サイバーパンクな忍者世界で不死身の剣士してます 作:ニゴリエース
よう人間ども、デザストだ
前回は虚無の剣士のを狙ってヤバくて強い匂いがする連中が
集まってそこら中で戦っていたな
いいねぇ、なかなか俺好みの愉快な展開になってきたぜ
といっても虚無の剣士の奴はどういうわけか身体が縮んで
とても戦えそうになかったがな
いったい何が起きればあんな風になるのやら
さて、そろそろ俺も一暴れさせてもらうとするか
俺の戦いを見たければ、お前らの勝手にしな
カムイ達とレイス達の間に割って入るように登場したデザスト。突然の乱入にレイス達だけでなくカムイもまた戸惑っている様子であったが、デザストは気にする事なくカムイを地面に下ろすと愛剣のグラッジデントを肩に担ぐ。
「愉快な匂いがすると思って来てみれば、随分と盛り上がってるじゃねえか……フフフッ、この世界は本当に面白いことばかり起きるよなぁ、虚無の剣士……」
「デザスト……お前、なんでここに」
「妙な匂いがしたから、気になってお前の後を付けたんだよ……そしたら強そうな連中がわんさか集まってそこら中で暴れてやがる。だからお前に付いていけばとびっきり強い奴とも戦えると思ってな……どうやら当たりだったみてえだな」
カムイの疑問に対しデザストが楽しそうな声色で答える。するとカムイは顔を歪めて恨めしそうにデザストを睨み付け文句をぶつける。
「……つまり、最初から俺のことをつけ回してたってことかてめぇ……だったら最初っから助けろよ!おかげでユーリが死ぬ所だったんだぞ!」
「おいおい、結果的に助けてやっただろが……なのに礼どころか文句を言う奴がいるかよ。まっ、いいけどよ……それよりも」
カムイの不平を軽く流し、デザストは視線をワイトとウィスプの方へと向け品定めするように見つめる。彼女たちは自分達を襲撃してきたデザストに対し、警戒と殺意を募らせながら彼を睨み付けている。
「あなた、何者かしら?その下等生物の仲間に、貴方のような魔族がいるなんて報告はなかったはず」
「仲間?勘違いすんな、俺はこいつの仲間なんかじゃねえよ……」
「なんですって?ならなぜ私たちの邪魔を―――」
デザストをカムイの仲間だと思ってのウィスプの発言を彼は即座に否定する。その言葉にワイトは眉をつり上げる。仲間ではないのならなぜカムイ達を助け自分達の邪魔をするのか―――そんなワイトの問いにデザストは答える。
「決まってるだろ?
デザストはグラッジデントの切っ先を向けてウィスプとワイトにハッキリと告げる。カムイは自分の獲物あり、それを横取りしようとするのならば容赦はしないと。
「……そう、そういうこと。下等生物の仲間じゃないとしたらノマドの回し者かと思ったけど、ただの戦闘狂というわけね」
「どちらにしろ私たちの邪魔をするということは、私たちの主であるレイスロードに楯突くということ。なら貴方から先に始末するだけのことよ」
デザストの言葉を聞き、ワイトとウィスプはゴーレム達を控えさせながら殺意を滾らせる。自分達の邪魔をするというのなら殺すという意志を募らせ、デザストと対峙する。しかし彼女たちの本気の殺意を受けたデザストは怯むどころか愉快そうにクツクツと笑い始める。
「クククっ、いいねぇ……どうやらお前らとも楽しめそうだなぁ……なら、久々に“こいつ”で遊ばせてもらうか」
ワイトたちの殺気を身に受け、彼女らが紛れもない強者であることを感じたデザストはこれから起こる戦いに心を滾らせる。そしてグラッジデントを地面に突き刺すと、どこからか“ある物”を取り出す。それを見た瞬間カムイは驚きの声を上げる。
「あっ!お前それ、俺の無銘剣じゃねえか!!てめえいつの間に!!」
デザストが右手に持っていたのはカムイが持っていたはずの無銘剣虚無とそれが収められている覇剣ブレードライバーであった。実はデザストがカムイをウィスプの腕から引き剥がした際、彼はこっそりカムイの懐からひったくっておいたのである。
「ふざけんなデザスト!てめえ返せこの野郎!!」
「変身して戦ってないってことは、お前今はこれ使えねえんだろ?だったら少しくらい俺に貸せよ?」
「阿呆か!大事な聖剣をポンポン貸す奴がどこにいやがる!!さっさと返せ!!」
「あ~はいはい、ちょっと遊んだら返すって……」
大事な聖剣を取られたことに憤慨しそれを取り返そうとするカムイであったが今の彼は身体が縮み身体能力も下がっている状態であるためピョンピョン跳ねるだけでその手が無銘剣に届くことはなかった。
デザストはカムイの怒声を軽く流し彼を後ろへ退けるとそのままウィスプ達の方へと歩き出す。身体能力が下がっているカムイはなすがままであり、自分の剣を使って戦おうとするデザストを睨み付けることしかできなかった。
「デザストの野郎……あいつちゃんと返すんだろうな」
「カムイ、さん……」
「っ!ユーリ、怪我は大丈夫なのか!?」
ふとカムイの後ろから彼を呼ぶ声が聞こえ振り返ると、そこには片腕をおさえながら痛みを堪えているユーリが立っていた。カムイはすぐに傍に駆け寄ると彼女の心配をする。
「私は平気です……しかし、あの人はいったい……カムイさんの知り合いですか?」
怪我は痛むがそこまで重傷ではなく、命に別状もないためユーリは心配ないと手でカムイを制し、視線をデザストへと向ける。自分達を助けるように現れた、人間とも魔族とも言えないような見た目をした謎の存在。あまりのことに理解が追いついていない彼女の疑問に、カムイは頭をかきながら答える。
「知り合いっていうか、同じ境遇の奴っていうか……まあ、ちょっと前に色々あってな」
「……彼は、一人であのレイス達と戦うつもりなんですか?私も手伝った方が……」
「いいからお前は休んどけ……それにこういう時は意外と頼りになる奴だから、余計な心配だと思うぜ」
「そう、ですか……」
自分も援護に向かおうかと考えているユーリに対し、カムイはいらぬ心配だと答える。デザストの強さは実際に戦ったカムイ自身が知っていた。だからこそ、彼一人でも問題ないと答えたのである。
カムイとユーリのやりとりを余所に、デザストとウィスプ達が再び対峙する。デザストは特に身構えることもなく、普段と変わらぬ態度で彼女たちに軽口を飛ばす。
「よう、待たせたな……」
「別に待ってはいないわ。むしろ良かったのかしら、あの下等生物とお別れの言葉も言わないで」
「あっ?どういう意味だ……」
「貴方はこれから私たちに殺されるのだから、もう少しあの下等生物との別れを惜しんでも良かったんじゃないのと言いたいのよ」
ウィスプとワイトはまるで自分達には勝てないと言わんばかりの挑発めいた言葉をデザストに投げかける。しかし彼はその言葉を受けても激昂することなく、逆に面白いことを聞いたと言わんばかりに静かに笑い声を零す。
「ふっ、ククク……俺が、お前らにか……いいねぇ、そんなに自信があるだったら、せいぜい楽しませてもらおうか……」
デザストはそう言うとカムイから奪ったブレードライバーを腰に装着する。そして左手に持ったグラッジデントを地面に突き刺し、右手でエターナルフェニックスワンダーライドブックを取り出す。
『エターナルフェニックス!』
デザストはそのままブレードライバーにワンダーライドブックを装填し、無銘剣虚無を引き抜く。その瞬間、彼の身体を炎が包み込んでいく。
『抜刀!』
「変っ身……」
無銘剣虚無を肩に担ぎ、デザストの背中から炎の翼が生え彼の身体を覆っていく。そして次の瞬間、デザストは“仮面ライダーファルシオン”へと変身していた。
『エターナルフェニックス!』
『虚無、漆黒の剣が、無に帰す!』
「「なっ!?」」
デザストが仮面ライダーファルシオンへと変身したことにウィスプとワイトは驚きの声を上げる。無銘剣虚無の存在については彼女たちもまた知っていた。その能力についてや現在の所有者が井河カムイであることも調べが付いており、今の彼はその力を封じられて無力になっていることも。
だからこそ今の無銘剣を扱える者はおらず、大した脅威にはならなかったはずであった。しかし唐突に見たこともない怪人が現れ、しかも無銘剣虚無を扱えることに驚愕を隠しきれなかったのである。
しかし彼女たちが驚きで硬直していようがデザストは構わず右手に無銘剣を、左手にグラッジデントを構え彼女たちへと襲いかかっていった。
「へっ!そらぁっ!!」
「くっ!?」
―――ガキィィイイインッ!!!ガキィンガキィィイイイイイインッ!!
デザストが最初に狙ったのはワイトであった。彼が剣を軽やかに振るい斬りかかると、ワイトはそれをハンマーで受け流しながら距離を取ろうとする。しかしデザストはすぐさまワイトへと肉薄し、彼女に対して猛攻を仕掛けていく。
「このっ!」
「おっと!」
デザストの攻撃をギリギリの所で耐え反撃のハンマーを振り下ろすワイト。しかしデザストはそれをふらりと避け、振り向きざまに無銘剣で彼女の背を切り裂いていく。
「そおらっ!」
「ぐぅっ!?」
「ワイト!」
―――ギュオォォオオオオオッ!!
攻撃を受けたワイトの援護のためウィスプがゴーレムの砲身から砲撃を放つ。しかし砲撃の射線を見切ったデザストは身体を僅かに反らすことでウィスプの攻撃を躱す。そして今度は標的をウィスプへと定め、彼女へ突撃していく。
「おらっ!」
ウィスプを守るように立ちはだかる蠅型のゴーレムの一体を切り裂きそのまま彼女に向かって斬撃を繰り出していく。ウィスプはそれを紙一重で躱すが、デザストは攻撃の勢いを殺さず身体を回転させ彼女目がけて回し蹴りを叩き込む。
―――ドガァッ!!
「うぐっ!?よくもっ!!」
ウィスプはそれを両手をクロスして防御し直撃を防ぐ。軽く吹き飛ばされながらもウィスプはすぐさま体勢を整え再びゴーレムによる砲撃を繰り出す。ワイトもまた己のゴーレムから砲撃を乱射しデザストを襲う。
「へっ!そらっ!そうらっ!!」
―――ドゴォオオオンッ!!ドゴォオオオオンッ!!
眼前に迫る砲撃の嵐に対し、デザストは無銘剣を振るう。すると剣から斬撃のエネルギー波が発せられる。デザストはそれを連続で放ち迫り来る砲撃を全て打ち落としていく。やがて砲撃が止むとデザストは再び突撃しワイトに向かって剣を振り下ろす。ワイトはそれをハンマーで受け止めつばぜり合いが始まる。
「でぃや!」
―――ガキィィイイッ!!!ギリギリギリギリギリッ!!
「くっ!?」
「どうした?死霊騎士なんて大層な名乗りをした割には、そんなものかよっ!」
「このっ!下等生物風情が!!」
デザストの挑発に対しワイトは歯ぎしりをしながら彼を睨み付ける。戦況はデザストの圧倒的優位であった。
そもそも彼女たちは直接的な戦闘を得意としているわけではない。彼女たちの戦い方は“死体を自分達の先兵たるアンデットに変える”能力と“死霊騎士が操る瘴気の力”を用いたものである。
ウィスプにはアンデッドの力を強化する銀の瘴気が、ワイトには触れた者の記憶と姿を完全にコピーし変装することができる黄色い瘴気を操ることができ、これを使って圧倒的な物量で相手を圧倒したり敵を撹乱する戦法を得意としている。
しかし彼女たちが居る場所はヨミハラの一角に存在する路地裏であり人通りも少ないためアンデッドを生み出す死体は転がっていない。もちろん彼女たちはそんじゃそこらの魔族とは一線を画する実力を持っているが、直接的な戦闘を得意とするデザストと比べれば数段劣ってしまう。
「―――あまり、調子にのらないことね!」
「おっ?」
しかし相手の実力が数段勝っているからといってそれで彼女たちが大人しく引き下がるわけじゃない。ウィスプとワイトにとって自分達の主である死霊卿の命令は絶対であり、それを阻むものはどのような存在であれ排除するのが彼女たちの役目である。
ワイトはハンマーでデザストを押し返し彼の頭上目がけて振り下ろす。デザストは後方へ下がりながらその一撃を躱し、反撃へと転じていく。
「そこよっ!」
「っ!」
デザストが駆け出した瞬間、ワイトの背後からウィスプのゴーレムが現れすかさず砲撃を放っていく。ワイトの影で射線を隠し、突撃してきたデザストの虚を突いた奇襲攻撃である。しかしデザストは砲撃に対して怯むことなく、逆に速度を上げて前へと進む。
「よっと!」
「っ!?」
そして砲撃がデザストの眼前に迫った瞬間、彼は地面を強く蹴り空中へと跳ぶ。そのままくるり身体を回転させ、背中すれすれで砲撃を躱す。そしてそのままの勢いでワイトへと迫り、無銘剣とグラッジデントを振り下ろす。
「おらぁっ!!」
―――ガキィィイイイイイインッ!!!ドガァッ!!《xbig》《b》
「あぁっ!?」
「うぐぅっ!?」
咄嗟に斬撃をハンマーで防ぐワイトであったが勢いを殺しきることができず、背後にいたウィスプを巻き込む形で後方へと吹き飛ばされ地面へと転がる。
「ぐっ!?」
「ちょっと!早くどきなさいワイト!」
吹き飛ばされ倒れた二人はもつれ込みながらも急いで立ち上がり再び身構える。しかしデザストはそんな彼女たちに対して追撃は行わなかった。彼はため息をつきながら無銘剣虚無を肩に担ぎ、彼女たちを挑発する。
「はぁ、なんだよ大したことねえな……いい加減面白くなくなってきたし、そろそろ終わりにするか?」
明らかにワイト達を舐めた発言をするデザスト。自分達を見下すかのような言葉にワイトとウィスプは怒りを顕わにする。
「舐めるのも大概にしなさいこの下等生物が!」
「私たちは死霊騎士!麗しき屍の王に仕える者!私たちの邪魔をする者は何者であろうと排除する!!」
「へぇ……」
二人は自分達のゴーレムを集め、砲身全てをデザストに向ける。そして砲身にエネルギーが集束していく。強力な一撃を叩き込もうとしているのは明白であった。しかしデザストはそれを阻止しようともせずただ見守るばかりであった。
「これで消え去りなさい!!」
ついにエネルギーのチャージが終了し、ゴーレムの砲身から一斉に放たれる。今までの攻撃と比べとてつもなく大きく躱すのは難しいだろう。それを見たデザストは慌てることなく、ブレードライバーに無銘剣虚無を納刀しトリガーを押す。
《xbig》《b》『必殺黙読!!』
「消えるのは、お前らの方だ……!」
ワイトの言葉にデザストがそう返すと、ブレードライバーから一気に無銘剣虚無を引き抜く。そして同時にグラッジデントを左手に構える。
『抜刀!』
『不死鳥!無双斬り!』
「“カラミティ・ストライク”」
デザストは背中に翼を生やすと、両手の剣を突き出して身体を回転させる。そして無銘剣虚無から発せられる炎とグラッジデントから発せられる紫色のエネルギーが混ざり合い、弾丸の如くワイトとウィスプへと突撃していく。
―――ガガガガガガガガガガガガガガッ!!
「オォォォォオオオオオオオオッ!!」
無銘剣の力を上乗せしたデザストの必殺技とワイト達の最大威力の砲撃が激しくぶつかり合う。互いの攻撃は少しの間拮抗し合うが、やがてデザストの攻撃が砲撃のエネルギーを切り裂き霧散させていく。
「そ、そんなっ!?」
「こんなことがっ!?」
自分達の攻撃が切り裂かれたことに驚きを隠せず驚きの声をあげるワイトとウィスプ。そしてデザストはそのまま突撃の勢いを緩めることなくワイトとウィスプへと迫り、その剣の切っ先が二人へと届く瞬間―――。
―――ガキィィィイイイイッ!!ギャギャギャギャギャギャギャッ!!
「なにっ!?」
デザストの攻撃が二人へと届く直前、デザストの攻撃が何かに阻まれているかのように空中で止まり激しい火花を散らす。そのことにデザストも驚き前を見ると、何者かがデザストとワイト達の間に割って入りその攻撃を受け止めていた。
さらに驚くことに、その者はデザストの渾身の攻撃を“片手”で受け止めていたのである。それも盾や剣といった得物を使ってでもなく、文字通り手のひらで受け止めている。
「むんっ!」
―――ドガァッ!!
「がぁっ!?」
デザストの攻撃を受け止め続けていた謎の人物が腕を振るうと、とてつもない力の奔流が発生しデザストを吹き飛ばす。デザストはまるで全身がバラバラになるかのような衝撃を受け変身が解除されながら地面を転がる。
「デザストっ!?」
「大丈夫ですかっ!?」
「ぐっ!?なんだってんだいったい……」
カムイとユーリは地面に転がったデザストに思わず駆け寄る。デザストは身体を起こしながら突如現れた存在を睨み付ける。その者は全身が黒い甲冑に包まれており、顔は全く窺えない。
「なるほど、これが無銘剣虚無の力というわけか……やはり私では使うことすら叶わぬか。しかしこの鎧を傷つけるほどの力、素晴らしい……そしてそれを扱うことができる者が二人もいたとはな」
その者は先ほどデザストのカラミティ・ストライクを受けてボロボロになった右手で地面に落ちた無銘剣を拾い上げ眺めている。明らかに隙だらけの姿の格好にも関わらずその全身から発せられる圧倒的なまでの邪気と力を感じカムイとデザスト、ユーリは思わず戦慄する。
「てめぇ……なにもんだ」
デザストが甲冑の人物に尋ねる。その者は余裕の態度を崩さず、彼の質問に答える。
「我が名はテウタテス。“死霊卿テウタテス”」
「「っ!?」」
甲冑の人物が明かした名前にカムイとユーリが驚く。この者は自らを死霊卿と名乗った。つまりこの者こそワイトとウィスプが主と謳う者であり魔界九貴族の一人、そしてレイス達の親玉というわけである。
「テウタテス様、まさか貴方様がこちらにいらしたとは……」
「申し訳ありません。私たちが不甲斐ないばかりに、御身の命令を果たせないばかりか主自ら出向くことに……」
「良い、今回は予想外の者が現れた故の失態。それに私も無銘剣の力を見くびっていたようだ」
テウタテスの登場にワイトとウィスプはすぐさま彼へと平伏し謝罪を述べる。テウタテスはそれを手で制し、カムイ達へと向き直る。テウタテスから発せられる邪気に当てられながらも、カムイは怯むことなく彼へと尋ねる。
「死霊卿テウタテス……レイス共の親玉が、いったい俺になんの用があるってんだ」
「お前が無銘剣虚無の使い手の人間か……私の目的はお前の持つ無銘剣虚無、そしてお前自身だ」
「なに?どういうことだ」
テウタテスの言葉にカムイは心の中で首をかしげる。無銘剣虚無が目的なのはまだ分かる。無銘剣の存在はすでに魔界にも広がっており、それを欲しがる存在が出てくるのは百も承知だからだ。だがカムイ自身が狙われる理由が分からない。
「お前の存在は魔界でも聞いている。人間でありながら無銘剣虚無を使う者……お前の存在に注目しているは多くいる。あの獄炎の女王や今は亡き幻夢卿までもがな」
「……」
「故にお前のことを調べさせてもらった。随分と色々な者と関わりがあるようだな」
「……なんのことを言っているのか分からないな。魔界の貴族様ってのはつまらない噂を信用するほど暇人なのか?」
「「っ!」」
テウタテスの含みを込めた言葉にカムイはとぼけた返事をする。そのことにワイトとウィスプは怒りの形相でカムイを睨み付けるが、テウタテス自身は気にせず小さく笑っている。
「フフフッ、とぼけなくても良い……お前が魔界を何度も行き来していることも調べが付いている。他の貴族や部族にも随分と顔が利くそうではないか」
「……人のプライベートを暴き立てる趣味があるわけじゃないだろ。何が目的だって言ってんだ」
テウタテスの勿体ぶった物言いにイライラしカムイが直球で聞き返す。その言葉にテウタテスは甲冑の下でニヤリと笑う。
「お前を我が尖兵へと変えるために来た。無銘剣を扱えるその力とお前の人脈、その全てをお前ごと私の物とさせてもらう」
「っ!?」
テウタテスの言葉にカムイが驚きながらも頭の中で彼の言葉を冷静に分析した。そして彼はあることを思い出す。
魔族の中には他者を自身の使い魔や同じ種族へと変えることのできるものが存在する。吸血鬼なら血を吸った相手をグールや同じ吸血鬼などといった風にだ。
レイスもまた死体から自身の操り人形であるアンデッドを生み出すことができる。つまりテウタテスにもまた同じ力が備わっているのだろう。
そのことに思い立った瞬間、カムイは内心ゾッとした。つまりテウタテスはカムイを自身の部下へと変え、彼の存在ごと無銘剣虚無とその人脈を利用しようと考えていることに気づいたのである。
「さて、無駄話もここらで潮時で良いだろう。そろそろ我が物となってもらおうか」
「くっ!?」
そう言ってテウタテスはカムイへと近づくために歩を進める。カムイは思わず後ずさると、彼の前にデザストが割って入る。
「デザスト!?」
「おいおい……さっきっから聞いてみれば、なに勝手なこと言ってやがる……」
デザストはグラッジデントの切っ先をテウタテスに向けて威嚇する。テウタテスはその場で止まり、デザストへと視線を向ける。
「ほう……まだ私に立ち向かう気か、名も知らぬ剣士よ」
「お前んとこの連中にも言ったがよ……こいつは俺が先に目を付けたんだ……後から出てきた奴が横取りしようとすんじゃねえよ」
デザストはそう言って一歩も退かぬ姿勢を見せる。そして彼の横には、いつの間にか小刀を抜いたユーリが並び立つ。
「ユーリ!?」
「……人間よ、お前もまた私に刃向かう気か?勝算などないというのに」
「えぇ、確かに勝算はありません。しかし、目の前で知り合いが危険な目に遭うというのなら助けない道理はないでしょう?」
ユーリもまた一歩も退かないという意志を示す。それを見たテウタテスはクツクツと笑い出す。
「ククク……愚かなことだな。だが、そういうことならば良かろう……お前達の持つ技の冴えや力もまた興味深い。我が尖兵へと変えてくれようではないか」
テウタテスはそう言って両手を広げて構えを取る。圧倒的なまでの邪悪が、三人の前に立ち塞がるのであった―――。
どうも、体調崩したり王を目指す旅に出て投稿が遅れましたニゴリエースです。リバイスで登場した新しいダークライダー“ベイル”に興奮が冷め止まない日が続いています。CVが某社長と同じというのも自分の中で評価高いです。
次回はもう少し早く投稿できればいいかなぁ……。
次回も楽しみにしててください。