嫁ガチャ! 作:即席brain
2人目が登場するまでは警戒を解かない予定です。
2021年4月16日。相変わらず世間の話題はコロナ一色で、7月の東京オリンピックをやるやらないで揉めている。……個人的には全ての人種と全てのコロナウイルスを1ヵ所に集めることになるから、コロナウイルスにとって変異のための最高の条件が揃うことになるし、止めた方が良いと思うけどこのままやりそうだなあ。
っと、そうだ。
「力の種って何?食べたら力が増えるの?」
「ええ。ほんの少しだけですが。味は悪くないですし、外れ枠でどんどん出るので食べてみることをオススメします」
「完全にゲームの世界の産物だし、ドーピングだなこれ。
……せめて不味くあれよ。ほぼ無味無臭とかリアクション取り辛いわ。食感も微妙に硬いし」
「それを食べると……えー、あー、この世界の成人男性1人分の力が加算されるようです。良かったですね!旦那様の握力が31㎏から66㎏に増えましたよ!」
「はあ!?
……これが今後もどんどん出るとか不安でしかない」
力の種と守りの種という二つのピーナッツ状の食べ物が出て来たので、聞くと無害そうだったので食べてみたら有害だった。たった1個でゴリマッチョ並みの筋力得たじゃん。守りの種なんか10個あるんだけど食べたくねえよ。
「では私が食べますね」
「え、あ、ちょっ!?」
「うーん、相変わらずイマイチですね。
あ、ご飯がそろそろ出来ますよ!美少女の手料理なんて、旦那様にとって小学生の調理実習以来のことですね!」
「それ煽ってるの?」
「いえ。ですがちょっとは意識して欲しいなーって」
そしてその守りの種を躊躇なくポリポリ食べるリーム。こいつの故郷というか出身世界には普通にある食べ物なんだろう。なんかもうヤベー種族としか思えなくなってきた。
リームの用意した手料理は、鯖の煮付けにほうれん草のお浸し。味噌汁にきんぴらごぼうと妙に家庭的な料理。食べてみると薄味ながらも美味しいし、めっちゃ栄養バランスとか考えてそう。
「……おいしい」
「完璧メイドですから。この地球上にあるありとあらゆる料理は頭に入ってますよ」
「もうその言葉が人外の言葉なんだけど。
……何が目的なのかは分からないけど、生活レベルが上がるのを拒否する理由にはならないし、これからもお願いします」
「はい、お願いされました。
とりあえず家事は私が全て引き受けますので、旦那様はガチャを引きまくって下さい」
朝ご飯か昼ご飯か分からない時間帯の食事を取った後は、ガチャを引きまくって下さいと言われるけどそうもいかない。出かける準備をして、コンビニの制服の返却のため、徒歩10分先のコンビニへと移動する。色々と考えたけど、この『嫁ガチャ!』で毎週金曜日に数十万の収入があるなら、この収入源が断たれるまではコンビニバイトへ行かなくても良いだろう。
店長に一身上の都合によりバイトを辞めますと告げると、店長は特に引き留めることもなく制服を受け取る。これで来週以降『嫁ガチャ!』でお金が入らないとか、今までのが全部幻覚でしたとなったら詰むな。
その足でそのまま、課金のためのプリペイドカードを9000円分購入する。もう今月はクレジットカード使えないから仕方ないね。これでとりあえず、3回分。
……まあ、土曜日限定ガチャもありそうだしこの課金分はそれを待つか。日曜日と木曜日以外なら実装されているとのことだったし、こんな意味不明な状況でも、どうせならお得なガチャを回したい。
ちょっとマンションに住んでいた人がどうなったのか確認したかったけど、テナントビルが建つはずだった空き地に似たようなマンションが既に建っていて、たぶんそこに引っ越したというか、そういう世界になったのかな?なんか本当に、あのアプリを起動するのが怖いんだけど。
一通り現状を確認した後、家に戻るとリームがベッドの上をポンポン叩いていたけど無視。昨日自分でも怖いぐらいに出したのに今日もまたヤるつもりかよ。
「旦那様まだ20歳ですよねえ!?性欲有り余ってますよねえ!?ほら、おっきいおっぱいに顔を埋めても良いんですよ?思いっきり吸い付いたり揉んだりしても良いんですよ?」
「明日やるから。今日は午後からゲームする予定だったし諦めてくれ」
「高校時代の友人で、旦那様と同じフリーターの斎藤様と通信制大学に通いながらパン屋でパンを焼いている植田様と東大に現役で合格した高橋様ですか。……高校時代、同じ教室で卓を囲んでいたとは思えない面子ですね」
「……どこまで知ってるんだよ。頭の中を読めるのか?」
「ふふっ、秘密です」
パソコンでオンラインゲームを起動して、いつもの面子で遊ぼうかと思ったら頭の中を読んでいるとしか思えないリームの言葉に恐怖を覚える。もうリームに関しては、俺の出生から全ての行動を知っているという認識でいた方が気は楽だろうな。
本来なら喜ばしい状況なのだろうし、もう何も考えずにでっかいリームのおっぱいに埋もれてしまいたいけど、鋼の意思でそれを耐える。例え相手が上位存在で何も考えずに欲に従った方が良いと分かっていても、考えるのを完全に止めるのは俺の性分に反する。
『反応おせーぞさとー。A-3まで突っ込め』
『いつもと様子が違うけど、何か悩み事か?』
「いや、別に何も」「旦那さまー!晩ご飯が冷めてしまいますー!」
『……おい、何だ今の声』
『……彼女か?同棲始めたのか?』
『ギルティ。殺せ』
「ああああああああ!味方を撃つなああああ!」
とりあえず旧友とのオンラインゲームで分かったことは、俺はこの家を両親から引き継いだことになっているらしい。3年前、高校在学中に蒸発した両親から何も俺は引き継がなかったはずだけど、どうやらこの世界では同じ時期に事故死しているようだ。
……この4人の集まりで、今まで彼女持ちだった奴がいないのは変わってなかったがな。リームの声が入った途端に、3人の殺気が高まりあっさり殺される自キャラ。背後からヘッドショットとか殺意高すぎるでしょ。まあ、通報するのは勘弁してやるか。
ついでにアプリについても都市伝説風にさりげなく聞いてみたが、見事に全員聞き覚えがない上、ありとあらゆる媒体でそのようなゲームをダウンロードする環境は無かったとの報告が入る。やべえ、墓穴掘ってる。
最終的にはゲームの音声と言い訳をしたけど、結局3人には疑われたまま深夜の0時を迎えたので解散。斎藤と植田は明日の土曜日もバイトだし、高橋も最近家庭教師を始めたとかで忙しそうだ。……高校で毎日俺らと麻雀して、それで東大に一発で合格した天才に中学生や高校生を教えられるのかよとは思う。
0時過ぎ。リビングへと行くと、ニコニコ般若顔のリームが。やべえ、上位種族怒らせたらこええ。
「ご友人と集まる日は0時過ぎまでゲームをするのは把握していましたが、せめて晩ご飯は8時頃までには食べて欲しかったです」
「……ごめん」
「別に構いませんけどね。冷めてもレンジでチンすれば美味しい炒飯と、温め直せば何も問題はない中華スープですから」
リームから差し出された器を受け取り、もぐもぐ美味しい炒飯を食べていると『嫁ガチャ!』の曜日ガチャが更新されており、土曜日限定ガチャに切り替わっている。単発1回で3万個。10連ガチャで30万個の宝石が必要とのこと。
……は?
「え、なに、これは?10連1回30万円!?」
「ああ、土曜日限定ガチャは土地が手に入るので、単発1回分でも高いですね。ですがこの曜日ガチャもお得で、不動産関係しか出ない代わりにSR以上しか出ないガチャですよ!」
「……不動産が手に入っても、活用する術とか知らないんだけど」
「それは私にお任せ下されば、旦那様は寝ているだけでお金が入ってきますよ?最悪でも売れば元が取れます」
あまりの高さにヤバイと思ったが、リームの説明を聞いて3万円で不動産が確定で手に入るとかヤバイと思った。とりあえずリームに金100gを売るよう命令してみたら、すぐに貴金属買い取り店に行き、ものの30分で66万円の現金を手にして帰ってきた。あ、じゃあ10連ガチャ回せるね?これで不動産が本当に手に入るならヤバイってレベルじゃないね?
相変わらずの演出が入った後、お馴染みのガチャ結果画面が表示される。ようやくこの異常事態に身体が慣れ始めたというか、思考が追い付いてきた気がするな。
SR:土地10坪(○○県○○市)
SR:土地5坪(○○都○○市)
SR:土地10坪(○○県○○市)
SR:小屋(土地8.9坪 ○○県○○市)
SR:土地10坪(○○県○○市)
SR:土地10坪(○○県○○市)
SR:土地8坪(○○府○○市)
SR:土地10坪(○○県○○市)
SR:土地100坪(○○道○○市)
SSR:アパート(5000万円級)
……そしてガチャ結果に絶句した。このアプリを開発した人絶対頭おかしいわ。人じゃない可能性の方が高いけど。たぶん、人の尺度で計り知れない存在だと思うけど。
ちょっと身体の震えが止まらなくなってきた。とりあえずリームに今回の土曜限定ガチャで出た不動産は全部売って来てとだけ言って、ベッドの上に寝転がる。これ、早々に1万回とか回せるようになるんじゃない?となると、リームのような存在がもう1人増えるということだけど……。
……まあ、何か事情とかあるなら増やすのは早い方が良いでしょ。というか毎週これが手に入るとか、最終的にはつじつま合わせが酷いことになりそう。あの屑両親が資産家とかにジョブチェンジしそうで笑える。……結局のところ、俺はこれに依存していきそうだな。
次話で2人目登場予定です。