※この作品はR-18です。

サイバーパンクな忍者世界で不死身の剣士してます   作:ニゴリエース

38 / 44
♡復讐者達の一夜

 

 

 

「よっ」

 

「あら?」

 

 フュルスト率いる沙無羅威の軍勢と死霊卿を筆頭とするレイス達の襲撃から数日が経過した。怪我も回復し仕事に復帰したユーリは達成した依頼の報告を行い、自分のアジトへ帰るべくヨミハラの裏通りを歩いていた。そんな彼女の前にふらりとカムイが姿を現し声を掛けてきたのだった。

 

「カムイさん?珍しいですね、こんな所で会うなんて」

 

「んっ、ちょっと野暮用で……偶然お前のことを見掛けたから声かけたんだよ」

 

「そうですか……」

 

「依頼終わったんだろ?どうだ、この後一杯……奢るぞ」

 

「……別に構いませんけど、どうしたんですか急に?カムイさんにご馳走になるような覚えはないのですが」

 

 カムイからの誘いにユーリは僅かに訝しむ。二人は探偵事務所という共通点によって知り合った仲でそれなりに親交はある。しかし個人で付き合うほど親しいわけではなかったはずだと彼女は考える。そんな彼女の考えを読んだのか、カムイは少し頭をかきながら更に言葉を続けていく。

 

「ほら……この間、レイスの連中やテウタテスの奴から守ってくれたろ?」

 

「はぁ……ですけど、それならお互い様ですよ。私もカムイさんがいなければ危ない所でしたし」

 

「だからこそだよ……俺のせいで危険な目に遭わせちまった。一歩間違えればどうなってたか分からないしな……だからそのお詫びってわけだ」

 

「―――フフッ、そういうことなら断るのは野暮というモノですね。なら一杯だけご馳走になりますね」

 

 カムイが申し訳なさそうにしているその態度からお詫びというのは嘘ではないことをユーリは悟る。そして彼の厚意を無碍にするわけには行かず、ユーリはその申し出を受け入れることにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 場所はとある酒場へと変る。ヨミハラは闇の町であり、娼館や違法なモノを売買する店の他に飲食店もまたいくつも点在している。そして二人が入ったのは裏通りにひっそりとある酒場。そこは大通りに建っているモノと比べやや廃れているような印象であり、客の姿もほとんど見受けられない。しかしだからこそヨミハラの喧噪から外れ、ゆっくりと酒を楽しむことができるのである。ユーリも店の雰囲気が気に入ったのか、自然と笑みを浮かべながらグラスを傾け酒を飲んでいる。

 

「ふぅ……なかなか良い所ですね。まさかヨミハラにこんな酒場があったなんて」

 

「気に入ったか?」

 

「えぇ。静流さんの所みたいに活気があって大勢で飲むお酒も好きですけど、こうやって静かにお酒の味を楽しむのも、たまには良いですね」

 

「そうかい……」

 

 ユーリの言葉に相づちを打ちながらカムイもまたちびちびとお酒を飲んでいく。二人は特に他愛のない話をすることもせず、ただ酒を静かに飲み続けていく。しかしお酒を飲み干したユーリはカウンターにグラスを置き、ふとカムイの方へと顔を向ける。

 

「それで……私になにか聞きたいことでもあるんですか?」

 

「……っ」

 

「図星ですね。お詫びのためにお酒を奢ってくれたのは信じてしますけど、露骨すぎますよ。何か聞きたいことがあるから、わざわざ私に会いに来たんじゃないのですか?」

 

 あの日―――テウタテスに襲われて以来、ユーリはカムイからどことなく視線を向けられているのを感じていた。まるで自分を観察するかのような眼差し、そして今こうしてわざわざ二人っきりになるタイミングで会いに来たのだから、彼が何か目的があって自分に接触してきたのだとユーリは容易に想像がついたのだ。するとカムイは観念したかのように小さくため息をつくと、重々しく口を開く。

 

「お前の持つ邪眼のこと……美琴の奴から聞いたぜ」

 

「……」

 

「邪眼自体は別に珍しくない……魔族や対魔忍にはそういった能力を持つ連中が少なからず存在するからな。だがお前のそれ……他人を魅了して自由に操る邪眼は俺の知る限り、ある一族以外には存在しないはずのものだ」

 

 カムイはどこか懐かしむかのような口ぶりでぽつぽつと語り出す。ユーリは特に相づちを打つわけでもなく彼の言葉を聞いている。その表情はアイマスクをしているためかうかがい知ることはできない。

 

「そしてその一族はある出来事をきっかけで数年前に根絶やしにされたはずなんだ……ある一人を除いてな。俺があったそいつは、まだ年端もいかない少女だった。もし生きているのなら、ちょうどお前くらいの―――」

 

「ストップですよ、カムイさん」

 

「んっ―――」

 

 言葉を続けようとするカムイに対し、ユーリは困ったような笑みを浮かべながら彼の唇に人差し指を当てて口を塞ぐ。

 

「いくらここが静かな場所だからって、誰が聞いているか分からないんですよ。だから不用意に喋るのはそこまでです」

 

「……」

 

「なので場所を変えましょう。もっと静かで、二人っきりになれる所に」

 

「あぁ……そうだな」

 

 ユーリはそう言うと立ち上がり、カムイもまた彼女の提案を受け入れその場を後にするのであった。

 

 

 

 

 

「って、おい!なんでここなんだよ!」

 

 酒場を後にしたカムイはユーリに導かれるがまま場所を移した。しかしそこは彼の想像とは違った場所であったため思わず案内をしたユーリに向かって怒鳴ってしまう。ユーリが案内した部屋はピンク色の壁に妖しく光るライト、そして大人二人が寝れるほど大きなベッドが備え付けられている。所謂ラブホテルの一室である。

 

「この辺で二人っきりで静かに話せる部屋といったらここしかありませんからね」

 

「だからって……」

 

「あら、随分慌ててるんですね。もしかしてこういう所を利用するのは初めてですか?」

 

「アホ、んな訳あるか。俺は二人でこんな所に入ったのを誰かに見られた時のことを考えるとだな」

 

 売春が横行しているヨミハラでは別段珍しい場所ではないが、カムイはラブホテルに二人で入ったことに対し慌てている様子である。別段カムイは初心というわけでもなく、なんなら情報収集目的で売春婦を買う経験もしている。

 

 問題は自身とユーリがホテルに入ったのを見られるかも知れないということらしい。ここは闇の町ヨミハラであり、どこに目や耳があるのか知れたものじゃない。そのため今この場のことを目撃されて噂を立てられるのを嫌がっているらしい。

 

 しかし慌てている様子のカムイと比べユーリは冷静であり、ベッドに座りながらカムイを見つめる。目を覆っていたアイマスクはすでに外されており、オッドアイの瞳が部屋の光によって妖しく輝く。

 

「大丈夫だと思いますよ?ここはヨミハラ―――根も葉もない下世話な噂が飛び交うのだって別段珍しいことじゃないです」

 

「だ、だからってなぁ……」

 

「別にそういった行為目的で入ったわけじゃないのですし慌てなくても良いじゃないですか―――って、あら……どうやらそういう訳でもなかったみたいですね」

 

「はっ?―――ちょっ、おい!?」

 

 情事目的で入ったわけではないのだから慌てなくても良いと言ったユーリだったが、カムイを見て何か気づいたかのような仕草をすると、妖しく笑いながらベットから立ち上がる。そしてそのままカムイに身体が密着するほど近づくと、ユーリは彼の股間に手を伸ばして布越しになで始めた。

 

「フフッ。慌ててた割には、ここをずいぶんと大きくさせてますね。もしかして、期待させてしまいましたか?」

 

「ま、待て……うぐっ」

 

 カムイの耳元で囁くユーリ。彼女の手はいつの間にかカムイのズボンのチャックを外し、丸出しにされた剛直を直に触れて撫でている。カムイはそのことに慌てるもユーリを押しのけたり距離を取ろうともしない。どういうわけか彼は抵抗する気力が起きないでおり、ユーリにされるがままとなっている。

 

「くすっ♪どうしたんですかカムイさん……抵抗しないのですか?もしかして話ってのは建前で、最初っからこういうのが目的だったんですか?」

 

「ち、ちがっ……ぐぅっ!?」

 

「本当ですか?こんなに硬くさせていると、説得力がありませんね」

 

 普段の暗殺者としての冷静さや、探偵達と一緒に和気藹々としている様子から考えられないほどの色香を醸しだすユーリ。カムイはそんな彼女にまるで魅了されてしまったかのように抵抗ができないでいた。

 

「うふふ、良いですよ……」

 

「はっ?」

 

「カムイさんには前に命を助けられましたから、お礼代わりにしても良いって言ったんですよ」

 

 ユーリはそう言うとカムイの剛直から手を放し距離を取る。そして彼の手を引くとそのままベッドになだれ込むように倒れる。カムイはユーリに引っ張られ彼女に覆い被さるような姿勢となる。

 

「うふふ……ほら、見えますか?」

 

「―――っ!」

 

 ベッドに寝転がったユーリは足を広げ、ショーツをずらして割れ目をさらけ出す。露出した秘部からは愛液が溢れ、ヒクヒクと蠢いている。その雄を誘惑し、挑発するかのよう卑猥な光景にカムイはゴクリと固唾を呑む。

 

 秘部から目をそらせず、肉棒を勃起させているカムイに対してユーリは笑みを浮かべながら言葉を続ける。

 

「私のここも、我慢できないみたいなんです。だから、良いですよ……私のここ、カムイさんの好きなようにしていただいても」

 

「っ!!」

 

 その言葉に対して、ついに欲望が決壊したのかカムイは自らの肉棒の先をユーリの膣穴へと擦りつける。そして狙いを定め、一気に腰を突き出す。肉棒は一気に膣の奥へと飲み込まれていく。

 

「んはぁぁぁあああああああああっ!?」

 

「ぐぅぅううう……っ!」

 

 肉棒で一気に貫かれたためかユーリは身体を仰け反らせて甲高い悲鳴を上げる。カムイは肉棒から伝わる暴力的なまでの快感に歯を食いしばって耐えている。

 

「はっ……はっ……うふふふっ、挿入してしまいましたね♡」

 

「ゆ、ユーリ……お前、もしかして」

 

「はい、なんですか?」

 

「もしかして、邪眼を俺に―――」

 

「クスクス♡はい、正解です♡」

 

 快感に耐えながらもカムイはユーリに、自分に対し邪眼を使ったのかと尋ねる。確かにユーリは女性として魅力的ではあるが、まるで飢えたかのように女性に、それも友人とも呼べるような相手に対してがっつくような真似を自分がするとは信じられなかったのだ。

 

するとユーリは悪びれもせず、悪戯がバレてしまった子供のように笑い白状する。ユーリの持つ邪眼“魅眼”は相手を魅了し、その行動を操ることができる。ユーリはこれを使い、カムイの性欲を暴走させつつ自分を襲うように仕向けたのである。

 

「バレてはしまいましたが、ここで終わりってのもお互いに不完全燃焼になってしまいますよね。なので、このまま続けさせてもらいますね♡」

 

「ちょっ、まて、本当に―――がぁぁあああっ!!?」

 

「くすっ♪待ってあげません♪」

 

 邪眼を使ったことがバレてなおユーリは行為を止めようとしない。そしてカムイが止める間もなくユーリは彼の腰に足を、そして首に腕を絡みつかせる。するとカムイの意志に反して腰が激しく動き出した。

 

 

 

 

―――パンパンパンッ!ドチュッ!ドチュッ!!

 

 

 

 

 

 

 肉と肉がぶつかりあう音が響き、膣穴に肉棒が何度も抽挿される。そしてその度にユーリはカムイの耳元でいやらしく喘ぎ声を上げる。

 

「んっ、あっ♡あはぁっ♡カムイさん、腰使いがはげしっ♡口ではなんだかんだ、言いながら……随分、情熱的に攻めてくるんですね♡」

 

「ぐぅうっ!?ふ、ふざけんなっ……これは、お前が動かしてんだろがっ!」

 

「うふふふっ♪確かに、魅了はしてますけどぉ……あんっ、腰の動かし方についてはぁ、私が操ってるわけじゃ、ないんですよ?」

 

「がぁっ!?あっ、ああっ、そんなの、信じられ―――」

 

「はぁっ、あっ……あんっ……信じられないですかぁ?そう思うのなら、それで良いですよっ♡あはぁっ♡そこ、良いですっ♪」

 

 ユーリの喘ぎ声を耳元で聞かされ、カムイ自身もまた興奮が抑えられない。肉棒を突く度に膣が奥へ奥へと飲み込み、引き抜くとまるで『抜かないで』と言わんばかりに膣肉が絡みつく。その圧倒的なまでの快感に思考を乱され、カムイはもはや自分が魅了されているのか、操られて腰を振っているのかさえ曖昧になってしまう。

 

 そしてその情事にもやがて限界が訪れる。カムイの腰がブルルと震え、快感が昇ってくるのを感じた。そして彼の腰の動きを感じ、ユーリはカムイが射精しそうになっているのを察した。

 

「あんっ♡ふふっ、腰震えてますね……もしかして射精(で)そうなんですかぁ?」

 

「ぐぅぅぅううううっ!!?」

 

「良いですよ射精しても。―――あぁ、でも……カムイさんに伝え忘れたことがあったんです」

 

 ユーリはそう言うと再びカムイの耳元に口を近づける。そして彼に向かって、ある事を告げた。

 

「実は私―――今日は危険日(・・・)なんです♡」

 

「っ!?」

 

「だから今、膣内に出しちゃうと……赤ちゃん、できちゃいますよ?」

 

 危険日―――ユーリはハッキリとそう告げた。それはつまり今膣内に射精してしまえば高い確率で受精してしまうことを意味する。カムイはその言葉に思わずゾッとしてしまう。まさかゴムもせずに性行為をしている相手が危険日とは思わなかったからだ。しかしそれと同時に雄としての性なのか、膣内に収まっている肉棒が更に硬く膨張したのをカムイは感じてしまう。それはユーリも同じなようで、彼女は揶揄うようにカムイへ言葉を掛ける。

 

「あはぁっ♪どうしたんですか?オチンポ、膣内で大きくなりましたよ?もしかして、危険日って聞いて私のこと、孕ませたくなったんですか?」

 

「ち、ちがっ……」

 

「クスクス♪んっ、だったら……どうして腰を止めないんですかぁ?足はもう腰から外しているんですから、いつでもオチンポ抜けますよね♪」

 

 ユーリの言葉を聞き、カムイは今初めて自分の腰に巻き付いていたはずのユーリの足が外れていることに気づいた。しかし彼の腰はまったく止まっておらず、尚も肉棒の抽挿を続けていた。

 

「違う違うって言いながらぁ、あっ……んぅっ……腰使いは全然勢いが弱くなってませんよね♪危険日って聞いてぇ……あっ、ああぁっ…・…ますます奥で射精したくなったんですか?」

 

「ちがう、これは……ぐぅぅううっ!?お前が、邪眼で操って―――」

 

「私の邪眼で操れるのは、せいぜい数分ですよ……んんっ♡なので、今こうして腰を止めないのは……あんっ、カムイさんの意志なんですよ♪」

 

「うぅぅううううっ!!?」

 

 ユーリの言葉を聞き、カムイは思わず呻いてしまう。彼女の言葉が本当なら、今カムイは興奮を抑えられず腰を止めることができていないということである。それどころか、まるでラストスパートに入ったかのように彼の腰を振る速度は激しさを増していく。

 

「ううっ、ああっ……!そこ、良いですっ!ああぁぁあっ♡くうううううぅぅっ♡」

 

「ぐうううっ!?くそ、止まれ、止まれってぇっ……!」

 

 腰の動きが激しくなるとユーリは更に反応を大きくしていく。そして彼女もまた射精を求めているかのように膣圧が激しさを増し、カムイの肉棒を締め付けていく。そのネットリと絡みつく膣肉の感触にカムイはもはや呻くばかりである。しかし赤ん坊ができるかもしれないという不安がカムイの射精をなんとか押しとどめている。

 

 理性と欲望の狭間で悶え続けるカムイ。しかしなんとか射精を踏みとどまっている彼に対し、ユーリは止めの言葉を囁いた。

 

「―――良いですよ、膣内で射精しても♡」

 

「っ!!?」

 

「カムイさんの赤ちゃん……産んであげますよ♪」

 

「~~~~~っ!!?」

 

 その言葉がカムイの我慢を決壊させる。射精しまいと踏ん張っていた腰の力が抜け、カムイはユーリの胎内の一番奥で欲望を解放させた。

 

 

 

 

――――ビューーーッ!!ドプッ!ドピュウッ!ビュルビュルビュルビュルっ!!

 

 

 

 

「あっ、あうううううううぅぅううっ!あ、熱いっ、ああっ!膣内に、熱いのがぁぁああああっ!!い、いっくぅううううううううううううっ!!」

 

「ぐぅっ、あぁぁぁああああああああっ!!」

 

 子宮口に亀頭を擦りつけるようにして射精し、カムイは絶叫を上げる。ユーリは胎内にマグマを流し込まれたかのような感覚を感じながらも射精の勢いで絶頂する。そして膣肉が更に蠢き肉棒を刺激し、カムイの射精を更に促していく。

 

「ぐぅっ……はっ、はっ、はっ……」

 

「はぁ、はぁ……ふうっ、ふううぅぅ……」

 

 二人は身体を震わせながら絶頂を深めていく。やがて射精が終わり絶頂の波が退いていくと、肩で息をしていたカムイはすぐさま顔を蒼くする。

 

「す、すまんユーリ……すぐに抜く―――ぐああぁあっ!?」

 

「フフッ、ダメですよカムイさん。もう少し余韻を楽しまないと♪」

 

 すぐに膣から剛直を抜こうとするカムイに対し、ユーリは再び腰に両足を回して絡めてくる。そして同時に膣が再び蠢き肉棒に刺激を与えると、快感によって肉棒は再び硬さを取り戻していく。

 

「お、お前な……はやく抜かないと―――」

 

「赤ちゃんができる、ですか?くすっ♪大丈夫ですよ、カムイさん。危険日というのは嘘です♪」

 

「……はっ?」

 

「カムイさんの反応が面白かったので、つい揶揄いたくなったんです。だから安心してください♪」

 

「……お、お前なぁっ!!」

 

 悪戯が成功し笑みを浮かべるユーリに対しカムイは思わず青筋を浮かべる。しかしすぐさまため息をつき、怒りを抑え込む。そしてギラリと瞳を輝かせると、ユーリの両手に自分の両手を絡ませて押さえ込んでいく。

 

「そっちがその気ならもう遠慮はしねえ。今夜は徹底的に分からせてやる」

 

「クスクス♪逆にへばって先に倒れないでくださいね?」

 

「上等だ……んっ」

 

「んんっ、んじゅるる……ちゅっ、ちゅぷっ」

 

 カムイはそのままユーリの唇に自らの唇を重ね、舌を絡ませる。そして再び抽挿を再開させていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「んうっ?」

 

 唐突にカムイは目を覚ました。あくびをかみ殺し、状態を起こすとそこはユーリとの情事に耽っていたホテルの一室。時間を確かめると部屋を訪れてからすでに半日は経過している。そこでカムイはぶっ続けで性行為に夢中になり、そのまま寝落ちしてしまったことを思い出した。

 

「……ユーリ?」

 

 そしてカムイはその相手であったユーリの姿がないことにも気づき声を掛ける。しかし返事は帰ってこず、部屋にも自分以外の気配は感じられないためすでにユーリが部屋を発った後なのだと彼は思い至った。

 

 そしてカムイはここで初めて、ユーリが自分との話をごまかすためにこの部屋に誘導し、そして見事に彼女の術中に嵌まったことに気づいたのであった。

 

「はぁ……誤魔化されたか」

 

 カムイはそう言って頭をかきながらため息をつく。別に彼がユーリに聞きたかったことは大して重要なことではない。ただ少し確認を取りたかっただけのことなのだ。だからこそ、次会った時に聞けばそれで良し、本人が話したくないのなら無理に聞き出すことでもないと考え、ベッドから降り身支度を整え始めるのであった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それはまだ、井河カムイが『井河の凶犬』として長老衆に仕えていた時の出来事だった。己の権勢を思いのままにしようと目論む長老衆率いる井河の一族と、それを政府に従い権力を振りかざすのを是としないふうま一門の戦い―――その結末は、ふうまの当主である弾正の戦死によって長老衆の優勢となった。

 

 そして長老衆は弾正を失い勢いを失って敗走したふうま一門を徹底的に叩こうと、時期当主でありふうま弾正の遺児を始末しようと躍起になっていた。その時カムイもまた己の主であり弾正が戦死する一因となった井河扇舟の命を受け、弾正の遺児捜索と残党狩りへと赴いていた。

 

 轟轟と燃えさかる木々や家々に、足下に転がる冷たくなった人の骸。そして夥しい血溜まりの上にカムイは立っていた。彼は返り血で染まりながら手に持った刀を振るい、刃についていた血をふるい落とす。そして遠くから響いてくる悶え苦しむような悲鳴を聞きカムイは顔をしかめる。

 

「……むなくそ悪いな」

 

 カムイは苛立たしげにそう吐き捨てる。彼は敗走したふうま一族の舞台を追走する対魔忍部隊に同行しており、今し方最後の抵抗と言わんばかりに襲いかかってきた者達を始末していた所だった。一方他の連中は追い詰めたふうま一族に対して苛烈なまでに拷問をしている真っ最中である。

 

 部隊を率いていた男―――艶川百之助は大小様々な蟲を使う蟲遁使いであり、彼が使役する蟲によって身体の内部にある神経系統を食い荒らさせて想像を絶する激痛や快楽を与え、ふうま一族の者達に弾正の子供の居場所を吐かせようとしているのである。

 

 カムイ自身は今回の任務に対して不満はなかったが、この百之助の存在を前にして終始苛立ちを隠せないでいた。お世辞にも醜いとしか言い様のない容姿に加え性格は陰湿かつ残酷で、しかし忍びとしての能力はあるため、あの葉取星舟が目を掛けるほどである。

 

 カムイにとっては百之助の性格自体受け入れがたいものだが、それ以上に星舟のお気に入りという時点でろくでもない奴だと理解していた。現に百之助は己が操る蟲を使い、面白半分にふうま一族の人間を拷問しているため、カムイは彼とは相容れないと考え距離を取っていたのである。

 

「ちっ……遊んでないでとっとと聞き出せよ、ゲス共が」

 

 聞こえてくるふうま一族の絶叫と井河忍者の下卑た笑い声に青筋を浮かべながら文句を垂れるカムイ。しかし次の瞬間、状況が一変することとなる。

 

「ああああああああああああああっ!!やめろ、やめろおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

「ん?」

 

 百之助達がいる方角から響く少女の声の絶叫を聞き、カムイは顔を上げる。何かあったのだろうかと思いカムイはすぐにその場から駆け出す。燃えさかる木々の間を走り抜け、そっと木の裏に隠れて百之助達の様子を窺う。

 

「なっ!?」

 

 そして彼の目に信じられないモノが飛び込んできた。拷問をしていた井河忍者達がなんと奇っ怪な行動をしていたのだ。ある者は己の頭を岩に叩きつけ自殺し、ある者は仲間の首を掴んで引っこ抜き殺している。

 

 部隊の者は次々と異常な死に方や殺され方でバタバタと倒れていく。死んだ者達もまた何が起こったのか分からないような顔を浮かべていたほどだ。それを見てカムイはあることに気がつく。

 

「これは……“魅眼”の力か?」

 

 カムイ達がこの場を訪れる前、彼らの標的となった一族についてある程度の情報伝達が行われた。一族が使うのは“魅眼”と呼ばれるもので、対象の目を見て魅了し意のままに操ることができるというものである。

 

 恐らく部隊の者達はその能力によって自殺や同士討ちを強要されたのであろう。カムイは冷静に分析しながらも井河忍者達を助けるようなマネはせず、ただ部隊が全滅するのを見つめていた。元々は同じ任務に当てられた程度の仲であり、死んでいく彼らを助ける気はカムイにはさらさらないのである。

 

「ひいいっ!?なんだ貴様、なんだこれはあああああああああっ」

 

 そして最後の一人、艶川百之助だけが残った。彼は何が起こったのか分からないようであり、目の前に居る少女に対して怯えているようだ。

 

「貴様!!殺してやる!!父様と、母様を、こんな―――貴様を絶対に許さない!!!」

 

 少女は憎悪に満ちた目を迸らせ、激情のままに叫びながら百之助を殺そうと身構えている。その少女の表情に、カムイは僅かに動揺を見せる。

 

「……同じだ」

 

 大切な肉親を奪われた者の怒りと憎しみに満ちた目―――それはまさしくカムイと同じものであった。恐らく少女は追い詰められたふうま一族が戦力として仕方なしに戦場へと連れ出したものなのだろう。そして彼女の叫び声からして、少女の両親は百之助によって拷問されて殺されたのは想像に難くなかった。

 

 少女の心中を察したカムイは百之助を助けるようなことはせず、彼女の復讐が完了するのを見届けようとする。だがその時である。

 

「―――そうか、任務完了。隊と共に里に帰還する」

 

「えっ?」

 

「なに?」

 

 突然呆けたような表情となった百之助がぎくしゃくと身体を揺らしてその場から立ち去っていく。そのことに少女だけでなく隠れていたカムイもまた驚いた。そして何かに気づいたのか少女が振り向いた。

 

「こ、このまま皆殺しにしたら、すぐに追っ手がくるわ……。そうしたら、あなたが逃げられない」

 

「母様!!?」

 

 少女の後ろにいたのは一人の女性であった。少女が母様と呼んだため恐らく母親なのだろう。彼女は百之助の拷問によって瀕死であったが、娘を案じ残った力の全てを振り絞って“魅眼”を発動させたのだ。

 

 術を掛けられた百之助は任務を達成させたと思い込まされ里へと帰還していく。そして帰還するそのわずかな時間で娘を逃がそうとしたのだ。

 

「い、いやです!!!私が死んだって、あの外道さえ殺せれば構わない!!父様も母様も、こんな……私一人になったら、生きてなんていたくない!!!」

 

「……うん、ごめんなさい、ずっとあなたといられなくて……」

 

「―――っ!!?」

 

 泣き叫ぶ少女に対し、精一杯の笑みを浮かべて言葉を掛ける母親。その姿に、かつて死んだ自分の母親が重なって見えたカムイは衝撃と同時に懐かしさを覚えてしまう。そして彼は思わず隠れていた場所から飛びだし親子の目の前に降りたった。

 

「っ!?」

 

「そんな……まだいたなんて……」

 

 カムイが飛び出したことで少女は驚き、母親は絶望の表情を浮かべる。まだ残党がいたなんて想像していなかったのだろう。しかし母親はすぐに表情を引き締めると少女を押しのけよろよろとカムイの前に立ちはだかる。

 

「私が時間をかせぐわ……あなたはその間に、遠くへ逃げなさい……」

 

「いやっ!!そんなのいやです母様!!!」

 

 もうすでに死に体だというのに子を守ろうとする母親。それを見たカムイは、すぐさま己の手に握られた刀を投げ捨てる。

 

「えっ……?」

 

 今度は少女の母親が驚く。しかしカムイは構うことなく母親に語りかける。

 

「俺には医術の心得はない、だからアンタを助けることができない……けど、アンタの娘さんを遠くに逃がすことはできる」

 

「っ!!?」

 

「信じられないかもしれない……けど信じてくれとしか俺には言えない」

 

 カムイの言葉に母親は目を見開く。そしてしばし思案するような表情を浮かべるが、カムイの目を見て意を決したのか、母親は小さく頭を下げる。

 

「この子を、お願いします……」

 

「母様!!?」

 

 母親の言葉に少女が驚いた。しかし母親の言葉を聞いたカムイはすぐさま行動に移した。少女をすぐ傍まで駆け寄ると、彼女を抱えながら無銘剣虚無を取り出し背から炎の翼を生やすと大空へと飛翔する。

 

「いやだ!!はなせ!!はなせええええええええっ!!!母様!!母様ぁっ!!!」

 

「―――あなたは生きなさい。私たちの願いは、ただそれだけ……」

 

「かあさまああああああああああああああああああっ!!」

 

 少女の絶叫が響く。しかしカムイは止まることはせず、炎の翼を羽ばたかせ夜空を飛んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 それから一週間ほど経過した。とある山中の道を、カムイは両手に袋を持ちながら歩いていた。袋の中には果物や野菜などの食べ物が入っている。そして彼がしばらく歩いた先には、ぽつんと小屋が寂しげに立っている。周囲は草木が生い茂っており、場所を知る者でなければその山小屋を見つけることは容易にできないであろう。

 

「食い物持ってきたぞ」

 

 カムイはそう言いながら小屋の扉を開き中に入る。そこには、あの時カムイが連れ去った少女が膝を抱えながら座っていた。少女は頬が痩せこけ瞳に光がなく、カムイの言葉に対して身じろぎ一つしなかった。

 

「……着替えもしてないのか?流石に同じもの着続けると病気になるぞ」

 

「……」

 

「……おい、聞いてんのか」

 

「っ!!!」

 

 言葉を掛けてもなんの反応を示さない少女に対し、カムイは少々苛立ちを覚えながら彼女に近づく。しかし次の瞬間、少女が素早く身体を起こしカムイを押し倒す。そして顔を憎悪に染めながらカムイを見下ろし、彼の首を両手で締め上げる。

 

「ぐっ!?」

 

「なんで……なんで母様を置いてきた!!なんで私だけここに連れてきた!!井河の忍びであるお前が、なんで私を生かした!!」

 

「おい、落ち着けよ」

 

「黙れ!井河の忍びめ!!よくも父様と母様を―――殺してやる!!殺してやる!!!」

 

 怒り、憎しみ、悲しみ―――それらが全て混ざってぐちゃぐちゃになった心の叫びをぶつけながらカムイを絞め殺そうとする少女。しかしカムイはすぐに少女の両手を掴んで捻り上げる。

 

「あぐっ!!?」

 

「お前の両親を殺したのは俺じゃねえ……それと、いくら女だからといってこんな簡単に組み伏せられるほど弱った身体で何ができる。そんな体たらくでどうやって俺を殺すつもりだ?どうやって復讐するつもりなんだ」

 

「……だったら殺せばいい!!もう……父様も、母様もいない……私には、もうなにも残って―――」

 

 力によって容易に逆転してしまい、少女はハラハラと泣きながら自棄になったように叫ぶ。両親も死にもう自分には何も残っていないと―――それを聞いたカムイはすぐさま顔を怒りに染めて少女の胸ぐらを掴み立ち上がらせる。

 

「黙れ!!復讐を果たす前に死ぬなんて二度と口にするな!!」

 

「―――っ!?」

 

「お前が死のうが生きようが俺の知ったこっちゃない。だがな、復讐もせずただ自棄になって死のうとするのだけは許さねえ……お前のその怒りも、両親の死も、ただ死んで無駄にすることだけは俺が絶対許さない!!」

 

「……」

 

 やけになって自ら死を望んだ少女に対してカムイは怒鳴り声を上げる。少女と同じく母親を殺され、復讐を誓った身として彼女の言葉は到底許せるものではなかったのである。

 

「死ぬなら復讐を果たしてから死ね!!両親の仇を取って、お前を地獄に追いやったアイツに“ざまあみろ”と言ってやれ!!それからどうしようとお前の勝手だ、死にたかったら死ねば良い!!だが何の意味もなく死ぬのだけは俺の前では絶対にさせない!!分かったか!!?」

 

 カムイはそう告げると少女を放した。少女はカムイの言葉に気圧されながらよろよろと床に座り込み、再び涙を浮かべる。

 

「う、うぅ……母様……父様……」

 

「……泣きたかったら泣けば良い……好きなだけ泣いて、全部吐き出しちまえ。それから復讐のことを考えればいいさ」

 

「うぁ、あああ……ああああああああああああああああああっ!!!」

 

 少女は泣き崩れる。カムイは少女に対して慰めるわけでもなく、ただ彼女の傍らに座り込み少女が泣き止むまでその場に居続けるのであった。

 

 それからまたしばらくが経過した。それ以降少女がカムイに襲いかかることも、泣き叫ぶようなこともなかった。少女は時折訪れるカムイと寝食を共にし、他愛のない話をしながらも空いた時間には鍛錬を積み続けた。いずれ復讐を果たすべく、彼女は己の腕を磨き続けていたのだ。

 

 そうした奇妙な生活が数ヶ月ほど続いた後だった。月明かりが照らす中、少女は身支度を調えていた。小屋の床にはカムイから与えられた衣服が綺麗にたたまれている。少女はしばらく小屋の中を見回してどこか寂しげな表情を浮かべると、ぺこりと頭を下げて扉を閉める。

 

「―――行くのか?」

 

「……」

 

 少女が山小屋を出た直後、屋根から彼女に声を掛ける者がいた。もちろん正体はカムイである。彼女はカムイに対して特に驚くわけでもなく、彼の方を振り向くこともしない。カムイもまた彼女の態度を気にする様子はなく、淡々と言葉を続ける。

 

「牢番の連中が殺された。百之助は姿をくらまして逃走……追跡部隊が追ってるらしいが、捕まらないだろうな」

 

「そう、ですか……」

 

「あの野郎がどこに行ったのかは俺も分からん。後はお前の方で探しな」

 

「はい、そうさせてもらいます」

 

 少女はそう言って歩き出す。しかしふと何かを思い出したかのように立ち止まると、僅かに首を後ろに回し、カムイに対して言葉を掛ける。

 

「短い間でしたけど……ありがとうございました」

 

「……頑張れよ」

 

「―――はい」

 

 それは小さな感謝の言葉であった。それはなんに対しての感謝なのかは敢えて聞かなかったが、カムイは少女に対しただ頑張れと告げる。そして今度こそ、少女は歩みを止めることはなかったのである。

 

「……あっ、そういえば」

 

 少女が歩き去った方角を眺め、その姿が完全に見えなくなったのを確認したカムイもまたその場を去ろうとしたが、ふとあることを思い出した。

 

「―――名前、聞いてなかったな……」

 

 一年にも満たない程の時間だったが、それでも共に過ごした少女―――その名を一度も聞くことはなかった。そのことだけが、僅かにカムイの心残りとなったのであった。

 

 

 

 

 そしてカムイと少女が再び出会うのは、この日から更に数年後の話である―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。