嫁ガチャ! 作:即席brain
最初の天使に会ってからおよそ10分ぐらいが経過した頃。とりあえず神殿に向かって歩いていると、2人組の天使と出会う。彼女らも薄いひらひらのワンピースを着ているが、スッキリして賢者タイムに入っていた俺に対しては効果が薄かった。
胸もさっきの子と比べたら小さいし、何よりこれ以上天使が消えたら不味そうというか若干胃が痛くなってきたよ。さっきと同じような流れで、しかし今度は天界の案内をして貰うことに。
「地上に住む生身の人間にとっては信じ難い光景でしょうが、ここでは天使が社会生活を営んでいます。結構色んな天使がいるんですよ?」
「へー」
スーラは丸型になり、完全にただのスライムに擬態し、リームは元々メイド姿のためヤバイ存在には見え辛い。マルエルは透明になったみたいで、俺の視界内にはいないけど、時々飛ぶのを止めて俺の背中に張り付いている。幼女の高い体温がダイレクトに来るからマルエルは分かり易いな。
天使達に「俺達はムーンゲートから来たから1日間だけ観光する」と伝えると、神殿を避けるように遠回りして、神殿の向こう側にあった天使達の街を案内してくれたが、何故か街並みは中世ヨーロッパなのに全員スマホを弄っているという状況。天使達が持っているの、iPhoneだな。世界観ぶち壊すアイテム使うのは止めてくれません?
「いやこれ凄く便利ですよ?遠く離れていてもメッセージを送り合えますし、スケジュール管理にはもう欠かせません。それに今だってこうやって会話出来ているのは、このスマホの翻訳アプリのお蔭です」
「あ、そうなのか。
……魔法の概念をスマホに組み込む?魔法が使えるスマホって、えげつないぐらいに便利そうだな」
魔法の概念と言えば、まあ『嫁ガチャ!』も魔法の概念が組み込まれているな。ガチャで引いたのが現実に登場した時は驚いたけど、そういう転移魔法があるとなると話は変わって来る。いやでも土地とか家が置き換わったのはまだ説明できないわ。人間の記憶にも作用しているし、世界を上書きとか言ってたからまた別の話かな……。
もう確実に、この現象を引き起こしている黒幕というか、そういう存在が「いる」と確信しておいた方が良いとは思う。目的とかさっぱり分からないし、考える時間が無駄に思えて来たけど。とりあえず今は、与えられるものをありがたく受け取って、楽しんでいたら良いんじゃないだろうか。そうしろと言ってるようなものだし。
「そういえばこういう天使達の街でも風俗みたいな店ってあるの?」
「旦那様は馬鹿なんですか?天使を性的な目で見るような存在はここには普通、来ることが出来ないんですよ」
「ええ、じゃあ性欲とかどうしてるんだ」
「普通の天使はありません。そもそも、姦淫の禁を破れば堕天するのが通常です」
「ほー、堕天するんだ。
……あれ?」
前を進む天使達に聞かれないよう、リームに天使の街には風俗みたいな店があるのか確認してみたらさらりと馬鹿にされた。いや俺みたいな存在が来ることもあるし、そういう店があるかもしれないと期待したって良いじゃん。
そして天使は犯されると堕天使になるという話を聞き、悪い考えを思いついてしまったのと同時に、マルエルが堕天使になっていないのはおかしいんじゃないかと気づく。
というか現れていきなり自分を犯してくれと洗脳しようとする天使が存在してたまるか。どこかがおかしいのは確実だろう。そもそも、リームやマルエルは常識で推し量れるような存在であるのかすら疑問だし。
あれ、じゃあリームの腕の中にいる天使は……。
「堕天使になっていますね。既に羽が半分黒いです」
「うわあ。めっちゃ可哀想になって来たんだけど、解放とか出来る?」
「解放したら天界全体が敵対して旦那様が殺されるので却下です」
「……お持ち帰りするしかないじゃん」
……元の世界に戻って、ムーンゲートを閉じてから解放するしかないな。いやこうなったら自宅で監禁とか調教とか、そっちの方が良いかもしれない。元の世界に犯した天使の戸籍とかないだろうし、家宅捜索とかも俺が問題行動を起こさなければされないだろう。
天使達の住む街並みを歩いていると、通貨がないことに気付く。何ここ性欲物欲金銭欲その他諸々の欲を抱いたらダメなの?地獄じゃん。そして人間は俺以外におらず、たまに空中を漂っている無表情の人間が天使に拘束され神殿に連れて行かれるのを見る。うんまあ何となく流れは読めたわ。
要するに死後の人間の魂か霊体かは知らないが、そういう存在は神殿に連れて行かれるんだな。生きている人間は本当に珍しいらしく、天使達からの注目も集める。……女性の天使は美人か美少女しかいないからまだ良いけど、イケメンがこっち向いて来るの勘弁してくれないかな。
「両性具有の天使とかいる?」
「いたらどうするつもりですか?」
「……んー、可愛かったら持ち帰る」
「どんどん思考が外道かつ強欲になっていますね。そんな旦那様も好きですが」
ふたなり美少女天使とか実在するのかなと探しながら、この世界の食べ物というか名産として勧められたリンゴを齧りながら、リームの解説を聞く。どうやらこの世界は元の世界と比較的近い位置にあるようで、異世界の中でもかなり距離の近い異世界だとか。
「なるほど、天国が一番近い異世界なのか。ということは、地獄もある?」
「まあ近しい世界はありますよ。死後、霊体となった時に天界に行く人と地獄に行く人の割合は半々ぐらいですね」
「それって現世で良い事をしていたら来世は天国、悪いことをしていたら来世は地獄って奴?」
「確率的には半々ですし、完全にランダムです。中には元の世界に留まる霊体もいますし」
……色々と聞いていると、何でリームはこんなに詳しいのという疑問が沸き上がるが我慢。知恵の実を食べたことで知能が上がったのかもしれない。
結局ぐるりと回って、たくさん手に入れたのはどこにでもある美味しいリンゴとエリクサー並みの回復力があるという天界の水だけ。天使以外に生き物がいないし、神殿に近づこうとしたらマルエルに止められたので大した観光は出来なかった。
最後にムーンゲートの場所まで戻ると、何か偉そうな羽の多い天使と、その部下らしきロリっ子天使が数名いる。あ、ヤバイ。これバレてる。
「そこの旅人、私は熾天使のウリエールだ。ここら辺りで警護班の天使が1人」
「GO」
かなり危険な空気を感じ取ったため、リームとマルエルに先制攻撃をお願いするとマルエルは槍を持ちだしウリエールと名乗る天使に攻撃をする。取り巻きの天使は、全員リームに食べられた。リームの戦闘力が高すぎて怖い。いつか俺も食べられる気がする。
「な!?マルエル殿が何故!?
しかも我々を裏切ったのに、堕天していない!?」
そしてマルエルは槍を突き出したが、ウリエールの持つ槍で受け止められる。力関係はウリエール>マルエルっぽいな。階位が違いそうだし、不意討ちでもどうにもならないものはある。
……ウリエールさん、とてもおっぱいが大きいし所々黄金で装飾はされているけど基本は他の天使と変わらないひらひらワンピースとか色々と誘ってませんかね。と、ここでスーラが触手を伸ばして顔の下半分を覆う。あ、戦闘終わった。
「……」
「あー、口を開いたら終わりだよ。口を開かなくても鼻から侵入されるけど」
スーラは栄養満点のスライムゼリーを強引に食べさせてくるけど、これは栄養満点であると同時に媚薬というか、精力剤的な効果もある。さっきの天使もこれを大量に食べさせられてから、急激に愛液の量が増加していた気がするな。単純に窒息させることも出来るので、接近戦ではスーラも強い。
無事制圧出来たので、騒ぎになる前にムーンゲートを開いて撤収。当然、熾天使のウリエールも抱えての帰還である。持ち帰った天使はこれで合計で6人になるわけだけど、どう処理しようか。……とりあえず全員、堕天使になって貰おうかな?