぇえええええええっ!!?」
カムイは興奮した
「くぅー!この柔らかい感触と良い匂いがする髪の毛にすべすべの肌……たまらん!なんでこんなに可愛くなってるんだお前ぇっ!」
「おまっ!?公衆の面前でなにしてんだっ!?やめ、ってか離れろこのペドフィリアァァァァァアアアア!!」
亜希は締まりのない顔をしながらカムイを胸に掻き抱き、わしゃわしゃと頭を撫でていく。カムイは必死に抵抗しようとするが、身体能力が低下している彼はただただ手足をバタつかせることしかできない。結局亜希が離れたのは、存分にカムイをなで回した十数分後の話である。
「いやぁすまない。カムイがあまりに小さくて可愛らしい姿になっていたから、つい興奮して我を忘れてしまった……」
「まったく……好き勝手になで回しやがって……結局事務所に着くのに時間食っちまったじゃねえか」
「うむ、面目ない。じゃあ仲直りと言うことで、改めて頭をなでていいかな……えへへ」
「まだ足りないのかこのペドフィリアっ!!」
大通りの出来事から小一時間が経過し、カムイは亜希と共に探偵事務所についた。しかし事務所は無人であり、カムイが頼ろうとしていた
亜希曰く、探偵と不知火は急な依頼が入ったため共に出掛けており不在。さらにフランシスは外へ酒を飲みに、ミリアムは知り合いと会うため、ナーサラは散歩のためと全員が事務所を空けていたのである。
この時ばかりはなんてタイミングが悪いのだとカムイは頭を抱えるがこればかりは仕方ない。そのため他の面々が戻ってくるまで事務所で待つ傍ら、亜希に事情を説明することにした。
朝起きたら突然子供の姿になっていたこと、身体能力も下がって変身もできないため今は戦う術がないこと、探偵や不知火なら何か解決策を持っているのではないかと考え話を聞きに事務所の目指していたことなど全て話した。
話を聞いた亜希は最初こそ半信半疑であったが、自分の名前を知っていること、そして彼が背負っている物が
「う~む、なんだかミリアムちゃんと似た状況みたいだな」
「あぁそっか……あいつは魔力を封印されて子供の姿になったんだったな。あいつにも話を聞いてみるのもありか」
事務所に居候している自称大魔女の“ミリアム”は、その昔対魔忍に敗北し魔力の大半を封印されたため子供の姿になったのだという。今回のカムイの件は彼女の抱えている事情と似ているため、ミリアムにも話を聞くのも手であるかとカムイは思案する。
「しっかし、まさかガキの姿になってしまうなんて……はぁ、本当にこれからどうなっちまうんだ俺……」
「なに、そんなに心配しなくても大丈夫ぞカムイ」
「あっ?なんでだよ」
「今のお前はとても小さくて可愛いからな……むしろ私は今のお前の方が断然いいぞっ!」
「お前の欲望全開の意見は求めてねえんだよっ!!」
亜希の何一つ安心できない欲丸出しの発言にカムイは怒りを顕わにするが、彼女になにを言っても体力の無駄と判断しカムイはため息をつきながらソファに座る。
「まったく……人の苦労も知らないで……こっちは子供の姿になって大変だってのに……」
「ごめんごめん。まさかそんなに辛いとは思ってなかったから……よし、ならお詫びにおっぱい触らせてあげるぞ」
「触るかぁっ!!」
「あはは、遠慮するな。ほら、ムギュ~~~~ッ!」
「わぶっ!?」
もはやセクハラに近い発言にカムイは怒鳴りつけるが亜希はまったく気にせず、再び彼を抱きすくめ自らの大きな乳房を押し当てていく。カムイは低抗すこともできず顔を胸に埋められる。
「んふふふっ、今のカムイはかわいいなぁっ!やっぱりずっとそのままで良いんじゃないのか?」
「てめっ、いい加減に―――」
流石のカムイも我慢の限界なのか、力を振り絞って亜希の拘束から抜け出そうとする。しかしその時、彼女の手が偶然にもカムイの尻に軽く触れる。その瞬間であった。
「―――ひぃんっ!?」
「えっ?」
亜希の手がカムイの尻に触れた瞬間、彼の身体に強烈な快感が走り抜けたため思わず甘い悲鳴を上げてしまう。そしてたちまち力が抜けていき、亜希の身体にもたれかかる。
「なっ、なっ、なんだ今の……ま、まさか子供になった影響か?」
「……」
カムイは声を震わせながら呟く。どうやら身体が縮んだことによる影響が他にもあったようで、カムイは思わず恐怖する。ただ尻を触られただけで力が抜けるほどの快感が与えられたのだ。もしそれ以上のことをされたのなら―――。
カムイがそう思って戦慄している中、先ほどまで沈黙した亜希の手がゆっくりと彼の後ろに伸びていく。
―――グワシッ!
「んひゃぁぁああっ!?」
亜希の両手ががっしりとカムイの尻を掴んでくる。再びカムイの身体に快感が走り、彼は目の前に火花が散る感覚を覚えながら悲鳴を上げる。しかし亜希はそんな彼に構うことなく両手の指を動かしカムイの尻を揉みしだいていく。
「んぎっ!?んっ、んぅっ、ひゃぅぅっ!?あ、亜希っ、お前っ、急になにをぉっ!」
柔らかくなった尻を好き放題にされ、カムイは身体を震わせ快感に耐えるように亜希の身体にしがみ付きながら彼女に抗議の声をあげる。しかしどういうわけか亜希の様子もまたおかしくなっていた。
「はぁっ……!はぁっ……!お、お尻を触られただけで、そんな甘い声を出すなんて……悪い子だなぁカムイは……そんな悪い子には、お仕置きが必要だな♪」
亜希は興奮した様子であり、頬を上気させて息を荒げながらカムイの身体を弄っている。まるで発情した獣のようである。
少し前のカムイであったら今の亜希は様子がおかしいことに気づいたであろう。彼女は確かに子供好きで言動がアレだが、幼気な子供を無理矢理襲うようなマネは絶対しないはずであった。
しかし彼女はどういうわけか半ば熱に浮かされたようで、貪るようにカムイの身体を触ってくる。普段の彼女なら絶対にしない行動であるが、快楽に翻弄されるカムイにはそのことを思考できるほどの余裕はなかった。
カムイは快楽に振り回されながらも亜希にやめるよう声を掛けようとする。
「んひっ、ふぅっ、あふっ、あ、亜希ぃっ、もういい加減に―――」
「んじゅるるるっ♪」
「んひゃぅぅううううっ!?」
カムイが声を出そうとした瞬間、亜希の舌が彼の耳に差し込まれる。そして音を立てながら耳たぶや耳の中を舐められたため、カムイは再び快感による悲鳴を上げてしまう。
「はぁっ……!はぁっ……!はむっ、じゅるるっ、じゅぷっ♪ダメじゃないか、呼び捨ては。ちゃんと亜希“お姉ちゃん”って呼ぶんだっ♡」
「にゃっ、にゃにいっってんだおまえぇ……んいぃぃぃいいっ!?」
「じゅるるっ、ずちゅっ、じゅぷぷっ、ぷあっ♪ちゃんとお姉ちゃんって呼ばないならぁ、耳がふやけるまで舐めてやるからなぁ♪」
もはや抵抗することすらできず、カムイは亜希に身体を貪られていくのであった――――。
今回のお話ではエロは少しだけです。次回は亜希に襲われる主人公(子供状態)を本格的に書いていく予定です。